キャリアプランの例文|20代・30代・40代と状況別の立て方、面接での答え方

キャリアプランとは、仕事を通じて数年後にどうなっていたいかと、そのためにいつ何をするかを書いた計画です。例文は「目指す姿」「理由」「これから取り組むこと」の3つで組み立てると書けます。
すぐに書けなくても大丈夫です。令和7年度の国の調査でも、キャリアコンサルタントへの相談を望む正社員が挙げた相談内容の最多は「将来のキャリアプラン」でした。
この記事では、ジョブ・カードに沿った立て方、年代別・状況別の例文、面接での答え方、見直す時期と相談先を紹介します。
書いたキャリアプランが実際の求人でどう評価されるかは、転職エージェントを活用すれば無料で確認できます。
キャリアプランとは|何年後にどうなりたいかと、そこまでの道筋を書いた計画
書き始める前に、押さえておきたいのは次の3点です。
- 目指す姿と、そこへ向かう手順・時期をセットで書く
- 会社が示す昇進の道筋(キャリアパス)とは、考える人が違う
- 転職するかどうか決めていなくても書ける
キャリアプランは、目指す姿だけでも、やることの一覧だけでも成り立ちません。何年後にどんな仕事をどんな働き方でしていたいかという到達点と、そこへ向かうためにいつ何をするかという道筋。この2つがそろったとき、はじめて自分で使える計画になります。 遠い時期ほど方向だけ、近い時期ほど具体的な行動、と書き分けると無理がありません。
キャリアパス・キャリアビジョンとの違い
似た言葉に、キャリアパス、キャリアビジョン、キャリアデザインがあります。資料や会社によって使われ方に幅がありますが、一般的には次のように使い分けられています。
| 言葉 | 意味 | 主に考える人 | 例 |
|---|---|---|---|
| キャリアプラン | 目指す姿と、そこまでの手順・時期を書いた計画 | 働く本人 | 5年後に決算業務を任されるため、1年以内に月次決算の補助に入る |
| キャリアビジョン | 将来ありたい姿そのもの | 働く本人 | 数字で経営を支える経理の専門家になる |
| キャリアパス | 会社が示す昇進・異動の道筋や、職務の段階 | 会社 | 担当者から主任、課長へ。営業から営業企画へ |
| キャリアデザイン | 仕事以外の生活も含めて、働き方の全体を設計すること | 働く本人 | 子育ての時期も含めて、10年間の働き方を描く |
キャリアパスは会社が用意する道、キャリアプランは自分で描く道です。
転職するかどうか決めていなくても、キャリアプランは書ける
キャリアプランは転職の準備に限らず、いまの会社でどう伸びるかを書いてもかまいません。厚生労働省の令和5年若年者雇用実態調査で、常用労働者5人以上の事業所で働く15〜34歳の正社員に今後の転職希望を尋ねた結果は、「転職したいと思っている」31.2%、「転職したいと思っていない」30.3%、「わからない」37.8%でした。このほか、不明が0.6%あります。転職するかどうかを決めかねている人が、3つの回答のなかで最も多かったのです。


「転職したいと思っている」を年齢別に見ると、15〜19歳20.6%、20〜24歳35.0%、25〜29歳33.4%、30〜34歳26.6%。決めかねている段階なら、いまの会社で目指す姿と、社外に出る場合の選択肢を並べて書いておく方法があります。どちらに進むにしても、積んでおく経験には重なる部分が多いはずです。
キャリアプランの立て方|ジョブ・カードの欄に沿って5ステップで書く
何から書けばよいか迷ったら、国の様式を下敷きにするのが近道です。厚生労働省のジョブ・カードには、働いた経験がある人向けの「様式1-1 キャリア・プランシート(就業経験がある方用)」があり、氏名や連絡先のほかに記入する欄は次の5つです。
| 様式1-1の欄 | 様式に書かれた記入の案内 | 例文でいうと |
|---|---|---|
| 価値観、興味、関心事項等 | 大事にしたい価値観、興味・関心を持っていることなどを記入 | 理由 |
| 強み等 | 自分の強み、弱みを克服するために努力していることなどを記入 | 理由 |
| 将来取り組みたい仕事や働き方等 | 今後やってみたい仕事(職種)や働き方、仕事で達成したいことなどを記入 | 目指す姿 |
| これから取り組むこと等 | 今後向上・習得すべき職業能力や、その方法などを記入 | これから取り組むこと |
| その他 | 以上から、自己PRやキャリアコンサルティングで相談したいことなどを自由記入 | 面接や相談で使う材料 |
欄は価値観、強み、将来の順に並んでいますが、様式の注意事項にも書く順番の指定はありません。この記事では、先に目指す姿を決めて逆算する順で、5つのステップに分けて進めます。
- ステップ1:目指す時期を決める
- ステップ2:その時期にしていたい仕事と働き方を書く
- ステップ3:そう考える理由を、価値観と強みから書く
- ステップ4:これから取り組むことを「いつ・何を」で書く
- ステップ5:書いた日付と、次に見直す時期を残す
ステップ1から3で計画の中身を決め、ステップ4と5で動ける形に落とし込む流れです。


ステップ1:目指す時期を決める
最初に、何年後の自分を書くかを決めます。ジョブ・カードの在職者用「キャリア・プラン作成補助シート」は、将来取り組みたい仕事や働き方を、できれば時期とともに書くよう案内し、例に5年後、10年後、20年後を挙げています。
入社して間もない人なら3年後、仕事の全体が見えている人なら5年後や10年後というように、自分が具体的に思い描ける範囲で時期を選んでかまいません。
ステップ2:その時期にしていたい仕事と働き方を書く
次に、その時期にどんな仕事をしていたいかを書きます。様式の案内のとおり、職種だけでなく、働き方や仕事で達成したいことまで含めるのがポイントです。
「経理になりたい」で止めず、「月次決算を一人で締め、在宅勤務も組み合わせて働いている」まで書けば、到達したかどうかを自分で判断できます。会社名や役職名より仕事の中身で書いておくと、社内で進む場合にも転職する場合にも使えるプランになります。
ステップ3:そう考える理由を、価値観と強みから書く
目指す姿が決まったら、なぜそうなりたいのかを書きます。様式1-1の「価値観、興味、関心事項等」と「強み等」にあたる部分です。
理由は、過去の出来事で裏づけると自分の言葉になります。「人の役に立ちたい」だけでは誰にでも当てはまりますが、「新人の受け入れ準備を任され、早く職場に慣れてもらえたときに手応えを感じた」と書けば、自分だけの理由になるでしょう。価値観を言葉にする方法は自己分析のやり方、仕事の経験から強みを拾う方法はポータブルスキルの棚卸しの手順で紹介しています。
ステップ4:これから取り組むことを「いつ・何を」で書く
続いて、目指す姿へ向かうために取り組むことを書きます。補助シートは、将来やってみたい仕事や働き方を実現するために「いつ何をすべきか具体的に」記入するよう求めています。
何を学ぶか、どの経験を取りに行くかは、目指す姿が決まってはじめて選べます。 厚生労働省の令和7年度能力開発基本調査では、常用労働者30人以上の事業所で働く正社員のうち、自己啓発を行う上で問題があるとした人の21.6%が「どのようなコースが自分の目指すキャリアに適切なのかわからない」、20.0%が「自分の目指すべきキャリアがわからない」を挙げました。どちらも複数回答の集計で、忙しさや費用などほかの問題点と重ねて挙げた人を含みます。学ぶ気持ちはあっても、行き先が決まらず手段を選べずにいる人がいることがうかがえます。
取り組むことは、期限と手段をセットにします。「スキルを磨く」ではなく「1年以内に月次決算の補助に手を挙げる」「半年で基礎の資格の勉強を終える」と書けば、達成したかを確かめられるはずです。業務を引き受ける、異動を希望するといった社内でできることと、資格や講座のように社外で取り組むことを分けて書くと、抜けが減ります。
ステップ5:書いた日付と、次に見直す時期を残す
最後に、書いた日付を残しましょう。様式1-1の注意事項には、各欄のいずれかに記入したら記入年月日を書くよう案内があります。第2面には、キャリアコンサルティングを受けた日時や実施者の氏名・登録番号を書く欄が3回分あり、相談を重ねながら書き足していける作りです。
あわせて「年に1回」などと次に見直す日を決めておけば、書いたまま忘れることを防げます。
うまく書けないときの直し方
書けない、書いても使えない、というときは、書き方のどこかでつまずいていることが多いものです。
| つまずき | 起きていること | 直し方 |
|---|---|---|
| 目指す姿が大きすぎて書けない | 遠い将来を、正解として書こうとしている | 3年後など近い時期に絞り、方向だけ書く |
| 「成長したい」で止まる | 何ができるようになりたいかが書かれていない | 担当したい仕事の名前と範囲まで書く |
| 取り組むことが続かない | 期限と手段が決まっていない | 「いつまでに」「何をするか」を1行ずつ書く |
| 役職や年収の話ばかりになる | 自分の価値観とのつながりがない | その役職で何をしたいのかを、経験から1文で書く |
| 1つの道しか書けない | 転職するかどうかを決めきれていない | 社内で進む場合と社外に出る場合を並べて書く |
参考:厚生労働省 マイジョブ・カード「ジョブ・カード様式のダウンロード」
参考:厚生労働省「令和7年度能力開発基本調査 調査結果の概要」
年代別のキャリアプランの例文|20代・30代・40代
ここからは年代ごとの例文です。いずれも架空の人物の例で、「目指す姿」「理由」「これから取り組むこと」に分けています。
- 20代前半は、仕事の基礎を固めながら得意分野の手がかりを探す
- 20代後半は、軸にしたい専門分野を1つ決める
- 30代は、管理職と専門職のどちらに進むかを考える
- 40代は、積んだ経験を組織にどう生かすかを書く
年代はあくまで目安で、30代で職種を変える人も、40代ではじめて管理職を目指す人もいます。取材で経営者に会社員時代の話を聞いていても、最初の計画どおりに進んだ人はむしろ少なく、何度も書き換えながら進んできた人が多いと感じます。
20代前半(入社1〜3年目・法人営業)のキャリアプラン例文
| 項目 | 例文 |
|---|---|
| 目指す姿(5年後) | 法人営業として新規開拓から長く続く取引の管理までを一人で担当し、後輩の商談に同行して指導も任されている |
| 理由 | お客様の困りごとを聞き取り、提案につなげられたときに手応えを感じた。訪問の記録を残し、次の提案に生かすのが得意 |
| これから取り組むこと | 1年目は担当業界の基礎知識を身につけ、先輩の商談に同席して提案書の型を覚える。3年目までに、自分で開拓したお客様との取引を始める |
20代前半は、得意なことがまだはっきりしていなくて当然の時期です。 手応えを感じた場面をそのまま理由にし、取り組むことは先輩の仕事から型を覚えるところから始めて構いません。
20代後半(事務職から経理の専門性へ)のキャリアプラン例文
| 項目 | 例文 |
|---|---|
| 目指す姿(5年後) | 経理担当として月次決算を締め、年次決算の準備も任されている。10年後は経理の責任者として、会社の数字を経営陣に説明している |
| 理由 | 営業事務で入金のずれに気づき、照合の手順を作り直した。お金の流れを正確に保つ仕事にやりがいを感じた |
| これから取り組むこと | 1年以内に日商簿記2級の取得を目指し、月次決算の補助に手を挙げる。3年以内に、決算の段取りを自分で組めるようになる |
いまの仕事の中で見つけた関心を、軸にする専門分野へつなげて書くと、プラン全体に一本の筋が通ります。 資格は目指す姿に向かう手段の1つとして書き、取ること自体を目標にしないのがコツです。
30代(管理職を目指す/専門職を極める)のキャリアプラン例文
管理職を目指す場合の例文です。
| 項目 | 例文 |
|---|---|
| 目指す姿(5年後) | 営業課の課長として、メンバーの強みに合わせて担当を割り振り、課の目標を達成し続けている |
| 理由 | 後輩の育成を任されたとき、自分が売ったときよりチームの数字が上がったときのほうが手応えがあった |
| これから取り組むこと | 今期はチームリーダーとして後輩2人の目標設定と振り返りを担う。評価や採用の面接にも同席させてもらう |
専門職として力を伸ばす場合の例文です。
| 項目 | 例文 |
|---|---|
| 目指す姿(5年後) | サーバー側の設計に強いエンジニアとして、新しいサービスの設計段階から声がかかっている |
| 理由 | 障害の原因を突き止め、仕組みから直す作業に没頭できた。人をまとめるより、自分の技術で成果を出したい |
| これから取り組むこと | 半年ごとに新しい技術を1つ業務で試し、社内勉強会で発表する。設計を担当した案件の記録を残しておく |
どちらが合うかは、成果をどこで感じるかで考えると整理しやすくなります。一般に、管理職はメンバーを通じてチームの成果を出す仕事で、先に積みたいのは評価・育成・採用に関わる経験です。専門職は自分の技術や知識で成果を出す仕事で、社外でも説明できる実績を残しておくことが力になります。用意されている道は会社によって違うため、管理職なら昇格の要件を、専門職なら専門職の等級があるかどうかを、社内の人事制度で確かめておきましょう。


40代(積んだ経験を組織に生かす)のキャリアプラン例文
| 項目 | 例文 |
|---|---|
| 目指す姿(5年後) | 品質保証の責任者として、工場ごとに違っていた検査の基準をそろえ、後任の課長を育てている |
| 理由 | 長く現場で不良の原因を追ってきた経験を、担当範囲だけでなく会社全体の仕組みに生かしたい |
| これから取り組むこと | 他の工場の品質会議に参加して基準の違いを洗い出す。課の業務を主任に少しずつ任せ、2年で自分が抜けても回る体制をつくる |
40代のプランでは、自分がどこまで上がるかに加えて、積んだ経験を誰にどう渡すかまで書けると、組織の中での役割がはっきりします。在職者用の補助シートには、仕事と両立させる必要のあるプライベートに関する事項(健康、生活、家族、育児、介護 等)を書く欄もあります。家族の介護のような働き方の制約を前提にして書くことも、キャリアプランの一部です。
参考:厚生労働省 マイジョブ・カード「ジョブ・カード様式のダウンロード」
状況別のキャリアプランの例文|転職・昇進・未経験・ベンチャー・両立
同じ年代でも、置かれた状況によってプランに書き足すことは変わります。ここでは次の5つの状況別に紹介します。
- 転職して、別の会社で目指す姿に近づく
- いまの会社で昇進を目指す
- 未経験の職種に移る
- ベンチャー企業で働く
- 育児や介護と仕事を両立する
転職するときのキャリアプラン例文
| 項目 | 例文 |
|---|---|
| 目指す姿(3年後) | 人事担当として、中途採用の面接の日程調整から入社後の手続きまでを一人で回している |
| 理由 | 営業事務で新人の受け入れ準備を任され、早く職場に慣れてもらう段取りを組むことにやりがいを感じた |
| これから取り組むこと | 在職中に労務の基礎を学び、入社に伴う社会保険の手続きの流れを押さえる。応募先で人事が担う仕事の範囲を確かめる |
転職するときのプランは、応募先で何をするかまで書いてはじめて完成します。 辞める理由と目指す姿が同じ方向を向いていれば、面接で転職理由や志望動機を聞かれても話がつながるでしょう。
いまの会社で昇進を目指すときのキャリアプラン例文
| 項目 | 例文 |
|---|---|
| 目指す姿(3年後) | 店長として店舗の売上と人の配置を任されている。5年後は複数の店舗をまとめるエリアの担当を目指す |
| 理由 | 副店長としてシフトを組み直し、混む時間帯の待ち時間を減らせたことで、店全体を動かす仕事に関心が向いた |
| これから取り組むこと | 店長になる要件を評価面談で確かめ、足りない項目を今期の目標に入れてもらう。売上の管理と採用の面接を店長の横で経験する |
社内で上を目指すなら、会社のキャリアパスと昇格の要件を先に確かめると、取り組むことを具体的に書けます。プランを書いたら、上司との面談で伝えておきましょう。 口に出さなければ、仕事を割り振る側には伝わりません。
未経験の職種に移るときのキャリアプラン例文
| 項目 | 例文 |
|---|---|
| 目指す姿(3年後) | 社内のITサポート担当として、社員からの問い合わせ対応と端末の管理を任されている |
| 理由 | 販売職として新しいレジの使い方をスタッフに教える役を任され、仕組みを分かりやすく伝える仕事が向いていると感じた |
| これから取り組むこと | 半年でITの基礎の資格の勉強を終え、店舗の機器トラブルの対応を引き受ける。移ったあとの1年目は、対応の記録を残して手順を覚える |
未経験の職種に移るプランは、「移るまで」と「移ったあとの1年」の2段に分けて書くと現実味が出ます。理由の欄に、いまの仕事のなかで新しい職種に近い経験をした場面を書いておくと、前の仕事とのつながりが伝わります。
ベンチャー企業で働くときのキャリアプラン例文
| 項目 | 例文 |
|---|---|
| 目指す姿(3年後) | 少人数の事業開発チームで新しい販路の立ち上げを担当し、5年後はその事業の責任者を任されている |
| 理由 | 決まった商品を決まった方法で売るより、売り方そのものを考える仕事に関心がある。いまの取引先の業界に詳しい |
| これから取り組むこと | 入社後の半年は営業の現場でお客様の声を集め、販路の仮説をつくる。担当外の採用や数字の管理にも関わる |
一般に、ベンチャー企業では事業の段階が変わると、求められる役割も変わりやすいものです。職種の名前より、どんな課題を任されたいかで目指す姿を書いておくほうが、役割が変わってもプランが崩れにくくなります。 大企業から移る前に確かめておきたいことは、スタートアップ転職で後悔しないために確かめる3つのことで整理しています。
育児や介護と両立するときのキャリアプラン例文
| 項目 | 例文 |
|---|---|
| 目指す姿(5年後) | 短時間勤務の期間を終え、経理の専門性を生かして決算の取りまとめ役を担っている |
| 理由 | 子育ての期間も、積み上げてきた決算の経験は手放したくない |
| これから取り組むこと | 短時間勤務のあいだは担当を絞りつつ、決算の一部の工程は続けて担当する。復職後の面談で、担当を広げる時期を上司と決める |
両立の期間は、キャリアが止まる期間ではなく、ペースを変えて続ける期間として書けます。 働ける時間や時期の制約をはっきり書いておくと、上司や人事と担当の範囲を話し合うときの材料になります。
5つを並べると、書き足すことはそれぞれ違います。転職なら応募先で何をするか、昇進なら社内の昇格の要件、未経験の職種なら移るまでと移ったあとの1年、ベンチャーなら任されたい課題、両立なら働ける時間と時期の制約です。


面接で「キャリアプランは?」と聞かれたときの答え方
面接でキャリアプランを聞かれたときに押さえたいのは、次の3点です。
- 会社は、入社後に任せたい仕事とプランが重なるかを見ている
- 答えは「目指す姿→理由→応募先で取り組むこと→いま取り組んでいること」の順で組み立てる
- 結婚や出産の予定まで話す必要はない
会社は、入社後の道筋とプランを重ねて見ている
一般に、面接でキャリアプランを尋ねるのは、入社後に任せたい仕事と本人の目指す姿が重なるか、自分のことを言葉にできているか、そのために動いているかを確かめるためと言われます。会社の側にも、入社した人に何をどの順番で任せるかという道筋があるからです。
株式会社CINC Capitalの阿部泰士取締役 執行役員社長は、中途採用で求める人について尋ねられ、入社後の道筋をこう説明しています。
株式会社TalentXの鈴木貴史社長は、目標設定と評価の仕組みについて、次のように話しています。
会社が3年間の道筋を先に示す例もあれば、本人が1年後にしたい挑戦を上長と掘り下げて目標にする例もあります。どちらの場合も、本人が自分の行き先を言葉にできていれば、会社の道筋と重ねて話を進められるのです。 私たちが入社後の育て方を尋ねたときも、本人の希望を先に聞いてから任せる仕事を考える、という答えが返ってくることは少なくありません。
入社した人にどんな道筋を用意しているのかは、経営者自身がインタビューで語っています。
答えは「目指す姿→理由→応募先で取り組むこと→いま取り組んでいること」の順で組み立てる
面接での答えは、書いたキャリアプランを次の順に並べ替えると組み立てやすくなります。
| 順番 | 話すこと | 長さの目安 |
|---|---|---|
| 1 目指す姿 | 何年後に、どんな仕事をどんな立場でしていたいか | 1文で言い切る |
| 2 理由 | そう考えるようになった経験 | 2〜3文 |
| 3 応募先で取り組むこと | 入社後の1〜3年で、応募先の仕事を通じて何をするか | 最も厚く話す |
| 4 いま取り組んでいること | 目指す姿に向けて、すでに始めている準備 | 1〜2文 |
1分程度で話す回答の例です。どちらも架空の例なので、自分の経験に置き換えてください。
| 場面 | 回答例(1分程度) |
|---|---|
| 営業事務から経理職への転職 | 5年後には、月次決算と年次決算の取りまとめを任される経理担当になっていたいと考えています。現職では営業事務として入金の確認を担当し、入金のずれを毎月一覧にして経理と照らし合わせる手順をつくりました。この経験から、会社のお金の流れを正確に保つ仕事を本業にしたいと考えるようになりました。入社後の1年目は月次の締めを確実にこなし、3年目には年次決算の準備にも加わりたいと考えています。現在は日商簿記2級の勉強を進めています。 |
| メーカーの営業からベンチャーの事業開発への転職 | 3年後には、新しい販路を自分で立ち上げ、その数字に責任を持つ立場になっていたいと考えています。現職では製造業のお客様に決まった商品を提案してきましたが、お客様の声を聞くうちに、売り方そのものを考える仕事に関心が向きました。御社では役割が広がることも含めて挑戦したく、入社後の半年は営業の現場でお客様の声を集め、販路の仮説を一つずつ確かめていくつもりです。いまは担当業界の市場の動きを資料にまとめています。 |
キャリアプランの答えが、転職理由や志望動機と同じ方向を向いているかは、面接の前に確かめておきましょう。 転職理由との組み立て方は、転職理由の例文と伝え方で紹介しています。
避けたい答え方と、その直し方
伝わりにくい答えの多くは、中身より、面接官が確かめたいことに答えていない点でつまずいています。
| 避けたい答え方 | 面接官にどう聞こえやすいか | 直し方 |
|---|---|---|
| 「特にありません」と答える | 入社後の姿を考えていないように聞こえる | 1年後にできるようになりたいことだけでも話す |
| 役職や年収の話だけをする | 仕事の中身への関心が見えない | その役職でどんな仕事をしたいのかまで話す |
| 応募先では実現できない内容を話す | 入社しても合わないのではと受け取られる | 応募先の事業と職種の範囲で、目指す姿を選び直す |
| 数年での転職や独立を前提に話す | 早く辞めるのではと受け取られる | 応募先で積みたい経験を話の中心に置く |
| 転職理由や志望動機と食い違う | どれが本音なのか分からなくなる | 3つの答えを1本の線でつなげて準備する |
結婚や出産の予定まで答える必要はない
キャリアプランは仕事の計画を聞く質問です。結婚や出産の予定まで話すかどうかは本人が決めることで、仕事の面での目指す姿と取り組むことを答えれば足ります。
採用の場面での性別による差別は、男女雇用機会均等法で禁じられています。同法第5条は、労働者の募集と採用について性別にかかわりなく均等な機会を与えることを、努力目標ではなく会社の義務として定めた条文です。厚生労働省は、この条文などについて定めた指針で禁止される措置の例に、「採用面接に際して、結婚の予定の有無、子供が生まれた場合の継続就労の希望の有無等一定の事項について女性に対してのみ質問すること」を挙げています。女性にだけ結婚や出産後の働き方を尋ねることは、会社の側が避けなければならない扱いなのです。 答えに迷ったら、「仕事の面では」と前置きして、職業上のプランに話を戻して構いません。
参考:e-Gov法令検索「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」
参考:厚生労働省「男女雇用機会均等法のあらまし」
キャリアプランを見直すタイミングと相談先
キャリアプランは、書いたあとの使い方で役に立つかどうかが決まります。押さえたいのは次の3点です。
- 見直す時期は、年に1回などの定期と、異動・昇進・復職などの節目で決めておく
- 社内で相談するなら、誰が話を聞くのかを確かめる
- 社外では、国家資格のキャリアコンサルタントに相談できる
見直す時期は「定期」と「節目」の2つで決めておく
会社がキャリアの相談の場を設ける時期も、定期と節目の両方で決められています。厚生労働省の令和7年度能力開発基本調査で、正社員にキャリアコンサルティングを行うしくみがある事業所(常用労働者30人以上)に実施の時期を尋ねた結果は、「1年に1回、3年に1回など、定期的に実施する」55.2%、「労働者から求めがあった時に実施する」49.6%、「人事評価のタイミングに合わせて実施する」47.4%、「昇進、異動、職場復帰の時など、人事管理の節目に実施する」31.4%、「入社3年目、5年目など、入社から一定の年数が経過した時に実施する」21.3%、「40歳、50歳など、一定の年齢に到達した時に実施する」14.2%、「その他」6.2%でした。複数回答のため、合計は100%になりません。


自分のプランも同じ考え方で、年に1回の見直し日を決めて評価面談の前に読み返し、異動や昇進、育児休業からの復職、転職といった節目には目指す姿から書き直しましょう。定期と節目の2つを決めておけば、プランが古くなる前に手直しできます。
相談の機会については、職業能力開発促進法に事業主の役割を定めた条文があります。
「職業生活設計」は、法律の言葉のなかでキャリアプランに近い意味を持つ言葉です。会社は、仕事の力を伸ばす各段階で、また働く人から求めがあったときに、キャリアコンサルティングの機会を確保するなどの援助を行うものとされています。ただし「必要に応じ」「促進するものとする」という書き方で、決まった形の相談制度をすべての会社に一律に義務づける条文ではありません。 勤め先にどんな機会があるかは、就業規則や社内の案内、人事への問い合わせで確かめるのが確実です。
社内で相談するときは、誰が話を聞くのかを確かめる
社内の相談相手は、キャリアコンサルタントの資格を持つ人とは限りません。同じ調査で、キャリアコンサルティングを行うしくみがある事業所に、相談を受けているのはキャリアコンサルタントかを尋ねると、「そうである」は11.7%、「そうではない」が74.0%でした。
上司や人事に相談するよさは、社内の異動や昇格の要件、評価の基準を踏まえた話ができることです。一方で、転職も含めて迷っている段階では、社内では話しにくいこともあるでしょう。話した内容がどこまで共有されるのかを、相談の前に確かめておくと安心です。
社外では、国家資格のキャリアコンサルタントに相談できる
社外の相談相手の候補が、キャリアコンサルタントです。職業能力開発促進法にもとづき、試験に合格して厚生労働省の名簿に登録を受けた人だけが名乗れる国家資格で、登録は5年ごとの更新制。登録を受けていない人がこの名称や紛らわしい名称を使うことは禁じられ、違反は30万円以下の罰金の対象です。相談相手を自分で探すなら、厚生労働省の検索システム「キャリコンサーチ」で全国のキャリアコンサルタントを検索し、相談を依頼することもできます。
費用をかけずに相談したいなら、厚生労働省の委託事業「キャリア形成・リスキリング推進事業」の窓口があります。全国47都道府県の支援センターとハローワーク内の相談コーナーで、在職中の人も仕事を探している人も、1回60分、対面かオンラインでジョブ・カードをもとに相談できる仕組みです。ジョブ・カードはすべての欄が埋まっていなくても申し込め、求人の紹介は行っていないため、プランを整理する場として使うのに向いています。
相談したい内容としても、キャリアプランは最も多く挙がるテーマです。令和7年度能力開発基本調査で、常用労働者30人以上の事業所で働く正社員のうち、キャリアコンサルタントによる相談を利用したいと答えた人に、相談したい内容を3つまで尋ねると、「将来のキャリアプラン」が59.9%で最も多く、「仕事に対する適性・適職(職業の向き不向き)」45.3%、「仕事に対するモチベーションの向上」34.6%、資格取得や自己啓発の方法などを含む「適切な職業能力開発の方法」29.7%と続きました。複数回答のため、合計は100%になりません。


相談先ごとの向き不向きを表にしました。
| 相談先 | 向いている相談 | 確かめておきたいこと |
|---|---|---|
| 上司・人事 | 社内での異動や昇格、評価の基準を踏まえたプラン | 話した内容がどこまで共有されるか |
| キャリアコンサルタント(公的な窓口など) | プランの組み立て、強みや適性の整理 | 公的な窓口は職業紹介を行っていない |
| 転職エージェント | プランに合う求人と、応募先での評価の見通し | 求人の紹介を受けながら相談する場になる |
| 大学のキャリアセンター | 就職活動でのキャリアプラン(学生の場合) | 公的な窓口の対象は在職者と求職者 |
参考:厚生労働省「令和7年度能力開発基本調査 調査結果の概要」
参考:e-Gov法令検索「職業能力開発促進法」
参考:厚生労働省「キャリアコンサルタントになりたい方へ」
参考:厚生労働省「『キャリアコンサルタント』名称独占について」
参考:厚生労働省「キャリアコンサルタントを探すには?」
参考:キャリア形成・リスキリング推進事業(厚生労働省委託事業)「個人向け無料キャリアコンサルティング申込受付中」
キャリアプランに関するよくある質問
キャリアプランが思いつかないときは、どうすればいいですか?
遠い将来ではなく、近い時期に絞って書いてみてください。 1年後にできるようになっていたい仕事を1つ書き、そのためにいつ何をするかを決めるだけでも、キャリアプランの形になります。ジョブ・カードの様式1-1の「価値観、興味、関心事項等」「強み等」の欄から先に埋め、手応えを感じた仕事の場面を書き出すのも一つの方法です。
キャリアプランは途中で変えてもいいですか?
変えて構いません。 ジョブ・カードの様式1-1は、記入したら記入年月日を書くよう案内しており、相談を受けた日時を書く欄も3回分あります。会社の側でも、厚生労働省の令和7年度能力開発基本調査では、正社員にキャリアコンサルティングを行うしくみがある事業所(常用労働者30人以上)の55.2%が「1年に1回、3年に1回など、定期的に実施する」と答えました(複数回答)。異動や昇進、復職、転職などの節目に、目指す姿から書き直しましょう。
参考:厚生労働省 マイジョブ・カード「ジョブ・カード様式のダウンロード」
参考:厚生労働省「令和7年度能力開発基本調査 調査結果の概要」
キャリアプランとキャリアパスの違いは何ですか?
キャリアプランは働く本人が描く計画、キャリアパスは会社が示す昇進や異動の道筋を指すのが一般的です。 どちらも会社や資料によって使い方に幅があります。社内で上を目指すなら、会社のキャリアパスと昇格の要件を確かめたうえで、自分のプランを重ねていくと具体的に書けます。
新卒の面接でキャリアプランを聞かれたら、どう答えればいいですか?
社会人経験がなくても、「目指す姿→理由→入社後に取り組むこと」の順は同じです。 理由には、ゼミやアルバイト、部活動などで手応えを感じた経験を使いましょう。入社後に取り組むことは、募集職種や研修の内容を調べたうえで、最初の数年でできるようになりたい仕事を挙げると具体的になります。ジョブ・カードには学生や働いた経験のない人向けの様式1-2もあります。
参考:厚生労働省 マイジョブ・カード「ジョブ・カード様式のダウンロード」
将来独立したいことは、面接で話してもいいですか?
話すこと自体は問題ありませんが、応募先で何を身につけ、どう貢献するかを話の中心に置きましょう。 独立の時期だけが前に出ると、早く辞めるのではと受け取られることがあります。応募先の仕事を通じて積みたい経験と、それをどう生かしたいかの順で話せば、独立の目標も成長の意欲として伝わりやすくなるはずです。
まとめ
キャリアプランは、何年後にどんな仕事をどんな働き方でしていたいかという目指す姿と、そのためにいつ何をするかという道筋を書いた計画です。ジョブ・カードの様式1-1の欄に沿って、時期を決め、目指す姿、理由、これから取り組むことの順に書き、日付と次に見直す時期を残します。そのうえで、転職や昇進、未経験の職種といった状況に合わせて書き足すことを決めると、使える形になります。
面接では、目指す姿を先に言い切り、理由、応募先で取り組むこと、いま取り組んでいることの順で話しましょう。見直しは定期と節目の両方で決めておき、迷ったら上司や人事、国家資格のキャリアコンサルタントに相談できます。
編集部として多くの経営者の経歴を聞いてきて思うのは、プランは当たるかどうかより、書き直しながら持ち続けることに意味があるということです。まずは1年後の自分から書いてみてください。
書いたプランに合う求人がどれくらいあるのか、応募先でどう評価されそうかを知っておくと、次に取り組むことがさらに具体的になります。

