機械設計の転職は難しい?求人倍率と年収、未経験からの道と転職先の選び方

機械設計の転職は、ハローワークの統計で見るかぎり、求人が求職者を上回る状況にあります。機械設計を含む「製造技術者(開発)」の有効求人倍率は、令和8年9月で1.95倍でした。
意外なのは、同じ製造系の技術者でも、生産や品質管理を担う区分では求人が求職者を下回っていることです。
この記事では、仕事内容と年収、評価される資格、メーカー・設計受託や派遣・ベンチャーという転職先の見極め方を、未経験やCADオペレーターから目指す道まで含めて整理します。
自分の設計経験がどの業界の求人で、どのくらいの年収で評価されるのかは、転職エージェントを活用すれば無料で確認できます。
機械設計の転職市場|開発の区分の有効求人倍率は令和8年9月で1.95倍
機械設計の求人の多さは、厚生労働省がハローワークの求人と求職を集計した統計で確かめられます。押さえておきたいのは次の3点です。
- 機械設計技術者は、職業分類で「製造技術者(開発)」に入る
- その有効求人倍率は、令和8年9月で1.95倍
- 生産や品質管理を担う「製造技術者(開発を除く)」は0.76倍
厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年9月分)」の参考統計表で、常用(パート含む)の有効求人倍率を職業別に見ると、製造技術者(開発)は1.95倍でした。 ハローワークに出ている有効求人15,166人に対して、仕事を探している有効求職者は7,790人。前年同月と比べると0.08ポイント上がっています。
| 職業の区分 | 有効求人 | 有効求職 | 有効求人倍率 |
|---|---|---|---|
| 製造技術者(開発) | 15,166人 | 7,790人 | 1.95倍 |
| 製造技術者(開発を除く) | 12,467人 | 16,431人 | 0.76倍 |
| 情報処理・通信技術者 | 51,575人 | 38,766人 | 1.33倍 |
| 建築・土木・測量技術者 | 59,740人 | 10,360人 | 5.77倍 |
| 職業計 | 2,039,793人 | 1,892,571人 | 1.08倍 |
※常用(パート含む)、令和8年9月の原数値。専門的・技術的職業のうち主な区分を抜き出しています。
ニュースで見る有効求人倍率1.19倍(令和8年9月)は季節調整をかけた値で、職業別の数字は季節調整をしていない原数値です。同じ表の職業計は1.08倍なので、比べるならこちらと並べてください。また、この統計に含まれるのはハローワークの求人だけです。マイナビ・リクナビのような求人サイトや転職エージェントが扱う求人は入っていません。
機械設計は統計上「製造技術者(開発)」に入る
この表の区分は、平成21年12月改定の日本標準職業分類にもとづいています。分類では、小分類「機械技術者(開発)」を、各種機械器具や機械設備、その部品の開発・設計の技術的な仕事に従事するものと説明しており、例として機械設計技術者、機械金型設計技術者、プラント設計技術者などが挙がります。
ただし、中分類の「製造技術者(開発)」には、機械のほかに電気・電子や化学などの開発技術者も含まれます。機械技術者(開発)の説明からは、自動車・航空機・船舶なども除かれています。1.95倍は機械設計だけの倍率ではなく、製造業の開発・設計に携わる技術者全体の数字として読むのが正確です。
生産技術や品質管理の区分は0.76倍
同じ機械の技術者でも、生産性の検討や工程設計、工程管理、品質管理、据付、修理などを担う人は、小分類「機械技術者(開発を除く)」に分類されます。その中分類にあたる製造技術者(開発を除く)は、有効求人12,467人に対して有効求職者が16,431人で、倍率は0.76倍でした。


ハローワークの数字で見るかぎり、製造業の技術者のなかでも、開発・設計の区分のほうが求職者1人あたりの求人は多い状態です。生産技術や品質保証の経験から設計を目指す人は、この差を頭に置いて求人を探すと、応募先の広げ方を考えやすくなります。
参考:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年9月分)について」
参考:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年9月分)参考統計表」
参考:e-Stat「日本標準職業分類 073 機械技術者(開発)」
参考:e-Stat「日本標準職業分類 083 機械技術者(開発を除く)」
参考:e-Stat「日本標準職業分類 072 電気・電子・電気通信技術者(通信ネットワーク技術者を除く)(開発)」
参考:e-Stat「日本標準職業分類 077 化学技術者(開発)」
機械設計の仕事内容|構想設計から詳細設計・製図まで
機械設計の仕事は、機械や装置の仕様を決めるところから、部品ひとつひとつの図面を描くところまで、いくつかの段階に分かれます。
- 基本設計:基本仕様を決めるための計算や構想図をつくる
- 計画設計:機能・構造・機構を具体的な形に落とし込む
- 詳細設計・製図:部品の形や寸法を図面にする
- 試作・評価:試作品で確かめ、結果を設計に戻す
段階ごとの違いは、一般社団法人日本機械設計工業会が実施する機械設計技術者試験の、級ごとの対象者像を読むとつかみやすくなります。
| 段階 | 主な仕事 | 機械設計技術者試験の対象者像 |
|---|---|---|
| 基本設計 | 機械・装置の基本仕様を決める計算、構想図の作成 | 1級:基本設計業務を行える技術者 |
| 計画設計 | 基本設計をもとに機能・構造・機構を具体化する | 2級:計画設計業務を行える技術者 |
| 詳細設計・製図 | 部品の詳細設計を補佐し、図面を作成する | 3級:詳細設計の補佐と関連する製図等を行える技術者 |
転職の場面では、自分がこのうちどの段階まで担当してきたかが、経験を伝えるときの軸になります。 同じ「設計5年」でも、詳細設計と製図が中心だった人と、構想図から任されていた人とでは、応募できる求人の幅が変わるからです。
設計で使う知識とツール
機械設計技術者試験の2級では、機械設計、力学、熱・流体、材料・加工、メカトロニクス、環境・安全といった分野が出題されます。機械の設計には、形を描く力だけでなく、強度や熱、材料の性質から形を決める知識が要るということです。
道具としては、図面を描く2次元CAD、立体のモデルをつくる3次元CAD、強度や流れをコンピュータで確かめる解析ソフトが中心になります。求人票では使用するCADソフトの名前が書かれていることがあるので、自分が使ってきたソフトと同じか、近い操作のものかを見ておきましょう。
参考:一般社団法人日本機械設計工業会「機械設計技術者試験 試験概要」
機械設計の年収|令和7年の職種「機械技術者」は年収換算659.0万円
公的統計で機械設計の年収に最も近いのは、厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」の職種「機械技術者」です。読み取れるのは次の3点です。
- 年収に換算すると659.0万円で、一般労働者全体の545.6万円より113.4万円高い
- 年齢とともに上がり、55〜59歳の842.2万円まで伸びる
- 企業規模1,000人以上と10〜99人では220.1万円の差がある
同調査の記入要領(令和8年調査用)で職種「機械技術者」の代表例とされているのは、機械技術士、機械設計技術者、プラント設計技術者、金属機械技術者、配管技術者(機械)など。設計を担う人だけの平均ではない点に注意してください。自動車設計技術者は、別の職種「輸送用機器技術者」に分類されています。
令和7年調査の機械技術者(企業規模10人以上、短時間労働者を除く一般労働者)は、平均年齢42.3歳、平均勤続年数15.0年。6月分のきまって支給する現金給与額が42万1,400円、前年1年間の年間賞与その他特別給与額が153万3,600円でした。月々の給与を12倍して賞与を足すと、年収換算は659.0万円になります。
| 区分 | きまって支給する現金給与額(月) | 年間賞与その他特別給与額 | 年収換算 |
|---|---|---|---|
| 機械技術者(男女計) | 42万1,400円 | 153万3,600円 | 659.0万円 |
| 機械技術者(男性) | 43万1,900円 | 158万5,200円 | 676.8万円 |
| 機械技術者(女性) | 32万4,200円 | 105万3,500円 | 494.4万円 |
| 一般労働者全体(男女計) | 37万500円 | 100万9,600円 | 545.6万円 |
※年収換算は、きまって支給する現金給与額×12+年間賞与その他特別給与額で編集部が計算した概算です。きまって支給する現金給与額には残業代も含まれます。
国税庁と厚生労働省の統計の違いや、日本全体の平均年収については平均年収は487万円|20代・30代・40代・男女別と国税庁・厚労省の違いで詳しく比べています。
年齢別に見ると55〜59歳まで上がり続ける
機械技術者の年収換算を年齢階級別に並べると、20〜24歳の386.1万円から、25〜29歳505.3万円、30〜34歳592.0万円、35〜39歳684.9万円、40〜44歳738.5万円、45〜49歳774.9万円、50〜54歳805.3万円と上がり、55〜59歳で842.2万円になります。60〜64歳は574.8万円です。


この統計で見るかぎり、機械技術者の年収換算は55〜59歳まで上がり続けます。 ただし、これは年齢階級ごとに別々の人を集計した平均で、同じ人が年を重ねたときの伸びを追ったものではありません。
企業規模別に見ると1,000人以上と10〜99人で220.1万円の差
企業規模別では、1,000人以上が745.5万円、100〜999人が610.4万円、10〜99人が525.4万円でした。1,000人以上と10〜99人の差は220.1万円です。


平均年齢と平均勤続年数は、1,000人以上が41.7歳・16.0年、10〜99人が45.3歳・13.7年と、働く人の構成も違います。この差がすべて会社の規模によるものとは言い切れません。転職で年収を比べるときは、月々の給与と賞与の内訳、昇給の仕組みまで求人票と面接で確かめておくと、総額だけを見るより判断を誤りにくくなります。
残業は月16時間で、全体の平均より長め
同じ調査で、6月の超過実労働時間数は機械技術者が16時間、一般労働者全体が11時間でした。所定内実労働時間数は162時間で、全体と同じです。設計の締め切りや試作の時期によって忙しさは変わるので、応募先では繁忙期の残業時間も聞いておきましょう。
参考:e-Stat「令和7年賃金構造基本統計調査 職種(小分類)、性別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」
参考:e-Stat「令和7年賃金構造基本統計調査 職種(小分類)、年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」
参考:e-Stat「令和7年賃金構造基本統計調査 一般労働者 産業大分類 第1表 年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額」
参考:厚生労働省「賃金構造基本統計調査の対象事業所に選ばれた事業主の方へ」(令和8年調査用 資料3 職種一覧と解説)
経験者の転職で見られるのは「担当した範囲」と「後工程とのやり取り」
機械設計の経験者が転職するときは、一般に、設計の年数よりも中身が問われます。職務経歴書や面接で伝えたいのは、次の4つです。
- 担当した製品と、設計のどの段階を受け持ったか
- 使ってきたCAD・解析ソフトと、その使い方
- 設計で変えた結果を、元の値と比べて示せるか
- 加工・組立・品質など、後工程とどう調整してきたか
| 伝える項目 | 書き方のポイント | 面接で聞かれやすい形 |
|---|---|---|
| 担当製品と段階 | 製品の種類と、基本設計・計画設計・詳細設計のどこまでを自分で決めたか | どこからどこまでを一人で担当しましたか |
| CAD・解析 | ソフト名と、モデル作成・図面化・解析のどれに使ったか | 解析の結果をどう設計に反映しましたか |
| 設計で変えた結果 | 部品点数・重量・コストなどを、変更前と変更後で並べる | その数字は誰の判断で決まりましたか |
| 後工程との調整 | 加工方法や組立手順を踏まえて図面を直した経験 | 現場から指摘を受けたとき、どう対応しましたか |
担当した範囲を広く書きすぎると、面接で細部を聞かれたときに答えに詰まります。自分が決めたことと、チームで決めたことを分けて書いておくと、話がぶれません。書き方の型は職務経歴書の書き方|4職種の見本とテンプレート、自己PRのコツと履歴書との違いが参考になります。
加工する側から見た設計の仕事
設計で決めたことは、図面を受け取って部品をつくる側の仕事にそのまま響きます。配電盤メーカーや電気メーカーなどから銅部品の加工を受けている株式会社ハタメタルワークスの畑敬三社長は、こう話しています。
設計のどこで何が決まるかが、部品をつくる側の段取りを左右しているわけです。正直なところ、私たちも取材の前は、設計は図面の中で完結する仕事だと思っていました。加工や組立の段取りまで想像して図面を引いた経験は、経験者の転職でそのまま話せる材料になります。
同じインタビューで畑社長は、同社には経験者も未経験から入社した従業員もいて、基本的にはOJTで学ぶ環境だと話しています。採用で大事にしているのは、経験の有無よりも、自分の頭で考えて仕事に向き合えるかどうかだそうです。加工の現場についての話ですが、設計職を目指すときにも通じる考え方でしょう。経験の年数が足りない分は、図面の意図を自分で考えて説明できるかどうかで補えます。
機械設計の転職に役立つ資格|機械設計技術者試験・CAD利用技術者試験・技能検定
機械設計の求人で資格がどう扱われるかは、求人ごとに違います。そのうえで、知識や技能を示す材料になる資格として次の3つがあります。
- 機械設計技術者試験(一般社団法人日本機械設計工業会)
- CAD利用技術者試験(一般社団法人コンピュータ教育振興協会)
- 技能検定「機械・プラント製図」(国家検定)
| 資格 | 区分 | 受験資格 | 受験料(税込) |
|---|---|---|---|
| 機械設計技術者試験 | 1級・2級・3級 | 3級は実務経験不要。2級・1級は学歴に応じた実務経験が必要 | 3級8,800円/2級22,000円/1級33,000円 |
| CAD利用技術者試験 | 2次元(1級・2級・基礎)/3次元(1級・準1級・2級) | 2次元2級・基礎、3次元2級は制限なし | 2次元2級7,150円/3次元2級8,800円(個人受験) |
| 技能検定「機械・プラント製図」 | 機械製図手書き作業/機械製図CAD作業/プラント配管製図作業 | 都道府県職業能力開発協会の案内で確認 | 都道府県職業能力開発協会の案内で確認 |
機械設計技術者試験|設計の段階に合わせた3つの級
日本機械設計工業会の機械設計技術者試験は、3級が詳細設計の補佐や製図、2級が計画設計、1級が基本設計を行える技術者を対象にしています。3級は実務経験が要らず、学生でも受けられる級です。 2級を直接受けるには、工学系の大学などを出た人で3年、短大・高専・専門学校などで5年、それ以外で7年の実務経験が必要。3級に合格していれば、それぞれ2年・3年・4年に短くなります。1級を直接受ける場合は、工学系の大学などを出た人で5年の実務経験と、協会の審査が求められます。
令和7年度の結果は、1級が受験者143人のうち合格者60人で合格率42.0%、2級が589人のうち276人で46.9%、3級が1,678人のうち898人で53.5%でした。
令和8年度は11月15日(日)に実施され、申請は10月9日で締め切られています。これから受けるなら、次の年度の試験が目標になります。
CAD利用技術者試験|2級は年度内に随時受けられる
一般社団法人コンピュータ教育振興協会のCAD利用技術者試験は、2次元と3次元に分かれます。2次元2級と3次元2級は、2026年4月4日から2027年3月31日までの期間に随時受けられ、受験資格の制限もありません。2次元1級と3次元の準1級・1級は年2回の試験日が決まっており、2級に合格していることなどが受験の条件です。
CADの操作を示す資格なので、未経験やCADオペレーターから設計を目指す人が、最初の目安にしやすい試験です。
技能検定「機械・プラント製図」|国が証明する製図の技能
技能検定は、働く人の技能を一定の基準で検定し、国として証明する国家検定制度です。「機械・プラント製図」はその職種の1つで、機械製図手書き作業、機械製図CAD作業、プラント配管製図作業に分かれます。合格すると技能士と称することができ、受検の申請や試験の実施は各都道府県職業能力開発協会が行っています。


求人で資格が必須とされるかどうかは、求人ごとに違います。資格を取る前に応募先の求人票の書き方を確かめる方法や、学び直しの費用に使える国の制度は、社会人におすすめの資格4つ|転職に有利かは求人で決まる、合格率と費用も比較にまとめています。
参考:一般社団法人日本機械設計工業会「機械設計技術者試験」
参考:一般社団法人日本機械設計工業会「機械設計技術者試験 試験概要」
参考:一般社団法人日本機械設計工業会「令和7年度 機械設計技術者試験受験者数と合格率」
参考:一般社団法人コンピュータ教育振興協会「CAD利用技術者試験」
参考:厚生労働省「技能検定職種及び試験基準(都道府県知事が実施する職種)」
参考:中央職業能力開発協会「技能検定のご案内」
未経験・CADオペレーターから機械設計を目指すには
未経験から機械設計を目指すときは、いきなり設計者の求人に絞るより、図面に触れる仕事から段階を踏むほうが現実的です。押さえておきたいのは次の3点です。
- 職種「機械技術者」には、経験年数0年の人も含まれている
- 経験の浅いうちは給与が低めで、経験とともに上がる
- CADオペレーターの求人は、設計を任せる予定があるかで中身が変わる
経験0年の所定内給与額は28万3,200円
令和7年賃金構造基本統計調査で、機械技術者の所定内給与額(残業代などを除いた月の給与)を経験年数別に見ると、0年が28万3,200円、1〜4年が30万5,600円、5〜9年が33万3,100円、10〜14年が37万7,700円、15年以上が44万500円でした。0年と15年以上の差は15万7,300円です。


同じ表で、企業規模10人以上の一般労働者のうち経験0年の機械技術者は、推計で2万6,410人います。ここには新卒で入社した人も含まれるため、中途の未経験者がどのくらい採用されているかまでは、この数字からは分かりません。ただ、経験年数を重ねるほど所定内給与額が上がる形は、統計からはっきり読み取れます。 未経験から入る場合は、最初の年収より、数年後にどの段階の設計を任されるかを基準に会社を選ぶと、後悔しにくいでしょう。
参考:e-Stat「令和7年賃金構造基本統計調査 職種(小分類)、性、経験年数階級別所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」
図面に触れる仕事から設計を任されるまでの進み方
未経験から設計を任されるまでの進み方には、たとえば次のような段階があります。
- CADの操作と製図の基礎を身につける
- CADオペレーターや設計補助として、既存図面の修正や作図を担当する
- 部品単位の設計や、既存製品の改良設計を任される
- ユニットや装置全体の計画設計に関わる
1の段階では、受験資格の制限がないCAD利用技術者試験の2級や、実務経験が要らない機械設計技術者試験の3級が学習の目安になります。2の段階で大切なのは、修正を頼まれた図面について「なぜこの寸法なのか」を設計者に聞き、意図を理解していくことです。


CADオペレーターの求人は「その先」を確かめる
CADオペレーターの求人には、決められた図面を清書する仕事が中心のものもあれば、設計補助から設計者へ育てる前提のものもあります。求人票だけで見分けにくいときは、面接で次の2つを聞いてみてください。
- 入社後、設計を任される人はどんな段階を踏んできたか
- 図面を描くときに、設計者と直接やり取りする機会はあるか
具体的な例が返ってくる会社なら、図面の先にある設計の仕事に近づける見込みがあります。
参考:一般社団法人日本機械設計工業会「機械設計技術者試験 試験概要」
参考:一般社団法人コンピュータ教育振興協会「CAD利用技術者試験」
転職先の選び方|メーカー・設計受託や派遣・ベンチャー
機械設計の転職先は、大きく4つの形に分かれます。どれが良いかではなく、得たい経験と働き方で選ぶものです。
- メーカー:自社製品の設計を担当する
- 設計受託:設計の業務を会社として請け負い、その会社の社員として設計する
- 設計派遣:派遣会社に雇われ、派遣先のメーカーで働く
- ベンチャー:ロボットやハードウェアのスタートアップなどで、少人数で製品をつくる
| 転職先 | 働き方 | 積みやすい経験 | 入社前に確かめること |
|---|---|---|---|
| メーカー | 自社製品を、企画から量産まで社内で担当する | 一つの製品を長く深く見る経験 | 担当する製品と、設計のどの段階を任されるか |
| 設計受託 | 取引先から請け負った設計の仕事を、受託会社の社員として行う | 複数の取引先・製品の設計経験 | どの業界の案件が多いか、案件の切り替わり方 |
| 設計派遣 | 派遣会社と雇用契約を結び、派遣先の指揮命令で働く | 派遣先ごとに異なる製品・設計手法 | マージン率・教育訓練などの公開情報、派遣先の決まり方 |
| ベンチャー | 少人数で、構想から試作・量産準備までを担う | 設計の段階をまたいで担当する経験 | 量産までの計画と資金の見通し、設計を見てくれる人の有無 |
メーカーは「担当する製品と段階」を確かめる
メーカーでは一つの製品群に長く関われる半面、担当する範囲が詳細設計や特定の部品に固定されることもあります。面接では「入社後の担当製品」「基本設計に関われるようになるまでの道筋」を聞いておきましょう。年収を比べるときは、月の給与と賞与の内訳も確かめてください。
設計派遣は法律で公開される情報を見る|受託とは仕組みが違う
設計の仕事を請け負う会社と、技術者を派遣する会社は、働き方の仕組みが違います。労働者派遣は、派遣会社が雇った人を、他人(派遣先)の指揮命令を受けて働かせる形と法律で定められています。派遣会社として事業を行うには、厚生労働大臣の許可が必要です。
派遣会社には、派遣の料金と賃金の差(マージン率)や教育訓練について、情報を提供する義務があります。 根拠は労働者派遣法第23条第5項です。
「派遣元事業主」は派遣会社のこと。「料金の額の平均額から賃金の額の平均額を控除した額を…料金の額の平均額で除して得た割合」は、派遣先が払う料金のうち、派遣会社の取り分がどれくらいかを示す割合で、一般にマージン率と呼ばれます。条文は「行わなければならない」で終わっており、努力義務ではなく義務です。同法の施行規則は、この情報提供をインターネットの利用その他の適切な方法で行うよう定め、料金の平均額や賃金の平均額なども対象に挙げています。
ただし、この義務を負うのは派遣会社です。 設計の仕事を請け負う会社に雇われて社内で設計する場合は、この条文の対象になりません。誘われている働き方が派遣なのか、受託会社の社員として設計するのかは、求人票と労働条件の説明で最初に確かめてください。派遣会社が許可を受けているかどうかは、厚生労働省の人材サービス総合サイトで許可・届出事業所の一覧から調べられます。
ベンチャーは「量産までの道筋」を聞く
ロボットやハードウェアのスタートアップでは、少人数のぶん、一人の設計者が構想から試作、外注先との調整まで受け持つこともあります。段階をまたいだ経験を積みやすい一方で、設計を見てくれる先輩がいない場合もあります。
面接では、次の3つを聞いておくと判断しやすくなります。
- 量産や納品までの計画と、その間の資金の見通し
- 設計をレビューする人や仕組みがあるか
- 試作や外注にかけられる予算を誰が決めているか
ハードウェアの開発は、試作と評価を何度も繰り返す仕事です。取材で事業の話を聞いていても、計画を数字と時期で語れる会社は、社員にも同じ説明をしているように感じます。大企業からスタートアップへ移る前の確かめ方は、スタートアップ転職で後悔しないために|大企業から移る前に確かめる3つのことで詳しく整理しています。
参考:e-Gov法令検索「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」
参考:e-Gov法令検索「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律施行規則」
参考:厚生労働省「人材サービス総合サイト」
ものづくりの会社の考え方を知るには
求人票に書かれているのは、仕事の条件までです。その会社が何を大事にしてものをつくっているのか、若手にどこまで任せているのかは、経営者本人の言葉から読み取れることがあります。
熱狂ベンチャーナビでは、製造業を含むさまざまな業種の経営者に会い、事業を始めた理由や、採用で見ているところ、社員への任せ方を聞いています。応募先を考えるときの材料に使ってみてください。
機械設計の転職に関するよくある質問
機械設計の転職は難しいですか?
ハローワークの統計では、求人が求職者を上回っています。 厚生労働省「一般職業紹介状況」によると、機械設計技術者を含む「製造技術者(開発)」の有効求人倍率は令和8年9月で1.95倍(常用・パート含む、原数値)でした。この区分には電気・電子や化学などの開発技術者も含まれ、数字はハローワークの求人だけを集計したものです。応募先で求められる設計の段階と、自分の経験が合っているかで難しさは変わります。
未経験から機械設計になれますか?
CADオペレーターや設計補助から段階を踏む道があります。 令和7年賃金構造基本統計調査では、職種「機械技術者」の経験年数0年の所定内給与額は28万3,200円、15年以上は44万500円でした。0年には新卒入社の人も含まれます。学習の目安として、実務経験が要らない機械設計技術者試験3級や、受験資格の制限がないCAD利用技術者試験2級があります。
機械設計の年収はどのくらいですか?
令和7年賃金構造基本統計調査の職種「機械技術者」で、年収換算は659.0万円です。 企業規模10人以上の一般労働者について、6月分のきまって支給する現金給与額42万1,400円を12倍し、年間賞与その他特別給与額153万3,600円を足した編集部の概算です。この職種には設計以外の機械の技術者も含まれ、自動車の設計者は別の職種に分類されています。
機械設計に役立つ資格はありますか?
機械設計技術者試験、CAD利用技術者試験、技能検定「機械・プラント製図」の3つが代表的です。 機械設計技術者試験は3級なら実務経験不要で受けられ、2級・1級は学歴に応じた実務経験が必要です。令和7年度の合格率は1級42.0%、2級46.9%、3級53.5%でした。求人で資格が必須とされるかは求人ごとに違うので、応募先の求人票で確かめてください。
設計派遣と設計受託はどう違いますか?
派遣は派遣会社に雇われて派遣先の指揮命令を受けて働く形、受託は設計の仕事を会社として請け負う形です。 労働者派遣法は、派遣会社に、マージン率や教育訓練に関する情報をインターネットなどで提供する義務を課しています(第23条第5項)。この義務は派遣会社が対象で、設計を請け負う会社には及びません。誘われている働き方がどちらなのかを、最初に確かめてください。
参考:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年9月分)参考統計表」
参考:e-Stat「令和7年賃金構造基本統計調査 職種(小分類)、性、経験年数階級別所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」
参考:e-Stat「令和7年賃金構造基本統計調査 職種(小分類)、性別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」
参考:一般社団法人日本機械設計工業会「令和7年度 機械設計技術者試験受験者数と合格率」
参考:厚生労働省「賃金構造基本統計調査の対象事業所に選ばれた事業主の方へ」(令和8年調査用 資料3 職種一覧と解説)
参考:e-Gov法令検索「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」
参考:e-Gov法令検索「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律施行規則」
まとめ
機械設計の転職は、ハローワークの統計で見るかぎり、求人が求職者を上回る状況です。機械設計技術者を含む製造技術者(開発)の有効求人倍率は令和8年9月で1.95倍で、生産や品質管理を担う製造技術者(開発を除く)の0.76倍とは差があります。令和7年賃金構造基本統計調査の職種「機械技術者」は、年収換算で659.0万円。55〜59歳まで上がり続け、企業規模による差も大きく出ています。
経験者の転職では、設計のどの段階をどこまで担当したか、後工程とどう調整してきたかを具体的に伝えることが軸になります。未経験やCADオペレーターから目指すなら、CAD利用技術者試験2級や機械設計技術者試験3級を目安に、設計を任せる道筋がある会社を選びましょう。設計派遣を考えるときは、派遣会社に義務づけられたマージン率などの公開情報も確かめておきたいところです。
図面の向こうには、部品を削る人も、組み立てる人もいます。取材を重ねるほど、そこまで想像して線を引ける設計者こそ、現場から頼りにされるのだろうと感じます。
自分の設計経験がどの業界のどんな求人で評価されるかを知っておくと、転職先の選び方がはっきりします。

