警備員は人生終わり?統計で見る実態と、ここから進める2つの道

警備員の仕事に就いたからといって人生が終わる、という根拠は公的な統計には見当たりません。ただし、賃金や体への負担に対する不満には、はっきりした裏づけがあります。
意外に知られていませんが、警備業法が警備員に設けている制限は、18歳未満であることと、法律が列挙する欠格事由の2つだけです。学歴の要件も年齢の上限もありません。
この記事では、警備員の実態を統計と法令で確かめたうえで、業界の中で待遇を上げる道と、他業種へ移る道の両方を整理します。
このまま続けるべきかという悩みに、一人で結論を出す必要はありません。いまの自分にどんな選択肢があるかは、転職のプロに無料で確認できます。
「警備員は人生終わり」と言われる4つの理由
この言葉が繰り返される背景には、思い込みだけでなく、働き方の構造から生まれる事情も混じっています。よく挙がるのは次の4つです。
- 給料が上がりにくく、生活の見通しを立てにくい
- 「誰でもできる仕事」という世間のイメージがつきまとう
- 立ち仕事・屋外・夜勤が重なり、体への負担が大きい
- 現場の先に何があるのかを、教わる機会がない
| 言われる理由 | 実際に起きていること | 数字や制度で確かめられること |
|---|---|---|
| 給料が上がらない | 昇給の幅が小さく、年収が頭打ちになりやすい | 職種別の平均年収と求人賃金が公的サイトで公開されている |
| 誰でもできる仕事だ | 未経験から始められる代わりに、専門性が外から見えにくい | 新任教育の時間数と検定制度が法令で定められている |
| 体がきつい | 屋外・夜勤・立ちっぱなしが同時に重なる | 業務区分ごとに勤務の形が違い、選び直せる |
| この先が見えない | 現場の外に出る道筋を示されないまま年数だけ過ぎる | 検定・指導教育責任者という段階が制度として存在する |
このうち賃金と身体的負担は、感覚ではなくデータで裏づけられる不満です。 厚生労働省の職業情報提供サイトによれば、施設警備員の平均年収は379.9万円、雑踏・交通誘導警備員は335.3万円。決して高い水準ではありません。一方で「誰でもできる」「この先がない」の2つは、制度を知っているかどうかで見え方が変わります。警備業には法律にもとづく教育義務と国家検定があり、外から見えていないだけで階段は用意されているからです。
正直なところ、この4つを並べたときにいちばん気になるのは、3つ目までではなく4つ目でした。給料が低いことや体がきついことは自分でも分かっていて、それでも「先が見えない」が加わった瞬間に、人は自分の職業ごと否定されたように感じてしまうのだと思います。以下では、その「先」がどこにあるのかを、順に数字で確かめていきます。
参考:厚生労働省「職業情報提供サイト(job tag)施設警備員」
公的統計で見る警備員の実態
イメージと実態がずれている部分は、警察庁が毎年公表している業界統計で確かめられます。押さえておきたいのは次の4点です。
- 警備員数は596,985人で、令和3年の589,938人を上回っている
- 3年以上続けている人が6割を超える
- 60歳以上が半数近くを占める一方、30歳未満も6万5千人いる
- 30歳未満に限れば、女性の比率は18.9%に上がる
業界が縮んでいるという前提が、まず事実と違う
令和7年12月末現在の警備員は596,985人で、前年より9,137人(1.5%)の増加。警備業者数も10,949業者と、前年より138業者(1.3%)増えています。推移を見ると令和3年589,938人、令和4年582,114人、令和5年584,868人、令和6年587,848人、そして令和7年が596,985人。いったん減った人数が、直近3年で連続して増えているのが現状です。


「続かない仕事」という前提も、在職年数と合わない
| 在職年数 | 人数 | 構成比 |
|---|---|---|
| 1年未満 | 109,450人 | 18.3% |
| 1年以上3年未満 | 127,560人 | 21.4% |
| 3年以上10年未満 | 186,085人 | 31.2% |
| 10年以上 | 173,889人 | 29.1% |
3年以上続けている人が60.3%、10年以上が29.1%です。 1年未満の人も18.3%いるものの、「みんなすぐ辞める」と言い切れる分布ではありません。長く働いている人が3割近くいる以上、その人たちが何を積み上げてきたのかを見るほうが、判断材料としては役に立つはずです。
年齢構成は高いが、若い層がいないわけではない
年齢別では、30歳未満65,028人(10.9%)、30〜39歳52,968人(8.9%)、40〜49歳78,479人(13.1%)、50〜59歳118,001人(19.8%)、60〜64歳75,001人(12.6%)、65〜69歳78,496人(13.1%)、70歳以上129,012人(21.6%)。60歳以上が計282,509人で47.3%を占める一方、40歳未満も117,996人(19.8%)います。警備員の5人に1人は40歳未満です。


年齢層が高いという事実は、裏返せば「年齢で門前払いされにくい職種」ということでもあります。70歳以上の人も全体の21.6%を占めています。何を理由にその年齢まで働いているのかまでは統計に書かれていませんが、少なくとも、若いうちに警備員をしていることが将来の選択肢を狭めるという因果関係は、ここからは読み取れません。
30歳未満では、女性が5人に1人近い
女性警備員は45,304人で全体の7.6%。ただし年代別の女性比率を見ると、30歳未満18.9%、30〜39歳10.9%、40〜49歳8.6%、50〜59歳8.3%、60〜64歳5.9%、65〜69歳3.8%、70歳以上2.6%と、若い層ほど女性が多くなります。30歳未満に限れば、警備員のおよそ5人に1人が女性です。 「高齢の男性ばかりの職場」という印象は、業界全体の平均としては当たっていても、若い世代の実態とは離れています。


警備員の賃金と求人倍率を数字で確かめる
賃金への不満は正当です。ただし、その数字が労働市場のどこに位置しているのかまで見ておくと、次の判断がしやすくなります。押さえておきたいのは次の4点です。
- 平均年収は施設警備員379.9万円、雑踏・交通誘導警備員335.3万円
- 有効求人倍率は施設警備員3.59倍、雑踏・交通誘導警備員47.97倍
- 全職業平均の有効求人倍率は1.20倍
- 求人賃金(月額)は前年度より上がっている
| 職種 | 平均年収 | 平均年齢 | 求人賃金(月額) | 有効求人倍率 |
|---|---|---|---|---|
| 施設警備員 | 379.9万円 | 53.8歳 | 21.3万円 | 3.59倍 |
| 雑踏・交通誘導警備員 | 335.3万円 | 56.6歳 | 22.5万円 | 47.97倍 |
| 全職業平均 | ー | ー | ー | 1.20倍 |
賃金と平均年齢は令和7年賃金構造基本統計調査を加工した数値、有効求人倍率と求人賃金は令和7年度のハローワーク求人にもとづく数値です。全職業平均の有効求人倍率1.20倍は、厚生労働省が令和8年4月28日に公表した令和7年度分の集計値。職種別の倍率はjob tag、全職業平均は一般職業紹介状況と出典が異なるため、両者の比較は目安として見てください。
施設警備員は全職業平均の約3倍、雑踏・交通誘導警備員は約40倍の求人倍率です。 数字だけを見れば、警備員は「就くのが難しい仕事」ではなく「人が足りていない仕事」に分類されます。この点は、後で転職先を考えるときの比較材料になります。


一方で、賃金の水準が高くないこと自体は動かしにくい事実です。ただし求人賃金(月額)は施設警備員21.3万円で前年度差+0.8万円、雑踏・交通誘導警備員22.5万円で+0.7万円と、いずれも前年度から上がっています。就業形態について、job tagの就業者アンケートでこの職業に多いと感じる形態を聞いた結果は、施設警備員で正規60.9%、契約34.8%、パート17.4%でした(複数回答)。学歴についても、この職業で働く人に多いと感じる学歴として高卒39.1%、大卒23.9%、専門学校卒13.0%、高卒未満8.7%が挙がっています(複数回答、「わからない」37.0%)。job tagには「入職にあたって、特に学歴や資格は必要とされない」と明記されています。
年収が自分の年代の中でどのあたりなのかを知っておくと、転職先を検討するときの基準がはっきりします。年代別の分布については年収1000万円は30代の何%かを扱った記事もあわせてご覧ください。
参考:厚生労働省「職業情報提供サイト(job tag)雑踏・交通誘導警備員」
参考:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年3月分及び令和7年度分)」
法令上、警備員に学歴要件も年齢上限もない
「学歴がないから警備員しかない」「この年齢では他に行けない」という言い方を目にすることがありますが、警備業法が実際に定めているのはもっと限定された条件です。
- 警備員になれないのは18歳未満と、法律が列挙する欠格事由に当たる人だけ
- 応募時に提出を求められるのは、欠格事由に当たらないと誓約する書面が中心
- 教育は法律で義務づけられており、会社の裁量ではない
法律が定める制限は2つだけ
警備業法第14条第1項は「十八歳未満の者又は第三条第一号から第七号までのいずれかに該当する者は、警備員となつてはならない。」と定めています。第2項では、警備業者がそうした人を警備業務に従事させてはならないことも規定。条文に書かれているのは年齢の下限と欠格事由だけで、学歴要件も年齢の上限も職歴要件も存在しません。


第3条第1号から第7号の欠格事由は、破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者、拘禁刑以上の刑等に処せられて5年を経過しない者、最近5年間に警備業法違反などの重大な不正行為をした者、暴力的不法行為をするおそれがある者、暴力団対策法上の命令等を受けてから3年を経過しない者、アルコール・麻薬・大麻・あへん・覚醒剤の中毒者、心身の障害により警備業務を適正に行うことができない者。ここに当てはまらなければ、法律上は警備員になれます。
求められるのは誓約書の提出が中心
警備業法施行規則第66条第1項第2号は、警備業者が営業所ごとに備える書類として「警備員ごとに、法第十四条第一項に規定する者に該当しないことを誓約する書面の提出を受けた旨その他同項に規定する者に該当しないことを確認するために講じた措置を記載した書類(当該提出を受けた書面の添付があるものに限る。)」を挙げています。同項第1号の警備員名簿には、氏名・本籍・住所・生年月日・採用年月日、教育の実施年月日と時間数、保有資格の交付番号などの記載が求められます。
応募者の側が出すのは、欠格事由に当たらないと誓約する書面が中心です。 ただし規則は、誓約書を受け取ったことに加えて「該当しないことを確認するために講じた措置」も記録するよう定めているため、会社によっては本籍地の市区町村が発行する身分証明書などの提出を求められることがあります。いずれにしても、確認されるのは条文が列挙する欠格事由に当たるかどうかであって、経歴の良し悪しを審査する仕組みではありません。
教育は法律で時間数まで決まっている
施行規則第38条第4項は、新たに警備業務に従事させようとする警備員に対し、基本教育と業務別教育を合わせて原則20時間以上行うことを定めています。同条第5項は、現に従事している警備員に対して毎年度原則10時間以上の教育を義務づけるもの。検定の合格証明書を持つ警備員は、その種別の業務に就く場合は業務別教育の対象から外れ、他の区分に就く場合も時間数が短くなるなど、免除や短縮の区分が設けられています。


「誰でもできる仕事」と言われるとき、抜け落ちているのがこの部分です。受けた教育の時間数と内容は、営業所の書類として記録に残っています。 職務経歴を書くときに、何時間どんな教育を受け、どの現場でどの業務に就いたかを具体的に書けるのは、記録が制度として残る職種だからでもあります。ただし備付けの義務には期限があり、規則第66条第2項により、警備員名簿は退職の日から1年間、教育計画書と教育実施記録は当該年度終了の日から2年間です。辞めてしばらく経ってから会社に照会しても残っていないことがあるため、在職中に自分で控えを取っておくと確実です。
参考:e-Gov法令検索「警備業法」
参考:e-Gov法令検索「警備業法施行規則」
警備業の中で待遇を上げる3つの階段
辞める以外の選択肢を検討するなら、業界内で段階を上がる道があります。制度として存在し、実際に取得している人がどれくらいいるかも公表されています。
- 警備業務の種別ごとに設けられた検定
- 営業所ごとに置かれる警備員指導教育責任者
- 機械警備業務に関する資格者証
| 資格 | 保有者数 | 位置づけ |
|---|---|---|
| 検定合格証明書(1級・2級) | 161,019人 | 警備業務の種別ごとに1級・2級で区分される国家検定 |
| 警備員指導教育責任者資格者証 | 73,091人 | 1号から4号の区分ごとに交付される資格者証 |
| 機械警備業務管理者資格者証 | 8,076人 | 機械警備業務に関する資格者証 |
検定合格証明書と機械警備業務管理者資格者証は警備員の人数、警備員指導教育責任者資格者証は警備員および警備業者の従業者を合わせた人数です。
検定合格証明書を持つ警備員は161,019人で、警備員総数596,985人のおよそ27%にあたります。 延べでは1級34,903人、2級194,244人。令和7年中の交付件数は1級1,760件、2級14,013件で、種別の内訳は施設警備が1級632件・2級3,539件、交通誘導が143件・6,282件、雑踏が350件・1,899件、空港保安が552件・1,336件、貴重品運搬が73件・936件、核燃料物質等運搬が10件・21件でした。


警備員指導教育責任者の資格者証を持つ人は73,091人(延べ106,645人。1号48,031人、2号36,200人、3号10,706人、4号11,708人)で、令和7年中の交付件数は14,224件でした。これは資格者証の交付件数であって、指導教育責任者に選任された人数ではありません。 同じ人が複数の区分を取得すればそれぞれに計上されますし、現場に立ち続けたまま資格だけを持つ人も含まれます。選任するかどうかは会社ごとの運用ですが、教育や指導を担う側に回るための制度上の入口は、毎年これだけ開いている計算です。
資格を取れば必ず給料が上がると言い切れる公的データはありません。それでも、検定合格者は業務別教育が免除または短縮されるなど、法令上の扱いが変わる場面は実際にあります。同じ現場に立つとしても、有資格者として配置されるのか、そうでないのかで会社側の位置づけは変わってくるのです。
費用面では、雇用保険の一般教育訓練給付金という制度があります。厚生労働省の手引によれば、支給額は教育訓練経費の20%に相当する額が限度で、その額が10万円を超える場合は10万円、4千円を超えない場合は支給されません。受講開始日に雇用保険の被保険者で、支給要件期間が3年以上(初めて利用する場合は当分の間1年以上)あることが条件です。すでに離職している場合も、被保険者資格を失った日の翌日から受講開始日までが1年以内で、同じ支給要件期間を満たしていれば対象になります。ただし対象は厚生労働大臣が指定した講座に限られ、公安委員会や登録講習機関が実施する警備員検定や警備員指導教育責任者講習がそのまま対象になるわけではありません。他分野の資格取得を考える場合も含め、受けたい講座が指定を受けているかを厚生労働省の教育訓練講座検索システムで先に確認してください。
参考:警察庁「令和7年における警備業の概況」
参考:厚生労働省「教育訓練給付制度とは」
参考:厚生労働省「教育訓練給付金制度(一般教育訓練)関係手引」
同じ警備員でも条件が変わる。業務区分と会社の規模を見る
「警備員」とひとくくりに語られがちですが、法律上の業務区分は4つに分かれ、勤務の形も待遇も違います。今の職場がつらいとき、業種ごと変える前に区分や会社を変えるという道もあります。見ておきたいのは次の4点です。
- 業務区分は1号から4号までの4つに分かれる
- 屋内中心の1号と屋外中心の2号では、体への負担も勤務の形も違う
- 3号・4号を扱う業者は全体の1割に満たない
- 警備員数100人未満の業者が全体の90.3%を占める
| 区分 | 主な業務 | 実施している業者数 |
|---|---|---|
| 1号 | 施設警備、機械警備、空港保安 | 6,975業者(63.7%) |
| 2号 | 交通誘導、雑踏警備 | 8,768業者(80.1%) |
| 3号 | 現金・貴重品などの運搬警備 | 638業者(5.8%) |
| 4号 | 身辺警備 | 699業者(6.4%) |
1社が複数の区分を行う場合は各区分に重複して計上されているため、合計は業者総数10,949を上回ります。内訳では交通誘導が8,241業者(75.3%)、雑踏が5,164業者(47.2%)、施設が6,690業者(61.1%)、機械警備が512業者(4.7%)、空港保安が84業者(0.8%)。
屋外での立ち仕事が中心の2号警備と、屋内で監視・巡回を行う1号警備では、体への負担も勤務時間の組み方も変わります。 平均年収も施設警備員379.9万円に対し雑踏・交通誘導警備員335.3万円と差があり、job tagの就業者アンケートで多いと感じる就業形態に正規を挙げた人も、施設警備員60.9%に対し雑踏・交通誘導警備員45.5%と開きがあります(複数回答)。3号の運搬警備を扱う業者は5.8%、4号の身辺警備は6.4%で、実施している会社そのものが限られる分野です。3号・4号に絞った求人の件数は警察庁の統計からは分からないため、実際の募集がどれくらいあるかは求人票で確かめてください。
会社の規模も待遇に効いてきます。警備員数100人未満の業者が9,885業者で全体の90.3%を占め、1,000人以上はわずか57業者(0.5%)。教育の仕組みや資格取得の支援、シフトの組み方は会社ごとに大きく異なるため、「警備の仕事が合わない」のか「今の会社が合わない」のかを切り分けてから動くほうが、選択肢は広くなります。 面接では、資格取得の費用負担があるか、指導教育責任者になった社員が実際にいるか、年間の教育をどう回しているかを具体的に聞いてみてください。


他業種へ移るなら、経験の言語化と求人倍率の確認から
業界の外に出ると決めたときにやることは、大きく2つです。
- 警備員としてやってきたことを、業務の単位に分解して書けるようにする
- 移りたい先の求人倍率を先に確かめ、入口の広さを把握する
「立っていただけ」ではない部分を書き出す
職務経歴書に「警備員」とだけ書くと、何をしていたかが伝わりません。実際にやっていたことを分解すると、出入管理、鍵と施錠の管理、防災センターでの監視業務、巡回と異常時の初動対応、来訪者対応、緊急連絡の手順の実行、後輩への引き継ぎと指導、シフトの調整など、名前のつく業務が並びます。受けた教育の時間数と内容、担当した現場の規模、保有している検定の種別と級は、いずれも記録に残る客観的な事実です。
無断で持ち場を離れられない仕事を、決められた手順どおりに、記録を残しながら継続してきたという事実は、そのまま職務経歴になります。書き出し方に迷ったら、自己PRが思いつかないときのエピソードの探し方も参考にしてください。
入口の広さは、想像と逆になることがある
警備員からの転職先としてよく挙がるのがマンション管理員です。ところが公的データを並べると、話は単純ではありません。
| 職種 | 平均年収 | 有効求人倍率 | 多いと感じる就業形態 |
|---|---|---|---|
| 施設警備員 | 379.9万円 | 3.59倍 | 正規60.9% |
| マンション管理員 | 370.1万円 | 0.66倍 | パート42.3%・契約38.5% |
就業形態は、job tagの就業者アンケートでこの職業に多いと感じる形態を聞いた結果(複数回答)で、実際の雇用形態の構成比ではありません。
マンション管理員の有効求人倍率は0.66倍で、全職業平均の1.20倍を下回ります。 平均年収も370.1万円と施設警備員の379.9万円より低く、多いと感じる就業形態に正規を挙げた人は19.2%にとどまります。平均年齢は57.6歳です。「警備員より楽そう」という理由だけで選ぶと、入口が想定より狭いことに後から気づくことになります。
転職先を検討するときは、職種名でjob tagを引き、平均年収・有効求人倍率・就業形態の3つを先に見ておきましょう。そのうえで、マイナビやリクナビといった求人サイト、あるいは転職エージェントに実際の求人を出してもらい、公的な平均値と目の前の求人票を突き合わせるのが確実です。求人倍率が高い職種は入りやすい代わりに人手不足の理由があり、低い職種だから待遇が良いとも限りません。両方を数字で見てから決めてください。
参考:厚生労働省「職業情報提供サイト(job tag)マンション管理員」
採用する側は経歴のどこを見ているのか
転職を考えるとき、いちばん不安なのは「警備員という職歴で書類が通るのか」でしょう。取材で経営者に会っていて意外だったのは、この点を気にしているのがほとんど求職者の側だけだったことです。中小企業やベンチャーの社長は、経歴の欄よりも先に別のところを見ていました。話を聞いていて見えてきたのは次の3点です。
- 経歴の欄で足切りをしない会社は実在する
- 「未経験歓迎」が本物かどうかは、面接での質問で確かめられる
- 体力が落ちた後の働き方は、業種よりも会社の設計で決まる部分が大きい
株式会社USEN FIELDINGの代表取締役社長・寺見俊吾さんは、現場仕事から入るキャリアについてこう話しています。
すべての会社がこの方針というわけではないものの、経歴の欄で足切りをしない会社は実在します。 求人票に「未経験歓迎」と書いてある場合は、面接で「未経験から入った人は実際に何人いますか」「その人たちは今どんな仕事をしていますか」と聞いてみると、方針が本物かどうかが分かります。
年齢を重ねた後の働き方について、クロスボーダー株式会社の代表取締役・佐藤泰也さんは次のように語っています。
警備業は60歳以上が47.3%、70歳以上が21.6%を占める業界です。体力が落ちたら終わりという不安は現実的なものですが、部署や役割を変えながら働き続けられるかどうかは、業種ではなく会社の設計によって決まる部分が大きいと言えます。面接で「体力的にきつくなった社員はどうしていますか」と聞くのは、失礼な質問ではありません。
警備員と「人生終わり」に関するよくある質問
警備員から他の業種に転職できますか?
職務経歴を業務の単位に分解できるかどうかで、通りやすさは変わります。 「警備員」という職種名だけでは何をしていたかが伝わらないため、出入管理、監視業務、巡回と初動対応、後輩の指導、シフト調整といった具体的な業務名に書き換えてください。保有している検定の種別と級、受けた教育の時間数も客観的な事実として書けます。警備業法施行規則では新任教育が原則20時間以上、現任教育が毎年度原則10時間以上と定められており(検定合格者には免除や短縮の区分があります)、これらは営業所の書類として記録に残るものです。ただし教育の記録は年度終了の日から2年間の備付けなので、在職中に控えを取っておくと安心です。
警備員に年齢の上限はありますか?
警備業法が定めているのは18歳未満という下限だけで、上限は条文にありません。 警備業法第14条第1項が制限しているのは、18歳未満の者と、第3条第1号から第7号までの欠格事由に該当する者です。実態としても、令和7年12月末時点で70歳以上の警備員は129,012人(21.6%)、65歳以上まで含めると207,508人にのぼります。年齢を理由に採用されるかどうかは会社ごとの判断になりますが、法律上の上限は存在しません。
資格を取れば給料は上がりますか?
資格の取得と昇給を直接結びつける公的なデータは公表されていません。 そのうえで言えるのは、検定合格証明書を持つ警備員が161,019人(警備員総数の約27%)、警備員指導教育責任者の資格者証を持つ人が73,091人おり、令和7年中だけで検定1級1,760件・2級14,013件、指導教育責任者14,224件が交付されているという事実です。検定合格者は業務別教育が免除または短縮されるなど、法令上の扱いが変わる場面があります。会社によって手当の有無や金額は異なるため、在籍中の会社に資格手当の規定があるかを先に確認してください。
女性でも警備員として働けますか?
警備業法に性別による制限はなく、統計上も女性警備員は45,304人います。 全警備員に占める比率は7.6%ですが、年代別に見ると30歳未満で18.9%、30〜39歳で10.9%と、若い層ほど比率が高くなります。70歳以上の2.6%と比べると、30歳未満は7倍以上。業務区分によって求められる勤務形態が異なるため、施設警備、交通誘導、空港保安などのうちどの現場を扱っている会社なのかを確認したうえで応募先を選ぶとよいでしょう。
AIやロボットで警備員の仕事はなくなりますか?
機械警備は普及しているものの、警備員数は減っていません。 経済産業省が令和6年における警備業の概況をもとに整理したところでは、機械警備を導入している住宅は2024年末時点で約185万戸、警備業の売上高は約3.4兆円です。一方で警察庁の集計では、令和7年12月末時点の警備員は596,985人と直近5年で最も多く、有効求人倍率も施設警備員3.59倍、雑踏・交通誘導警備員47.97倍と高い水準にあります。機械警備がどこまで人の警備を置き換えているのかを直接示した統計は見当たりませんが、少なくとも警備員数と求人倍率からは、人手が足りない状態が続いている様子がうかがえます。
参考:経済産業省「ひと言解説:安全・安心を守るサービス ~警備業~」
まとめ
「警備員は人生終わり」という言葉は、統計を並べてみると根拠が見当たりません。警備員数は596,985人で令和3年の589,938人を上回り、3年以上続けている人が60.3%、10年以上が29.1%。警備業法が定める制限は18歳未満と欠格事由だけで、学歴要件も年齢上限もありません。新任は原則20時間、現任は毎年度原則10時間の教育が法律で義務づけられ、検定合格証明書は161,019人、警備員指導教育責任者の資格者証は73,091人が保有しています。
賃金が低いという不満には根拠があります。施設警備員379.9万円、雑踏・交通誘導警備員335.3万円という数字は事実です。だからこそ、業界の中で区分や会社を変えて資格を積む道と、業務を言語化して他業種へ移る道の両方を、数字を見ながら比べてください。マンション管理員の有効求人倍率0.66倍のように、楽そうに見える職種のほうが入口が狭いこともあります。
いろいろな会社の社長に話を聞いてきて思うのは、経歴の欄を見て人を判断している経営者は、こちらが思っているほど多くないということです。少なくとも、熱狂ベンチャーナビの経営者インタビューで聞ける話の多くは、どこで働いていたかより、そこで何をどう続けたかに向いていました。今いる場所で何を積み上げてきたのかを書き出すところから始めれば、次の一歩は見えてきます。
自分の経験がどの職種でどう評価されるのかは、求人を持っている側に聞くのが早道です。

