ベンチャー企業とは?意味・定義を簡単に|中小企業との違いと働き方の特徴

ベンチャー企業とは、独自の技術やビジネスモデルで新しい事業に挑み、短い期間での大きな成長を目指す会社のことです。
意外なことに、法律の条文を探しても「ベンチャー」という言葉は出てきません。求人票でよく見る言葉なのに、どこにも決まった定義がないのです。
この記事では、よく比べられる中小企業との違いや国の扱い方を確かめたうえで、働く側から見た特徴と、向いている人を整理します。
ベンチャーへの転職を考えているなら、気になる1社を深く調べる前に、どんな会社が人を探しているのかを並べて見ておくと判断がぶれにくくなるでしょう。転職エージェントを活用すれば、公開されていない求人も含めて無料で比べられます。
ベンチャー企業とは?簡単にいうと新しい事業で急成長を目指す会社
ベンチャー企業という言葉に、法律や国が決めた条件はありません。それでも、ベンチャーと呼ばれる会社には共通する性質があります。
- ベンチャーと呼ばれる会社には「新しさ」「成長志向」「起業家の存在」「若さ・小ささ」という共通点がある
- 「ベンチャー」は冒険的な事業を表す英語で、会社の種類を指す使い方は1970年ごろの日本で広まった
- 急成長に必要な資金を、ベンチャーキャピタルなど外部の投資家から集める会社もある
労働政策研究・研修機構が発行する「日本労働研究雑誌」2014年8月号の論文は、研究者や行政の研究会がこれまでに示したベンチャーの定義を比べ、ほぼ共通する要素として4つを挙げています。創業からの期間が短いか中小規模であること、起業家(アントレプレナー)がいること、創造性・革新性・新規性を持つこと、そして成長志向であることです。そのうえで論文は、ベンチャーとそうでない中小企業を分ける最大の要素を「急成長志向性の有無」としています。ベンチャーかどうかを分ける一番の手がかりは、会社の大きさではなく、短い期間で大きく伸びようとしているかどうかです。
| 性質 | 中身 | 会社の情報で確かめる手がかり |
|---|---|---|
| 新しさ | 独自の技術や、これまでにない売り方・仕組みで事業をつくっている | 事業紹介で、何を新しくしているかを具体的に説明しているか |
| 成長志向 | 数年で売上や人員を大きく伸ばす計画を持っている | 中期の目標や、資金調達の発表があるか |
| 起業家の存在 | 事業を起こした本人や創業メンバーが経営の先頭に立っている | 代表者のメッセージや経歴 |
| 若さ・小ささ | 創業からの年数が浅いか、組織がまだ小さい | 会社概要の設立年と社員数 |
参考:労働政策研究・研修機構「日本労働研究雑誌」2014年8月号 小林英夫「ベンチャーの報酬施策と人的資源柔軟性」
「ベンチャー」という言葉の意味と由来
英語のventureには「冒険的企て」「投機」「冒険的事業」といった訳が当てられており、危険を承知で挑む事業というニュアンスを持つ言葉です。前掲の論文によると、会社の種類を表す言葉として日本に持ち込まれたのは1970年。米国のセミナーから帰国した通商産業省(当時)の担当者が紹介したとされ、言葉は1970年から1971年にかけて急速に広まりました。
興味深いのは、同じ論文が、この担当者は「Venture」が研究集約的な中小企業を指す言葉として米国で一般に使われていると誤解して紹介した、という研究者の指摘を紹介している点です。論文は、日本のベンチャーと米国のVentureとでは、言葉のニュアンスが若干異なるとも述べています。日本の「ベンチャー企業」は、英語を借りながらも、意味づけは日本の研究者たちの手で整えられてきた言葉といえるでしょう。 当初は研究開発やデザイン開発に力を入れる新しい小企業を指していましたが、いまでは新しい事業に挑む成長企業を広く指す言葉として使われています。
参考:労働政策研究・研修機構「日本労働研究雑誌」2014年8月号 小林英夫「ベンチャーの報酬施策と人的資源柔軟性」
成長の段階と、ベンチャーキャピタルの役割
ベンチャーは、売上がまだ小さいうちから人や開発に先にお金を使い、短い期間で事業を大きくしようとします。その資金の出し手として知られるのが、ベンチャーキャピタル(VC)です。成長が見込める未上場の会社に株式と引き換えに出資し、上場や事業売却で株式の価値が上がったときに回収する投資会社を指します。
成長の段階は一般に、事業の準備・立ち上げ期を「シード」、製品やサービスを出し始めた時期を「アーリー」、事業が軌道に乗って広がる時期を「ミドル」、上場や売却が視野に入る時期を「レイター」と呼びます。ただし、どこからがアーリーかといった厳密な基準はありません。働く側にとって段階の違いは、会社にどこまで仕組みがそろっているかの違いです。 社員が数人の時期と数百人の時期とでは、任される仕事の範囲も、研修や評価の整い方も変わってきます。
ベンチャー企業と中小企業の違いは「規模」と「性質」
ベンチャー企業と中小企業はよく並べて語られますが、同じ物差しの上にある言葉ではありません。
- 中小企業は法律が資本金と従業員数で範囲を決めた言葉で、ベンチャーは事業の性質で呼ばれる言葉
- 中小企業の基準は業種ごとに違い、資本金か従業員数のどちらか一方を満たせば当てはまる
- 規模の小さいベンチャーは中小企業でもあるが、中小企業がすべてベンチャーと呼ばれるわけではない
| 比べる点 | 中小企業 | ベンチャー企業 |
|---|---|---|
| 何を表す言葉か | 会社の規模 | 事業の性質と成長の仕方 |
| 法律上の定義 | あり(中小企業基本法第2条) | 統一的な定義はない |
| 決まり方 | 業種ごとの資本金・従業員数の基準に当てはめて決まる | 事業の新しさや成長志向から、周囲や会社自身がそう呼ぶ |
| 設立からの年数 | 問わない | 年数の浅い会社を指すのが一般的 |
| 数 | 2021年6月時点で336.5万者、企業全体の99.7% | 全体を数えた公的統計は見当たらない |
| 主に使われる場面 | 補助金・税制・融資など政策の対象範囲 | 会社の特徴の説明、求人、投資 |
中小企業かどうかは基準を当てはめれば決まりますが、ベンチャーかどうかを決める公的な基準はありません。
中小企業基本法が定める中小企業の範囲
中小企業の範囲は、中小企業基本法の第2条第1項が定めています。製造業などの場合、条文は次のとおりです。
条文は、資本金の基準を満たす会社と、従業員数の基準を満たす会社・個人を「並びに」でつないで、どちらも中小企業者として並べています。資本金と従業員数は、どちらか一方を満たせば中小企業者に当たります。 たとえば従業員が500人いても、資本金が3億円以下の製造業の会社は中小企業者です。
もう一つの読みどころが、「おおむね」と「施策ごとに定める」という言い回しです。この定義は国の施策の対象を決めるときの原則で、実際に中小企業として扱う範囲は、法律や制度によって異なることがあります。法人税の軽減税率が資本金1億円以下の企業を対象にしているのは、その一例。なお、中小企業基本法には大企業の定義もありません。業種ごとの基準は次のとおりです。
| 業種 | 資本金の額または出資の総額 | 常時使用する従業員の数 | 小規模企業者の従業員数 |
|---|---|---|---|
| 製造業・建設業・運輸業その他 | 3億円以下 | 300人以下 | 20人以下 |
| 卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 | 5人以下 |
| サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 | 5人以下 |
| 小売業 | 5,000万円以下 | 50人以下 | 5人以下 |
中小企業関連の法律では、政令でソフトウェア業・情報処理サービス業を資本金3億円以下または従業員300人以下とするなど、業種によって範囲を広げている場合もあります。規模で見ると、日本の企業のほとんどは中小企業です。中小企業庁が経済センサスを集計し直した結果では、2021年6月時点の中小企業は336.5万者で、企業全体の99.7%を占めています。
参考:e-Gov法令検索「中小企業基本法」
参考:e-Gov法令検索「法人税法」
参考:中小企業庁「中小企業・小規模企業者の定義」
参考:中小企業庁「中小企業の定義に関するよくある質問」
参考:中小企業庁「中小企業・小規模事業者の数(2021年6月時点)の集計結果を公表します」
ベンチャーと中小企業は重なり合う
二つの言葉は物差しが違うため、同じ会社が両方に当てはまることがあります。前掲の「日本労働研究雑誌」の論文は、中小企業という集合の中に、ベンチャーとそうでない会社の二つがあると整理しています。社員が数十人のベンチャーなら、多くの業種で従業員数の基準を満たすので、中小企業でもあるわけです。ベンチャーキャピタルから大きな出資を受けて資本金が3億円を超えても、従業員数の基準に収まっていれば、中小企業基本法の範囲からは外れません。
逆に、新しい製品を生み出していても、ベンチャーとは呼ばれない中小企業もあります。論文が例に挙げるのは、東京の大田区や大阪の東大阪市に集まる町工場。高い技術力で革新的な製品をつくりながら、ベンチャーとはされない中小企業として紹介されています。求人を見るときは「ベンチャー」という看板より、その会社が何に挑み、いまどの段階にいるのかを確かめるほうが、入社後の姿を思い描きやすくなります。
参考:労働政策研究・研修機構「日本労働研究雑誌」2014年8月号 小林英夫「ベンチャーの報酬施策と人的資源柔軟性」
ベンチャー企業の定義は法律にない|国の機関はどう扱っているか
e-Gov法令検索で現行法令の本文を「ベンチャー」で検索すると、2026年10月時点で見つかるのは省令の3件だけです。いずれも団体の名称や、標章を説明する文の中で使われているもので、法律の条文には見当たりません。「ベンチャー企業」には、法律上の統一的な定義がないのです。 国は代わりに、別の言葉や目的ごとの基準で対象を決めています。
- 法律は「新事業開拓事業者」「創造的な事業活動」といった言葉で、支援する相手を決めている
- 国の調査は、大学発ベンチャーのように目的ごとに範囲を決めて数えている
- 国の支援策では「スタートアップ」という呼び方が中心になっている
参考:e-Gov法令検索
法律は「新事業開拓事業者」という言葉で対象を決めている
ベンチャーに近い意味を持つ法律の言葉に、産業競争力強化法の「新事業開拓事業者」があります。第2条第6項は次のように定めています。
「役務」はサービスのことです。新しい商品やサービス、新しい売り方で事業を切り開き、成長のために外部からの投資を特に必要とする事業者。世の中でベンチャーと呼ばれる会社の性質と重なる部分の多い定義です。ただし、この言葉だけで支援の対象が決まるわけではなく、税制などの制度ごとに要件が足されます。 たとえば研究開発税制の一部では、共同研究や委託研究の相手となる新事業開拓事業者を「設立の日以後の期間が十五年未満」などの要件で絞り込んでいます。根拠は租税特別措置法施行令です。
中小企業基本法にも、ベンチャーの性質に近い言葉があります。著しい新規性を持つ技術や著しく創造的な経営管理の方法を使った事業活動を指す「創造的な事業活動」です。同法の第14条は、国がこうした事業活動に必要な資金を、株式や社債などで集めやすくする制度を整えると定めています。
参考:e-Gov法令検索「産業競争力強化法」
参考:e-Gov法令検索「租税特別措置法施行令」
参考:e-Gov法令検索「中小企業基本法」
国の調査は、目的に合わせて範囲を決めて数える
統計の側でも、ベンチャーをひとくくりに数えるのではなく、目的に合わせて範囲を決めています。経済産業省の大学発ベンチャー実態等調査は、大学の研究成果を事業にするために設立された会社、設立5年以内に大学と共同研究をした会社、学生や教職員が深く関わる会社など、6つの類型のいずれかに当てはまるベンチャー企業を「大学発ベンチャー」と定義して数えています。2025年10月時点の大学発ベンチャーは6,220社で、前年度の5,074社から1,146社増え、企業数・増加数ともに過去最高でした。
成長の仕方で分ける見方もあります。2017年版の中小企業白書は、創業後5年以上10年以内の企業を、創業時からの企業規模の変化と売上高の伸び率によって「高成長型」「安定成長型」「持続成長型」の3つに分け、売上高の伸び率が新興市場に上場した企業並み以上の会社を高成長型としています。世の中でベンチャーと呼ばれる会社のイメージに近いのは、この高成長型でしょう。
参考:経済産業省「令和7年度大学発ベンチャー実態等調査の結果を取りまとめました(速報)」
参考:中小企業庁「2017年版中小企業白書 第2部第1章第3節 起業後の実態と課題」
スタートアップとの違いは「成長の速さ」と「資金の集め方」
ベンチャーとよく比べられるスタートアップも、法律で定義された言葉ではありません。一般には、これまでにない事業モデルで短期間に急成長し、上場や事業売却を目指す会社をスタートアップと呼びます。ベンチャーはそれを含む、もう少し広い意味で使われる言葉です。
国の支援策では、スタートアップという呼び方が中心です。2018年6月に始まった経済産業省の「J-Startup」も、支援の対象を「スタートアップ」と呼んでいます。
どちらの呼び方をしている会社でも、働く側が確かめたいのは呼び名ではなく、資金をどこから集め、何年でどこまで伸ばすつもりかという中身です。
参考:経済産業省 J-Startup「新たな選定企業を発表!~J-Startup 第5次選定~」
働く側から見たベンチャー企業の特徴
ここからは、ベンチャーで働くと何が変わるのかを見ていきます。経営者に取材していると、「うちはベンチャーなので」という言葉は、会社の大きさよりも仕事の進め方を説明するときに出てくることが多いと感じます。
- 人数が少ないぶん、一人が受け持つ範囲と任される裁量が広がる
- 決める人と動く人が近く、決めてから実行までが速い
- 研修などの仕組みは規模が小さいほど手薄な傾向があり、整え方は会社の方針によっても違う
公的な労働統計の多くは、企業を規模や産業で分けて集計しており、ベンチャーかどうかでは分けていません。そこで、裁量とスピードは経営者自身の言葉で、制度の整い方は企業規模別の統計で確かめます。
一人が受け持つ範囲が広く、裁量が大きくなりやすい
社員の少ない会社では、一人ひとりの担当範囲が自然と広がります。営業をしながら採用も手伝う、立ち上げたばかりの事業の担当を任される。人数が限られる会社では、こうした兼務や抜てきが起こりやすくなります。役職の席が空いていることもあるでしょう。株式会社CINC Capitalの石松友典会長は、立ち上げ1年目の自社についてこう話しています。
席が空いているということは、その席の仕事をいずれ誰かが引き受けるということでもあります。 任される範囲が広いほど、自分で決めて、その結果を引き受ける場面も増えていくでしょう。
決めてから動くまでが速く、やり方もよく変わる
決める人と動く人の距離が近い会社では、方針が決まってから実行に移るまでが速くなります。うまくいかなければ、やり方を早めに切り替えることもためらいません。BelleLus株式会社の松田リエ社長は、自社の仕事の進め方をこう説明しています。
同社が求める人物像として挙げているのは、「変化を前向きに受け入れられる方」と「新しいことに挑戦する意欲のある方」です。昨日決めたやり方が今日変わることを、混乱ではなく改善の途中と受け止められるかどうかで、働きやすさは大きく変わります。
研修などの仕組みの整い方は、規模と会社の方針で変わる
制度の整い方には、統計ではっきりとした差が出ます。厚生労働省「令和7年度 能力開発基本調査」によると、通常の仕事を一時的に離れて受ける研修(OFF-JT)を正社員に実施した事業所は、全体で70.9%でした。常用労働者数で見た企業規模別では、30~49人が53.0%、50~99人が65.5%、100~299人が79.6%、300~999人が85.2%、1,000人以上が85.4%と、規模が大きいほど高くなります。

担当者や期間を決めて職場で段階的に教える「計画的なOJT」も、正社員に実施した事業所は30~49人で44.4%、1,000人以上で78.4%でした。同じ調査では、人材育成に何らかの問題があるとした事業所が80.1%あり、問題点として最も多かったのは「指導する人材が不足している」の59.5%です。
一方で、休みの取りやすさは、研修ほど規模による差が開いていません。厚生労働省「令和7年就労条件総合調査」によると、2024年の年次有給休暇の取得率は、常用労働者30~99人の企業で64.9%、1,000人以上の企業で69.0%と、差は4.1ポイントでした。
どちらの調査も常用労働者30人以上の企業が対象で、それより小さな会社は含まれていません。ベンチャーかどうかで分けた数字でもない点には注意が必要です。それでも、規模の小さい会社ほど、研修や計画的な指導を実施していない事業所の割合がおおむね高いことは、統計から読み取れます。
ただし、統計が示すのは全体の傾向まで。規模が小さくても、早い段階から人を育てる仕組みに手をかけている会社もあるのです。madoguchi株式会社の福士雅也取締役COOは、社員が数人だった時期から続けてきた取り組みをこう話しています。
研修という制度の有無より、入った人が誰から教わり、どう振り返る仕組みがあるかを見るほうが、入社後の育ち方を想像しやすくなります。 仕組みが最初からそろっているとは限らず、入る時期によっては自分がそれをつくる側に回ることもあるでしょう。面接では「研修や評価の仕組みは、いまどこまでできていて、次に何を整える予定ですか」と聞いてみてください。答えの具体さから、その会社がいまどの段階にいるのかが見えてきます。
参考:厚生労働省「令和7年度「能力開発基本調査」の結果を公表します」
参考:厚生労働省「令和7(2025)年就労条件総合調査 結果の概況」
ベンチャー企業に向いている人、合わないと感じやすい人
向き不向きは、年齢や経歴で決まるものではありません。ベンチャーで得やすいものと、引き換えになりやすいものを並べると、自分が何を優先したいかが見えてきます。
| 得やすいもの | 引き換えになりやすいもの |
|---|---|
| 職種をまたいだ幅広い経験 | 一つの専門を順序立てて教わる時間 |
| 早い段階で任される役割やポスト | 手本になる先輩や前例の少なさ |
| 制度や仕組みをつくる側に回る経験 | 研修や福利厚生の手厚さ |
| 事業が伸びていく過程を内側から見る経験 | 方針や事業内容が変わる可能性 |
どちらの列を重く見るかが、向き不向きの分かれ目です。働く場面に置き換えると、次のようになります。
| 場面 | 向いている人 | 合わないと感じやすい人 |
|---|---|---|
| 研修が少ない時期 | 必要なことを自分で調べ、社内外の人に聞きに行ける | 決まった研修で順序立てて学びたい |
| 担当外の仕事を頼まれたとき | 経験の幅が広がる機会と受け止められる | 自分の専門に集中したい |
| 方針が変わったとき | 変えた理由を聞いて、次の動きに切り替えられる | 一度決めた計画を守りたい |
| 制度がまだないとき | 必要な仕組みを提案し、つくる側に回れる | 整った制度の中で力を出したい |
合わない側に当てはまる項目が多くても、それは能力の優劣ではなく、力を出しやすい環境の違いです。 大手や、創業から年数のたった中小企業のほうが力を発揮できる人もいます。逆に、自分で学びに行く力や、決めたらすぐ動く習慣は、入社前から鍛えられます。成長が早い人の特徴9選も参考にしてください。新卒で考えているなら、就活全体の流れを就活スケジュール完全ガイドで押さえておくと、ベンチャーと大手を並行して見やすくなります。
会社ごとの実際の空気は、経営者本人の言葉に表れます。創業まもない会社から上場企業まで、経営者が事業の狙いや若手への任せ方、制度づくりへの考えを語ったインタビューを読み比べると、「ベンチャー」という言葉の幅の広さが実感できるはずです。
ベンチャー企業に関するよくある質問
ベンチャー企業は設立何年までを指しますか?
何年まで、という決まりはありません。 法律に統一的な定義がないため、年数の上限も公的には決まっていないのです。ただ、制度によっては年数で線を引くものがあります。たとえば租税特別措置法施行令は、研究開発税制の一部で、共同研究や委託研究の相手となる新事業開拓事業者を「設立の日以後の期間が十五年未満」などの要件で区切っています。これは制度ごとの線引きで、ベンチャーかどうかを決める物差しではありません。
ベンチャー企業は中小企業に含まれますか?
規模が中小企業基本法の基準に収まっていれば、中小企業にも当てはまります。 ベンチャーは事業の性質、中小企業は資本金と従業員数で決まる言葉で、物差しが違うからです。製造業なら資本金3億円以下か従業員300人以下、サービス業なら資本金5,000万円以下か従業員100人以下のどちらかを満たせば中小企業者に当たります。社員が数十人のベンチャーなら、多くの業種で従業員数の基準を満たします。
日本にベンチャー企業は何社ありますか?
ベンチャー企業全体の数を示した公的統計は、確認できた範囲では見当たりません。 範囲を決めて数えたものとしては、経済産業省の大学発ベンチャー実態等調査があり、2025年10月時点で6,220社でした。スタートアップについては、同省が2026年3月にまとめた資料で、国内のスタートアップを2025年時点で約25,000社としています。ただし、いずれもベンチャー企業全体の数ではありません。資料ごとに数え方が違うため、数字を比べるときは対象の決め方まで確かめてください。
参考:経済産業省「令和7年度大学発ベンチャー実態等調査の結果を取りまとめました(速報)」
参考:経済産業省「スタートアップ育成に向けた政府の取組(2026年3月)」
「ベンチャー」は英語でも同じ意味で通じますか?
英語のventureには「冒険的事業」などの意味がありますが、日本の「ベンチャー企業」と同じ意味で通じるとは限りません。 労働政策研究・研修機構の「日本労働研究雑誌」2014年8月号の論文によると、米国のventureはリスクをとってリターンを求める冒険的な企業という投機的な意味合いが強く、日本のベンチャーとはニュアンスが若干異なるのです。1970年に日本へ紹介された際には、研究集約的な中小企業を指す言葉として米国で一般に使われているという誤解があった、という研究者の指摘も紹介されています。英語圏で急成長を目指す新興企業を指すときは、一般にstartup(スタートアップ)という言葉が使われます。
参考:労働政策研究・研修機構「日本労働研究雑誌」2014年8月号 小林英夫「ベンチャーの報酬施策と人的資源柔軟性」
気になる会社がベンチャーかどうかは、どう調べればいいですか?
まずは会社の公式サイトにある会社概要と、ニュースやプレスリリースの欄を見てください。 設立年と社員数から若さと規模が、事業紹介から何を新しくしているかが、資金調達の発表から外部の投資家がついているかが分かります。マイナビ・リクナビなどの求人サイトや転職エージェントの求人票も、事業内容や設立年を確かめる材料です。経済産業省のJ-Startupに選ばれた企業は、公式サイトの一覧で探すこともできます。選ばれていないからといってベンチャーでないわけではないので、あくまで手がかりの一つとして使ってください。
参考:経済産業省 J-Startup「世界のビジネス・イノベーションを牽引する日本のスタートアップ一覧」
まとめ
ベンチャー企業とは、独自の技術やビジネスモデルで新しい事業に挑み、短い期間で大きな成長を目指す企業のことです。法律に統一的な定義はなく、法律は「新事業開拓事業者」のような別の言葉と、制度ごとの要件で対象を決めています。中小企業が資本金と従業員数で決まる「規模」の言葉であるのに対し、ベンチャーは事業の「性質」を表す言葉。規模が基準内なら、同じ会社が両方に当てはまるのです。
働く側から見ると、ベンチャーは一人が受け持つ範囲が広く、決めてから動くまでが速い一方で、研修などの仕組みは規模が小さいほど手薄になりやすく、整え方も会社によって違います。統計でも、正社員にOFF-JTを実施した事業所の割合は30~49人の企業で53.0%、1,000人以上で85.4%と開きがありました。
取材を重ねるほど感じるのは、「ベンチャーかどうか」という呼び名より、その会社がいま何に挑み、人をどう育てようとしているかのほうが、働く人の毎日を左右するということです。呼び名に期待しすぎず、中身を確かめてから選んでください。
気になる会社の中身を見比べる材料をそろえたいなら、公開されていない求人も含めて紹介してくれる転職エージェントを使うのが近道です。

