営業から転職するには?経験が活きる転職先と辞めたい理由別の進め方

営業から転職するとき、最初にやることは求人探しではなく、不満の原因が「今の会社」にあるのか「営業という職種」にあるのかを切り分けることです。
実は、営業が含まれる「販売の仕事」で企業が転職者を採る理由は、「経験を活かし即戦力になるから」が最多です。目標額や達成率のように成果が数字で残ることも、営業経験の強みになります。
この記事では、営業経験が採用する側からどう見られるかを起点に転職先を3つの型で整理し、年収の変化と辞めたい理由別の進め方まで示します。
営業を続けるか、別の職種へ移るか。この判断を一人で抱え込む必要はありません。自分の営業経験がどの職種で評価されるかは、求人を持っている転職のプロに無料で確認できます。
営業から転職する前に、不満の原因を「会社」と「職種」に切り分ける
同じ「営業がしんどい」でも、原因の置き場所によって次の一手はまったく変わります。切り分けの前に見ておきたいのは次の3点です。
- 会社を変えれば消える不満と、営業を離れないと消えない不満は別物である
- 自己都合で辞めた人の理由は、賃金よりも労働条件と仕事内容が上に来る
- 切り分けができると、応募先の絞り込みが一気に楽になる
| いま感じている不満 | 会社を変えれば軽くなるか | 営業を離れる必要があるか |
|---|---|---|
| ノルマが重い | 目標の作り方は会社ごとに違うため軽くなりやすい | 数字を背負うこと自体が苦痛なら必要 |
| 顧客からの理不尽な要求 | 商材と顧客層を変えれば減りやすい | 対外的な一次窓口を降りたいなら必要 |
| 休日にも連絡が来る | 会社の運用ルール次第で変わる | 個人客中心の営業を続けるなら必要 |
| 成果が給与に反映されない | 評価制度の設計次第で変わる | 離れなくても解決しうる |
| 提案が単発で終わる | 商材と契約形態を変えれば変わる | 離れなくても解決しうる |
| 扱う商品に自信が持てない | 会社を変えれば解決する | 離れなくても解決しうる |
辞めた人の理由を見ると、賃金は最多ではありません。 厚生労働省の令和2年転職者実態調査(個人調査・有効回答5,530人)では、自己都合で前の勤め先を辞めた理由の最多が「労働条件(賃金以外)がよくなかったから」で28.2%。次いで「満足のいく仕事内容でなかったから」26.0%、「賃金が低かったから」23.8%と続きます(いずれも3つまでの複数回答です)。


令和6年の雇用動向調査でも似た傾向が出ています。前職を辞めた理由は、男性が「給料等収入が少なかった」10.1%、女性が「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」12.8%が実質的な最多でした(定年・契約期間の満了や個人的理由を除く)。女性では「職場の人間関係が好ましくなかった」11.7%が続きます。つまり離職の引き金は金額だけではなく、男性では収入、女性では労働時間や人間関係と、性別によって上位が入れ替わるのです。
取材をしていると、辞めた理由を「年収」の一言で説明する人ほど、掘っていくと別の不満が出てくる場面に何度も出会います。引っかかっていたのは評価の伝えられ方だったり、休日にも鳴る電話だったり。最初に思い浮かんだ理由が、そのまま本当の原因とは限らないのです。
参考:厚生労働省「令和2年転職者実態調査の概況」
参考:厚生労働省「令和6年雇用動向調査結果の概況 3 転職入職者の状況」
「営業を辞めたい」理由別に、動く前にやっておくこと
辞めたい理由が違えば、確認する場所も変わります。よく挙がる3つの理由について、次に動く前の一手を整理します。
- ノルマと数字のプレッシャーがきつい
- 人間関係と顧客対応で消耗している
- 休日と労働時間が読めない
ノルマと数字のプレッシャーがきつい
確認したいのは、数字の重さではなく数字の作られ方です。 前年比で一律に配られる目標なのか、市場と担当顧客を見て決めるのか。個人目標かチーム目標か。未達のときに何が起きるのか。この4点を今の会社について書き出すと、「数字が嫌」なのか「決め方が納得できない」のかが見えてきます。
給与のうち歩合が占める割合も出しておきましょう。歩合の比重が大きい営業ほど、固定給中心の職種へ移ったときに総支給が動きやすくなります。数字を追う営業の1日がどう流れるかは、証券会社の営業職の仕事内容と年収が参考になります。
人間関係と顧客対応で消耗している
消耗の相手が社内なのか社外なのかで、打ち手が変わります。 上司や評価者との関係なら、部署異動や転職で解決する余地があります。一方、顧客との関係が原因なら、顧客層そのものを変えるほうが早いことも。個人客か法人客か、新規開拓かルート営業か、単価はいくらか。この3つの組み合わせが変わるだけで、日々のやり取りの中身は相当に変わります。
対外的な窓口に立つこと自体が苦しいのであれば、営業を離れる選択も候補に入ります。我慢の量で片づけようとする前に、社内と社外のどちらが負担になっているのかを言葉にしてみてください。
休日と労働時間が読めない
まずは自分の労働時間を、自分の手元にも記録してください。 転職先を比べるときの基準になりますし、条件交渉の材料にもなります。求人票では、前事業年度の月平均所定外労働時間と有給休暇の平均取得日数を必ず見ましょう。数字が出せない会社は、その時点で候補から外す判断もできます。


なお、企業側の人手不足は続いています。厚生労働省の令和7年上半期雇用動向調査によると、2025年6月末日現在の未充足求人数は約136万人、欠員率は2.6%。採る側も人を探している局面なので、条件を確かめてから選ぶ姿勢で臨んで差し支えありません。
参考:厚生労働省「令和7(2025)年上半期雇用動向調査結果の概況」
採用する側は、営業経験者の何を見ているか
求職者向けの記事はたくさんありますが、採る側が何を考えているかは意外と語られません。公的な調査には、その答えが載っています。
- 販売職の転職者を採る理由の最多は「経験を活かし即戦力になるから」
- 採用時にいちばん重視されているのは、意外にも人員構成の是正
- 見られている力は、職務経歴書に書ける形へ翻訳できる
営業が属する「販売の仕事」では、転職者を採る理由の筆頭は即戦力性です。 厚生労働省の令和2年転職者実態調査(事業所調査・9,149事業所、有効回答率53.1%)によると、「販売の仕事」で転職者を採用した理由は「経験を活かし即戦力になるから」が58.8%と最も高く、「離職者の補充のため」44.8%を上回りました。同じ理由は管理的な仕事で62.3%、専門的・技術的な仕事で66.1%と、こちらも筆頭。一方、事務やサービスの仕事では「離職者の補充のため」が最も高く、職種によって採用の動機は変わります。


一方、転職者を採用するにあたって重視した事項の最多は「人員構成の歪みの是正」で43.8%。次いで「既存事業の拡大・強化」が42.0%でした。企業は「今すぐ働ける経験」と「組織構成の立て直し」の両方を見ているということです。欠員の穴埋めだけでなく、組織の形を整える目的でも中途採用は行われます。応募先が今どんな人材構成を課題としているかは、面接で直接聞いてよい論点でしょう。
では、営業経験のどこが即戦力として読まれるのか。書類での示し方まで含めて整理します。
| 企業が見ている力 | 営業のどの場面で使っていたか | 書類での示し方 |
|---|---|---|
| 数字を持って動く | 月次・四半期の目標管理 | 目標額、達成率、社内順位を数字で書く |
| 課題を聞き出す | ヒアリングと提案づくり | 顧客の課題と提案内容をセットで書く |
| 社内外を動かす | 見積・納期・条件の調整 | 巻き込んだ部署と自分の役割を書く |
| 断られても続ける | 新規開拓、飛び込み、架電 | 訪問数や架電数と、そこから生まれた成果 |
| 覚えて説明する | 商材知識の習得 | 扱った商材の数と、立ち上がりまでの期間 |
営業職の強みは、成果が数字で残りやすいことです。 目標額と達成率という共通の物差しがあるぶん、実績を金額と件数で示しやすい。逆に言えば、数字を用意せずに「コミュニケーション能力があります」とだけ書いてしまうと、営業経験の最大の武器を自分で捨てることになります。
営業からの転職先は3つの型で整理する
「おすすめの職種10選」を眺めても、自分がどれに当てはまるかは判断しづらいもの。営業経験の持ち運び方で3つに分けると、選びやすくなります。
- ①横に持っていく … 顧客と向き合う仕事は続け、商材や条件のほうを変える
- ②上流に上げる … 売る前の設計側へ回り、営業現場の知見を材料に使う
- ③営業から降りる … 対外的な数字責任から離れ、社内側の役割に移る
| 転職先 | 型 | 活かせる営業経験 | 年収で起きやすい変化 | 難易度の目安 |
|---|---|---|---|---|
| 別業界・別形態の営業 | ① | 提案・折衝・数字管理をそのまま持ち込める | 商材単価と歩合設計で上下する | 低い。経験がそのまま応募要件になる |
| カスタマーサクセス | ① | 既存顧客の課題把握と関係の維持 | 歩合が減る分、横ばいからやや下がりやすい | 中程度。未経験可の求人も出ている |
| 人材コーディネーター | ① | 新規開拓と、人と求人のマッチング | 歩合設計が残る会社が多く上下しやすい | 低いから中程度 |
| 営業企画・セールスオペレーション | ①② | 現場の数字と失注理由を知っていること | 固定給中心となり横ばいになりやすい | 中程度。集計とツール操作の経験が要る |
| マーケティング | ② | 顧客の言葉と、買う理由の一次情報 | 未経験入社では一度下がることがある | 高い。実務経験者と競合する |
| 事業企画・経営企画 | ② | 売上構造と現場感覚の両方 | 会社の規模に連動しやすい | 高い。社内異動のほうが現実的 |
| コンサルタント | ② | 課題整理と提案の型 | 上がる余地がある反面、労働時間は長くなりやすい | 高い |
| 営業事務・受発注 | ③ | 営業の動きが分かるので連携が速い | 歩合が消えるため下がりやすい | 低いから中程度。一般に求人数は多い |
| 人事・採用 | ③ | 口説く力と、母集団をつくる発想 | 横ばいからやや下がりやすい | 中程度から高い。一般に求人数は限られる |
| 広報 | ③ | 自社の価値を言葉にする力 | 横ばいになりやすい | 高い。一般に求人数は少ない |
この表は公的統計による職種分類ではなく、営業経験の持ち運び方で編集部が整理したものです。年収・難易度・求人数は会社や時期による差が大きいため、あくまで目安として見てください。同じ職種名でも、企業規模や商材、求人ごとの応募要件によって条件はまるで変わります。


① 横に持っていく:顧客と向き合う仕事は続ける
営業そのものは嫌いではないのに、扱う商材や売り方が合っていないだけ、という人が一定数います。 この場合は職種を変えるより、業界・顧客層・契約形態を変えるほうが近道です。個人向けから法人向けへ、新規開拓中心からルート営業へ、単発売り切りから継続契約へ。どれか一つ動かすだけで、日々の仕事の手触りが変わります。
同じ営業のなかでも仕事の中身が大きく違う例としては、不動産営業の仕事内容と仲介・賃貸・管理の違いが分かりやすいでしょう。同じ「不動産営業」でも、扱う領域によって働き方が別物になります。
② 上流に上げる:売る前の設計に回る
現場で失注理由を数百件見てきた経験は、マーケティングや事業企画では貴重な一次情報になります。 「なぜ売れないか」を体で知っている人は、机上のプランに現実を持ち込めるからです。ただし、この型は未経験からの応募だと実務経験者と並ぶことになり、難易度は上がります。在職中に関連ツールを触る、社内の企画業務に手を挙げる、といった橋渡しを一段挟むと通りやすくなります。
無形商材の高単価営業を経験している人は、コンサルティングやM&A仲介といった領域も選択肢に入ります。仕事の中身と報酬の考え方はM&A業界の年収・給料・仕事内容を参照してください。
③ 営業から降りる:数字の責任から離れる
対外的な数字を背負うこと自体が合わないなら、社内側の役割へ移るのが素直な選択です。 営業事務や受発注は、営業の動きを知っている人ほど重宝されます。営業が何に困り、どこで止まるかを分かっているからです。
ただし、歩合や賞与の比重が大きかった人ほど、移った直後の総支給は下がりやすくなります。落ちる幅を先に計算し、それでも生活が成り立つかを確認してから動くほうが安心でしょう。一般に、求人サイトで件数が多いのは営業事務と受発注、限られるのは人事と広報です。応募のしやすさにも差があります。
転職で年収は上がるのか下がるのか
不安の中心にあるのは、たいてい年収です。公的統計で言える範囲を押さえておきましょう。
- 転職者全体では、賃金が増えた人のほうが減った人より多い
- ただし1割以上下がる人も2割強いる
- 転職後の満足度は、仕事内容で最も高く、賃金で最も低い
厚生労働省の令和6年雇用動向調査によると、転職入職者のうち前職と比べて賃金が「増加」した人は40.5%、「減少」は29.4%、「変わらない」は28.4%でした。 増加が減少を11.1ポイント上回っています。内訳では「1割以上の増加」が29.4%、「1割以上の減少」が21.7%。より新しい令和7(2025)年上半期雇用動向調査でも、増加39.4%に対し減少31.5%、変わらない25.5%で、増加が7.9ポイント上回りました。いずれも5人以上の常用労働者を雇用する事業所の転職入職者が対象です。


つまり、「転職すると年収が下がる」は全体としては当たっていません。ただし2割以上の人は1割以上下がっているので、下振れの可能性は現実的な数字として見ておく必要があります。
満足度の内訳には、もっと直接的な示唆があります。 令和2年転職者実態調査で転職後の満足度をD.I.(「満足」「やや満足」の割合から「不満」「やや不満」の割合を引いた値)で見ると、職業生活全体が42.0ポイント。項目別では「仕事内容・職種」が60.5ポイントと最も高く、「賃金」が19.5ポイントと最も低くなっています。すべての項目で満足が不満足を上回ってはいるものの、仕事内容の納得は得られやすく、賃金の納得は最も得にくいという差がはっきり出ているわけです。営業を離れる動機が「仕事の中身」なら期待どおりになりやすく、「年収」だけなら期待外れになる確率が上がる。ここは冷静に見ておきたいところ。


同じ令和2年転職者実態調査で、転職者が今の勤め先を選んだ理由の最多は「仕事の内容・職種に満足がいくから」41.0%、次いで「自分の技能・能力が活かせるから」36.0%でした(3つまでの複数回答)。選ぶ側の実感とも一致しています。
なお、賃金の水準は会社の規模によっても動きます。令和6年賃金構造基本統計調査では、一般労働者の所定内給与は男女計33.04万円、男性36.31万円、女性27.53万円。企業規模別では大企業36.45万円、中企業32.31万円、小企業29.93万円で、規模による差は約6.5万円ありました(大企業=常用労働者1,000人以上、中企業=100から999人、小企業=10から99人)。職種を変えずに規模を変えるだけでも、金額は動きうるのです。


参考:厚生労働省「令和6年雇用動向調査結果の概況 3 転職入職者の状況」
参考:厚生労働省「令和7(2025)年上半期雇用動向調査結果の概況」
参考:厚生労働省「令和2年転職者実態調査の概況」
参考:厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査の概況」
辞めずにスキルを足してから動くという選択肢
転職記事の多くは「今すぐ動くか、我慢するか」の二択で書かれています。実際には、在職しながら次の職種の材料を仕込むという第3の道があり、費用の一部は国が負担します。
教育訓練給付制度を使うと、厚生労働大臣が指定した講座の費用の一部が支給されます。 厚生労働省によれば、専門実践教育訓練給付金は教育訓練経費の50%(年間上限40万円)が支給され、訓練の修了後1年以内に目標の資格を取得し、雇用保険の被保険者として就職した、またはすでに働いている場合は70%(年間上限56万円)に再計算されます。さらに訓練修了後の賃金が受講開始前と比べて5%以上上がった場合は80%(年間上限64万円)まで引き上げられます(80%の対象は令和6年10月1日以降に受講を開始した場合)。雇用保険に加入して働いた期間(支給要件期間)が3年以上、初めて受給する場合は2年以上必要です。
より短期の講座向けには特定一般教育訓練給付金があり、教育訓練経費の40%(上限20万円)、修了後1年以内に資格を取得し、雇用保険の被保険者として就職した、またはすでに働いている場合は50%(上限25万円)が支給されます(50%への引き上げは令和6年10月1日以降に受講を開始した場合に限られます)。こちらは初めて教育訓練給付金を受ける場合、支給要件期間が1年以上でよいのが特徴です。 営業を続けながら簿記や情報処理の勉強を進める、といった使い方ができます。


どちらの給付金も、受講を始める前に訓練前キャリアコンサルティングを受け、原則として受講開始日の2週間前までにハローワークで受給資格確認の手続きを済ませておく必要があります。制度の対象講座や自分が要件を満たすかも、住所地を管轄するハローワークで確認できます。営業を辞める決断を今すぐ出さずに、選択肢だけ増やしておくやり方です。
参考:厚生労働省「Q&A~専門実践教育訓練給付金~」
参考:厚生労働省「教育訓練給付金制度(特定一般教育訓練)関係手引」
営業という仕事の「型」は一つではない
正直なところ、私たちも経営者取材に行く前は「営業=数字を追う仕事」という一枚の絵で捉えていました。ところが話を聞くほど、営業の定義は会社ごとにまるで違うと分かってきます。
株式会社あしたのチームの山本拓馬社長は、自社の営業のやりがいをこう語っています。
数字を積み上げる営業と、価値観に働きかける営業では、同じ職種名でも求められるものが違います。いま感じている苦しさが「営業という仕事」ではなく「その会社の営業の型」に由来していないかは、一度確かめておく価値があります。
未経験の職種へ移れるかどうかについても、採る側の言葉が参考になります。コクー株式会社の入江雄介代表取締役CEOは、自社の人員構成をこう説明しています。
株式会社アイランド・ブレインの鈴木徹代表取締役社長も、採用の基準を明快に語ります。
未経験を歓迎する会社は、たいてい育てる仕組みとセットで話せます。 面接では「未経験から入った人は、何か月でどんな仕事を任されていますか」と聞いてみてください。期間と役割が具体的に返ってくるかどうかで、看板と実態のずれが見えます。
営業から転職する前にそろえたい5つの材料
準備が整っていれば、在職中でも活動は進みます。そろえる材料は5つです。
- 数字の棚卸し
- 転職の軸を1文にしたもの
- 応募先を集める経路
- 面接で確認する質問
- 辞める順番の見通し
数字の棚卸し
営業出身者の書類は、数字が入っているかどうかで通過率が変わります。 目標額と達成率、担当顧客数、平均単価、社内順位、新規と既存の比率。この5つを直近3年分ほど書き出しておきましょう。成績が突出していなくても、担当した市場の難易度や引き継いだ状態を添えれば説明はできます。
転職の軸を1文にしたもの
「ノルマがきついから」は転職理由であって、軸ではありません。軸は「何を得るために移るか」です。たとえば「顧客の課題解決に長く関わりたいので、継続契約型の商材を扱う会社に移る」。この1文があると、求人を見たときの判断が速くなります。
応募先を集める経路
求人サイトと転職エージェントでは、集まる情報が違います。マイナビ転職やリクナビNEXTなどの求人サイトは自分のペースで幅広く見られる一方、転職エージェントは非公開求人の紹介に加え、書類の添削や面接日程の調整まで引き受けてくれます。在職中で時間が取れないほど、エージェントの併用は効いてくるでしょう。
面接で確認する質問
「前事業年度の月平均所定外労働時間」「有給休暇の平均取得日数」「評価は年に何回、どんな基準か」「未経験入社の人が半年後に何をしているか」。この4つは、どの職種を受けるときも共通で使えます。答えられない会社は、それ自体が判断材料です。
辞める順番の見通し
在職中に内定を得てから辞めるのが、金銭面でも交渉面でも安全です。 引き継ぎ期間、有給の残日数、賞与の支給日を確認したうえで退職を申し出る順番を決めましょう。営業職は担当顧客の引き継ぎが発生するため、後任が決まるまでに一定の期間を見ておくと揉めにくくなります。


営業からの転職に関するよくある質問
営業から未経験の職種に転職するのは難しいですか?
職種によって難易度に開きがあります。 カスタマーサクセスや営業事務のように営業経験がそのまま接続する職種は入りやすく、マーケティングや事業企画のように実務経験者と並ぶ職種は難しくなります。営業が含まれる「販売の仕事」で転職者を採る理由の最多は「経験を活かし即戦力になるから」58.8%(厚生労働省・令和2年転職者実態調査、事業所調査)であり、営業経験のどこが次の仕事で使えるかを言葉にできるかが分かれ目です。あわせて、採用時に重視された事項の最多が「人員構成の歪みの是正」43.8%である点も見ておきましょう。企業側にも組織構成上の事情があるため、経験の見せ方次第で検討の土俵に乗る余地はあります。
営業以外の職種に移ると年収は下がりますか?
全体の傾向としては、上がる人のほうが多くなっています。 厚生労働省の令和6年雇用動向調査では、転職入職者のうち賃金が増加した人が40.5%、減少した人が29.4%で、増加が11.1ポイント上回りました。ただし1割以上減少した人も21.7%います。歩合や賞与の比重が大きい営業から固定給中心の職種へ移る場合は、下がる側に入る可能性を先に計算しておくのが現実的でしょう。なお同調査は5人以上の常用労働者を雇用する事業所の転職入職者を対象としたものです。
営業成績が良くなくても転職できますか?
成績の絶対値より、何をどう工夫したかの説明で見られます。 達成率が高くなくても、担当エリアの状況、引き継いだ顧客の状態、行動量、改善のために試したことを数字とセットで書けば、再現性のある人だと伝わります。逆に、成績が良くても「気合いで取りました」としか説明できない場合は評価しづらくなるもの。令和2年転職者実態調査(個人調査)では、転職者が現在の勤め先を選んだ理由の上位は「仕事の内容・職種に満足がいくから」41.0%、「自分の技能・能力が活かせるから」36.0%でした(3つまでの複数回答)。統計が示すのは選んだ理由の分布までですが、自分の技能をどこで活かせるかが決め手として挙がりやすい以上、営業経験の使いどころを言葉にしておく意味はあるでしょう。
転職活動はいつから始めればいいですか?
辞める時期を決める前に、情報収集だけ先に始めるやり方が無理のない進め方です。 総務省統計局の労働力調査(2025年平均、15歳以上人口が対象)では、転職等希望者は1,023万人(転職だけでなく副業の希望を含みます)で、実際の転職者は330万人。動きたい気持ちがあっても行動に移していない人は珍しくありません。書類の準備と求人の閲覧は在職中でもできますし、教育訓練給付金を使って先にスキルを足す道もあります。退職を先に決めてしまうと選択肢が狭まりやすいため、内定を得てから辞める順番をおすすめします。
参考:総務省統計局「労働力調査(詳細集計)2025年(令和7年)平均結果の要約」
営業を辞めたいと思うのは甘えですか?
自己都合で辞めた人の理由の最多は「労働条件(賃金以外)がよくなかったから」28.2%で、これは働き方への評価です(厚生労働省・令和2年転職者実態調査、個人調査・有効回答5,530人)。辞めたいと感じること自体は珍しくありません。判断の分かれ目は、その不満が会社を変えれば消えるものか、営業という職種を離れないと消えないものか。前者なら同じ営業での転職が、後者なら職種転換が答えになります。感情の是非ではなく、原因の置き場所で考えてください。
まとめ
営業から転職するときの出発点は、不満の原因を「会社」と「職種」に分けることです。会社を変えれば軽くなる不満と、営業を離れないと消えない不満は別物。この切り分けができると、応募先の絞り込みが一気に楽になります。
転職先は、営業経験を横に持っていく型、上流の設計側へ上げる型、対外的な数字責任から降りる型の3つで整理できます。採用する側は営業経験を即戦力として見ており、同時に人員構成の歪みの是正という事情も抱えている。だからこそ、書類では目標額・達成率・担当数といった数字を先に出すことが効いてきます。年収は全体では上がる人のほうが多いものの、1割以上下がる人も2割強いる。転職後の満足度D.I.が「仕事内容・職種」で60.5ポイント、「賃金」で19.5ポイントという差も、期待値の置き方として覚えておいてください。
たくさんの経営者に会ってきて思うのは、営業という仕事の定義は会社の数だけあるということ。今の環境が合わないことと、営業が向いていないことは、必ずしもイコールではありません。実際にどんな会社があるのかは、熱狂ベンチャーナビの経営者インタビューで社長本人の言葉として読めます。自分の営業経験がどんな会社で歓迎されるのか、比べる材料にしてみてください。
切り分けができたら、次は実際の求人を並べて自分の経験がどこで評価されるかを確かめる段階です。

