証券会社の年収はいくら?公的統計と有価証券報告書で見る水準と賞与の仕組み

証券会社を含む金融商品取引業の年収は、厚生労働省の統計をもとに計算すると1,158.8万円です。全産業の平均と比べると、2倍を超える水準にあります。

意外にも、新卒の初任給は、金融業,保険業で見ると産業全体とほとんど変わりません。差が大きく開くのは30代以降で、年齢とともに伸びる月給と賞与がその差を広げていきます。

この記事では、年代別・男女別の水準と賞与の比重、有価証券報告書で各社の平均年間給与を確かめる方法までを整理します。

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目次

証券会社の年収は公的統計でどこまで分かるか

証券会社だけを切り出した年収は、公的統計にはありません。 手がかりになるのは国税庁と厚生労働省の2つの統計で、並べると次のことが分かります。

  • 国税庁の統計は「金融業,保険業」までしか分かれていない
  • 厚生労働省の統計では、金融商品取引業の年収換算が1,158.8万円
  • 金融商品取引業には、証券会社のほか運用会社なども含まれる
統計区分年収全体の水準
国税庁「民間給与実態統計調査」令和7年分金融業,保険業725.6万円全業種 486.6万円
厚生労働省「賃金構造基本統計調査」令和7年金融業,保険業723.9万円(年収換算)産業計 545.6万円(年収換算)
厚生労働省「賃金構造基本統計調査」令和7年金融商品取引業,商品先物取引業1,158.8万円(年収換算)産業計 545.6万円(年収換算)

※年収換算は、きまって支給する現金給与額(2025年6月分の月額)を12倍し、年間賞与その他特別給与額(2024年の1年分)を足して編集部が計算した値です。

厚生労働省の賃金構造基本統計調査は月額で集計する統計のため、年収は直接載っていません。金融商品取引業,商品先物取引業では、残業代なども含めた月々の給与が67万9,000円、前年1年間の賞与などが344万円。これを年収に直すと1,158.8万円になり、産業計の545.6万円の2.12倍です。対象は常用労働者10人以上の民営事業所で働く一般労働者で、短時間労働者は含みません。この区分で働く人は7万5,300人、平均年齢は43.3歳、平均勤続年数は13.4年でした。

国税庁と厚生労働省の統計で数字が違う理由は、平均年収は487万円|20代・30代・40代・男女別と国税庁・厚労省の違いで詳しく整理しています。

「金融業,保険業」の平均は、証券会社の年収を表さない

金融業,保険業の平均を見ても、証券会社の水準は分かりません。 働く人の半分以上が保険業だからです。厚生労働省の令和7年の統計で金融業,保険業の一般労働者105万6,900人の内訳を見ると、保険業が54.5%、銀行業が19.6%を占め、金融商品取引業,商品先物取引業は7.1%にとどまります。

金融業,保険業の一般労働者105万6,900人の内訳。保険業54.5%、銀行業19.6%、金融商品取引業,商品先物取引業7.1%。
金融業,保険業の一般労働者105万6,900人の内訳。保険業54.5%、銀行業19.6%、金融商品取引業,商品先物取引業7.1%。

同じ統計を産業中分類ごとに年収換算すると、銀行業706.6万円、協同組織金融業600.0万円、貸金業,クレジットカード業等非預金信用機関744.3万円、金融商品取引業,商品先物取引業1,158.8万円、補助的金融業等726.1万円、保険業694.9万円です。金融商品取引業だけが1,000万円を超え、ほかの5区分は600万〜700万円台に収まります。

金融業,保険業の産業中分類別の年収換算のグラフ。銀行業706.6万円、協同組織金融業600.0万円、貸金業,クレジットカード業等非預金信用機関744.3万円、金融商品取引業,商品先物取引業1,158.8万円、補助的金融業等726.1万円、保険業694.9万円。産業計は545.6万円。
金融業,保険業の産業中分類別の年収換算のグラフ。銀行業706.6万円、協同組織金融業600.0万円、貸金業,クレジットカード業等非預金信用機関744.3万円、金融商品取引業,商品先物取引業1,158.8万円、補助的金融業等726.1万円、保険業694.9万円。産業計は545.6万円。

金融業,保険業全体の723.9万円は、人数の多い保険業や銀行業の水準に引き寄せられた数字です。証券会社の年収を考えるときは、大分類ではなく中分類まで下りて見る必要があります。

金融商品取引業には運用会社やベンチャーキャピタルも含まれる

賃金構造基本統計調査は、日本標準産業分類(平成25年10月改定)で産業を分けています。この分類で「金融商品取引業,商品先物取引業」に入るのは、次のような事業所です。

分類名称例示など
細分類6511金融商品取引業(投資助言・代理・運用業,補助的金融商品取引業を除く)証券会社など
細分類6512投資助言・代理業証券投資顧問業者など
細分類6513投資運用業投資運用業者、ベンチャーキャピタルなど
小分類652商品先物取引業,商品投資顧問業商品先物取引業者など

つまり1,158.8万円は、証券会社を中心に、運用会社や投資顧問業なども含めた区分の平均です。証券会社そのものの平均年収として読むのではなく、証券会社が属する業界の水準を示す数字として受け取るのが正確でしょう。 公表されている統計表は中分類までで、証券会社だけの数字は確認できません。

国税庁の統計では、金融業,保険業の5人に1人が1,000万円超

国税庁「令和7年分 民間給与実態統計調査」では、1年を通じて勤務した給与所得者の平均給与が、金融業,保険業で725.6万円でした。電気・ガス・熱供給・水道業に次ぐ2番目の高さで、全業種の486.6万円を239.0万円上回ります。男性は907.4万円、女性は527.2万円です。

給与の分布にも特徴があります。金融業,保険業で働く129.5万人のうち、年間給与が1,000万円を超える人は20.0%。全業種の6.6%と比べると約3倍の割合です。国税庁の調査結果報告も、金融業,保険業では800万円超の人が31.7%で、給与階級の中で最も多いとしています。ここでの1,000万円超の割合は、統計表の人数から編集部が計算しました。

金融業,保険業の平均給与は725.6万円。年間給与1,000万円超の人は20.0%で、全業種の6.6%の約3倍。800万円超の人は31.7%で、給与階級の中で最も多い。
金融業,保険業の平均給与は725.6万円。年間給与1,000万円超の人は20.0%で、全業種の6.6%の約3倍。800万円超の人は31.7%で、給与階級の中で最も多い。

国税庁の数字はパート・アルバイトや役員を含み、保険業や銀行業もまとめた業種の平均です。証券会社の水準を直接示すものではない点は、厚生労働省の大分類と同じです。

参考:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 結果の概況」
参考:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 一般労働者 産業中分類 J 金融業,保険業(e-Stat)」
参考:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 一般労働者 産業大分類(e-Stat)」
参考:総務省「日本標準産業分類(平成25年10月改定)細分類6511 金融商品取引業」(e-Stat)
参考:総務省「日本標準産業分類(平成25年10月改定)細分類6513 投資運用業」(e-Stat)
参考:国税庁「民間給与実態統計調査結果 令和7年分 統計表」
参考:国税庁「令和7年分 民間給与実態統計調査 -調査結果報告-」

年代別・男女別に見る証券会社の年収

証券会社を含む金融商品取引業の年収換算は、20代後半で700万円台、30代前半で1,000万円を超えます。 厚生労働省の令和7年の統計を年齢階級別に年収換算すると、次の3点が見えてきます。

  • 20代前半の454.3万円から、40代前半の1,498.1万円まで上がる
  • 産業計との差は、40代前半まで年齢とともに広がる
  • 男性は1,325.1万円、女性は873.8万円
年齢金融商品取引業 男女計男性女性産業計 男女計
20〜24歳454.3万円458.1万円448.8万円361.4万円
25〜29歳708.3万円732.6万円666.5万円448.2万円
30〜34歳1,017.9万円1,145.1万円813.2万円507.3万円
35〜39歳1,347.3万円1,590.6万円881.4万円556.7万円
40〜44歳1,498.1万円1,772.9万円1,004.2万円594.7万円
45〜49歳1,433.5万円1,822.3万円1,002.4万円613.6万円
50〜54歳1,444.9万円1,745.0万円1,045.2万円633.9万円
55〜59歳1,267.0万円1,412.9万円960.9万円641.4万円
60〜64歳910.6万円942.2万円792.6万円506.3万円

※金融商品取引業は「金融商品取引業,商品先物取引業」。きまって支給する現金給与額×12+年間賞与その他特別給与額で編集部が計算。

20〜24歳では、金融商品取引業の454.3万円は産業計361.4万円の約1.3倍です。それが40〜44歳になると1,498.1万円と594.7万円で、約2.5倍まで開きます。入口の差はそれほど大きくなく、差が大きくなるのは30代以降です。 男女計の年収換算が最も高いのは40〜44歳で、45〜54歳も1,400万円台を保っています。

年齢階級別の年収換算。金融商品取引業,商品先物取引業と産業計は、20〜24歳454.3万円と361.4万円、25〜29歳708.3万円と448.2万円、30〜34歳1,017.9万円と507.3万円、35〜39歳1,347.3万円と556.7万円、40〜44歳1,498.1万円と594.7万円、45〜49歳1,433.5万円と613.6万円、50〜54歳1,444.9万円と633.9万円、55〜59歳1,267.0万円と641.4万円、60〜64歳910.6万円と506.3万円。
年齢階級別の年収換算。金融商品取引業,商品先物取引業と産業計は、20〜24歳454.3万円と361.4万円、25〜29歳708.3万円と448.2万円、30〜34歳1,017.9万円と507.3万円、35〜39歳1,347.3万円と556.7万円、40〜44歳1,498.1万円と594.7万円、45〜49歳1,433.5万円と613.6万円、50〜54歳1,444.9万円と633.9万円、55〜59歳1,267.0万円と641.4万円、60〜64歳910.6万円と506.3万円。

男女別では、男性1,325.1万円に対して女性873.8万円で、451.3万円の差があります。年齢階級別に見ると、男性は45〜49歳の1,822.3万円、女性は50〜54歳の1,045.2万円が最も高い値です。この区分で働く人は男性4万7,540人、女性2万7,760人。統計の平均には職種や役職の構成の違いも含まれるため、男女差の理由まではこの表からは分かりません。

年収換算は、2025年6月の月給と2024年1年間の賞与を組み合わせた概算です。20〜24歳には入社1年目の人も含まれ、賞与を満額受け取っていない人もいます。20〜24歳の平均勤続年数は1.3年でした。

初任給の差は小さく、差は入社後に開く

新卒の初任給を見ると、業界による差はわずかです。厚生労働省の令和7年の統計で、大学を卒業した新規学卒者の所定内給与額は、金融業,保険業が26万6,700円、産業計が26万2,300円でした。差は4,400円です。新規学卒者の表は産業大分類までしか公表されていないため、金融商品取引業だけの初任給は確認できません。

差がつくのは入社後です。金融商品取引業の35〜39歳の所定内給与額は72万4,200円で、産業計の34万600円の2倍を超えます。そこに賞与の差が加わり、年収換算の開きが大きくなります。

所定内給与額(月額)。大学卒の新規学卒者は金融業,保険業26万6,700円、産業計26万2,300円で、差は4,400円。35〜39歳では金融商品取引業,商品先物取引業が72万4,200円で、産業計34万600円の2倍を超える。
所定内給与額(月額)。大学卒の新規学卒者は金融業,保険業26万6,700円、産業計26万2,300円で、差は4,400円。35〜39歳では金融商品取引業,商品先物取引業が72万4,200円で、産業計34万600円の2倍を超える。

参考:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 一般労働者 産業中分類 J 金融業,保険業(e-Stat)」
参考:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 一般労働者 産業大分類(e-Stat)」
参考:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 一般労働者 新規学卒者(e-Stat)」

証券会社の年収は賞与の比重が大きい

金融商品取引業では、年収換算のおよそ3割を賞与が占めます。 月給の高さに加えて、賞与の大きさが年収を押し上げている業界です。押さえておきたいのは次の3点。

  • 賞与の割合は29.7%で、産業計の18.5%を上回る
  • 20代前半は1割未満、30代と40代は3割を超える
  • 歩合給が賃金の中心なら、法律で保障給が求められる

厚生労働省の令和7年の統計では、金融商品取引業,商品先物取引業の年間賞与その他特別給与額は344万円で、年収換算1,158.8万円の29.7%にあたります。産業計は100万9,600円で、545.6万円の18.5%です。いずれも編集部の計算です。

年収換算の内訳。金融商品取引業,商品先物取引業は1,158.8万円のうち年間賞与など344万円で29.7%。産業計は545.6万円のうち100万9,600円で18.5%。
年収換算の内訳。金融商品取引業,商品先物取引業は1,158.8万円のうち年間賞与など344万円で29.7%。産業計は545.6万円のうち100万9,600円で18.5%。

年齢階級別に賞与の割合を見ると、20〜24歳は9.5%、25〜29歳は23.6%、30〜34歳は30.2%、35〜39歳は32.7%、40〜44歳は34.8%でした。40代前半までは、年齢が上がるほど年収のうち賞与で受け取る部分が大きくなっています。

金融商品取引業,商品先物取引業の年収換算に占める賞与の割合。20〜24歳9.5%、25〜29歳23.6%、30〜34歳30.2%、35〜39歳32.7%、40〜44歳34.8%。
金融商品取引業,商品先物取引業の年収換算に占める賞与の割合。20〜24歳9.5%、25〜29歳23.6%、30〜34歳30.2%、35〜39歳32.7%、40〜44歳34.8%。

賞与が業績と結びついていることは、有価証券報告書の記載からもうかがえます。三菱UFJ証券ホールディングスの有価証券報告書(2026年3月期)は、三菱UFJモルガン・スタンレー証券の平均年間給与について、基準外賃金と業績連動の賞与を含むと注記しています。大和証券グループ本社の有価証券報告書(2026年3月期)は、業績拡大に伴う賞与とあわせ、平均年間給与が2021年度の1,220万円から2025年度の1,793万円へ、4年間で47%増えたと記載しました。

賞与の比重が大きいぶん、同じ会社でも年によって年収は動きます。求人票の年収例を見るときは、どの年の賞与を前提にした数字なのかを確かめておきたいところです。

歩合給・インセンティブには法律のルールがある

「インセンティブ」「歩合」と呼ばれる報酬の中身は会社ごとに違い、有価証券報告書の平均年間給与からは読み取れません。有価証券報告書の注記を見ると、東洋証券や丸三証券のように、歩合外務員を従業員数に含めていない会社もあります。

厚生労働省は、歩合給制を「売上高や契約成立件数等の一定の成果に対して、定められた金額を支払う賃金制度」と説明し、「出来高払制」とも呼ばれるとしています。この歩合給制について、労働基準法は次のように定めています。

“
出来高払制その他の請負制で使用する労働者については、使用者は、労働時間に応じ一定額の賃金の保障をしなければならない。
労働基準法(昭和22年法律第49号)
第27条
条文を見る

「出来高払制その他の請負制」は、成果に応じて賃金が決まる仕組みのこと。「賃金の保障」は、成果が少なかった月でも、働いた時間に応じた一定額を支払うという意味です。条文の末尾は「しなければならない」で、会社の努力目標ではなく義務として定められています。

厚生労働省のQ&Aによると、保障給の金額は法律で決まっていないものの、少なくとも平均賃金の6割程度を保障することが妥当とされています。保障給を定めていないこと自体が法違反になると解されているため、第27条の対象となる歩合給制を導入する会社は就業規則や労働契約で定めておく必要があります。歩合給にも最低賃金法が適用される点も押さえておきたいところです。一方、固定給が賃金総額の大半(おおむね6割程度以上)を占める人には、第27条は適用されません。

歩合給制のルール。会社は労働時間に応じ一定額の賃金を保障しなければならない(労働基準法第27条)。保障給は平均賃金の6割程度が妥当とされる。就業規則や労働契約で定めておく必要がある。歩合給にも最低賃金法が適用される。固定給が賃金総額のおおむね6割程度以上を占める人には第27条は適用されない。
歩合給制のルール。会社は労働時間に応じ一定額の賃金を保障しなければならない(労働基準法第27条)。保障給は平均賃金の6割程度が妥当とされる。就業規則や労働契約で定めておく必要がある。歩合給にも最低賃金法が適用される。固定給が賃金総額のおおむね6割程度以上を占める人には第27条は適用されない。

もう1つ確かめたいのは契約の形です。労働基準法第9条は、同法の「労働者」を、事業に使用されて賃金を支払われる者と定めています。歩合で報酬を受け取る働き方でも、雇用契約なのか業務委託なのかで、受けられる保護が変わります。

参考:e-Gov法令検索「労働基準法」
参考:厚生労働省「歩合給制とはどのような制度ですか?制度の概要や留意点を教えてください。」
参考:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 一般労働者 産業中分類 J 金融業,保険業(e-Stat)」
参考:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 一般労働者 産業大分類(e-Stat)」

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有価証券報告書で見る証券会社14社の平均年間給与

個別の会社の水準は、金融庁のEDINETで公開されている有価証券報告書の「従業員の状況」で確かめられます。 2026年3月期の有価証券報告書から、証券会社14社の数字を並べると次のとおりです。

  • 従業員5,000人を超える3社は1,212.4万〜1,431.3万円
  • それ以外の11社は671.3万〜1,154.8万円
  • 持株会社の数字は、証券会社の数字とは別もの
会社平均年間給与平均年齢平均勤続年数従業員数記載している有価証券報告書
アイザワ証券787.7万円40歳2か月13年5か月661人アイザワ証券グループ(最大人員会社)
岩井コスモ証券904.0万円43.2歳17.1年831人岩井コスモホールディングス(最大人員会社)
岡三証券812.7万円40歳4か月9年4か月2,699人岡三証券グループ(最大人員会社)
大和証券(総合職)1,431.3万円38.7歳15.4年5,234人大和証券グループ本社(最大人員会社)
東海東京証券761.5万円37歳4か月12年5か月1,860人東海東京フィナンシャル・ホールディングス(最大人員会社)
野村證券1,325.3万円42歳2か月15年10か月11,076人野村ホールディングス(最大人員会社)
三菱UFJモルガン・スタンレー証券1,212.4万円44歳1か月15年1か月5,824人三菱UFJ証券ホールディングス(最大人員会社)
いちよし証券783.6万円43.1歳14.6年920人自社(提出会社)
SBI証券1,021.0万円44.9歳7.1年1,111人自社(提出会社)
極東証券837.9万円44.3歳17.1年227人自社(提出会社)
東洋証券671.3万円43.3歳17.7年620人自社(提出会社)
松井証券1,154.8万円37.3歳9.7年227人自社(提出会社)
丸三証券772.9万円35歳6か月12年2か月1,130人自社(提出会社)
水戸証券751.1万円41.9歳16.9年753人自社(提出会社)

※いずれも2026年3月31日現在、2026年3月期(2025年4月〜2026年3月)の有価証券報告書の記載。平均年間給与は円または千円の記載を編集部が万円に換算し、小数第2位を四捨五入。平均年齢・平均勤続年数は各社の記載の形式のまま。従業員数は臨時従業員を除く。並び順は記載している書類の種類ごとの五十音順で、順位ではありません。掲載は編集部がEDINETで確認できた会社で、すべての証券会社を網羅したものではありません。

丸三証券を除く13社は、平均年間給与に賞与と基準外賃金が含まれると注記しています。従業員5,000人を超える野村證券、大和証券、三菱UFJモルガン・スタンレー証券は1,212.4万〜1,431.3万円。それ以外の11社は671.3万〜1,154.8万円で、オンライン証券取引サービスの単一セグメントと記載している松井証券の1,154.8万円や、SBI証券の1,021.0万円も、この幅に入ります。

ただし、同じ「平均年間給与」でも、誰を対象にした平均なのかは会社ごとに違います。 大和証券の数字は総合職だけの平均です。丸三証券は、出向者・休職者・中途入社者・契約社員を除いた期末在籍者で計算しています。水戸証券は従業員株式給付制度(J-ESOP)による給付を含めています。数字の大小だけで会社を比べないほうがいいのは、こうした違いがあるからです。

持株会社の平均年間給与は、証券会社の平均ではない

証券会社の年収として、持株会社の平均年間給与が紹介されることがあります。しかし有価証券報告書の「従業員の状況」のうち、提出会社の欄に載るのは、その書類を出した会社自身の従業員の数字です。次の4グループでは、持株会社の従業員はいずれも33人〜204人でした。

グループ持株会社(提出会社)中核の証券会社(最大人員会社)
野村204人・1,420.9万円野村證券 11,076人・1,325.3万円
三菱UFJ33人・1,274.3万円三菱UFJモルガン・スタンレー証券 5,824人・1,212.4万円
岡三67人・1,128.2万円岡三証券 2,699人・812.7万円
東海東京155人・790.1万円東海東京証券 1,860人・761.5万円

岡三証券グループでは、持株会社の67人の平均が1,128.2万円、岡三証券の2,699人の平均が812.7万円で、300万円以上の開きがあります。大和証券グループ本社の提出会社の平均年間給与は1,793.4万円ですが、対象は大和証券との兼務者494人の総合職です。証券会社で働く人の水準を知りたいなら、持株会社の数字ではなく、同じ書類の「最大人員会社の状況」を見るほうが実態に近づきます。

有価証券報告書の数字を読むときの3つの注意

有価証券報告書の数字は、会社自身が法定の書類に記載した一次情報です。それでも、並べて読むときには次の3点に気をつけたいところです。

  • 平均年齢と平均勤続年数がそろっていない
  • 平均の対象になる人の範囲が違う
  • 年によって大きく動く

平均年齢は、丸三証券の35歳6か月からSBI証券の44.9歳まで幅があります。年齢や勤続が違えば平均年間給与も変わるため、平均年齢と一緒に見るのが基本です。前期からの増減も会社ごとにばらつき、松井証券は22.6%増、水戸証券は10.8%増、極東証券は3.1%減でした。極東証券は、この変動は主として算定対象人員の構成変化によるものだと注記しています。業績だけでなく、人の入れ替わりでも平均は動くわけです。

志望する会社の数字を自分で確かめるなら、EDINETの書類簡易検索で会社名を入れ、有価証券報告書を開いて「従業員の状況等」を見てください。2026年3月期の書類では「提出会社の状況」の中にあります。有価証券報告書を提出していない証券会社は、この方法では確かめられません。

参考:金融庁 EDINET「野村ホールディングス株式会社 有価証券報告書(2026年3月期)」
参考:金融庁 EDINET「株式会社大和証券グループ本社 有価証券報告書(2026年3月期)」
参考:金融庁 EDINET「三菱UFJ証券ホールディングス株式会社 有価証券報告書(2026年3月期)」
参考:金融庁 EDINET「株式会社岡三証券グループ 有価証券報告書(2026年3月期)」
参考:金融庁 EDINET「東海東京フィナンシャル・ホールディングス株式会社 有価証券報告書(2026年3月期)」
参考:金融庁 EDINET「岩井コスモホールディングス株式会社 有価証券報告書(2026年3月期)」
参考:金融庁 EDINET「アイザワ証券グループ株式会社 有価証券報告書(2026年3月期)」
参考:金融庁 EDINET「株式会社SBI証券 有価証券報告書(2026年3月期)」
参考:金融庁 EDINET「松井証券株式会社 有価証券報告書(2026年3月期)」
参考:金融庁 EDINET「いちよし証券株式会社 有価証券報告書(2026年3月期)」
参考:金融庁 EDINET「東洋証券株式会社 有価証券報告書(2026年3月期)」
参考:金融庁 EDINET「丸三証券株式会社 有価証券報告書(2026年3月期)」
参考:金融庁 EDINET「水戸証券株式会社 有価証券報告書(2026年3月期)」
参考:金融庁 EDINET「極東証券株式会社 有価証券報告書(2026年3月期)」

求人票と面接で確かめたい給与の中身

業界や会社の平均が分かっても、自分が受け取る給与の形は求人ごとに違います。賞与の比重が大きい業界だからこそ、年収の総額だけでなく、その中身まで確かめておきましょう。正直なところ、私たちも年収の数字を見るとまず総額に目が行きます。それでも経営者に給与の話を聞くと、総額よりも「何で決まるのか」を説明できるかどうかに、会社ごとの差がはっきり出ると感じます。

  • 月給と賞与の割合
  • 賞与の決まり方
  • 歩合給の有無と保障給
  • 固定残業代の表示
  • 年収例の前提
確かめること見る場所聞き方の例
月給と賞与の割合求人票の賃金欄・年収例「この年収例のうち、賞与はいくらを想定していますか」
賞与の決まり方説明会・面接「賞与は会社の業績と個人の評価で、それぞれどう決まりますか」
歩合給の有無と保障給求人票・労働条件通知書「歩合給がある場合、保障給はいくらに定められていますか」
固定残業代の表示求人票の賃金欄基本給、固定残業の時間数と金額、超過分の追加支給の3点がそろっているか
年収例の前提求人票・面接「この年収例は、何年目のどの職種の例ですか」

固定残業代について、厚生労働省と都道府県労働局・ハローワークは、固定残業代制を採る場合は募集要項や求人票に3点すべてを明示するよう求めています。固定残業代を除いた基本給の額、固定残業代に関する労働時間数と金額等の計算方法、固定残業時間を超える時間外・休日・深夜労働に割増賃金を追加で支払う旨です。若者雇用促進法にもとづく指針で定められたもので、どれかが欠けていれば面接で確かめておきましょう。

求人票の年収例は、特定の年次や職種を想定した例であり、その会社で働く人の平均とは限りません。 有価証券報告書の平均年間給与と見比べ、平均年齢や勤続年数の前提も頭に置いておくと、数字の読み違いを防げます。証券会社の仕事内容や1日の流れは、証券マンの仕事内容と1日の流れで紹介しています。

熱狂ベンチャーナビでは、経営者本人に評価の決め方や若手への任せ方を聞いています。給与の数字の背景にある会社の考え方を知る材料にしてください。

経営者インタビューを読む|熱狂ベンチャーナビ

参考:厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク「固定残業代を賃金に含める場合は、適切な表示をお願いします。」

証券会社の年収に関するよくある質問

証券会社の平均年収はいくらですか?

証券会社だけの公的な平均はありませんが、最も近い区分の年収換算は1,158.8万円です。 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」の「金融商品取引業,商品先物取引業」で、月給の12か月分に前年の賞与を足して編集部が計算しました。この区分には運用会社なども含まれます。個別の会社は有価証券報告書で確かめられ、2026年3月期の14社では671.3万〜1,431.3万円でした。

新卒や20代の証券会社の年収はどのくらいですか?

金融商品取引業の年収換算は、20〜24歳で454.3万円、25〜29歳で708.3万円です。 20〜24歳の平均勤続年数は1.3年で、賞与を満額受け取っていない人も含まれます。初任給は、大学卒の新規学卒者で金融業,保険業が26万6,700円、産業計が26万2,300円と、入口の差は小さめです。

証券会社で年収1,000万円に届くのは何歳くらいですか?

統計の平均では、30〜34歳で年収換算1,017.9万円に達します。 厚生労働省の令和7年の統計から編集部が計算した金融商品取引業の数字で、平均なので全員が届くわけではありません。国税庁の統計でも、金融業,保険業で年間給与が1,000万円を超える人は20.0%です。ほかの職業との比較は年収1000万円の職業一覧と到達ルートも参考になります。

大手と中堅の証券会社で年収はどのくらい違いますか?

2026年3月期の有価証券報告書では、従業員5,000人を超える3社が1,212.4万〜1,431.3万円、それ以外の11社が671.3万〜1,154.8万円でした。 ただし平均年齢は35歳6か月から44.9歳まで幅があり、総合職だけの平均を載せている会社もあります。比べるときは、平均年齢と対象の範囲を一緒に確かめてください。

証券会社の給料は歩合制ですか?

有価証券報告書の平均年間給与は賞与などを含めた総額で記載されており、歩合の有無までは分かりません。 歩合給の仕組みは会社や職種によって違うため、求人票と面接で確かめるのが確実です。固定給が賃金総額の大半を占める場合を除き、歩合給制で働く人について、会社は労働基準法第27条にもとづき、働いた時間に応じた一定額の賃金を保障しなければなりません。

まとめ

証券会社だけを切り出した年収は公的統計にありません。最も近い厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」の「金融商品取引業,商品先物取引業」では、編集部が計算した年収換算が1,158.8万円で、産業計の約2.1倍でした。ただしこの区分には運用会社なども含まれ、「金融業,保険業」の平均は保険業や銀行業の水準に引き寄せられています。

年代別では、20代前半の454.3万円から30代前半で1,000万円を超え、40代前半の1,498.1万円まで上がります。初任給の差は小さく、差を広げているのは年齢とともに伸びる月給と、年収の約3割を占める賞与です。個別の会社は有価証券報告書で確かめられ、2026年3月期の14社では671.3万〜1,431.3万円でした。持株会社の数字ではなく「最大人員会社の状況」を見ること、平均年齢や対象の範囲をそろえて読むことが、数字に振り回されないコツです。

統計や有価証券報告書を読み込むほど、私たちは平均の数字そのものより、その会社で給与がどう決まり、どう伸びていくのかのほうが気になってきます。年収の総額と一緒に、賞与の決まり方や歩合の仕組みまで確かめてから判断してください。

業界の水準がつかめたら、次はいまの経験が証券業界や金融業界でいくらと評価されるのかを確かめてみてください。

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編集者

小川 莉奈 - 熱狂ベンチャーナビ編集部

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看護師から一般企業へ就職。その後株式会社デジマケに入社。自身の転職経験を元に新卒~若手の転職者にわかりやすい情報をお届けします。

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西畑大樹 - 熱狂ベンチャーナビ運営責任者

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新卒で証券会社に入社。その後、不動産・マーケティング・SaaS企業と4社の経験を経て独立。
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秋山翔一 - 熱狂ベンチャーナビ編集責任者

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新卒で商社に入社。その後WEBマーケティング支援を行う会社に転職。その後、繊維メーカーの役員を経て株式会社デジマケを創業。
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