未経験の転職におすすめの職種7選|公的データで見る採用理由と向き不向き

未経験からの転職でおすすめの職種は、人気の高さより、その会社が未経験者を採る理由がはっきりしているかで選ぶと外しにくくなります。

意外なことに、若年層の中途採用では、職業経験を重視する事業所が4割を超えます。前職の職種が違っても、そこで身につけた進め方は職業経験に含まれるのです。

この記事では、7つの職種を採用理由の型ごとに並べ、向いている条件や入る前に確かめたい点、求人票で法律が定める記載の読み方まで整理します。

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目次

未経験の転職でおすすめの職種は「採用理由」で選ぶ

求人票の「未経験歓迎」という4文字は、すべて同じ意味ではありません。 会社によって、その言葉の裏にある事情がまるで違うからです。採用理由の型を分けると、入りやすさも入ってからの景色も変わって見えてきます。

  • 人手不足型:欠員が埋まらず、経験の有無を問う余裕がない
  • 育成前提型:自社の進め方に合わせて育てたいので、あえて経験者を採らない
  • 成果直結型:成果が数字で出るため、経験よりも意欲と行動量を見る
採用理由の型入りやすさ入ってから起きやすいこと
人手不足型高い教える人がいないまま現場に立たされる場合がある
育成前提型中程度研修中は給与が抑えられる。学習量が多い
成果直結型中程度早い段階から数字を持つ。評価の振れ幅が大きい

人手不足の広がりは、統計にも表れています。厚生労働省の労働経済動向調査では、令和8年5月1日現在の正社員等労働者過不足判断D.I.が調査産業計で+47ポイントの不足超過、パートタイム労働者で+27ポイントの不足超過でした。D.I.とは、「不足」と答えた事業所の割合から「過剰」と答えた事業所の割合を引いた値を指します。ただし、この調査が測っているのは事業所の過不足感であって、未経験者にどれだけ門戸が開いているかではありません。人手不足感の高い分野と未経験者を広く採る分野は、重なることはあっても同じではないのです。実際に未経験可かどうかは、応募先の求人票で1件ずつ確かめてください。人が足りない状態と、育てる仕組みがある状態が別物であることも、あわせて頭に置いておきましょう。

一方で、正社員に限れば求人は余っていません。 厚生労働省の一般職業紹介状況によると、令和8年3月の有効求人倍率は季節調整値で1.18倍、新規求人倍率は2.15倍でしたが、正社員有効求人倍率は0.99倍。令和7年度平均の有効求人倍率は1.20倍で、前年度の1.25倍を0.05ポイント下回りました。いずれも公共職業安定所の取扱分です。「求人はたくさんある」と「正社員の椅子が空いている」は、分けて受け取っておきましょう。

なお、非正規から正社員を目指すルートも実在します。厚生労働省の令和5年若年者雇用実態調査では、正社員以外の労働者を正社員へ転換させる制度が「ある」と答えた事業所は59.9%でした。ただし制度の有無は産業によって差があるため、応募先の求人票と就業規則で個別に確かめてください。

参考:厚生労働省「労働経済動向調査(令和8(2026)年5月)の概況」
参考:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年3月分及び令和7年度分)」
参考:厚生労働省「令和5年若年者雇用実態調査の概況」

未経験からの転職におすすめの職種7選

7つの職種を、採用理由の型ごとに並べます。正直なところ、経営者への取材を重ねていると「未経験で入った人が一番伸びた」という話は職種を問わず出てくるもので、決め手は職種そのものより、その会社がどんな理由でその人を採ったのかにあると感じます。

  • 人手不足型:介護・福祉、施工管理、ドライバー・運輸、製造・生産
  • 育成前提型:ITエンジニア、事務・バックオフィス
  • 成果直結型:営業
職種採用理由の型向いている条件入る前に確かめること
営業成果直結型数字で評価されて納得できる初年度の目標設定と評価の期間
介護・福祉人手不足型資格取得を働きながら進められる夜勤の頻度と資格支援制度の中身
施工管理人手不足型段取りを組むのが苦にならない担当現場の範囲と移動時間の扱い
ドライバー・運輸人手不足型一人で進める時間が長くても平気必要な免許と取得費用の負担
ITエンジニア育成前提型業務時間外にも学習を続けられる研修後に用意される仕事の中身
製造・生産人手不足型決まった手順を正確に繰り返せる交替制の有無と配属される工程
事務・バックオフィス育成前提型数字や文書を正確に扱える募集人数と雇用区分

営業|前職の職種を問われにくい

営業は、一般に未経験からの転職で枠が広い職種とされます。 成果が売上や契約件数で表れるため、見られるのは「これまでの職種」より「どう動ける人か」。接客や販売の経験は、そのまま対人スキルの説明材料になります。

向かないのは、成果が出るまでの時間差に耐えにくい場合。契約サイクルが長い商材では、半年ほど数字が動かないこともあります。面接で「初年度の目標はどう設定されますか」と聞き、猶予の長さを確かめておきましょう。 業界ごとの実態は不動産営業の仕事内容の解説のような職種紹介で具体的に掴めます。

介護・福祉|無資格から始めて働きながら資格を取れる

人手不足感の強い医療・福祉分野に属し、無資格・未経験からでも入り口が開いています。介護職員初任者研修などの資格を働きながら取る人も、一般に少なくありません。

ただし訪問系と入所系では一日の流れがまるで違うため、求人票の施設形態は必ず読んでください。資格取得の支援制度がある場合は、費用の負担割合と、退職時の返還条件までセットで確認しておくと安心です。

施工管理|段取りの仕事で、資格が経験を後押しする

現場で職人や資材の動きを組み立てる仕事です。建設業は人手不足感が高い分野として労働経済動向調査で名指しされています。目安として、図面を読む技術は入社後に学ぶ前提の募集が中心で、まずは段取りと連絡調整から任される形が一般的です。

確かめたいのは担当する現場の範囲です。現場が広域にまたがると移動時間が長くなり、直行直帰の扱い次第で実質の拘束時間が変わります。「担当現場は何件で、移動時間は労働時間に含まれますか」という質問は、入社前にしておく価値があります。

ドライバー・運輸|必要な免許と費用の扱いを先に確認する

運輸業・郵便業も人手不足感が高いとされる分野です。宅配・ルート配送・長距離など働き方の幅が広く、一人で作業する時間が長いため、対人のやり取りが少ない環境を求める人には合いやすい仕事といえます。

押さえたいのは免許です。求人票の業務内容に、いま持っている免許で対応できるのか。取得が必要な場合、費用を誰が負担し、いつまでに取ればよいのか。この2点の確認が、入社後の食い違いを防ぎます。

ITエンジニア|研修の中身が会社ごとに大きく違う

育成前提型の代表格で、一般に未経験者向けの研修制度を用意する会社が目立つ職種です。研修後に実際の案件が用意されているのか、待機期間が続くのかで、最初の1年の伸び方が変わります。

求人の量は、単月の数字だけで判断しないほうがいいでしょう。厚生労働省の一般職業紹介状況(令和8年5月分)では、新規求人が前年同月を下回った産業として卸売業・小売業16.8%減、宿泊業・飲食サービス業14.4%減、建設業10.3%減などが並びました。産業別の新規求人は月ごとの振れが大きく、公共職業安定所の取扱分に限った数値でもあるため、1か月分で業界の先行きは判断できません。「IT業界はどこも人手不足だから未経験でも入れる」という前提も、複数月の推移を見てから受け取るほうが安全です。

製造・生産|決まった手順を正確に繰り返せる人に向く

工程が標準化されている現場が多く、未経験者を短期間で戦力にする手順が整っている会社もあります。産業別の新規求人は月によって増減が入れ替わるため、募集が一時的なものか継続しているものかは、同じ会社の求人を数か月分たどって確かめてください。

見ておきたいのは交替制の有無と、配属される工程です。同じ工場勤務でも、組立・検査・保全では身につくものが違います。求人票に工程名まで書かれている会社は、採用後の配置を具体的に考えていると読めます。

事務・バックオフィス|間口は広いが、競争は激しい

未経験からの希望者が集まりやすい職種だと、一般に言われます。職種ごとの実際の需給は、職業安定業務統計の職業別有効求人倍率(事務的職業)で確かめられます。いずれにしても未経験可の事務職の正社員求人は枠が限られる前提で考えておくほうが、進め方を組み立てやすくなるでしょう。

そのぶん、入り口を複線で考える価値があります。紹介予定派遣、無期雇用派遣、正社員登用制度のある契約社員採用など、経験を積んでから正社員に移るルートも実在します。求人票の雇用区分と、転換制度の有無は必ず読み合わせてください。

参考:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年5月分)」

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「入りやすい職種」と「続けやすい職種」は同じではない

  • 入り口の広さと続けやすさは、別の指標で測る必要がある
  • 新規学卒者の産業別離職率は、その産業から人が離れる度合いの代理指標になる
  • 同じ産業でも、事業所の規模によって離職率は大きく開く

離職率が高い産業には、未経験からの募集が目につく分野も含まれています。 入り口の広さだけで選ぶと、この点を見落とします。

厚生労働省が公表した新規学卒就職者の離職状況によると、令和4年3月卒業者の就職後3年以内の離職率は、新規高卒者37.9%、新規大卒者33.8%でした。産業別に見ると、とりわけ高いのは次の分野です。

産業大卒3年以内離職率高卒3年以内離職率
宿泊業・飲食サービス業55.4%64.7%
生活関連サービス業・娯楽業54.7%61.5%
教育・学習支援業44.2%53.6%
医療・福祉40.8%49.2%
小売業40.4%48.3%

この数値は新規学卒就職者を対象に、雇用保険の被保険者記録から集計したものです。中途採用者や未経験転職者の離職率ではありません。それでも、その産業でどれくらいの人が3年を待たずに離れているかを示す代理の指標にはなります。事業所規模別では、大卒で従業員5人未満が57.5%、1,000人以上が27.0%と開きがありました。

宿泊業・飲食サービス業や小売業は、一般に未経験からの入り口が広いとされる分野です。 ただしこの表を見たうえで選ぶかどうかで、入社後の心構えが変わります。続けにくさは仕事の中身だけでなく、シフトの組み方や休みの取りにくさが積み重なった結果でもあるからです。面接では、月の休日数の決まり方と、直近1年の欠員補充の頻度を聞いておきましょう。

参考:厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況」

未経験を採る会社は、選考で何を見ているのか

  • 若年層の中途採用では、職業経験を重視する事業所の割合が新卒の3倍近い
  • 意欲やコミュニケーション能力は、新卒・中途を問わず上位に並ぶ
  • 準備の中心は「経験がない」ではなく「何を経験と呼ぶか」の定義し直し

「未経験だから、やる気を見られている」という説明はよく目にします。実際に採用する側は何を重視しているのか。厚生労働省の令和5年若年者雇用実態調査に、若年正社員(満15〜34歳)の採用選考をした事業所への調査結果があります。

選考で重視した点新規学卒者中途採用者(若年層)
職業意識・勤労意欲・チャレンジ精神79.3%72.7%
コミュニケーション能力74.8%66.9%
マナー・社会常識58.6%58.1%
業務に役立つ職業経験・訓練経験14.7%42.3%

※上の割合は、該当する若年正社員の採用選考をした事業所を100とした値です(複数回答)。若年労働者とは、令和5年10月1日時点で満15〜34歳の労働者を指します。

調査そのものは16大産業の常用労働者5人以上を雇用する事業所が対象で、事業所調査全体では17,355事業所のうち7,867事業所から有効回答があり、有効回答率は45.3%でした。

注目したいのは最下段の差です。 新規学卒者では14.7%しか見ていない「業務に役立つ職業経験・訓練経験」を、若年層の中途採用者に対しては42.3%の事業所が重視していました。この42.3%はあくまで満15〜34歳の若年正社員を中途採用した事業所の数値ですが、未経験での転職で何が問われるかを掴む手がかりにはなります。前職の職種が違っても、そこで身につけた進め方や数字の扱いは職業経験に含まれるのです。何を経験と呼ぶかを自分で定義し直す作業。それが選考の準備そのものになります。書き出し方に迷ったら、自己PRのエピソードの探し方の手順が使えます。

選考の先にある評価の考え方も、あわせて見ておきたいところです。メンタルヘルスラボ株式会社の代表取締役 古德氏は、自社の組織文化について問われ、入社後の評価をこう表現しています。

“
年齢や経歴、学生といった立場に関係なく、一人ひとりの実績と貢献を正当に評価する会社です。
メンタルヘルスラボ株式会社 代表取締役
古德 一暁
インタビューを読む

未経験からのキャリアチェンジを、自ら経験した経営者もいます。株式会社SILVER CORDの代表取締役社長 秋山領祐氏は、調理の道からデジタルマーケティングへ移った経緯を次のように振り返っています。

“
旅館のホームページを自分でつくっていた経験があったので、デジタルマーケティングの世界に飛び込むことを決意し、Webコンサルタントとして転身しました。
株式会社SILVER CORD 代表取締役社長
秋山 領祐
インタビューを読む

まったくの白紙から移ったわけではなく、家業の旅館のホームページづくりで触れていたものが接続点になっています。この構造は職種を問わず起こるのです。未経験と呼ばれる転職の多くは、実際には「まだ言語化していない経験」を持ったままの移動です。

育成する側の事情も、会社によって違います。freeks株式会社の代表取締役 篠竹将太朗氏は、未経験採用の現場をこう説明しています。

“
SESで未経験を採用している会社の中でも、3ヶ月の研修をやって4ヶ月目からエンジニアとして仕事を用意できる会社はそれほど多くありません。
freeks株式会社 代表取締役
篠竹 将太朗
インタビューを読む

研修の長さそのものではなく、修了後に仕事が用意されているかどうかが分かれ目だという指摘です。求人票の「研修充実」という言葉を、この基準で読み直してみてください。

参考:厚生労働省「令和5年若年者雇用実態調査の概況」

「未経験歓迎」の求人票は法定の記載で見分けられる

求人票の良し悪しは、印象ではなく記載の有無で判断できます。法律で書かせている項目が抜けている求人は、その時点でルールを守れていない求人です。

  • 2024年4月から、業務・就業場所の変更の範囲と更新上限の明示が義務づけられた
  • 固定残業代を採る場合は、内訳と超過分の取り扱いまで書く必要がある
  • 求人情報に虚偽や誤解を生じさせる表示をすることは禁じられている

2024年4月に追加された3つの明示事項

令和6年4月1日施行の改正職業安定法施行規則により、労働者の募集や求人の申込みの際に明示すべき事項として、従事すべき業務の変更の範囲、就業場所の変更の範囲、有期労働契約を更新する場合の基準の3項目が追加されました。3つ目には、通算契約期間または更新回数の上限が含まれます。

令和6年4月1日から募集時に明示すべき事項に追加された3項目。従事すべき業務の変更の範囲、就業場所の変更の範囲、有期労働契約を更新する場合の基準(通算契約期間または更新回数の上限を含む)。
令和6年4月1日から募集時に明示すべき事項に追加された3項目。従事すべき業務の変更の範囲、就業場所の変更の範囲、有期労働契約を更新する場合の基準(通算契約期間または更新回数の上限を含む)。

最低限明示すべき労働条件には、業務内容・契約期間・契約の更新・更新上限・試用期間・就業場所・就業時間・休憩時間・休日・時間外労働・賃金・加入保険・受動喫煙防止措置・募集者の氏名または名称が並びます。求人広告のスペースの都合でやむを得ず一部を後から示す場合でも、原則として面接など求職者と最初に接触する時点までに、すべての労働条件を明示する必要があります。

固定残業代を採用する場合は、基本給の額、固定残業代に関する労働時間数と金額等の計算方法、その時間を超える分に割増賃金を追加で支払う旨を書くことが求められます。総額と「固定残業代を含む」だけが書かれ、内訳の分からない求人は、この記載を満たしていません。基本給がいくらで、固定残業代が何時間分のいくらにあたり、超えた分をどう支払うのか。この3点が分けて書かれているかを確かめてください。

固定残業代を採用する場合に求人票に書く3点。基本給の額、固定残業代に関する労働時間数と金額等の計算方法、その時間を超える分に割増賃金を追加で支払う旨。
固定残業代を採用する場合に求人票に書く3点。基本給の額、固定残業代に関する労働時間数と金額等の計算方法、その時間を超える分に割増賃金を追加で支払う旨。

虚偽・誤解を生じさせる表示は禁止されている

令和4年の職業安定法改正では、求人等に関する情報の的確な表示が義務化されました。あわせて個人情報の取扱いに関するルールの整備と、求人メディア等に関する届出制の創設も行われ、令和4年10月1日に施行されています。求人情報について虚偽の表示や誤解を生じさせる表示をしてはならず、募集広告は掲載時点を明示するなどして正確かつ最新の内容に保つ義務があります。

マイナビ転職やリクナビNEXTのような求人サイトで気になる求人を見つけたら、掲載日と更新日を確かめてください。募集職種も募集人数も変わらないまま通年で掲載され続けているなら、増員のための募集なのか欠員の補充なのかを、面接で直接聞いてみる価値があります。

参考:厚生労働省「令和6年4月より、募集時等に明示すべき事項が追加されます」
参考:厚生労働省「令和4年職業安定法の改正について」

未経験の職種に移ると年収は下がるのか

  • 転職入職者の賃金は「増加」した人の割合が「減少」した人の割合を上回る
  • ただし約3割は減っており、職種を変えた人だけを取り出した数値ではない
  • 2年目以降の昇給ルールは、入社を決める前に確認しておく

「未経験だと給料が下がる」という前提で転職を諦める人がいます。全体の傾向としては、この前提は正確ではありません。

厚生労働省の令和6年雇用動向調査によると、転職入職者の賃金は前職と比べて「増加」した割合が40.5%、「減少」が29.4%、「変わらない」が28.4%でした。「増加」が「減少」を11.1ポイント上回っています。 内訳では「1割以上の増加」が29.4%、「1割以上の減少」が21.7%。雇用期間の定めのない一般労働者間の移動では16.3ポイント、パートタイム労働者間の移動では15.4ポイント、「増加」が「減少」を上回りました。対象は転職入職者のうち前職が雇用者で、調査時点に在籍していた人です。

令和6年の転職入職者の賃金。増加40.5%(うち1割以上の増加29.4%)、減少29.4%(うち1割以上の減少21.7%)、変わらない28.4%。
令和6年の転職入職者の賃金。増加40.5%(うち1割以上の増加29.4%)、減少29.4%(うち1割以上の減少21.7%)、変わらない28.4%。

ただし、これは職種を変えた人だけを取り出した数値ではありません。増えた人のほうが多くて、けれども3割の人は下がっています。 その両方が同時に事実なのです。未経験の職種に移る場合、最初の1年は前職より下がる前提で家計を組み、2年目以降の昇給ルールを面接で確認しておくのが現実的な備え方でしょう。

動く人と動かない人の差も見ておきます。総務省統計局の労働力調査によると、2025年平均の転職者数は330万人で前年比1万人の減少、4年ぶりの減少となりました。一方で転職等希望者数は1,023万人と23万人増え、2年ぶりに増加しています。転職等希望者とは、就業者のうち現在の仕事を辞めてほかの仕事に変わりたいと希望している人に加えて、いまの仕事のほかに別の仕事もしたいと希望している人を含む区分です。数え方も期間も違う2つの数字なので割り算はできませんが、希望を持つ人が1,000万人を超える一方、過去1年間に実際に移った人は330万人。希望と行動のあいだには大きな開きがあります。

参考:厚生労働省「令和6年雇用動向調査結果の概況」
参考:総務省統計局「労働力調査(詳細集計)2025年(令和7年)平均結果」

年代別に見た未経験転職の線引き

年代によって、採用側が見る場所は少しずつ移ります。制度上の線引きと、実務上の重心は分けて考えましょう。

年代別の未経験転職の線引き。20代は職業経験の薄さが前提で、学ぶ姿勢と行動で語る。30代は前職の進め方を新しい職種の言葉に翻訳する。40代以降は年齢にかかわりなく均等な機会が求められており、接続点を自分で示す。
年代別の未経験転職の線引き。20代は職業経験の薄さが前提で、学ぶ姿勢と行動で語る。30代は前職の進め方を新しい職種の言葉に翻訳する。40代以降は年齢にかかわりなく均等な機会が求められており、接続点を自分で示す。
  • 20代:職業経験の薄さは前提。学ぶ姿勢と行動で語る
  • 30代:前職の進め方を、新しい職種の言葉に翻訳する
  • 40代以降:制度は開いている。接続点を自分で示す

20代|職業経験の薄さは前提として扱われる

育成前提型の求人が最も選びやすい年代です。研修枠を用意している会社は、そもそも経験がないことを前提に採用枠を作っています。若年層の中途採用者の選考で最多だったのは「職業意識・勤労意欲・チャレンジ精神」の72.7%。なぜこの職種を選んだのか、そのために何を始めているのかを、具体的な行動で語れるかどうかが分かれ目になります。

30代|持ち込めるものを言語化する段階

先ほどの42.3%は満15〜34歳を対象とした調査値ですが、職業経験をどう説明するかという問いは、30代でいっそう重くなります。「未経験ですが頑張ります」ではなく、「前職で在庫と納期の管理をしていたので、施工管理の工程管理は近い作業だと考えています」といった翻訳ができるかどうか。進捗の管理、数字の読み方、顧客との折衝は職種をまたいで通用します。

40代以降|制度は開いている、接続点を示す

労働施策総合推進法第9条は、事業主に対し、労働者の募集および採用について年齢にかかわりなく均等な機会を与えることを求めています。平成19年の法改正により義務化されたもので、例外事由は厚生労働省令で限定的に定められています。制度の側は開いているので、あとは接続点の説明です。現場での安全管理、人の教育、関係先との調整といった要素は、人手不足型の職種で歓迎されやすい経験にあたります。年代を理由に選択肢を狭めるより、これまでの仕事を要素に分解して、どの職種と接続するかを探すほうが実りがあります。

参考:厚生労働省「募集・採用における年齢制限禁止について」

費用をかけずにスキルを足す2つの公的ルート

「未経験だから資格を取る」の前に、「未経験だから使える制度がある」を知っておくと選択肢が広がります。国が用意しているルートが2つあります。

制度内容費用の扱い
教育訓練給付金指定された講座を受講・修了した際に、受講費用の一部が支給される一般教育訓練は20%・上限10万円、特定一般教育訓練は40%・上限20万円、専門実践教育訓練は50%・年間上限40万円
ハロートレーニング公共職業訓練と求職者支援訓練の総称。座学と実技で職業スキルを身につける受講料は原則無料。テキスト代等は自己負担

専門実践教育訓練では、資格を取得し、かつ訓練修了後1年以内に雇用保険の被保険者として雇用された場合に、70%相当額・年間上限56万円との差額が追加支給されます。さらに訓練修了後の賃金が受講開始前と比べて5%以上上昇した場合には、80%相当額・年間上限64万円まで支給される仕組みです。特定一般教育訓練でも、資格を取得して訓練修了後1年以内に雇用された場合に、50%相当額・上限25万円との差額が追加されます。

教育訓練給付金の支給割合。一般教育訓練は20%。特定一般教育訓練は40%で、資格取得と就職の条件を満たすと50%。専門実践教育訓練は50%で、条件を満たすと70%、さらに賃金が5%以上上昇すると80%。
教育訓練給付金の支給割合。一般教育訓練は20%。特定一般教育訓練は40%で、資格取得と就職の条件を満たすと50%。専門実践教育訓練は50%で、条件を満たすと70%、さらに賃金が5%以上上昇すると80%。

ハロートレーニングのうち公共職業訓練(離職者訓練)は主に雇用保険を受給している求職者が対象で、訓練期間はおおむね3か月から2年です。求職者支援訓練は、雇用保険を受給できない求職者や受給が終わった人が主な対象になります。受給要件や対象講座は制度ごとに細かく分かれるため、自分が対象になるかどうかはハローワークの窓口で在職状況と雇用保険の加入期間を伝えて確認するのが確実です。

参考:厚生労働省「教育訓練給付金」
参考:厚生労働省「ハロートレーニング(離職者訓練・求職者支援訓練)」

未経験の採用を実際に行っている会社の話を読む

統計は分布を教えてくれますが、目の前の1社がどうかは教えてくれません。その会社が未経験者をどう扱うつもりなのかは、経営者の言葉から読み取れる部分があります。

熱狂ベンチャーナビでは、未経験者を採用して育てている会社の経営者にも話を聞いています。採ったあとに何を用意しているのか、それをどこまで言葉にできているかは、会社によってかなり違います。求人票の「未経験歓迎」という4文字だけでは見えない部分を、読み比べて確かめてみてください。

経営者インタビューを読む|熱狂ベンチャーナビ

職種の中身を知りたい場合は証券会社の仕事内容と年収の解説を、選考の準備を進めるならグループ面接でよく聞かれる質問と回答のコツもあわせてどうぞ。

未経験の転職とおすすめ職種に関するよくある質問

スキルも資格もありませんが、未経験の職種に転職できますか?

職業経験がまったくの白紙という人は、実際にはほとんどいません。 厚生労働省の令和5年若年者雇用実態調査では、若年層(満15〜34歳)の中途採用者の選考で「業務に役立つ職業経験・訓練経験」を重視する事業所は42.3%、最多だったのは「職業意識・勤労意欲・チャレンジ精神」の72.7%でした。まずは前職でやっていたことを工程や役割に分解し、応募先の仕事のどの部分と重なるかを探してください。資格が必要な職種でも、働きながら取得する前提の求人は珍しくありません。

未経験の職種に移ると、給料は必ず下がりますか?

必ず下がるとは言えません。 厚生労働省の令和6年雇用動向調査では、転職入職者の賃金が前職と比べて増えた人の割合が、減った人の割合を上回りました。ただし約3割は減っていますし、職種を変えた人だけを取り出した数値でもありません。最初の1年は下がる前提で資金計画を立てておくと、判断を誤りにくくなります。

資格を取ってから応募したほうがいいですか?

順番は職種によります。働きながら取る前提の資格もあれば、応募条件として明示されている資格もあるためです。まずは志望する職種の求人票を10件ほど読み、応募条件欄に資格名が書かれているかを確かめてください。書かれていない場合、資格の取得を待つより応募を進めたほうが早いこともあります。費用が気になるなら、教育訓練給付金やハロートレーニングを先に調べる手もあります。ハロートレーニングなら、テキスト代等の自己負担はあるものの、受講料そのものは原則かかりません。

30代・40代で未経験の職種に応募しても大丈夫ですか?

募集・採用における年齢制限は、原則として禁止されています。 労働施策総合推進法第9条は、事業主に対し募集および採用について年齢にかかわりなく均等な機会を与えることを求めており、平成19年の法改正で義務化されました。例外事由は厚生労働省令で限定的に定められています。ただし制度が開いていることと、選考を通ることは別の話。前職の経験を応募先の仕事に翻訳して説明する準備が要ります。なお本記事で紹介した選考重視項目の調査は満15〜34歳の若年正社員が対象で、40代を対象とした同種の公的調査は確認できていません。年代が上がるほど、翻訳の精度が結果を左右すると考えてください。

「未経験歓迎」と書かれた求人は、どこまで信じていいですか?

記載の中身で判断できます。2024年4月1日施行の改正職業安定法施行規則により、従事すべき業務の変更の範囲、就業場所の変更の範囲、有期労働契約を更新する場合の基準の明示が義務づけられました。固定残業代を採る場合は、基本給の額、固定残業代に関する労働時間数と金額等の計算方法、超過分に割増賃金を追加で支払う旨の記載も必要です。これらが抜けている求人は、法定の記載を満たしていません。 令和4年の職業安定法改正により、虚偽の表示や誤解を生じさせる表示も禁じられています。記載を確かめたうえで、研修の期間と修了後に用意される仕事を面接で聞いてください。

まとめ

未経験からの転職でおすすめできる職種は、その会社が未経験者を採る理由で決まります。欠員を埋めたい人手不足型、時間をかけて育てる育成前提型、成果が数字で測れる成果直結型。この3つを区別すると、同じ「未経験歓迎」の求人でも入社後の景色が違って見えてきます。営業、介護・福祉、施工管理、ドライバー・運輸、ITエンジニア、製造・生産、事務・バックオフィスはいずれも未経験の枠が用意されている職種ですが、向く条件と確かめるべき点はそれぞれ別です。

入りやすさだけで選ばないための材料も揃っています。新規学卒就職者の産業別離職率が示すのは、3年以内に離れる人の割合が産業によって大きく開くという事実。未経験の入り口が広いとされる分野が、その上位に並ぶこともあります。年収については、転職入職者の賃金で「増加」が「減少」を11.1ポイント上回る一方、約3割は減っているという両面がありました。求人票にも2024年4月から明示が義務づけられた項目があります。まずは法定の記載が揃っているかを確かめるところから始めてみてください。

取材を重ねて感じるのは、未経験で入った人が伸びる会社ほど、社長が育成の中身を具体的に説明できるということです。研修は何か月で、そのあとどんな仕事があるのか。この2つに明確な答えが返ってくるかどうかを、面接での物差しにしてみてください。

研修の中身、初年度の評価、固定残業代の内訳。面接で聞く質問が決まったら、その問いを持って実際の求人にあたってみてください。

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編集者

小川 莉奈 - 熱狂ベンチャーナビ編集部

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看護師から一般企業へ就職。その後株式会社デジマケに入社。自身の転職経験を元に新卒~若手の転職者にわかりやすい情報をお届けします。

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西畑大樹 - 熱狂ベンチャーナビ運営責任者

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新卒で証券会社に入社。その後、不動産・マーケティング・SaaS企業と4社の経験を経て独立。
学生時代は無人島のインターンや創業2か月目の会社でインターン生として2年勤務。
学生時代から新卒就活領域のメディア運営やキャリアコンサルタントを行っていた経験を元に業界や企業理解が深まるインタビュー記事や就活や転職に役立つ情報をお届けします。

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秋山翔一 - 熱狂ベンチャーナビ編集責任者

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新卒で商社に入社。その後WEBマーケティング支援を行う会社に転職。その後、繊維メーカーの役員を経て株式会社デジマケを創業。
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