面接でよくある質問と答え方|意図から考える回答例と新卒・転職別の質問

面接でよくある質問の中心は、自己紹介、自己PR、経験、志望動機、入社後の目標、条件の確認です。どれも採用する側が「仕事を任せられるか」を確かめるために聞いています。

ただ、実際に聞かれることがあっても、本来は尋ねるべきでない質問もあります。令和6年度にハローワークが把握した不適切な選考の指摘では、家族に関することが4割を超えていました。

この記事では、よくある質問の意図と答え方、回答例を新卒・転職別に整理し、答えにくい質問への考え方まで紹介します。

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目次

面接でよくある質問は、採用する側が確かめたい4つのことに分かれる

面接で聞かれる質問は数が多く見えますが、採用する側が確かめたいことで束ねると、次の4つに分かれます。

  • これまでの経験から、仕事で何ができそうか
  • どんな人で、職場でどう動きそうか
  • なぜこの会社を選び、入社後に何をしたいか
  • 働く条件や状況が、募集の内容と合うか
確かめたいことよくある質問答え方の型
経験と力成果を出した経験、失敗した経験、学生時代に力を入れたこと、職務経歴結論→そのときの状況→自分の行動→結果と学び
人柄と考え方自己紹介、自己PR、長所と短所一言で言う特徴→裏づける場面→仕事での出し方
志望と入社後志望動機、入社後にやりたいこと、将来の目標選んだ理由→きっかけの経験→入社後の行動
条件と状況他社の選考状況、希望年収、入社可能時期、残業や転勤への対応事実→対応できる範囲→相談したい点

4つの型に共通するのは、最初の一文で質問に答えることです。 「学生時代に力を入れたことは何ですか」と聞かれたら、「大学祭の模擬店で仕入れを担当し、売れ残りを減らしたことです」と、問いへの答えを先に言います。経緯から話し始めると、聞き手は何の話なのかを待たされてしまうからです。

面接官は、答えを聞いて次の質問を決めている

面接は、決まった質問を順番に消化していく場とは限りません。面接官は答えの中から気になった言葉を拾い、「そのとき一番迷ったのは何ですか」「結果をどう受け止めましたか」と掘り下げていきます。

そのため、最初の答えは要点だけにとどめ、続きは聞かれたら話すくらいの長さで十分です。よくある質問への準備とは、答えの文章を仕上げることより、掘り下げられても話せる材料を持っておくことなのです。

1つの経験を、質問ごとに切り口を変えて話す

質問ごとに別々のエピソードを用意する必要はありません。1つの経験でも、どこに光を当てるかを変えれば、いくつもの質問に答えられます。

たとえば、大学祭の模擬店で仕入れを担当した経験なら、次のように使い分けられます。

  • 自己PRなら、時間帯ごとの売れ行きを記録し、仕入れの量を見直した「数字で状況をつかむ力」
  • 力を入れたことなら、前年に多かった売れ残りを減らすため、仕入れの決め方を変えた過程
  • 失敗した経験なら、初日に仕入れすぎて材料を余らせ、2日目に量を変えたこと
  • 短所なら、最初は一人で抱え込み、係の仲間に作業を任せるのが遅れたこと
大学祭の模擬店で仕入れを担当した1つの経験を、質問ごとに言い換えた例。自己PRなら時間帯ごとの売れ行きを記録し仕入れの量を見直した「数字で状況をつかむ力」、力を入れたことなら前年に多かった売れ残りを減らすため仕入れの決め方を変えた過程、失敗した経験なら初日に仕入れすぎて材料を余らせ2日目に量を変えたこと、短所なら最初は一人で抱え込み係の仲間に作業を任せるのが遅れたこと。
大学祭の模擬店で仕入れを担当した1つの経験を、質問ごとに言い換えた例。自己PRなら時間帯ごとの売れ行きを記録し仕入れの量を見直した「数字で状況をつかむ力」、力を入れたことなら前年に多かった売れ残りを減らすため仕入れの決め方を変えた過程、失敗した経験なら初日に仕入れすぎて材料を余らせ2日目に量を変えたこと、短所なら最初は一人で抱え込み係の仲間に作業を任せるのが遅れたこと。

話せる経験を3つほど持っておけば、よくある質問の多くに切り口を変えて対応できるでしょう。私たちが経営者に取材するときも、同じ出来事を別の角度から聞き直すと、まったく違う話が返ってくることがよくあります。

新卒・転職に共通してよくある質問と回答例

新卒・転職のどちらでも聞かれやすい質問を、意図、答え方、回答例の順に紹介します。回答例は架空の例なので、〇の部分や題材は自分の経験に置き換えてください。

  • 自己紹介をお願いします
  • あなたの強みを教えてください
  • 長所と短所を教えてください
  • これまでに成果を出した経験を教えてください
  • 失敗した経験と、そこから学んだことは何ですか
  • 当社を志望した理由を教えてください
  • 入社後にやりたいことや、将来の目標は何ですか
  • ほかに選考を受けている会社はありますか
  • 最後に何か質問はありますか

自己紹介をお願いします

面接の最初に聞かれることが多い質問です。面接官は経歴の要点をつかむと同時に、話を短くまとめられるか、どんな話し方をする人かを見ています。

名前に続けて、新卒なら学校名と学んでいること、転職ならいまの仕事と担当業務を一言で伝え、最後に面接への意気込みを添えます。経験の詳しい中身は、このあとの質問で聞かれるはず。ここでは見出しだけを並べるつもりで構いません。

回答例(転職)

「〇〇と申します。大学を卒業後、食品メーカーで〇年間、スーパーなどの小売店を回るルート営業を担当してきました。店舗ごとの売れ方を見ながら売り場づくりを提案し、担当先との取引を広げてきました。本日は、この経験を御社の営業職でどう生かせるかをお伝えしたいと思います。よろしくお願いいたします。」

あなたの強みを教えてください

自己PRとして聞かれる質問です。面接官は、本人が挙げる強みが本当に仕事の場面で出てくるものかを、裏づけとなる場面から確かめようとしています。

強みは1つに絞り、「私の強みは〇〇です」と言い切ってから、その強みが出た場面を1つ話しましょう。最後に、応募先の仕事のどこで生かすかを添えると、強みが入社後の姿につながります。

回答例(新卒)

「私の強みは、相手がどこでつまずいているかを確かめてから、説明を組み立て直せることです。個別指導塾で中学生に数学を教えていたとき、何度説明しても伝わらない生徒がいました。問題のどこで手が止まるかを書き出してもらうと、分数の計算でつまずいていたと分かり、そこまで戻って教え直したことで、宿題を自分で解けるようになったのです。御社の営業でも、お客様が迷っている点を先に確かめてから提案する形で、この強みを生かしたいと考えています。」

長所と短所を教えてください

面接官が見ているのは、自分を客観的に捉えられているかと、短所との付き合い方です。短所そのものより、それをどう補っているかのほうが、入社後の働き方を想像する材料になります。

長所と短所は、同じ性格の表と裏として話すと筋が通りやすくなります。短所は隠す必要はありませんが、いま取り組んでいる対策とセットで伝えましょう。

回答例(転職)

「長所は、締め切りから逆算して段取りを組めることです。イベント運営会社で進行管理を担当し、準備の工程を逆算した表をつくって関係者と共有してきました。短所は、自分で進めたほうが早いと考えて、人に頼むのが遅れがちなことです。いまは毎朝、自分だけでは終わらない作業を洗い出してチームに共有し、早めに分担を相談するようにしています。」

これまでに成果を出した経験を教えてください

新卒なら「学生時代に力を入れたこと」、転職なら「前職での実績」という形で聞かれることもあります。面接官が見たいのは成果の大きさより、その成果にたどり着くまでに本人が何を考え、どう動いたかです。

取り組んだことを結論として言い、そのときの状況、自分の行動、結果と学びの順に話します。複数人で取り組んだことなら、チームの成果と自分の役割を分けて話すのがポイントです。

回答例(新卒)

「大学祭の模擬店で仕入れを担当し、売れ残りを減らしたことです。前年は材料が多く余ったと聞き、初日は時間帯ごとの売れ行きを記録しました。その記録をもとに2日目の仕入れ量と仕込みの時間を見直し、係の仲間と分担を決め直した結果、前年よりも売れ残りを大きく減らせました。数字で状況をつかみ、次の手を決める面白さを知った経験です。」

失敗した経験と、そこから学んだことは何ですか

失敗を聞くのは、失敗そのものを責めるためではありません。面接官は、原因を自分の側から振り返れるか、同じことを繰り返さない工夫をしているかを確かめています。

失敗の中身は短く話し、原因と、その後に変えたことに時間を使いましょう。人や環境のせいにする話し方は、振り返りができていない印象につながりやすくなります。

回答例(転職)

「通信販売会社のカスタマーサポートで、返品の受付条件を思い込みで案内し、お客様に誤った説明をしてしまったことがあります。気づいた時点ですぐ上司に報告し、お客様に連絡して説明をし直しました。原因は、規定を確かめずに過去の似た例で判断したことです。それ以来、例外がありそうな問い合わせは、答える前に規定と照らし合わせる手順を自分の中に加えています。」

当社を志望した理由を教えてください

志望動機は、新卒・転職を問わず聞かれる質問です。面接官は、数ある会社の中からなぜ自社を選んだのか、入社後に何をしたいのかを確かめています。

最初に「なぜこの会社か」を一言で答え、そのあとに、そう考えるきっかけになった経験と、入社後にやりたいことを続けましょう。

回答例(転職)

「飲食店の献立づくりの段階から関われる提案営業がしたいと考え、業務用食材を扱う御社を志望しました。小売店の売り場を提案するなかで、商品が使われる場面まで考えて提案したほうが、お客様の反応が大きいと感じてきました。御社では、営業担当が飲食店と一緒にメニューを考えていると伺い、これまでの提案の経験を生かせると考えています。」

志望動機の組み立て方と、新卒・転職別の例文は、志望動機の書き方と例文で詳しく紹介しています。

入社後にやりたいことや、将来の目標は何ですか

キャリアプランとして聞かれることもある質問です。面接官は、本人の目標と、会社が用意できる仕事や育て方が重なっているかを見ています。

入社直後と数年後で時期を分けて、取り組みたいことを話します。応募先の事業や職種の中身と結びつけておけば、目標が抽象的になりません。

回答例(新卒)

「入社後の数年は、物流センターの現場で荷物の流れと仕事の段取りを覚えたいと考えています。そのうえで、現場で見つけた無駄を減らす改善の提案に関わり、将来は複数の拠点の運営を任される人になりたいです。」

ほかに選考を受けている会社はありますか

面接官は、会社選びの軸が一貫しているか、内定を出した場合に入社してもらえそうかを確かめています。

ほかの会社を受けていることは珍しくないので、正直に答えて構いません。社名まで言うかは自分で決めてよく、業界や職種と、共通する選び方の軸を伝えれば十分です。

回答例(転職)

「同じ業務用食材の業界で、〇社の選考を受けています。どちらも飲食店への提案営業の職種で、提案の段階から深く関われるかを軸に選んでいます。」

最後に何か質問はありますか

面接の終わりに設けられる、逆質問の時間です。面接官は質問の中身から、会社への関心の深さと、入社後の働き方を具体的に考えているかを見ています。

調べれば分かることは避け、その面接官の立場で答えられる質問を用意しておきましょう。面接の段階や面接官に合わせた例文は、面接の逆質問は何を聞く?で紹介しています。

新卒の面接に多い質問と答え方

新卒と転職では、同じ種類の質問でも見られるところが違います。経験を聞く質問なら、新卒では学業や課外活動でどう考えて動いたかが、転職では担当した業務で何をどこまでできるかが問われます。志望を聞く質問では、新卒は仕事や業界への関心とその理由、転職はこれまでの経験をどう広げたいか。

入社後を聞かれたときも、新卒は何を身につけてどう育っていくかを、転職は入社直後から何で力を出せるかを話すのが基本です。条件を確かめる質問では、新卒は他社の選考状況や志望度を、転職は希望年収や入社可能時期、残業や転勤への対応を聞かれるのが一般的でしょう。

質問の種類ごとに新卒と転職で問われやすいことを比べた図。経験を聞く質問は、新卒が学業や課外活動でどう考えて動いたか、転職が担当した業務で何をどこまでできるか。志望を聞く質問は、新卒が仕事や業界への関心とその理由、転職がこれまでの経験をどう広げたいか。入社後を聞く質問は、新卒が何を身につけてどう育っていくか、転職が入社直後から何で力を出せるか。条件を確かめる質問は、新卒が他社の選考状況や志望度、転職が希望年収や入社可能時期、残業や転勤への対応。
質問の種類ごとに新卒と転職で問われやすいことを比べた図。経験を聞く質問は、新卒が学業や課外活動でどう考えて動いたか、転職が担当した業務で何をどこまでできるか。志望を聞く質問は、新卒が仕事や業界への関心とその理由、転職がこれまでの経験をどう広げたいか。入社後を聞く質問は、新卒が何を身につけてどう育っていくか、転職が入社直後から何で力を出せるか。条件を確かめる質問は、新卒が他社の選考状況や志望度、転職が希望年収や入社可能時期、残業や転勤への対応。

新卒の面接では、共通の質問に加えて次の3つがよく聞かれます。

  • 学業やゼミで何を学びましたか
  • 就職活動の軸は何ですか
  • 当社は第一志望ですか

学業やゼミで何を学びましたか

学生の本分として、多くの面接で聞かれる質問です。面接官は、学んだ内容そのものより、関心を持ったことをどう深めたか、どんな学び方をする人かを見ています。

テーマを一言で言い、なぜそのテーマを選んだのか、どう調べたのか、何が分かったのかの順に話します。専門用語は面接官が分かる言葉に言い換えましょう。

回答例(新卒)

「社会学のゼミで、地元の商店街に空き店舗が増えている理由を調べました。資料だけでは分からなかったため、店主の方々に話を聞いて回ったところ、後継ぎがいないことより、建物の改修費の負担を挙げる声が多いことに気づきました。資料で仮説を立て、現場で確かめるという順番は、仕事でも使えると考えています。」

就職活動の軸は何ですか

会社選びの基準を聞く質問です。面接官は、軸が自社と合っているか、ほかの答えと一貫しているかを確かめています。

「人の役に立つ仕事」のように広すぎる軸は、どの会社にも当てはまってしまいます。自分の経験から出てきた言葉で、応募先にも当てはまる軸を2〜3個に絞り、どれを優先するかの順番まで話せるようにしておきましょう。

回答例(新卒)

「相手の困りごとを聞いてから、解決の形を一緒に考えられる仕事を軸にしています。飲食店のアルバイトで、常連のお客様から聞いた不満をもとに店長と注文の受け方を見直した経験から、この進め方が自分に合っていると感じました。」

当社は第一志望ですか

志望度と、内定を出したら入社してもらえるかを確かめる質問です。第一志望であれば、その理由とあわせてはっきり伝えましょう。

迷っている段階なら、無理に言い切る必要はありません。ただ「第一志望群です」で止めず、何を確かめられれば決められるのかを添えると、迷い方まで誠実に伝わります。

回答例(新卒)

「第一志望群の中で、御社を最も強く志望しています。現場の改善に若手のうちから関われる点に惹かれており、本日、入社1年目の仕事の進め方を伺えたことで、気持ちがさらに固まりました。」

集団面接では、同じ質問に複数の学生が順に答える形になります。グループ面接ならではの流れや答え方は、グループ面接でよく聞かれる質問と回答のコツで紹介しています。

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転職の面接に多い質問と答え方

転職の面接では、前の職場での経験を入社後にどう生かせるかが、質問の中心になります。共通の質問に加えて、次のような質問がよく聞かれます。

  • これまでの職務経歴を教えてください
  • 転職を考えた理由は何ですか
  • 前職ではどんな実績がありますか
  • 転職回数の多さや、離職期間について教えてください
  • 希望年収と入社可能時期を教えてください
  • 残業や転勤に対応できますか

これまでの職務経歴を教えてください

自己紹介に続いて聞かれることの多い質問です。面接官は、職務経歴書に書いた内容を本人の言葉で聞き、応募職種につながる経験がどこにあるかを確かめています。

所属した会社と期間、担当した業務、そこで出した結果の順に話し、最後に応募職種と重なる経験を一言で結びます。経歴が長い人ほど全部を話したくなりますが、応募先に関係の深い時期に時間を使いましょう。

回答例(転職)

「新卒で食品メーカーに入社し、〇年間、関東のスーパー〇店を担当するルート営業をしてきました。主な仕事は、新商品の案内と、店舗ごとの売れ方に合わせた売り場の提案です。直近の〇年は、後輩〇名の指導も担当しました。お客様の売り場で何が起きているかをつかみ、提案に落とし込む経験は、御社の提案営業でも生かせると考えています。」

転職を考えた理由は何ですか

退職理由として聞かれることもあります。面接官が気にしているのは、入社しても同じ不満を抱えて早く辞めてしまわないかという点です。

前の職場への不満が本音でも、事実を偽る必要はありません。辞めるきっかけになった事実を短く伝え、応募先でやりたいことに話の比重を移すのが基本になります。理由別の例文と、掘り下げられたときの答え方は、転職理由の例文で紹介しています。

前職ではどんな実績がありますか

面接官は、実績の数字そのものより、その結果を本人の力でどこまで再現できるかを見ています。

数字で示せる実績は、自分の担当分と、チームや会社全体の数字を分けて話しましょう。目立つ数字がない仕事なら、業務の進め方を変えた工夫や、周りから任されるようになった仕事の範囲が実績になります。マネジメント経験を聞かれて役職の経験がない場合も、後輩の指導やプロジェクトの取りまとめの経験があれば、その範囲を正直に話せば足ります。

転職回数の多さや、離職期間について教えてください

面接官は、入社してもすぐに辞めてしまわないか、離れていた期間のあとでも仕事に戻れるかを気にしています。

転職回数が多い場合は、一社ごとに辞めた事情を説明するより、それぞれの職場で何を身につけ、どこへ向かっているのかを、共通する目的でつないで話します。離職期間がある場合は、その間にしていたことを短く伝え、いまは働ける状態にあることを添えましょう。療養や家族の介護といった事情の詳細は、話せる範囲で構いません。

希望年収と入社可能時期を教えてください

条件の折り合いと、入社までの段取りを確かめる質問です。

希望年収を聞かれたら、いまの年収を前提に希望額を伝え、その額を裏づける経験を一言添えます。幅を持たせたいなら、「〇〇万円を希望しますが、担当する仕事の範囲を伺ったうえで相談させてください」のように、希望額と相談の余地を両方示すと話が進めやすくなるでしょう。入社可能時期は、いまの職場の引き継ぎにかかる期間を見込み、在職中なら「内定をいただいてから〇か月後」のように具体的に伝えてください。

残業や転勤に対応できますか

働く条件が募集の内容と合うかを確かめる質問で、新卒の面接でも聞かれます。

厚生労働省は、履歴書の様式例で「通勤時間」「扶養家族数(配偶者を除く)」「配偶者」「配偶者の扶養義務」の欄を設けないことにした際、これらの欄で把握していた事柄にかかわる確認は、質問例を参考に面接などの場で行うよう事業主に案内しました。質問例は5つの場面に分かれています。時期による早朝出勤や深夜までの残業、休日出勤への対応、当番制のオンコール対応、複数の営業所のどこでも勤務できるかどうか、転勤への対応と配慮すべきこと、そして勤めるうえで配慮すべきことなどです。

厚生労働省が履歴書の様式例とあわせて示した、面接で確認する際の質問例の5つの場面。残業・休日出勤は時期による早朝出勤や深夜までの残業、休日出勤に対応できるか。緊急対応は当番制のオンコール対応ができるか。配置先は複数の営業所のどこでも勤務できるか。転勤は転勤に対応できるか、配慮すべきことはあるか。その他は勤めるうえで配慮すべきことはあるか。質問は面接を受ける人全員に行う。
厚生労働省が履歴書の様式例とあわせて示した、面接で確認する際の質問例の5つの場面。残業・休日出勤は時期による早朝出勤や深夜までの残業、休日出勤に対応できるか。緊急対応は当番制のオンコール対応ができるか。配置先は複数の営業所のどこでも勤務できるか。転勤は転勤に対応できるか、配慮すべきことはあるか。その他は勤めるうえで配慮すべきことはあるか。質問は面接を受ける人全員に行う。

転勤なら「転勤をお願いする場合がありますが、対応は可能でしょうか?」「転勤のお願いにあたり配慮すべきことはありますか?」という聞き方が例に挙がっています。あわせて、これらの質問は面接を受ける人全員に行うこと、質問が必要な場合は関係する情報をあらかじめ求人票や募集要領に書いておくことも求めています。

家族構成を尋ねなくても、働ける条件は直接確かめられるということです。 答えるときは、対応できる範囲を具体的に伝えましょう。「繁忙期の残業には対応できます。転勤は、現時点では〇〇県内での勤務を希望していますが、時期によってはご相談させてください」のように、できることと相談したいことを分けて話すほうが、お互いの判断材料になります。

参考:厚生労働省「新たな履歴書の様式例の作成について」

家族や思想にかかわる質問は、採用選考で配慮が求められている

面接の質問のなかには、聞かれることがあっても、本来は採用の判断材料にすべきでないものがあります。押さえておきたいのは次の4点です。

  • 厚生労働省は、適性・能力と関係のない14の事項を把握しないよう事業主に求めている
  • ハローワークが把握した指摘は、家族に関することが最も多い
  • 女性にだけ結婚の予定や出産後の働き方を聞くことは、男女雇用機会均等法の指針が示す差別の例にあたる
  • 聞かれたときに答えるかどうかは、自分で決めてよい

雑談のような質問にも、配慮が求められる事項が含まれる

厚生労働省の「公正な採用選考の基本」は、応募者の適性・能力と関係のない事項を、応募用紙への記入や面接での質問によって把握しないよう事業主に求めています。これは国が事業主に周知・啓発している採用選考の考え方で、採用基準にするつもりがなくても、把握した事柄はどうしても採否の決定に影響を与えてしまい、就職差別につながるおそれがあるというのが理由です。

対象として挙げられているのは14の事項です。本籍・出生地、家族、住宅状況、生活環境・家庭環境という、本人に責任のない4事項。宗教、支持政党、人生観・生活信条、尊敬する人物、思想、労働組合や学生運動などの社会運動、購読新聞・雑誌・愛読書という、本来自由であるべき思想・信条にかかわる7事項。そして身元調査、適性・能力に関係ない事項を含んだ応募書類、合理的・客観的に必要性が認められない健康診断という、採用選考の方法にかかわる3事項です。厚生労働省は、これらに限られるわけではないとも注記しています。

気をつけたいのは、こうした質問が雑談の形で出てくることです。厚生労働省のQ&Aは、採用基準にしないつもりでも、話の流れでうっかり尋ねた事柄や、応募者の気持ちをやわらげようとして聞いた事柄に、就職差別につながるおそれのある事項が含まれることがあると説明しています。公正採用選考特設サイトが「採用面接時に多い不適切な質問・指示事例」として挙げているのは、次のような聞かれ方です。

  • 次の面接に進む前に、戸籍謄本を提出してください
  • ご家族のお仕事について教えてください
  • 大きな家にお住まいのようですが、働く必要があるのですか
  • 先日行われた選挙には行きましたか
  • あなたの購読新聞や愛読書があれば教えてください

家族のことを尋ねる問題について、同じQ&Aは、家族の離死別や失業といった事情に立ち入ることになり、本人を傷つけたり動揺させたりして実力を発揮できなくさせ、結果的にその人を排除することにもなりかねないと説明しています。

個人情報の扱いには、法律の定めもあります。厚生労働省は、職業安定法第5条の5と平成11年の告示により、社会的差別の原因となるおそれのある個人情報などの収集は原則として認められないと説明しており、人を募集する会社もこの対象です。条文の原文は、ベンチャー企業の面接対策の記事で紹介しています。

参考:厚生労働省「公正な採用選考の基本」
参考:厚生労働省 公正採用選考特設サイト「よくある質問」

ハローワークが把握した指摘は、家族に関することが4割を超える

厚生労働省の公正採用選考特設サイトによると、令和6年度にハローワークが把握した、応募者から「本人の適性・能力以外の事項を把握された」との指摘は854件でした。内訳は「家族に関すること」が41.8%で最も多く、「思想・信条」9.4%、「住宅状況」8.4%、「本籍・出生地」7.1%、「健康診断」0.7%、「その他」32.6%です。

令和6年度にハローワークが把握した、応募者から本人の適性・能力以外の事項を把握されたとの指摘854件の内訳。家族に関すること41.8%、思想・信条9.4%、住宅状況8.4%、本籍・出生地7.1%、健康診断0.7%、その他32.6%。
令和6年度にハローワークが把握した、応募者から本人の適性・能力以外の事項を把握されたとの指摘854件の内訳。家族に関すること41.8%、思想・信条9.4%、住宅状況8.4%、本籍・出生地7.1%、健康診断0.7%、その他32.6%。

この件数は応募者からの指摘をハローワークが把握したもので、不適切な質問がすべて報告されているわけではありません。内訳に健康診断が含まれるとおり、面接での質問だけを数えたものでもありません。それでも、指摘のなかで最も多いのは、思想や信条よりも身近な、家族に関することでした。 2026年10月時点で同サイトに掲載されている内訳は、この令和6年度分です。

参考:厚生労働省 公正採用選考特設サイト「求職者の皆様へ」

女性にだけ結婚の予定や出産後の働き方を聞くことは、均等法が禁じる扱いにあたる

性別による扱いの違いについては、男女雇用機会均等法が、募集と採用の段階から差別を禁じています。

“
事業主は、労働者の募集及び採用について、その性別にかかわりなく均等な機会を与えなければならない。
雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(昭和47年法律第113号)
第5条
条文を見る

「事業主」は人を雇う会社のこと、「均等な機会を与えなければならない」は、男女のどちらかだけを有利にも不利にも扱ってはならないという意味です。「〜しなければならない」とあるとおり、努力義務ではなく、事業主の義務として定められています。 この条文などについて事業主が適切に対処するための厚生労働省の指針は、男女で異なる取扱いをしていると認められる例として、採用面接に際して、結婚の予定の有無や、子どもが生まれた場合に働き続ける希望の有無などを女性に対してのみ質問することを挙げています。

厚生労働省のパンフレット「男女均等な採用選考ルール」も、女性にだけ子どもが生まれた場合の継続就業の意思を質問し、男性にだけ幹部候補となる意欲を聞くことを違法な事例としています。男女に同じ質問をしていても、男女いずれかを採用する目的で、一方の性の回答だけを採否の判断材料にすることも違法な事例です。

さらに、改正された男女雇用機会均等法により、2026年10月1日からは、就職活動中の学生などの求職者に対するセクシュアルハラスメントを防ぐ措置が事業主の義務になりました。対象となる求職活動には、企業の採用面接への参加も含まれます。事業主は、相談窓口をあらかじめ定めて求職者に知らせることなども求められています。

参考:e-Gov法令検索「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」
参考:厚生労働省「労働者に対する性別を理由とする差別の禁止等に関する規定に定める事項に関し、事業主が適切に対処するための指針」
参考:厚生労働省・都道府県労働局「男女均等な採用選考ルール」

聞かれたら、答えるかどうかは自分で決めてよい

配慮が求められる質問をされても、答えるか答えないかは自分で決めて構いません。その場の空気を壊したくないときは、次の3つの返し方があります。

返し方言い方・動き方の例向いている場面
質問の意図を確かめる「勤務時間や転勤への対応について確認されたいということでしょうか」家族や住まいのことを聞かれ、仕事の条件を確かめたい意図がありそうなとき
働ける条件に置き換えて答える「家族の事情は省かせていただきますが、〇時から〇時までの勤務で、〇〇県内であれば問題なく働けます」家族構成や家庭の事情を聞かれたとき
記録して相談する面接のあとで、日時・面接官・質問の内容をメモしておく同じような質問が続いた、答えなかったことの影響が心配なとき

1つ目と2つ目は、先に紹介した厚生労働省の質問例と同じ考え方です。会社が本当に知りたいのが働ける条件なら、条件そのものを答えれば足ります。

気になる質問があったときの相談先として、厚生労働省は、面接での質問に限らず応募用紙やエントリーシートの項目も含めて、最寄りのハローワークを案内しています。性別による扱いの違いやセクシュアルハラスメントについては、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)が問い合わせ先です。学生なら、学校のキャリアセンターに伝えておく方法もあります。面接官に悪気がないこともありますが、質問に感じた違和感は、入社後の働きやすさを考える材料にもなるはずです。

参考:厚生労働省「新たな履歴書の様式例の作成について」

採用する側は、よくある質問の答えで何を見ているか

制度とは別に、採用する側がどこを見ているのかも知っておきたいところです。取材で採用の話になると、経営者の答えは、質問への上手な答え方より、その人と一緒に働く場面が想像できるかどうかに向かうことが多いと感じます。

  • 人柄を聞く質問では、一緒に働きたいと思えるかが見られている
  • 考えを聞く質問では、自分なりの視点が伝わる
  • 答えにくい質問では、取り繕わない姿勢が表れる

人柄を聞く質問では、「一緒に働きたいか」が見られている

キュリオシティ株式会社の金田隼人CEOは、社員の雰囲気や会社の風土を聞かれ、採用についてこう話しています。

“
当社では、社員一人ひとりの人間的な素養を重視しています。面接の際には、もちろん能力も重視しますが、それ以上に「一緒に働きたい」と思えるかどうかを重要視しています。
キュリオシティ株式会社 代表取締役CEO
金田 隼人
インタビューを読む

能力を見たうえで、話していて一緒に仕事をしたいと思えるかを重く見ている、という言葉です。自己紹介や長所と短所の質問で、立派な言葉を並べるより、自分の経験を等身大に話すほうが伝わるものがあるのは、このためでしょう。

考えを聞く質問では、自分なりの視点が伝わる

アニメ制作会社、株式会社mafの深江暢社長は、アニメ業界を目指す若い人たちへのメッセージとして、次のように語っています。

“
10代、20代のうちに自分のことをしっかり考え、いろいろなことを経験してみることが大事です。自分なりの視点や意見を持つことがとても重要で、それは面接でも伝わります。
株式会社maf 代表取締役
深江 暢
インタビューを読む

志望動機や入社後の目標を聞く質問は、決まった正解を当てる質問ではありません。自分の経験から出てきた見方を、自分の言葉で話せるかどうかが、答えの差になります。 調べた情報を並べるだけで終わらせず、「だから自分はこう考える」と一歩踏み込んでみてください。

答えにくい質問では、取り繕わない姿勢が表れる

株式会社LANYの竹内渓太社長は、社内の雰囲気を聞かれ、「不器用だけど誠実な人が多い」と話したうえで、こう続けています。

“
たとえば、お客様とのミーティングでも、簡単に答えられる質問にその場で適当に返すのではなく、「正確にお答えしたいので一度持ち帰らせてください」と言うタイプの人間が多いのです。仕事のうまさよりも、お客様に対して誠実に向き合えるかどうかが、当社で活躍するうえで大切な条件だと考えています。
株式会社LANY 代表取締役
竹内 渓太
インタビューを読む

そうした人材を意図して採用しているのかという問いには、「半分は面接の中で意識してみています」と答えています。想定していなかった質問で答えに詰まったときも、その場しのぎの答えを重ねるより、分かることと分からないことを分けて伝えたうえで、いまの考えを話す。そうした振る舞いも、面接官が見ている材料の一つになり得ます。

志望する会社の社長がどんな人と働きたいと考えているかを読んでおくと、よくある質問への答えにも、その会社に向けた言葉を選びやすくなります。

経営者インタビューを読む|熱狂ベンチャーナビ

面接の質問に関するよくある質問

面接のよくある質問は、いくつ準備しておけばいいですか?

質問の数より、話せる経験の数を先にそろえておくのが近道です。 自己紹介、強み、成果を出した経験、失敗した経験、志望動機、入社後の目標は、新卒・転職を問わず聞かれやすい質問です。そのうえで、切り口を変えて使える経験を3つほど用意しておけば、掘り下げられても話を続けられます。転職なら職務経歴と転職理由、新卒なら学業と就職活動の軸も、答えを考えておきましょう。

想定していなかった質問をされたら、どうすればいいですか?

「少し考えてもよろしいですか」と一言断ってから、考えをまとめて答えて構いません。 黙り込んでしまうより、考える時間をもらったほうが落ち着いて話せます。答えるときは、よくある質問と同じく結論から話し、分からないことは分からないと伝えたうえで、いまの考えを添えましょう。その場しのぎの答えを重ねると、続く質問で話が食い違いやすくなります。

回答は丸暗記して臨んでもいいですか?

要点だけを覚え、言い回しはその場で組み立てるほうが安全です。 文章ごと暗記すると、途中で言葉が出てこなくなったときに立て直しにくく、掘り下げの質問にも対応しにくくなります。結論、場面、行動、結果といった話す順番と、外せない言葉だけをメモにして、声に出して練習しておくとよいでしょう。

面接で家族のことや結婚の予定を聞かれたら、答えなければいけませんか?

聞かれても、答えるかどうかは自分で選んで構いません。 厚生労働省は「公正な採用選考の基本」で、家族に関することを含む14の事項を、面接で尋ねるなどして把握すると就職差別につながるおそれがある事項として挙げ、事業主に把握しないよう求めています。この14事項は、国が事業主に周知・啓発している採用選考の考え方です。これとは別に、結婚の予定や、子どもが生まれた場合に働き続ける希望の有無を女性にだけ質問することは、男女雇用機会均等法にもとづく厚生労働省の指針が、男女で異なる取扱いの例として挙げているものです。気になる質問があったときは、ハローワークや都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)に相談できます。

参考:厚生労働省「公正な採用選考の基本」
参考:厚生労働省 公正採用選考特設サイト「求職者の皆様へ」
参考:厚生労働省「労働者に対する性別を理由とする差別の禁止等に関する規定に定める事項に関し、事業主が適切に対処するための指針」
参考:厚生労働省・都道府県労働局「男女均等な採用選考ルール」

まとめ

面接でよくある質問は、経験と力、人柄と考え方、志望と入社後、条件と状況という、採用する側が確かめたい4つのことに分かれます。どの質問も、最初の一文で問いに答え、そのあとに裏づけとなる場面を話すのが基本です。

新卒では学業や就職活動の軸、転職では職務経歴や転職理由、希望年収や入社可能時期を聞かれることが加わります。一方で、家族や思想・信条にかかわる質問は、採用の判断材料にすべきでないものとして、厚生労働省が事業主に把握しないよう求めているものです。令和6年度にハローワークが把握した不適切な選考の指摘でも、最も多かったのは家族に関することでした。女性にだけ結婚の予定や出産後の働き方を聞くことは、男女雇用機会均等法にもとづく指針で男女で異なる取扱いの例とされています。答えるかどうかは自分で決め、気になったら相談先を頼ってください。

経営者に話を聞いてきて私たちが感じるのは、記憶に残る答えは、上手な答えより、その人の経験がそのまま伝わってくる答えだということです。よくある質問だからこそ、自分の言葉で準備しておきましょう。

応募先に合わせた想定質問を一人で準備しきれないときは、面接対策を一緒に考えてくれる相手に頼るのも一つの方法です。

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編集者

小川 莉奈 - 熱狂ベンチャーナビ編集部

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看護師から一般企業へ就職。その後株式会社デジマケに入社。自身の転職経験を元に新卒~若手の転職者にわかりやすい情報をお届けします。

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西畑大樹 - 熱狂ベンチャーナビ運営責任者

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新卒で証券会社に入社。その後、不動産・マーケティング・SaaS企業と4社の経験を経て独立。
学生時代は無人島のインターンや創業2か月目の会社でインターン生として2年勤務。
学生時代から新卒就活領域のメディア運営やキャリアコンサルタントを行っていた経験を元に業界や企業理解が深まるインタビュー記事や就活や転職に役立つ情報をお届けします。

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秋山翔一 - 熱狂ベンチャーナビ編集責任者

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新卒で商社に入社。その後WEBマーケティング支援を行う会社に転職。その後、繊維メーカーの役員を経て株式会社デジマケを創業。
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