コールセンターを辞めたい人へ|つらい理由と辞める前にできること、活きる転職先

コールセンターを辞めたいと感じたら、つらさの原因が電話の相手か、数字の管理か、体やシフトの負担かを分けてみてください。原因によって、辞める前に打てる手が変わります。
実は2026年10月1日から、電話によるものも含め、カスタマーハラスメントへの対策が会社の義務になりました。理不尽な電話は、一人で耐えるものではなくなりつつあります。
この記事では、理由ごとの対処と相談先、コールセンターの経験が活きる転職先と伝え方を整理します。
続けるか辞めるかを、一人で決めきる必要はありません。電話の仕事で積んだ経験がほかの職場でどう評価されるかは、転職エージェントを活用すれば無料で確認できます。
コールセンターを辞めたくなる理由は、電話の相手・数字・体・シフトの4つ
辞めたい理由は人によって違いますが、整理すると次の4つです。どれがいちばん重いかで、辞める前に試せることも、次の仕事選びで避けたいことも変わってきます。
- 理不尽な電話やカスタマーハラスメント
- 件数や通話時間などの数字の管理
- 座ったまま画面と電話に向き合い続ける体の負担
- 早番・遅番や土日の出勤が入れ替わるシフト
| 理由 | つらさが出やすい場面 | 関係する国のルール・資料 |
|---|---|---|
| 理不尽な電話 | 同じ要求のくり返し、大声、長時間の電話 | 改正労働施策総合推進法(2026年10月施行)とカスタマーハラスメント防止の指針 |
| 数字の管理 | 件数や通話時間を個人ごとに比べられる | 情報機器作業のガイドライン(業務量への配慮) |
| 座りっぱなし | ヘッドセットをつけたまま画面を見続ける | 情報機器作業のガイドライン(作業時間と健康診断) |
| シフト | 確定したシフトの急な変更、夜間や土日の勤務 | シフト制の留意事項、労働基準法(休憩・深夜の割増賃金) |
理不尽な電話:国の調査では、顧客とほぼ毎日接する人の17.4%が迷惑行為を経験
電話口での理不尽な言動は、相手の顔が見えないぶん受け流しにくいものです。厚生労働省の委託事業として行われた「令和5年度 職場のハラスメントに関する実態調査」では、インターネット調査に回答した全国の企業・団体に勤める20〜64歳の労働者8,000人のうち、過去3年間に勤務先で顧客等からの著しい迷惑行為を受けた人は10.8%でした。
同じ調査を顧客と接する頻度別に見ると、勤務日はほぼ毎日接している人では17.4%。週に2、3日程度で14.3%、週に1日程度で10.7%、2週間に1日程度で8.8%、月に1日程度で7.5%と下がっていき、ほとんど接することがない人は5.3%でした。ほぼ毎日接している人の割合は、ほとんど接することがない人の3倍を超えます。迷惑行為を受けた861人に場所を尋ねた質問(複数回答)では、通常就業している場所の60.7%に次いで、「顧客等との電話やメール等での応対時」が38.1%でした。この調査では、顧客と接する頻度が高い人ほど、迷惑行為を経験した割合が高くなっていたのです。


令和7年労働安全衛生調査(常用労働者10人以上の民営事業所で働く労働者が対象)では、仕事や職業生活で強い不安、悩み、ストレスを感じる事柄がある人が67.5%。その人たちに内容を主なもの3つ以内で選んでもらうと、「顧客、取引先等からのクレーム」を挙げた人が22.1%いました。もっとも、クレームのすべてが迷惑行為にあたるわけではありません。正当な苦情とカスタマーハラスメントの線引きは、2026年10月に施行された法律と国の指針が示しています。
参考:厚生労働省「職場のハラスメントに関する実態調査 結果概要(令和5年度厚生労働省委託事業)」
参考:厚生労働省「令和5年度 厚生労働省委託事業 職場のハラスメントに関する実態調査報告書(概要版)」
参考:厚生労働省「令和7年 労働安全衛生調査(実態調査) 結果の概況」
数字の管理:件数や通話時間が、手を止めるタイミングまで左右する
受けた件数、1件あたりの通話や後処理の時間、応答率、応対品質の評価といった数字で、仕事ぶりを測るコールセンターもあります。指標はセンターによって違うものの、次の電話がすぐにつながる中で、自分の判断では手を止めにくいことが負担になる場合もあるでしょう。
国の「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」も、作業者の能力を超えた業務量を指示すると「作業者は作業を休止したくても休止することができず、無理な連続作業を行わざるを得ないこととなる」として、無理のない適度な業務量となるよう配慮する必要があると解説しています。
数字がつらいと感じたら、その数字が何に使われているかを確かめてみてください。人員の配置を決めるためなのか、個人の評価に直結するのか。評価に使うなら、どの指標をどの程度見ているのか。数字がつらいときは、数字の高さより、その使われ方が説明されているかどうかを見てください。
座りっぱなし:国のガイドラインが「拘束性が高い作業」の例に挙げる仕事
同じガイドラインは、パソコンなどを使う作業を、作業時間と作業内容の拘束性で区分しています。1日に4時間以上パソコンなどで作業する人のうち、常に画面を見たり入力したりする必要がある人、または自分の判断で休憩を取ったり姿勢を変えたりしにくい人は、「作業時間又は作業内容に相当程度拘束性があると考えられるもの」という区分です。その作業の例として最初に挙がっているのが、「コールセンターで相談対応(その対応録をパソコンに入力)」でした。
この区分の作業は一般に自由裁量度が少なく疲労も大きいとして、ガイドラインは1日の連続した作業時間が短くなるよう配慮を求めています。パソコンなどを使う作業全般について示している作業時間の目安は、次のとおりです。
- 一連続作業時間が1時間を超えないようにする
- 次の連続作業までの間に、10〜15分の作業休止時間を設ける
- 一連続作業時間の中で、1〜2回程度の小休止を設ける
- 座ったままだけでなく、時折立って作業を交える
作業休止時間は、いわゆる休憩時間とは別のもので、画面から離れて遠くを見たり体を伸ばしたり、ほかの業務をしたりする時間とされています。小休止は1〜2分程度で、時間を決めずに作業者が自由に取れるようにするものです。配置前と1年以内ごとに1回の健康診断で、目の疲れや首・肩・腰の症状、ストレスに関する症状を調べることも示されており、拘束性が高い区分の作業をする人は全員がその対象です。このガイドラインは法律ではなく国が事業者に示している管理の目安ですが、自分のセンターの休止の取り方を考える物差しにはなります。


座りっぱなしそのものについても、厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」は、成人に向けて「座位行動(座りっぱなし)の時間が長くなりすぎないように注意する」と推奨しています。
参考:厚生労働省「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドラインについて」
参考:厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023 成人版 推奨事項」
シフト:確定したシフトの変更には、会社と働く人の合意が要る
受付時間が長いセンターでは、早番・遅番や土日の出勤を組み合わせたシフト勤務になることがあります。生活のリズムが崩れることに加え、決まったはずのシフトが直前に変わることに疲れている人もいるでしょう。
厚生労働省の「いわゆる『シフト制』により就業する労働者の適切な雇用管理を行うための留意事項」(2026年6月改正)は、労働契約の時点では勤務日や時間を決めず、シフト表で初めて確定する働き方について、会社が留意すべき点をまとめたものです。いったん確定したシフトの勤務日や時間を変えることは労働条件の変更にあたり、会社と働く人の双方が合意したうえで行うよう求めています。 所定の労働日数を決めていないことを理由に年次有給休暇を与えないのは認められない、とも明記されています。
勤務時間の決まりも確かめておきましょう。労働基準法第34条第1項は、労働時間が6時間を超えるなら少なくとも45分、8時間を超えるなら少なくとも1時間の休憩を、労働時間の途中に与えるよう定めています。午後10時から午前5時までの深夜に働いた時間には、同法第37条第4項により2割5分以上の割増賃金が必要です。
参考:厚生労働省「いわゆる『シフト制』により就業する労働者の適切な雇用管理を行うための留意事項」
参考:e-Gov法令検索「労働基準法」
2026年10月から、カスタマーハラスメント対策は会社の義務になった
2026年10月1日に施行された労働施策総合推進法の改正(令和7年法律第63号)で、カスタマーハラスメントへの対策を講じることが会社の義務になりました。押さえておきたいのは次の5点です。
- 電話によるものも対象に含まれる
- 正当な苦情までカスタマーハラスメントになるわけではない
- 会社は、相談窓口や対処のルールを整えなければならない
- 派遣で働く人については、派遣先の会社にも同じ義務がある
- 相談したことを理由に、不利益な扱いをしてはならない
条文は次のとおりです。
国の指針によると、「顧客等」には商品やサービスの利用者のほか、取引先や、事業について問い合わせをしてくる人も含まれます。「社会通念上許容される範囲を超えたもの」は、言動の内容が契約内容からみて相当性を欠くもの、または手段や態様が相当でないもの、という説明です。文末は「講じなければならない」で、努力義務ではなく会社の義務です。 一方、同じ法律の第34条第5項が顧客等に求めているのは、働く人への言動に必要な注意を払うよう「努めなければならない」という努力義務にとどまります。電話の相手の振る舞いを法律で直接縛るというより、働く人を守る仕組みを会社に整えさせる形になっているわけです。
同じ第33条の第2項は、相談したことや、会社の事実確認に協力して事実を述べたことを理由に、解雇その他の不利益な取扱いをしてはならないと定めています。
参考:e-Gov法令検索「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」
参考:厚生労働省「職場におけるハラスメントの防止のために」
電話で起こりうるカスタマーハラスメントの例と、会社が決めておく対処
令和8年厚生労働省告示第51号として公布されたカスタマーハラスメント防止の指針は、電話やSNSなどインターネット上で行われるものも含まれると明記しています。典型的な例のうち、電話の応対にかかわりそうな言動を抜き出すと次のとおりです。
- 同様の質問を執拗にくり返す
- 当初の話からのすり替え、揚げ足取り、執拗な責め立て
- 大きな声をあげて威圧する
- 長時間にわたる電話で拘束する
- 人格を否定する言動や、SNSなどへ悪評を投稿するとほのめかして脅すこと
令和5年度の実態調査でも、迷惑行為を受けた861人が挙げた内容(複数回答)は、頻繁なクレームや同じ質問のくり返しといった「継続的な、執拗な言動」が57.3%で最も多く、大声で責めるなどの「威圧的な言動」50.2%、暴言や侮辱などの「精神的な攻撃」33.1%が続きました。セクハラやプライバシーの侵害など業務と関係のない言動は21.7%、長電話などの「拘束的な言動」は15.8%、「身体的な攻撃」は5.9%、その他は1.4%です。複数回答のため、合計は100%になりません。


ただし指針は、顧客等からの苦情のすべてがカスタマーハラスメントにあたるわけではなく、社会通念上許容される範囲の申し入れは「いわば正当な申入れ」だとしています。判断では、言動の目的や経緯、業種・業態、頻度や継続性などを総合的に考え、会社や働く人の側の不適切な対応が原因や背景になっている場合がある点にも留意が必要だという立場です。
指針が会社に求める措置は、大きく分けて5つ。毅然と対応して働く人を守るという方針と対処の内容を決めて周知すること、相談窓口を定めて周知すること、相談があれば事実を確かめて被害を受けた人に配慮し再発を防ぐこと、特に悪質なものへの対処方針を決めておく抑止の措置、相談者のプライバシーを守り相談を理由に不利益な扱いをしない旨を周知することです。


対処の内容としては、次のような例が挙がっています。
- 管理監督者にすぐ報告し、その場の対応について指示を仰ぐ
- できる限り一人で対応させず、必要に応じて管理監督者などが代わって対応する
- 顧客等とのやり取りを録音する(個人情報の保護に関する法律などを守る)
- 十分に説明したうえで、なおくり返しの要求が続く場合は、一定の時間の経過をもって電話を切る
- 暴行や脅迫など犯罪にあたりうる言動は、警察へ通報する
電話を切ってよいのか迷い続けてきた人にとって、「一定の時間の経過をもって電話を切る」ことが国の指針に対処の例として書かれた意味は小さくありません。 とはいえ、具体的な時間や手順を決めて周知するのは各会社です。自分のセンターでどう決まっているかを、SVや相談窓口に確かめておきましょう。被害を受けた人への配慮としては、担当者の変更や複数人での対応、行為者と引き離すための配置転換、上司や社内の産業保健スタッフによるメンタルヘルス不調の相談対応などが例に挙がっています。
義務化前の2024年1月に行われた令和5年度の実態調査では、迷惑行為を勤務先が把握していたと答えた510人に会社の対応を聞くと(複数回答)、要望を聞いたり相談にのったりしてくれたという人が39.2%で最も多い一方、特に何もしなかったという人も29.8%いました。
参考:厚生労働省「事業主が職場における顧客等の言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」
参考:厚生労働省「職場のハラスメントに関する実態調査 結果概要(令和5年度厚生労働省委託事業)」
派遣で働く人は、派遣先のセンターにも相談できる
派遣会社から派遣されてコールセンターで働いている場合、雇い主は派遣会社ですが、カスタマーハラスメントの相談先はそこだけではありません。労働者派遣法第47条の4は、派遣先の会社も派遣労働者を雇用する事業主とみなして、労働施策総合推進法第33条第1項を適用すると定めています。派遣先が講じるのは「雇用管理上及び指揮命令上」必要な措置。相談したことを理由に派遣の受け入れを拒むなどの不利益な取扱いをしてはならない、と国の指針も示しています。派遣で働いているなら、日々の指示を出しているセンター側の窓口と、派遣会社の担当者の両方に相談できます。
参考:e-Gov法令検索「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」
心身の不調につながったら、労災の対象になることもある
厚生労働省は2023年9月に精神障害の労災認定基準を改正し、評価の対象となる具体的な出来事に「顧客や取引先、施設利用者等から著しい迷惑行為を受けた」(いわゆるカスタマーハラスメント)を加えました。
令和7年度に、業務による精神障害で労災保険の支給が決まった1,082件のうち、この出来事によるものは127件。最も多いパワーハラスメントの222件に次ぎ、セクシュアルハラスメントと同じ件数でした。令和6年度の108件からは19件の増加です。労災にあたるかどうかは、請求を受けた労働基準監督署が個別に判断します。
参考:厚生労働省「心理的負荷による精神障害の労災認定基準を改正しました」
参考:厚生労働省「令和7年度『過労死等の労災補償状況』を公表します」
辞める前にできること|記録・相談・配置換え・休む
辞めるかどうかを決める前に試せることは、次の4つです。
- 何があったかを記録に残す
- 社内と社外の窓口に相談する
- 担当や配置の変更を申し出る
- 体に出ているなら、先に休む
何があったかを記録に残す
迷惑な電話を受けたら、日時、相手の要求や言われた言葉、通話の長さ、誰に報告したかを、センターの応対履歴や報告の仕組みに残してください。指針も、会社が事実関係を確かめるときに、録音などの客観的な証拠や周囲の人からの聞き取りを使う例を挙げています。自分用のメモを取るなら、顧客の氏名や連絡先などの個人情報は書き写さず、日時と出来事だけにとどめるのが安全です。記録があれば、相談するときに「つらかった」で終わらず、何が起きたかを具体的に伝えられます。
社内と社外の窓口に相談する
相談の入口は、雇われ方によって少し変わります。
| 働き方 | 社内の相談先 | 社外の相談先 |
|---|---|---|
| 正社員・契約社員・パート | SVやリーダー、ハラスメントの相談窓口、人事 | 都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)、総合労働相談コーナー |
| 派遣 | 派遣先のSVや相談窓口と、派遣会社の担当者 | 都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)、総合労働相談コーナー |
社内の相談窓口は、2026年10月から会社が定めて周知しなければならないものになりました。カスタマーハラスメントにあたるかどうか微妙な段階でも、相談してかまいません。指針が、そうした場合も広く相談に対応するよう会社に求めているからです。会社に相談しても対応してもらえないときの相談先は、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)。労働施策総合推進法の第36条と第37条には、労働局長による助言・指導・勧告や、紛争調整委員会による調停という解決の手続きも用意されています。
令和5年度の職場のハラスメントに関する実態調査では、迷惑行為を受けた後の行動(複数回答)として「社内の上司に相談した」が38.2%で最も多かった一方、「何もしなかった」も35.2%ありました。一人で抱えたまま辞めるかどうかを決める前に、一度は記録を持って会社の窓口に相談してみてください。
参考:厚生労働省「職場におけるハラスメントの防止のために」
参考:e-Gov法令検索「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」
参考:厚生労働省「事業主が職場における顧客等の言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」
参考:厚生労働省「総合労働相談コーナーのご案内」
参考:厚生労働省「令和5年度 厚生労働省委託事業 職場のハラスメントに関する実態調査報告書(概要版)」
担当や配置の変更を申し出る
電話の相手がつらいのか、数字がつらいのか、シフトがつらいのかで、変えてもらう先は違います。指針は、被害を受けた人への配慮の例として、担当者の変更や複数人での対応、配置転換を挙げています。センターによっては、受信から発信への切り替え、電話からメールやチャットの対応、後方の事務や品質の管理、新人研修の担当といった役割がある場合もあるでしょう。数字の負担が理由なら評価のしかたが違う役割がないか、シフトが理由なら決まった時間帯で働ける枠がないかを聞いてみてください。
理不尽な電話を受けた直後ほど、自分の対応が悪かったのではと一人で抱え込みやすいものだと、私たちは感じています。担当や配置の変更を申し出ることは逃げではなく、会社が講じる配慮を使うことです。
体に出ているなら、先に休む
眠れない、休みの日も電話の声が頭から離れない、出勤前に体調が崩れるといった状態なら、辞めるかどうかより先に、受診することと休むことを優先してください。情報機器作業のガイドラインにもとづく健康診断がある職場なら、目や首・肩の症状、ストレスに関する症状を正直に伝えておきましょう。心身の不調があるときの動き方や相談窓口は、仕事を辞めたいのは甘え?原因別の対処法でもまとめています。
参考:厚生労働省「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドラインについて」
経営者は、電話の仕事と数字をどう見ているか
採用する側の経営者は、電話の仕事や数字の管理をどう見ているのでしょうか。営業支援で自社のコールセンターを運営する経営者と、電話をかける仕事の経験に触れた経営者の言葉から見てみましょう。
- 目標や成績の見える化には、努力の向きをそろえる意味がある
- 電話を数多くこなしてきた経験を、希少だとみる経営者もいる
株式会社エッジコネクションの大村康雄社長は、学生時代や起業当初は「売上目標なんてなくてもいい」と考えていたものの、実際に会社を経営してみて、そうした仕組みが必要とされる理由が分かったと振り返っています。
数字に意味があるという見方は、裏を返せば、その意味を働く人に説明できるかどうかが職場の分かれ目になる、ということでもあるでしょう。いまのセンターで、数字が何のためにあり、評価にどう使われるのかを聞いて答えが返ってくるなら、数字との付き合い方を変える余地はまだあります。 返ってこないなら、次の職場を選ぶときに同じ質問をしてみてください。
株式会社CINC Capitalの石松友典会長は、入社する人に一番求めることを聞かれた対談の中で、取締役 執行役員社長の阿部泰士氏が電話をかける行動量を挙げたのに続けて、こう話しています。
発信の電話を続けてきた経験は、営業の仕事では材料になりえます。ただし、電話の件数を目標に置く職場なら、数字との付き合いは続くでしょう。数字が理由で辞めたいなら、評価される経験と、次の職場で求められる数字の形の両方を確かめてから選ぶのが安全です。
経営者インタビューでは、社長たちが社員に何を求め、どう評価しているのかを自分の言葉で語っています。
コールセンターの経験が活きる転職先
コールセンターの仕事には、入力、問い合わせへの回答、取り次ぎ、電話での会話の組み立てといった要素が含まれています。どの要素を持ち出すかで、向く転職先は変わってくるでしょう。
- 一般事務・営業事務は、入力と取り次ぎの経験が重なる
- カスタマーサクセスは、既存の顧客に向き合う経験が重なる
- インサイドセールスは、電話で会話を組み立てる経験が重なる
| 転職先 | コールセンターの仕事と重なる部分 | 新しく求められること | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| 一般事務・営業事務 | システムへの入力と照合、電話での取り次ぎ | 表計算や書類の作成、社内外との調整 | 正確さと段取りで評価されたい人 |
| カスタマーサクセス | 既存顧客からの問い合わせへの対応 | 利用状況の把握と、使い続けてもらうための提案 | 同じ顧客と長く関わりたい人 |
| インサイドセールス | 電話での会話の組み立て、発信の経験 | 見込み客の管理と、商談につなぐ判断 | 電話で話すこと自体は苦にならない人 |
求人の多さは、職種によってかなり違います。厚生労働省の「一般職業紹介状況(令和8年8月分)」で、ハローワークの常用(パートタイムを除く)の有効求人倍率を職業別に見ると、職業計の1.17倍に対し、一般事務従事者は0.29倍でした。仕事を探す人3.5人ほどに対して求人が1件という計算です。営業・販売事務従事者は0.88倍、営業職業従事者は2.20倍で、営業は求人のほうが多くなっています。ハローワークを通じた求人と求職だけの集計なので、マイナビやリクナビなどの求人サイトや転職エージェントの求人は含まれていません。事務を目指すなら、競争があることを前提に、コールセンターで扱った入力や記録の仕事を具体的に示す準備をしておきましょう。


参考:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年8月分)について」
一般事務・営業事務
受けた内容をシステムに正しく入力し、必要な部署へ取り次いできた経験は、事務の仕事でもそのまま使えます。営業事務なら、受注の入力や納期の問い合わせへの対応など、電話を受ける場面も残ります。電話から完全に離れたいのか、減らしたいだけなのかで、応募先の選び方は変わるはずです。資格で準備を補いたいときは、事務の資格おすすめ7つが参考になります。
カスタマーサクセス
カスタマーサクセスは、契約した顧客が商品やサービスを使い続けられるように支える仕事です。問い合わせを待って答えるだけでなく、顧客の使い方を見て、こちらから提案する役割も担います。一度きりの電話で終わる応対に疲れた人には、同じ顧客と長く関わる働き方が合う場合があります。継続率などの数字で成果を見る会社もあるので、評価のしかたは事前に確かめておきましょう。
インサイドセールス
インサイドセールスは、電話やメール、オンライン会議で見込み客とやり取りし、商談につなげる仕事です。発信の経験がある人は、会話の組み立てをそのまま持ち込めます。一方で、電話の件数や商談の数を目標に置く会社もあります。数字の負担が辞めたい理由なら、目標の決め方を面接で聞いておくと安心です。
面接でコールセンターの経験を伝えるコツ
面接では、コールセンターにいたことより、そこで何をどこまで任されていたかが伝わるかどうかが分かれ目です。
- 担当した電話の種類と、自分で完結させた範囲から話す
- 数字は、自分の工夫で動かせたものを選ぶ
- 辞めた理由は、次の職場に求めることに置き換える
担当した電話の種類と、自分で完結させた範囲から話す
「コールセンターでお客様対応をしていました」だけでは、何ができる人なのかが伝わりません。受信か発信か、どんな商品やサービスの窓口か、1件の電話をどこまで自分で完結させていたか、どんな場合に上の担当へ引き継いでいたか。この4つを最初に言えると、応募先は自社の仕事に置き換えて聞くことができます。
数字は、自分の工夫で動かせたものを選ぶ
センター全体の応答率のような数字は、自分一人の成果としては語りにくいものです。伝えるなら、よくある問い合わせへの答え方をまとめてチームで共有した、後処理の入力手順を見直して1件あたりの時間を短くした、といった自分の工夫で変わったものを選びます。具体的な数字は手元の記録で確かめられる範囲にとどめ、会社の内部資料を持ち出したり、確かめられない数字を盛ったりするのは避けましょう。
辞めた理由は、次の職場に求めることに置き換える
カスタマーハラスメントや数字の負担が辞めた理由でも、面接でそのまま不満として話す必要はありません。次の職場で何を求めるかの形にすると、志望動機ともつながります。
| 辞めたい理由 | 面接での伝え方の方向 |
|---|---|
| 理不尽な電話がつらかった | 一度きりの応対ではなく、同じ顧客と関係を築く仕事がしたい |
| 件数や時間の数字に追われた | 正確さや段取りで評価される仕事に移りたい |
| 座りっぱなしで体がつらかった | 電話以外の業務も含め、働き方に変化のある仕事がしたい |
| シフトで生活が不規則だった | 決まった時間帯で働き、学ぶ時間も確保したい |
理由を伝えるときは、前の職場を責める言い方より、次にどんな環境で力を出したいかを中心に置くと伝わりやすくなります。 理由別の例文は転職理由の例文、書類への落とし込み方は職務経歴書の書き方が参考になるはずです。
コールセンターを辞めたいときによくある質問
コールセンターは、契約社員や派遣でも途中で辞められますか?
ルールは、期間の定めがあるかどうかで分かれる点に注意が必要です。 期間の定めのない雇用なら、民法第627条第1項により、退職の申し入れから2週間で雇用は終わります。契約社員や派遣で契約に期間の定めがある場合は、期間の満了まで働くのが原則です。ただし民法第628条により、やむを得ない事由があれば直ちに契約を解除でき、その事由が自分の過失によるときは損害賠償の責任を負うことがあります。期間が1年を超える契約なら、労働基準法第137条により、契約の初日から1年が経った後は申し出ていつでも退職できます。一定の事業の完了に必要な期間を定めた契約などは、この対象外です。派遣で働いている場合、雇い主は派遣会社なので、辞めたい意思はまず派遣会社の担当者に伝えましょう。
参考:e-Gov法令検索「民法」
参考:e-Gov法令検索「労働基準法」
クレームの電話を、自分の判断で切ってもいいですか?
まずは自分のセンターのルールに従い、ルールがないなら決めてもらうよう相談してください。 2026年10月1日の改正法の施行にあわせて適用されたカスタマーハラスメント防止の指針は、会社が定めておく対処の例として、十分に説明したうえでなおくり返しの要求が続く場合に、一定の時間の経過をもって電話を切ることを挙げています。具体的な時間や手順を決めて働く人に周知するのは、会社の役割です。苦情のすべてがカスタマーハラスメントにあたるわけではないため、判断に迷ったら一人で対応を続けず、SVなどに報告して指示を仰ぎましょう。
参考:厚生労働省「事業主が職場における顧客等の言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」
派遣で働いています。カスタマーハラスメントはどこに相談すればいいですか?
派遣先のセンターと派遣会社の、どちらにも相談できます。 労働者派遣法第47条の4により、派遣先も派遣労働者を雇用する事業主とみなされ、2026年10月1日に施行された労働施策総合推進法第33条第1項のカスタマーハラスメント対策の措置義務の対象です。国の指針は、相談したことを理由に派遣先が派遣の受け入れを拒むなどの不利益な取扱いをしてはならないとしています。会社に相談しても対応してもらえない場合は、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)に相談できます。
参考:e-Gov法令検索「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」
参考:厚生労働省「事業主が職場における顧客等の言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」
参考:厚生労働省「職場におけるハラスメントの防止のために」
コールセンターの経験は、転職で評価されますか?
評価されるかどうかは、何をどこまで任されていたかを具体的に伝えられるかしだいです。 入力と取り次ぎの経験は事務に、既存顧客への対応はカスタマーサクセスに、発信の経験はインサイドセールスや営業に重なります。ただし求人の多さは職種で違い、厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年8月分)」では、ハローワークの常用(パートタイムを除く)の有効求人倍率が一般事務従事者0.29倍、営業職業従事者2.20倍でした。応募先の仕事に合わせて、担当した範囲と自分の工夫を伝える準備をしておきましょう。
参考:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年8月分)について」
まとめ
コールセンターを辞めたいときは、つらさの原因が電話の相手か、数字か、体か、シフトかを分けると、打てる手が見えてきます。理不尽な電話については、2026年10月1日から、電話によるものも含めたカスタマーハラスメントへの対策が会社の義務になりました。相談窓口や対処のルールを整えるのは会社の役目で、派遣で働く人は派遣先にも相談できます。座りっぱなしやシフトの負担も、国のガイドラインや留意事項がいまの職場を確かめる物差しになります。
辞めると決めたら、一般事務・営業事務、カスタマーサクセス、インサイドセールスなどが候補です。ハローワークの常用(パートタイムを除く)の統計(令和8年8月分)では一般事務従事者の有効求人倍率が0.29倍と低く、担当した範囲と自分の工夫を具体的に伝える準備をしてから臨みたいところです。
私たち編集部は、電話の向こうの理不尽に耐え続けることを、仕事の一部だとは考えていません。記録して、相談して、それでも変わらないなら、環境を変えることは十分に筋の通った選択です。
続けるか移るかを決める前に、電話の仕事で積んだ経験がどんな求人につながるのかを知っておくと、判断を急がずに済みます。

