代表取締役と社長の違いとは?代表取締役社長・CEO・会長の肩書きの読み方

代表取締役と社長の違いは、会社を代表する権限が法律で与えられているかどうかです。代表取締役は会社法にもとづく立場で、社長は会社が任意に付ける役職名にあたります。
そのため、社長に代表権がない会社もあります。会長が代表取締役で、社長は代表権をもたない取締役という形もあり、肩書きが「社長」だから会社の代表とは限らないのです。
この記事では、代表取締役の権限と選ばれ方を条文で確かめ、代表取締役社長・会長・CEOといった肩書きの組み合わせの読み方を整理します。
肩書きの読み方が分かると、求人票に並ぶ「事業責任者」「役員候補」といったポジションの違いも見えてくるはずです。いまの経験でどんな役職を目指せるのか、その待遇はどのくらいなのかは、転職エージェントを活用すれば無料で確認できます。
代表取締役と社長の違いを一覧で比較
代表取締役と社長は同じ人を指すことが多い言葉ですが、性質はまったく違います。違いは次の4点にまとまります。
- 法律に定めがあるかどうか
- 会社を代表する権限が付いているかどうか
- だれが、どのように選ぶか
- 登記されるかどうか
| 比較する点 | 代表取締役 | 社長 |
|---|---|---|
| 位置づけ | 会社法が定める、会社を代表する取締役 | 会社が任意に決める役職の呼び名 |
| 会社を代表する権限 | 法律で与えられている | 呼び名そのものには付いていない |
| 選ばれ方 | 取締役会のある会社は取締役会が取締役の中から選ぶ。ない会社は定款・定款にもとづく取締役の互選・株主総会の決議で定めることができる | 会社が定款や社内の規程で決める |
| 人数 | 上限はなく、複数いてもよい | 通常は1人 |
| 登記 | 氏名と住所が登記される | 登記されない |
| 名乗り方 | 社長・会長・CEOなどの呼び名と組み合わせて名乗れる | 代表取締役でない人が名乗る場合もある |
代表取締役は法律上の立場、社長は社内の呼び名です。 この2つを1人が兼ねたときの肩書きが「代表取締役社長」。中小企業基盤整備機構が運営するJ-Net21の解説記事(2026年7月)も、通常は社長が代表取締役を兼ねているものの、代表取締役が社長であるとは限らないと説明しています。代表取締役が複数いる会社では、会長や副社長が代表取締役になっていることもあります。

「代表取締役」と「代表取締役社長」は法律上同じ立場
名刺や会社概要には、「代表取締役」とだけ書く会社もあれば、「代表取締役社長」と書く会社もあります。法律上の立場はどちらも代表取締役で、違いは社長という呼び名を添えているかどうかだけです。 登記簿に記録されるのも「代表取締役」の氏名と住所で、社長という言葉は出てきません。会社法が登記事項として挙げているのは代表取締役であって、社長などの呼び名は含まれていないからです。
参考:中小企業基盤整備機構 J-Net21「中小企業に必要な法律知識(第1回)ー代表取締役・取締役・部長・課長の権限と責任ー」
参考:e-Gov法令検索「会社法」
代表取締役とは、会社を代表する権限をもつ取締役
代表取締役について押さえておきたいのは、次の4点です。
- 会社の業務について、裁判の内外を問わず一切の行為をする権限がある
- 社内で権限を絞っても、事情を知らない相手にはその制限を主張できない
- 取締役の中から選ばれ、取締役会のある会社では取締役会が選ぶ
- 人数に上限はなく、氏名と住所が登記される
代表取締役に何ができるのかは、会社法の条文がいちばんはっきり示しています。
「裁判上の行為」は訴訟など裁判の手続きを会社として行うこと、「裁判外の行為」は契約の締結や代金の支払いなど、裁判以外の場面での行為全般を指します。代表取締役は、会社そのものとして外部と約束を交わせる立場なのです。
後半の「善意の第三者」とは、事情を知らない取引相手のこと。たとえば社内の規程で、代表取締役が単独で結べる契約の金額に上限を設けていても、その上限を知らない相手に対して、会社は規程に反することを理由に契約の無効を主張できません。代表取締役の権限は、社内の取り決めで絞ったとしても、事情を知らない相手との関係では広いまま扱われます。 取引の相手が安心して会社と約束を交わせるようにするための仕組みと言えるでしょう。
取締役会のある会社では、取締役会が選ぶ
代表取締役の選び方は、取締役会を置いているかどうかで変わります。取締役会を置く会社では、取締役会が取締役の中から代表取締役を選定しなければならず、解職するのも取締役会。発行する株式の全部または一部について、譲渡に会社の承認を求めていない「公開会社」には取締役会を置く義務があるので、こうした会社では取締役会が代表取締役を選ぶのが基本の形になります。
取締役会を置かない会社では、定款、定款にもとづく取締役どうしの互選、株主総会の決議のいずれかで代表取締役を定めることができます。定めなければ、取締役が一人ひとり会社を代表する決まりです。取締役が1人しかいない会社なら、その人が会社を代表する立場にあります。
そもそも取締役は、株主総会の決議で選ばれます。株主が取締役を選び、選ばれた取締役のなかから会社の代表が決まるという二段の仕組みです。 代表取締役は、株主から経営を託された人の中から、さらに会社の顔として選ばれた存在と言えます。
代表取締役は何人いてもよい
会社法は、代表取締役の人数に上限を設けていません。2人以上いれば、それぞれが単独で会社を代表できます。創業メンバー2人がそろって代表取締役に就く「共同代表」や、会長と社長の2人がともに代表取締役という形は、この仕組みのうえに成り立っているのです。
代表取締役は登記され、社長は登記されない
株式会社は、代表取締役の氏名と住所を登記しなければなりません。代表取締役が交代したときや住所が変わったときは、2週間以内に変更の登記が必要です。社長や会長、CEOといった呼び名は登記事項に含まれていないため、登記簿を見ても分かりません。
2024年10月1日からは、法務省の「代表取締役等住所非表示措置」も始まりました。一定の要件を満たして申し出れば、登記事項証明書などに表示される代表取締役の住所を、市区町村まで(東京都は特別区まで、指定都市は区まで)にとどめられる制度です。
参考:e-Gov法令検索「会社法」
参考:法務省「代表取締役等住所非表示措置について」
社長とは、会社が決める役職の呼び名
社長について押さえておきたいのは、次の3点です。
- 会社法に社長の定義はなく、会長や専務、CEOは条文に一度も出てこない
- 社長が代表取締役とは限らない
- 呼び名の付け方は会社ごとに違う
社長は、会社が定款や社内の規程で決める呼び名です。J-Net21の解説も、社長という名称は法律で定められたものではなく、会社内部で定めた呼称にすぎないと説明しています。
実は会社法の条文を検索しても、「会長」「専務」「執行役員」「CEO」「最高経営責任者」という言葉は一度も出てきません。「社長」が出てくるのも、社長などの名称を付けた場合に会社が負う責任を定めた2つの条文だけです。 法律は、会社の中でだれを何と呼ぶかには立ち入っていないのです。
代表権のない社長もいる
社長は通常、代表取締役を兼ねています。それでも、両者が一致しない会社はあります。会長が代表取締役で、社長は代表権をもたない取締役という形がその例です。
私たちが話を聞いた会社にも、会長の肩書きに「代表取締役」が付き、社長の肩書きは「取締役 執行役員社長」となっている会社がありました。肩書きのうえで「代表」の文字が付いているのは、会長の側です。社長だから代表権がある、とは限らないのです。
呼び名の付け方は、会社の事情で決まる
社長という呼び名を使うかどうか自体も、会社が決めることです。株式会社ディライトの代表取締役・高橋亮さんは、社内の呼び方についてこう話しています。
社内で「社長」と呼ばなくても、会社を代表する人が法律上いなくなるわけではありません。肩書きは社内の約束ごと、代表権は法律の決まりごとと分けて考えると、自由な肩書きの名刺を受け取っても読み違えずに済みます。
会長も、社長と同じく法律に定めのない呼び名です。社長を退いた人が会長に就き、後任が社長になることもあります。株式会社アイランド・ブレインの鈴木徹社長が社長を引き継いだのも、そうした場面でした。
会長になった人が代表権を持ち続けるかどうかは、会社ごとに違います。肩書きが「代表取締役会長」なら代表権を残した形、「取締役会長」や「会長」だけなら、肩書きから代表権の有無までは分かりません。
法律や開示のルールが見ているのも、呼び名ではなく代表取締役かどうかです。金融商品取引法にもとづき、有価証券報告書を提出している会社は、代表取締役に異動があると、原則として臨時報告書を出さなければなりません。企業内容等の開示に関する内閣府令は、ここでいう「異動」を、代表取締役だった人が代表取締役でなくなることか、代表取締役でなかった人が代表取締役になることと定めています。社長が会長に退いても代表取締役のままなら、その人については異動に当たらないということです。
参考:中小企業基盤整備機構 J-Net21「中小企業に必要な法律知識(第1回)ー代表取締役・取締役・部長・課長の権限と責任ー」
参考:e-Gov法令検索「会社法」
参考:e-Gov法令検索「金融商品取引法」
参考:e-Gov法令検索「企業内容等の開示に関する内閣府令」
代表取締役社長・会長・CEO|肩書きの組み合わせで分かること
名刺や会社概要に並ぶ肩書きは、「代表権を示す部分」と「社内の呼び名」の組み合わせとして読むと整理しやすくなります。よく見かける組み合わせを並べると、次のとおりです。
| 肩書きの例 | 会社を代表する権限 | 読み取れること |
|---|---|---|
| 代表取締役社長 | あり | 代表取締役が社長も務めている。社長が代表取締役を兼ねる典型的な形 |
| 代表取締役 | あり | 社長などの呼び名を添えていない。代表取締役が複数いる会社や、社内で呼び名を使わない会社でも見られる |
| 代表取締役会長 | あり | 会長も代表権をもつ。社長も代表取締役なら、代表が2人いる |
| 代表取締役副社長・代表取締役専務 | あり | 社長のほかにも代表取締役がいる |
| 代表取締役CEO | あり | 代表取締役がCEOという呼び名を使っている。社長と同じ意味かどうかは会社による |
| 代表取締役 社長執行役員 | あり | 代表取締役が、社内の執行役員制度のトップも務めている |
| 取締役社長・社長 | 肩書きからは分からない | 「代表」の文字がなくても代表取締役である場合もあれば、会長などが代表取締役で社長には代表権がない場合もある |
| 取締役会長・会長 | 肩書きからは分からない | 社長を退いたあとも代表権を残しているかは会社による |
| 取締役COO・執行役員COO | 肩書きからは分からない | 業務執行の責任者を示す社内の呼び名。代表権があるかは呼び名とは別に決まる |
| 代表執行役社長 | あり | 指名委員会等設置会社で、会社を代表する代表執行役が社長を名乗っている |
| 代表社員 | あり | 合同会社などで、会社を代表する社員 |
表は、肩書きの書き方から読み取れる範囲で整理したものです。肩書きは会社が付けるものなので、だれが代表取締役かを正確に記録しているのは登記のほうになります。
実のところ、肩書きだけで社内の力関係まで読み切るのは、私たちにとっても難しいと感じます。会長と社長のどちらが実際に経営を率いているのか、CEOとCOOがどう役割を分けているのかは、会社ごとの事情で決まるからです。
CEO・COOは会社法に定めのない呼び名
CEOはChief Executive Officer(最高経営責任者)、COOはChief Operating Officer(最高執行責任者)の略です。どちらも会社法には出てこない社内の呼び名で、CEOを社長と同じ意味で使うか、別の役割として置くかは会社が決めます。
「代表取締役CEO」の代表権は、CEOという呼び名ではなく、代表取締役であることから生まれます。 反対に「CEO」とだけ書かれた肩書きからは、代表権があるかどうかは読み取れません。COOも同じで、「取締役COO」なら取締役であることまでは分かるものの、会社を代表する権限があるかは肩書きだけでは判断できないのです。
「代表執行役社長」は指名委員会等設置会社の肩書き
「代表執行役社長」は、指名委員会等設置会社という形をとる会社の肩書きです。指名委員会・監査委員会・報酬委員会を置くこの形の会社では、取締役会が執行役の中から代表執行役を選び、その代表執行役が会社を代表します。代表取締役の権限を定めた規定も、代表執行役に当てはめられているのです。
ここでいう執行役は会社法が定める機関で、会社が任意に置く「執行役員」とは別物。名前は似ていても、法律上の位置づけが違います。
「社長」の肩書きを信じた相手は守られる|表見代表取締役のルール
このルールのポイントは、次の3つです。
- 代表権のない取締役に「社長」などの名称を付けると、その行為に会社が責任を負う
- 守られるのは、事情を知らない取引相手
- 支店長のような従業員の肩書きにも、似たルールがある
法律に定めのない「社長」という言葉は、会社法のこの規定に登場します。
言い換えると、代表権のない取締役に「社長」「副社長」のような会社を代表していそうな名称を付けた場合、その取締役がした取引について、事情を知らない相手には会社が責任を負うという意味です。こうした取締役は「表見代表取締役」と呼ばれます。J-Net21の解説は、専務取締役や常務取締役も、代表権があると誤解されうる肩書きの例に挙げています。
責任を負うのが会社の側だという点が、このルールの要です。 取引のたびに相手の登記を確かめるのは現実的ではありません。J-Net21も、登記を見れば代表権の有無は分かるものの、取引のたびに確認するのは実務上難しいと指摘しています。だからこそ法律は、肩書きを付けた会社に責任を持たせ、肩書きを信じた相手を守る形をとっているわけです。反対に、相手が代表権のないことを知っていた場合は「善意」に当たらず、このルールでは守られません。
指名委員会等設置会社の執行役にも、同じ趣旨の規定があります。また、支店長のように本店や支店の事業の主任者であることを示す名称を付けられた従業員は、その本店や支店の事業について、裁判以外の一切の行為をする権限があるものとみなされます。ただし、相手が事情を知っていた場合は別です。肩書きは社内で自由に決められる一方で、外に向けて使えば会社が責任を引き受けることになります。 この関係があるからこそ、名刺の肩書きは取引の手がかりとして通用しているとも言えるでしょう。
参考:e-Gov法令検索「会社法」
参考:中小企業基盤整備機構 J-Net21「中小企業に必要な法律知識(第1回)ー代表取締役・取締役・部長・課長の権限と責任ー」
名刺や求人票の肩書きを読むときの4つのポイント
就職や転職の場面で肩書きに出会うのは、名刺、会社概要、求人票、そして面接の場です。読むときのポイントは次の4つ。
- 「代表」の2文字があるかを見る
- 求人票の「役員候補」は、取締役への選任を想定しているかを確かめる
- 会社概要と役員一覧で、役割の分担を見る
- 引っかかるときだけ、登記で確かめる
「代表」の2文字があるかを見る
最初に見るのは「代表」の文字です。代表取締役、代表執行役、代表社員のように「代表」が付いていれば、その人は会社を代表する立場にあると読めます。社長・会長・CEOといった呼び名は、その人が社内でどんな役割を担っているかを示すもの。「代表」の部分と社内の呼び名を分けて読むだけで、肩書きの意味はかなり見通しやすくなります。 代表取締役会長と代表取締役社長が並ぶ会社なら代表は2人、取締役社長なら代表権は肩書きだけでは分からない、といった具合です。
求人票の「役員候補」は、取締役への選任を想定しているかを確かめる
マイナビ・リクナビなどの求人サイトや転職エージェントの求人では、「役員候補」「CFO候補」「執行役員」といったポジション名を見かけることがあります。取締役に就くには株主総会の決議による選任が必要で、会社との関係も雇用ではなく委任の規定に従います。社員として採用された人が、そのまま取締役になるわけではありません。CxOや執行役員は会社が決める呼び名で、取締役を兼ねる場合もあれば、兼ねない場合もあります。
ポジション名だけで判断せず、面接では次の2点を聞いておくと行き違いを防げるでしょう。
- そのポジションは、将来の取締役への選任を前提にしているか
- 入社時の契約は雇用契約か、それ以外の契約か
同じ「役員候補」でも、会社によって指している中身は違います。 役職名が魅力的に見えるときほど、法律上の立場と契約の形を確かめておきたいところです。
会社概要と役員一覧で、役割の分担を見る
会社の公式サイトにある会社概要や役員一覧を見ると、代表者がだれで、ほかにどんな役員がいるかが分かります。代表取締役が1人か複数か、会長と社長が両方いるか、CEOとCOOのように役割を分けて名乗っているか。この3点を見るだけでも、その会社の経営の組み立てが見えてきます。面接で会う役員がどの役割を担っているかが分かれば、聞くべき質問も変わってきます。 事業の方向性は社長やCEOに、入社後の仕事の進め方は事業の責任者に、という具合に聞き分けられるからです。
なお、国税庁の法人番号公表サイトで公表されているのは、商号または名称、本店の所在地、法人番号の「基本3情報」と、名称や所在地の変更履歴などです。代表者の名前は載っていないため、代表者を知りたいときは会社自身の公表情報を先に見るのが近道になります。
参考:国税庁「法人番号とは」
引っかかるときだけ、登記で確かめる
会社概要に代表者の記載がない、名刺の肩書きと会社概要の表記が食い違っている、といった引っかかりが残ったときは、登記を見れば確かめられます。会社の登記事項証明書は、だれでも所定の手数料を納めて交付を請求できます。法務省によると、手数料は書面での請求が600円、オンラインで請求して郵送で受け取るなら520円、オンラインで請求して窓口で受け取るなら490円(2025年4月1日から)。インターネットで登記の内容を確認できる登記情報提供サービスなら、会社の登記記録の全部の情報が1件330円です(2026年4月1日からの料金)。
登記で分かるのは、代表取締役の氏名と住所、取締役の氏名などです。社長やCEOといった呼び名は登記されていないので、名刺の肩書きと照らし合わせるときは、「代表取締役」の欄にその人の名前があるかを見ます。応募先をすべて調べる必要はなく、最終的に入社を考える会社で表記に不自然さを感じたときの手段として知っておけば十分です。
参考:法務省「会社・法人の登記事項証明書等を請求される方へ」
参考:法務省「登記手数料について」
参考:法務省「登記情報提供サービスの利用料金等一覧」
代表取締役と社長に関するよくある質問
代表取締役と社長はどちらが上ですか?
比べる軸が違うため、法律上どちらが上という関係にはありません。 代表取締役は会社法上の立場、社長は社内の呼び名で、多くの会社では同じ人が兼ねています。両者が別の人であれば、会社を代表する権限は代表取締役の側にあり、社内での指揮命令の関係は会社の規程しだいです。なお取締役会のある会社では、代表取締役も取締役会の監督を受け、取締役会の決議で解職されることがあります。
代表取締役と社長は同じ人ですか?
通常は同じ人で、その場合の肩書きが「代表取締役社長」です。 ただし、会長が代表取締役で社長には代表権がない会社や、代表取締役が複数いて社長はそのうちの1人という会社もあります。社長という呼び名を使わず、代表取締役とだけ名乗る会社もあるため、名刺に「社長」の文字がないからといって会社の代表者でないとは言えません。
代表取締役社長はCEOと同じですか?
同じとは限りません。 CEOは会社法に定めのない呼び名で、社長と同じ意味で使うか、別の役割として置くかは会社次第です。会社を代表する権限があるかどうかは、CEOの部分ではなく「代表取締役」の部分で決まります。英語表記については、法務省が運営する日本法令外国語訳データベースシステムが、会社法の「代表取締役」をRepresentative Director、表見代表取締役の条文にある「社長、副社長」をpresident, vice presidentと訳しています。同システムの翻訳は正文ではなく、理解を助けるための参考資料という位置づけです。
参考:法務省「日本法令外国語訳データベースシステム 会社法」
代表取締役社長と会長の違いは何ですか?
会長も社長と同じく、法律に定めのない社内の呼び名です。 違いが表れるのは、「代表取締役」が付くかどうか。代表取締役会長と代表取締役社長が並んでいれば代表は2人、「取締役会長」や「会長」だけなら肩書きから代表権の有無は分かりません。社長を退いた人が会長に就くこともありますが、その場合に代表権を残すかどうかも会社が決めます。
合同会社に代表取締役はいますか?
合同会社には取締役がいないため、代表取締役もいません。 合同会社では業務を執行する社員が会社を代表し、定款や、定款にもとづく社員の互選によって、業務を執行する社員の中から会社を代表する社員を決めることもできます。法務省はこれを「代表社員」と呼んでおり、その氏名と住所は登記されます。名刺に「代表社員」とあれば、株式会社の代表取締役にあたる立場と読んでよいでしょう。
まとめ
代表取締役は、会社法が定める会社の代表者です。会社の業務について一切の裁判上・裁判外の行為をする権限をもち、取締役会のある会社では取締役会が取締役の中から選び、氏名と住所が登記されます。社内で権限を絞っても、事情を知らない相手にはその制限を主張できません。一方の社長は会社が決める呼び名で、法律上の定めはないのです。会社法に「社長」が出てくるのは、社長などの名称を付けた取締役や執行役の行為について、会社が責任を負うことを定めた規定だけでした。
肩書きを読むときは、「代表」が付く部分と、社長・会長・CEOといった社内の呼び名を分けて見るのが近道です。代表取締役社長、代表取締役会長、代表取締役CEO、取締役社長。並びは似ていても、伝えている中身は少しずつ違います。求人票の「役員候補」のようなポジション名も、取締役への選任を前提にしているのか、社内の役職名なのかを確かめておくと安心です。
私たちが経営者に話を聞いていると、肩書きはその会社が自分たちをどう見せたいかの表れでもあると感じます。社長と呼ばれない代表取締役もいれば、社長を後任に譲って会長に就く人もいます。肩書きの向こうにある役割の分け方を、経営者インタビューで本人の言葉から読み取ってみてください。
肩書きの意味がつかめたら、次は自分が目指せるポジションとその待遇を、実際の求人で確かめてみる番です。

