年収の中央値はいくら?平均との違いと20代・30代・40代・男女別の目安

年収の中央値とは、年収の低い順に並べたときに真ん中にくる人の年収です。国税庁の令和7年分の給与分布では、真ん中の人は400万円超500万円以下にいます。
平均との差は、年齢が上がるほど開いていきます。40代・50代で平均を物差しにすると、真ん中の人より高い水準と自分を比べることになるのです。
この記事では、平均との違いを確かめたうえで、20代・30代・40代の年齢別や男女別の中央値と、自分の年収と比べるときの物差しの選び方を整理します。
公的統計で分かるのは、同じ年代の中でのおおまかな位置までです。いまの経験ならどのくらいの年収が提示されそうかは、転職エージェントを活用すれば無料で確認できます。
年収の中央値とは|平均との違いと足し算できない理由
年収の中央値は「真ん中の人の年収」、平均は「全員の年収をならした値」です。 高い年収の人が一部にいると平均だけが上に引っ張られ、2つの数字は離れていきます。違いの要点は次の3つです。
- 中央値は、低い順に並べてちょうど真ん中にくる人の値
- 平均は一部の高い年収に引き上げられ、平均を下回る人が多数派になりやすい
- 中央値どうしは、足し算や平均で組み立て直せない
| 比べる点 | 平均 | 中央値 |
|---|---|---|
| 出し方 | 全員の年収を合計し、人数で割る | 低い順に並べ、真ん中の人の値を取る |
| 一部の高い年収の影響 | 受けやすい | 受けにくい |
| 統計での呼び方 | 平均給与、平均値、平均所得金額など | 中央値、中位数 |
| 月額と賞与の組み合わせ | 月額の平均×12+賞与の平均で年間の目安になる | 月額の中位数×12+賞与では年収の中央値にならない |
| 向いている使い方 | 全体の総額や前年からの増減をつかむ | 「普通の人」がどのあたりかを知る |
平均を下回る人は6割を超える
厚生労働省の賃金構造基本統計調査は、平均と並べて中位数も公表しています。中位数は中央値と同じ意味で、労働者を賃金の低い人から高い人へ一列に並べたときに、ちょうど2分の1番目にくる人の賃金のこと。令和7年の調査で、短時間労働者を除く一般労働者の所定内給与額は、平均が34万600円、中位数が29万6,600円でした。所定内給与額は、毎月決まって支払われる給与から残業代や休日出勤手当などを差し引いた、税金や社会保険料を引く前の月額を指します。
同じ調査の人数を数えると、所定内給与額が34万円に届かない人は全体の63.9%にのぼります。 平均の34万600円を下回る人が、6割を超えるということです。この割合は、統計表の所定内給与額階級別の労働者数から編集部が計算しました。平均を「真ん中あたり」と受け取ると、自分の位置を実際より低く見積もってしまうでしょう。
中央値どうしは足し算も平均もできない
月給の中位数に12を掛けて賞与を足しても、年収の中央値にはなりません。 平均であれば、月々の給与の平均を12倍して賞与の平均を足すと、年間の平均の目安を組み立てられます。全員分を合計してから人数で割る計算は、順番を入れ替えても答えが変わらないからです。
中央値はそうはいきません。月給で真ん中にいる人と、賞与で真ん中にいる人が、同じ人とは限らないためです。同じように、20〜24歳の中位数と25〜29歳の中位数を平均しても、20代全体の中位数にはなりません。この記事では月額の中位数を年収に直す計算はせず、年収の目安は、年間の給与を階級別に集計した統計から人数を積み上げて確かめています。
参考:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 結果の概況」
参考:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 一般労働者 第3表 年齢階級、所定内給与額階級別労働者数及び所定内給与額の分布特性値(e-Stat)」
日本人の年収の中央値|国税庁の給与分布では400万円超500万円以下
国税庁の令和7年分の調査で、1年を通じて勤務した給与所得者を年間の給与が低い順に並べると、真ん中の人は400万円超500万円以下の階級にいます。 調査結果に中央値そのものは載っていないため、統計表の給与階級別の人数を低い順に積み上げ、50%に達する階級を編集部が計算しました。分かったのは次の3点です。
- 全体の真ん中は400万円超500万円以下、男性は500万円超600万円以下、女性は300万円超400万円以下
- 正社員の真ん中は500万円以下にあり、平均の559万円より低い
- 真ん中の位置は、令和6年分から1つ上の階級に移った
| 区分 | 平均給与 | 中央値がある階級 | 階級より下の人の割合 | 階級までの人の割合 |
|---|---|---|---|---|
| 全体 | 487万円 | 400万円超500万円以下 | 47.0% | 62.3% |
| 男性 | 597万円 | 500万円超600万円以下 | 48.0% | 62.6% |
| 女性 | 342万円 | 300万円超400万円以下 | 49.3% | 67.4% |
| 正社員(正職員) | 559万円 | 400万円超500万円以下 | 30.7% | 50.9% |
| 正社員(正職員)以外 | 210万円 | 100万円超200万円以下 | 23.5% | 56.9% |
※割合は統計表の人数から編集部が計算したもの。「階級より下の人の割合」は、全体なら年間給与400万円以下の人の割合です。
全体では、年間給与400万円以下の人が47.0%と、半数にわずかに届きません。500万円以下まで含めると62.3%になるため、50%の線は400万円超500万円以下の階級を通ります。線が通るのは、この階級の人数を下から数えて2割ほどのところです。
正社員に絞ると、500万円以下の人が50.9%と半数を超えます。 真ん中の人は500万円以下にいて、平均の559万円より低いことが、この表だけで確かめられます。正社員以外も200万円以下が56.9%を占め、真ん中は平均の210万円より下。一方、全体・男性・女性は平均と中央値が同じ階級に入るため、真ん中の人の給与が平均とどれだけ離れているのかまでは、100万円刻みの表からは読み取れません。
数えている人の範囲も確かめておきましょう。対象は、令和7年の1月から12月まで同じ勤め先から給与を受け取った民間の給与所得者で、パート・アルバイトや役員を含み、公務員は含みません。給与として数えているのは、給料・手当に賞与を加えた1年間の支給総額で、税金や社会保険料が引かれる前の金額です。
真ん中の位置は令和6年分から400万円台へ
国税庁の令和7年分の調査結果報告には、令和3年分から令和7年分まで、5年分の給与階級別の人数が並んでいます。この表で年間給与400万円以下の人の割合を編集部が計算すると、令和3年分53.0%、令和4年分51.2%、令和5年分50.7%、令和6年分48.0%、令和7年分47.0%でした。令和5年分までは真ん中の人が300万円超400万円以下にいましたが、令和6年分で400万円以下が半数を割り、真ん中は400万円超500万円以下に移っています。
男性は令和6年分に500万円以下の割合が49.0%となり、真ん中が500万円超600万円以下へ上がりました。女性は令和7年分に300万円以下が49.3%まで下がり、真ん中が300万円超400万円以下に入っています。階級の幅が100万円あるため、真ん中の人の給与がいくら上がったのかまでは、この表からは分かりません。
参考:国税庁「令和7年分 民間給与実態統計調査 統計表」
参考:国税庁「令和7年分 民間給与実態統計調査 -調査結果報告-」
参考:国税庁「令和7年分民間給与実態統計調査結果について」
年齢別の年収の中央値|20代・30代・40代・50代
年齢別の中央値は、月給なら厚生労働省、年収なら総務省の統計で確かめられます。 どちらも国税庁とは数えている人の範囲やお金の範囲が違うため、数字どうしを直接比べないようにしましょう。ここで見ていくのは次の3点です。
- 月給の中位数は、男女計で55〜59歳の34万6,500円が最も高い
- 年齢が上がるほど、平均と中位数の差は開いていく
- 年収で見ると、正社員の真ん中は20代で300万円台、50代で500万円台の階級
月給の中位数を年齢別・男女別に見る
厚生労働省の令和7年賃金構造基本統計調査は、一般労働者の所定内給与額の中位数を5歳刻みで公表しています。6月分の月額で、残業代や賞与は含みません。
| 年齢 | 男女計 | 男性 | 女性 |
|---|---|---|---|
| 20〜24歳 | 23万8,400円 | 24万1,200円 | 23万5,000円 |
| 25〜29歳 | 26万7,900円 | 27万4,300円 | 25万9,300円 |
| 30〜34歳 | 29万1,400円 | 30万5,300円 | 26万8,500円 |
| 35〜39歳 | 31万100円 | 33万4,100円 | 27万600円 |
| 40〜44歳 | 32万5,500円 | 35万6,700円 | 27万5,200円 |
| 45〜49歳 | 33万4,800円 | 37万5,200円 | 27万6,100円 |
| 50〜54歳 | 34万5,900円 | 39万5,400円 | 27万4,600円 |
| 55〜59歳 | 34万6,500円 | 39万9,800円 | 27万円 |
| 60〜64歳 | 27万8,200円 | 30万1,300円 | 23万9,200円 |
| 年齢計 | 29万6,600円 | 32万5,800円 | 26万300円 |
※所定内給与額の中位数(月額)。産業計・企業規模10人以上の民営事業所で働く一般労働者。
男性の中位数は55〜59歳の39万9,800円まで上がり続け、20〜24歳の1.7倍近くに達します。女性は45〜49歳の27万6,100円が最も高く、30代から50代までは26万円台後半から27万円台での推移です。男女の差は20〜24歳では6,200円ですが、55〜59歳では12万9,800円まで広がります。 この差には、職種や役職、勤続年数の構成の違いも含まれている点に注意が必要です。
年齢が上がるほど、平均と中位数の差が開く
同じ調査で所定内給与額の平均を見ると、20〜24歳から順に24万2,800円、27万9,400円、31万2,300円、34万600円、36万4,300円、37万7,900円、38万8,800円、39万6,200円で、60〜64歳は32万9,300円です。中位数と並べると、平均との差は20〜24歳ではわずか4,400円ですが、55〜59歳では4万9,700円まで開きます。 60〜64歳の差はさらに大きく、5万1,100円です。

差が開く背景には、年齢とともに賃金のばらつきが大きくなることがあります。下から10%目にあたる人の賃金は、20〜24歳の18万8,100円に対して55〜59歳は20万3,900円と、それほど変わりません。上から10%目にあたる人の賃金は、29万9,600円から63万7,300円へと2倍以上に伸びています。上下10%目の差を中位数の2倍で割った十分位分散係数も、20〜24歳の0.23から55〜59歳の0.63へ上がりました。
20代前半なら平均と比べても大きなずれはありませんが、40代・50代では平均を物差しにすると、真ん中の人より4万円前後から5万円近く高い水準と比べることになります。 年齢が上がるほど、中位数で比べる意味は大きくなるわけです。
年収で見ると、正社員の真ん中は20代で300万円台の階級
年収の分布を年齢別に知るには、総務省「令和4年就業構造基本調査」が使えます。昭和57年から5年ごとに行われている調査で、令和4年が最新です。ここでいう所得は本業から得ている1年間の税込みの収入で、雇われて働く人なら、ボーナスを含む給与の総額を指します。公務員も対象に含まれます。統計表の所得階級別の人数を10歳ごとに合計し、所得が不詳の人を除いて、50%に達する階級を編集部が計算しました。
| 年代 | 正社員(男女計) | 正社員(男性) | 正社員(女性) | 雇用者全体(男女計) |
|---|---|---|---|---|
| 20代 | 300万〜399万円 | 300万〜399万円 | 250万〜299万円 | 250万〜299万円 |
| 30代 | 400万〜499万円 | 400万〜499万円 | 300万〜399万円 | 300万〜399万円 |
| 40代 | 400万〜499万円 | 500万〜599万円 | 300万〜399万円 | 300万〜399万円 |
| 50代 | 500万〜599万円 | 600万〜699万円 | 300万〜399万円 | 300万〜399万円 |
| 60代 | 300万〜399万円 | 300万〜399万円 | 250万〜299万円 | 200万〜249万円 |
※中央値がある所得階級。正社員は調査上の「正規の職員・従業員」。令和4年10月1日時点で把握した、本業の1年間の税込み収入。
正社員の男女計では、20代の真ん中が300万〜399万円の階級にあり、30代と40代は400万〜499万円、50代で500万〜599万円の階級に上がります。40代は500万円未満の人が51.8%と、半数をわずかに超える程度です。パートや契約社員なども含めた雇用者全体では、同じ年代でも真ん中の位置が正社員より1〜2段下の階級にきます。 調査時点から4年がたっているため、いまの水準と比べるときはその点を差し引いて読む必要があります。
参考:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 一般労働者 第1表 学歴、年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(e-Stat)」
参考:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 一般労働者 第3表 年齢階級、所定内給与額階級別労働者数及び所定内給与額の分布特性値(e-Stat)」
参考:総務省統計局「令和4年就業構造基本調査 第45表 男女、年齢、従業上の地位・雇用形態、所得(主な仕事からの年間収入・収益)、従業者規模別人口(雇用者)(e-Stat)」
参考:総務省統計局「令和4年就業構造基本調査 用語の解説」
男女別・雇用形態別・企業規模別に見る年収の中央値
男女別や企業規模別の月給でも、正社員・正社員以外の年収でも、真ん中の人は平均より低い位置にいます。 数字を分けて並べると、どうしても差ばかりが目に入るもの。私たち編集部は、その差に働き方や役職の構成の違いが含まれている点も、あわせて見てほしいと考えています。中央値で見たときのポイントは次の3つです。
- 男女の差は、平均より中位数で見るほうが小さい
- 雇用形態別では、正社員の真ん中が400万円台、パートは100万円台前半の階級
- 企業規模が大きいほど、平均と中位数の差が開く
男女別:中位数で比べると差は少し縮まる
賃金構造基本統計調査で一般労働者の所定内給与額を見ると、平均は男性37万3,400円、女性28万5,900円で、差は8万7,500円です。中位数では男性32万5,800円、女性26万300円となり、差は6万5,500円に縮まります。上から10%目にあたる人の賃金が男性58万2,600円、女性40万5,300円と開いているぶん、平均で比べると男女差が大きく見えやすいのです。
国税庁の年収でも、真ん中は男性が500万円超600万円以下、女性が300万円超400万円以下の階級で、2つの階級の開きがあります。1年を通じて勤務した女性のうち38.9%は正社員以外で、男性の14.9%を大きく上回ります。いずれも国税庁の統計表から編集部が計算した割合です。年収の差を読むときは、こうした働き方の違いを差し引いて考える必要があります。
雇用形態別:正社員の真ん中は400万円台の階級
就業構造基本調査で雇用形態別に見ると、中央値がある所得階級は次のとおりです。全年齢・男女計の数字を並べました。
| 雇用形態 | 中央値がある所得階級 | 階級より下の人の割合 | 階級までの人の割合 |
|---|---|---|---|
| 正規の職員・従業員 | 400万〜499万円 | 45.8% | 63.0% |
| 契約社員 | 200万〜249万円 | 32.6% | 57.2% |
| 派遣社員 | 200万〜249万円 | 40.2% | 67.0% |
| パート | 100万〜149万円 | 40.4% | 73.4% |
| アルバイト | 50万〜99万円 | 24.2% | 65.1% |
| 雇用者全体 | 300万〜399万円 | 48.2% | 63.2% |
※令和4年就業構造基本調査から編集部が計算。所得が不詳の人は除いています。派遣社員は調査上の「労働者派遣事業所の派遣社員」。
パートやアルバイトには、働く時間や日数が少ない人も含まれます。ここでの年収の差は、時間あたりの賃金の差ではなく、1年間にどれだけ働いたかも合わせた結果として読む必要があります。 国税庁の令和7年分でも、正社員の真ん中は400万円超500万円以下、パート・アルバイトなど正社員以外は100万円超200万円以下の階級でした。
企業規模別:大きな会社ほど平均と中位数が離れる
賃金構造基本統計調査の概況は、企業規模別の平均と中位数も示しています。常用労働者1,000人以上の大企業では平均38万5,100円・中位数32万8,600円で、差は5万6,500円。100〜999人の中企業は平均32万6,200円・中位数28万8,400円、10〜99人の小企業は平均30万5,600円・中位数27万8,500円です。大企業の差は、小企業の2万7,100円の2倍を超えています。
大企業では、上から10%目にあたる人の賃金が63万2,000円と高く、平均が上に引っ張られやすいと考えられます。会社選びで平均の数字に触れたときは、その会社でも平均と真ん中が離れている可能性を頭に置いておくと安全です。
参考:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 結果の概況」
参考:総務省統計局「令和4年就業構造基本調査 第45表(e-Stat)」
参考:国税庁「令和7年分 民間給与実態統計調査 統計表」
世帯の所得の中央値は451万円|個人の年収とは別の数字
厚生労働省「2025(令和7)年国民生活基礎調査」によると、2024年1年間の1世帯当たりの所得の中央値は451万円でした。 平均所得金額は575万2千円で、平均以下の世帯が61.5%を占めます。この調査は中央値を「所得を低いものから高いものへと順に並べて2等分する境界値」と定め、公表値として載せています。個人の年収と比べる前に、次の3点を押さえておきましょう。
- 世帯の所得は、世帯全員の所得を合計した額
- 給与だけでなく、公的年金や事業の所得なども含む
- 1人暮らしの世帯や高齢者世帯も同じ列に並ぶ
世帯の所得には、働いて得た給与に加えて、公的年金・恩給や事業の所得、仕送りなども入ります。給与は、税金や社会保険料を含んだ額で数えます。全世帯のうち単独世帯は35.4%、高齢者世帯は31.9%。共働きの世帯と、年金で暮らす1人暮らしの世帯が同じ列に並んだうえでの真ん中が、451万円なのです。
個人の年収をこの451万円と比べても、高いか低いかは判断できません。 自分の年収の位置を知るなら国税庁や総務省の個人単位の統計を、世帯の暮らし向きを知るなら世帯全員の税込み所得を合計して国民生活基礎調査と比べる、という使い分けになります。
参考:厚生労働省「2025(令和7)年 国民生活基礎調査の概況」
参考:厚生労働省「2025(令和7)年 国民生活基礎調査の概況 Ⅱ 各種世帯の所得等の状況」
参考:厚生労働省「2025(令和7)年 国民生活基礎調査の概況 用語の説明」
自分の年収を中央値と比べるときの物差しの選び方
自分の年収と中央値を比べるときは、自分の数字と統計の単位・範囲をそろえて並べます。 統計を読み比べていて私たちがいちばん気をつけたいと感じたのは、この物差しのずれでした。同じ「中央値」でも、年額か月額か、個人か世帯かで、真ん中の位置は大きく変わります。
- 自分の数字と同じ単位・同じ範囲の統計を選ぶ
- 手取りではなく、額面どうしで比べる
- 位置が分かったら、社外での評価も確かめる
自分のどの数字を、どの統計と比べるか
| 知りたいこと | 使う自分の数字 | 比べる統計 | 真ん中の目安 |
|---|---|---|---|
| 民間の給与所得者の中での位置 | 源泉徴収票の支払金額 | 国税庁「令和7年分 民間給与実態統計調査」 | 400万円超500万円以下の階級 |
| 同じ年代の中での位置(年収) | 1年間の税込み給与(賞与を含む) | 総務省「令和4年就業構造基本調査」 | 30代の正社員なら400万〜499万円の階級 |
| 同じ年代の中での位置(月給) | 残業代などを除いた毎月の給与の額面 | 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」 | 30〜34歳なら29万1,400円 |
| 世帯の暮らし向き | 世帯全員の税込み所得の合計 | 厚生労働省「2025(令和7)年国民生活基礎調査」 | 451万円 |
年額なら、源泉徴収票の「支払金額」の欄を見ます。その年に支払いが確定した給与の総額で、税金や社会保険料を引かれる前の数字です。月額なら、給与明細のうち基本給と毎月決まって支払われる手当を足し、残業代や休日出勤手当を除いた額が、所定内給与額に近い数字になります。
手取りの中央値は、公的統計には見当たらない
個人の手取りの中央値を示した公的統計は、見当たりません。 この記事で紹介した中央値や分布は、いずれも税金や社会保険料を差し引く前の額面で集計されています。手取りは、額面から所得税と住民税、健康保険・厚生年金保険・雇用保険などの保険料を差し引いた金額。同じ額面でも、扶養する家族の有無や住んでいる地域、加入している健康保険によって変わります。
厚生年金保険料を例にとると、毎月の給与をもとにした標準報酬月額と、賞与をもとにした標準賞与額に18.3%の保険料率をかけ、その額を会社と本人が半分ずつ負担します。差し引かれる額が人によって違う以上、額面の中央値に一定の割合を掛けても、手取りの中央値にはなりません。自分の数字と比べるときも、給与の振込額ではなく額面どうしで並べてください。
比べたあとに見ておきたいこと
中央値との比較で分かるのは、いまの立ち位置です。そこから先を考えるなら、目標までの距離と社外での評価の2つを確かめておきたいところです。
上を目指すなら、分布の上のほうがどれくらい遠いのかを知っておくと、目標を置きやすくなります。年収1,000万円を超える人の割合は、年収1000万円は30代の何%?年齢・男女別の割合で年齢・男女別に整理しています。
社外での評価は、統計ではなく求人から見えてくるものです。 マイナビ・リクナビで、いまと同じ職種の求人がどの年収帯で出ているかを見ること。転職エージェントに職務経歴を伝え、提示されそうな年収の幅を聞くこと。どちらも、統計の真ん中とは別の角度から自分の位置を確かめる方法です。伸びていく人の共通点に関心があるなら成長が早い人の特徴9選|共通点と今日からの行動を、経営者が社員の評価や任せ方をどう考えているのかは経営者インタビューで会社ごとに読めます。
年収の中央値に関するよくある質問
日本人の年収の中央値はいくらですか?
国税庁の民間給与実態統計調査は年収の中央値を金額で公表していませんが、給与階級別の分布から、真ん中の人は400万円超500万円以下の階級にいると分かります。 令和7年分の調査で、1年を通じて勤務した給与所得者のうち年間給与400万円以下は47.0%、500万円以下は62.3%。この割合は人数を積み上げて編集部が計算したものです。男性は500万円超600万円以下、女性は300万円超400万円以下の階級に真ん中があり、平均給与はそれぞれ597万円、342万円でした。
平均年収と年収の中央値は、どちらで比べればいいですか?
同じ立場の人の中で自分がどのあたりかを知りたいなら、中央値で比べるのが向いています。 平均は一部の高い年収に引き上げられやすく、令和7年の賃金構造基本統計調査では、所定内給与額が平均の34万600円に届かない人が6割を超えます。全体の総額や前年からの増減をつかむなら平均です。どちらを使う場合も、年額か月額か、個人か世帯かをそろえてから比べてください。
20代・30代・40代の年収の中央値はいくらですか?
令和4年就業構造基本調査から編集部が計算すると、正社員の年収の真ん中は、20代が300万〜399万円、30代と40代が400万〜499万円の階級です。 パートや契約社員なども含めた雇用者全体では、20代が250万〜299万円、30代と40代が300万〜399万円の階級になります。月給で見るなら、令和7年賃金構造基本統計調査の所定内給与額の中位数が、25〜29歳で26万7,900円、35〜39歳で31万100円、45〜49歳で33万4,800円です。
手取りの中央値はいくらですか?
個人の手取りの中央値を公表している公的統計は見当たりません。 この記事で取り上げた国税庁・厚生労働省・総務省の個人の年収や月給の中央値・分布は、いずれも税金や社会保険料を引く前の額面です。手取りは扶養する家族の有無や住んでいる地域、加入している健康保険で変わるため、額面の中央値から一律に計算することもできません。比べるときは、自分の数字も額面にそろえましょう。
年収の中央値は上がっていますか?
国税庁の給与階級別の分布で見ると、真ん中の位置は上がっています。 1年を通じて勤務した給与所得者のうち年間給与400万円以下の人は、令和5年分の50.7%から、令和6年分は48.0%、令和7年分は47.0%となりました。真ん中の人が、300万円超400万円以下から400万円超500万円以下の階級に移ったということです。階級の幅が100万円あるため、上がった金額まではこの表から分かりません。
まとめ
年収の中央値は、低い順に並べて真ん中にくる人の年収です。国税庁は金額としての中央値を公表していませんが、令和7年分の給与階級別の人数を積み上げると、真ん中の人は400万円超500万円以下、男性は500万円超600万円以下、女性は300万円超400万円以下の階級にいます。令和4年就業構造基本調査では、正社員の真ん中が20代で300万円台、50代で500万円台の階級。月給では、所定内給与額の中位数が55〜59歳の34万6,500円で最も高くなります。
平均と中央値の差は、年齢が上がるほど、また企業規模が大きいほど開きます。中央値どうしは足し算や平均で組み立て直せないので、月額の中位数を年収に直すのではなく、自分の数字と同じ単位・同じ範囲の統計を選んで比べてください。世帯の所得の中央値451万円も、個人の年収とは別の物差しです。
正直なところ、周りを見渡したときの感覚に近いのは、平均年収のニュースより中央値のほうだと私たちも感じます。中央値は「ここまで来れば安心」という線ではなく、自分の立ち位置を確かめるための目印。その目印をもとに、次の一手を考えてみてください。
自分の位置がつかめたら、いまの経験でその数字を動かせる選択肢があるのかを、実際の求人と照らし合わせて確かめておくと次の判断がしやすくなります。

