【代表者インタビュー】株式会社あしたのチーム 代表取締役社長 山本 拓馬

生え抜き社員から社長へ。中小企業の「人と組織」に伴走し続ける仕事
仕組みをつくって終わりにしない。人事評価制度の伴走支援で、中小企業の可能性をひらく
社員数100名以下の中小企業では、人事の専任者がいないことも珍しくありません。人事評価制度のコンサルティング、運用の伴走支援、クラウドシステムの3つの事業を柱に、そうした中小企業の「人と組織」の課題に向き合い続けているのが、株式会社あしたのチームです。
2008年の創業当時、人事評価制度はまだ世の中に十分認知されていませんでした。転機となったのは働き方改革でした。企業が人への投資に意欲的になる流れの中で、同社のサービスは多くの中小企業へと広がっていきました。
2026年2月、同社の代表取締役社長に就任したのが山本 拓馬さん(以下、山本さん)です。2013年に新卒で入社し、営業やコンサルタントとして現場の最前線で「人」と「組織」に向き合ってきた山本さんは、新卒入社の生え抜き社員として初めて社長となりました。親会社の変更を機に「健康経営®」という新たなテーマへの挑戦も始まる中、人事評価制度が持つ可能性とこれからの展望について伺いました。
【プロフィール】

株式会社あしたのチーム
代表取締役社長 山本 拓馬
趣味
ゴルフ、料理、スパルタンレース
座右の銘
明日には明日の風が吹く
尊敬する人
田中 角栄
学生が読むべき本
「5年後に君の会社はあるか?」牧野 正幸
経営者におすすめの本
「新規事業を必ず生み出す経営」守屋 実
人生で一番熱狂したこと
長距離走で自己ベストを出すために日々奔走していた頃
人事のリソースもノウハウもない。中小企業のリアルに向き合う3つの事業

コンサルティング・伴走支援・クラウドシステムの3本柱
小川:まずは、御社の事業について教えていただけますか?
山本さん:当社は創業以来、人事評価制度のコンサルティング、運用の伴走支援、そしてクラウドシステム(SaaS=クラウド型のソフトウェアサービス)の3つを事業の柱としてきました。お客様のほとんどは、社員数100名以下の中小企業です。
こうした会社では、人事部門が独立していなかったり、そもそも人事の担当者がいなかったりします。経理のマネージャーが採用も兼務しているような会社も少なくありません。人事のリソースとノウハウがないため、良い仕組みが会社にあっても使いきれないのです。
もう1つの課題が管理職です。成長している会社ほど現場の管理職はプレイングマネージャーがほとんどで、 マネージャーとして十分な育成を受けないまま、成果を上げてきたハイプレイヤーが管理職を務めているケースも多くあります。評価制度と言われても分からず、極端に言えば「自分の真似をしていれば成果が出る」という環境になっているので、仕組みがあっても、評価者がどのように運用するかによって、制度が機能するかどうかが決まってしまいます。ここが、社員数100名前後の会社の1つの壁だと思っています。
だからこそ当社は伴走支援として、仕組みを定着させるための人事業務のBPO(業務の外部委託)や、管理職向けの研修を行い、つくった評価制度がきちんと定着し、浸透していくところまで寄り添っています。
転機は働き方改革。企業が「人への投資」に動き出した
小川:創業当時、人事評価制度は世の中でどのように認識されていたのでしょうか?
山本さん:創業は2008年で、リーマンショックの後ということもあり、世の中はどちらかというと後ろ向きでした。当時は、多くの企業が「数字さえみていればいい」と捉えており、その必要性はあまり認識されていなかったのです。
転機は働き方改革でした。私が入社して2年目の頃、国が働き方改革を打ち出したのをきっかけに、各企業が人に対して投資をすることに意欲的になっていったのです。それ以前からセミナーは開催していたものの、「そういうものか」という程度の反応でした。それが、多くの経営者のマインドが変わり、「うちもやらなければ」と言っていただけるようになった。そこから一気に伸びてきた会社です。
創業者の実体験から生まれた「中小企業を助けたい」という思い
小川:そもそも、人事制度を支援するビジネスはどのような経緯で始まったのですか?
山本さん:私が入社する前の話なので伝え聞いた形にはなりますが、創業者の高橋が前職でブライダルリングを扱う会社の副社長を務めていた時代に、社内へ人事制度を導入した経験が原点です。
当時、社員数30人ほどのベンチャーだった会社が、2、3年で200人規模へと急成長したそうです。50人、100人、200人と成長していく中で、人事制度のあり方や運用の仕方はまるっきり変わります。多くの店長を抱える組織だったこともあり、制度を浸透させる難しさも肌で感じたと聞いています。同じ悩みを持っている経営者は多いのではないかという気づきから、人事制度のビジネスを1つの武器に、中小企業を助けたいという思いで創業したのが当社の始まりです。
システムを入れて終わりではなく、「人」で寄り添う伴走支援

どれほど優れた機能も、使いこなせなければ意味がない
小川:人事領域の支援サービスが増えている中で、御社ならではの強みはどこにあるのでしょうか?
山本さん:仕組みの設計、伴走支援、システムという3つの中でも、伴走支援が一番の強みです。人事の方々は、自分たちでもやりたいことがあり、頭の中に描いているものもあります。しかし、それを形にするためのノウハウとリソースが十分にない。そこに当社は寄り添うことができます。
最近のHRテック(人事領域のテクノロジー活用)業界では、システムに磨きをかけて「これさえ導入すれば社内で使えます」という会社が多く、システムの活用を支援するカスタマーサクセスの部隊が強い傾向にあります。一方で当社が重視してきたのは、システムを提供して終わりではなく、どれほど優れた機能であっても活用・定着まで伴走することです。特に人的リソースが限られた中小企業に対して、その支援を大切にしてきました。
実際、社内で一番多い職種はコンサルタントです。コンサルタントが人事の方や経営者の方と月1回の面談を行い、評価者向けの研修や1on1(上司と部下が定期的に行う個別面談)をご提案したり、評価の結果が出た際には一緒に分析して「この評価は甘いのではないですか」「厳しいのではないですか」といった対話を重ねています。本当に人事の代わりとなって伴走し、次の目標設定まで深く入り込んでご支援できることが、当社の一番の強みですね。
2年、3年と続く関係だからこそ「誰とやるか」で選ばれる
小川:お客様が御社を選ばれる決め手は、どのようなところにあるのでしょうか?
山本さん:一番は「人」です。抽象的かもしれませんが、当社のようなサービスを手がけている競合はそもそも少なく、一番手のかかる労働集約型の領域なので、最近では敬遠されがちでもあります。それをやっているだけでもご評価いただけるのですが、結局は中に入って伴走しながら、2年、3年と長いお付き合いをしていくことになります。
だからこそ、「誰とやるのか」がとても大事になるのです。実際、コンサルタントの人柄やコミュニケーションの相性を大切に思ってくださるお客様が多く、そこを評価してお選びいただいていると感じます。そのため、商談のプロセスの中に担当者との顔合わせの場を設けたり、プロジェクトが始まる前には必ずキックオフのミーティングを組んだりしています。
「人が辞めてしまった」。企業が人事制度を見直す理由
小川:どのようなタイミングでお問い合わせいただくことが多いのですか?
山本さん:本来であれば、課題が大きくなる前の段階でご相談いただけると理想なのですが、一番多いのは課題が顕在化したタイミングです。中でも多いのが「人が辞めてしまった」というご相談ですね。
従業員にとっては、人事制度がないとキャリアプランがみえませんし、毎年給与は上がるものの、なぜ上がったのかが分からない。「今年のほうが去年より成績がよかったのに、なぜ去年と同じ1万円の昇給なのだろう」。この不透明さに、不安や不満を感じてしまうのです。年功序列の風土が残る会社ですと、自分の方がパフォーマンスを出しているのに年長者の方が役職に就いている、という不満がきっかけで辞めていくケースもあります。
退職まで至らなくても、それがモチベーションの上がらない要因になり、20代、30代のこれから伸び盛りの従業員が、主体的に仕事へ取り組む意欲が薄れてしまう。こうした課題を受けて、「従業員がより力を発揮できる環境を整えたい」「組織全体の成果を高めたい」と考えた企業から、お問い合わせをいただくことが多いです。
新卒から現場一筋。最前線で痛感した管理職の課題

「とりあえず管理職」を生み出す、育成体制の不在
小川:山本さんは新卒で入社されてから、営業やコンサルタントとして現場の最前線に立ち続けてこられたと伺いました。「人」と「組織」に向き合う中で、特に強く感じてきた課題はありますか?
山本さん:評価制度という仕組みが社内に存在する会社は、ずいぶん増えてきました。ただ、評価制度を十分に活用できていないケースは今なお少なくありません。
要因はいろいろありますが、一番は管理職層がマネジメントや評価、指導、育成のノウハウを十分に学ぶ機会がないまま、管理職を担っているケースが多いことです。それをできるようにする体制が、多くの会社でまだ整っていません。
もう1つは、仕組みが整っていても、実行するための時間や余力が確保できていないことです。ハイプレイヤーがそのままマネージャーとなり、プレイヤーとして高い成果を求められ続けるケースも少なくありません。時間の使い方をマネージャーとして切り替えられず、マネジメントという仕事がただ増えただけになってしまう。
最近よく言われる「管理職になりたがらない人が増えている」という現象も、マネージャーとしての仕事の仕方が世の中に浸透していないことが背景にあると思っています。この問題を解消していかなければ、そうした人はどんどん増えてしまいます。広いテーマですが、この領域にはまだまだ強い課題感を持っています。
辞める決意をしていた店長が、会社を支える存在に

「もう少しだけ頑張ろうと思います」。説明会後に届いた一通のメール
小川:そうした課題と向き合ってきた中で、特に印象に残っている事例はありますか?
山本さん:入社3年目のタイミングで福岡に赴任したのですが、最初のお客様が当時100人ほどの小売店でした。
「新たな人事制度が導入されます」という社内向けの説明会を実施したところ、ある店長さんからご連絡をいただいたのです。「実は辞めようと思って転職活動もしていたのですが、今日の話を聞いて、もう少しだけ頑張ろうと思います」というメッセージでした。直接会話をしたわけではなく、メールをいただいただけでしたので、そのときは「きっかけになったのなら良かった」と受け止め、その背景までは深く考えていませんでした。
数字だけで評価される不透明さが、退職を考える要因になっていた
小川:その店長さんは、なぜ辞めようとされていたのですか?
山本さん:給与の決まり方が、経営者の感覚に委ねられていたためです。小売店の特性として、店舗の売上で評価が決まる環境だったのですが、店舗の成績は立地や、近隣に似たショップができたといった外的な要因にも左右されます。
「今期は店舗としてこんな改善をした」というプロセスはあまりみられず、数字だけで自分の評価が決まってしまう。「それだけではない」と言われても、では何をみているのかが具体化されていない。「自分をみてもらえている」という感覚が持てなかったことが、退職を考える一番のきっかけになっていたようです。
1人の変化が組織の成長へ。働く人の人生に関われる仕事
小川:その後、店長さんにはどのような変化があったのでしょうか?
山本さん:「この会社で頑張ろう」と一度思っていただけたことで、研修のたびに「こういうときはどうしたら良いのか」「今こんなことに悩んでいるので解決策を教えてほしい」と、当社をどんどん活用してくださるようになりました。私たちもその質問に答え続けましたし、その悩みに合わせた研修を企画していきました。
その方は人事の担当ではなかったのですが、店長さんを軸に「社内でこういうことをやっていったら良いのではないか」という会話が増え、結果としてそれが他の店長にも使えるツールになっていったのです。部下をどう指導していくのかというマネジメントの考え方が、社内に浸透していきました。
ご本人にとっては、自分たちが考えて行動したことが、その会社のスタンダードになっていくことが大きなやりがいだったようです。積み上げてきたことが教育の体系やマニュアルに組み込まれ、会社を成長させるキーマンになっていきました。今ではその方は、社長の右腕ともいえるポジションに就かれ、組織も約300名規模に成長しています。
当時辞めることを考えていた方が、会社が変わろうとする節目に一踏ん張りした結果、その会社を支える重要なポストで活躍されている。その姿をみると、働く人の人生にも関われる大きな仕事なのだと感じます。今も鮮明に覚えている事例ですね。
世の中にない価値を伝え、広げていく。山本さんの「熱狂」

認知されていない時代に全国でセミナーを続けた日々
小川:これまでお仕事をされてきた中で、山本さんが最も熱狂したエピソードを教えてください。
山本さん:お客様との仕事が一番楽しく、熱狂できる時間なのですが、先ほどの事例と重なってしまうので、あえて違う話をすると、意外にも「逆境に立たされたとき」です。
人事制度というものが世の中にあまり認知されていなかった創業初期は、全国でひたすらセミナーを開催していました。まだ認知されていないけれど、企業にとって重要になっていく考え方を一生懸命伝えていたんです。新しい考え方や価値観を伝えることで、その方に新たな気づきが芽生え、「ちょっとやってみようか」というチャレンジが生まれ、それを支えていく。これが当社の営業のスタイルでした。
人の考え方や価値観に新たな視点をもたらすような情報発信を行い、それを信じてご発注いただいたお客様に、本当に価値を実感していただけるサービスを提供し続ける。ここが一番のやりがいだと思っています。
親会社の変更を機に始まった「健康経営®」普及への挑戦
小川:かつて人事評価制度を広めてきたように、今、新たに広めようとしていることはあるのでしょうか?
山本さん:ちょうど親会社が変わったタイミングなのですが、新たな親会社は、中小企業に健康経営を広めていく構想の中で、当社をグループに迎えました。これをきっかけに、私自身も健康経営の必要性を改めて考えるようになり、中小企業への普及に取り組みたいと思うようになりました。
実は、当社はこれまで健康経営を前面に打ち出してきたわけではありません。しかし、改めて健康経営について深く考えてみると、本質は「働く人たちが元気に活躍できる状態をつくり、その状態を維持するために、経営者や企業が従業員とどう向き合うか」ということです。それは、当社がこれまで大切にしてきた「ワクワク」という考え方と非常に親和性が高く、本質的には同じことを目指しているのだと感じました。
それをどうマーケットに伝え、「必要だ」と感じていただきながら、お客様を増やしていくか。ちょうど今は、その取り組みが始まったばかりのフェーズです。だからこそ、今まさに熱狂していますし、これをどう形にしていくかを楽しみながら仕事に取り組んでいます。
変化を楽しみ、自分を磨き続けられる環境

経営者と向き合う仕事だからこそ、知識も人間力も磨かれる
小川:御社では、熱狂しながら働ける環境をつくるために、どのようなことを大切にされているのでしょうか?
山本さん:一番は、成長できる環境だと思っています。ポイントは2つあります。
1つは、経営者を相手にする仕事だということです。自分自身が経営をしたことのある人の方が当然少ない中で、経営者の方に人事や人事評価をお伝えしなければなりません。圧倒的なインプット量が必要ですし、人事を取り巻く環境や制度、企業が抱える課題は常に変化しています。その変化に対応するためにも、学び続け、知識をアップデートし続けることが欠かせません。お客様からはプロとしてみられますから、知識を身につけ続けることが重要です。
さらに、知識だけではなく、1回りも2回りも上の経営者とコミュニケーションをとり、信頼していただく必要があるので、人間力も求められます。自分自身を磨き続けること、成長させることに意欲的な方ほど熱狂していますし、活躍してくれています。
変化を前提に、アップデートし続ける企業文化
小川:もう1つのポイントは何でしょうか?
山本さん:当社自体が、常に変化し続けている会社だということです。決まったルーティーンをこなすというより、常に新しいことにチャレンジしよう、「今の常識は非常識」という考え方でアップデートし続けよう、ということが求められる環境です。そうした変化を前向きに楽しみながら、一人ひとりが挑戦し続けられる環境づくりを大切にしています。
ゼロから正解をつくりにいける人が活躍できる
小川:そうした環境の中で、今はどのような人材を求めていますか?
山本さん:今、会社のフェーズが変わってきています。親会社が変わり、健康経営を広めていくことに加えて、人事制度以外のサービスももっと展開していきたいと考えているためです。
新たな価値を世の中に届けたり、既存のサービスをより良くしたりする、企画や開発ができる方は、これからもっと必要になってきます。もちろんコンサルタントの採用も引き続き行いますが、会社の仕組みをつくり、新しいサービスを生み出していく人材を求めています。何かをゼロからつくり上げるのが好きな方、正解がないところで自分で正解をつくりにいける方は、とても活躍できる環境だと思います。
評価・報酬にとどまらない、「人事の総合ソリューション」へ

健康経営の普及と、人事領域の総合支援という2つの展望
小川:最後に、会社としての今後の展望を教えていただけますか?
山本さん:大きくは2つあります。1つは、健康経営を世の中の中小企業に、当たり前のものとして普及させていくことです。
もう1つは、人事周りの総合的なソリューションを提供できる会社になることです。現在は人事評価制度のコンサルティングがメインですが、人事はそれだけではありません。採用から教育、評価、報酬という一連の流れがある中で、当社の支援はまだ評価と報酬のところが中心になっています。そこをより広げていき、採用の支援や教育の支援まで手がけることで、人事のプロフェッショナルとして中小企業を支えていきたいと考えています。
会社概要
| 会社名 | 株式会社あしたのチーム |
| HP | https://www.ashita-team.com |
| 設立 | 2008年9月 |
| 事業内容 | ・人事評価制度の構築・運用「あしたのチーム®︎」 ・人事評価クラウド「あしたのクラウド®︎ HR」 ・1on1コーチング「あしたのコーチ™」 ・オンライン学習ツール「あしたのeラーニング™」 |
| 採用情報 | https://hikoma.jp/ashita-team-recruit |
※2026年6月25日時点の情報です。
※「健康経営®」は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。
