ベンチャー企業の面接対策|よく聞かれる質問と答え方、社長面接で見られるポイント

ベンチャー企業の面接で問われるのは、スキルの多さよりも「この人と一緒に事業を伸ばせるか」という点です。その判断に、社長自身が関わることもあります。
実際に、若手の採用では能力の差より「素直に話を聞き、理解しようとする姿勢」を重視すると話す社長もいます。実績を並べるだけでは、社長に伝わらないものがあるのです。
この記事では、よく聞かれる質問と答え方の型、社長面接の特徴と社長が見ているポイント、聞かれても答えなくてよい質問までを順に紹介します。
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ベンチャー企業の面接は、大手企業の面接と何が違うのか
ベンチャー企業の面接は、大手企業の面接に比べて、決める人に早く会い、会話の中で「入社後に一緒に働く姿」を確かめる場になりやすいのが特徴です。会社の規模が小さいぶん、採用担当者・現場の責任者・社長の距離が近く、選考の進み方にもそれが表れます。
一般に言われる違いを整理すると、次のようになります。どの会社にも当てはまるわけではないので、目安として見てください。
| 比べる点 | 大手企業の面接の一例 | ベンチャー企業の面接の一例 |
|---|---|---|
| 面接官 | 人事→現場の管理職→役員と段階を踏む | 早い段階から社長・役員が出てくる |
| 面接の雰囲気 | 質問項目に沿って順に進む | 会話の中で考え方を深掘りする |
| 見られやすい点 | 組織の中での協調、職務の適性 | 自分で考えて動けるか、変化への向き合い方 |
| 選考の入り口 | 書類選考から一次面接へ | カジュアル面談から始まることもある |
| 結果が出るまで | 段階ごとに社内で調整する | 決める人が少なく、早く決まることがある |
社長や役員が、選考の早い段階から出てくる
社員数が数十人規模の会社では、社長自身が採用の最終判断に関わる場合があります。一次面接から社長が同席する会社や、面接が2回で終わる会社もあります。「最終面接だから形式的な確認だけ」と考えず、どの回でも自分の考えを話す準備をしておくと安心です。
カジュアル面談から始まることもある
ベンチャー企業では、正式な選考の前に「カジュアル面談」の場を設ける会社もあります。お互いを知るための場とされていますが、話した内容が次の選考の参考になることもあります。志望度が固まっていなくても構いませんが、会社の事業を調べ、聞きたいことを持って臨むのが無難です。
会話の中で、考え方を深掘りされる
ベンチャー企業の面接では、答えに対して「なぜそう考えたのですか」「ほかの方法はありませんでしたか」と続けて聞かれることがあります。用意した答えをそのまま読み上げるより、自分の言葉で考えを組み立てて話せるかが見られています。私たちが経営者に取材していても、話が盛り上がるのは、用意された答えより「そのとき何を考えたか」に話が及んだときだと感じます。
ベンチャー企業の面接でよく聞かれる質問と答え方の型
ベンチャー企業の面接で聞かれる質問は、大きく分けると「なぜうちか」「どう動いてきたか」「入社後に何をしたいか」の3つに集まります。どの質問にも使える答え方の型は、次の3段です。
- 結論を一言で言う(「〇〇だからです」「〇〇をしてきました」)
- そう言える具体的な場面を1つ話す(いつ・何があり・自分がどう動いたか)
- 応募先の仕事でどう生かすかにつなげる
場面を1つに絞り、自分が何をしたかを具体的に話すと、短い時間でも考え方が伝わります。 質問ごとの意図と答え方は、次の表のとおりです。
| よく聞かれる質問 | 面接官が確かめたいこと | 答え方のポイント |
|---|---|---|
| なぜベンチャー企業なのか | 環境の違いを理解しているか | 大手との違いを踏まえ、やりたいことと結ぶ |
| なぜ当社なのか | 事業への理解と志望の根拠 | 事業の「誰に何を」と自分の経験をつなぐ |
| 自分で考えて動いた経験は | 指示を待たずに動けるか | 課題に気づいた場面と、自分が取った行動 |
| 想定外のことにどう対応したか | 変化への向き合い方 | 計画が崩れたときに何を優先したか |
| 失敗した経験と、そこから学んだことは | 素直に振り返れるか | 原因を自分の側から話し、次に変えたこと |
| 入社後にやりたいこと | 期待と本人の目標が重なるか | 募集の背景とつながる具体的な仕事 |
| 年収や待遇の希望 | 条件の折り合い | 希望額と、その根拠になる経験 |
「なぜベンチャーなのか」「なぜうちなのか」
ベンチャー企業の面接で、まず答えを用意しておきたいのがこの2つです。「裁量が大きいから」「成長できそうだから」だけでは、どのベンチャー企業にも言える答えになってしまいます。
答えの軸は、「その会社の事業で、自分が何をしたいか」に置くのが近道です。会社のサイトや代表メッセージから、誰に何を提供している会社なのかをつかみ、自分の経験とつながる点を1つ見つけておきましょう。志望動機の組み立て方は「志望動機の書き方と例文」で詳しく紹介しています。
答え方の例:「前職では、店舗の在庫管理を手作業から共有シートに切り替え、発注ミスを減らす仕組みづくりに取り組みました。小さな改善でも自分で決めて試せる環境で、同じように現場の仕事を変える側に回りたいと考え、店舗向けの業務システムを提供している御社を志望しました。」
「自分で考えて動いた経験」「想定外のことへの対応」
ベンチャー企業では、仕事の手順やマニュアルが整いきっていない会社もあります。そのため、指示を待たずに動けるか、計画が崩れたときにどう立て直すかを、過去の経験から確かめようとします。
話す経験は、大きな成果である必要はありません。アルバイトやサークル、前職の小さな業務改善でも、「何に気づき、何を試し、結果がどうだったか」が具体的なら十分です。結果がうまくいかなかった経験でも、次に何を変えたかまで話せれば、考え方は伝わります。
「失敗した経験」「入社後にやりたいこと」
失敗した経験を聞かれたときは、原因を周りの環境や他人のせいにせず、自分の判断の側から話すのが基本です。そのうえで、次に同じ場面が来たら何を変えるかまで添えると、振り返る力が伝わります。
入社後にやりたいことは、求人票の「募集の背景」や職務内容と重なる仕事を選ぶと、会社の期待と本人の目標が一致していることを示せます。転職の場合、前職を辞めた理由との一貫性も見られるため、「転職理由の例文」もあわせて確認しておくと安心です。
年収・待遇の希望を聞かれたとき
ベンチャー企業では、給与の決め方が会社ごとに大きく違います。希望額を聞かれたら、現在の年収と希望額、その根拠になる経験を簡潔に伝えましょう。ストックオプションなどの制度がある会社もありますが、入社の判断は、制度の有無より、基本の給与と評価の仕組みを確かめたうえでするのが堅実です。 条件の確認は、内定が近づいた段階で書面を見ながら行えば失礼にはあたりません。
ベンチャー企業の社長面接の特徴と、社長が見ているポイント
ベンチャー企業の社長面接は、能力の確認というより、「この人と一緒に会社を伸ばしていけるか」を社長自身が確かめる場です。少人数の会社では、一人の入社がチームの雰囲気や事業の進み方に直接影響するため、社長自身が採用に時間をかける会社もあります。
社長面接は、会話の流れで進むこともある
社長面接では、事業の話や社長自身の考えを語る時間が長くなったり、雑談のような会話から質問が始まったりすることがあります。決まった質問に答えるというより、会話のやりとりそのものが見られていると考えておくとよいでしょう。
社長の話を聞くときは、相づちだけで終わらせず、「その考えに共感した理由」や「自分ならこう関われる」という一言を返すと、会話が一方通行になりません。会社の歴史や代表メッセージ、メディアのインタビューなど、社長の考えが分かる公開情報に目を通しておくと、話についていきやすくなります。
社長が採用で見ているところ
実際に、社長は採用で何を見ているのでしょうか。熱狂ベンチャーナビで取材した経営者の言葉から、採用にかかわる発言を2つ紹介します。
まず、新卒や若手の採用について、話を聞く姿勢を挙げる社長がいます。
自由な働き方を取り入れている会社では、採用を社長自ら担うケースもあります。
2人に共通しているのは、いまのスキルの高さそのものより、入社後に伸びていけるか、任された仕事をやり遂げられるかに目を向けている点です。鳥越さんは同じインタビューで、求める人材として「やり遂げる能力」と「素直さ」を挙げ、採用時には仕事に近いテストで適性も確かめていると話しています。
社長面接では、どう答えればいいか
社長の言葉から考えると、社長面接で伝えたいのは、次の3つです。
- これまでの経験から、自分が伸びてきた過程
- 人の意見を聞いて、やり方を変えた経験
- 任された仕事を最後までやり切った経験
たとえば「上司の指摘を受けて提案の進め方を変え、次の提案では通った」という経験は、素直さと成長の両方を一度に伝えられる材料です。完璧な実績を並べるより、変わってきた過程を正直に話すほうが、社長の関心に沿った答えになるでしょう。
正直なところ、取材で社長の話を聞いていると、「できること」より「どう変わってきたか」を楽しそうに尋ねる方が多いと感じます。面接で背伸びをしすぎる必要はありません。
社長面接の最後にも、逆質問の時間が設けられることがあります。若手への任せ方や会社の行き先など、社長にしか答えられない質問の選び方は「面接の逆質問は何を聞く?」で紹介しています。
面接で聞かれても答えなくてよい質問|公正な採用選考の範囲
ベンチャー企業は採用の仕組みを整えている途中の会社もあり、面接官が悪気なく、仕事と関係のない質問をしてしまう場面もあり得ます。応募者の側も、面接で聞いてよい質問の範囲を知っておくと、落ち着いて対応できます。
厚生労働省が示す「適性・能力に関係のない事項」
厚生労働省は「公正な採用選考の基本」で、採用選考は「応募者の基本的人権を尊重すること」と「応募者の適性・能力に基づいた基準により行うこと」の2点を基本に行うよう示しています。面接についても、職務に必要な適性・能力を評価する観点から質問項目や評価基準をあらかじめ決め、適性と能力に関係のない事項を尋ねないよう求めています。
同じページで、応募書類に書かせたり面接で尋ねたりして把握すると就職差別につながるおそれがあるとされる事項と、同じおそれがある採用選考の方法は、次のとおりです。
| 区分 | 主な事項 |
|---|---|
| 本人に責任のない事項 | 本籍・出生地、家族(職業・続柄・健康・病歴・地位・学歴・収入・資産など)、住宅状況、生活環境・家庭環境 |
| 本来自由であるべき事項 | 宗教、支持政党、人生観・生活信条、尊敬する人物、思想、労働組合・学生運動などの社会運動、購読新聞・雑誌・愛読書 |
| 採用選考の方法 | 身元調査、適性・能力に関係ない事項を含む応募書類、必要性が認められない健康診断 |
「尊敬する人物」や「愛読書」は、面接の定番の質問だと思っている人もいるかもしれません。しかし厚生労働省の整理では、思想・信条にかかわる事項として配慮が求められる側に入っています。
職業安定法で決められている個人情報の扱い
応募者の個人情報の扱いは、職業安定法にも定めがあります。
かみくだくと、人を募集する会社は、応募者の個人情報を、採用という目的に必要な範囲で、目的を明らかにして集め、その目的の範囲内で保管・使用しなければならないということです。「〜しなければならない」と書かれているとおり、努力目標ではなく会社の義務として定められています。なお条文には、本人の同意がある場合などの例外もあります。厚生労働省のページでは、この条文と関連する告示により、社会的差別の原因となるおそれのある個人情報の収集は原則として認められないとの説明です。
仕事と関係のない質問をされたときの返し方
面接で家族の職業や支持政党などを聞かれた場合、答えるかどうかは自分で決めて構いません。角を立てずに返すなら、「その点は控えさせてください。仕事に関することでしたら、どのようなことでもお答えします」のように、質問の流れを仕事の話に戻す言い方があります。
ひとつの質問だけで会社を判断する必要はありませんが、同じような質問が何度も続く場合は、入社後の職場の雰囲気を考える材料にもなります。気になったときは、学校のキャリアセンターや最寄りのハローワークに相談できます。
参考:厚生労働省「公正な採用選考の基本」
参考:厚生労働省「公正な採用選考チェックポイント」
参考:e-Gov法令検索「職業安定法」
ベンチャー企業の面接前にやっておきたい準備
ベンチャー企業は大手企業に比べて公開されている情報が限られる場合があるため、面接前の下調べで差がつきやすくなります。とはいえ、すべてを調べ尽くす必要はありません。次の順で、公表されている情報から押さえておけば十分です。


会社のサイトで「事業」と「社長の考え」をつかむ
まず確認したいのは、会社のサイトにある事業内容・代表メッセージ・採用ページです。誰に何を提供している会社か、社長が何を目指しているかを一言で言えるようにしておくと、「なぜうちなのか」にも社長面接にも対応しやすくなります。プレスリリースやメディアのインタビューがあれば、最近の動きや社長の言葉に触れておきましょう。
募集の背景から、期待されている役割を考える
求人票に書かれた募集の背景(増員か欠員補充か、新しい事業の立ち上げかなど)から、入社後に期待されている役割を考えておきます。書かれていない場合は、面接の中で聞いてみるのもひとつの方法です。
会社の状態を、自分の目で確かめる
ベンチャー企業は、資金の状況や組織の体制が会社ごとに大きく違います。面接は、会社が応募者を見る場であると同時に、応募者が会社を確かめる場でもあります。入社前に確かめたい点は「ベンチャー企業は危ない?見分け方10項目」にまとめているので、気になる点があれば面接の場で確認してみてください。
話す内容は、声に出して練習しておく
ベンチャー企業の面接は会話の中で深掘りされることもあるため、答えを丸暗記するより、要点だけをメモにして声に出して話す練習が役立ちます。家族や友人に「なぜ?」と続けて聞いてもらうと、深掘りへの備えになります。
ベンチャー企業の面接に関するよくある質問
ベンチャー企業の面接は何回ありますか?
会社によって違い、決まった回数はありません。少人数の会社では社長との面接まで短い期間で進むこともあれば、カジュアル面談や現場社員との面談を挟んで何度か話す場を設ける会社もあります。選考の流れは、応募の段階で採用担当者に確認しておくと安心です。
ベンチャー企業の面接は私服でもいいですか?
「服装自由」「私服でお越しください」と案内があれば、私服で問題ありません。迷ったときは、襟のあるシャツにジャケットなど、清潔感のあるオフィスカジュアルが無難です。案内がない場合は、スーツを選んでおけば失礼にはあたりません。
社長面接で落ちることはありますか?
あります。ベンチャー企業の社長面接は形式的な最終確認とは限らず、社長自身が採用を決める場になっている会社もあるためです。それまでの面接で評価されていても、会社の方向性や働き方が合うかどうかで判断が分かれることがあります。
カジュアル面談でも評価されていますか?
カジュアル面談は「選考ではない」と案内される場合でも、話した内容が次の選考の参考になることがあります。評価を気にしすぎる必要はありませんが、会社の事業は事前に調べ、聞きたいことを用意して臨むとよいでしょう。
ベンチャー企業の面接で避けたい答え方はありますか?
「成長できそう」「裁量が大きそう」など、会社に何をしてもらえるかだけを話してしまう答え方には注意が必要です。ベンチャー企業では、入社後に自分が何をしたいか、どう貢献できるかが問われます。自分の経験と会社の事業をつなげて話すことを意識してみてください。
まとめ
ベンチャー企業の面接は、社長や役員が早い段階から出てきて、会話の中で「一緒に事業を伸ばせるか」を確かめる場になりやすいのが特徴です。よく聞かれる質問には、結論・具体的な場面・応募先での生かし方の3段で答えると、短い時間でも考え方が伝わります。
社長面接では、いまのスキルの高さより、成長してきた過程や素直さ、やり遂げる力が見られていることが、経営者の言葉からも分かります。一方で、家族や思想・信条にかかわる質問は、厚生労働省が採用選考で配慮を求めている事項です。答えるかどうかは自分で決めて構いません。
私たち編集部が多くの社長と話してきて感じるのは、ベンチャー企業の面接は「試される場」であると同時に「この社長と働きたいか」を確かめる場でもある、ということです。熱狂ベンチャーナビでは、ベンチャー企業や中小企業の経営者に、事業や採用への考えを聞いたインタビューを掲載しています。応募先の社長がどんな考えを持つ人なのかを想像する手がかりとして、インタビュー記事の一覧もあわせてご覧ください。
面接の準備を一人で進めるのが不安なときは、転職のプロに想定質問や答え方を見てもらうのも、ひとつの方法です。

