警備員に資格は必要?検定6種別の取り方と、合格者が必要な現場・資格手当

警備員として働き始めるのに、資格は要りません。警備員の資格の中心は、警備業法にもとづいて都道府県公安委員会が行う6種別の検定です。
ただし、高速道路での交通誘導や空港の手荷物検査のように、検定に合格した警備員を置かなければ警備会社が業務を行えない現場も、法令ではっきり決められています。
この記事では、検定の種類と取り方、合格者の配置が必要な場面、その先にある1級や指導教育責任者への進み方、資格手当を公的データで確かめられる範囲まで整理します。
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警備員の資格とは|中心は警備業法の検定、6種別に1級と2級
警備員の資格とは、主に警備業法第23条にもとづき都道府県公安委員会が行う検定と、合格者に交付される合格証明書のことです。業務の種別ごとに6つあり、それぞれ1級と2級に分かれるため、組み合わせは12通り。警察庁の通達も、この検定を国家資格と位置づけています。1号〜4号の業務区分ごとの仕事の中身は、警備員の仕事内容とは?1号〜4号の業務と1日の流れで紹介しています。
- 検定は6種別ごとに1級・2級。業務区分の4号にあたる身辺警備には検定がない
- 1級の試験にだけ、現場の管理に関する科目が入る
- 令和7年12月末で、何らかの検定合格証明書を持つ警備員はおよそ4人に1人
警備の仕事は、警備業法第2条で1号から4号の4つの区分に分けられています。1号は事務所や住宅などの施設、2号は人や車両が雑踏する場所や通行に危険のある場所、3号は運搬中の現金や貴金属など、4号は人の身辺の警備。検定の種別はこの区分をさらに分けたもので、1号から施設警備と空港保安警備、2号から雑踏警備と交通誘導警備、3号から貴重品運搬警備と核燃料物質等危険物運搬警備が設けられています。4号の身辺警備と、1号に含まれる機械警備には、検定の種別がありません。


| 検定の種別 | 区分 | 主な現場 | 1級の保有者 | 2級の保有者 |
|---|---|---|---|---|
| 施設警備業務 | 1号 | 事務所・住宅・駐車場などの施設 | 12,347人 | 51,397人 |
| 空港保安警備業務 | 1号 | 空港で航空機に持ち込まれる物の検査 | 4,358人 | 5,670人 |
| 雑踏警備業務 | 2号 | 人が雑踏する場所での雑踏の整理 | 7,399人 | 30,900人 |
| 交通誘導警備業務 | 2号 | 工事現場など通行に危険のある場所での誘導 | 7,272人 | 85,588人 |
| 貴重品運搬警備業務 | 3号 | 現金・貴金属・有価証券などの運搬 | 3,374人 | 20,141人 |
| 核燃料物質等危険物運搬警備業務 | 3号 | 核燃料物質などの危険物の運搬 | 153人 | 548人 |
保有者数は、警察庁「令和7年における警備業の概況」による令和7年12月末現在の数字です。同じ人が複数の級や種別を持っていればそれぞれに数えた延べ人数で、合計は1級34,903人、2級194,244人になります。何らかの検定合格証明書を持つ警備員は実人数で161,019人。警備員596,985人のおよそ4人に1人です。種別と級の組み合わせでは交通誘導の2級が85,588人で最も多く、施設の2級51,397人が続きます。一方で空港保安だけは1級が4,358人と2級5,670人の7割を超え、ほかの5種別では1級が2級の3割に届きません。 空港保安は、業務を行う場所ごとに1級合格者を置くよう規則で求められている種別です。
1級と2級の違いは、知識の深さだけではありません。検定の科目を定めた規則の別表では、1級の学科試験と実技試験にだけ、どの種別にも「〇〇警備業務の管理に関すること」という科目が入っています。施設警備でいえば、警備する施設の事前調査や、出入管理・巡回の方法の管理といった、現場をまとめる側の知識と能力です。
参考:e-Gov法令検索「警備業法」
参考:e-Gov法令検索「警備員等の検定等に関する規則」
参考:警察庁「令和7年における警備業の概況」
参考:警察庁「警備員等の検定の運用について(通達)」
資格なしでも警備員になれる|最初に受けるのは法定の新任教育
警備会社に採用される時点で、検定の合格は求められません。 法律上、警備員になれないのは18歳未満の人と、警備業法が列挙する欠格事由に当たる人で、その中身は警備員の実態を統計と法令で確かめた記事で詳しく扱っています。資格の代わりに、全員が配属前に通るのが新任教育です。
- 検定は採用の条件ではなく、働き始めてから取ることもできる
- 配属前の新任教育は、原則として20時間以上
- 検定合格者や経験者は、新任教育が短くなるか対象から外れる
警備業法施行規則第38条は、新たに警備業務に就かせる警備員に、基本教育と業務別教育を合わせて原則20時間以上の教育を行うよう警備会社に求めています。基本教育で学ぶのは警備業法などの法令や事故のときの警察への連絡など、業務別教育で学ぶのは施設警備なら出入管理や巡回、交通誘導なら車両や歩行者の誘導の方法です。この時間数は2019年8月30日施行の改正で30時間から20時間に変わったもので、古い解説に残る「30時間」は現在の基準ではありません。
検定に合格していると、この新任教育は短くなるか、対象から外れます。 同じ規則が定める主な時間数は次のとおりです。
| これから警備業務に就く人 | 受ける教育 | 時間数 |
|---|---|---|
| 未経験の人など、下のどれにも当たらない人 | 基本教育と業務別教育 | 20時間以上 |
| 最近3年間に別の区分で通算1年以上働いた人、または警察官の職に通算1年以上あった人 | 基本教育と業務別教育 | 13時間以上 |
| 検定合格者が、合格した種別以外の業務に就く場合 | 業務別教育 | 10時間以上 |
| 最近3年間に同じ区分で通算1年以上働いた人 | 基本教育と業務別教育 | 7時間以上 |
| 検定合格者が合格した種別以外の業務に就き、最近3年間にその業務で通算1年以上働いている場合 | 業務別教育 | 3時間以上 |
| 検定合格者が、合格した種別の業務に就く場合 | 新任教育の対象外 | ー |
表のいちばん下の行は、規則第38条第4項が、合格した種別の業務に就かせる検定合格者を新任教育の対象から除いていることによるものです。たとえば交通誘導警備業務の2級を持つ人が交通誘導の現場に入るとき、20時間の新任教育は求められません。警備会社を移る人にとって、検定は配属までの時間を縮める資格でもあるのです。


働き始めてから検定を取る流れにも、制度上の壁はありません。警備業法第23条は検定を受けられる人を「警備員又は警備員になろうとする者」としており、警視庁の案内でも2級の受検資格は「特にありません」とされています。ただし合格証明書は18歳未満の人や欠格事由に当たる人には交付されないため、年齢の条件は採用のときと変わりません。
参考:e-Gov法令検索「警備業法施行規則」
参考:e-Gov法令検索「警備業法」
参考:警視庁「公安委員会が実施する直接検定の受検」
検定合格警備員の配置が必要になる8つの場面
検定は、合格者がいなければ警備会社が受けられない業務を決める資格でもあります。 根拠は警備業法第18条です。
- 配置の義務を負うのは警備会社で、努力義務ではなく義務
- 対象は空港保安、原子力関連施設と空港の施設警備、雑踏、高速道路などと指定された道路での交通誘導、核燃料物質等と現金の運搬の8つ
- 交通誘導で配置が必要な一般道は、都道府県公安委員会が路線を決める
条文の「第二条第一項第一号から第三号」は1号から3号の警備業務のことで、4号の身辺警備は含まれません。「合格証明書の交付を受けている警備員」は、検定に合格して証明書を受け取った検定合格警備員を指します。文末が「実施させなければならない」なので、これは警備会社に課された義務であり、努力義務ではありません。 どの場面で何級の合格者を何人置くかは、警備員等の検定等に関する規則第2条の表が決めています。
| 場面 | 1級合格者を置く単位 | 1級または2級の合格者を置く単位 |
|---|---|---|
| 空港保安警備業務 | 業務を行う場所ごとに1人 | エックス線透視装置が置かれる場所ごとに1人以上 |
| 施設警備業務のうち、防護対象特定核燃料物質を扱う原子力関連施設 | 業務を行う敷地ごとに1人 | 敷地内の対象施設ごとに1人以上 |
| 施設警備業務のうち、空港 | 空港ごとに1人 | 旅客ターミナル施設と、それ以外の空港の部分ごとに1人以上 |
| 雑踏警備業務 | 場所が2つ以上の区域に分かれるとき、場所ごとに1人 | 場所ごと、区域に分かれるときは区域ごとに1人以上 |
| 交通誘導警備業務のうち、高速自動車国道・自動車専用道路 | ー | 業務を行う場所ごとに1人以上 |
| 交通誘導警備業務のうち、公安委員会が危険防止のため必要と認めるもの | ー | 業務を行う場所ごとに1人以上 |
| 核燃料物質等危険物運搬警備業務のうち、防護対象特定核燃料物質 | 運搬に使う車両のいずれかに1人 | それ以外の運搬車両ごとに1人以上 |
| 貴重品運搬警備業務のうち、現金 | ー | 現金を運ぶ車両ごとに1人以上 |
表の「1級合格者を置く単位」の欄は、1級を持つ人でなければ埋まりません。警察庁の解釈運用基準によれば、一人の1級合格者が「1級」の枠と「1級または2級」の枠を兼ねることはできず、配置は業務を行っている間ずっと続ける必要があります。業務上の必要で短時間持ち場を離れる程度なら続けているものと扱われますが、合格者のいない時間帯を作ることはできません。同じ場所で複数の警備会社が業務をするときは、会社ごとに基準を満たすことが前提。現場では合格証明書を携帯し、関係者から求められたら提示することも規則で決まっています。


交通誘導で配置が必要な一般道は、都道府県が指定する
交通誘導のうち、高速自動車国道と自動車専用道路での業務は全国共通で配置が必要です。一般道のどこが対象になるかは、都道府県公安委員会が道路や交通の状況を見て決めます。たとえば静岡県では、令和8年4月1日から国道10路線・県道20路線の計30路線が指定されています。同じ交通誘導の仕事でも、勤務地と現場の路線によって、検定合格者が必要かどうかが変わるのです。 静岡県のように都道府県警察のサイトで路線を公表している例もあり、働きたい地域の指定路線を見ておくと、求人票の「有資格者優遇」の意味が読み取りやすくなります。
配置の単位は、機器の活用の状況も踏まえて決まる
規則の表の備考は、空港保安の場所の範囲を決めるときは検査機器の性能や情報通信技術の利用の状況を、雑踏の区域を決めるときは場所の広さや情報通信技術の利用の状況などを考えるよう定めています。解釈運用基準も、空港の手荷物検査で検査ゲートごとに置く1級合格者を、ボディスキャナーやカメラなどの活用で適正を確保できれば、隣り合う2つのゲートで1人にできる例を示しました。警察庁が2025年12月にまとめた警備業の省力化投資促進プランも、こうした機器の活用で業務の適正を確保できる場合には検定合格警備員の配置を減らせるとしたうえで、警察庁と業界団体の官民協議体で省力化に向けた制度改正を検討する方針を掲げています。配置の基準や運用は今後変わる可能性があるため、資格の価値を考えるときは最新の規則と通達を確かめてください。
正直なところ、編集部もこの表を読むまでは、検定を「持っていれば少し評価される資格」くらいに考えていました。実際には、合格者がいるかどうかで会社が受けられる仕事そのものが変わります。
参考:e-Gov法令検索「警備業法」
参考:e-Gov法令検索「警備員等の検定等に関する規則」
参考:警察庁「警備業法等の解釈運用基準について(通達)」
参考:静岡県警察「交通誘導警備業務の実施基準」
参考:警察庁「省力化投資促進プラン―警備業―」
検定の取り方は2通り|講習会を修了するか、公安委員会の直接検定を受けるか
検定に合格する道は、講習会の修了と直接検定の2つです。
- 登録講習機関の講習会を修了すると、検定の学科試験と実技試験が全部免除される
- 公安委員会の直接検定は、学科試験と実技試験の両方で90%以上が合格ライン
- どちらで合格しても、最後に公安委員会へ合格証明書の交付を申請する
「講習会」は、国家公安委員会に登録した講習機関が開く講習のことです。条文は「全部又は一部を免除することができる」という書き方ですが、警備員等の検定等に関する規則第5条は、講習会の課程を修了した人について学科試験と実技試験の全部を免除し、検定に合格した者とみなすと定めています。講習会を修了すれば、改めて公安委員会の試験を受ける必要はないということです。
登録講習機関の講習会で取る
講習会では、学科講習と実技講習を受けたあと、修了のための学科試験と実技試験に臨みます。規則が定める最低の講習時間は、空港保安警備が20時限、そのほかの5種別が12時限で、1時限は50分です。修了試験の合格基準も学科・実技ともに90%以上。不合格だった人は、1時限以上の講習を追加で受けてから次の試験を受けます。2024年6月27日施行の改正で、学科講習はオンラインでも受けられるようになりました。本人確認や受講状況・知識の習得状況の確認ができ、質疑応答の機会があることが条件です。
講習会を開く機関は地域と種別で異なり、講習料も各機関が業務規程で定めています。受けたい種別の講習会がどこで開かれるかは、都道府県警察の案内や勤務先で確かめてください。
公安委員会の直接検定で取る
直接検定は、住所地か、警備員であれば所属する営業所の所在地を管轄する公安委員会に、警察署を通じて申し込みます。警察庁の通達は、直接検定を原則として種別ごと・級ごとに少なくとも年1回行うよう求めています。学科試験は5肢択一式の20問を60分で解き、1問5点の100点満点で90点以上が合格。20問のうち落とせるのは2問までという計算です。2024年6月27日からはコンピューターを使う方式でも行えるようになりましたが、自宅から受けることは認められていません。学科試験に合格した人だけが実技試験に進み、実技も減点式の採点で90%以上を取る必要があります。
受検の手数料は、警備業法施行令が示す標準額で1号と3号の種別が16,000円、2号の種別が13,000円または14,000円です。実際の額は都道府県の条例で決まり、警視庁では交通誘導が14,000円、雑踏が13,000円、そのほかの4種別が16,000円で、1級と2級は同じ額です。
| 比べる点 | 登録講習機関の講習会 | 公安委員会の直接検定 |
|---|---|---|
| 実施するところ | 国家公安委員会に登録した講習機関 | 都道府県公安委員会 |
| 進め方 | 学科講習・実技講習のあと修了試験 | 学科試験に合格した人だけが実技試験へ |
| 合格の基準 | 修了試験で学科・実技とも90%以上 | 学科・実技とも90%以上 |
| 費用 | 各機関が業務規程で定める講習料 | 標準額13,000〜16,000円、実際は都道府県の条例で決まる |
合格したら、合格証明書の交付を申請する
どちらのルートでも、合格しただけでは配置の要件を満たしません。警備業法第18条が求めているのは「合格証明書の交付を受けている警備員」だからです。申請先は、住所地または所属する営業所の所在地を管轄する公安委員会になります。
申請には、直接検定なら成績証明書、講習会なら講習会修了証明書を添えます。どちらも交付の日から1年を過ぎると添付できないため、合格後は早めに手続きを済ませておきましょう。 ほかに必要なのは、履歴書と住民票の写し、破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者に当たらない旨の市町村長の証明書、医師の診断書、欠格事由に当たらないことの誓約書、写真です。交付の手数料は標準額で10,000円。18歳未満の人や欠格事由に当たる人には交付されません。


参考:e-Gov法令検索「警備業法」
参考:e-Gov法令検索「警備員等の検定等に関する規則」
参考:e-Gov法令検索「警備業法施行令」
参考:警察庁「警備員等の検定の運用について(通達)」
参考:兵庫県警察「警備業法施行規則等の改正の概要について」
参考:警視庁「公安委員会が実施する直接検定の受検」
2級の次に目指せる資格|1級と警備員指導教育責任者
2級を取ったあとの道は、同じ種別の1級に進むか、営業所で教育を担う警備員指導教育責任者を目指すかの2つに分かれます。
- 1級は、2級の合格証明書を受けてからその種別で1年以上働くと受検できる
- 警備員指導教育責任者は、営業所ごと・業務の区分ごとに選任が義務づけられている
- 指導教育責任者の講習は、2級を受けてから継続して1年以上働くことなどで受講できる
1級は、2級の取得から1年働くと受けられる
1級を受けられるのは、同じ種別の2級の合格証明書を受けた後、その種別の警備業務に1年以上従事した人です。公安委員会が同等以上の知識と能力を持つと認めた人も対象になります。空港保安や雑踏、原子力関連施設や空港の施設警備、核燃料物質等の運搬には、1級合格者でなければ埋まらない配置があるため、その現場で働き続けるなら視野に入れたい資格でしょう。試験には業務の管理に関する科目が加わり、2級より一段深い専門知識と能力が問われます。
警備員指導教育責任者は、営業所に必ず置く資格者
警備業法第22条が警備会社に求めているのは、警備員の属する営業所ごとに、しかもその営業所で扱う業務の区分ごとに、警備員指導教育責任者を選任することです。警備員の指導と教育に関する計画を作り、その計画に沿って警備員を指導し、教育する役割です。資格者証は区分ごとに1号から4号の4種類があり、検定のない4号の身辺警備では、これが警備業法上の資格になります。
講習を受けられるのは、次のいずれかに当たる人です。
- 最近5年間に、その区分の警備業務に通算3年以上従事した人
- その区分に係る1級の合格証明書を持つ人
- その区分に係る2級の合格証明書を受けた後、継続して1年以上その区分の警備業務に従事している警備員
- 公安委員会が同等以上の知識と能力を持つと認めた人
2級を取ってから続けて1年働けば、通算3年を待たずに講習を受けられるわけです。 講習は1号が47時限、2号と3号が38時限、4号が34時限で、1時限は50分。最後に修了考査があります。手数料は政令の標準額で講習1時間につき1,200円とされ、警視庁の講習料は1号の施設警備が7日間で47,000円、2号の雑踏・交通誘導と3号の運搬が6日間で38,000円、4号の身辺が5日間で34,000円です。修了後に申請する資格者証の交付手数料は、標準額で9,800円。選任されたあとも、3年ごとに現任の講習を受けることになります。


参考:e-Gov法令検索「警備業法」
参考:e-Gov法令検索「警備員等の検定等に関する規則」
参考:e-Gov法令検索「警備員指導教育責任者及び機械警備業務管理者に係る講習等に関する規則」
参考:e-Gov法令検索「地方公共団体の手数料の標準に関する政令」
参考:警視庁「新規取得講習の受講」
検定以外に、警備の仕事で使われる資格
配属先によっては、検定や指導教育責任者とは別の資格が関わってきます。代表的なのは次の2つです。
- 機械警備の基地局に置く機械警備業務管理者
- 東京都の防災センターで働くための講習修了と自衛消防技術認定
機械警備業務管理者
センサーなどの機器で離れた施設を見守る機械警備では、警備業法第42条により、警備会社が基地局ごとに機械警備業務管理者を選任しなければなりません。機器の運用を監督し、現場へ向かう警備員への指令を統制する役割です。資格者証は公安委員会の講習を修了するか、同等以上の知識と能力があると認められると交付されます。講習は法令8時限、機器の運用5時限、指令業務5時限などの計22時限で、最後に修了考査。指導教育責任者講習と違い、規則には経験年数などの受講要件が置かれていません。 手数料は標準額で講習が39,000円、資格者証の交付が9,800円です。
防災センター要員講習と自衛消防技術認定(東京都の場合)
施設警備の勤務先が大きな建物の防災センターになる場合、警備業法とは別に消防の資格が関わってきます。東京都では、防災センターで消防用設備等の監視や操作に従事する人は、東京都の火災予防条例にもとづき、2日間の防災センター技術講習を受け、かつ自衛消防技術認定証を持っていなければなりません。講習の修了後も、修了日以後の最初の4月1日から5年以内ごとに、1日の防災センター実務講習が必要です。認定証を得るための自衛消防技術試験は東京消防庁が行い、受験に必要な資格などの要件はありません。
どちらも東京都の条例にもとづく制度なので、ほかの地域の防災センターで働く場合は、その地域の消防本部に要件を確かめてください。
参考:e-Gov法令検索「警備業法」
参考:e-Gov法令検索「警備員指導教育責任者及び機械警備業務管理者に係る講習等に関する規則」
参考:e-Gov法令検索「地方公共団体の手数料の標準に関する政令」
参考:東京消防庁「防災センター要員講習・自衛消防業務講習とは」
参考:東京消防庁「自衛消防技術試験とは」
資格手当はどれくらい?公的データで確かめられる範囲
資格手当の有無や金額は会社ごとの賃金規程で決まるため、警備員の資格手当を一つの相場で言い切ることはできません。 そのうえで、公的なデータから確かめられることを整理します。
- 公共工事の積算では、検定合格の交通誘導警備員に別の単価が設けられている
- 産業全体では、諸手当を払う企業の半数超が技能・資格に関する手当を支給している
- 実際の手当は、求人票と面接で確かめる
公共工事の労務単価では、検定合格者のほうが2,162円高い
国土交通省は、公共工事の工事費を積算するための公共工事設計労務単価を職種ごとに定めています。このうち交通誘導の警備員は、交通誘導警備業務の1級か2級の合格証明書を持つ「交通誘導警備員A」と、それ以外の「交通誘導警備員B」に職種そのものが分かれています。令和8年3月から適用されている単価の全国平均値は、Aが18,911円、Bが16,749円。差は2,162円で、AはBの約1.13倍に設定されています。


ただし、この単価は所定労働時間内8時間あたりの積算用の金額で、警備員に実際に支払われる日給そのものではありません。時間外などの割増賃金や警備会社の諸経費は含まず、全国平均値は加重平均です。この数字から読み取れるのは、公共工事の積算上、検定を持つ交通誘導警備員が別の職種として値付けされているという事実です。会社が払う資格手当の額が、単価の差と同じになるとは限りません。
産業全体では、諸手当を払う企業の半数超が技能・資格の手当を支給
厚生労働省の令和7年就労条件総合調査は、常用労働者30人以上の民営企業を対象に、令和6年11月分の諸手当を調べています(有効回答3,820社)。諸手当を支給した企業のうち、「技能手当、技術(資格)手当など」を支給した企業は53.0%で、全企業に対する割合では48.5%でした。この手当を受け取った労働者1人あたりの平均支給額は、1か月分で21.5千円。手当の種類は複数回答で集計されており、特定の技能や検査資格などを持つ人に支払う手当がこの区分に入ります。
どれも警備業に限った数字ではなく、産業全体の値です。 警備会社がこの水準の手当を出しているという意味には読めないため、資格に手当を付ける仕組みが珍しくないことを示すデータとして見てください。
求人票と面接で確かめたい3つのこと
資格手当の比べ方は、次の3点に絞ると迷いにくくなります。
- 手当の対象になる検定の種別と級、金額、日額か月額か
- 講習会の講習料や直接検定の手数料を会社が負担するか
- 検定合格者の配置が必要な現場を受けているか
マイナビやリクナビ、転職エージェントで求人票を読むときは、手当の欄に資格名と級、金額、支給の単位まで書かれているかを確かめましょう。書かれていなければ、面接で「どの検定のどの級が手当の対象ですか」「講習会の費用は会社が負担しますか」と聞けば済みます。配置が必要な現場を受けている会社にとって、検定合格者は仕事を受けるために欠かせない人材です。 どんな現場を持つ会社かを聞けば、資格がどれだけ評価されるかも見えてきます。
参考:国土交通省「令和8年3月から適用する公共工事設計労務単価について~今回の引き上げにより、14年連続の上昇~」
参考:厚生労働省「令和7(2025)年就労条件総合調査 結果の概況」
目的別に、どの資格から取るか
資格を取る順番は、どの現場で働きたいかで決まります。編集部として法令や資料を読み込んで感じたのは、警備の資格は難しいものから順に取るより、働きたい現場の配置の基準から逆算して選ぶほうが筋がよい、ということでした。
| 目指す働き方 | 最初に取りたい資格 | 次の一歩 |
|---|---|---|
| 工事現場や道路で交通誘導をする | 交通誘導警備業務2級 | 交通誘導警備業務1級、2号の指導教育責任者 |
| オフィスビルや商業施設で施設警備をする | 施設警備業務2級 | 施設警備業務1級、東京都の防災センター勤務なら防災センター要員講習と自衛消防技術認定 |
| イベントや祭りで雑踏警備をする | 雑踏警備業務2級 | 区域が分かれる現場で配置が必要な雑踏警備業務1級 |
| 空港で手荷物などの検査をする | 空港保安警備業務2級 | 検査を行う場所ごとに配置が必要な空港保安警備業務1級 |
| 現金などの運搬警備をする | 貴重品運搬警備業務2級 | 貴重品運搬警備業務1級、3号の指導教育責任者 |
| 人の身辺警備をする | 検定の種別はない | 4号の指導教育責任者 |
| 教育や管理の側に回る | 働いている区分の2級または1級 | その区分の指導教育責任者、機械警備なら機械警備業務管理者 |
どのルートでも、1級と指導教育責任者には実務の期間が必要です。未経験から入るなら、働きながらまず2級を取り、その種別で1級の受検に必要な経験を積むのがいちばん無理のない進み方です。
取った資格は、職務経歴書に種別と級、取得した年月まで書いておくと、配置の要件を満たせる人だと採用する側に伝わります。書き方は職務経歴書の書き方を職種別の見本で整理した記事、警備以外の分野の資格も考えるなら社会人におすすめの資格を合格率と費用で比べた記事もあわせて読んでみてください。
警備員の資格に関するよくある質問
警備員の資格は国家資格ですか?
警備業法第23条にもとづいて都道府県公安委員会が行う検定は、国家資格にあたります。 警察庁の通達でも、検定は国家資格として扱われています。種別は6つで、それぞれに1級と2級。合格すると、公安委員会から種別ごとの合格証明書が交付されます。
参考:e-Gov法令検索「警備業法」
参考:警察庁「警備員等の検定の運用について(通達)」
警備員の検定は難しいですか?
合格の基準は、学科試験・実技試験ともに90%以上と高く設定されています。 公安委員会の直接検定では、学科試験は5肢択一式の20問を60分で解き、18問以上の正解が必要。学科に合格した人だけが実技試験に進みます。登録講習機関の講習会でも修了試験の基準は90%以上ですが、不合格のときは追加の講習を受けてから再び試験に臨めます。
参考:e-Gov法令検索「警備員等の検定等に関する規則」
参考:警察庁「警備員等の検定の運用について(通達)」
資格がなくても警備員として採用されますか?
採用の時点で、検定の合格は求められません。 警備業法で警備員になれないのは、18歳未満の人と欠格事由に当たる人です。採用後は、警備業法施行規則にもとづき原則20時間以上の新任教育を受けてから現場に出ます。合格した種別の業務に就く検定合格者は、この新任教育の対象から外れます。
参考:e-Gov法令検索「警備業法」
参考:e-Gov法令検索「警備業法施行規則」
検定にかかる費用はいくらですか?
直接検定の手数料は、警備業法施行令の標準額で13,000〜16,000円です。 1号と3号の種別が16,000円、2号の種別が13,000円または14,000円で、実際の額は都道府県の条例で決まります。合格証明書の交付には、標準額で10,000円。講習会の料金は各登録講習機関が定めており、会社が負担するかどうかも会社ごとに違います。
参考:e-Gov法令検索「警備業法」
参考:e-Gov法令検索「警備業法施行令」
まとめ
警備員として働き始めるのに資格は要りませんが、警備業法の検定に合格した警備員を置かなければ受けられない現場は、法令で決まっています。空港保安、原子力関連施設と空港の施設警備、雑踏、高速道路などと公安委員会が認める道路での交通誘導、核燃料物質等と現金の運搬という8つの場面です。検定は6種別ごとに1級と2級があり、登録講習機関の講習会を修了するか、公安委員会の直接検定で学科・実技とも90%以上を取れば合格。そのうえで合格証明書の交付を受けて、初めて配置の要件を満たします。
2級を取ってその種別で1年働けば1級を受けられ、2級を受けてから同じ区分で続けて1年働けば、指導教育責任者の講習にも進めます。資格手当の額は会社ごとに決まるものの、公共工事の積算では、検定合格の交通誘導警備員に所定労働時間8時間あたり2,162円高い単価が設定されているのが現状です。日給そのものではありませんが、資格が別の扱いを受けている場面は確かに存在します。
警備の資格を調べていて印象に残ったのは、資格が個人の肩書きにとどまらず、現場の割り当てを決める仕組みとして法令に組み込まれていることでした。働きたい現場の配置の基準から逆算すれば、取るべき資格の順番は自然と見えてきます。
資格を活かせる求人や、取得の費用を支援してくれる会社を比べたいときは、求人を持っている転職エージェントに聞くのが早道です。

