飲食から転職するには?店長経験の伝え方と転職先を求人倍率つきで整理

飲食から転職するとき、最初にやることは求人探しではなく、自分がやってきた仕事を採用する側の言葉に置き換えることです。
意外なことに、転職先として「おすすめ」と書かれがちな一般事務は、求人が求職者を大きく下回る職業です。一方、飲食店の店長にあたる職業は、求人のほうがずっと多くなっています。
この記事では、飲食の経験を職務経歴書の言葉に翻訳する方法と、転職先の候補を有効求人倍率つきで整理し、年代ごとの選択肢まで示します。
飲食を続けるべきか、別の業界へ移るべきか。この判断に一人で結論を出す必要はありません。自分の店舗経験がどの職種で評価されるかは、求人を持っている転職のプロに無料で確認できます。
飲食から転職したくなる理由は、労働時間と賃金の数字に表れている
「体力的にきつい」「休みが取れない」「給料が上がらない」という感覚は、気のせいではありません。公的統計で見ると、次の3点がはっきり出ています。
- 一般労働者の月間総実労働時間は、調査産業計より12.1時間長い
- 所定内給与額は、16の大産業のなかで最も低い
- 新規学卒者の3年以内離職率は、全産業で最も高い
| 項目 | 宿泊業,飲食サービス業 | 全産業の平均 | 差 |
|---|---|---|---|
| 月間総実労働時間 | 172.6時間 | 160.5時間 | 12.1時間長い |
| 月間出勤日数 | 20.0日 | 19.2日 | 0.8日多い |
| 所定内給与額 | 277.2千円 | 340.6千円 | 63.4千円低い |
労働時間と出勤日数は厚生労働省「毎月勤労統計調査 2025年分結果確報」(事業所規模5人以上・一般労働者)で、全産業の平均は同調査の「調査産業計」です。給与額は同「令和7年賃金構造基本統計調査の概況」(10人以上の民営事業所・一般労働者・男女計)で、こちらの全産業の平均は同調査の「産業計」を指します。調査が異なるため、平均の集計対象も同じではありません。
労働時間は、産業のなかで2番目に長い
月12.1時間の差は、1年に直すと約145時間になります。 出勤日数の0.8日も年間では約9.6日。宿泊業,飲食サービス業の172.6時間は、運輸業,郵便業の175.3時間に次いで2番目に長い水準です。情報通信業は160.5時間で、調査産業計と同じ水準でした。所定内が157.0時間、所定外が15.6時間という内訳を見ると、残業だけが原因ではなく、そもそもの所定労働時間が積み上がっていることが分かります。


土日祝が繁忙期にあたる業態では、休みの取り方も他業界と噛み合いません。転職の動機を「甘え」と片づける必要はなく、働く条件そのものに差があるというのが統計の示すところです。
賃金は16の大産業で最も低い
令和7年6月分の所定内給与額を見ると、宿泊業,飲食サービス業は277.2千円で、16の大産業のなかで最も低い水準でした(前年比2.9%増)。最も高い電気・ガス・熱供給・水道業は444.0千円、次いで学術研究,専門・技術サービス業が440.3千円。産業計は340.6千円です。令和6年の調査でも同産業は269.5千円で最低となっており、1年だけの特殊な結果ではありません。


平均年齢は43.1歳、平均勤続年数は9.6年。長く働いても賃金の伸びが緩やかであることが、平均値のうえでは表れています。
参考:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査の概況」
参考:厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査の概況」
同期の半分以上が、3年以内に辞めている
「自分だけが続かなかった」と感じている人にこそ知っておいてほしい数字があります。令和4年3月に卒業して宿泊業,飲食サービス業に就職した人の3年以内離職率は、大卒で55.4%、高卒で64.7%。いずれも全産業で最も高い水準です。 調査産業計は大卒33.8%、高卒37.9%ですから、飲食は平均より20ポイント以上高いことになります。参考までに情報通信業は大卒27.2%、製造業は大卒21.2%でした。


半分以上が3年以内に離れている環境で3年続いたなら、それは続かなかった話ではありません。辞めることが例外ではない産業にいた、というだけのことです。
参考:厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)」
今の年収差より、10年後の年収差を見る
飲食の賃金について語られるとき、たいてい出てくるのは平均値です。ただ、20代の読者にとって重みがあるのは平均そのものではなく、賃金カーブの傾きのほう。年齢階級別に並べると、差が年々開いていく様子が見えます。
- 20代前半の差は月4万円弱にとどまる
- 30代前半で差は9万円台に広がる
- 40代後半では16万円を超え、飲食側はここがピークになる
| 年齢階級 | 宿泊業,飲食サービス業 | 情報通信業 | 差 |
|---|---|---|---|
| 20〜24歳 | 224.6千円 | 262.2千円 | 37.6千円 |
| 30〜34歳 | 270.0千円 | 363.4千円 | 93.4千円 |
| 45〜49歳 | 327.3千円 | 491.7千円 | 164.4千円 |
厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査の概況」の所定内給与額(一般労働者・男女計)。宿泊業,飲食サービス業は45〜49歳の327.3千円がピークで、50〜54歳312.7千円、55〜59歳304.8千円と下がっていきます。一方の情報通信業は55〜59歳で516.3千円。「今いくら違うか」ではなく「差がどう開いていくか」で見ると、判断を先送りするほど埋めにくい差になっていくことが分かります。
もちろん、情報通信業に移れば誰でもこの水準になるという話ではありません。この統計は同じ人を追いかけたものではなく、ある時点の年齢階級ごとの平均を並べたものです。産業によって賃金の伸び方が違い、その違いが年齢とともに拡大しているという事実を押さえておく、という趣旨です。年収の全体像を確かめたい人は、年収1000万円は30代の何%かもあわせてどうぞ。
飲食の仕事を、職務経歴書の言葉に翻訳する
取材で店長経験のある方に話を聞くと、自分の仕事を「店を回していただけです」と説明する人が本当に多いのです。正直なところ、もったいないと感じます。やっていたことは、他の業界なら要員計画であり、原価管理であり、採用と定着の設計です。職務経歴書で必要なのは、実務を採用側の語彙に置き換える作業だけ。
- 抽象語ではなく、実務そのものを書く
- 業界共通の言葉に置き換える
- 数字を1つ以上添える
| 飲食での実務 | 職務経歴書での書き方 | 添えたい数字 |
|---|---|---|
| シフト作成と人時売上の管理 | 要員計画の立案と人件費率のコントロール | 管理した人数、人件費率、人時売上高 |
| アルバイトの採用・教育・定着 | 採用から立ち上がり、定着までの運用 | 年間採用人数、独り立ちまでの日数 |
| 原価率・廃棄率の改善 | 原価管理と在庫回転の改善 | 改善前後の原価率、廃棄額の削減幅 |
| クレームの一次対応 | 顧客対応とエスカレーションの運用 | 対応件数、再発防止のために変えた運用 |
| 新メニューの導入と販促 | 商品導入と売上への貢献 | 導入数、導入後の客単価と売上の変化 |
| 新店の立ち上げ、複数店舗の管理 | 立ち上げ運営と複数拠点のマネジメント | 店舗数、立ち上げ期間、売上規模 |
「コミュニケーション能力があります」とだけ書くと、飲食経験の中身がすべて消えてしまいます。 数字と業務名で書けば、同じ経験がまったく違って読まれます。
店長・マネージャーの経験
飲食店の店長は、売上・原価・人件費・シフト・採用・教育・クレーム対応を一人で見ている場合が少なくありません。他の業界に置き換えると、小さな事業所の責任者です。職務経歴書には「店長」ではなく、預かっていた規模を書いてください。 席数、月商、スタッフ数、そのうち社員とアルバイトの内訳。この4つがあるだけで、読み手は事業規模をイメージできます。
あわせて書いておきたいのが、非正規中心の組織を動かした経験です。 職業情報提供サイト job tag で、飲食チェーン店店員として働く人に多いと感じる就業形態を聞いた結果を見ると、パートタイマー65.4%、学生アルバイト36.5%に対し、正規の職員・従業員は19.2%でした。指示命令だけでは動かない構成のチームで、毎日の営業を成立させてきたという事実は、他業界のマネジメント職から見ても具体的な経験です。


ホール・接客の経験
接客の経験は「コミュニケーション力」でまとめると弱くなります。書くべきは、対応した人数と場面の難易度です。1日の来客数、ピーク時の同時対応卓数、団体・宴会の受注規模、外国語での対応の有無。クレーム対応があったなら、その場をどう収め、その後に何を変えたかまで書ければ、顧客対応の設計ができる人として読まれます。
販売や個人向け営業に移る場合は、客単価と提案の実績が接続します。 ドリンクやコースの提案で客単価を上げた経験があるなら、それは提案販売です。金額と期間を添えてください。
調理・キッチンの経験
調理経験は、食品に関わる仕事のあいだで持ち運びやすい資産です。job tag では、日本料理調理人(板前)にあたる職業の有効求人倍率が4.22倍、求人賃金は月額29.2万円(いずれも令和7年度)。働く人に多いと感じる就業形態を聞いた結果では、正規の職員・従業員が49.0%、自営・フリーランスが34.7%。雇われる形と独立する形の両方が身近な職業です。
職務経歴書では、扱った食材とジャンル、1日の提供食数、原価率、衛生管理で担っていた役割を書き出しましょう。食品メーカーの商品開発や品質管理、給食・社員食堂の運営、食品卸のメニュー提案は、いずれも調理の知識が活きる仕事です。 保有している資格や講習の修了歴があれば、まとめて記載してください。
採用する側は、飲食出身者をどう見ているか
求職者向けの情報はいくらでもありますが、採る側の事情はあまり語られません。飲食業は「辞める人が多い産業」であると同時に、「人が出入りする産業」でもあります。
- 一般労働者の入職率は、16の産業のなかで最も高い
- 就業者数はコロナ前の水準にまだ届いていない
- 飲食から別の業界へ移り、いまは採用する側にいる経営者もいる
厚生労働省の令和6年雇用動向調査によると、宿泊業,飲食サービス業の一般労働者の入職率は21.2%で、16の大産業のなかで最も高い数値でした。 離職率は18.1%。産業計が入職率11.8%、離職率11.5%ですから、入職率は約1.8倍、離職率も約1.6倍の水準です。パートタイム労働者はさらに大きく、入職率33.3%、離職率29.9%といずれも全産業で最高でした。


この数字が意味するのは2つです。ひとつは、辞めると伝えたときに強い引き止めや条件の提示が来る可能性があること。もうひとつは、人が足りていない側の産業だということ。総務省統計局の労働力調査では、宿泊業,飲食サービス業の就業者数は2025年平均で416万人。前年から9万人増えて4年連続の増加ですが、2019年の421万人にはまだ届いていません。同じ会社に戻れる保証はありませんが、募集そのものが途切れていない産業から外を見に行ける、というのは目安として心強い条件です。
参考:厚生労働省「令和6年雇用動向調査結果の概況 2 産業別の入職と離職」
参考:総務省統計局「労働力調査(基本集計)2025年(令和7年)結果の概要」
調理場から移った経営者と、未経験を採る会社の基準
経営者の取材を重ねていると、飲食の現場から別の業界へ移った人が、そのまま経営する側に回っている例に出会います。
株式会社SILVER CORDの秋山領祐代表取締役社長は、キャリアの出発点をこう振り返っています。
同氏はその後、旅館のホームページを自作していた経験を接続点にデジタルマーケティングの世界へ移り、現在は採用する立場で「大事にしたい価値観が一致しているかどうか」を最も重視すると語っています。調理場での経験を捨てて移ったのではなく、かたわらで触れていたものを持ち出して移っているわけです。
では、採る側は何を見ているのでしょうか。株式会社Human Creationの山川勇之丈代表取締役は、求める条件を2つに絞り込んでいます。
「未経験歓迎」と書かれた求人でも、育てる中身まで説明できるかどうかで実態は分かれます。 面接では「前職が飲食だった方は何人いますか。その方はいま、どんな仕事をしていますか」と聞いてみてください。人数と役割が具体的に返ってくるかどうかが、看板と中身のずれを測る手がかりになります。
転職先候補を、有効求人倍率と難易度で並べ替える
転職先を選ぶときに見落とされがちなのが、その職種の競争率です。人気があるという言葉は、応募者が多いという意味でもあります。
- 飲食の経験がそのまま接続する先から見ていく
- 未経験枠で入る先は、育成の中身を確認する
- 人気職ほど、求人1件あたりの応募者が多い
| 転職先 | 活きる飲食の経験 | 未経験からの入りやすさの目安 |
|---|---|---|
| 食品メーカーの営業・ルート営業 | 商品知識、発注と原価の感覚、店舗側の事情が分かること | 入りやすい |
| 食品卸・業務用商社の営業 | 納期と在庫のやり取り、店舗の課題を聞き出す力 | 入りやすい |
| 外食チェーンの本部スタッフ | 店舗運営の全体像、数値管理、スーパーバイザー適性 | 中程度。同業内での移動が近道 |
| 店舗開発・不動産関連 | 立地と客層の読み、新店立ち上げの経験 | 中程度 |
| 中食・給食・社員食堂の運営 | 大量調理、衛生管理、原価管理 | 入りやすい |
| 小売・サービス業の店長職 | マネジメントと数値責任がそのまま接続する | 入りやすい |
| 人材業界のコーディネーター | アルバイト採用と定着に関わった経験 | 中程度 |
| 法人向けの営業職 | 対人折衝、断られても続ける行動量 | 中程度 |
| ITエンジニア | 直接は接続しない。研修体制の見極めが必要 | 高い |
| 一般事務・営業事務 | 事務処理、電話と来客の対応 | 高い。応募者が多い |
入りやすさは、同じ職種名でも会社の規模や扱う商材で変わります。外食チェーンの本部職のように募集の枠がもともと限られる仕事もあるため、目安として見てください。
事務職が「おすすめ」と書かれる記事の落とし穴
職業情報提供サイト job tag によると、一般事務にあたる職業の有効求人倍率は0.29倍(令和7年度)。 求職者1人に対して求人が0.29件しかない、という意味です。求人賃金は月額21.6万円。一方、飲食店の店長にあたる職業(job tag の「ハンバーガーショップ店長」、職業分類は会社管理職員、飲食店店長)は10.58倍で、求人賃金は月額28.9万円。店舗スタッフにあたる飲食チェーン店店員でも2.41倍、月額26.2万円でした。一般事務と比べると、店長職で約36倍、店員職でも約8倍の開きがあります。


ただし、これらはハローワークに寄せられた求人と求職から職業分類ごとに算出した数値で、飲食業界全体の求人状況を示すものではありません。それでも、飲食店店長や飲食店ホール係にあたる分類では求人が求職者を上回っているのに対し、一般事務員の分類では大きく下回っています。募集の集まり方が反対を向いている職業へ移る動きになる、とは言えそうです。「事務は落ち着いて働けそう」という理由で第一候補にすると、応募数のわりに面接へ進めない期間が長くなりがちです。 事務を目指すこと自体を否定するものではありませんが、選考の通過率が下がる前提で、応募数と期間を多めに見積もっておくのが現実的でしょう。
なお、飲食チェーン店店員にあたる分類の2.41倍は、令和7年度にこの職業で求人数が求職者数を上回っていたことを示す数値です。個人が必ず戻れることを保証するものではありませんが、募集そのものは動いているという目安にはなります。条件の悪い会社に焦って決める必要はありません。年収や労働時間の統計は職業をまたいで共有されている場合があるため、ここでは有効求人倍率と求人賃金、就業形態のみを職種別の数値として扱っています。
参考:厚生労働省「job tag 一般事務」
参考:厚生労働省「job tag ハンバーガーショップ店長」
参考:厚生労働省「job tag 飲食チェーン店店員」
20代・30代・40代で、現実的な選択肢はこう変わる
年齢によって、通る求人の種類も、年収の動き方も変わります。ここで使う数値は全産業計の統計であり、飲食業に限定したものではありません。あわせて、転職入職率は一般労働者の系列、賃金の増減は就業形態計(パートタイム労働者を含む)の系列である点もご承知おきください。
- 20代は賃金が増えた人の割合が最も高い
- 30代前半は、一般労働者の転職入職率が女性でまだ二桁
- 40代以降は、役職経験を軸にした横展開が現実的
| 年代 | 統計から言えること(全産業計) | 現実的な打ち手 |
|---|---|---|
| 20代 | 20〜24歳の転職入職者は賃金増加50.5%・減少16.8% | 賃金が下がりにくい時期。応募要件を確かめながら、業界も職種も幅広く見る |
| 30代前半 | 転職入職率(一般労働者)は男9.5%・女12.1%。賃金増加46.1%・減少24.2% | 店長経験をマネジメント経験として提示する |
| 30代後半 | 賃金増加45.5%・減少24.3%。転職入職率(一般労働者)は男7.5%・女8.7% | 店長として任された範囲と、応募先が求める要件が重なる求人から当たる |
| 40代以降 | 40〜44歳の転職入職率(一般労働者)は男5.9% | 多店舗管理や数値責任の経験を軸に、同種の役割へ |
注目したいのは、20〜24歳で賃金が増加した人が50.5%にのぼり、減少の16.8%を大きく上回っている点です(厚生労働省「令和6年雇用動向調査」・転職入職者)。転職すると年収が下がるという通説は、少なくとも20代前半には当てはまりません。30〜34歳でも増加46.1%に対して減少24.2%と、増えた人のほうが多い状態です。


40代で異業種の未経験職種に移るのは、選考の面で確かに難しくなります。ただ、店舗を何店も見てきた経験や、数十人規模の人員を回してきた実績は、飲食以外の店舗ビジネスでもそのまま通用するもの。年齢が上がるほど、「未経験の職種」ではなく「同じ役割を別の業界で」という探し方に切り替えるのが現実的です。
シフト勤務のまま、転職活動を進める段取り
飲食の転職活動でいちばん難しいのは、時間の確保です。夜が営業のピークで、休みは平日。この条件を前提に段取りを組みます。
- 応募より先に、店舗の規模と動かした数字を書き出す
- 平日休みと遅番前の時間を、面接と面談に割り当てる
- 求人票は年間休日数と所定外労働時間から読む
| そろえるもの | 具体的に書き出す内容 |
|---|---|
| 店舗の規模 | 席数、月商、スタッフ数、社員とアルバイトの内訳 |
| 自分が動かした数字 | 原価率、人件費率、客単価、来店数の変化 |
| 任された範囲 | 発注、シフト、採用、教育、売上責任の有無 |
| 応募先を集める経路 | マイナビ転職やリクナビNEXTなどの求人サイトと、転職エージェントの併用 |
| 求人票で必ず見る項目 | 年間休日数、前事業年度の月平均所定外労働時間、有給休暇の平均取得日数 |
平日休みは、転職活動では有利に働きます。 平日の日中に面接を組めるため、土日しか動けない人より日程を確保しやすいからです。夜の営業に入る日でも、午前や早い午後の時間帯は空きます。エージェントとの面談をこの時間に入れておくと、活動が止まりません。
在職中に進めるのが基本です。内定を得てから退職を申し出る順番のほうが、金銭面でも交渉面でも安全でしょう。 翌月分のシフトが先に確定する職場なら、面接に使えそうな枠を早めに押さえておくと動きやすくなります。年末年始や歓送迎会シーズンのように人手が要る時期を外して引き継ぎを設計できると、退職の話も切り出しやすいはずです。求人サイトは自分のペースで幅広く見られる一方、転職エージェントは非公開求人の紹介に加えて書類の添削や日程調整まで引き受けてくれるため、シフト勤務で時間が取りにくいほど併用が効いてきます。


飲食からの転職に関するよくある質問
飲食の経験は職務経歴書にどう書けば伝わりますか?
職種名ではなく、預かっていた規模と自分が動かした数字で書くと伝わります。 席数、月商、スタッフ数、社員とアルバイトの内訳。この4つを最初に置くだけで、読み手は事業規模をイメージできます。そのうえで、シフト作成は要員計画と人件費率のコントロール、原価率・廃棄率の改善は原価管理と在庫回転の改善、アルバイトの育成は採用から定着までの運用というように、業界共通の言葉へ置き換えてください。「コミュニケーション能力があります」とだけ書くと、飲食で積み上げた中身がすべて消えてしまいます。改善前後の原価率、独り立ちまでの日数、客単価の変化のように、数字を1つ以上添えるのが最低条件です。
調理経験は転職で有利になりますか?
求人の数で見るかぎり、調理の職種は事務職よりも入り口が広い状態です。 職業情報提供サイト job tag によると、日本料理調理人(板前)にあたる職業の有効求人倍率は4.22倍、求人賃金は月額29.2万円(いずれも令和7年度)。一般事務の0.29倍とは大きな開きがあります。どちらも経験の有無を問わない求人全体の倍率なので、「未経験可」の求人に限った競争の度合いまでは読み取れません。働く人に多いと感じる就業形態を聞いた結果では、正規の職員・従業員49.0%に次いで自営・フリーランスが34.7%で、独立という進み方も身近な職業です。ただし調理の腕がどこまで評価されるかは応募先の業態によって変わります。扱った食材とジャンル、1日の提供食数、衛生管理で担っていた役割を書き出したうえで、応募先に合わせて前に出す項目を入れ替えてください。
飲食業界に戻る選択肢は残せますか?
募集が途切れていない産業なので、外へ出てからの再挑戦は現実的な選択肢のひとつです。 job tag によると、飲食チェーン店店員にあたる職業の有効求人倍率は2.41倍、求人賃金は月額26.2万円(令和7年度)。厚生労働省の令和6年雇用動向調査でも、宿泊業,飲食サービス業の一般労働者の入職率は21.2%で、16の大産業のなかで最も高い数値でした。同じ会社に戻れることを示す数字ではありませんが、採用そのものは動いている、という目安にはなります。焦って条件の悪い会社に決めるより、応募先を比べる時間を取るほうが結果的に近道でしょう。
参考:厚生労働省「job tag 飲食チェーン店店員」
参考:厚生労働省「令和6年雇用動向調査結果の概況 2 産業別の入職と離職」
事務職への転職は狙い目ですか?
求人倍率で見ると、最も競争が激しい選択肢のひとつです。 job tag によると、一般事務にあたる職業の有効求人倍率は0.29倍(令和7年度)で、求職者1人に対して求人が0.29件という状態。店長職にあたるハンバーガーショップ店長(職業分類は会社管理職員、飲食店店長)の10.58倍とは約36倍、店舗スタッフにあたる飲食チェーン店店員の2.41倍と比べても約8倍の開きがあります。求人賃金も月額21.6万円と、店長職の28.9万円を下回ります。応募すること自体は自由ですが、通過率が低い前提で応募数と活動期間を多めに見込み、事務職一本に絞らないほうが安全でしょう。
夜のシフト中心でも、転職活動はできますか?
平日の日中が空くという点では、むしろ動きやすい働き方です。 面接は平日の日中に設定されることが多いため、平日休みや遅番前の時間を使えば日程は組めます。書類の準備と求人の閲覧は在職中でも進められますし、エージェントとの面談はオンラインで完結する場合もあります。退職を先に決めてしまうと選択肢が狭まりやすいので、内定を得てから辞める順番で進めてください。求人票では、年間休日数と前事業年度の月平均所定外労働時間を必ず確認しましょう。
まとめ
飲食から転職するときの出発点は、求人検索ではなく経験の翻訳です。シフト作成は要員計画、原価改善は原価管理、アルバイトの育成は採用と定着の運用。同じ仕事でも、書き方を変えるだけで読まれ方が変わります。席数・月商・スタッフ数・原価率という数字を添えれば、預かっていた規模が相手に伝わるでしょう。
労働時間は産業計より月12.1時間長く、賃金は16の大産業で最も低い水準。新規学卒者の3年以内離職率は大卒55.4%と全産業で最高で、辞めることは例外ではありません。転職先は、食品メーカーや卸、外食本部、小売の店長職のように経験がそのまま接続する先から見ていくのが現実的。一般事務の有効求人倍率0.29倍に対し、飲食チェーン店店員は2.41倍、店長職にあたる職業は10.58倍。この差は、選択肢を並べ替えるときの物差しになります。
多くの経営者に話を聞いてきて思うのは、採用の場で効くのは職種名ではなく、その人が具体的に何を動かしてきたかだということ。飲食の現場ほど、動かしてきたものが多い仕事も珍しいのです。未経験の人を迎える会社が何を見ているかは、熱狂ベンチャーナビの経営者インタビューで社長本人の言葉として読めます。
経験の翻訳ができたら、次はその言葉がどの求人で評価されるかを実際に確かめる段階です。

