工場はやめとけ・底辺と言われるのは本当?|賃金と夜勤、労災を公的データで検証

工場が「やめとけ」と言われる理由のうち、公的データで裏づけがあるのは主に給料の差です。令和7年の統計では、生産工程の仕事の所定内給与額は一般労働者全体の平均より5万5,600円低くなっていました。

一方で、100人以上の事業所では、働いた時間あたりの労災の起きやすさは製造業のほうが全体より低い水準です。条件を大きく分けるのは、工場かどうかより会社の規模や雇用形態でした。

言われる理由を1つずつデータで確かめ、入る前に求人票と面接で確認したいことまで整理します。

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目次

工場が「やめとけ」「底辺」と言われる5つの理由

工場で働くのはやめておけ、という声の中身を分けると、よく挙がるのは次の5つです。

  • 給料が低い
  • 夜勤や残業で、長く不規則に働く
  • 機械や重い物を扱うので、けがが多い
  • 派遣や期間工が多く、雇用が不安定
  • 人が定着しないから、いつも求人が出ている

この記事でいう「工場の仕事」は、統計の職業区分でいう生産工程従事者、つまり製品の加工・組立・検査などに就く人を中心にしています。これに対して「製造業」は会社や事業所の産業の区分で、同じ工場で事務や技術、営業の仕事をする人も含みます。数字を読むときは、職業の区分か産業の区分かを分けて見ておきたいところです。

言われる理由公的データで見ると入る前に確かめること
給料が低い生産工程従事者の所定内給与額は全体平均より低い。企業規模による差も大きい基本給と手当の内訳、前年の賞与の実績
夜勤や残業で長く働く製造業の一般労働者の労働時間は産業計とほぼ同じ。有給休暇の取得日数は多い交替制の有無と、勤務の切り替え方
けがが多い死傷者の人数は業種別で最も多いが、働いた時間あたりの頻度は、100人以上の事業所では調査産業計より低い入社時の安全教育と、配属先の作業
雇用が不安定製造業の正社員・正職員以外の賃金は、正社員・正職員の66.3%雇用形態、契約期間と更新の上限、正社員登用
人が定着しない製造業の平均勤続年数は15.3年で、産業計の12.7年より長い配属先の勤続年数と、入社後の教え方

※数字の出典と調査の範囲は、以降の各セクションに記載。

「底辺」という言い方は、仕事に上下をつける見方から出てきたものでしょう。公的統計は職業を仕事の中身で分けていて、上下の順番で並べているわけではありません。ここからは、この言葉が指していそうな中身を、給料・働き方・安全・雇用の安定に分けて確かめていきます。

正直なところ、私たちはものづくりの現場を「誰でもできる仕事」とひとくくりにする見方には違和感があります。同じ工場勤務でも、会社や持ち場、雇われ方によって条件がまるで違うからです。

参考:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 結果の概況」
参考:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 (職種)第2表 職種(大分類)、性別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」(e-Stat)
参考:厚生労働省「毎月勤労統計調査 2025(令和7)年分結果確報」
参考:厚生労働省「令和7(2025)年就労条件総合調査 結果の概況」
参考:厚生労働省「令和7年労働災害動向調査(事業所調査(事業所規模100人以上)及び総合工事業調査)の概況」
参考:厚生労働省「令和7年における労働災害発生状況(確定値)」

「給料が低い」は半分当たり|生産工程の賃金を全体・企業規模・雇用形態で比べる

給料の話は、何と比べるかで見え方が変わるものです。厚生労働省の令和7年賃金構造基本統計調査から、3つの切り口で確かめます。

  • 生産工程従事者の所定内給与額は、一般労働者全体より5万5,600円低い
  • 同じ生産工程の仕事でも、1,000人以上の企業と10〜99人の企業では、年収換算で約177万円の差がある
  • 製造業では、正社員・正職員以外の賃金は正社員・正職員の66.3%

全体と比べると、毎月の基本の給与は8割強

同調査は、10人以上の常用労働者を雇う民営事業所の一般労働者(短時間労働者ではない人)を対象に、2025年6月分の給与を集計しています。ここで比べる所定内給与額は、毎月決まって支払われる給与から、残業代や深夜勤務手当、交替手当などを差し引いた額です。

男女計で見ると、生産工程従事者の所定内給与額は28万5,000円。一般労働者全体の34万600円より5万5,600円低く、全体を100とすると83.7でした。平均年齢は生産工程従事者43.1歳、全体44.4歳と大きくは変わりません。

産業の区分で見ると、差はぐっと縮まります。製造業で働く一般労働者の所定内給与額は33万円で、産業計との差は1万600円。製造業には同じ会社で技術や事務、営業の仕事をする人も含まれるからです。毎月の基本の給与が全体より低いのは事実ですが、その差は「工場という職場」よりも「生産工程という仕事」のほうに表れています。

企業規模:同じ生産工程でも、年収換算で約177万円の差

同じ調査の職種別の表では、生産工程従事者の賃金を企業規模別に見られます。

企業規模平均年齢きまって支給する現金給与額(月)所定内給与額(月)年間賞与その他特別給与額年収換算(編集部試算)
1,000人以上41.5歳38万2,500円32万3,300円120万4,100円579.4万円
100〜999人42.6歳31万2,000円27万4,100円79万3,100円453.7万円
10〜99人45.1歳29万200円26万6,000円54万3,100円402.6万円
10人以上計43.1歳32万4,300円28万5,000円82万4,200円471.6万円

※令和7年賃金構造基本統計調査、生産工程従事者、一般労働者、男女計、産業計。年収換算は、きまって支給する現金給与額×12+年間賞与その他特別給与額で編集部が計算した概算です。

年収換算で比べると、1,000人以上の企業は579.4万円、10〜99人の企業は402.6万円で、差は約177万円でした。差を大きくしているのは賞与で、1,000人以上の120万4,100円は、10〜99人の54万3,100円の2.2倍にあたります。所定内給与額の差は5万7,300円です。

令和7年賃金構造基本統計調査から編集部が試算した生産工程従事者(一般労働者、男女計)の企業規模別の年収換算。1,000人以上579.4万円、100〜999人453.7万円、10〜99人402.6万円。10人以上計は471.6万円。1,000人以上と10〜99人の差は約177万円。
令和7年賃金構造基本統計調査から編集部が試算した生産工程従事者(一般労働者、男女計)の企業規模別の年収換算。1,000人以上579.4万円、100〜999人453.7万円、10〜99人402.6万円。10人以上計は471.6万円。1,000人以上と10〜99人の差は約177万円。

ただし、1,000人以上は平均年齢41.5歳・勤続15.4年、10〜99人は45.1歳・12.5年と、働く人の顔ぶれが違います。規模ごとに別の人を集計した平均なので、同じ人が大きい会社に移ればこの差だけ上がる、という意味ではありません。それでも、工場の求人を比べるときは月給の額だけでなく、前年の賞与の実績まで聞いておくと、年間の差が見えてきます。

雇用形態:正社員・正職員以外は、正社員・正職員の66.3%

雇われ方による差も見ておきましょう。同じ調査の概況で、製造業の一般労働者の賃金(6月分の所定内給与額)を雇用形態別に見ると、正社員・正職員は34万6,100円、正社員・正職員以外は22万9,400円でした。正社員・正職員を100とした雇用形態間賃金格差は66.3です。

令和7年賃金構造基本統計調査の一般労働者の賃金(6月分の所定内給与額、男女計)を雇用形態別に比べた図。製造業は正社員・正職員34万6,100円、正社員・正職員以外22万9,400円で格差66.3。産業計は正社員・正職員35万8,800円、正社員・正職員以外24万1,700円で格差67.4。
令和7年賃金構造基本統計調査の一般労働者の賃金(6月分の所定内給与額、男女計)を雇用形態別に比べた図。製造業は正社員・正職員34万6,100円、正社員・正職員以外22万9,400円で格差66.3。産業計は正社員・正職員35万8,800円、正社員・正職員以外24万1,700円で格差67.4。

ここでいう「正社員・正職員以外」は、事業所が正社員・正職員としていない人を指します。産業計でも、正社員・正職員35万8,800円に対し、正社員・正職員以外24万1,700円で、格差は67.4。正社員とそれ以外の差は工場に限った話ではなく、どの雇われ方で入るかが、仕事の種類と同じくらい給与を左右しているのです。

参考:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 結果の概況」
参考:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 (職種)第2表 職種(大分類)、性別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」(e-Stat)
参考:厚生労働省「主な用語の定義」(令和7年賃金構造基本統計調査 結果の概況)

「夜勤や残業できつい」は?|労働時間と休みを数字で見る

夜勤や残業がどれくらいあるかは、働く前にいちばん気になるところでしょう。平均の数字で確かめられることと、確かめられないことを分けておきます。

  • 製造業の一般労働者の月間の総実労働時間は162.3時間で、産業計より1.8時間長い程度
  • 年次有給休暇の取得日数は、製造業が13.7日で、全体の12.1日より多い
  • 交替制で働く人の割合は、本記事では最新の公的統計で確かめられなかった

月の労働時間は、産業計とほぼ同じ

厚生労働省の毎月勤労統計調査(2025年分確報、事業所規模5人以上)で、一般労働者の月間の実労働時間を見ます。製造業は総実労働時間162.3時間、そのうち所定外労働時間(残業など)は14.7時間、出勤日数は19.1日でした。調査産業計は160.5時間、13.2時間、19.2日です。

差は総実労働時間で1.8時間、所定外労働時間で1.5時間。平均で見るかぎり、工場の仕事が他の産業と比べて特別に長く働く仕事だとは言えません。 ただしこれは製造業全体の平均で、繁忙期の残業や、会社ごとの違いまでは映していません。

有給休暇は、製造業のほうが多く取れている

休みの取りやすさも見ておきましょう。厚生労働省の令和7年就労条件総合調査(常用労働者30人以上の民営企業)によると、2024年の1年間に労働者1人に付与された年次有給休暇は、製造業で平均18.8日、そのうち取得したのは13.7日でした。取得率は72.8%です。

全体(調査計)は付与18.1日、取得12.1日、取得率66.9%なので、製造業は取得日数で1.6日多く、取得率で5.9ポイント高くなっています。少なくとも30人以上の企業の平均では、製造業は有給休暇を取りにくい産業ではありません。 小さな会社や個々の職場の取りやすさは、面接で前年の平均取得日数を聞いて確かめてください。

製造業の働く時間と休み。毎月勤労統計調査(2025年分確報、事業所規模5人以上、一般労働者)の月間総実労働時間は製造業162.3時間、調査産業計160.5時間。令和7年就労条件総合調査(常用労働者30人以上の民営企業、2024年1年間)の年次有給休暇の取得日数は製造業13.7日、調査計12.1日。
製造業の働く時間と休み。毎月勤労統計調査(2025年分確報、事業所規模5人以上、一般労働者)の月間総実労働時間は製造業162.3時間、調査産業計160.5時間。令和7年就労条件総合調査(常用労働者30人以上の民営企業、2024年1年間)の年次有給休暇の取得日数は製造業13.7日、調査計12.1日。

夜勤があるかどうかは、平均の数字では分からない

一方で、夜勤や交替制のつらさは、こうした平均の数字には表れません。交替制で働く人が製造業にどれくらいいるかについて、本記事では最新の公的統計で確かめることができませんでした。同じ製造業でも、設備を止めずに動かす工場と、日勤だけで回す工場があるからです。

だからこそ、交替制の有無と勤務の組み方は、入る前に一社ずつ確かめるしかありません。確かめ方は後のセクションで説明します。働き始めてからの深夜の割増賃金や、深夜業を含む業務の健康診断のルールは、工場を辞めたいと感じたら|きつい理由と夜勤のルール、経験が活きる転職先で整理しています。

参考:厚生労働省「毎月勤労統計調査 2025(令和7)年分結果確報」
参考:厚生労働省「令和7(2025)年就労条件総合調査 結果の概況」

「危ない・けがが多い」は?|労災は人数と頻度を分けて見る

工場の労災が多いという印象は、半分は数字のとおりで、半分は数え方の問題です。

  • 休業4日以上の死傷者の人数は、製造業が業種別で最も多い
  • 働いた時間あたりの頻度(度数率)は、製造業1.33で、調査産業計の2.01より低い
  • 1人あたりの休業の長さ(死傷者1人平均労働損失日数)は、製造業のほうが長い

人数が多いのは、働く人が多いことも関係する

厚生労働省の「令和7年における労働災害発生状況(確定値)」によると、2025年に休業4日以上の労働災害にあった人は全産業で135,333人(新型コロナウイルス感染症へのり患によるものを除く)。製造業は26,371人で、商業の23,128人や建設業の13,437人を上回り、業種別の区分では最多でした。死亡者は製造業で115人と、前年より27人(19.0%)減っています。

ただ、人数は働いている人の多さにも左右されます。けがの起きやすさを比べるには、働いた時間あたりの数字を見る必要があるでしょう。

働いた時間あたりでは、製造業は調査産業計より低い

厚生労働省の令和7年労働災害動向調査(事業所規模100人以上)は、100万延べ実労働時間あたりの死傷者数を「度数率」として集計しています。対象は、休業1日以上の労働災害と、体の一部やその機能を失った労働災害です。2025年の度数率は、製造業が1.33、調査産業計が2.01でした。主な産業では、運輸業,郵便業3.65、卸売業,小売業2.10、医療,福祉(一部の業種に限る)1.90となっています。

一方、災害の重さを表す強度率は、製造業0.07、調査産業計0.09。死傷者1人平均労働損失日数は、製造業51.6日で、調査産業計の45.7日より長くなっていました。製造業の労災は、時間あたりの起きやすさは低めでも、起きたときに休業が長引きやすい傾向が、この年の数字に表れています。

令和7年労働災害動向調査(事業所規模100人以上)。度数率(100万延べ実労働時間あたりの死傷者数)は製造業1.33、調査産業計2.01。死傷者1人平均労働損失日数は製造業51.6日、調査産業計45.7日。
令和7年労働災害動向調査(事業所規模100人以上)。度数率(100万延べ実労働時間あたりの死傷者数)は製造業1.33、調査産業計2.01。死傷者1人平均労働損失日数は製造業51.6日、調査産業計45.7日。

この度数率は100人以上の事業所の数字です。同じ調査で調査産業計を事業所規模別に見ると、1,000人以上の度数率は0.63、100〜299人では2.69と、規模の小さい区分のほうが高くなっていました。100人未満の事業所はこの数字に含まれないため、小さな工場の安全の度合いは、一社ずつ確かめる必要があります。

入社時の安全教育は、会社の義務

けがを防ぐ仕組みとして、労働安全衛生法第59条は、労働者を雇い入れたときと作業内容を変えたときに、事業者がその業務に関する安全・衛生の教育を行わなければならないと定めています。危険・有害な業務に就かせる場合は、別に特別の教育も必要です。面接では「入社後の安全教育はどのくらいの時間、誰が行いますか」と聞いてみてください。教える仕組みが言葉で返ってくるかどうかは、職場の安全への向き合い方を知る手がかりになります。

参考:厚生労働省「令和7年労働災害動向調査(事業所調査(事業所規模100人以上)及び総合工事業調査)の概況」
参考:厚生労働省「令和7年の労働災害発生状況を公表」
参考:厚生労働省「令和7年における労働災害発生状況(確定値)」
参考:e-Gov法令検索「労働安全衛生法」

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「人が辞めるから求人が多い」は?|求人倍率と勤続年数

工場の求人がいつも出ていると、人が定着しないのではと不安になるかもしれません。求人の多さと定着の度合いは、別の数字で確かめます。

  • 生産工程従事者の有効求人倍率は1.65倍で、職業計の1.08倍を上回る
  • ただし加工の仕事と組立の仕事で倍率は大きく違い、機械組立従事者は0.97倍
  • 製造業の一般労働者の平均勤続年数は15.3年で、産業計の12.7年より長い

生産工程の求人倍率は職業計より高いが、職種で差がある

厚生労働省の「一般職業紹介状況(令和8年9月分)」で、ハローワークの常用(パートタイムを含む)の求人と求職を職業別に見ると、生産工程従事者の有効求人倍率は1.65倍、新規求人倍率は2.95倍でした。職業計はそれぞれ1.08倍、2.10倍です。

生産工程の中でも、仕事の種類によって倍率は大きく分かれます。製品製造・加工処理従事者(金属製品)は2.21倍、同(金属製品を除く)は1.66倍だった一方、機械組立従事者は0.97倍、生産関連・生産類似作業従事者は0.81倍と、仕事を探す人の数を求人が下回っていました。「工場ならすぐ入れる」とは限らず、どの工程の求人かで入りやすさは違います。

一般職業紹介状況(令和8年9月分)で、ハローワークの常用(パートタイムを含む)の主な生産工程の職業の有効求人倍率。製品製造・加工処理従事者(金属製品)2.21倍、製品製造・加工処理従事者(金属製品を除く)1.66倍、生産工程従事者1.65倍、機械組立従事者0.97倍、生産関連・生産類似作業従事者0.81倍。職業計は1.08倍。
一般職業紹介状況(令和8年9月分)で、ハローワークの常用(パートタイムを含む)の主な生産工程の職業の有効求人倍率。製品製造・加工処理従事者(金属製品)2.21倍、製品製造・加工処理従事者(金属製品を除く)1.66倍、生産工程従事者1.65倍、機械組立従事者0.97倍、生産関連・生産類似作業従事者0.81倍。職業計は1.08倍。

なお、この倍率は令和8年9月の1か月分の原数値で、季節による動きはならしていない数字です。ハローワークを通さない求人、たとえばマイナビやリクナビといった求人サイトや転職エージェントが扱う分は含まれていません。

平均勤続年数は、製造業のほうが長い

求人が多い理由は、辞める人の多さだけでは決まりません。人を増やしたい会社が多い場合も、仕事を探す人が少ない場合も倍率は上がります。定着の目安として、令和7年賃金構造基本統計調査の平均勤続年数を見ると、製造業の一般労働者は15.3年で、産業計の12.7年より2.6年長くなっていました。生産工程従事者(産業計)は13.5年です。

平均勤続年数は年齢の構成などにも左右されるため、これだけで個々の職場の定着を判断することはできません。求人が多いことは、人がすぐ辞める職場の証拠とまでは言えないのです。 気になる会社では、配属先の人たちが何年くらい働いているかを面接で聞いてみてください。工場以外も含めて未経験から入りやすい職種を比べたい人は、未経験の転職におすすめの職種7選|公的データで見る採用理由と向き不向きも参考になります。

参考:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年9月分)について」
参考:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年9月分)参考統計表」
参考:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 結果の概況」
参考:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 (職種)第2表 職種(大分類)、性別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」(e-Stat)

工場で働く前に、求人票と面接で確かめたい4つのこと

ここまで見てきたとおり、工場の仕事の条件は、会社の規模や雇われ方、交替制の有無で大きく変わります。入る前に確かめたいのは次の4つです。

  • 雇用形態と契約期間、更新の上限
  • 交替制の有無と、勤務の切り替え方
  • 正社員登用の実績
  • 資格取得の支援

確かめる手段は、求人票と面接だけではありません。労働基準法第15条第1項は、会社が労働契約を結ぶときに、賃金や労働時間などの労働条件を示さなければならないと定めています。受け取った労働条件通知書などの書面を、求人票や面接で聞いた話と見比べてみてください。明示された条件が事実と違う場合、働く人は即時に労働契約を解除できることも、同条第2項に定められています。

雇用形態と契約期間:正社員か、期間の定めのある契約か

工場の求人には、正社員のほか、期間工などと呼ばれる期間の定めのある契約社員や、派遣会社に雇われて工場で働く派遣社員の求人があります。

働き方雇う会社契約期間確かめたいこと
正社員工場を運営する会社定めがないのが一般的試用期間、前年の賞与の実績
契約社員(期間工など)工場を運営する会社定めがある1回の契約期間、更新の基準と上限、満了時の扱い
派遣社員派遣会社派遣会社との契約による派遣会社での雇用形態、働く工場と期間

期間の定めのある契約では、2024年4月から明示のルールが変わりました。労働基準法施行規則第5条第1項により、更新する場合があるなら、その基準とあわせて通算の契約期間や更新回数の上限があるかどうか、あるならその上限を示すことになっています。あわせて、どの契約でも就業の場所と業務の「変更の範囲」を示す必要があります。

同じ会社で契約を更新しながら長く働く場合は、無期転換のルールも知っておきましょう。

“
同一の使用者との間で締結された二以上の有期労働契約(契約期間の始期の到来前のものを除く。以下この条において同じ。)の契約期間を通算した期間(次項において「通算契約期間」という。)が五年を超える労働者が、当該使用者に対し、現に締結している有期労働契約の契約期間が満了する日までの間に、当該満了する日の翌日から労務が提供される期間の定めのない労働契約の締結の申込みをしたときは、使用者は当該申込みを承諾したものとみなす。
労働契約法(平成19年法律第128号)
第18条第1項(抜粋)
条文を見る

同じ会社との有期契約が更新されて通算5年を超えたら、いま結んでいる契約の期間が満了する日までに本人が申し込めば、その満了日の翌日から期間の定めのない契約に切り替わるという意味です。会社は断れず、「承諾したものとみなす」とされています。申し込めるのは契約期間が満了するまでの間なので、更新のたびに期限を確かめておきたいところです。ただし、変わるのは契約期間で、正社員になれるという意味ではありません。 給与などの労働条件は、別の定めがなければ、それまでの契約と同じです。また、同条第2項により、契約と契約の間が原則6か月以上空くと、それより前の期間は通算されません。無期転換の申込みができる契約を結ぶときは、申込みができることと転換後の労働条件も明示するよう、労働基準法施行規則第5条第5項で定められています。

交替制の有無と、勤務の切り替え方

夜勤があるかどうかは、求人票の就業時間の欄で確かめられます。「8:00〜17:00/20:00〜翌5:00」のように時間帯が複数書かれていたり、「2交替」「3交替」と書かれていたりすれば、交替制の職場です。会社が示さなければならない労働条件にも、交替のことが入っています。

“
始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を二組以上に分けて就業させる場合における就業時転換に関する事項
労働基準法施行規則(昭和22年厚生省令第23号)
第5条第1項第2号
条文を見る

「労働者を二組以上に分けて就業させる場合における就業時転換」とは、交替制で働かせるときの勤務の切り替え方を指します。交替制の職場なら、日勤と夜勤がどんな周期で入れ替わるのかは、労働条件として示されるべき事項なのです。 面接では「何交替で、夜勤は月に何回くらいですか」「日勤だけの持ち場はありますか」と具体的に聞いてみてください。

正社員登用の実績

「正社員登用制度あり」と書かれた求人は多いものの、制度があることと、実際に登用されていることは別です。聞いておきたいのは、直近1〜2年で何人が登用されたか、勤続年数や試験などの要件、登用後に給与や賞与がどう変わるかの3点。人数で答えが返ってくる会社は、制度を実際に動かしていると考えてよいでしょう。非正規から正社員を目指す進め方は、フリーターから正社員になるには?年齢別の進め方と企業が見ている点で整理しています。

資格取得の支援

工場には、労働安全衛生法第61条と同法施行令第20条により、技能講習の修了などの資格がないと就けない作業もあります。最大荷重1トン以上のフォークリフトの運転が代表的な例です。会社によっては、入社後の講習の費用を負担したり、資格手当をつけたりしています。「受講の費用は誰が負担しますか」「講習の時間は勤務として扱われますか」「資格手当はありますか」の3つを聞くと、入社後に学べる範囲が見えてくるでしょう。転職でどんな資格が評価されるかは、社会人におすすめの資格4つ|転職に有利かは求人で決まる、合格率と費用も比較が参考になります。

工場で働く前に確かめたい4つのこと。雇用形態と契約期間:期間の定めがあるなら、更新の基準と上限を確かめる。交替制の有無:就業時間の欄と、勤務の切り替え方を確かめる。正社員登用の実績:直近の登用人数と要件を聞く。資格取得の支援:講習の費用と時間の扱い、資格手当を聞く。
工場で働く前に確かめたい4つのこと。雇用形態と契約期間:期間の定めがあるなら、更新の基準と上限を確かめる。交替制の有無:就業時間の欄と、勤務の切り替え方を確かめる。正社員登用の実績:直近の登用人数と要件を聞く。資格取得の支援:講習の費用と時間の扱い、資格手当を聞く。

参考:e-Gov法令検索「労働基準法」
参考:e-Gov法令検索「労働基準法施行規則」
参考:e-Gov法令検索「労働契約法」
参考:e-Gov法令検索「労働安全衛生法」
参考:e-Gov法令検索「労働安全衛生法施行令」
参考:厚生労働省「2024年4月から労働条件明示のルールが変わります」

工場の仕事が合う人、合わない人

条件を確かめたら、最後は自分との相性です。同じ工場でも持ち場によって中身は変わりますが、一般に次のような違いが出やすいでしょう。

場面合いやすい人合いにくい人
仕事の進め方決まった手順を正確にくり返すことに集中できる毎日違うことをしていたい
働く時間帯交替制や早朝の勤務に生活を合わせられる夜に眠る生活を崩したくない
体の使い方立ち作業や体を動かすことが苦にならない長時間の立ち作業がつらい
人との関わり黙々と作業する時間が長くても平気人と話しながら仕事を進めたい
成長の実感不良を減らす、早く正確にするといった小さな改善に手応えを感じる目に見える大きな変化がほしい

合いにくい側に当てはまっても、それだけで工場をあきらめる必要はありません。日勤だけの工場、検査や設備の保全のように中身の違う持ち場もあります。立ち仕事の体の負担が気になる人は、立ち仕事がきついのはなぜ?|腰と足の負担、会社の決まりと座り仕事への移り方も読んでみてください。

単調に見える仕事でも、不良を減らす、段取りを早くするといった工夫の余地は残っています。私たちは、その小さな工夫に手応えを感じられるかどうかが、工場の仕事との相性を分けるところだと感じています。

働き始めてからの道|続けるなら、合わなかったら

工場で働き始めたあとの道筋も、入る前に軽く見通しておくと安心です。

続ける場合は、持ち場を広げて班や専門の仕事を任されていく形が中心になります。資格取得の支援がある会社を選んでおくと、技能検定などに挑戦しやすく、この道に乗りやすくなるでしょう。段階ごとの仕事の変わり方と役職別の賃金、技能検定の受け方は、製造業でキャリアアップするには?現場からの道筋と役職別の賃金、技能検定で詳しく整理しています。

働いてみて合わないと感じたら、つらさの原因が夜勤なのか、体の負担なのか、単調さや人間関係なのかを分けて考えると、打てる手が見えてきます。異動の相談のしかたや、工場の経験が活きる転職先は工場を辞めたいと感じたら|きつい理由と夜勤のルール、経験が活きる転職先で整理しました。

工場はやめとけに関するよくある質問

工場勤務は本当に給料が安いですか?

毎月の基本の給与は全体より低めですが、会社の規模と雇用形態で大きく変わります。 厚生労働省の令和7年賃金構造基本統計調査(10人以上の常用労働者を雇う民営事業所、一般労働者、男女計)では、生産工程従事者の所定内給与額は28万5,000円で、一般労働者全体の34万600円より5万5,600円低くなっていました。生産工程従事者の年収換算(編集部試算)は、1,000人以上の企業で579.4万円、10〜99人の企業で402.6万円です。求人を比べるときは、月給とあわせて前年の賞与の実績も確かめてください。

参考:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 結果の概況」
参考:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 (職種)第2表 職種(大分類)、性別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」(e-Stat)

工場の仕事は危なくないですか?

休業4日以上の死傷者の人数は製造業が業種別で最も多い一方、働いた時間あたりの頻度は全体より低くなっています。 令和7年の労働災害発生状況(確定値)では製造業の死傷者は26,371人でした。令和7年労働災害動向調査(事業所規模100人以上)の度数率は製造業1.33、調査産業計2.01です。ただし死傷者1人平均労働損失日数は製造業51.6日、調査産業計45.7日と、製造業のほうが長くなっていました。入社時の安全教育は、労働安全衛生法第59条で会社の義務とされています。

参考:厚生労働省「令和7年における労働災害発生状況(確定値)」
参考:厚生労働省「令和7年労働災害動向調査(事業所調査(事業所規模100人以上)及び総合工事業調査)の概況」
参考:e-Gov法令検索「労働安全衛生法」

期間工から正社員になれますか?

会社の正社員登用制度を使う道と、法律の無期転換のルールがありますが、無期転換は正社員になることとは別の仕組みです。 労働契約法第18条により、同じ会社との有期契約が通算5年を超えた人が、いま結んでいる契約の期間が満了するまでに申し込めば、満了日の翌日から期間の定めのない契約に切り替わります。ただし、給与などの労働条件は別の定めがなければそれまでと同じです。正社員を目指すなら、応募の段階で正社員登用の直近の人数と要件を聞いておきましょう。

参考:e-Gov法令検索「労働契約法」

夜勤のない工場で働くことはできますか?

日勤だけで回している工場や持ち場もあるので、求人票の就業時間の欄で確かめられます。 時間帯が複数書かれていたり「2交替」「3交替」とあったりすれば交替制の職場です。交替制で働かせる場合の勤務の切り替え方は、労働基準法施行規則第5条第1項第2号により、会社が示す労働条件に含まれます。面接では、夜勤の回数と日勤だけの持ち場があるかを具体的に聞いてみてください。

参考:e-Gov法令検索「労働基準法施行規則」

未経験でも工場で働けますか?

求人が仕事を探す人を上回る職種が多いものの、工程によって入りやすさは違います。 厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年9月分)」で、ハローワークの常用(パートタイムを含む)の有効求人倍率は、生産工程従事者1.65倍、職業計1.08倍でした。ただし機械組立従事者は0.97倍と、仕事を探す人の数を求人が下回っています。ハローワーク以外の求人は含まない、季節調整をしていない月の数字です。

参考:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年9月分)について」
参考:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年9月分)参考統計表」

まとめ

工場が「やめとけ」と言われる理由を公的データで確かめると、裏づけがあるのは主に給料の差でした。令和7年の統計では、生産工程従事者の所定内給与額は一般労働者全体より5万5,600円低く、同じ生産工程でも企業規模によって年収換算で約177万円の差があります。一方で、製造業の一般労働者の月の労働時間は産業計とほぼ同じで、有給休暇の取得日数は多く、働いた時間あたりの労災の頻度も調査産業計より低い水準でした。

工場の仕事の条件を分けているのは、工場かどうかより、会社の規模、雇われ方、交替制の有無です。入る前に、雇用形態と契約期間、交替制と勤務の切り替え方、正社員登用の実績、資格取得の支援の4つを、求人票と労働条件通知書、面接で確かめてください。

「工場」とひとくくりにされる仕事の中にも、条件のよい職場と合わない職場が混ざっています。私たちは、噂より一社ずつの条件を見て決めた人のほうが、働き始めてから納得しやすいと感じています。

いくつかの工場を比べたいときや、工場以外も含めて自分に合う仕事を知りたいときは、求人を持っている相手に聞いてみるのが早道です。

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編集者

小川 莉奈 - 熱狂ベンチャーナビ編集部

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看護師から一般企業へ就職。その後株式会社デジマケに入社。自身の転職経験を元に新卒~若手の転職者にわかりやすい情報をお届けします。

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西畑大樹 - 熱狂ベンチャーナビ運営責任者

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新卒で証券会社に入社。その後、不動産・マーケティング・SaaS企業と4社の経験を経て独立。
学生時代は無人島のインターンや創業2か月目の会社でインターン生として2年勤務。
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