【代表者インタビュー】Ultra FreakOut株式会社 代表取締役社長 宇木 大介

デジタルサイネージで「意識の外」の出会いをつくる
「最高の失敗」を恐れず、まずやってみる。デジタルサイネージ配信のパイオニアが描くメディアの未来
タクシーに乗ると、後部座席のモニターから広告や情報コンテンツが流れてくる。いまや多くの人にとって見慣れた光景ですが、全国7万台以上のタクシーに安定して映像を届ける配信システムの裏側には、高度な技術と長年の運用ノウハウが存在します。
その配信基盤を開発・運用しているのが、フリークアウト・ホールディングスのグループ会社であるUltra FreakOut株式会社の代表取締役社長、宇木 大介さん(以下、宇木さん)です。同社はタクシーサイネージの配信で培った技術をプロダクト化し、デジタルサイネージ事業を新たに始めたい企業への提供・支援を展開しています。
「自分たちの興味の外にあるかもしれない情報に出会う場所に、サイネージがある」と語る宇木さん。ウェブ上のパーソナライズされた広告とは異なる価値を持つデジタルサイネージの可能性を追求し、DOOH(Digital Out of Home:屋外デジタル広告)の「空白地帯」を切り拓こうとしています。「まずやってみよう」を合言葉に、失敗すらも学びに変える組織文化で新たな挑戦を続ける宇木さんに、事業への思いと今後の展望を伺いました。
【プロフィール】

Ultra FreakOut株式会社
代表取締役社長 宇木 大介
趣味
ゴルフ、Mリーグ(麻雀プロリーグ)観戦、サウナ
座右の銘
禍福は糾える縄の如し
尊敬する人
藤田 晋
学生が読むべき本
好きな漫画を読み込むこと
経営者におすすめの本
「大水滸伝シリーズ」(「水滸伝」「楊令伝」「岳飛伝」)北方 謙三
人生で一番熱狂したこと
子どもの頃のミニ四駆
タクシー7万台超の配信を支えるデジタルサイネージプロダクト

デジタルサイネージ配信基盤の開発・販売を手がける
小川:御社の事業について教えてください。
宇木さん:当社ではデジタルサイネージの配信を行うプロダクトの開発・生産・販売を行っています。グループ会社の株式会社IRISという、フリークアウト・ホールディングスとタクシーアプリ「GO」の株式会社GOによる合弁会社がありまして、タクシーの後部座席に設置されたデジタルサイネージメディアの運営・販売を手がけています。この配信を支える仕組みは、もともとフリークアウト・ホールディングスで開発したものです。
その基盤をプロダクト化し、新たにデジタルサイネージ事業を始めたい企業に向けて提供するのが、当社の事業になります。
10年の運用経験が生む、後発では追いつけない強み
小川:デジタルサイネージの配信サービスを提供する企業は、他にも多いのでしょうか。競合が多い市場の中で、御社はどのような強みを持っているのですか?
宇木さん:配信事業自体は多くの企業が手がけている分野で、ハードウェアメーカーがソフトウェアをセットで提供しているケースも少なくありません。参入障壁もそれほど高くはなく、ソフトウェアさえあればハードウェアを問わず配信事業を始めることは可能です。
ただ、単に映像を流すだけではなく、配信をどのように最適化するかという部分に、当社の強みがあります。広告メディアとして運用するには、「何月何日の何時から何時まで、何回広告を流したか」を正確に証明できなければなりません。そのためのデータ蓄積やレポート機能に加え、均等配信やランダム配信、編成の設定を直感的に行える操作性を備えたプロダクトを提供しています。
さらに、タクシーサイネージは全国7万台以上に設置されている大規模なシステムです。それだけの端末に安定して配信を届けるインフラは、一朝一夕では構築できません。当社はタクシーサイネージの開始当初から約10年にわたって運用を続けてきた経験があり、後発で参入される企業や2〜3年の経験では簡単には追いつけない部分だと考えています。
タクシーサイネージ市場の80%以上を支える仕組み
小川:タクシーに搭載されているデジタルサイネージのうち、御社の仕組みが使われている割合はどのくらいですか?
宇木さん:7万台はすべて当社の仕組みを使っています。現在、タクシーで提供されているサイネージは、グループ会社である株式会社IRISのものともう1社しかなく、合わせても10万台弱ほどの規模です。そのうち80%以上が当社の仕組みで動いています。数百台からスタートし、少しずつ増やしながら一緒に育ててきた積み重ねの結果です。
「意識の外」にある情報との出会いをつくるメディア

ウェブ広告の「枠の外」に位置するデジタルサイネージの価値
小川:SNSやスマートフォンで広告を目にする機会が多い時代ですが、街中やタクシーでみるデジタルサイネージには、どのような意味があるとお考えですか?
宇木さん:ウェブやスマートフォンの広告は、検索履歴や閲覧履歴をもとにターゲティングされているため、自分の興味関心に沿った情報が表示されやすくなっています。一人ひとりにパーソナライズされた広告が届く仕組みです。
一方で、デジタルサイネージはその枠の外にあると考えています。街中のサイネージやメディアは、探してみるものではありません。音が聞こえたり、気になる情報が映ったりしたときに、ふと視線を向ける。そこで興味が湧けば数秒から数分間みるという存在です。
つまり、本来であれば自分自身の興味の外にあるかもしれない情報に出会う場所にサイネージがあるということです。今まで知らなかったサービスや製品だけれど、「これは今の自分にぴったりかもしれない」「生活が豊かになるかもしれない」という気づきを届けられる。それがデジタルサイネージというメディアの価値だと捉えています。
BtoB企業を中心に高まる広告需要と、認知から行動へつなげる成果
小川:どのような企業がデジタルサイネージに広告を出稿しているのですか?
宇木さん:特に多いのがBtoB企業、中でもSaaS系プロダクトを展開する企業です。タクシーの乗客は、昼間の時間帯で6割以上がビジネスパーソンで、決裁権を持つ層も多くいらっしゃいます。そうした方々に対して情報を届ける手段として、当社のメディアは活用しやすい環境にあります。
それ以外にも、乗客の収入層が比較的高いことから、高額商品のブランディングに活用されるケースも増えています。出社回帰の流れでタクシーの利用状況も伸びており、接触する人が増えれば情報を届けたいというニーズも上がるため、現在は大きな需要が生まれています。
小川:具体的な成功事例があれば教えてください。
宇木さん:たとえば、サイネージに掲出したことで日常的に接点のなかった層に情報が届き、来店促進につながった事例があります。出稿前と比較してコンバージョンレートが1.5倍から2倍に向上したケースもありました。
当社のクライアントは音声と映像をセットで運用されている方が多く、耳と目の両方で情報を届けられるため、印象に残りやすいのも特徴です。広告を出稿したクライアントが営業先を訪問した際に「タクシーでみました」と声をかけられるケースも増えており、メディアとしての認知が着実に広がっていると感じています。
何もないところから新しいものをみつけ出すワクワク

プロダクトリリースで高まったチームの熱量
小川:これまでのお仕事の中で、一番熱狂したエピソードを教えてください。
宇木さん:大きなところで言えば、プロダクトをリリースしたタイミングです。リリースからちょうど2年ほどになりますが、タクシー向けに開発した配信基盤を、それ以外のメディアにも対応できるプロダクトに変えていくという大きなチャレンジでした。ベータ版から製品版へと進めていく過程で、チーム全体のモチベーションが高まり、世の中に送り出すという一体感のある時間だったと思います。
「最高の失敗」を推奨するグループの文化
小川:もともと「これから伸びていく分野」にワクワクを感じてこの仕事を選ばれたと伺いましたが、ジョインされた当時はどのような状況だったのですか?
宇木さん:フリークアウト・ホールディングスにジョインしてから7年近くになります。当時はタクシーサイネージもまだ規模が大きくなく、デジタルサイネージというメディア自体にも詳しくありませんでした。先がみえない状況からのスタートです。
ただ、何もわからないところから新しいものをみつけ出していくことには、大きなワクワクがあると感じていました。そのワクワクは自分たちで生み出していくものだと思っています。今いるメンバーと一緒につくり上げていく過程で、うまくいくことばかりではありません。
当社のグループには「最高の失敗」というバリューがあります。失敗は大きなチャレンジをした証であり、そこで得た気づきや学びを次の挑戦に生かすことを推奨する文化です。実際に多くの失敗を経験してきましたが、その失敗を恐れず新しいことにチャレンジし続ける姿勢を大切にしています。
システムトラブルという避けられない試練と、成長を見続けた経験が支える前向きさ
小川:これまでで特に大変だったことは何ですか?
宇木さん:システムトラブルです。不思議なことに、平日の昼間ではなく夜間や休日に発生することが多いのです。その先にはメディアを利用してくださるクライアントや、現地で対応してくださる方々がいらっしゃいますので、迅速に復旧させなければなりません。精神的にも負荷のかかる場面でした。
小川:そうした困難な状況でも、前向きに取り組めた理由は何だったのでしょうか?
宇木さん:数百台から始まったタクシーサイネージが7万台にまで成長し、誰もが知るメディアになった。その過程をみてきた経験があるからです。今の新しいチャレンジが、将来同じような姿になっていくことを思い描ける。思い描いた未来に向かって、今何をすべきかを考えることが大切だと思っています。
もちろん、最初に思い描いた通りに進まないこともあります。環境の変化や内部の課題によって方向を変えなければならないときもありますが、それも受け入れています。寄り道や脇道、ときにはジャンプして戻るような選択も含めて、事業の中でのチャレンジの面白みだと捉えています。しんどい部分もありますが、時間が経ったときに「あのとき大変だったね」と笑って話せる状況になっていれば、それが一番良いのではないかと思います。
DOOHの空白地帯を開拓する。「まずやってみよう」の精神

「ないものをつくる」ことが会社の熱狂
小川:会社としての熱狂、組織が盛り上がる瞬間はどのような場面ですか?
宇木さん:ないものをつくるというところです。当社はDOOHの空白地帯を探し、そこに新しい価値をみつけ出していくことを目指しています。ビジネスのメンバーより開発系の人間のほうが多い組織なのですが、普段は静かにコツコツと仕事を進める雰囲気であっても、新しいものをつくろうとする場面では一変します。何もないところからアイデアを出し合い、課題を洗い出しながら議論が活発に進んでいくのです。
たとえば最近では、スキー場にサイネージを設置する実証実験のプロジェクトを進めました。昨年の夏から何度も現地に足を運んで試験を繰り返し、設置時の最終検証にもチームで臨みました。約1ヶ月間の実証実験でしたが、メンバー全員が前のめりに参加してくれたことが印象的でした。
会議室で議論を重ねるよりも、まずやってみる。やってみて失敗すれば、そこから別の方法を探す。やってみなければ判断もできないというのが当社のスタンスです。
共感できる人と一緒に、新しい価値をつくりたい
小川:採用においては、どのような人物を求めていますか?
宇木さん:当社の考え方や取り組みに共感してくれる方です。常にワイワイと盛り上がっているわけではなく、静かにコツコツ進める時間もあれば、新しいチャレンジに対して議論を戦わせる場面もあります。
その軸にあるのは、「とりあえずやってみよう」という姿勢と、デジタルサイネージが人の意識の外にある情報を届けるための媒体であるという考え方です。新しい提案に対して前のめりにきてくれる人のほうが、会社としての方向性も定まりやすくなります。ないものから新しいものをつくっていくことにワクワクできる方と、一緒に働きたいと考えています。
デジタルサイネージをコミュニケーションの起点に

「みた人の行動のきっかけになるメディア」を目指して
小川:今後の展望について教えてください。
宇木さん:当社がつくっているのは、情報を伝える1つの手段です。しかし、それは人と人とのコミュニケーションにつながるものだと考えています。当社が関わったメディアをみたことが、人々のコミュニケーションの中でテーマや話題になったり、新しい行動を起こすきっかけになったりする。ただ設置されてみられて終わりではなく、その先にコミュニケーションが生まれる世界をつくっていきたいと思っています。
最近では、推しているアイドルやタレントが出ているサイネージをわざわざみに行くという現象も起きています。そうした世界観の中に当社のサイネージが入っていき、人々の生活の一部になっていく。それを実現できる企業でありたいと考えています。
新しいメディアの「次のステップ」を一緒につくる
小川:最後に、若い世代の方々へメッセージをお願いします。
宇木さん:当社がやっていることは、もともとは看板をデジタルにするところからスタートしました。それが少しずつ形を変え、1つの新たなメディアという立ち位置に変わってきています。テレビ、ラジオ、新聞、雑誌という四大媒体があり、そこにウェブ広告という新しいチャネルが加わった。デジタルサイネージもその中の1つとして、情報伝達の新しい手段として生まれてきたものです。
新しく生まれたメディアに対して、次のステップ、さらにその先のステップを自分たちでつくっていける場所だと捉えてほしいと思います。そういうものに興味を持てる方には、ぜひ一緒に働いてもらいたいです。そして、それが当社でなくても、何か新しいものを生み出して次の未来をつくるということは、とてもワクワクする面白いことだと思います。そうした観点でチャレンジを探していってほしいと願っています。
会社概要
| 会社名 | Ultra FreakOut株式会社 |
| HP | https://ultra-fout.jp |
| 設立 | 2017年12月 |
| 事業内容 | ・デジタルサイネージ事業の開発、提供、創出支援 ・動画広告配信基盤の開発、提供 ・DOOH事業コンサルテーションの提供 ・DX事業の開発、提供、創出支援 |
| 採用情報 | https://ultra-fout.jp/recruit |
※2026年4月7日時点の情報です。
