社長の仕事内容とは?普段何をしているのか、1日の時間の使い方と法律上の役割

社長の仕事内容は、会社の進む方向を決め、そのためのお金と人を動かし、結果に最終的な責任を持つことです。
総務省の調査で見ると、会社などの役員が仕事のある平日に働いた時間は、雇われて働く人とほとんど変わりません。違いがはっきり出るのは、土曜日や仕事のない日のほうです。
この記事では、小さな会社の社長が担っている業務、法律で決まっている役割、1日の時間の使い方を順に見たうえで、働く側から社長の仕事を確かめる方法も紹介します。
社長の仕事を知ると、同じ職種でも、どんな社長のもとで働くかによって任される範囲が変わることが見えてくるでしょう。いまの経験が活きる会社やポジションは、転職エージェントを活用すれば無料で確認できます。
社長の仕事内容は「方向を決めて、最後に責任を持つこと」
社長の仕事を一言でまとめるなら、会社として何をやり、何をやらないかを決め、その結果を引き受けることです。社員や管理職との違いを押さえると、輪郭がはっきりします。
- 社員や管理職との違いは、決める範囲と、説明する相手にある
- 社長にしかできない仕事と、社長が兼ねている仕事を分けて考える
| 項目 | 社員 | 管理職 | 社長 |
|---|---|---|---|
| 決める範囲 | 自分の担当業務 | 部署やチームの目標と進め方 | 会社全体の方針、事業の始め方とやめ方 |
| 主に見る時間軸 | 日々から数か月 | 半年から1年 | 数年先まで |
| 結果を説明する相手 | 上司 | 上司・経営陣 | 株主、取締役会、取引先、金融機関 |
| 会社との関係 | 雇用契約 | 雇用契約が一般的 | 取締役であれば、経営を任される委任の関係 |
社員は決められた方針の中で成果を出し、社長はその方針そのものを決めます。 時間軸はあくまで一般的な目安ですが、社長の判断が今期の数字だけでなく、数年後の会社の形にまで及ぶ点は、社員の判断との大きな違いでしょう。表の最下段は会社法の定めによるもので、株式会社と取締役の関係は「委任に関する規定に従う」とされています。社長は通常、代表取締役を兼ねているため、雇われて働く社員とは立場の土台から違うわけです。
社長にしかできない仕事と、社長が兼ねている仕事
社長の仕事は、大きく2つに分けて考えると整理しやすくなります。
1つ目は、社長にしかできない仕事です。会社の方針を決める、事業を始めるかやめるかを判断する、会社を代表して大きな契約や借入れの約束をする、幹部を選んで任せる。こうした判断は、他の人に代わってもらうことができません。
2つ目は、社長が兼ねている仕事です。営業、製造、経理、採用面接など、本来は担当者を置けば任せられる仕事を、社長自身がこなしている状態を指します。社員が数人の会社ほど、この「兼ねている仕事」の比重が大きくなります。 「社長は何をしているのか分からない」と感じるのは、大きな会社では前者が中心で外から見えにくく、小さな会社では後者に埋もれて社長らしい仕事が見えにくいからでしょう。


小さな会社の社長は、販売から資金調達まで自ら担っている
社長が兼ねている仕事の広さは、中小企業庁の白書で数字として確かめられます。
- 小規模事業者の経営者の7割超が、販売の仕事に自ら就いている
- 手放したいのは記帳、手放したくないのは経営計画の策定
- 売上規模が小さい会社ほど、経理も社長が担っている
ここでいう小規模事業者は、中小企業基本法が定める小規模企業者のことで、おおむね常時使用する従業員が20人以下(商業・サービス業は5人以下)の事業者を指します。
経営者の7割超が、販売の仕事に自ら就いている
中小企業庁「2018年版 小規模企業白書」は、小規模事業者の経営者4,587人の回答から、経営者自身が従事している業務を集計しています。最も多いのは「商品やサービスの販売(営業、接客、決済を含む)」の75.8%で、「資金調達」64.9%、「商品やサービスの製造・生産(受注、仕入を含む)」64.3%、「経営計画の策定」61.4%の順です。「顧客管理」54.6%、「商品やサービスの企画・開発・設計」53.3%、「在庫管理」51.5%も半数を超え、「財務・会計(記帳)」45.3%、「人事・採用」44.0%、「給与管理・勤怠管理」39.0%と、会社の仕事のほぼすべてに経営者の手が入っていることが分かります。いずれも複数回答で、調査は2017年12月に行われたものです。


白書はこの結果について、経営者の担当する業務の範囲が広いため、人手不足への対応は経営者の労働時間を増やすことになりやすいと推察しています。小さな会社の社長の仕事内容は、「経営」と「現場」の両方を一人で受け持つことだと言えます。
手放したいのは記帳、手放したくないのは経営計画
同じ白書では、経営者の55.7%が、自分が従事している業務のうち時間を減らしたいものがあると答えています。どの業務を減らしたいかを見ると、はっきりした傾向が出ています。
| 業務 | 減らしたいと答えた割合 |
|---|---|
| 財務・会計(記帳) | 65.9% |
| 在庫管理 | 45.6% |
| 給与管理・勤怠管理 | 45.4% |
| 資金調達 | 23.5% |
| 人事・採用 | 19.0% |
| 経営計画の策定 | 13.4% |
いずれかの業務で時間を減らしたいと答えた経営者のうち、その業務に従事している人に占める割合です。記帳や給与計算のような間接業務は手放したい一方、経営計画の策定を減らしたい人は13.4%にとどまります。白書も、経営計画の策定は経営者自身が担う業務として重視されていると読み取っています。時間に余裕ができたら何に力を入れたいかという問いには、「売上向上に直接つながる業務に注力したい」が58.7%で最多でした。
社長自身も、自分にしかできない仕事と、任せられる仕事を区別して見ていることがうかがえます。
売上規模が小さいほど、経理も社長が担っている
最新の数字も見ておきましょう。中小企業庁「2026年版 小規模企業白書」は、令和7年度の調査をもとに、小規模事業者で主に経理業務を担っている人を売上高の規模別に集計しています。ここでの経理業務は、決算書をつくるために日々の取引とお金の流れを記録する仕事のことです。担当者が「経営者」と答えた割合は、売上高1千万円以下で66.0%、1千万円超〜5千万円以下で45.1%、5千万円超〜1億円以下で33.1%、1億円超で20.9%でした。


反対に「経理専任の部署・担当者」は、1千万円以下の8.1%から1億円超の45.2%へと増えていきます。売上規模の大きい会社ほど、社長が兼ねていた仕事を担当者が受け持ち、社長は判断と説明に時間を回しやすくなると考えられます。 同じ「社長」でも、創業まもない会社と規模の大きな会社とで仕事内容がまるで違って見えるのは、こうした役割分担の違いによるところが大きいでしょう。
参考:中小企業庁「2018年版 小規模企業白書 第2部第1章第2節 小規模事業者の経営者の業務負担」
参考:中小企業庁「2026年版 小規模企業白書 第2部第1章第2節 小規模事業者の経営リテラシー向上」
参考:e-Gov法令検索「中小企業基本法」
法律で決まっている社長の仕事|業務を執行し、取締役会に報告する
「社長」は会社法で定められた言葉ではなく、会社が決める呼び名です。法律上の権限を持つのは代表取締役で、中小企業基盤整備機構のJ-Net21も、通常は社長が代表取締役を兼ねていると解説しています。2つの関係は代表取締役と社長の違いで詳しく扱っているので、ここでは代表取締役を兼ねる社長が、法律上どんな仕事を負っているかに絞って見ていきます。
- 取締役会のある会社では、代表取締役が業務を執行し、3か月に1回以上、取締役会に報告する
- 大きな借入れや重要な財産の処分は、社長一人では決められない
- 取締役会のない会社では、取締役が業務を決める
- 1年の区切りは、決算と定時株主総会
業務を執行し、3か月に1回以上報告する
会社法第349条第4項は、代表取締役に会社の業務に関する一切の裁判上・裁判外の行為をする権限を与えています。会社を代表して契約を結べる、ということです。では、日々の業務を動かすのは誰か。取締役会を置く会社については、第363条が次のように定めています。
「業務を執行する」とは、取締役会で決めた方針に沿って、実際に会社の仕事を動かすことです。そして第2項は、その状況を3か月に1回以上、取締役会に報告することを求めています。「報告しなければならない」とある以上、これは努力目標ではなく、取締役会を置く会社の代表取締役が負う義務です。 社長は会社の頂点にいながら、ほかの取締役に対して自分の仕事ぶりを説明し続ける立場でもあるのです。
大きな借入れや重要な財産の処分は、社長一人では決められない
「社長はなんでも一人で決められる」と思われがちですが、取締役会を置く会社では、そうはなりません。第362条第4項は、取締役会が自ら決めなければならない事項を挙げています。
「多額の借財」は大きな借入れ、「支配人その他の重要な使用人」は支店長のように会社の事業を任される幹部社員のこと。同じ項の第5号から第7号には、社債の募集に関する事項や、業務の適正を確保するための体制の整備なども並びます。会社の形を左右する決定は、社長が単独で下すものではなく、取締役会の決議で決まる仕組みなのです。 社長の仕事は、こうした議題を取締役会に諮り、決まったことを実行に移すところまで含まれます。取締役会の役割そのものは取締役とはで解説しています。


取締役会のない会社では、取締役が業務を決める
取締役会を置かない株式会社では、仕組みが少し違います。第348条は、取締役が会社の業務を執行し、取締役が2人以上いる場合は、定款に別段の定めがなければ取締役の過半数で業務を決めると定めています。
| 会社の形 | 業務を決めるのは | 社長の動き方 |
|---|---|---|
| 取締役会がある会社 | 重要な事項は取締役会。日常の業務は代表取締役などに委ねられる | 取締役会に議題を出し、決まったことを執行して報告する |
| 取締役会がなく、取締役が2人以上 | 取締役の過半数 | ほかの取締役と相談しながら決める |
| 取締役会がなく、取締役が1人 | その取締役 | 自分で決めて、自分で実行する |
取締役が社長1人だけの会社なら、決めるのも実行するのも社長本人。取締役会への報告の義務もなく、判断の重さがそのまま一人にかかる形になります。
1年の区切りは、決算と定時株主総会
社長の1年には、法律で決まった山場もあります。会社法第435条第2項は、事業年度ごとに貸借対照表や損益計算書などの計算書類と事業報告をつくることを求め、第438条は、取締役がそれらを定時株主総会に出し、計算書類について総会の承認を受けることを定めています。定時株主総会は、第296条第1項により毎事業年度の終了後一定の時期に招集しなければなりません。
決算をまとめ、1年の成果を株主に説明して承認を得ることも、社長の欠かせない仕事です。 日々の業務が現場寄りの小さな会社でも、この区切りだけは毎年やってきます。


参考:e-Gov法令検索「会社法」
参考:中小企業基盤整備機構 J-Net21「中小企業に必要な法律知識(第1回)ー代表取締役・取締役・部長・課長の権限と責任ー」
社長の一日は?統計で見る仕事時間と時間の使い方
「社長の1日はどうなっているのか」は、多くの人が気になる点でしょう。会社ごとの差が大きいテーマですが、公的統計で平均像をつかむことはできます。
- 仕事のある平日の仕事時間は、雇われて働く人とほぼ同じ
- 差が出るのは土曜日と、仕事のない日
- 小規模事業者の経営者は、1日平均9時間26分働いている
- 1日の中で、社長の時間が割かれやすい場面
仕事のある平日の仕事時間は、雇われて働く人とほぼ同じ
総務省「令和3年社会生活基本調査」は、1日の時間の使い方を従業上の地位別に集計しています。社長だけを取り出した区分はないため、ここでは社長を含む「会社などの役員」の数字を使います。役員の推定人口は258万人で、取締役など社長以外の役員も含まれる点には注意が必要です。
仕事のある平日(出張・研修などを除く)の時間配分を、雇われて働く人と比べると次のとおりです。
| 行動 | 会社などの役員 | 雇用されている人 |
|---|---|---|
| 仕事 | 8時間23分 | 8時間18分 |
| 通勤 | 50分 | 1時間10分 |
| 睡眠 | 7時間11分 | 7時間20分 |
| 食事 | 1時間51分 | 1時間37分 |
| 家事 | 30分 | 1時間1分 |
いずれもその行動をしなかった人も含めた平均で、仕事は副業を除く本業の時間です。仕事をした時間の差は5分しかありません。 ただし役員の集計は、仕事のある平日で127人分の回答にもとづくため、数分の差は目安として見ておくのが無難です。役員は通勤が20分短く、食事が14分長い。食事の時間には、取引先との会食のような場面も含まれている可能性がありますが、統計からその内訳までは読み取れません。社長が会社員より極端に長く働いている、という像は、少なくとも役員全体の平均では確認できないのです。
差が出るのは土曜日と、仕事のない日
違いがはっきり出るのは週末です。同じ調査で土曜日の仕事時間を見ると、会社などの役員は平均4時間12分で、雇われて働く人の2時間54分より1時間以上長くなっています。従業員を雇って個人で事業をしている「雇人のある業主」は6時間16分で、さらに長い数字でした。
日曜日のうち仕事のない日だけを取り出しても、役員は平均44分、雇われて働く人は16分、仕事をしています。休みの日にも、仕事が少しずつ入り込んでいるわけです。社長の働き方の特徴は、平日の長さより、休日との境目のあいまいさに表れていると言えるでしょう。


小規模事業者の経営者は、1日平均9時間26分働いている
小さな会社の経営者に絞った調査もあります。前掲の「2018年版 小規模企業白書」によると、小規模事業者の経営者の1日の実労働時間は、休憩を除いて平均9時間26分。「9〜10時間」が41.7%で最も多く、「11〜12時間」が15.3%、「13時間以上」も5.5%いました。白書は、常用雇用者5人以上30人未満の事業所で働く一般労働者の平均8時間16分と比べて長いと指摘しています。
1週間の休日は「1日」が74.5%と大半で、平均は1.17日です。 人手不足への対応として「経営者の労働時間を増やし対応」と答えた経営者に限ると、1日の実労働時間は平均10時間8分に延びていました。いずれも2017年12月の調査にもとづく数字です。先の社会生活基本調査とは調査の方法も時期も違うため単純には比べられませんが、現場の仕事を兼ねる小さな会社の経営者には、長く働く人が多いことがうかがえます。
1日の中で、社長の時間が割かれやすい場面
社長の1日に決まった型はありません。ただ、ここまでの白書と条文から、時間を取られやすい場面は次のように整理できます。
| 場面 | 中身 | 裏づけ |
|---|---|---|
| 社内の会議と報告 | 方針を決め、進み具合を確かめ、取締役会に報告する | 取締役会のある会社では、報告は3か月に1回以上が義務 |
| 顧客との商談 | 営業や提案に自ら出て、取引を決める | 小規模事業者の経営者の75.8%が販売に従事 |
| お金の段取り | 金融機関との打ち合わせ、資金繰りの確認 | 同じく64.9%が資金調達に従事 |
| 採用と人の話 | 採用面接、幹部との面談、評価 | 同じく44.0%が人事・採用に従事 |
| 数字の確認 | 売上や入出金の記録、試算表のチェック | 売上高1千万円以下では66.0%が経理を経営者自ら担当 |
一般に、大きな会社では商談や経理の実務は担当部署に任され、社長の時間は会議と社外への説明に寄っていきます。小さな会社では、この表のほとんどを社長が自分でこなすことになるでしょう。
参考:総務省統計局「令和3年社会生活基本調査 第13-1表 曜日,男女,従業上の地位,行動の種類別総平均時間(主行動)」
参考:総務省統計局「令和3年社会生活基本調査 生活時間及び生活行動に関する結果」
参考:中小企業庁「2018年版 小規模企業白書 第2部第1章第2節 小規模事業者の経営者の業務負担」
社長自身は、自分の仕事をどう語っているか
統計は平均の姿を教えてくれますが、社長がその時間で何を考えているかまでは分かりません。私たちが取材の日程を調整するときも、社長の予定は社外の約束と社内の打ち合わせで細かく埋まっていることが多く、その中身は本人に聞いてみて初めて見えてきます。熱狂ベンチャーナビのインタビューでも、社長が自分の仕事について語る場面があります。
- 経営の役割を「後方支援」と表現する社長
- 創業1期目に、営業と財務の違いに直面した社長
- 毎朝の習慣に、社員へのフィードバックを置く社長
株式会社ディライト代表取締役の高橋亮さんは、経営の役割を次のように話しています。
お金と人をどこに振り向けるかを決めることが、社長の仕事の中心にある。白書で「減らしたい」と答えた人が少なかった経営計画の策定とも重なる考え方です。
株式会社エンルーツ代表取締役の駒田雄也さんは、独立して間もない頃をこう振り返っています。
売上をつくる仕事と、お金を回す仕事は別物だという話です。2期目に財務を学んだと話しており、社員の頃には見えにくかった社長の仕事の一面がうかがえます。
株式会社アペルの井上雅之社長は、インタビューのプロフィール欄で、日々の習慣をこう書いています。
1日のどこに何の時間を置くかにも、その社長が何を大事にしているかが表れます。
熱狂ベンチャーナビでは、創業まもない会社から規模の大きな会社まで、経営者本人に事業の始まりや組織のつくり方、任せ方を聞いています。社長の仕事の中身を具体的に知りたいときは、何人かの話を読み比べてみてください。
働く側から見た、社長の仕事内容の確かめ方
社長の仕事を知っておくと、会社選びの見方も変わります。特に社員の少ない会社では、社長の時間の使い方が、そのまま入社後の働き方に響いてくるからです。
- 面接で社長に会えたら、時間の使い方を聞いてみる
- 社長が現場を兼ねている会社では、任され方が変わる
面接で社長に会えたら、時間の使い方を聞いてみる
最終面接などで社長と話す機会があれば、「社長ご自身は、1週間のうちどんな仕事に一番時間を使っていますか」と聞いてみる方法があります。答えが営業なのか、採用なのか、資金の段取りなのか。会社がいまどの段階にあり、何に力を入れているかが見えてきます。
あわせて「これから社員に任せたい仕事は何ですか」と聞けば、入社した人に期待されている役割も具体的になるでしょう。大切なのは答えの中身の良し悪しより、社長が自分の時間の使い方を言葉にして説明できるかどうかです。 理由と一緒に答えが返ってくるなら、自分の仕事を客観的に見ている社長だと受け取れます。面接で使える質問の組み立て方は、面接の逆質問は何を聞く?も参考にしてください。
社長が現場を兼ねている会社では、任され方が変わる
社長が営業や経理を自ら担っている会社では、社長との距離が近く、判断の理由を間近で見られる場面が多くなります。社長が手放したい仕事を引き受けることで、早いうちから会社の数字や顧客に触れられることもあるでしょう。
一方で、社長の予定に合わせて仕事の段取りが動きやすく、社長が不在の日は判断が止まる、ということも起こりえます。どちらが良いということではありません。入社前に「社長が判断する範囲と、社員に任されている範囲」を確かめておくと、入社後のずれを小さくできます。
社長の仕事内容に関するよくある質問
社長の1日のスケジュールはどうなっていますか?
会社ごとに違いますが、統計で見ると、仕事のある平日の仕事時間は会社員とほぼ同じです。 総務省「令和3年社会生活基本調査」では、会社などの役員が仕事のある平日に仕事をした時間は平均8時間23分、雇われて働く人は8時間18分でした。違いが出るのは土曜日で、役員は4時間12分、雇われて働く人は2時間54分です。小規模事業者の経営者を対象にした「2018年版 小規模企業白書」では、1日の実労働時間は平均9時間26分でした。2つは調査の時期も方法も違うため、数字を並べて単純に比べることはできません。
参考:総務省統計局「令和3年社会生活基本調査 第13-1表」
社長は普段、会社で何をしているのですか?
会社の規模によって、社内にいる時間の使い方そのものが違います。 一般に、大きな会社では、会議で方針を決め、取締役会や株主、取引先に説明する時間が中心になります。小さな会社では、営業や資金の段取りを社長自身が担うことが多く、「2018年版 小規模企業白書」では経営者の75.8%が販売に、64.9%が資金調達に携わっていました。社長の席が空いていることが多いのは、こうした社外の仕事のためでもあるでしょう。
社長がやってはいけないことは何ですか?
会社の利益より自分の利益を優先することです。 会社法第355条は、取締役に法令や定款、株主総会の決議を守り、会社のため忠実に職務を行うことを求めています。第356条が定めるのは、取締役が自分や第三者のために会社の事業と同じ種類の取引をするときや、会社と取引をするときなどに、株主総会で重要な事実を開示して承認を受ける義務。取締役会を置く会社では、第365条によりこの承認を取締役会で受けます。
社長に休みはありますか?
休むことはできますが、休日の決まり方が社員とは違います。 労働基準法第9条が定める「労働者」は、事業に使用される者で、賃金を支払われる者。代表取締役を兼ねる社長は、会社法第330条により会社から経営を任される委任の関係にあり、一般に、労働時間や休日の規定が前提とする雇われて働く人とは立場が異なります。いつ休むかは自分で決めることになり、「2018年版 小規模企業白書」では小規模事業者の経営者の1週間の休日は平均1.17日でした。
社長が自分で営業するのはおかしいですか?
小さな会社では、むしろ一般的な姿です。 「2018年版 小規模企業白書」では、小規模事業者の経営者の75.8%が商品やサービスの販売に従事していました。会社が大きくなるにつれて営業担当者に任せる範囲が広がりますが、大口の取引先との関係づくりや大きな商談には、社長が自ら出る会社もあります。
参考:中小企業庁「2018年版 小規模企業白書 第2部第1章第2節」
まとめ
社長の仕事内容は、会社の方向を決め、お金と人を動かし、結果に責任を持つことです。法律の上では、取締役会のある会社の場合、代表取締役として業務を執行し、3か月に1回以上取締役会に報告する義務を負い、大きな借入れや重要な財産の処分は取締役会の決議で決まります。決算をまとめて定時株主総会で承認を得ることも、毎年の仕事です。
実際の中身を左右するのは、会社の規模です。小規模事業者の経営者の75.8%は販売に、64.9%は資金調達に携わり、売上高1千万円以下の会社では66.0%が経理も自ら担っています。1日の仕事時間は、役員全体で見れば会社員とほぼ同じですが、土曜日や休日にも仕事が入り込みやすく、小規模事業者の経営者は2017年の調査で1日平均9時間26分働いていました。
正直なところ、取材を始める前は、社長はもっと特別な時間の使い方をしているものだと思っていました。話を聞いてみると、多くの社長が語るのは、どこにお金と人を回すか、誰に何を任せるかという、地道な判断の積み重ねです。社長の仕事を知ることは、その会社でどんな働き方ができるかを知ることにもつながります。社長を目指す道筋に関心があれば、社長になるにはもあわせて読んでみてください。
どんな社長のもとで、どこまで任されて働きたいか。その条件に合う会社を広く見比べたいなら、求人を持っている転職エージェントに相談するのが近道です。

