プレスリリースの書き方|基本の構成と例文テンプレート、配信方法まで

プレスリリースの書き方の基本は、「何が新しいのか」を1つに絞ってタイトルで言い切り、最初の段落で5W1Hの事実を示し、詳しい説明・画像・会社概要・問い合わせ先を後ろに続けることです。記者や編集者は、時間との戦いの中で記事を書いています。冒頭を読むだけで発表の中身が分かる構成にしておけば、記事にするかどうかを判断してもらいやすくなるでしょう。

この記事では、プレスリリースの基本の構成と要素ごとの書き方、架空の会社を使った例文とテンプレート、配信方法、そして景品表示法や著作権など書く前に確認したい注意点を順に整理します。新卒・中途の採用や社員の取り組み、経営者のメッセージをリリースで発信したい採用広報の担当者にも役立つ内容です。経営者の言葉をインタビュー記事として残したい方は、掲載のご相談も受け付けています。

目次

プレスリリースの書き方で最初に押さえるべきは「何が新しいかを1つに絞る」こと

プレスリリースは、報道機関に向けて自社の新しい動きを事実で知らせ、記事にするかどうかを判断してもらうための文書です。 読み手は消費者でも求職者でもなく、記者や編集者。彼らが確かめたいのは「何が、いつから、どう変わるのか」というニュースの芯であり、会社の魅力を並べた宣伝文ではありません。書き始める前に「今回のリリースで伝える新しさは何か」を1つに決めておくことが、書き方全体の土台になります。

J-Net21(中小企業基盤整備機構)の解説でも、プレスリリースを作るときのポイントの1つ目に、タイトルで伝えたいことを1つに絞り込むことが挙げられています。伝えたい話題が2つ3つあるなら、無理に1本へまとめず、別々のリリースに分けましょう。

同じ「社外に向けた文章」でも、プレスリリースはほかの文書と読み手も役割も違います。とくに採用の情報を扱うときは、求人票や、マイナビ・リクナビなどの求人サイトに載せる原稿と混同しないようにしましょう。

文書主な読み手役割書く中心
プレスリリース記者・編集者記事にするかを判断する材料何が新しいか、事実と背景
自社サイトのお知らせ・ブログ顧客・求職者・取引先自社の動きや考えを直接伝える自社の言葉で詳しく
求人票・求人サイトの原稿応募を考える人応募を募る仕事内容・労働条件
広告消費者・見込み客購入や申し込みを促す商品の魅力・取引条件

求人票が「応募してください」を伝える文書だとすれば、プレスリリースは「こんな新しい動きがあります」を伝える文書です。 この違いを押さえておくと、採用の話題をリリースにするときも、何を書けばよいかがはっきりします。

参考:中小機構(J-Net21)「プレスリリースを行う方法を教えてください。」

プレスリリースの基本の構成は6つの要素でできている

プレスリリースには、新聞記事に近い定番の並びがあります。上から順に次の6つの要素を置き、伝えたいことほど前に書くのが基本の構成です。

  • タイトル(必要に応じてサブタイトル)
  • リード
  • 本文
  • 画像・図表
  • 会社概要
  • 問い合わせ先

各要素の役割を整理すると、次のようになります。

要素役割書くこと
タイトル何が新しいかを一目で伝える主語(社名)と新しい事実を1行で
リード発表の骨格を最初の段落で示す5W1Hの要点
本文背景と詳細を補う背景・具体的な内容・今後の予定
画像・図表記事にそのまま使える素材を渡す写真・図表とその説明文
会社概要どんな会社の発表かを示す社名・代表者・所在地・事業内容など
問い合わせ先記者が迷わず連絡できるようにする担当部署・担当者・電話・メール

この並びは、結論を先に置き、読み進めるほど詳しくなる「逆三角形」の形です。文化審議会が2022年に建議した「公用文作成の考え方」は国の府省庁の文書を対象にした手引で、企業のリリースにそのまま当てはまる決まりではありません。それでも、結論は早めに示し、続けて理由や詳細を説明するという考え方は、読み手に伝わる文書づくりの参考になります。同じ資料は府省庁の報道発表資料についても、専門的な知識は持たなくとも関心のある人々にどう伝えるかを工夫したい、としています。記者が冒頭の数行で「何の発表か」をつかめれば、続きを読む理由が生まれるはずです。

発表日と発信者も忘れずに入れましょう。文書の冒頭に日付と社名があれば、いつ・誰の発表かがすぐに分かります。分量については、公用文作成の考え方が「分量の限度を決めておく」ことを挙げています。1枚目で要点が伝わるかを基準に、長くなりすぎないよう調整するのが現実的です。

参考:文化審議会「公用文作成の考え方(建議)」

要素ごとに見るプレスリリースの書き方のコツ

構成が決まったら、要素ごとに中身を書いていきます。押さえたいのは次の5点です。

  • タイトルは「何が新しいか」を具体的な言葉で1行に
  • リードは最初の段落で5W1Hを言い切る
  • 本文は短い文で、背景から今後の予定へ
  • 画像には説明文を添え、使える状態で渡す
  • 会社概要と問い合わせ先は、記者が迷わない形に

タイトル:主語と新しい事実を1行で言い切る

タイトルは、社名などの主語と「何が新しいか」を、具体的な言葉で1行に収めるのが基本です。 公用文作成の考え方も、標題(タイトル)には主題となる案件を示す言葉を入れ、鍵となる言葉はできるだけ具体的なものにするとしています。解説・広報などの文書では「…について」とせず、より具体的な表現を用いるとよいという指摘もあります。長さは、読み手の負担にならないよう1行に収めるのが適当、というのが同資料の考え方です。

良い例と注意したい例を、架空の会社で比べてみましょう。

注意したい例良い例(架空の会社)直したポイント
新サービスについてのお知らせ株式会社サンプル、小売店向けの在庫管理アプリを〇月〇日に提供開始主語・何を・いつを入れた
採用活動に関するご案内株式会社サンプル、新卒社員向けの育成制度を新設し〇〇年春入社から導入何が新しいかを言い切った
業界初の画期的な取り組みをスタート!株式会社サンプル、全社員が勤務時間を選べる制度を〇月から開始根拠のない形容をやめ、事実に置き換えた

「画期的」「業界初」のような強い言葉は、目を引くようでいて、裏づけがなければかえって信頼を損ないます。新しさは形容詞ではなく、事実の中身で伝えましょう。補足したい情報が多いときは、タイトルの下にサブタイトルを1行置き、対象や背景をそこで補うと、タイトル自体を短く保てます。

リード:最初の段落で5W1Hを言い切る

リードは、タイトルのすぐ下に置く最初の段落で、発表の骨格になる5W1Hを一息で伝える部分です。 J-Net21の解説も、「誰が、何を、どのような目的で、いつ、どうしたのか」という構成で事実を正確に書くよう勧めています。リードだけ読めば発表の全体が分かる、という状態を目指しましょう。

5W1H書くこと例(架空の会社)
誰が発表する会社・部署株式会社サンプル
いつ開始日・実施日〇〇年〇月〇日から
どこで対象の地域・拠点本社と〇〇支社で
何を新しい事実の中身新卒社員向けの〇か月間の育成制度を
なぜ背景・目的未経験から入社した社員の立ち上がりを支えるため
どのように具体的な方法現場の先輩社員が1対1で伴走する形で導入

リードに背景の説明を詰め込みすぎると、肝心の「何が新しいか」が埋もれます。背景や数字の細かな根拠は本文に回し、リードは事実の要点に絞るのがコツです。

本文:短い文で、背景から今後の予定へ

本文は、リードで示した事実を「背景」「具体的な内容」「今後の予定」の順に補うのが基本の流れです。一文を短くし、一文で言うことを1つに絞るだけで、本文はずっと読みやすくなります。 公用文作成の考え方も、一文を短くする、一文の論点は一つにする、三つ以上の情報を並べるときは箇条書きを使う、といった書き方を示しています。

専門用語の扱いにも気を配りたいところです。社内で当たり前に使っている略語や業界用語は、記者や一般の読者には通じないことがあります。J-Net21は専門用語を極力使わないよう勧めており、公用文作成の考え方も、専門用語は言い換えるか、説明を付けて使うとしています。数字を書くときは、いつ時点の、何を対象にした数字なのかを添えましょう。自社で集計した値なら「自社調べ」と明記しておくと、記者が裏づけを取りやすくなります。

プレスリリースの本文を読みやすくする書き方。流れはリードの事実を背景、具体的な内容、今後の予定の順に補う。一文を短くし、一文の論点は一つにする。三つ以上の情報を並べるときは箇条書きを使う。専門用語や略語は言い換えるか説明を付ける。数字にはいつ時点の何を対象にした数字かを添え、自社で集計した値は「自社調べ」と明記する。
プレスリリースの本文を読みやすくする書き方。流れはリードの事実を背景、具体的な内容、今後の予定の順に補う。一文を短くし、一文の論点は一つにする。三つ以上の情報を並べるときは箇条書きを使う。専門用語や略語は言い換えるか説明を付ける。数字にはいつ時点の何を対象にした数字かを添え、自社で集計した値は「自社調べ」と明記する。

画像・図表:説明文を添えて、そのまま使える形で渡す

写真や図表は、記者がそのまま記事に使える状態で添えると、取り上げる側の手間を減らせるはずです。 J-Net21の解説には、媒体社に取り上げられやすいよう「見やすくわかりやすく」、そのまま記事に使える形に原稿を仕上げるという手順が示されています。記者は時間がない中で記事をつくるため、写真・データ・商品説明などをそろえて手間を省くことも勧められています。

画像には、何が写っているかを一言で示す説明文(キャプション)を付けましょう。公用文作成の考え方も、図表には分かりやすい位置に標題を付けるとしています。人物の写真なら、写っている人の氏名・役職と、誰が撮影した写真かも整理しておくと安心です。写真を使ってよい権利があるか、写っている人が掲載に同意しているかも、送る前に確かめておきましょう。

会社概要と問い合わせ先:記者が迷わず連絡できる形に

リードと本文で中身を伝えたら、最後に置くのは、どんな会社の発表なのかと、誰に連絡すればよいかの情報です。J-Net21も、製品の説明と会社紹介、メディアからの問い合わせ先を明確にするよう勧めています。問い合わせ先があいまいなリリースは、関心を持たれても、取材の連絡がそこで止まってしまいます。

項目書くこと
会社概要社名、代表者、所在地、設立、事業内容、ウェブサイト
問い合わせ先担当部署、担当者名、電話番号、メールアドレス
取材について取材に応じられる人(経営者・担当社員など)、対応できる内容

最後の「取材について」は見落としやすい項目ですが、書いておく価値があります。この点で私たち編集部の印象に残っているのが、テレビの制作現場を経験した経営者の次の言葉です。

“
長年テレビの現場にいて強く感じたのは、制作者と企業の間にある情報のギャップでした。私たち制作者が知りたいのは「この企業がロケ・取材に協力してくれるのか」「どんな取材に対応してくれるのか」「このロケ地の共用範囲」といった具体的な情報です。しかし企業が発信するプレスリリースでは、そういった情報は全く得られませんし、そもそも発信する場所でもありませんでした。
株式会社ロケグー 代表取締役
稲田 爽
インタビューを読む

取材する側にとっては、発表の中身に加えて「この会社に取材を頼めるのか」も判断の材料になる、ということでしょう。 言葉にあるとおり、企業のリリースは、もともとそうした情報を伝える場になっていませんでした。だからこそ、経営者や担当社員が取材に応じられるのか、社内や現場の撮影はできるのかを一行でも書き添えておけば、記者が次の一歩を踏み出す手がかりになるはずです。

参考:中小機構(J-Net21)「プレスリリースを行う方法を教えてください。」
参考:中小機構(J-Net21)「新聞や雑誌に記事として取り上げられる方法を教えてください。」
参考:文化審議会「公用文作成の考え方(建議)」

プレスリリースの例文とテンプレート:架空の会社で書いてみる

ここからは、構成を実際の文章に落とし込んだ例を見ていきます。例文に登場する「株式会社サンプル」は説明のために作った架空の会社で、内容もすべて架空です。 数字や日付、氏名は「〇」で伏せているので、自社の事実に置き換えて使ってください。

テンプレート:そのまま埋められる型

まずは、要素ごとに書き込む内容を並べた型です。上から順に埋めていけば、基本の構成がそろいます。

要素書き込む内容
発表日・発信者〇〇年〇月〇日 株式会社〇〇
タイトル株式会社〇〇、〇〇(何を)を〇月〇日に開始
サブタイトル〇〇(誰に・なぜ)を一言で補う
リード株式会社〇〇(本社:〇〇、代表取締役:〇〇)は、〇月〇日、〇〇を開始します。〇〇のため、〇〇という形で実施します。
本文1 背景なぜ今これを始めるのか。社内外の課題や、きっかけになった出来事
本文2 内容新しい取り組みやサービスの具体的な中身。対象・期間・方法
本文3 今後今後の予定。決まっていることだけを書く
代表者のコメント経営者や担当者が、取り組みへの思いを自分の言葉で語る
画像写真・図表と、その説明文
会社概要社名/代表者/所在地/設立/事業内容/URL
問い合わせ先担当部署/担当者名/電話/メール/取材対応の可否

例文:育成制度の新設を知らせる採用のリリース

テンプレートを埋めると、次のような形になります。採用広報の題材として、新卒社員向けの育成制度を新設した架空のケースです。

要素例文(架空の会社・架空の内容)
発表日・発信者〇〇年〇月〇日 株式会社サンプル
タイトル株式会社サンプル、新卒社員が現場の先輩と1対1で学ぶ育成制度を新設
サブタイトル〇〇年春入社の新卒採用から導入し、未経験からの立ち上がりを支える
リード株式会社サンプル(本社:東京都〇〇区、代表取締役:〇〇 〇〇)は、新卒社員を対象に、現場の先輩社員が1対1で伴走する〇か月間の育成制度を新設しました。〇〇年春に入社する新卒社員から導入します。
本文1 背景当社ではこれまで、配属後の育成を各部署に任せてきました。入社した社員から「誰に何を聞けばよいか分からない」という声が寄せられ、育成の仕組みを全社で整えることにしました。
本文2 内容入社後〇か月間、新卒社員1人に先輩社員1人がつき、週に1度の面談と日々の業務の振り返りを行います。先輩社員の面談時間は業務時間として扱います。
本文3 今後制度の運用状況は〇か月ごとに見直し、中途入社の社員への展開も検討します。
代表者のコメント「入社した人が安心して力を伸ばせる会社でありたいと考え、この制度をつくりました。」代表取締役 〇〇 〇〇
会社概要株式会社サンプル/代表取締役 〇〇 〇〇/東京都〇〇区/設立〇〇年/〇〇事業
問い合わせ先株式会社サンプル 広報担当 〇〇/電話 〇〇/メール 〇〇/代表取締役と制度を担当する社員への取材に対応できます

例文で意識したのは、「育成に力を入れています」という自己評価ではなく、「何を、いつから、どう始めたか」という事実を並べることです。 背景には社員の声を、今後には決まっている予定だけを書き、未定のことを約束しないようにしています。

J-Net21の解説は、プレスリリースの作り方を知るには、実在の企業のホームページを見るのが一番の近道だろうとしています。他社のリリースは構成や言葉選びの参考にとどめ、文章そのものは写さずに、自社の事実で書き起こしましょう。

参考:中小機構(J-Net21)「プレスリリースを行う方法を教えてください。」

採用広報でプレスリリースを使うときの題材の整え方

採用にまつわる話題も、形を整えればプレスリリースの題材になります。ポイントは次の3つです。

  • 「募集しています」ではなく「何が新しいか」に置き換える
  • 社員の取り組みは、会社としての変化や成果とセットで書く
  • 経営者のメッセージは、発表の中身と結びつけて語る

採用の情報をリリースにするときは、募集そのものではなく、その裏にある会社の新しい動きを主役にするのがコツです。 「エンジニアを募集しています」だけでは、マイナビ・リクナビなどの求人サイトや転職エージェントに出す求人の情報と変わらず、記者が記事にする理由が見当たりません。一方で、初めての新卒採用を始める、選考の方法を変える、働き方の制度を新しくするといった変化は、会社のニュースとして伝えられます。

題材そのままだとリリースにするなら
新卒採用〇〇年度の新卒採用を行います初めての新卒採用、選考方法の見直し、育成制度の新設
中途採用〇〇職を募集中です新しい事業や拠点の立ち上げと、それに伴う体制づくり
社員の取り組み社員が頑張っています社員発の企画が形になった、社外で表彰された
経営者のメッセージ代表の想いをお伝えします新しい方針や制度を発表する場で、その理由を経営者が語る

募集の条件まで書き込むなら、表現にも注意が要ります。職業安定法第5条の4は、広告などで労働者の募集に関する情報を出す企業に、虚偽の表示や誤解を生じさせる表示を禁じています。その情報を正確かつ最新の内容に保つことも、同じ条文で定められた義務です。リリースに書いた給与や働き方が、求人票の内容と食い違っていないかも確かめておきましょう。

経営者のメッセージは、リリースの中では「代表者のコメント」として数行に収まることが多いでしょう。私たち編集部は、その数行にこそ会社らしさがにじむと感じています。リリースで伝えきれない経営者の考えや創業の背景は、インタビュー記事のように、じっくり語れる場に分けて届けるほうが無理がありません。 経営者の言葉が採用や広報にどう生きるのかは、社長・代表インタビューの効果を整理した記事で詳しく解説しています。

プレスリリースは、求人サイトや転職エージェントの代わりになるものではありません。会社の動きを報道機関に知らせ、自社サイトに積み上げていく発信です。求人サイトや転職エージェントにかかる費用も含めた採用全体のコストの考え方は、採用コストを下げる方法で整理しています。

参考:e-Gov法令検索「職業安定法」

プレスリリースの配信方法と、送る前後にやること

書き上げたリリースは、届けたい媒体に合った方法で送ります。主な配信方法は次の4つです。

  • 報道機関・記者に直接送る
  • 記者クラブに資料を届ける
  • 配信サービスを使う
  • 自社サイトに掲載する
配信方法向いている場面気をつけたいこと
報道機関・記者に直接送る届けたい媒体や記者がはっきりしている媒体ごとに受け付ける窓口と方法を確かめる
記者クラブに資料を届ける地域や業界の記者にまとめて知らせたい受け付けの可否や手順はクラブごとに異なる
配信サービスを使う多くの媒体に一度に届けたい送り先が広いぶん、タイトルで埋もれない工夫が要る
自社サイトに掲載するどの方法で送った場合も送った内容と同じものを、日付を入れて載せる

J-Net21の回答では、送付の手段として郵送やFAXなどが挙げられ、自社のホームページにも同じリリースを必ず掲載するよう勧められています。媒体によって受け付ける方法は異なるため、送り先ごとの案内を確認しておきましょう。どの方法で送るにしても、自社サイトに「ニュース」や「お知らせ」の置き場をつくり、リリースを積み上げておくことが土台になります。 会社名で検索した記者や求職者が、過去の発表をたどれるからです。

送る前後の段取りも整えておきます。

タイミングやること
送る前社内で事実関係・数字・表現を確認し、写真の権利と、載せる社員の同意を確かめる
送るとき大きなニュースと重なりそうな日を避け、発表日時を明記する。公表を控えてほしい日時があれば、その旨も書く
送った後問い合わせにすぐ答えられるよう担当者を決めておき、自社サイトにも掲載する

配信はゴールではなく、記者からの問い合わせに応えるところまでが一続きの仕事です。 送った当日に担当者が不在で連絡がつかない、という事態は避けたいところ。なお、どの方法で送っても、記事にするかどうかは媒体が判断します。

参考:中小機構(J-Net21)「プレスリリースを行う方法を教えてください。」
参考:中小機構(J-Net21)「新聞や雑誌に記事として取り上げられる方法を教えてください。」

書く前に確認したい表現と権利の注意点

リリースは報道機関に渡り、自社サイトにも残る文書です。書いた内容がそのまま世の中に出ていく前提で、次の3点を確認しておきましょう。

  • 誇大な表現になっていないか
  • 他人の写真や文章を無断で使っていないか
  • 社員の実名や写真を、本人の同意なく載せていないか

誇大な表現:景品表示法の優良誤認・有利誤認

商品やサービスを紹介するリリースでは、景品表示法の不当表示に気をつけます。消費者庁によると、品質や規格などの内容を実際より著しく優良と示す表示(優良誤認表示)や、価格などの取引条件を実際より著しく有利と誤認させる表示(有利誤認表示)は、景品表示法第5条で禁止されています。

“
事業者は、自己の供給する商品又は役務の取引について、次の各号のいずれかに該当する表示をしてはならない。 一 商品又は役務の品質、規格その他の内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示し、又は事実に相違して当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも著しく優良であると示す表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの
不当景品類及び不当表示防止法(昭和37年法律第134号)
第5条第1号
条文を見る

ひらたく言えば、商品やサービスの中身を実際より良く見せたり、ほかの会社の商品より特に優れているかのように見せたりする表示が禁じられている、ということです。注意したいのは、わざと偽った場合だけでなく、誤って表示してしまった場合でも規制の対象になる点です。 さらに消費者庁長官は、優良誤認に当たるかを判断するため、期間を定めて、表示の裏づけとなる合理的な根拠を示す資料の提出を事業者に求めることができます。期間内に出さない場合や、出した資料が合理的な根拠と認められない場合、その表示は措置命令との関係では不当表示とみなされ、課徴金納付命令との関係では不当表示と推定されます。これが不実証広告規制です。

景品表示法の不当表示で確かめたいこと。優良誤認表示:品質や規格などの内容を実際より著しく優良と示す表示。有利誤認表示:価格などの取引条件を実際より著しく有利と誤認させる表示。どちらも第5条で禁止され、わざと偽った場合だけでなく誤って表示した場合も対象。不実証広告規制:消費者庁長官は表示の裏づけとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができ、期間内に出さないか合理的な根拠と認められない場合は、措置命令との関係では不当表示とみなされ、課徴金納付命令との関係では不当表示と推定される。
景品表示法の不当表示で確かめたいこと。優良誤認表示:品質や規格などの内容を実際より著しく優良と示す表示。有利誤認表示:価格などの取引条件を実際より著しく有利と誤認させる表示。どちらも第5条で禁止され、わざと偽った場合だけでなく誤って表示した場合も対象。不実証広告規制:消費者庁長官は表示の裏づけとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができ、期間内に出さないか合理的な根拠と認められない場合は、措置命令との関係では不当表示とみなされ、課徴金納付命令との関係では不当表示と推定される。

「業界初」「No.1」「最安」といった言葉を使うなら、いつ・どの範囲で・何を基準にそう言えるのかを本文で示せるか確かめましょう。示せないなら、事実だけを書くほうが安全です。なお、景品表示法は商品やサービスの取引についての表示を対象とする法律です。採用の募集情報には、職業安定法の的確な表示のルールが関わります。

参考:消費者庁「優良誤認とは」
参考:消費者庁「有利誤認とは」

他人の写真・文章:著作権法で守られている

ネットで見つけた写真やイラスト、他社の記事の文章を、許可なくリリースに載せるのはやめましょう。 文化庁の「著作権テキスト」令和8年度版は、肖像写真・風景写真・記録写真などを写真の著作物の例に挙げ、他人の著作物は原則として著作権者の許諾を得て利用するものだと説明しています。

例外として「引用」が認められる場合もありますが、同テキストはその条件として次の4つを挙げています。

  • すでに公表された著作物であること
  • 引用する必然性があり、カギ括弧などで引用部分がはっきりしていること
  • 報道・批評・研究などの目的上正当な範囲内で、自分の文章が主、引用が従という関係が明確で、分量も必要最小限であること
  • 出所を明示すること

同テキストによれば、自分の著作物に登場する必然性のない他人の著作物を使うことは、引用には当たりません。リリースに使う写真は自社で撮影するか、利用条件を確認できる素材を使うのが確実です。外部のカメラマンやデザイナーに頼んだ写真・図版は、リリースや自社サイトで使ってよい範囲を事前に取り決めておきましょう。

参考:文化庁「著作権テキスト 令和8年度版」

社員の実名・写真:本人の同意を取ってから載せる

採用広報のリリースでは、社員の名前や顔写真を載せたくなる場面もあるでしょう。社員を実名や写真で紹介するときは、どこに、どんな形で載るのかを説明し、本人の同意を得てから載せましょう。 個人情報保護委員会の資料「個人情報保護法の基本」2023年9月版は、事業者が守るルールとして、個人データを第三者に提供する場合はあらかじめ本人から同意を得ることを挙げています。リリースは報道機関の手に渡り、ウェブにも公開される文書です。

写真については、肖像権への配慮も欠かせません。文化庁の著作権テキストは、肖像権を、自己の氏名や肖像をみだりに他人に公開されない権利で、プライバシー権の一種とされるものと説明しています。法律に定めがあるわけではなく、判例によって確立された権利だという点も添えられています。同意を得るときは、リリース本文、自社サイト、SNSなど載る場所をまとめて伝え、退職したあとの扱いも決めておくと、後から困りません。

参考:個人情報保護委員会「個人情報保護法の基本」
参考:文化庁「著作権テキスト 令和8年度版」

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プレスリリースの書き方に関するよくある質問

プレスリリースとニュースリリースは何が違いますか

一般には、どちらも報道機関に向けて会社の発表を知らせる文書を指し、ほぼ同じ意味で使われています。 社内の呼び方や媒体によって使い分けることはあっても、書き方の基本は変わりません。タイトルで新しさを1つに絞り、最初の段落で5W1Hを示し、会社概要と問い合わせ先で締める構成を押さえておけば十分でしょう。

プレスリリースはどのくらいの長さにすればよいですか

決まった長さはなく、1枚目を読めば発表の要点がつかめるかどうかを目安にするとよいでしょう。 国の府省庁の文書づくりの手引である「公用文作成の考え方」も、文書の結論はできれば最初の段落で示し、分量の限度を決めておくよう勧めています。詳しいデータや補足が多いときは本文に詰め込まず、別紙や自社サイトのページにまとめる方法もあります。

採用の情報もプレスリリースにできますか

できます。ただし前提になるのは、「募集しています」という告知ではなく、会社の新しい動きとして伝えることです。 初めての新卒採用、選考方法の見直し、育成制度の新設などは、会社のニュースとして書けるでしょう。募集の条件に触れる場合は、職業安定法の的確な表示のルールを意識し、求人票の内容と食い違いがないよう確認しておくと安心です。

例文やテンプレートをそのまま使ってもよいですか

構成の型として使うのは問題ありませんが、文章は自社の事実で書き起こしましょう。 テンプレートは要素の並びを確かめるための枠で、中身の言葉まで借りるものではありません。他社のリリースも構成や言葉選びの参考にとどめ、文章や写真をそのまま写さないこと。他人の文章や写真には著作権があるからです。

配信したのに記事にならないときはどうすればよいですか

記事にするかどうかは媒体が判断するため、送ったリリースが必ず取り上げられるわけではありません。 タイトルで新しさが伝わっているか、届けた媒体の関心と合っていたか、大きなニュースと重なっていなかったかを振り返ってみましょう。記事にならなかったリリースも、自社サイトに残しておけば、会社名で調べた人が会社の歩みを知る材料になります。

まとめ

プレスリリースの書き方の基本は、「何が新しいか」を1つに絞ってタイトルで言い切り、リードで5W1Hを示し、本文・画像・会社概要・問い合わせ先へと詳しくしていく構成にあります。一文を短くし、専門用語を言い換え、記者がそのまま使える素材と取材の窓口を添えれば、受け取る側の手間はぐっと減るでしょう。誇大な表現、他人の写真や文章の無断利用、社員の同意のない掲載は、送る前に必ず確かめておきたい点です。採用の話題も、募集の告知ではなく会社の新しい動きとして整えれば、リリースの題材になります。

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編集者

小川 莉奈 - 熱狂ベンチャーナビ編集部

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看護師から一般企業へ就職。その後株式会社デジマケに入社。自身の転職経験を元に新卒~若手の転職者にわかりやすい情報をお届けします。

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西畑大樹 - 熱狂ベンチャーナビ運営責任者

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新卒で証券会社に入社。その後、不動産・マーケティング・SaaS企業と4社の経験を経て独立。
学生時代は無人島のインターンや創業2か月目の会社でインターン生として2年勤務。
学生時代から新卒就活領域のメディア運営やキャリアコンサルタントを行っていた経験を元に業界や企業理解が深まるインタビュー記事や就活や転職に役立つ情報をお届けします。

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秋山翔一 - 熱狂ベンチャーナビ編集責任者

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新卒で商社に入社。その後WEBマーケティング支援を行う会社に転職。その後、繊維メーカーの役員を経て株式会社デジマケを創業。
年間500記事以上の監修を行っております。採用側の視点でサービスのファクトチェックや記事内容を精査しています。

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