就活の軸とは?5種類の例と決め方、面接での答え方と例文|決まらないときの考え方

就活の軸とは、会社や仕事を選ぶときに「ここは譲れない」と決めておく、自分なりの判断基準のことです。

給与や休みを軸に挙げるのは気が引ける、という人もいるでしょう。ただ、厚生労働省の調査で転職を考えている若手正社員に理由を尋ねると、最も多いのは賃金の条件でした。待遇も、軸の候補から外す必要はありません。

この記事では、5種類の軸の例、自己分析から軸を言葉にする手順、面接で聞かれたときの答え方と例文、軸が決まらない・ぶれるときの考え方を紹介します。

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目次

就活の軸とは、会社や仕事を選ぶときの「譲れない基準」

就活の軸は、たくさんの候補から応募先を選び、最後に入社する1社を決めるまで使い続ける物差しです。似た言葉と並べると、それぞれの役割が見えてきます。

  • 就活の軸は「働くうえで何を大事にしたいか」で、すべての応募先に共通する
  • 志望動機は「なぜこの会社か」で、応募先ごとに変わる
  • 面接で軸を聞かれるのは、働く意欲の向きと会社との相性を伝えられる質問だから
言葉答える問い使う範囲例
就活の軸働くうえで何を大事にしたいかすべての応募先に共通人と直接向き合い、相手の変化が見える仕事がしたい
企業選びの条件軸を満たす会社は、どんな条件を備えているか業界や会社を絞り込むとき顧客を担当制で持ち、若手にも担当がある
志望動機なぜこの会社なのか応募する1社ごと入社1年目から担当顧客を持ち、先輩と同行しながら学べる点に惹かれた

軸は応募先が変わっても同じで、会社ごとに変わるのは志望動機のほうです。 軸から会社の条件を導き、条件に合う会社の中で「なぜここか」を言葉にしたものが志望動機になります。この順番で考えておくと、面接で両方を聞かれても話が食い違いません。

面接で軸を聞かれるのは、働く意欲の向きと会社との相性を伝えられる質問だから

面接官が「就活の軸を教えてください」と尋ねるとき、一般に知りたいのは、何を大事に働きたい人なのかと、その考えが自社で生きそうかの2点です。

採用する側が選考で何を重視しているかは、厚生労働省の「令和5年若年者雇用実態調査」で確かめられます。常用労働者5人以上の事業所を対象に、令和5年10月1日時点の状況を尋ねた調査です。新規学卒者として15〜34歳の正社員を採用し、その選考をした事業所に重視した点を複数回答で尋ねると、「職業意識・勤労意欲・チャレンジ精神」が79.3%で最も高く、「組織への適応性」も53.2%ありました。

この数字は選考全体で重視した点を尋ねたもので、軸の質問の評価基準を示すものではありません。それでも、働く意欲がどこを向いているかと、その会社で力を出せそうかを一度に伝えられるのが、就活の軸という質問です。 3回の調査で重視される点がどう動いてきたかは、ガクチカの例文と書き方|部活・アルバイト・ゼミ別、ガクチカがないときの考え方で紹介しています。

参考:厚生労働省「令和5年若年者雇用実態調査の概況」

就活の軸の種類と例|仕事内容・働き方・環境・待遇・価値観

軸の候補は、次の5つの種類に分けて見渡すと見落としが減ります。分け方は編集部の整理で、どの種類を選べば正解ということはありません。

  • 仕事内容
  • 働き方
  • 環境
  • 待遇
  • 価値観
種類決めること軸の例自分に聞いてみる問い
仕事内容何をするか人と直接向き合う仕事、ものづくりに関わる仕事、専門知識を深められる仕事時間を忘れて取り組めたのは、どんな作業だったか
働き方どう働くか地元で暮らしながら働ける、転勤が少ない、仕事と私生活の時間を分けやすい1週間のうち、何に時間を使えていると満足か
環境誰と、どんな職場で働くか若手にも仕事を任せる、教え合う雰囲気がある、年の近い先輩がいるどんな人たちの中にいるとき、力を出せたか
待遇何を受け取るか生活の見通しが立つ給与、休暇の取りやすさ、住宅手当などの制度暮らしを続けるために、最低限ほしい条件は何か
価値観何のために働くか誰かの困りごとを解決したい、地域を支えたい、誠実な商売をしたい人から感謝されてうれしかったのは、どんなときか

同じ種類から1つだけ選ぶより、種類をまたいで2〜3個を持つほうが、会社を比べたときに差が見えやすくなります。 仕事内容だけで選ぶと同業の会社どうしの違いが見えにくく、待遇だけで選ぶと仕事の中身の確認が後回しになりがちだからです。

転職を考える若手正社員の理由は、待遇・働き方・仕事内容・環境にまたがる

働き始めてから転職を考える理由は、仕事の中身だけに限りません。厚生労働省の「令和5年若年者雇用実態調査」では、常用労働者5人以上の事業所で働く15〜34歳の正社員のうち、今後「転職したいと思っている」人が31.2%いました。その人たちに転職しようと思う理由を複数回答で尋ねると、「賃金の条件がよい会社にかわりたい」が59.9%、「労働時間・休日・休暇の条件がよい会社にかわりたい」が50.0%と高く、「仕事が自分に合った会社にかわりたい」41.9%、「自分の技能・能力が活かせる会社にかわりたい」33.8%、「将来性のある会社にかわりたい」33.1%、「人間関係のよい会社にかわりたい」24.8%と続きます。複数回答のため、割合を足しても100%にはなりません。

令和5年若年者雇用実態調査で、今後転職したいと思っている15〜34歳の正社員が挙げた転職しようと思う理由(複数回答、主な6項目)。賃金の条件がよい会社にかわりたい59.9%、労働時間・休日・休暇の条件がよい会社にかわりたい50.0%、仕事が自分に合った会社にかわりたい41.9%、自分の技能・能力が活かせる会社にかわりたい33.8%、将来性のある会社にかわりたい33.1%、人間関係のよい会社にかわりたい24.8%。
令和5年若年者雇用実態調査で、今後転職したいと思っている15〜34歳の正社員が挙げた転職しようと思う理由(複数回答、主な6項目)。賃金の条件がよい会社にかわりたい59.9%、労働時間・休日・休暇の条件がよい会社にかわりたい50.0%、仕事が自分に合った会社にかわりたい41.9%、自分の技能・能力が活かせる会社にかわりたい33.8%、将来性のある会社にかわりたい33.1%、人間関係のよい会社にかわりたい24.8%。

5つの種類に当てはめると、賃金は待遇、労働時間・休日・休暇は働き方、仕事が合うかや技能を活かせるかは仕事内容、人間関係は環境にあたります。これは転職を考える理由を尋ねた数字で、学生が会社選びで重視した点を示すものではありません。 ただ、転職を考える理由が、待遇・働き方・仕事内容・環境のどれにも分かれて出てくることは読み取れます。軸を考えるときに5つの種類を一度ずつ見渡しておくのは、この見落としを減らすためです。

待遇や働き方も軸にしていい。面接で話す軸は別に選んでおく

給与や休暇の取りやすさを大事にするのは、暮らしを考えれば自然なことです。気が引けるからと外して会社を選ぶと、入社後に「こんなはずでは」となりかねません。一方で、面接で待遇の条件だけを軸として話すと、仕事にどう向き合う人なのかが伝わりにくくなります。

そこで、軸を2つの持ち方に分けておくと扱いやすくなります。

持ち方入れるもの数の目安使う場面
自分用の軸の一覧待遇や働き方を含め、譲れない条件をすべて制限なし応募先を絞る、内定先を選ぶ
面接で話す軸仕事への向き合い方が伝わるもの2〜3個面接、エントリーシート

待遇の軸は捨てるのではなく、確かめる場を分けるのです。 給与や休暇の条件は、募集要項や人事との面談、公表されている職場情報で確かめられます。

参考:厚生労働省「令和5年若年者雇用実態調査の概況」

自己分析から就活の軸を言葉にする4つの手順

自己分析で書き出した経験は、そのままでは軸になりません。経験から「なぜそうしたのか」を取り出し、会社を比べられる言葉に置き換える作業が要ります。経験の書き出し方や掘り下げ方は自己分析のやり方|書き込み式シートで進める5つの手順と無料の診断ツールにまとめているので、ここでは書き出したあとの4つの手順に絞ります。

  • 手順1:心が動いた経験を3つ選ぶ
  • 手順2:経験ごとに「なぜ」を書き、共通する理由を取り出す
  • 手順3:理由を5つの種類に当てはめ、会社を比べられる言葉に直す
  • 手順4:「譲れない」「あるとうれしい」「こだわらない」に仕分ける

記入例は、すべて架空の学生1人のものです。自分の経験に置き換えながら読み進めてください。

自己分析から就活の軸を言葉にする4つの手順。1 うれしかったこと・悔しかったこと・長く続いたことから、心が動いた経験を3つ選ぶ。2 経験ごとに「なぜ」を「〜だと力が出る」「〜だと力を出しにくい」の形で書き、共通する理由を取り出す。3 理由を仕事内容・働き方・環境・待遇・価値観に当てはめ、会社を比べられる言葉に直す。4 「譲れない」「あるとうれしい」「こだわらない」に仕分け、譲れない軸は2〜3個までに絞る。
自己分析から就活の軸を言葉にする4つの手順。1 うれしかったこと・悔しかったこと・長く続いたことから、心が動いた経験を3つ選ぶ。2 経験ごとに「なぜ」を「〜だと力が出る」「〜だと力を出しにくい」の形で書き、共通する理由を取り出す。3 理由を仕事内容・働き方・環境・待遇・価値観に当てはめ、会社を比べられる言葉に直す。4 「譲れない」「あるとうれしい」「こだわらない」に仕分け、譲れない軸は2〜3個までに絞る。

手順1:心が動いた経験を3つ選ぶ

書き出した経験の中から、うれしかったこと、悔しかったこと、気づけば長く続いていたことを1つずつ選びます。成功体験だけを選ぶと、自分が力を出しにくい条件が見えてきません。 悔しかった経験は、軸の裏側にある「これだけは避けたい条件」を教えてくれます。

選ぶ観点記入例
うれしかったこと個別指導塾の講師のアルバイトで、担当した生徒と苦手な単元を一緒に探して教え方を変え、「やっと分かった」と言われた
悔しかったこと大学祭の実行委員で、担当企画の段取りが直前まで決まらず、準備が深夜までずれ込んだ
長く続いたこと中学から続けている書道で、段位の審査に向けて同じ課題を何度も書き直した

手順2:経験ごとに「なぜ」を書き、共通する理由を取り出す

選んだ経験ごとに、「なぜうれしかったのか」「なぜ悔しかったのか」「なぜ続いたのか」を1文で書きます。コツは「〜だと力が出る」「〜だと力を出しにくい」という形にそろえること。そろえておくと、次の手順で会社の条件に直しやすくなります。

経験なぜ(記入例)
塾講師のアルバイト相手が変わっていく様子を近くで見られると、力が出る
大学祭の実行委員段取りや役割が見えないまま進むと、力を出しにくい
書道目標がはっきりしていれば、地道な積み重ねは苦にならない

3つを並べて、共通しているものを探しましょう。この例なら「相手や目標がはっきり見えていると力が出る」が浮かびます。共通する理由は、軸の芯になる部分です。

手順3:理由を5つの種類に当てはめ、会社を比べられる言葉に直す

取り出した理由が仕事内容・働き方・環境・待遇・価値観のどれにあたるかを考え、会社の条件として確かめられる言葉に直します。

理由種類会社を比べられる言葉
相手が変わっていく様子を近くで見られると力が出る仕事内容顧客と直接やり取りし、反応を確かめながら進める仕事
段取りや役割が見えないと力を出しにくい環境仕事の進め方や役割分担を、事前に共有する職場
目標がはっきりしていれば積み重ねは苦にならない仕事内容時間をかけて専門知識を積み上げられる仕事

「人と関わる仕事」のままでは、ほとんどの仕事が当てはまってしまうでしょう。「誰と、どんな形で関わるのか」まで言葉を細かくすると、会社の間に差が見えてきます。

手順4:「譲れない」「あるとうれしい」「こだわらない」に仕分ける

最後に、軸の候補を3つに仕分けます。待遇や働き方の条件も、ここに入れて構いません。

仕分け記入例
譲れない顧客と直接やり取りし、反応を確かめながら進める仕事
あるとうれしい役割分担を事前に共有する職場、専門知識を積み上げられる仕事
こだわらない会社の規模、本社の場所

譲れないものが多すぎると、当てはまる会社がほとんど残りません。目安として、譲れない軸は2〜3個までに絞っておくと、応募先を選ぶときに迷いにくくなります。 「こだわらない」の欄も空けずに書いておくと、説明会で会社の規模や知名度に気持ちが引っ張られたとき、自分で立ち止まれます。

就活の軸は「確かめられる言葉」に直すと、会社を比べられる

「成長できる環境」「風通しがよい」「働きやすい」は、軸としてよく挙がる言葉です。ただ、採用ページでもよく見かける言葉なので、このままでは会社の間で差がつきません。軸を具体的な場面や数字で確かめられる言葉に直しておくと、何を調べ、何を聞けばよいかがはっきりします。

  • 抽象的な軸は、具体的な場面や数字に言い換える
  • 数字で確かめられる軸は、公表されている情報から先に見る
  • 公表情報で分からないことは、説明会や面接で場面を聞く
抽象的な軸確かめられる言葉確かめる場
成長できる環境入社3年目までに任される仕事の範囲、研修の期間と内容説明会、社員との面談
風通しがよい若手の提案が形になった最近の例、上司と1対1で話す機会の有無OB・OG訪問、面接の逆質問
働きやすい正社員の有給休暇取得日数、月平均所定外労働時間しょくばらぼ、人事との面談
若手が活躍している新卒者の採用・定着状況、従業員の平均年齢しょくばらぼ、採用ページ
社会に貢献できる誰のどんな困りごとを、どの事業で解決しているか会社サイトの事業紹介、説明会

数字で確かめられる軸は、しょくばらぼで並べて比べる

働き方や若手の定着にかかわる軸は、数字で比べられる部分があります。厚生労働省の職場情報総合サイト「しょくばらぼ」では、新卒者の採用・定着状況、正社員の有給休暇取得日数、月平均所定外労働時間、従業員の平均年齢、教育制度、職場見学やインターンシップの受入可否といった項目を、企業ごとに調べられます。

使い方は、志望先の情報が載っていれば、同じ業界の2〜3社と並べてみること。見る順番は、手順4で「譲れない」に入れた軸に対応する数字からで十分です。 働き方の軸なら有給休暇取得日数と月平均所定外労働時間、若手の定着の軸なら新卒者の採用・定着状況から見ていけば、全部を読み比べる手間をかけずに会社の差をつかめます。

数字にならない軸は、説明会や面接で「場面」を聞く

「風通しはよいですか」と聞けば、多くの場合は「よいです」と返ってくるでしょう。そこで、「若手の提案が形になった最近の例はありますか」のように、具体的な場面を尋ねる質問に変えてみましょう。場面を聞けば、返ってくる答えの具体性そのものが判断材料になります。 質問の組み立て方や、面接の段階ごとに聞く相手を変える考え方は、面接の逆質問は何を聞く?一次・二次・最終の例文とNG、社長が答えたくなる質問で紹介しています。

会社の側も、入社前の説明で入社後のずれを減らそうとしています。厚生労働省の「令和5年若年者雇用実態調査」では、常用労働者5人以上の事業所のうち、若年正社員の定着のための対策を行っている事業所が73.7%ありました。その事業所に行っている対策を複数回答で尋ねると、58.4%が「採用前の詳細な説明・情報提供」を挙げています。軸にかかわることを尋ねるのは、会社にとっても答える準備のある質問だと考えてよいでしょう。

参考:厚生労働省 しょくばらぼ「就職活動に役立つ3サイトを活用して自分に合う企業を見つけよう」
参考:厚生労働省「令和5年若年者雇用実態調査の概況」

面接で「就活の軸は?」と聞かれたときの答え方と例文

面接での答え方は、組み立ての型を1つ持っておくと、どの会社でも崩れにくくなります。

  • 答えは「軸・きっかけ・選び方・接点」の4つで組み立てる
  • 例文は軸の種類ごとに4つ
  • よく続く深掘りの質問に備える
  • 伝わりにくい答え方を避ける

答えは「軸・きっかけ・選び方・接点」の4つで組み立てる

面接で軸を聞かれたら、次の4つを順に話すと、短くても筋の通った答えになります。

  1. 「私の就活の軸は〇〇です」と、軸を1文で言う。2つあるなら「2つあります」と数を先に伝える
  2. その軸を持つようになったきっかけの経験を1つ話す
  3. その軸でどんな業界や会社を見ているか、選び方を話す
  4. この会社のどこが軸に合っているか、接点を1文で添える

見落としやすいのは3つ目の選び方です。軸は応募先すべてに共通するものなので、その軸でどんな会社を見ているかまで話すと、軸が実際の行動につながっていることが伝わります。4つ目の接点は志望動機と重なる部分なので、ここでは1文にとどめ、詳しくは志望動機を聞かれたときに話せば十分。時間の指定がなければ、軸の1文から話し始め、深掘りされた部分を足していくくらいが聞き手にとって受け取りやすい長さでしょう。

面接で就活の軸を聞かれたときの答えの組み立て方。1 軸:「私の就活の軸は〇〇です」と1文で言い、2つあるなら数を先に伝える。2 きっかけ:その軸を持つようになった経験を1つ話す。3 選び方:その軸でどんな業界や会社を見ているかを話す。4 接点:この会社のどこが軸に合っているかを1文で添える。
面接で就活の軸を聞かれたときの答えの組み立て方。1 軸:「私の就活の軸は〇〇です」と1文で言い、2つあるなら数を先に伝える。2 きっかけ:その軸を持つようになった経験を1つ話す。3 選び方:その軸でどんな業界や会社を見ているかを話す。4 接点:この会社のどこが軸に合っているかを1文で添える。

以下の例文の人物・経験・会社の特徴は、すべて架空のものです。

例文1:仕事内容の軸|相手の変化が見える仕事

私の就活の軸は、顧客と直接やり取りし、相手の反応を確かめながら進められる仕事であることです。個別指導塾の講師のアルバイトで、担当した生徒と一緒に苦手な単元を探して教え方を変えたところ、「やっと分かった」と言ってもらえました。相手が変わっていく様子を近くで見られると、自分は力を出せると気づいた経験です。そのため、顧客を担当制で持つ営業職を中心に、業界を問わず見ています。貴社では入社1年目から担当の顧客を持ち、先輩と同行しながら提案に関わると伺い、この軸に合うと感じています。

「人と関わる仕事」で止めず、「誰と、どう関わるか」まで言葉にしているのがこの例文の要です。

例文2:環境の軸|役割と段取りを共有するチーム

私の就活の軸は2つあります。1つは、仕事の進め方や役割分担を事前に共有するチームで働けること、もう1つは、時間をかけて専門知識を積み上げられることです。大学祭の実行委員では、担当企画の段取りが直前まで決まらず、準備が深夜までずれ込みました。翌年は自分から工程表を作り、役割を先に決めたところ、準備は予定どおりに終わっています。この経験から、段取りが共有されているほうが自分は力を出せると分かりました。そのため、プロジェクト単位で工程を管理する仕事を中心に見ています。貴社の説明会で、案件ごとに最初に役割と工程を全員で確認していると伺ったことが、志望する理由の一つです。

悔しかった経験から生まれた軸は、翌年にどう動いたかまで話すと、反省で終わらず行動につながっていることが伝わります。

例文3:働き方の軸|地元で長く働き、暮らしを支える

私の就活の軸は、生まれ育った地域で長く働き、地域の暮らしを支える仕事に就くことです。祖父母の住む町で路線バスの本数が減り、通院に困っている様子を見たことがきっかけでした。地域に必要なサービスは、そこに住み続ける人が担わなければ続かないと感じています。そのため、県内に拠点を置き、地域の生活に欠かせない事業を営む会社を中心に見ています。貴社が県内各地で〇〇の事業を続けていることに、この軸との重なりを感じました。

勤務地の希望のような働き方の軸は、価値観の軸と組み合わせて話すと、条件だけの話に聞こえにくくなります。

例文4:価値観の軸|誠実な説明を大事にする仕事

私の就活の軸は、お客様が納得して選べるよう、誠実に説明することを大事にしている会社で働くことです。家電量販店のアルバイトで、高い機種より用途に合う機種を勧めるよう教わり、お客様から「詳しく説明してくれたから、また来た」と言われたとき、売上の大きさとは別の手応えを感じました。そのため、商品やサービスの説明に時間をかける仕事を中心に見ています。貴社の社員の方から、契約を急がず、比較の資料を必ずお渡ししていると伺い、この軸に合うと感じました。

価値観の軸は抽象的になりやすいので、「説明に時間をかける」「比較の資料を渡す」のように、行動の場面まで落とすと伝わります。

よく続く深掘りの質問と、答え方の方向

軸を話したあとは、続けて掘り下げられることが少なくありません。よくある質問と、答えるときの方向をまとめました。

深掘りの質問確かめられていること答え方の方向
その軸なら、他の会社でも叶うのでは?なぜこの会社なのか軸に合う会社の中で、この会社を選ぶ理由を1つ足す
ほかにどんな会社を受けていますか軸と応募先が一貫しているか業界が違っても、軸のどこが共通しているかで説明する
軸に合わない部署に配属されたら?柔軟さと本気度軸のうち譲れない部分と、譲れる部分を分けて答える
その軸はいつから持っていますか軸が借り物でないかきっかけの経験と、その後に確かめた経験を話す

併願先を聞かれる場面は、軸が自分のものになっているかどうかが表れやすいところです。 業界がばらばらでも、軸のどこが共通しているかを1文で言えれば、むしろ一貫していると受け取ってもらえます。

伝わりにくい答え方と、直し方

内容は悪くないのに伝わらない答え方には、いくつかの型があります。

伝わりにくい答え方伝わりにくい理由直し方
軸を5つも6つも並べる何を優先する人なのかが見えない2〜3個に絞り、順位をつけて話す
「成長できる環境」だけで終わるどの会社にも当てはまり、中身が見えない何ができるようになりたいのかまで言う
応募先ごとに軸を変える併願先を聞かれたときに話が合わなくなる軸は共通にし、接点の1文だけを会社ごとに変える
待遇の条件だけを挙げる仕事への向き合い方が伝わらない待遇の確認は人事との面談などに回し、面接では仕事の軸を話す
会社の特徴を軸として話す軸ではなく志望動機に聞こえる先に自分の軸を言い、会社の特徴は接点として添える

就活の軸が決まらない・ぶれるときの考え方

軸がなかなか決まらないことも、決めたはずの軸が揺らぐことも、就活の途中ではよく起きます。

  • 決まらないときは、仮の軸を置いて会社に会ってみる
  • 軸は変わってもいい。変わった理由を言えれば一貫している
  • 世間で良いとされる条件を、そのまま自分の軸にしない

決まらないときは、仮の軸を置いて会社に会ってみる

軸が決まらないのは、比べる材料がまだ少ないからかもしれません。そんなときは仮の軸を1つ置いて説明会やインターンシップに参加し、「違和感があった点」をメモしておく方法があります。違和感の裏返しは、そのまま軸の候補になります。

会社に会うと何が分かるのかは、学生への調査からも読み取れます。内閣府「学生の就職・採用活動開始時期等に関する調査」の2025年度調査(2026年3月卒業・修了予定の大学4年生3,157名、大学院2年生1,258名の回答)は、参加した「インターンシップと呼称されるもの」の効果を、半日・1日のもの(n=764)と5日以上のもの(n=1,011)に分けて示しています。「そう思う」と「どちらかといえばそう思う」を合わせた割合は、半日・1日で「業界・業種を理解することができた」96.4%、「仕事の内容を具体的に知ることができた」89.6%、「会社の雰囲気を理解することができた」85.6%、「自分の将来設計(キャリアプラン)を考えるのに役立った」66.0%。5日以上では、それぞれ97.3%、95.2%、94.9%、87.2%でした。

内閣府の2025年度調査で、インターンシップと呼称されるものに参加した効果(そう思うとどちらかといえばそう思うの合計)。半日・1日のもの(n=764)と5日以上のもの(n=1,011)の順に、業界・業種を理解することができた96.4%と97.3%、仕事の内容を具体的に知ることができた89.6%と95.2%、会社の雰囲気を理解することができた85.6%と94.9%、自分の将来設計(キャリアプラン)を考えるのに役立った66.0%と87.2%。
内閣府の2025年度調査で、インターンシップと呼称されるものに参加した効果(そう思うとどちらかといえばそう思うの合計)。半日・1日のもの(n=764)と5日以上のもの(n=1,011)の順に、業界・業種を理解することができた96.4%と97.3%、仕事の内容を具体的に知ることができた89.6%と95.2%、会社の雰囲気を理解することができた85.6%と94.9%、自分の将来設計(キャリアプラン)を考えるのに役立った66.0%と87.2%。

短いプログラムでも、仕事の内容や会社の雰囲気をつかめたと答えた人は8割を超えています。 一方、将来設計に役立ったという回答は、5日以上のほうが21.2ポイント高くなっていました。参加した人が違うため、期間の長さだけが差の理由とはこの集計からは言えません。それでも、軸そのものを考える材料がほしいなら、長めのプログラムも候補に入れてよいでしょう。

参考:内閣府「学生の就職・採用活動開始時期等に関する調査結果について(概要)」

軸は変わってもいい。変わった理由を言えれば一貫している

就活を進めるうちに軸が変わると、「ぶれている」と不安になるかもしれません。ただ、取材で経営者や役員の方に学生時代の話を聞いていると、最初から今の軸を持っていた人はむしろ少ないと私たちは感じています。メドピア株式会社で執行役員COOを務める都築巧真さんは、キャリアを築くうえで大切にしてきた判断軸を尋ねられ、こう答えています。

“
お恥ずかしながら学生時代は「日本を良くしたい」「社会課題を解決したい」といった高尚な志を持っていたわけではありませんでした。当時は将来を深く考えるよりも、どの業界でも通用する「ポータブルスキル」を早く身につけたいという思いから、コンサルティング会社に就職しました。(中略)その過程で「自分の仕事が社会や日本にどのように貢献できるのか」を意識するようになり、それが次第に自分のキャリアを築く上での軸になっていきました。
メドピア株式会社 執行役員COO
都築 巧真
インタビューを読む

学生時代は、どの業界でも通用する力を早く身につけることを優先して会社を選び、社会への貢献という軸は働く中で育っていったことが分かります。軸が変わること自体より、なぜ変わったのかを自分の言葉で説明できるかどうかが分かれ目です。 面接で以前と違う軸を話すことになったら、変わったきっかけと、変わらずに残っている部分をセットで伝えましょう。

世間で良いとされる条件を、そのまま自分の軸にしない

株式会社CockPitホールディングスの竹内解取締役は、新卒のときの就職活動を振り返り、次のように話しています。

“
就職活動の軸は恥ずかしながら「大手企業で、収入が高い」というものでした。これは今振り返ると本当に失敗だったと感じています。
株式会社CockPitホールディングス 取締役
竹内 解
インタビューを読む

竹内さんはこのあと、一般的に良いと言われているものに引っ張られすぎてはいけないこと、本当に大事にしたいものや優先したいことと合っていなければ、いずれ辞めてしまい、何のために働いているのか分からなくなることを語っています。大手であることや収入の高さを望むこと自体が悪いわけではありません。問われるのは、その条件を選ぶ理由が自分の経験から出ているかどうかです。 待遇を軸にするなら、「なぜその水準が必要なのか」「それが満たされたら何に力を注ぎたいのか」まで言えるかを、手順2の「なぜ」に戻って確かめてみてください。

熱狂ベンチャーナビでは、経営者や役員が、自分の会社選びやキャリアの分かれ道で何を基準にしたのかを本人の言葉で語っています。軸の言葉が見つからないときは、自分と近い経験をした人の話から探してみるのも一つの方法です。

経営者インタビューを読む|熱狂ベンチャーナビ

就活の軸に関するよくある質問

就活の軸はいくつ用意すればいいですか?

決まった数はありませんが、面接で話す軸は2〜3個に絞ると説明しやすくなります。 1つだけだと会社選びの幅が伝わりにくく、多すぎると何を優先する人なのかが見えにくくなるためです。自分用の一覧には、待遇や働き方の条件も含めて、いくつ書いても構いません。数よりも、どれが「譲れない」のかという順位がついていることのほうが、会社を選ぶときに役立ちます。

給与や休みの多さを就活の軸にしてもいいですか?

構いません。 厚生労働省の「令和5年若年者雇用実態調査」で、常用労働者5人以上の事業所で働く15〜34歳の正社員のうち、今後転職したいと思っている人に理由を複数回答で尋ねると、「賃金の条件がよい会社にかわりたい」が59.9%、「労働時間・休日・休暇の条件がよい会社にかわりたい」が50.0%でした。働き始めてから気になりやすい条件を、就活のうちから軸に入れておくのは自然なことです。ただし面接では、待遇の条件だけを軸として話すより、仕事への向き合い方が伝わる軸を中心にし、条件は人事との面談や公表されている情報で確かめるほうが話がかみ合います。

参考:厚生労働省「令和5年若年者雇用実態調査の概況」

就活の軸と志望動機は同じでいいですか?

同じにはなりません。 就活の軸は応募先すべてに共通する「何を大事に働きたいか」、志望動機は応募先ごとの「なぜこの会社か」です。軸を満たす会社の中から、その会社を選んだ理由を言葉にしたものが志望動機になります。書き方は志望動機の書き方と例文|新卒・転職別の型、思いつかないときの考え方と文字数で紹介しています。

業界ごとに就活の軸を変えてもいいですか?

軸そのものは共通にし、業界ごとに変えるのは「軸を満たす条件」のほうにすると、話の筋が通ります。 たとえば「顧客の反応を確かめながら進める仕事」という軸なら、メーカーでは顧客を担当する営業、IT企業では導入後の支援を担う職種というように、当てはまる仕事が業界ごとに変わるだけです。面接で併願先を聞かれても、軸のどこが共通しているかで説明できます。

就活の軸が「ない」と正直に答えてもいいですか?

「ない」で終えるより、いまの時点の仮の軸として話すほうが会話が続きます。 「いまは〇〇を軸にして会社を見ていて、説明会やインターンシップで確かめているところです」と伝えれば、考えている途中であることも、実際に動いていることも伝わるでしょう。仮の軸は、この記事の手順1と2を一度通すだけでも作れます。

まとめ

就活の軸は、会社や仕事を選ぶときの自分なりの判断基準で、応募先すべてに共通する物差しです。仕事内容・働き方・環境・待遇・価値観の5つの種類を見渡し、心が動いた経験の「なぜ」から共通する理由を取り出して、会社を比べられる言葉に直していきます。最後に「譲れない」「あるとうれしい」「こだわらない」に仕分ければ、軸として使える形になります。

面接では、軸・きっかけ・選び方・接点の順で話しましょう。待遇の条件は面談や公表情報で確かめる、と場を分けておけば、本音の軸を隠さずに済みます。決まらないときは仮の軸で会社に会い、変わったときは変わった理由を言葉にしてください。

取材を重ねていて私たちが感じるのは、軸は就活の前に完成させておくものというより、会社に会うたびに書き直していくものに近い、ということです。最初の1行は、いまの自分に正直な言葉で構いません。

働き始めてから軸の優先順位が入れ替わり、いまの経験でどんな仕事を選べるのかを知りたくなったときは、転職エージェントの無料相談を使う方法もあります。

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編集者

小川 莉奈 - 熱狂ベンチャーナビ編集部

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看護師から一般企業へ就職。その後株式会社デジマケに入社。自身の転職経験を元に新卒~若手の転職者にわかりやすい情報をお届けします。

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西畑大樹 - 熱狂ベンチャーナビ運営責任者

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新卒で証券会社に入社。その後、不動産・マーケティング・SaaS企業と4社の経験を経て独立。
学生時代は無人島のインターンや創業2か月目の会社でインターン生として2年勤務。
学生時代から新卒就活領域のメディア運営やキャリアコンサルタントを行っていた経験を元に業界や企業理解が深まるインタビュー記事や就活や転職に役立つ情報をお届けします。

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新卒で商社に入社。その後WEBマーケティング支援を行う会社に転職。その後、繊維メーカーの役員を経て株式会社デジマケを創業。
年間500記事以上の監修を行っております。採用側の視点でサービスのファクトチェックや記事内容を精査しています。

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熱狂ベンチャーナビ編集部はインターンシップ・新卒就活・転職経験者で編成されております。20代~30代の幅広い年齢・職種やキャリアを持つメンバーが在籍しているため、就活・転職の苦しかった経験や成功体験を元に求職者に役立つ情報を発信いたします。

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