【代表者インタビュー】株式会社kachime 代表取締役CEO 竹田 圭吾

株式会社kachime-代表取締役CEO-竹田 圭吾

地方中小企業のIT格差に挑む、「チームで勝つ」経営の全貌

目次

誰もやりたがらない領域だからこそ、自分たちがやる意味がある。「あらゆる人に価値が届くかたちへ」

AIやDXといった言葉が広がる一方で、地方の中小企業ではITツールを導入しても使いこなせず、成果につながらないケースが後を絶ちません。その背景には、IT人材の不足、リテラシーの格差、業務オペレーションの未整備といった構造的な課題があります。

「経済合理性がみえにくい領域に、経済合理性を生み出す」。そう語るのは、株式会社kachime代表取締役CEOの竹田 圭吾さん(以下、竹田さん)です。jinjer株式会社で事業サイド全般のマネジメントを担い、約300名規模の組織を率いてきた竹田さんは、クラウドサービスを導入しても活用しきれず離脱していく地方中小企業の姿を目の当たりにしてきました。

2025年、「あらゆる人に価値が届くかたちへ」というミッションのもと、kachimeを設立。IT部門の戦略から実働までを一括で請け負う「まるごとIT」という独自のサービスモデルで、地方中小企業のIT課題に真正面から向き合っています。1人目の社員としてCHRO(最高人事責任者)を迎え入れるという異例の組織づくりから、「5年で売上100億円」という高い目標設定の背景まで、竹田さんにお話を伺いました。

【プロフィール】

株式会社kachime 代表取締役CEO 竹田 圭吾

株式会社kachime

代表取締役CEO 竹田 圭吾

趣味

仕事

座右の銘

好きこそものの上手なれ

尊敬する人

何かを頑張っている人

学生が読むべき本

「宇宙兄弟」小山 宙哉

経営者におすすめの本

「キングダム」原 泰久

人生で一番熱狂したこと

今が一番熱狂しています

「まるごとIT」で企業のIT部門を一括支援する。戦略から実働までを担う事業モデル

株式会社kachime 代表取締役CEO 竹田 圭吾

IT人材不足の現場で求められる、丸投げできるパートナー

小川:御社がどのような事業をされているのか教えてください。

竹田さん:当社は、BPO(業務プロセスの外部委託)やBPaaSと呼ばれるサービスを提供しております。現在展開しているサービスドメインとしては、情報システム部門、いわゆるコーポレートITと呼ばれる領域を支援する事業を展開しています。IT部門の戦略策定から実働までをまるごと担う「まるごとIT」というサービスを掲げ、実行(BPO)と戦略(コンサルティング)の2軸で支援を行っています。

IT人材不足は広く知られていますが、コーポレートITの分野はとりわけ深刻です。地方の中小企業では総務の方が情報システム業務を兼任していたり、「ひとり情シス」と呼ばれるように1人の担当者がすべてをIT業務を担っていたりするケースも珍しくありません。

そうした企業に対して、ITツールの導入支援やAIの活用支援、ヘルプデスク支援などITに関するお困りごとを幅広く対応しています。

AIを「導入しただけ」で終わらせない。浸透までを支援する

小川:具体的にはどのような支援をされているのでしょうか?

竹田さん:たとえばAIの導入支援を例にお話しします。地方の中小企業では、経営者がAIの波を感じ取り、社員に使わせようとツールを契約するところまでは進みます。しかし、社員は使いこなせないままお金だけが流出しているという状態が多いのが実情です。

大切なのは、ツールを入れることではなく、社員が使いこなせる状態をつくること。 各社のサービスが部分的な提供なのに対して、弊社は使いこなせる業務の全てを支援します。たとえば、業務分解、AI教育、AIツール選定、AIツールの初期セットアップ、AI開発など本来はAIを使いこなすと言っても課題は様々ありますが、その全てを弊社で担うことができ、お客様が本当の意味で価値を感じてもらえるサービス提供を心がけております。

jinjer時代の原体験が起業の原点に。地方中小企業のIT格差を目の当たりにして

株式会社kachime 代表取締役CEO 竹田 圭吾

同じサービスを提供しているのに、成果が分かれる現実

小川:地方の中小企業をメインターゲットにされている背景には、何かきっかけがあったのでしょうか?

竹田さん:前職のjinjerで約300名規模の事業サイドをマネジメントしていたとき、顧客の約半数が地方の中小企業でした。クラウドサービスなので、首都圏のお客様にも地方のお客様にも同じものを提供しています。ところが、首都圏のお客様はうまく活用できているのに、地方のお客様は活用しきれず、結果として最大限の効果を発揮できない状況が多く発生していました。

課題は共通して存在しているのに、解決できた企業様とできなかった企業様に分岐してしまう。それはサービス提供側だけの問題ではなく、分かりやすいところで言うと、お客様の体制面などは首都圏の企業様とは異なるため、通常通りのサービス提供では解決することができないです。そこを解決していくことにビジネスとしての意義があると感じたのが、起業の原点になっています。

難しい市場に、あえて踏み込む理由

小川:地方の中小企業からお問い合わせをいただくことが多いのでしょうか?

竹田さん:むしろ、私たちの方から積極的にアプローチしています。地方の中小企業は、何が課題なのかを把握していない方々も数多くいらっしゃいます。今まで業務が回ってはいるので、課題として認識されにくい。首都圏の企業がどのような取り組みをしているかをお伝えすると、「ここで初めて課題感を認識する」お客様も多くいらっしゃいます。

地方の中小企業は、首都圏のIT企業からすると敬遠されがちな存在です。ITの知見が十分に蓄積されておらず、リソースもなく、予算も限られている。支援先としては非効率的な部分もあります。 しかし、困っていることは首都圏の企業と共通しています。むしろ地方企業の方が困っているケースすら存在します。だからこそ、当社がそこに対して解決を支援することには大きな意義があると考えています。

「5年で100億」を掲げる理由。高い目標を決めなければ、やり方は変わらない

株式会社kachime 代表取締役CEO 竹田 圭吾

創業初日からCHROを採用。逆算思考が導いた異例の組織づくり

小川:今、仕事をされている中で一番熱狂していることは何ですか?

竹田さん:今取り組んでいることがまさにそうだと思います。どうせやるならワクワクする目標を掲げたいと思い、5年で売上100億円を目指すと決めています。

その目標を決めてから、当社は創業初日から採用活動をスタートし、1人目の社員としてCHRO(最高人事責任者)を迎えました。 スタートアップで1人目がCHROという事例は、私の知る限りほかにありません。なぜそうしたかと言えば、目標の高さとスピードを決めた時点で、強いチームをつくるということが最優先のテーマとなると感じたからです。

仮にですが、100億円の目標を社員で割り戻すと、1人あたりの売上高を2,000万円と仮定すると、5年間で500人規模の会社にしなければなりません。60ヶ月(5年間)で割り戻していくと、最終的には月に10人弱ずつ採用していく計算になる。そう考えると、選ばれる会社であり、やりがいのある会社をつくることが必須条件でした。

高い目標を掲げるのは、説明責任を果たすため

小川:もともと高い目標を掲げるタイプだったのでしょうか?

竹田さん:そうかもしれません。jinjerの立ち上げ時代から、SaaS業界でよく語られるT2D3(売上を毎年「3倍、3倍、2倍、2倍、2倍」で伸ばしていく成長モデル)を本気で追いかけていました。どうせやるなら、低い目標よりも高い目標の方がワクワクするというのは昔からかもしれません。

ただ、100億という数字自体が大事なわけではありません。 本当に大切なのは、お客様に対してきちんと価値を届けられている状態をつくること。お客様が「kachimeがいてよかった」と感じてくれた対価として売上がある。その構造でしかないと思っています。しかし、その抽象度だけでは、社員は同じ目線で走れないケースも多いので、分かりやすい数字と時間軸を設定することが大切だと思っております。

父の背中から学んだ「当たり前の基準」。折れずに走り続けられた原動力

株式会社kachime 代表取締役CEO 竹田 圭吾

社会人は大変なものだという前提が、自分を支えていた

小川:これまでのお仕事の中で、一番大変だったエピソードを教えてください。

竹田さん:今では笑い話ですが、新卒の時は週2、3日くらい徹夜していました。サービスがまだ追いついていない状態で、売れれば売れるほど裏側の業務を人力で回さなければならない。日中は営業活動をして、夜になると裏側の作業をする。今の時代にはあっていませんが、自分のできることが物凄く増えた期間だったと感じています。

小川:その環境でも折れずに続けられた原動力はどこにあったのでしょうか?

竹田さん:そもそも社会人は大変なものだという理解を持っていたことが大きいと思います。 父がずっと会社を経営していて、休みの日に家族で遊びに行くような思い出はほとんどありません。

ただ、そこに嫌悪感はなく、むしろリスペクトのほうが強かったのを覚えています。就職する前から、社会に出ればこのくらい大変なのだろうという期待値を持っていたのだと思います。また、仕事自体が苦しいことではなく、やりがいも感じており、体力的な問題はありましたが、むしろ充実した日々だったと振り返っています。

「Learning Animal」「Get Feedback」「Create Value」。3つのSTYLEが組織の行動指針

株式会社kachime 代表取締役CEO 竹田 圭吾

学びに貪欲であること、フィードバックを自ら取りにいくこと

小川:会社の雰囲気や組織文化について教えてください。

竹田さん:当社ではMISSIONとSTYLEの2つを掲げています。STYLEとは、採用や評価の基準となる行動指針です。

1つ目は「Learning Animal」。学びに貪欲であってほしいという意味を込めています。IT領域は変化が激しく、数週間でやるべきことが変わっていきます。今何ができるのかよりも、これから何を学ぶのか、また学ぶ姿勢があるのかが大切だと考えています。

2つ目は「Get Feedback」。学んだことを自己満足に終わらせず、方向性が正しいかどうかを自ら確認しにいく姿勢です。上司・部下の関係にかかわらず、コミュニケーションのハードルをできる限り下げ、早く出す、早く壁打ちをするという文化を大切にしています。

周りをフラットに頼れる人間が、最も価値を発揮する

小川:3つ目のSTYLEについても教えてください。

竹田さん:3つ目が「Create Value」です。自分で学び、上司とすり合わせて方向性を整えたうえで、最終的に価値を提供するときには周りのステークホルダーをフラットに巻き込んで価値を最大化する。自分1人で抱え込むのではなく、周りを頼れる人間が、当社では最も力を発揮できると考えています。

社員の年齢層としては20代後半から30代前半が中心です。だからこそ、先ほどのSTYLEにもありますが、未熟ゆえに自らが主体的に学び、周りに頼りながらでも良いので、最高の価値を生み出す。そんな思いを込めたのが弊社のSTYLEとなり、そのような組織文化が弊社にはあると考えております。

短期は楽観的に、中長期は悲観的に。経営者としてのマインドセット

株式会社kachime 代表取締役CEO 竹田 圭吾

社長はご機嫌であるほうが良い

小川:高い目標を掲げる中で、不安やネガティブな感情はないのですか?

竹田さん:短期的にはとても楽観的です。今日、明日のことは「なんとかなる」と本気で思っています。

一方で、中長期的にはかなり悲観的です。AIの文脈でいえば、いずれAIエージェントが普及すれば様々な仕事のあり方が変わる可能性もあります。そうなれば弊社のビジネスモデルも見直すタイミングもあるかもしれません。 そうしたさまざまなリスクを想定しながら、未来を考えるときは常に悲観的に捉えています。

小川:楽観と悲観が共存しているのですね。

竹田さん:社長はご機嫌であるほうが良いと思っています。 短期的なことで一喜一憂せず、自分自身がポジティブでいたほうが組織にも良い影響がある。

これは意識的にやっている部分もあります。ただ、社長と社員では考える時間軸が違います。社員が目の前のお客様や来月の売上に集中するのに対して、私が考えるべきは10年後のこの事業のあり方です。その時間軸で考えるからこそ、悲観的な視点が必要になるのだと思っています。

「あらゆる人に価値が届くかたちへ」。チームで勝つ会社をつくる

株式会社kachime 代表取締役CEO 竹田 圭吾

IT・AIの価値がより多くの人に届くように

小川:最後に、今後の会社の展望を教えてください。

竹田さん:当社は「チームで勝つ」ということを決めて創業しております。だからこそ組織力が生かされるビジネスモデルを主戦場にしていたりもします。1人目の社員がCHROという組織づくりのプロであるという点も、その考え方の表れです。良い人が入り、良い人が育つプラットフォームとしての会社をつくらなければ、大規模の組織を早期に立ち上げることは実現できません。

まずは情報システム部門からサービス展開しましたが、今後は別のドメインにもサービス展開をしていくことで、よりミッションの実現が近づくと考えています。目指しているのは、地方や中小企業の方々も等しく、ITやAIの価値を感じてもらうこと。

「あらゆる人に価値が届くかたちへ」というミッションは、逆説的にITやAIの「価値を感じていない人々」に価値が届く世界を描いており、それを実現することが我々の使命だと思っております。結果として、先ほどお伝えした、売上100億円ということがミッションを達成しているかどうかの1つのKPIとしております。

また、100億がゴールではなく、100億円に到達すれば、次は1,000億がみえてくるかもしれない。1,000億までみえれば、さらにその先がみえるかもしれません。時代の変化も激しい中で、まずは早く大きくやること。その先に何がみえるかは、たどり着いてから考えれば良い。 そう生きることで社会に意義のある企業になれると考えています。

会社概要

会社名株式会社kachime
HPhttps://www.kachime.jp
設立2025年11月
事業内容ビジネスプロセスアウトソーシング
採用情報HPより

※2026年4月1日時点の情報です。

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小川莉奈のアバター

編集者

小川 莉奈 - 熱狂ベンチャーナビ編集部

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看護師から一般企業へ就職。その後株式会社デジマケに入社。自身の転職経験を元に新卒~若手の転職者にわかりやすい情報をお届けします。

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監修者

西畑大樹 - 熱狂ベンチャーナビ運営責任者

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新卒で証券会社に入社。その後、不動産・マーケティング・SaaS企業と4社の経験を経て独立。
学生時代は無人島のインターンや創業2か月目の会社でインターン生として2年勤務。
学生時代から新卒就活領域のメディア運営やキャリアコンサルタントを行っていた経験を元に業界や企業理解が深まるインタビュー記事や就活や転職に役立つ情報をお届けします。

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秋山翔一 - 熱狂ベンチャーナビ編集責任者

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新卒で商社に入社。その後WEBマーケティング支援を行う会社に転職。その後、繊維メーカーの役員を経て株式会社デジマケを創業。
年間500記事以上の監修を行っております。採用側の視点でサービスのファクトチェックや記事内容を精査しています。

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熱狂ベンチャーナビ編集部はインターンシップ・新卒就活・転職経験者で編成されております。20代~30代の幅広い年齢・職種やキャリアを持つメンバーが在籍しているため、就活・転職の苦しかった経験や成功体験を元に求職者に役立つ情報を発信いたします。

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