シフト制がきつい3つの正体|休み・変更のルールと続ける工夫、移る判断

シフト制がきついと感じる正体は、たいてい「生活リズムが乱れる」「休みが周りと合わない」「急に予定が変わる」の3つです。どれが重いかで、職場に頼めることも、移るかどうかの判断も変わります。
実は、一度確定したシフトを変えることは労働条件の変更にあたり、厚生労働省は会社と働く人の合意のうえで行うよう求めています。
この記事では、つらさの正体と、シフトの決め方・休日・勤務間インターバルのルール、続ける工夫と移る判断を順に整理します。
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シフト制がきつい正体は「生活リズム」「休みが合わない」「急な変更」の3つ
「シフト制はきつい」と一言で片づけてしまう前に、何がきついのかを3つに分けてみてください。職場に頼んで変えられるものと、シフト制という働き方を離れないと解決しにくいものとでは、次に取る手が違うからです。
- 勤務の時間帯が日によって変わり、眠る時間と体のリズムがずれる
- 平日休みや不定休で、家族や友人と休みが合わない
- シフトが直前に決まる・変わることで、先の予定が立てられない
| つらさ | 起きやすい場面 | 手がかりになる決まり・資料 |
|---|---|---|
| 生活リズム | 遅番の翌日に早番、日勤と夜勤が週ごとに入れ替わる | 勤務間インターバル(労働時間等設定改善法)、健康づくりのための睡眠ガイド 2023 |
| 休みが合わない | 土日や祝日に出勤し、休みが平日にばらける | 休日の最低限(労働基準法第35条)、1か月単位の変形労働時間制 |
| 急な変更 | シフト表の公開が遅い、確定後に出勤や休みを動かされる | 厚生労働省「シフト制」の留意事項、労働契約法第8条 |
言葉の整理もしておきましょう。厚生労働省が令和4年に策定し、令和8年6月19日に改正した「いわゆる『シフト制』により就業する労働者の適切な雇用管理を行うための留意事項」は、契約の時点では勤務日や勤務時間を決めず、1週間や1か月ごとに作るシフト表で初めて具体的な勤務日と時間が決まる働き方を「シフト制」と呼んでいます。工場などで決まった勤務パターンを組み合わせる、いわゆる交替勤務は、この留意事項の対象には入りません。とはいえ、勤務の時間帯が日によって変わるつらさは、どちらの働き方にも共通しています。
生活リズム:時間帯が変わる勤務は、体内時計に負担がかかる
厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド 2023」は、始業と終業の時刻の組み合わせが固定されず、日ごとや一定期間ごとに変わる勤務を交替制勤務と呼び、体内時計の働きに逆らって生活せざるを得ないため体に負担がかかる働き方だと説明しています。同ガイドは、厚生労働省の労働者健康状況調査をもとに、日本の労働者のうち交替制勤務の人は10〜20%弱を占め、特に製造業で高いといわれていると紹介しています。
不眠や眠気、眠っても休んだ感じがしない「睡眠休養感」の低下のほか、仕事の効率の低下や、勤務中・通勤中の事故やけがとの関連も報告されているとのことです。遅番から早番への切り替えで寝つけない、休みの日も疲れが抜けないといった感覚は、気持ちの弱さではなく、働く時間帯の並びから来ている可能性があります。 接客の現場で深夜業務や交替制のある人が感じるストレスは、接客業のストレスは業種で中身が違うで取り上げています。
休みが合わない:法律が求める休日は週1日、曜日の決まりはない
休日について労働基準法第35条が求めているのは、毎週少なくとも1回、または4週間を通じて4日以上の休日です。土曜や日曜に休ませる決まりはありません。シフト制で休みが平日に固まるのは、法律から外れているからではなく、その会社が選んだ休み方だからです。
家族の予定、友人との約束、子どもの学校行事。周りの多くが土日に動いている人ほど、休みの曜日が合わないことのつらさは大きくなります。休みの日数が足りていても曜日が合わないのか、そもそも日数が少ないのかで、打つ手は変わってきます。
急な変更:国も、予定の変更と事前の通知を負担として見ている
シフト表の公開が月末ぎりぎり、確定したあとも「明日出られる?」と連絡が来る。こうした予定の読めなさは、体の負担として国の基準にも表れています。厚生労働省が令和3年に改めた脳・心臓疾患の労災認定基準は、業務の負荷を評価する要素として「不規則な勤務・交替制勤務・深夜勤務」を挙げ、その中に「月ごとに各日の始業時刻が設定される勤務」を含めています。評価の観点として挙がっているのは、予定された業務スケジュールの変更の頻度・程度・事前の通知状況や、変更の予測の度合などです。
これは労災にあたるかを判断するための物差しで、シフトの変更そのものを禁じたものではありません。それでも、いつ変わるか分からない予定は、国の基準でも、負荷を評価する要素に挙げられているのです。
参考:厚生労働省「いわゆる『シフト制』により就業する労働者の適切な雇用管理を行うための留意事項」
参考:厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド 2023」
参考:厚生労働省「脳・心臓疾患の労災認定基準の改正について」
参考:e-Gov法令検索「労働基準法」
シフトの決め方と変更のルール|厚生労働省の留意事項で確かめる
急な変更や、シフトの少なさ・多さに悩んでいるなら、まず国が示しているルールを知っておきましょう。厚生労働省の「シフト制」の留意事項は会社向けの文書ですが、働く側が自分の契約を見直すときの手がかりにもなります。押さえたいのは次の4点です。
- 契約のときに「シフトによる」とだけ書くのでは足りない
- シフトの作り方は、意見を聞く・通知の期限を決めるなどのルールを話し合っておくのが望ましい
- 確定したシフトの変更は、会社と働く人の合意のうえで行う
- シフトを減らされたときにも、休業手当や年次有給休暇、雇用保険の扱いがある
契約のときは、勤務時間と休日の「考え方」まで書面で受け取る
労働基準法は、会社が人を雇うときに、始業・終業の時刻や休日などを書面で示すよう定めています。留意事項は、シフト制でも労働条件通知書などに「単に『シフトによる』と記載するのでは足りず」、勤務日ごとの始業・終業時刻を書くか、原則の時刻を書いたうえで最初の期間のシフト表をあわせて渡すなどの対応が必要だとしています。
休日の曜日が決まっていない場合も、休日をどう決めるかの基本的な考え方を示さなければなりません。手元の労働条件通知書に「シフトによる」の一言しかないなら、勤務時間と休日の決め方を書面で確かめておく価値があります。 常時10人以上が働く会社では、就業規則にも基本となる始業・終業の時刻と休日を定めておく必要があり、「シフトによる」とだけ書いても作成義務を果たしたことにはならないとされています。
作り方のルール:意見を聞く、通知の期限を決める
留意事項は、シフト制であっても「使用者が一方的にシフトを決めることは望ましくなく」、会社と働く人で話し合ってシフトの決め方のルールを定めておくことが考えられるとしています。例として挙がっているのは次のような事項です。
- シフト表を作るときに、事前に働く人の意見を聞くこと
- 確定したシフト表を、いつまでに、どんな方法で知らせるか
- 一定の期間に働く可能性がある最大の日数・時間数・時間帯(例:毎週月・水・金曜日の中から勤務日を指定する)
- 目安となる勤務日数・時間数(例:1か月○日程度)
- 最低限働く日数(例:少なくとも毎週月曜日はシフトに入る)
「毎月◯日までに翌月分を公開」「最低でも月◯日は入る」といった取り決めがあるだけで、先の予定はかなり立てやすくなります。働き始めてからでも、店長や人事に相談するときの具体的な材料として使えるでしょう。
確定したシフトの変更は、双方の合意が前提
急な変更については、留意事項の中でも特に読者の判断に関わる部分です。
留意事項は、一度確定したシフトの勤務日や勤務時間を変えることは労働条件の変更にあたるとし、変更は会社と働く人の双方が合意したうえで行うよう求めています。 根拠として挙げているのは、労働者と使用者は合意によって労働条件を変更できるとする労働契約法第8条です。あわせて、シフトの期間が始まる前と始まった後のそれぞれについて、変更を申し出る期限や手続をあらかじめ決めておくことが考えられるとしています。
留意事項そのものは法律ではなく、国が会社に示した留意点です。それでも、確定後の変更に応じるかどうかを働く側が考えてよい、という考え方ははっきり書かれています。人手が足りないときに頼まれて引き受けるのは自由ですが、断ったことで不利に扱われる、毎回のように確定後に動かされるといった状態が続くなら、相談する理由になります。
シフトを減らされたとき:休業手当・有給休暇・雇用保険
シフトの少なさに悩む人もいます。留意事項は、会社の責任による事情で休ませた場合には、シフト制でも休業手当が必要だとしています。
労働基準法第26条は、使用者の責に帰すべき事由による休業の場合、休業期間中に平均賃金の100分の60以上の手当を支払うよう定めています。「使用者の責に帰すべき事由」は会社の故意や過失に限られず、経営や管理上の障害も含まれます。ただし、事業の外から起きた事故で、通常の経営者として最大の注意を尽くしても避けられないような不可抗力の場合はあたりません。
年次有給休暇も、シフト制だからといって付与しないことは認められません。所定の勤務日数を決めていない場合でも、雇い入れから6か月間の勤務日数の実績を2倍した日数などをもとに付与日数を計算できる、と留意事項は示しています。会社の都合で一方的に所定の勤務日数を増やしたり減らしたりすることも、認められないとされています。
辞めることを考える場合にも、知っておきたい扱いがあります。具体的な勤務日数が労働条件として示されていたのにシフトを減らされた場合や、契約の更新時にシフトを減らした条件を示されて更新を希望せずに離職した場合は、雇用保険で「特定理由離職者」または「特定受給資格者」と認められ、給付制限を受けないほか、基本手当の給付日数が手厚くなる場合があります。加入期間が短いなど、通常の離職と給付日数が変わらないこともあるので、詳しくはハローワークで確かめてください。


参考:厚生労働省「いわゆる『シフト制』により就業する労働者の適切な雇用管理を行うための留意事項」
参考:e-Gov法令検索「労働基準法」
参考:e-Gov法令検索「労働契約法」
休日と労働時間の決まり|週1日・4週4日と1か月単位の変形労働時間制
シフト制の休み方や勤務時間が法律の範囲に入っているかは、休日と労働時間の2つの決まりで確かめられます。
- 休日の最低限は、毎週1回か、4週間を通じて4日以上
- 4週4日の形をとるなら、4週間の数え始めの日を就業規則などで決めておく
- 1か月単位の変形労働時間制では、1か月以内の期間を平均して週40時間に収めれば、日や週によって8時間・40時間を超えて組める
- 医療・福祉や宿泊・飲食、小売では、この制度で働く人の割合が高い
休日は週1日か4週4日。4週4日なら数え始めの日を決めておく
労働基準法第35条の休日は、毎週1回が原則で、4週間を通じて4日以上の休日を与える場合はこの限りではありません。留意事項は、4週4日の形にする場合は4週間の起算日を就業規則などで明らかにしておく必要があると、労働基準法施行規則第12条の2第2項を挙げて説明しています。起算日が決まっていないと、どの4週間で4日休めているのかを確かめようがありません。 休みが少ないと感じたら、自分の職場の起算日と、直近4週間の休日の数を数えてみてください。
法律の最低限と、会社が決めている年間の休日の数は別の話です。年間休日の平均や、求人票の「完全週休2日制」と「週休2日制」の違いは、年間休日120日は多い?で整理しています。夜勤が入るシフトなら、深夜の割増賃金や健康診断の決まりを工場を辞めたいと感じたら|きつい理由と夜勤のルールで確かめられます。
1か月単位の変形労働時間制は、シフトを先に決めるのが前提
シフト制の職場でよく使われるのが、1か月単位の変形労働時間制です。条文はこう定めています。
「前条第一項の労働時間」は週40時間、「同条第二項の労働時間」は1日8時間のことです。労使協定か就業規則などで定めれば、1か月以内の期間を平均して週40時間に収まる範囲で、8時間を超える日や40時間を超える週をつくれる、という意味になります。ポイントは「特定された週」「特定された日」という言葉です。長く働く日や週は、あらかじめ特定しておかなければなりません。
留意事項も、シフト制で働く人に変形労働時間制を当てはめる場合は、適用する期間の勤務日と各日の勤務時間を、制度を入れるときか一定の期日までに具体的に定めたうえでシフト表を作る必要があるとしています。月ごとにシフトを作るなら、就業規則には勤務時間のパターンとその組み合わせの考え方、シフト表の作り方と知らせ方などを定めておかなければなりません。1日10時間のシフトがある職場なら、就業規則に変形労働時間制の定めがあるか、シフト表がいつ示されているかを確かめてみてください。
1か月単位の変形労働時間制で働く人は、医療・福祉で半数を超える
厚生労働省「令和7年就労条件総合調査」(常用労働者30人以上の民営企業、令和7年1月1日現在)によると、1か月単位の変形労働時間制がある企業は26.4%でした(変形労働時間制の種類は複数回答)。働く人の側から見ると、この制度の適用を受ける労働者は全体の23.5%です。
産業別の統計表で同じ割合を見ると、医療,福祉が53.8%、宿泊業,飲食サービス業が46.6%、小売業が45.8%、生活関連サービス業,娯楽業が33.7%、運輸業,郵便業が28.1%と、全体を大きく上回る産業が並びます。反対に、製造業は9.0%、金融業,保険業は4.8%、情報通信業は2.7%でした。病院や介護施設、飲食店、小売店のように、毎日の営業時間を交代で埋める産業で、この制度で働く人の割合が高く出ています。


なお、小売業は卸売業,小売業の内訳で、卸売業と合わせた区分では29.2%です。また、この制度の適用を受けていることと、シフト制で働いていることは同じではありません。勤務日や時間がはじめから決まった勤務カレンダーで働く人も含まれるため、シフト制で働く人の多い産業を知るための目安として見てください。
参考:e-Gov法令検索「労働基準法」
参考:厚生労働省「いわゆる『シフト制』により就業する労働者の適切な雇用管理を行うための留意事項」
参考:厚生労働省「令和7年就労条件総合調査の概況」
参考:厚生労働省「令和7年就労条件総合調査 第11表 企業規模・産業、変形労働時間制の適用の有無、変形労働時間制の種類別適用労働者割合」(e-Stat)
遅番の翌日に早番|勤務間インターバルは会社の努力義務
夜遅くまで働いた翌朝に早番が入る。シフト制の生活リズムのつらさは、この並びで特に強く出ます。終業から次の始業までの休息の時間を「勤務間インターバル」と呼び、法律と国の基準は次のように扱っています。
- 終業から始業までの時間の確保は、事業主の努力義務
- 労災認定では、おおむね11時間未満の勤務間インターバルを評価の目安にしている
- 制度を導入している企業は6.9%にとどまる
法律は「努めなければならない」。義務ではなく努力義務
勤務間インターバルの根拠は、労働時間等の設定の改善に関する特別措置法です。
「健康及び福祉を確保するために必要な終業から始業までの時間の設定」が、勤務間インターバルにあたります。文末は「講ずるように努めなければならない」で、会社に課されているのは努力義務です。 何時間空けなければ違法、という線は法律にはありません。遅番の翌日に早番が入るシフトが組まれても、それだけで法律違反にはならないのです。
国の基準では「おおむね11時間」が目安になっている
法律に時間の線はなくても、国の基準には目安があります。脳・心臓疾患の労災認定基準は、長い期間にわたる過重な業務を判断するときに、睡眠時間を確保する観点から、勤務間インターバルがおおむね11時間未満の勤務の有無、時間数、頻度、連続性などを検討するとしています。
厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド 2023」も、日本の労働者を対象とした調査で、インターバルが12時間未満の人は睡眠休養感の欠如や疲労感の増加、ストレスをより感じていると報告されていることを紹介しています。たとえば22時に終わった翌日に7時から働くなら、間は9時間。通勤や食事、入浴の時間を引くと、眠れる時間はさらに短くなります。11時間はあくまで労災認定の評価の目安ですが、自分のシフトの並びを見直す物差しには使えます。
制度を入れている企業は6.9%、知らなかった企業も15.7%
厚生労働省「令和7年就労条件総合調査」(常用労働者30人以上の民営企業、令和7年1月1日現在)によると、勤務間インターバル制度を導入している企業は6.9%で、令和6年調査の5.7%から増えました。導入を予定または検討している企業は13.8%、導入予定はなく検討もしていない企業が78.7%です。ここでいう制度は、終業から始業までの時間数を具体的に決めているものに限られます。
検討もしていない企業にその理由を聞くと(複数回答)、「超過勤務の機会が少なく、当該制度を導入する必要性を感じないため」が57.3%で最も多く、「当該制度を知らなかったため」と答えた企業は、全企業に対する割合で15.7%でした。


制度がない職場で働いているなら、自分で守る工夫と、並びの組み方の相談が現実的な手になります。「遅番の翌日は早番を入れない」「遅番の翌日は休みか遅番にする」といった希望は、次に紹介するシフト希望の出し方でそのまま使えるはずです。
参考:e-Gov法令検索「労働時間等の設定の改善に関する特別措置法」
参考:厚生労働省「脳・心臓疾患の労災認定基準の改正について」
参考:厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド 2023」
参考:厚生労働省「令和7年就労条件総合調査の概況」
シフト制を続けるための工夫|眠り方・希望の出し方・記録
ルールを確かめたうえで続けるなら、働く側から動けることもあります。
- 勤務の並びに合わせて、眠り方と光の浴び方を工夫する
- シフト希望は「理由」と「型」をセットで出す
- 勤務の実績と変更の経緯を記録しておく
- 職場で動かないときは、社外の窓口に相談する
眠り方と光の浴び方を、勤務の並びに合わせる
「健康づくりのための睡眠ガイド 2023」は、交替制勤務の人が良い睡眠を保つための工夫として、勤務と勤務の間の十分な休息、夜勤中の仮眠、眠気に対するカフェインの摂取、強い照明を避けることを挙げています。夜勤中の仮眠については、0〜4時に始める20〜50分の仮眠で眠気や疲労が改善したという報告がある一方、60分と長めにした研究では、かえって仕事の効率が下がったと紹介されています。
夜勤が週に1〜2回程度なら、夜勤明けも日勤の日と同じように朝から午前中に日光を浴び、夕方以降にふだんより少し長めに眠って、翌朝は日勤の日と同じ時刻に起きる方法もあるとのこと。ただし夜勤がもっと多い勤務では、この方法だと睡眠不足が深刻になりかねないとも注意しています。工夫を続けても不眠や業務中の眠気が続き、生活に支障が出ているなら、医療機関の受診をすすめています。
シフト希望は「理由」と「型」をセットで出す
希望休を出しても通らない、という悩みはよく聞きます。通りやすくするコツは、単発の日付ではなく、続けて守ってほしい「型」として伝えることです。
| つらさ | 出したい希望の例 | 添えたい理由 |
|---|---|---|
| 生活リズム | 遅番の翌日は早番を入れない | 終業から始業まで11時間を切る日が続き、眠れる時間が足りない |
| 休みが合わない | 月に1回は土日のどちらかを休みにする | 家族の予定に合わせられる日が月に一度もない |
| 急な変更 | 翌月分を前月の◯日までに公開してほしい | 通院や学校行事の予定を前もって入れたい |
留意事項にも、「少なくとも毎週月曜日はシフトに入る」のような最低限の取り決めや、確定したシフトを知らせる期限をあらかじめ決めておく例が載っていました。決まった型があると、シフトを作る側も組みやすくなります。
私たちも取材で店舗や施設を運営する経営者の話を聞くと、働く人の事情を早めに知っておきたいという声を耳にすることが多く、黙って我慢するより先に伝えたほうがよい場面は少なくないと感じます。
勤務の実績と変更の経緯を、手元に残す
相談の材料になるのは、確定したときのシフト表、実際に働いた時刻、確定後に変更を頼まれた日とその連絡の手段の3つです。シフト表は公開されるたびに画面を保存しておくと、あとから差し替えの前後を比べられます。変更の依頼はメッセージで受けたならそのまま残し、口頭なら日時と相手をその日のうちに書き留めてください。「先月は確定後の変更が5回あった」と回数で言えるようになれば、店長との話も外の窓口での相談も進めやすくなります。
職場で動かないときは、総合労働相談コーナーへ
店長や人事に相談しても変わらない、シフトを大きく減らされたのに休業手当の説明がない、といったときは、総合労働相談コーナーに持ち込めます。厚生労働省の案内では、設置場所は各都道府県労働局や全国の労働基準監督署内などの378か所。予約はいらず、費用もかからず、専門の相談員が面談または電話で対応しています。留意事項そのものも、シフトを一方的に減らされた・増やされたといったトラブルの相談先として、まずこの窓口に相談するよう案内しています。
眠れない日が続き、休みの日も疲れが抜けないところまで来ているなら、工夫より先に休むことを考えてください。休み方と相談先は仕事を辞めたいほど疲れたらにまとめています。
参考:厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド 2023」
参考:厚生労働省「いわゆる『シフト制』により就業する労働者の適切な雇用管理を行うための留意事項」
参考:厚生労働省「総合労働相談コーナーのご案内」
土日休み・固定時間の仕事に移るかの判断
工夫や相談を試しても負担が軽くならないなら、働き方そのものを変えることも選択肢に入ってきます。判断の分かれ目は、つらさの原因が「いまの職場の組み方」にあるのか、「シフト制という働き方」にあるのかです。
- 公開の遅さ、確定後の変更、遅番から早番への並びなど、組み方が原因なら、職場や会社を変えずに改善する余地がある
- 土日に休みたい、毎日同じ時間に寝起きしたいという理由なら、シフト制のままでは解決しにくい
- 移るときは、求人票の「シフト制」「週休2日制」の中身まで確かめる
| つらさの原因 | 続ける余地があるケース | 移る判断に傾くケース |
|---|---|---|
| 生活リズム | 並びの希望が通れば眠れる | 日勤と夜勤の入れ替わりそのものが体に合わない |
| 休みが合わない | 月に数回の土日休みで足りる | 家族の事情で毎週土日に休む必要がある |
| 急な変更 | 公開日や変更の手続を決めれば落ち着く | 相談しても確定後の変更が続く |
組み方が原因なら、同じ業界の別の会社に移るだけで変わることもあります。シフトの公開日、確定後の変更の扱い、遅番の翌日の組み方を面接で聞けば、会社ごとの違いは見えてきます。
働き方そのものを変えるなら、土日休みで勤務時間が固定の仕事が候補です。マイナビやリクナビなどの求人サイトや転職エージェントで条件を絞るときは、「完全週休2日制(土日祝)」のように曜日まで書かれているかを見てください。「週休2日制」とだけある求人は、毎週2日休めるとは限りません。飲食の現場から離れることを考えている人は、飲食店を辞めたいと感じたらも判断の材料になるはずです。 コンビニやスーパーで深夜やワンオペに入っている人は、コンビニ・スーパーを辞めたいと感じたときの理由の確かめ方と辞め方もあわせて読んでみてください。
正直なところ、シフト制のつらさは周りから「慣れの問題」と片づけられやすいものだと、編集部は感じています。けれど、平日に休める、通勤ラッシュを避けられるといった良さを手放してでも土日に休みたいなら、それは十分な理由です。採用する側の経営者が、働く人の休み方や勤務の組み方をどう考えているかは、経営者インタビューで本人の言葉として読めます。
シフト制がきついときによくある質問
確定したシフトの変更を頼まれたら、断ってもいいですか?
厚生労働省「いわゆる『シフト制』により就業する労働者の適切な雇用管理を行うための留意事項」(令和8年6月19日改正)は、一度確定したシフトの勤務日や勤務時間を変えることは労働条件の変更にあたるとし、会社と働く人の双方が合意したうえで行うよう求めています。 根拠は、合意による労働条件の変更を定めた労働契約法第8条です。留意事項は国が会社に示した文書で、法律そのものではありませんが、確定後の変更に応じるかを働く側が判断してよいことは読み取れます。変更の期限や手続を職場で決めておくよう相談するのも一つの手です。
参考:厚生労働省「いわゆる『シフト制』により就業する労働者の適切な雇用管理を行うための留意事項」
シフトを急に減らされたら、お金はもらえますか?
会社の責任による事情で休ませた場合、シフト制でも労働基準法第26条にもとづき平均賃金の100分の60以上の休業手当が必要だと、厚生労働省の「シフト制」の留意事項は説明しています。 経営や管理上の都合も会社の責任に含まれますが、事業の外から起きた避けられない事故などの不可抗力は除かれる点に注意してください。具体的な勤務日数が示されていたのにシフトを減らされて離職した場合は、雇用保険で特定理由離職者などと認められ、給付が手厚くなる場合もあります。
参考:厚生労働省「いわゆる『シフト制』により就業する労働者の適切な雇用管理を行うための留意事項」
シフト制の休みは、法律では何日あればいいのですか?
労働基準法第35条が求めているのは、毎週少なくとも1回、または4週間を通じて4日以上の休日です。 4週4日の形をとる場合は、4週間の数え始めの日を就業規則などで決めておく必要があります。これは最低限の線で、会社ごとの年間休日はもっと多いのが一般的です。厚生労働省「令和7年就労条件総合調査」(常用労働者30人以上の民営企業)では、2024年の年間休日総数は1企業平均112.4日でした。
参考:e-Gov法令検索「労働基準法」
参考:厚生労働省「令和7年就労条件総合調査の概況」
遅番の翌日に早番が入るのは、違法ではないのですか?
それだけで違法とは言えません。 終業から次の始業までの時間(勤務間インターバル)の確保は、労働時間等の設定の改善に関する特別措置法第2条第1項で事業主の努力義務とされており、何時間空けるかの法律上の線はありません。ただし、脳・心臓疾患の労災認定基準は、おおむね11時間未満の勤務間インターバルの有無や頻度、連続性を負荷の評価に使っています。令和7年就労条件総合調査(常用労働者30人以上の民営企業)で勤務間インターバル制度を導入している企業は6.9%でした。
参考:e-Gov法令検索「労働時間等の設定の改善に関する特別措置法」
参考:厚生労働省「脳・心臓疾患の労災認定基準の改正について」
参考:厚生労働省「令和7年就労条件総合調査の概況」
シフト制でも年次有給休暇は取れますか?
取れます。 シフト制で働く人も、雇い入れから6か月続けて勤め、全労働日の8割以上出勤すれば、労働基準法第39条にもとづく年次有給休暇を与えなければならない、というのが厚生労働省の「シフト制」の留意事項(令和8年6月19日改正)の説明です。所定の勤務日数を決めていないことを理由に付与しないことは認められず、その場合は雇い入れから6か月間の勤務日数の実績を2倍した日数などで付与日数を計算する方法が示されています。取る時季は、原則として働く人が請求した時季です。
参考:厚生労働省「いわゆる『シフト制』により就業する労働者の適切な雇用管理を行うための留意事項」
まとめ
シフト制がきついと感じる正体は、生活リズムの乱れ、休みが周りと合わないこと、急な予定の変更の3つに分けられます。厚生労働省の「シフト制」の留意事項は、契約時に「シフトによる」とだけ書くのでは足りないこと、確定したシフトの変更は会社と働く人の合意のうえで行うことを示しています。休日の最低限は週1日か4週4日で、1か月単位の変形労働時間制ではシフトを先に決めておくのが前提です。令和7年就労条件総合調査では、この制度の適用を受ける人は医療,福祉で53.8%にのぼります。
遅番の翌日に早番が入る並びは、勤務間インターバルの問題です。法律上は努力義務にとどまり、制度を導入している企業は6.9%ですが、労災認定ではおおむね11時間未満が目安にされています。眠り方の工夫、型で出すシフト希望、記録と相談先を使い、それでも原因が働き方そのものにあるなら、土日休み・固定時間の仕事に移る判断は十分に筋が通っています。
参考:厚生労働省「いわゆる『シフト制』により就業する労働者の適切な雇用管理を行うための留意事項」
参考:厚生労働省「令和7年就労条件総合調査の概況」
参考:厚生労働省「令和7年就労条件総合調査 第11表 企業規模・産業、変形労働時間制の適用の有無、変形労働時間制の種類別適用労働者割合」(e-Stat)
参考:厚生労働省「脳・心臓疾患の労災認定基準の改正について」
私たち編集部は、シフト制のつらさを我慢の量で測るのではなく、まずルールの線がどこにあるかを知ってほしいと考えています。線を知ってから決めた続け方や移り方なら、あとで揺らぎにくいはずです。
土日休みや日勤固定の仕事にどんな選択肢があるのかを知っておくと、続けるか移るかを落ち着いて決められます。

