社員インタビューの作り方|採用で使える質問例30と構成テンプレート

社員インタビューで大事なのは、会社の良いところを並べることではなく、候補者が入社前に知りたい「働く現実」を社員本人の言葉で見せることです。仕事の中身や一緒に働く人、大変だった場面まで伝わっていれば、入社後の「思っていたのと違う」を減らし、定着につなげやすくなります。

この記事では、社員インタビューの目的を公的データで確かめたうえで、そのまま使える質問例30、記事の構成テンプレート、人選のコツ、取材当日の進め方、公開前の確認、公開後の使い方を順に整理しました。経営者インタビューとの役割の違いと組み合わせ方も扱います。熱狂ベンチャーナビでは、ベンチャーから上場企業までの経営者が自身の言葉で事業や想いを語るインタビューを掲載中。社員の声と並べる経営者の言葉を外部のメディアでも届けたいときは、掲載のご相談からお問い合わせください。

目次

社員インタビューで大事なのは「入社後の現実」を社員の言葉で見せること

社員インタビューとは、自社で働く社員に仕事や職場について話を聞き、記事や動画にまとめて候補者へ届ける採用コンテンツです。良い社員インタビューかどうかは、会社の魅力をいくつ並べたかではなく、入社後に待っている仕事や人間関係の現実が、社員本人の言葉で伝わっているかで決まります。 読み手が確かめたいのは、自分がその会社で働く姿を思い描けるかどうかなのです。

やりがいや雰囲気の良さだけを集めた記事は、どの会社でも同じように書けてしまいます。反対に、仕事の進め方や大変だった場面、そのとき誰が助けてくれたかまで語られていれば、候補者は自分に合うかどうかを判断できるでしょう。入社前に大変さを知っていれば、同じ場面に出会っても「聞いていたとおりだ」と受け止めやすくなります。

比べる点良い話を集めたインタビュー判断材料になるインタビュー
語られる中身やりがい・仲の良さ・成長できる環境仕事の進め方・大変だった場面・乗り越え方
言葉の選び方「アットホーム」など、どの会社にも言える表現いつ・誰と・何をしたかが分かる場面
候補者に残るもの他社と区別のつかない印象自分が働く姿の具体的なイメージ
入社後に起きやすいこと「思っていたのと違う」という戸惑い想定していた大変さとして受け止められる

社員インタビューの目的は、入社後のギャップを減らして定着につなげること

社員インタビューの役割は、応募を集めることだけではありません。中心に置きたいのは、入社してから「思っていたのと違う」と感じる人を減らし、定着につなげることです。 なぜそこを目的にするのか、公的なデータと制度で確かめておきましょう。

  • 大卒の約3人に1人が3年以内に離職し、小さな事業所ほど割合が高い
  • 入社3か月未満で辞めた若手では「人間関係」と「仕事が合わない」が理由の上位に来る
  • 若者雇用促進法も、職場の実態を応募者へ伝えることを求めている

大卒の約3人に1人が3年以内に離職し、小さな事業所ほど割合が高い

厚生労働省の「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)」によると、就職後3年以内の離職率は大学卒で33.8%、高校卒で37.9%でした。大卒を事業所規模別にみると、5人未満57.5%、5〜29人52.0%、30〜99人41.9%、100〜499人33.9%、500〜999人31.5%、1,000人以上27.0%と、規模が小さいほど高くなっています。

事業所規模別の大卒3年以内離職率。5人未満57.5%、5〜29人52.0%、30〜99人41.9%、100〜499人33.9%、500〜999人31.5%、1,000人以上27.0%。大卒全体の平均は33.8%。
事業所規模別の大卒3年以内離職率。5人未満57.5%、5〜29人52.0%、30〜99人41.9%、100〜499人33.9%、500〜999人31.5%、1,000人以上27.0%。大卒全体の平均は33.8%。

人数の少ない会社ほど、1人の早期離職が、採用のやり直しと残った社員の負担に直結します。 新卒に限った統計ではあるものの、中小・ベンチャーが入社後のギャップに目を配る理由としては十分でしょう。

参考:厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)を公表します」

入社3か月未満で辞めた若手では「人間関係」と「仕事が合わない」が上位に来る

同じく厚生労働省の「令和5年若年者雇用実態調査」は、15〜34歳の若年労働者(在学中を除く)のうち、初めて勤めた会社を辞めた人に、その理由を3つまで尋ねています。全体では「労働時間・休日・休暇の条件がよくなかった」28.5%、「人間関係がよくなかった」26.4%、「賃金の条件がよくなかった」21.8%、「仕事が自分に合わない」21.7%の順でした。

勤続3か月未満で辞めた人に絞ると、様子が変わります。「人間関係がよくなかった」は52.3%、「仕事が自分に合わない」は42.1%で、どちらも全体の約2倍。「労働時間・休日・休暇の条件がよくなかった」も40.8%に上がる一方、「賃金の条件がよくなかった」は22.4%と、全体とほとんど変わりません。

初めて勤務した会社をやめた理由(3つまでの複数回答)を、勤続3か月未満で辞めた人と離職者全体で比べたグラフ。「人間関係がよくなかった」は52.3%対26.4%、「仕事が自分に合わない」は42.1%対21.7%、「労働時間・休日・休暇の条件がよくなかった」は40.8%対28.5%、「賃金の条件がよくなかった」は22.4%対21.8%。
初めて勤務した会社をやめた理由(3つまでの複数回答)を、勤続3か月未満で辞めた人と離職者全体で比べたグラフ。「人間関係がよくなかった」は52.3%対26.4%、「仕事が自分に合わない」は42.1%対21.7%、「労働時間・休日・休暇の条件がよくなかった」は40.8%対28.5%、「賃金の条件がよくなかった」は22.4%対21.8%。

入社直後のつまずきは、一緒に働く人との関係、仕事の中身、実際の働き方といった、募集要項の条件欄だけでは伝わりにくい部分に集まっています。 社員インタビューは、そこを入社前に見せられるコンテンツです。事業所の側も、採用前の情報提供を定着策の一つと位置づけています。同じ調査では、若年正社員の定着のための対策を行っている事業所のうち58.4%が「採用前の詳細な説明・情報提供」を実施しており、前回の平成30年調査の52.0%から増えました。

参考:厚生労働省「令和5年若年者雇用実態調査の概況」

若者雇用促進法も、職場の実態を伝えることを求めている

新卒を募集する会社には、職場の情報を応募者へ提供するルールもあります。若者雇用促進法(青少年の雇用の促進等に関する法律)第13条の条文は次のとおりです。

“
労働者の募集を行う者及び募集受託者は、学校(中略)の学生又は生徒であって卒業することが見込まれる者(中略)であることを条件とした労働者の募集(中略)を行うときは、学校卒業見込者等に対し、青少年の募集及び採用の状況、職業能力の開発及び向上並びに職場への定着の促進に関する取組の実施状況その他の青少年の適職の選択に資するものとして厚生労働省令で定める事項(同項及び同条において「青少年雇用情報」という。)を提供するように努めなければならない。 2 労働者の募集を行う者及び募集受託者は、学校卒業見込者等募集に当たり、当該学校卒業見込者等募集に応じ、又は応じようとする学校卒業見込者等の求めに応じ、青少年雇用情報を提供しなければならない。
青少年の雇用の促進等に関する法律(昭和45年法律第98号)
第13条第1項・第2項
条文を見る

条文中の「学校卒業見込者等」とは、卒業を控えた学生・生徒などのこと。「青少年雇用情報」は、採用や育成、定着の取り組みといった職場の実態に関する情報を指します。新卒を募集するときの情報提供は、第1項では努力義務ですが、応募者などから求められた場合は第2項により義務になります。 厚生労働省のリーフレットによると、提供する情報は「募集・採用に関する状況」「職業能力の開発・向上に関する取組の実施状況」「職場への定着の促進に関する取組の実施状況」の3類型に分かれ、求めがあれば類型ごとに1つ以上を提供する決まりです。具体的には、直近3事業年度に採用した新卒者の数と辞めた人数、研修やメンター制度の有無、前の事業年度の月平均所定外労働時間や有給休暇の平均取得日数といった項目が並びます。同じリーフレットは、職場情報を事前に知ったうえで入社できれば、ミスマッチによる早期離職を防ぎ、定着率の向上につながるとも説明しています。

若者雇用促進法にもとづいて新卒の応募者に提供する青少年雇用情報の3類型。募集・採用に関する状況(直近3事業年度に採用した新卒者の数と辞めた人数など)、職業能力の開発・向上に関する取組の実施状況(研修やメンター制度の有無など)、職場への定着の促進に関する取組の実施状況(前の事業年度の月平均所定外労働時間や有給休暇の平均取得日数など)。第1項では努力義務、応募者などから求められた場合は第2項により義務。
若者雇用促進法にもとづいて新卒の応募者に提供する青少年雇用情報の3類型。募集・採用に関する状況(直近3事業年度に採用した新卒者の数と辞めた人数など)、職業能力の開発・向上に関する取組の実施状況(研修やメンター制度の有無など)、職場への定着の促進に関する取組の実施状況(前の事業年度の月平均所定外労働時間や有給休暇の平均取得日数など)。第1項では努力義務、応募者などから求められた場合は第2項により義務。

数字や制度の有無で示すこれらの情報と社員インタビューは、補い合う関係にあるといえるでしょう。「メンター制度あり」と書くだけでなく、メンターとどんな話をして何が楽になったかを社員が語れば、制度の中身まで候補者に伝わるはずです。

参考:e-Gov法令検索「青少年の雇用の促進等に関する法律」
参考:厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク「就労実態等に関する職場情報を応募者に提供する制度について」

社員インタビューの質問例30|カテゴリ別の質問リスト

質問は、候補者が入社前に抱きやすい不安から逆算して選びます。入社のきっかけ、仕事内容、成長・やりがい、職場の雰囲気、大変だったこと、これからの目標の6カテゴリに分け、5問ずつ、引き出したいことと合わせて並べました。

No.カテゴリ質問例引き出したいこと
1入社のきっかけ入社する前は、どんな仕事や学生生活を送っていましたか読み手が自分と重ねられる出発点
2入社のきっかけ仕事を探していたとき、何を大事にしていましたか会社選びの軸
3入社のきっかけこの会社を知ったきっかけと、最初の印象を教えてください第一印象と実際との比較
4入社のきっかけ最後に入社を決めた理由は何でしたか決め手になった事実
5入社のきっかけ入社前に不安だったことは、いま振り返るとどうでしたか不安とその答え合わせ
6仕事内容いまの仕事を、初めて聞く人にも分かるように説明してください職種の全体像
7仕事内容ある1日の流れを、朝から順に教えてください働く時間の具体的なイメージ
8仕事内容誰と、どんなやり取りをしながら仕事を進めていますか社内外で関わる相手
9仕事内容入社直後と比べて、任される仕事はどう変わりましたか任される範囲が広がる道筋
10仕事内容入社前に想像していた仕事と、違った点はありましたか仕事内容のギャップ
11成長・やりがい手応えを感じたのは、どんな場面でしたかやりがいの具体例
12成長・やりがい入社してから、できるようになったことは何ですか成長の実感
13成長・やりがい仕事を覚えるとき、誰にどう教わりましたか育成の実態
14成長・やりがい仕事への考え方が変わった出来事はありますか転機になった経験
15成長・やりがいお客様や同僚にかけられて、印象に残っている言葉はありますか仕事の意味
16職場の雰囲気チームの雰囲気が分かる場面を、1つ教えてください抽象語に頼らない職場の様子
17職場の雰囲気困ったとき、誰にどうやって相談していますか相談のしやすさ
18職場の雰囲気意見が分かれたとき、どうやって決めていますか意思決定の文化
19職場の雰囲気休みの取り方や時間の使い方で、工夫していることはありますか実際の働き方
20職場の雰囲気「この会社らしい」と感じる習慣はありますか社風の具体例
21大変だったことこれまでで一番苦労した仕事は何でしたか仕事の厳しさ
22大変だったことその壁を、どうやって乗り越えましたか乗り越え方の道筋
23大変だったことそのとき、誰がどんなふうに助けてくれましたか周囲の支え
24大変だったこと入社直後に戸惑ったことと、慣れるまでの過ごし方を教えてください立ち上がりの実態
25大変だったこといまも難しいと感じていることはありますか等身大の課題
26これからの目標これから挑戦したいことは何ですか将来像
27これからの目標3年後、どんな役割を担っていたいですかキャリアの見通し
28これからの目標会社がこう変わっていくとよい、と思うことはありますか当事者としての視点
29これからの目標この仕事に向いているのは、どんな人だと思いますか合う人の輪郭
30これからの目標入社を考えている人に、先に知っておいてほしいことは何ですか期待値のすり合わせ

30問を1回の取材で全部聞く必要はありません。目安として10問前後に絞り、記事の読み手が抱きそうな不安に近いカテゴリを厚めにします。 未経験者を採りたいならNo.12〜13とNo.21〜24を、職場の人間関係が伝わっていないと感じるならNo.16〜18を、というように選ぶと、記事の読みどころがはっきりするでしょう。職種に合わせて、営業なら成果が出るまでの道のり、技術職なら開発の進め方や使っている技術、管理部門なら社内の誰をどう支えているかを聞き足すと、仕事の輪郭が出てきます。聞く順番は、記事の構成に合わせて組み替えます。

社員インタビューの質問の選び方の例。目安は10問前後。未経験者を採りたいならNo.12〜13(成長)とNo.21〜24(大変だったこと)、職場の人間関係が伝わっていないならNo.16〜18(職場の雰囲気)を厚めにする。職種に合わせて、営業なら成果が出るまでの道のり、技術職なら開発の進め方や使っている技術、管理部門なら社内の誰をどう支えているかを聞き足す。
社員インタビューの質問の選び方の例。目安は10問前後。未経験者を採りたいならNo.12〜13(成長)とNo.21〜24(大変だったこと)、職場の人間関係が伝わっていないならNo.16〜18(職場の雰囲気)を厚めにする。職種に合わせて、営業なら成果が出るまでの道のり、技術職なら開発の進め方や使っている技術、管理部門なら社内の誰をどう支えているかを聞き足す。

答えが「やりがいがあります」「雰囲気がいいです」のような抽象的な言葉で止まったら、「それはいつ頃の、どんな場面でしたか」「そのとき、何をしましたか」と場面と行動を尋ねてください。私たちが経営者に話を聞くときも、言葉に熱がこもるのは、考え方そのものより「あのとき、どうしたか」を語ってもらう瞬間だと感じます。社員インタビューでも、場面が1つ語られるだけで、記事の手触りは大きく変わるでしょう。

社員インタビュー記事の構成テンプレート|導入→プロフィール→Q&A→締め

取材の前に記事の型を決めておくと、当日に聞き漏らしてはいけないことが見えてきます。基本の流れは「導入→プロフィール→Q&A→締め」の4パート。書き方の例も添えたので、自社の社員インタビューの下書きにそのまま使えます。

パート書くこと書き方の例
導入誰の、どんな話なのかを3〜4文で示す前職で〇〇をしていた〇〇さんは、入社〇年目。いまは〇〇チームで〇〇を任されています
プロフィール氏名・部署・入社年・入社経路・前職・取材時点〇〇部 〇〇〇〇/20XX年に中途入社、前職は〇〇/所属は取材時点のもの
Q&Aきっかけ→仕事→大変だったこと→成長→職場→これから質問を小見出しにし、答えは話し言葉の温度を残して整える
締め入社を考える人へのひと言と、次に読んでほしいページ募集要項・職種ページ・別の社員の記事へのリンクを置く

1本の記事には、読みどころを1つだけ決めておきます。 「未経験からの立ち上がり」「地方拠点での働き方」など、読み手の不安に応えるテーマを1つに絞ると、タイトルも導入も書きやすくなるはずです。Q&Aでは、大変だったことを成長の話より先に置くのがおすすめ。苦労のあとに成長が語られると、成長が「壁を越えた結果」として伝わり、きれいごとに見えにくくなります。

社員インタビュー記事のQ&Aの順番。1 入社のきっかけ、2 仕事内容、3 大変だったこと、4 成長、5 職場、6 これから。大変だったことを成長の話より先に置くと、成長が壁を越えた結果として伝わり、きれいごとに見えにくくなる。
社員インタビュー記事のQ&Aの順番。1 入社のきっかけ、2 仕事内容、3 大変だったこと、4 成長、5 職場、6 これから。大変だったことを成長の話より先に置くと、成長が壁を越えた結果として伝わり、きれいごとに見えにくくなる。

答えを整えるときは、意味を変えないこと、本人が言っていない言葉を足さないことが基本です。冗長な言い回しは削っても、その人らしい言い方は残しておきましょう。整えすぎた文章ほど、どの社員も同じ声に聞こえてしまうのです。

社員インタビューの人選は「採用したい人に近い社員」から

誰に話してもらうかで、記事が届く相手は決まります。基本は、採用したい人が「自分もこうなれそうだ」と重ねられる、立場の近い社員を選ぶことです。 採用したい人ごとに、話してもらいたい社員と聞きたい話を整理しておきましょう。

採用したい人話してもらいたい社員聞くと伝わりやすい話
新卒入社1〜3年目の社員入社前の不安、最初の1年でできるようになったこと
未経験の中途異業種・異職種から転職した社員前職との違い、立ち上がりで助けになったこと
経験者の中途同じ職種で他社を経験した社員前職と比べた任され方や進め方の違い
管理職・専門職同じ役割を担っている社員任される範囲、意思決定への関わり方

良い人選は、話の上手さより、具体的な場面を語れるかどうかで決まります。活躍している人だけでなく、つまずいて立て直した経験のある人の話も、候補者にとっては判断材料になりやすいものです。注意したいのは、話しやすい社員や社内で目立つ社員ばかりに頼ってしまうこと。少人数の会社では、同じ人が何本にも登場すると「この人しかいないのか」と受け取られかねません。 1本目は採用したい職種から選び、年次や入社経路の違う人を少しずつ足していけば十分です。

出演するかどうかは、本人の意思で決めてもらいます。上司の指示で引き受けた社員は、本音を話しにくくなりがちだからです。依頼するときは記事の目的と読み手、掲載する場所を先に伝え、断っても評価に影響しないことを言葉にしておくと、引き受ける側も安心できます。

社員インタビュー当日の進め方|事前準備から原稿確認まで

取材は、当日の1時間ほどで終わる仕事ではありません。準備から原稿確認までの流れを、目安の時間とあわせて整理します。

段階やること気をつけたいこと
1週間前まで目的と読み手、質問の大枠を本人に共有する実名・写真・掲載期間・退職時の扱いを書面で合意しておく
冒頭の5〜10分雑談で緊張をほぐし、録音の許可を取る話したくないことは話さなくてよいと伝える
本題の40〜50分きっかけ→仕事→大変だったこと→成長→職場→これからの順に聞く抽象的な答えには、場面と行動を聞き返す
撮影の10〜15分仕事中の様子や同僚とのやり取りを撮る画面・書類・ホワイトボードの映り込みを確かめる
取材後1〜2週間原稿を本人に確認してもらい、人事が数字や制度を確かめる所属や役職は取材時点のものと明記する

質問の大枠を前もって渡しておくと、社員は当時のことを思い出す時間がとれます。一字一句の回答を準備させる必要はありません。

聞き手を誰が務めるかも、話の深さを左右します。直属の上司が聞き手になったり同席したりすると、評価が頭をよぎり、大変だった話ほど出にくくなりがちです。 人事が聞き手を務める場合も、評価とは切り離した場だと最初に伝えておきましょう。他部署の先輩や年次の近い社員が聞き手になると、肩の力が抜けた会話になりやすいものです。

公開前に確かめたいのは「誇張」と「情報の鮮度」

原稿ができたら、公開前にもう一段の確認を入れましょう。社員インタビューは募集要項そのものではありませんが、採用サイトや求人に添えて公開する以上、候補者は仕事や働き方を判断する材料として読みます。募集に関する情報の表示について、職業安定法は次のように定めています。

“
公共職業安定所、特定地方公共団体及び職業紹介事業者、労働者の募集を行う者及び募集受託者(中略)は、この法律に基づく業務に関して新聞、雑誌その他の刊行物に掲載する広告、文書の掲出又は頒布その他厚生労働省令で定める方法(以下この条において「広告等」という。)により求人若しくは労働者の募集に関する情報(中略)を提供するときは、当該情報について虚偽の表示又は誤解を生じさせる表示をしてはならない。 2 労働者の募集を行う者及び募集受託者は、この法律に基づく業務に関して広告等により労働者の募集に関する情報その他厚生労働省令で定める情報を提供するときは、正確かつ最新の内容に保たなければならない。
職業安定法(昭和22年法律第141号)
第5条の4第1項・第2項
条文を見る

第1項は、事実と違う表示(虚偽の表示)と、虚偽ではなくても一般的・客観的にみて誤解を招く表示(誤解を生じさせる表示)を禁じるもの。第2項は、募集を行う会社に、情報を正確で最新の状態に保つことを義務づけています。令和4年10月施行の法改正に合わせた厚生労働省の求人企業向けリーフレットは、対象となる手段にウェブサイトを挙げ、求人情報だけでなく自社に関する情報も的確な表示の対象になると説明しています。採用サイトに載せる社員インタビューも、この考え方に沿って、誤解を招く見せ方や古い情報が残っていないかを確かめておくと安心です。 具体的には、次の4点を見ておきましょう。

確かめること起きやすいこと対応の例
給与や昇進の話一部の社員の例が、全員に当てはまるように読まれる「〇〇さんの場合」と明記し、条件は募集要項で示す
数字や制度の記述古い数字や、変わった制度がそのまま残る人事が事実を確かめ、取材時点を記事に入れる
所属や役職異動や退職で、記事と実態がずれる年1回など、見直す時期を決めておく
掲載範囲の合意本人が後から掲載をやめてほしくなる実名・写真・掲載期間・二次利用・退職時の扱いを書面に残す

リーフレットは、社内で特に給与が高い社員の例を全員の給与であるかのように見せる表示を、誤解を生じさせる表示の例に挙げています。求人情報を正確・最新に保つ措置として、いつの時点の情報かを明らかにすることも示されています。社員インタビューに取材時点を入れておくのは、こうした考え方に沿った手軽な一手です。なお、同じリーフレットは、労働条件の明示はこの的確な表示とは別に行う必要があるとしています。社員インタビューで語られた働き方は、労働条件の明示の代わりにはなりません。

職業安定法第5条の4が募集情報の表示に求めていること。第1項で、事実と違う虚偽の表示と、一般的・客観的にみて誤解を招く表示を禁止。第2項で、募集を行う会社に情報を正確かつ最新の内容に保つことを義務づけている。対象となる手段にはウェブサイトが含まれ、自社に関する情報も対象になる。
職業安定法第5条の4が募集情報の表示に求めていること。第1項で、事実と違う虚偽の表示と、一般的・客観的にみて誤解を招く表示を禁止。第2項で、募集を行う会社に情報を正確かつ最新の内容に保つことを義務づけている。対象となる手段にはウェブサイトが含まれ、自社に関する情報も対象になる。

参考:e-Gov法令検索「職業安定法」
参考:厚生労働省「求人企業の皆さま 労働者の募集ルールが変わります」

公開した社員インタビューの使い方|採用サイト・SNS・説明会・スカウト文面

社員インタビューは、採用サイトに載せただけでは読まれる場面が限られます。候補者と接するそれぞれの場面で「この人に、この記事を」と手渡すつもりで使うと、1回の取材が何度も働きます。

場面使い方ひと工夫
採用サイト職種ページや募集要項の近くに置く職種ごとに、立場の近い社員の記事を並べる
求人サイトマイナビ・リクナビなどの掲載枠で、記事の要点や写真を使う掲載ルールの範囲で、自社サイトの記事へ案内する
転職エージェント担当者に記事を共有し、候補者への説明に使ってもらう職種ごとに、読んでほしい1本を指定する
SNS印象的な一問一答を切り出して投稿する記事本体へのリンクを添える
説明会登場した社員に話してもらう、記事を配る記事を読んだうえで質問できる時間をとる
スカウト文面候補者の経歴に近い社員の記事を1本添える「同じ前職の社員がいます」など、選んだ理由をひと言添える
面接前・内定後面接の案内や内定者への連絡に添える配属予定の部署の社員の記事を選ぶ

効果を確かめる方法も決めておきましょう。面接の冒頭で「どの記事を読みましたか」と聞けば、読まれている記事とそうでない記事が分かります。入社3か月ほどたった面談で「入社前のイメージと違ったこと」を聞き、出てきた内容を次の取材の質問や記事の更新に生かせば、インタビューは少しずつ現実に近づいていくでしょう。求人サイトや転職エージェントに頼りきらない採用の組み立て方は、採用コストを下げる方法で整理しています。

社員インタビューと経営者インタビューの役割の違いと組み合わせ方

社員インタビューと経営者インタビューは、どちらか一方で足りるものではありません。2つは、候補者が抱く別々の問いに答える役割を分担しています。

比べる点社員インタビュー経営者インタビュー
候補者の問い自分はここでやっていけるかこの会社はどこへ向かうのか
語られる中身日々の仕事・人間関係・成長の実感事業を始めた理由・理念・これからの方向
伝わるもの入社後の日常の手触り会社の意思と、その背景にある想い
置きたい場所職種ページ・スカウト文面・面接前の案内採用サイトの入口・会社説明の資料

組み合わせるときは、経営者の言葉で会社の向かう先を示し、社員の言葉でその日常を裏づける順番が分かりやすいでしょう。たとえば経営者が「若手にも早くから任せる」と語っているなら、入社2年目の社員が実際に任された仕事を語る記事を隣に置くと、方針が事実で支えられます。反対に、経営者の語る方針と社員の語る日常が食い違うと、候補者はどちらの言葉も信じにくくなります。 公開前に両方の記事を並べて読み、矛盾がないかを確かめておきましょう。経営者インタビューそのものの効果と活かし方は、社長・代表インタビューの効果で扱っています。

社員インタビューの準備から公開までの点検表

取材の準備から公開後までの要点を、点検表にまとめました。これから作る1本に当てはめて、空欄が残る項目がないかを確かめてください。

段階点検項目確認
企画誰に向けた記事か(職種、新卒か中途か)を決めたか☐
企画その読み手が入社前に抱きそうな不安を書き出したか☐
人選採用したい人に立場の近い社員を選んだか☐
人選本人が断れる形で依頼し、目的と掲載先を伝えたか☐
事前実名・写真・掲載期間・二次利用・退職時の扱いを書面で合意したか☐
当日録音の許可を取り、話したくないことは話さなくてよいと伝えたか☐
当日大変だったことや、入社前とのギャップも聞いたか☐
公開前本人の確認を経て、数字や制度の記述を人事が確かめたか☐
公開前給与や昇進の例が、全員に当てはまるように読めないか☐
公開前取材時点と、取材時の所属・役職を明記したか☐
公開後採用サイト・スカウト・説明会など、使う場面を決めたか☐
公開後見直しの時期と、退職・異動時の対応を決めたか☐

空欄が残った項目は、次の1本から順に埋めていけば十分です。

社員の声に経営者の言葉を重ねるなら熱狂ベンチャーナビにお任せください

熱狂ベンチャーナビは、当社が運営するインタビューメディアです。仕事に熱狂する企業を、SNS・WEB口コミとリアルインタビューの両面から紹介しています。中心にあるのは、経営者自身の言葉で事業を始めた理由や会社の向かう先を語っていただく、読み応えのある長文のリアルインタビュー。社員インタビューが入社後の日常を伝えるのに対し、経営者の言葉は「この会社はどこへ向かうのか」という問いに答えるため、両方がそろうと候補者の判断材料が厚くなります。 企画から撮影・取材・記事化までを当社が一貫して担い、撮影素材が掲載企業の所有物になる点も特徴です。これまでの取材先はベンチャーから上場企業の経営者まで幅広く、掲載の様子は代表インタビューや熱狂ベンチャー100選で確かめられます。

運営元の株式会社デジマケは、SEOやSNS運用による集客支援を本業としています。そのノウハウを生かし、会社名や代表者名で調べた求職者がインタビュー記事にたどり着ける接点をつくり、知ってもらう段階から内定承諾まで、それぞれの段階で入社意欲を高めることを狙った設計です。効果を保証するものではありませんが、自社で作る社員インタビューと、外部のメディアに載る経営者インタビューを並べることで、候補者に届く情報の幅は広がります。社員の声とどう組み合わせるかも含めて、ご相談ください。

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経営者インタビューの掲載について

経営者の言葉を、読み応えのあるインタビュー記事にして熱狂ベンチャーナビに掲載します。

  • 企画・撮影・取材から記事化まで一貫して対応
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  • 熱狂ベンチャー100選への掲載もご相談いただけます

※掲載は有償です。費用や掲載までの流れは、お問い合わせ後にご案内します。

社員インタビューに関するよくある質問

社員インタビューは何人分用意すればよいですか

何人分という決まりはなく、まず採用したい職種ごとに1本ずつそろえるところから始めれば十分です。 そのうえで、年次や入社経路の違う社員を少しずつ足していくと、候補者が自分と重ねられる記事が増えていきます。少人数の会社なら、同じ社員が何本にも登場しないよう、時期を区切って入れ替えるのも一つの方法です。

大変だった話を載せると、応募が減りませんか

応募の数が減ることがあったとしても、入社後のギャップを減らすという目的には近づきます。 厚生労働省の令和5年若年者雇用実態調査では、初めて勤めた会社を3か月未満で辞めた若年労働者の半数以上が「人間関係がよくなかった」を理由に挙げていました。大変さだけでなく、誰の助けでどう乗り越えたかまでセットで語ってもらうと、厳しさと同時に職場の支えも伝わります。

実名や顔写真を出したくない社員がいる場合はどうしますか

名字だけやイニシャルでの掲載、後ろ姿や手元の写真など、本人が納得できる形を選べば記事は作れます。 大切なのは、掲載の範囲を取材前に本人と書面で決めておくことです。出したくない理由を聞いたうえで無理に説得しない姿勢も、ほかの社員が安心して協力できる土台になります。

取材した社員が退職したら、記事はどうすればよいですか

事前の取り決めに沿って非公開にするか、本人の了承を得たうえで「取材時点の情報」と明記して残すかを判断します。 退職した人を現役の社員のように紹介し続けると、候補者に誤解を与えかねません。取材前の合意書に退職時の扱いを書いておけば、そのときに迷わずに済みます。

社員インタビューと経営者インタビューは、どちらから作るべきですか

会社そのものが知られておらず応募が少ないなら経営者インタビューから、応募はあるのに辞退や早期離職が多いなら社員インタビューから始めるのが一つの目安です。 前者は「なぜこの会社なのか」を伝える段階で、後者は「ここで働けるか」に答える段階でつまずいている可能性が高いからです。どちらの場合も、最終的には両方を並べ、方針と日常が一致していることを示せるとよいでしょう。

まとめ

社員インタビューは、会社の良いところを並べるためではなく、入社後の現実を社員の言葉で先に見せ、ギャップを減らして定着につなげるためのコンテンツです。大卒の約3人に1人が3年以内に離職し、入社3か月未満で辞めた若手では人間関係や仕事の合う・合わないが理由の上位に来ることを考えると、条件欄だけでは伝わりにくい部分を補う意味は小さくありません。質問は読み手の不安から逆算して選び、構成は導入・プロフィール・Q&A・締めの型に沿わせ、公開前には誇張と情報の鮮度を確かめます。公開後は、採用サイトやスカウト、説明会で手渡すように使いましょう。迷ったときは、本記事の点検表で1本ずつ確かめてみてください。

取材を重ねていると、読み手の心に残るのは、うまくいった話よりも、迷いながら進んできた話のほうだと感じます。自社でつくる社員インタビューに、会社の向かう先を語る経営者の言葉を添えたいときは、ベンチャーから上場企業までの経営者の言葉を記事にしてきた熱狂ベンチャーナビへ、まずはお問い合わせください。

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編集者

小川 莉奈 - 熱狂ベンチャーナビ編集部

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看護師から一般企業へ就職。その後株式会社デジマケに入社。自身の転職経験を元に新卒~若手の転職者にわかりやすい情報をお届けします。

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西畑大樹 - 熱狂ベンチャーナビ運営責任者

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新卒で証券会社に入社。その後、不動産・マーケティング・SaaS企業と4社の経験を経て独立。
学生時代は無人島のインターンや創業2か月目の会社でインターン生として2年勤務。
学生時代から新卒就活領域のメディア運営やキャリアコンサルタントを行っていた経験を元に業界や企業理解が深まるインタビュー記事や就活や転職に役立つ情報をお届けします。

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秋山翔一 - 熱狂ベンチャーナビ編集責任者

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新卒で商社に入社。その後WEBマーケティング支援を行う会社に転職。その後、繊維メーカーの役員を経て株式会社デジマケを創業。
年間500記事以上の監修を行っております。採用側の視点でサービスのファクトチェックや記事内容を精査しています。

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