社長になるには?4つのルートと向いている人の特徴

社長になる方法は、自分で会社をつくる、既存の会社を継ぐ、勤め先で昇格する、会社を買うの4つです。どのルートでも、法律で求められる学歴や資格はありません。
意外と知られていないのが、継ぐ会社も買う資金もない人が後継者になる道です。国は、後継者のいない会社と経営を引き継ぎたい人をつなぐ窓口を全国に置いています。
この記事では、4つのルートの違いと向いている人の特徴を整理し、会社をつくる手順と費用、社長になった後の現実まで確かめます。
社長を目指すかどうかを考えるうえで土台になるのは、いまの自分にどんなキャリアの選択肢が開いているかを知っておくことです。どの業界でどんなポジションが狙えるかは、転職エージェントを活用すれば無料で確認できます。
社長になるには4つのルートがある
社長になる道筋は、事業を自分で立ち上げるか、すでにある会社を引き継ぐかで分かれます。よく使われるのは次の4つ。
- 自分で会社をつくって社長になる
- 家族や親族の会社を継いで社長になる
- 勤めている会社で昇格して社長になる
- 会社を買って社長になる
| ルート | 始め方 | お金の動き | 向いているケース |
|---|---|---|---|
| 創業 | 会社を設立して自分で事業を始める | 開業費用を自分で用意する | 売りたい商品やサービスが決まっている |
| 事業承継 | 親族や現経営者から会社を引き継ぐ | 株式の取得と、場合により債務の引受け | 継ぐ先がある、後継者を探す会社と出会える |
| 社内昇格 | 勤務先で実績を重ね、取締役を経て社長になる | 自己資金は基本的に不要 | いまの会社の事業を伸ばしたい |
| 買収 | 既存の会社の株式を買って経営を引き継ぐ | 買収資金または金融機関からの借入 | 動いている事業を早く手にしたい |
どれが正解ということはなく、手元の資源と時間軸で選ぶものです。 お金はないが時間があるなら創業、実務経験と信用があるなら承継や買収、いまの会社に思い入れがあるなら社内昇格。順に見ていきましょう。
自分で会社をつくって社長になる
起業家になるには、まずこのルートを思い浮かべる人が多いでしょう。自分で決めればすぐ動き出せるぶん、始めるまでが早いのが特徴です。会社の形は株式会社と合同会社のどちらでも構いませんし、まず個人事業として始める手もあります。 前掲の「2025年度新規開業実態調査」(日本政策金融公庫が融資した開業1年以内の企業2,165社の回答をまとめたもの)では開業時の経営形態が個人企業57.0%、法人企業43.0%。平均従業者数は本人を含めて2.8人で、「1人」が42.6%を占めます。
規模の小ささは法律上まったく問題になりません。会社法第326条第1項は「株式会社には、一人又は二人以上の取締役を置かなければならない」と定めるだけ。定款の記載事項を定めた第27条にも、資本金の下限額はありません。
参考:日本政策金融公庫総合研究所「2025年度新規開業実態調査」
参考:e-Gov法令検索「会社法」
家族や親族の会社を継いで社長になる
顧客も従業員もゼロから集める必要がなく、事業が回っている状態から始められます。ただし引き継ぐのは資産だけではありません。取引先との関係も借入金も、先代のやり方に慣れた従業員も一緒に引き受けます。
中小企業庁「2025年版中小企業白書」は、法人企業の約3割が親族内での承継を考える一方、個人企業では約4割が自らの代での廃業を考えていると示しています。同白書のコラムによれば、経営者の平均年齢は2024年で60.7歳、交代して新たに就任する経営者の平均年齢は52.7歳。承継は、キャリアの後半に訪れる出来事だと考えておくほうが現実に近いでしょう。
参考:中小企業庁「2025年版中小企業白書 第1部第1章第9節」
勤めている会社で昇格して社長になる
4つのうち、株式を取得せずに経営のトップに立てるルートです。株を持たない立場で会社を代表するため、株主や親会社との関係づくりも仕事に入ってきます。
取締役は株主総会の決議で選ばれ、その取締役の中から代表取締役が決まります。社長就任は人事評価の延長というより、株主が誰に会社を託すかを決める場面。日々の成果に加えて、事業全体の数字を読み、方針を語れる人物として認知されているかが分かれ目です。 子会社の社長ポストを社員のキャリアパスとして用意する会社もあります。
会社を買って社長になる
株式を買い取り、経営権ごと引き継ぐルートです。売上と顧客がある状態から始められる代わりに、買収資金が要ります。必要な額は事業の規模や収益力によって大きく変わり、案件ごとに見積もるしかありません。買う前に確かめたいのは、簿外債務の有無、主要取引先が代表者個人との関係で続いていないか、従業員が残ってくれるかの3点。売上が立っている会社ほど、その売上が誰の力で立っているのかを見極める必要があります。
継ぐ会社がない人は、国の窓口から探せる
「継ぐ会社がない」「買う資金もない」という人にも、後継者になる道はあります。国は全国47都道府県の48か所に事業承継・引継ぎ支援センターを置き、後継者のいない会社と経営を引き継ぎたい人をつなぐ窓口を運営しています。 中小企業基盤整備機構によると、令和6年度の第三者への承継は2,132件が成約し、過去最高でした。うち、創業希望者と後継者不在の企業をつなぐ「後継者人材バンク」経由が106件です。
106件は多い数ではありません。ただ、事業承継そのものに時間がかかります。中小企業庁「2025年版中小企業白書」は、事業承継に要する期間として3年以上と回答した割合が半数を超えると示しています。創業資金がなくても、引き継ぐ形なら社長になれる。この選択肢を知っているかどうかで、取れる打ち手の数は変わります。
参考:中小企業基盤整備機構「令和6年度 事業承継・引継ぎ支援センターの実績について」
参考:中小企業庁「2025年版中小企業白書 第1部第1章第9節」
社長になるのに資格・学歴・年齢の条件はあるか
社長になるために必要な資格はなく、学歴の条件もありません。親の同意なく単独で会社をつくれるのは18歳からです。 これは「一般にそう言われている」という話ではなく、条文と統計の両方で確かめられます。
| よくある思い込み | 実際 | 根拠 |
|---|---|---|
| 経営の資格が必要 | 資格要件は存在しない | 会社法第331条第1項の欠格事由に資格・学歴の定めなし |
| 大卒でないと難しい | 開業した人の6割超は大学・大学院以外 | 日本政策金融公庫総合研究所「2025年度新規開業実態調査」 |
| 取締役が複数人いる | 取締役1人で設立できる | 会社法第326条第1項 |
| 資本金1,000万円が必要 | 最低資本金の定めはない | 会社法に最低資本金額の規定がない。第27条は出資額の記載を求めるが下限額は定めていない |
| 成人しないとできない | 18歳から単独でできる | 民法第4条・第5条 |
会社法第331条第1項は取締役になれない人を列挙した条文で、対象は法人であることや、一定の罪で刑に処せられて執行が終わってから2年を経過していない者など。学歴も資格も一切登場しません。民法第4条は「年齢十八歳をもって、成年とする」と定めており、未成年者の法律行為に法定代理人の同意を求める第5条と合わせて読むと、2022年4月以降は18歳から親の同意なく会社を設立できることになります。
実データも同じ方向です。前掲の「2025年度新規開業実態調査」では、開業者の最終学歴は大学・大学院35.9%、専修・各種学校27.9%、高校27.3%。大学・大学院を出ていない人が6割を超えており、学歴が条件でないことは条文だけでなく開業者の顔ぶれからも裏づけられます。 代わりに浮かぶ条件が実務経験で、同調査では97.6%が勤務経験、81.1%が斯業経験(いまの事業に関連する仕事の経験)を持ち、斯業経験は平均15.3年です。
参考:e-Gov法令検索「会社法」
参考:e-Gov法令検索「民法」
参考:日本政策金融公庫総合研究所「2025年度新規開業実態調査」
社長に向いている人の特徴と、向いていない人の傾向
「決断力がある」「行動が早い」といった言葉は、社長の資質としてよく挙がります。ただ、それだけでは自分に当てはまるか判断できません。場面ごとに、どちらの反応が出るタイプかで見たほうが実感に近くなります。
| 場面 | 向いている人の反応 | 向いていない人の反応 |
|---|---|---|
| 決めるとき | 情報が足りなくても期限までに決める | 材料がそろうまで決めたくない |
| お金の話 | 数字を自分で見る。悪い数字ほど早く見る | 数字は誰かに任せておきたい |
| 仕事の任せ方 | 自分より上手い人に迷わず任せる | 自分でやったほうが早いと抱え込む |
| 断るとき | 受けない仕事の基準を言葉にできる | 頼まれると断れない |
| 失敗したとき | 原因を分解して次の判断に回す | 責任の所在を先に探してしまう |
| 学び方 | 知らない領域を自分で調べて追いつく | 教えてくれる場がないと動きにくい |
向き不向きより先に効くのは、直面する課題を想像できているかどうかです。「2025年度新規開業実態調査」で開業時に苦労したこととして挙がったのは「資金繰り、資金調達」56.9%、「顧客・販路の開拓」49.9%、「財務・税務・法務に関する知識の不足」36.4%。調査時点で苦労していることの1位は「顧客・販路の開拓」48.8%に入れ替わります。いずれも三つまでの複数回答です。社長の仕事は、お金を回すことと客を見つけることに集約されていくのです。

私たちが経営者に「向いている人はどんな人ですか」と尋ねると、答えは驚くほどばらばらで、共通するのは「自分で決めて、その結果を引き受けた経験があるか」くらいでした。裏を返せば、それ以外は後から身につけられるということでもあります。
参考:日本政策金融公庫総合研究所「2025年度新規開業実態調査」
社長の仕事と、なる前に積んでおけるスキル
社長の仕事は大きく5つの領域に分かれます。そのほとんどは、社員のうちから小さい規模で経験できるものです。
| 領域 | 社長がやること | なる前に積める経験 |
|---|---|---|
| 方向を決める | どの市場で何を売るかを決め、やらないことも決める | 事業計画づくり、新商品や新規事業の立ち上げ |
| お金を回す | 資金繰りを管理し、必要なら融資や出資を受ける | 予算管理、月次の数字を読む習慣、決算書の読解 |
| 人を集めて任せる | 採用し、評価し、権限を渡す | 面接への同席、後輩の育成、チームの目標管理 |
| 売上をつくる | 自分で顧客に会い、取引を決める | 営業や提案の実務、既存顧客との関係づくり |
| 責任を引き受ける | 契約・労務・法令の最終責任を負う | 契約書の確認、労務ルールの運用、法務窓口の担当 |
日本政策金融公庫総合研究所「2025年度新規開業実態調査」によれば、開業者の66.4%が管理職経験を持ちます。この5領域をひととおり触った人が多い、と言い換えられるでしょう。いまの会社で「予算を持つ」「採用に関わる」「契約を確認する」の3つに手を挙げるだけでも、準備は前に進みます。
参考:日本政策金融公庫総合研究所「2025年度新規開業実態調査」
会社をつくるまでの手順と費用の目安
創業ルートを選ぶ場合、会社ができるまでの流れは決まっています。起業家になるには避けて通れない手続きですが、順番どおりに進めれば迷うところは多くありません。
- 事業内容と会社の形(株式会社か合同会社か)を決める
- 定款を作成する。株式会社は公証人の認証を受ける
- 出資金を払い込む
- 本店の所在地を管轄する法務局に設立登記を申請する
- 税務署・都道府県・市区町村・年金事務所などに設立の届出をする
会社法第49条は「株式会社は、その本店の所在地において設立の登記をすることによって成立する」と定めています。会社の誕生日になるのは、登記が完了した日ではなく、法務局に設立登記を申請した日です。 登記の期限は第911条第1項が定めており、設立時取締役等による調査が終了した日か発起人が定めた日のいずれか遅い日から2週間以内。申請日を選べる以上、会社の誕生日も選べます。2026年2月2日からは、一定の要件を満たせば行政機関の休日を設立の日に指定することもできるようになりました。
登記で必ずかかるのが登録免許税。国税庁の税額表によると、株式会社の設立登記は資本金の額の1,000分の7で、15万円に満たないときは1件につき15万円。合同会社は同じく1,000分の7で、6万円に満たないときは1件につき6万円です。
株式会社にはこれに定款認証手数料が加わります。日本公証人連合会によると、資本金の額が100万円未満は3万円、100万円以上300万円未満は4万円、それ以外は5万円。発起人が3名以下の自然人で、発起設立かつ取締役会を置かないなどの要件をすべて満たす場合、100万円未満は1万5,000円になります。紙の定款には収入印紙4万円が別途かかり、電子定款なら不要。 合同会社は定款認証そのものが要りません。
開業資金は業種で大きく変わります。「2025年度新規開業実態調査」の開業費用は平均値975万円ですが、中央値は600万円。「250万円未満」20.1%、「250万〜500万円未満」21.7%で、合わせて4割を超えます。 自分の計画と比べるなら、平均値より中央値と分布を見るほうが実態に近づきます。
参考:e-Gov法令検索「会社法」
参考:法務省「休日を会社等の設立の日とすることが可能になりました」
参考:法務局「商業・法人登記の申請書様式」
参考:国税庁「No.7191 登録免許税の税額表」
参考:日本公証人連合会「会社の定款手数料の改定」
参考:日本政策金融公庫総合研究所「2025年度新規開業実態調査」
社長になった人は、どこで踏み出したのか
取材を重ねていると、社長になった瞬間の話はいつも思ったより地味だと感じます。壮大な志より、目の前の事情に押し出されるようにして決めた人のほうが多いのです。
- 家業を継いだ人は、父親の入院という事情から決断している
- 独立した人は、10年勤めてから個人事業として小さく始めている
- 学歴を持たずに始めた人は、失敗を挟みながら事業をつくり直している
- 生え抜きで昇格した人は、現場に立ち続けた延長で社長になっている
家業を継ぐと決めたきっかけ
株式会社ハタメタルワークスの畑敬三社長は、商社で7年間働いたのち、父親の入院をきっかけに家業へ戻りました。
会社の状況は良いとは言えず、父親からは辞めたほうがいいとまで言われたそうです。それでも従業員がいること、事業を止めるのはもったいないという思いから引き継ぎました。就任後は主要取引先の合併で仕事が半減し、営業方針を変えようとすればベテラン従業員の反発もあったといいます。承継は受け取る仕事ではなく、受け取った直後から作り直す仕事なのです。
勤めを辞めて独立するまでの時間
株式会社アトラスパートナーズの杉浦誠二社長は、新卒で入った人材サービス会社に10年勤めたのち独立しました。伸び悩んだ時期を、こう振り返っています。
10年勤めてからの独立は、平均と比べると早いほうです。日本政策金融公庫総合研究所「2025年度新規開業実態調査」では、開業者の勤務経験年数は平均21.1年。独立までの準備期間は、想像より長く見積もっておくほうが現実的でしょう。
学歴と関係なく始めた人の始まり方
株式会社ワイケイアートの上田晴夫社長は、中学卒業後に父親のペンキ店で働き始め、20代で飲食業に挑戦して4店舗まで広げ、その後畳んでいます。
10期目には社員による横領や訴訟が重なり、8,000万円ほどの損失を出したとも語っています。現在は、働く人が子会社の代表や社長になれるキャリアパスを用意しているそうです。社内昇格というルートを、社長自身が意図的に作っている会社もあるわけです。
勤め先で昇格して社長になるまで
株式会社あしたのチームの代表取締役社長・山本拓馬氏は、2013年に新卒で入社し、営業やコンサルタントとして現場の最前線に立ち続けたのち、2026年2月に代表取締役社長へ就任しました。新卒入社の生え抜き社員として初めて社長になった例です。同じ会社で成果を出し続けたことが、そのまま社長になる条件になるルートなのです。
参考:日本政策金融公庫総合研究所「2025年度新規開業実態調査」
社長になった後の現実を数字で確かめる
なった後に何が起きるかも見ておきましょう。結論は「厳しい、けれど満足度は高い」という、少しねじれた形になります。
| 起きること | 数字 | 読み方 |
|---|---|---|
| 事業所は生まれた分だけ消えていく | 2023年度の開業率3.9%・廃業率3.9% | 生まれる事業所と消える事業所が、ほぼ同じ比率 |
| 黒字とは限らない | 法人295万6,717社のうち欠損法人61.0% | 赤字は例外ではなく多数派 |
| 終わり方は倒産だけではない | 2024年の休廃業・解散のうち51.1%が黒字 | 自分の判断で畳む選択もある |
| それでも満足している人は多い | 開業後の総合的な満足度74.8% | 収入以外の満足が大きい |
開業率と廃業率がともに3.9%という数字は、中小企業庁「2025年版中小企業白書」第1-1-59図によるもの。原データは厚生労働省「雇用保険事業年報」で、対象は雇用保険適用事業所です。同白書によれば2024年の倒産件数は10,006件、休廃業・解散は約7万件です(第1-1-62図、原データは帝国データバンクのデータベース集計)。目を引くのは、休廃業・解散した企業の51.1%が黒字のまま店を閉じている点でしょう(第1-1-64図)。 やめる理由は経営難だけではないのです。なお白書自身も、集計対象のデータベースや休廃業・解散の定義によって件数や傾向が変わりうる点に留意が必要だと注記しています。赤字が例外でないことも国税庁「令和5年度分 会社標本調査結果について」が示しており、内国普通法人295万6,717社のうち欠損法人は61.0%を占めます。
一方、開業した人自身の評価は高く出ています。「2025年度新規開業実態調査」では開業後の採算が「黒字基調」67.0%、売上が「増加傾向」60.1%。総合的な満足度は「かなり満足」31.8%と「やや満足」43.1%で74.8%、「仕事のやりがい」は84.4%です。収入の保証がない代わりに、決めた仕事を自分の判断で進められることへの満足が大きいのでしょう。
参考:中小企業庁「2025年版中小企業白書 第1部第1章第8節」
参考:国税庁「令和5年度分 会社標本調査結果について」
参考:日本政策金融公庫総合研究所「2025年度新規開業実態調査」
実際に社長になった人の話を読む
統計は輪郭を教えてくれますが、その人がどこで踏み切ったかまでは教えてくれません。家業を継いだ人、勤めを辞めて独立した人、中学を出て働きはじめて事業を立ち上げた人、生え抜きから社長になった人。入口はまるで違っても、決めた瞬間の話はどれも具体的です。自分に近いところから始めた人を探して読んでみてください。
社長になる方法に関するよくある質問
社長になるのに資格や学歴は必要ですか?
どちらも必要ありません。 会社法第331条第1項は取締役になれない人を定めていますが、学歴や資格の要件は含まれていません。日本政策金融公庫総合研究所「2025年度新規開業実態調査」でも、開業者の最終学歴は大学・大学院35.9%、専修・各種学校27.9%、高校27.3%と分かれます。ただし81.1%が斯業経験を持ち、その平均は15.3年。資格の代わりに求められるのは実務経験だと考えるほうが実態に合います。
参考:e-Gov法令検索「会社法」
参考:日本政策金融公庫総合研究所「2025年度新規開業実態調査」
何歳から社長になれますか?
民法第4条により成年年齢は18歳なので、18歳から単独で会社を設立できます。 実際の開業年齢はもっと高く、「2025年度新規開業実態調査」では平均43.9歳。40歳代36.9%、30歳代28.0%に対し、29歳以下は7.0%です。
起業にはいくらお金が必要ですか?
業種によって幅がありますが、「2025年度新規開業実態調査」の開業費用は平均値975万円、中央値600万円です。 500万円未満の開業が4割を超えています。設立にかかる登録免許税は、株式会社が資本金の額の1,000分の7で最低15万円、合同会社が同じく1,000分の7で最低6万円です。
参考:日本政策金融公庫総合研究所「2025年度新規開業実態調査」
参考:国税庁「No.7191 登録免許税の税額表」
会社員のまま準備しておけることはありますか?
予算を持つ、採用に関わる、契約書を確認する。この3つは、いまの職場でも取りに行けます。 「2025年度新規開業実態調査」では開業者の66.4%が管理職経験を持ち、開業時の苦労として「財務・税務・法務に関する知識の不足」を36.4%が挙げています。縁のない業種より、いまの仕事の延長で考えるほうが現実的でしょう。
参考:日本政策金融公庫総合研究所「2025年度新規開業実態調査」
継ぐ会社も買う資金もない場合、後継者になる方法はありますか?
事業承継・引継ぎ支援センターの「後継者人材バンク」という公的な窓口があります。 中小企業基盤整備機構の公表資料によると、令和6年度の第三者承継の成約は2,132件、うち後継者人材バンク経由は106件で、いずれも過去最高でした。センターは全国47都道府県の48か所にあり、相談から始められます。成約数はまだ多くないため、創業や社内昇格と並行して検討するのが現実的です。
参考:中小企業基盤整備機構「令和6年度 事業承継・引継ぎ支援センターの実績について」
まとめ
社長になるには、創業・事業承継・社内昇格・買収という4つのルートがあり、継ぐ会社がない人には、後継者不在の会社とつないでくれる公的窓口もあります。資格も学歴も要りません。会社法が定める、取締役になれない人の条件にも学歴や保有資格は含まれず、開業した人の6割超は大学・大学院を出ていないというデータがそれを裏づけます。18歳から、取締役1人・資本金の下限なしで会社はつくれます。
代わりに効いてくるのが実務経験です。開業者の97.6%に勤務経験があり、81.1%が同じ分野の仕事を平均15.3年続けてから独立しています。開業費用の中央値は600万円、苦労の上位は資金繰りと顧客開拓。なった後は法人の61.0%が赤字ですが、開業した人の74.8%は満足と答えています。
たくさんの社長に話を聞いてきて感じるのは、皆さん驚くほど普通の理由で始めているということでした。父の入院、10年勤めた会社での限界、手伝うだけでは物足りないという気持ち。自分がどのルートに近い場所にいるかを確かめ、経営者インタビューで同じ道を通った人の話と見比べてみてください。
どのルートを選ぶにしても、いまの自分の市場価値と選べるポジションを把握しておくと、判断の材料が増えます。

