仕事が向いてないと感じる9つのサイン|適性か環境かの見分け方

仕事が向いてないと感じたとき、最初に切り分けたいのは、それが適性のずれなのか、労働条件や人間関係の問題なのかです。

実際、若い世代が初めての会社を辞めた理由では、「仕事が自分に合わない」は4番目で、上位には労働時間・休日の条件や人間関係が並びます。「向いてない」の中身は、仕事の内容そのものではないことのほうが多いのです。

この記事では、向いてないと感じるときに出る9つのサインを挙げ、適性の話かどうかを見分ける手順と、次にとる6つの行動を整理します。

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目次

仕事が向いてないと感じるのは、特別なことではない

まず前提として、辞めたい、つらいと感じながら働くこと自体は、統計で見ても珍しいことではありません。 数字で確かめておくと、自分の状態を過剰に深刻に見なくて済みます。

  • 大学卒で就職した人の3人に1人が、3年以内に離職している
  • 若年正社員の3割が「転職したい」と考えている
  • 働く人の7割近くが、仕事に強いストレスを感じている

厚生労働省が令和7年10月に公表した「新規学卒就職者の離職状況」(令和4年3月卒業者が対象)では、大学卒の3年以内離職率は33.8%。短大等卒44.5%、高校卒37.9%と学歴による幅はあるものの、辞めること自体は例外的な出来事ではありません。同じく令和5年若年者雇用実態調査では、若年正社員のうち「転職したいと思っている」人が31.2%で、20〜24歳では35.0%に上ります。令和6年労働安全衛生調査(常用労働者10人以上の民営事業所と、そこで働く労働者が対象)では、仕事や職業生活で強い不安やストレスを感じている労働者が68.3%でした。

つらいと感じていること自体は、あなたの能力の問題ではないという前提から始めてください。

参考:厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)を公表します」
参考:厚生労働省「令和5年若年者雇用実態調査の概況」
参考:厚生労働省「令和6年 労働安全衛生調査(実態調査)結果の概況」

仕事が向いてないと感じるときに出る9つのサイン

向き不向きは気分で決まるものではなく、日々の仕事の中に具体的な形で現れます。 次の9つは、適性のずれが疑われるときに出やすい変化です。1つ当てはまったから向いていない、ということではありません。3つ以上が半年以上続いているかどうかを目安にしてください。正直なところ、私たち編集部にも「この仕事、向いていないのでは」と考え込んだ時期のあるメンバーがいます。そのときに効いたのは、気持ちの整理ではなく、事実を書き出すことでした。

  • 同じ種類のミスを繰り返し、原因を自分で説明できない
  • 業務内容そのものを思い浮かべると気が重くなる
  • 成果を出している人のやり方を真似ても再現できない
  • 褒められる仕事と、自分が力を入れたい仕事がずれている
  • 1年以上たっても、速さと精度が伸びている実感がない
  • 仕事の中身を、自分の言葉で人に説明できない
  • その分野で「うまい人」になりたいと思えない
  • 評価や昇進の打診に、気持ちが動かない
  • 休んでも回復せず、体に変化が出ている

① 同じ種類のミスを繰り返し、原因を自分で説明できない

ミスの多さより、その原因を言葉にできるかどうかが分かれ目です。 手順を飛ばした、確認先を間違えたというように理由を特定できるミスは、仕組みで減らせます。一方、「なぜかいつもここで抜ける」という感覚しか残らないミスが同じ工程で続くなら、その作業が要求する注意の向け方と、自分の得意な注意の向け方が合っていない可能性があります。直近3か月のミスを工程ごとに分類してみてください。特定の工程に集中しているなら、担当範囲の組み替えで解決する余地があります。

② 業務内容そのものを思い浮かべると気が重くなる

「会社に行きたくない」と「この作業をしたくない」は別の症状です。 前者は人間関係や職場環境の問題であることが多く、後者は業務内容とのずれを示します。休日の夕方に憂うつになるとき、頭に浮かんでいるのが上司の顔なのか、明日処理する業務の中身なのかを観察してみましょう。浮かぶのが人なら、部署や上司が変われば解消する可能性があります。

③ 成果を出している人のやり方を真似ても再現できない

同じ手順を踏んでいるのに結果が出ないときは、その仕事が求める資質と自分の資質が食い違っているおそれがあります。 営業でいえばトークの型を写しても会話が続かない、事務でいえば同じ確認手順を踏んでも見落としが減らない、といった状態。ただし、真似た期間が短すぎるケースも多いものです。3か月以上続けて変化がなければ、やり方ではなく前提が合っていないと考えるほうが自然でしょう。

④ 褒められる仕事と、自分が力を入れたい仕事がずれている

周囲からの評価と自己認識のずれは、適性を測るうえで有力な手がかりになります。 資料の作り込みに時間をかけたのに評価されるのは調整力ばかり、という状態が続くなら、その職場が求めている能力と、自分が伸ばしたい能力が違う方向を向いています。評価されている部分こそ、実は自分の適性が出ている場所である可能性があります。褒められた場面を10個書き出して共通点を探してみてください。

⑤ 1年以上たっても、速さと精度が伸びている実感がない

上達の速さには個人差があるので、伸びていない期間があるだけで向いていないと即断はできません。 ただ、1年は変化を振り返る区切りとしては使いやすい長さです。入社直後と比べて処理にかかる時間が変わらず、確認回数も減っていないなら、単純な経験不足だけでは説明しづらくなります。1件あたりの所要時間や差し戻しの回数など、数えられる指標で比べてみましょう。感覚ではなく数字で押さえておけば、その事実は上司との面談でも使える材料になります。

⑥ 仕事の中身を、自分の言葉で人に説明できない

自分の担当業務を、社外の友人に3分で説明できるかを試してみましょう。 説明できないのは理解が浅いからで、理解が浅いままになるのは、興味が向かないか、教わる機会がなかったかのどちらかです。前者なら適性のずれ、後者なら育成環境の問題。同期や先輩が同じ質問にすらすら答えられるかを見ると、どちらなのかが判別できます。

⑦ その分野で「うまい人」になりたいと思えない

尊敬できる先輩がいても、その人のようになりたいと思えないなら、目指す方向が違います。 社内で「一番うまい人」を思い浮かべ、5年後の自分がそこにいる姿を想像してみてください。気が進まないと感じるなら、その職種のゴール自体が自分の望むものではない可能性があります。

⑧ 評価や昇進の打診に、気持ちが動かない

成果が出ているのに嬉しくない状態は、向いていないサインとして見落とされがちです。 できることと、やりたいことは一致しません。昇進の打診を受けたときに最初に浮かんだのが「責任が増える」ではなく「この仕事を続けるのか」という感覚だったなら、立ち止まって考える価値があります。

⑨ 休んでも回復せず、体に変化が出ている

眠れない、食欲が落ちた、何をするにもおっくうといった「いつもと違う」状態が続くときは、向き不向きより先に体調を優先してください。 厚生労働省の「こころの耳」は、こうした変化が10日から2週間以上続く場合はこころの不調のサインかもしれない、と目安を示しています。この段階では冷静な判断そのものが難しくなります。適性の見極めは、体調が戻ってからでも遅くありません。一人で抱え込まず、産業医や公的な相談窓口を頼ってください。

参考:厚生労働省「こころの耳:ご家族にできること」

その「向いてない」は、適性ではなく条件の問題かもしれない

「向いてない」という言葉は、いろいろな不満をまとめて入れられる便利な箱です。 中身を開けると、業務量や人間関係が入っていることが少なくありません。

厚生労働省の令和6年労働安全衛生調査で、強い不安やストレスを感じている人にその原因を聞いたところ、最も多かったのは「仕事の量」43.2%。次いで「仕事の失敗、責任の発生等」36.2%、「仕事の質」26.4%、「対人関係(セクシュアルハラスメント・パワーハラスメントを含む)」26.1%と続きます。上位に来ているのは、適性ではなく量と責任と人間関係です。

雇用形態でも中身は変わります。同調査では、正社員が仕事の量45.0%・仕事の失敗や責任37.7%の順だったのに対し、契約社員は仕事の量47.0%・仕事の質39.2%の順でした。同じ職場でも、立場が違えばつらさの構造は違うのです。

感じていること実際に起きている可能性確かめ方
何をしても仕事が終わらない業務量の配分に無理がある月の時間外労働と担当件数を3か月分並べる
職場に行くこと自体がつらい特定の人との関係が原因つらさが誰といるときに集中しているか記録する
働きに見合っていないと感じる評価と賃金の決め方が不透明評価基準と昇給ルールが文書化されているか確認する
仕事の内容に興味が持てない適性・関心のずれ苦にならない作業と苦痛な作業を分けて書き出す
成長している実感がない任され方と育成環境の問題直近1年で新しく任された仕事の数を数える

勤続期間によっても理由は入れ替わります。令和5年若年者雇用実態調査では、勤続1年未満で辞めた人の理由として最も多いのは「人間関係がよくなかった」で、1年以上10年未満では「労働時間・休日・休暇の条件がよくなかった」が最多でした。入社まもない時期に感じる「向いてない」は、仕事内容ではなく人間関係を指していることが多いということです。

同調査で若年正社員の満足度D.I.(「満足」「やや満足」の割合から「不満」「やや不満」の割合を引いた値)が最も高かった項目は「雇用の安定性」66.4ポイントで、「仕事の内容・やりがい」は55.2ポイントでした。やりがい以外の要素も、働く人の満足度を大きく左右しています。

参考:厚生労働省「令和6年 労働安全衛生調査(実態調査)結果の概況」
参考:厚生労働省「令和5年若年者雇用実態調査の概況」

職種ではなく、職場の規模が合っていないだけということもある

同じ職種でも、職場(事業所)の規模によって働き方はまったく違います。 離職率のデータには、規模による大きな差が表れています。

厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況」(令和4年3月卒業者が対象)の事業所規模別集計は次のとおりです。

事業所の規模大学卒の3年以内離職率高校卒の3年以内離職率
5人未満57.5%63.2%
5〜29人52.0%54.6%
30〜99人41.9%45.2%
100〜499人33.9%36.7%
500〜999人31.5%29.9%
1,000人以上27.0%26.3%

この集計の単位は会社ではなく事業所、つまり勤務先の拠点です。大企業に勤めていても、配属先が数人の営業所なら小さい区分に入ります(区分は「5人未満」と「5〜29人」に分かれており、5人の事業所は「5〜29人」側です)。

大学卒では、5人未満と1,000人以上で2倍以上の開きがあります。 少人数の職場は一人が担う範囲が広く、教育の仕組みも整いにくいため、業務のばらつきをそのまま引き受けることになります。裏を返せば、大企業で「仕事の範囲が狭くてつまらない」と感じる人が、少人数の職場では力を発揮することもあるわけです。

産業別でも、大学卒の3年以内離職率は宿泊業・飲食サービス業55.4%、生活関連サービス業・娯楽業54.7%、教育・学習支援業44.2%と高い一方、製造業は21.2%、電気・ガス・熱供給・水道業は12.4%です。同じ「大卒3年以内」でも、業種によって40ポイント以上の開きがあります。職種への適性を疑う前に、その業界の労働環境が全体としてどうなっているかを見てください。

産業別に見た大学卒業者の3年以内離職率。宿泊業・飲食サービス業55.4%、生活関連サービス業・娯楽業54.7%、教育・学習支援業44.2%、製造業21.2%、電気・ガス・熱供給・水道業12.4%。

参考:厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)を公表します」
参考:厚生労働省「新規大卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)」
参考:厚生労働省「新規高卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)」

「甘え」なのか「本当に向いていない」のかの分かれ目

「甘えではないか」という問いに時間を使っても、答えは出ません。 判断すべきは、いまの状態が続いた場合に回復するのかどうかです。次の5つの角度で見ると、環境の問題と適性のずれを分けられます。

見る角度環境や条件の問題に近い適性のずれに近い
疲れの出方数日休むと気力が戻る休んでも業務内容を思うと重くなる
つらさの範囲特定の上司や部署にいるときに集中する部署が変わっても同じ苦手が出る
時間の経過繁忙期や特定の案件の期間に偏っている1年以上ほとんど変わらない
周囲との比較同じ環境の同僚も同じようにつらそう同僚は問題なくこなしている
業務の分解つらいのは一部の付随業務中核業務そのものが苦痛

右列に多く当てはまるなら、適性のずれを疑う段階です。左列に多いなら、辞める前に環境を変える手が残っています。

「3年は続けるべき」という助言についても統計を見ておきましょう。厚生労働省の集計では、大学卒の離職は1年目12.1%、2年目11.9%、3年目9.9%と分布しており、辞める人は3年目にまとまって辞めるのではなく、毎年ほぼ同じ割合で辞めています。 この集計からは、3年目に離職が集中する傾向は読み取れません。

大学卒業者の離職が起きた年次別の割合。1年目12.1%、2年目11.9%、3年目9.9%と、各年でほぼ同じ割合。

参考:厚生労働省「新規大卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)」

経営者は「向いている人」をどこで見ているか

採用する側は、向き不向きをどう捉えているのでしょうか。取材で社長に「どんな人が伸びますか」と聞くと、返ってくるのはスキルの話ではないことがほとんどです。ここでは、実際に語られた言葉を3つ紹介します。

  • やりたいことがない状態は、経営者から見れば普通のこと
  • 仕事の価値は職種ではなく、取り組み方で決まる
  • 「向いていない」と感じる原因が、評価の不透明さにあることもある

やりたいことが分からないのは、珍しいことではない

株式会社Branding Careerの代表取締役CEO・佐地良太氏は、学生と接してきた経験からこう語っています。

“
つまり、99.9%の学生さんが「やりたいことがない」と言っていたのです。でも、これは極めてアタリマエで普通のことです。働いたことがないし、世の中にどんな仕事があるかも分からないので、自分がやりたいことも分かるわけがないんです。
株式会社Branding Career 代表取締役CEO
佐地良太
インタビューを読む

やりたいことが見つかっていないことと、いまの仕事が向いていないことは、別の問題です。 佐地氏は、部屋にこもって考えるよりまずフィールドに出ていろいろなことに触れてほしいとも述べています。適性は考えて決めるより、動いた結果として分かることが多いのでしょう。

仕事の価値は、職種ではなく取り組み方で変わる

株式会社木下商会の代表取締役・村山太一氏は、仕事の見方が変わった経験を次のように振り返っています。

“
カッコ良い仕事やクリエイティブな仕事があるのではなく、仕事自体をクリエイティブにやるかどうかで価値が変わるということです。
株式会社木下商会 代表取締役
村山 太一
インタビューを読む

「この職種は自分に合わない」と結論を出す前に、その仕事のどこまでを自分で決めているかを確かめてみてください。 与えられた手順をこなすだけの状態と、やり方を自分で組み立てている状態とでは、同じ職種でも手ごたえがまるで違います。

「向いてない」の正体が、評価の不透明さであることもある

株式会社あしたのチームの代表取締役社長・山本拓馬氏は、支援先の小売企業で退職を考えていたある店長について、その理由をこう振り返っています。

“
「自分をみてもらえている」という感覚が持てなかったことが、退職を考える一番のきっかけになっていたようです。
株式会社あしたのチーム 代表取締役社長
山本 拓馬
インタビューを読む

同氏は、人事制度がないと社員にはキャリアプランが見えず、給与が上がってもその理由が分からないため、不透明さに不安や不満を感じてしまうと説明しています。評価の基準が示されない職場では、何をどう頑張れば認められるのかが分からず、それが「自分は向いていない」という感覚に変換されていくのでしょう。 管理職層が評価や育成のノウハウを学ぶ機会のないまま管理職を担っている企業が多い、という指摘もありました。上司の評価が的確でないとき、その責任を自分の適性に押し付ける必要はありません。

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仕事が向いてないと感じたときにとる6つの行動

判断を急ぐより、材料をそろえる順番で動くほうが結果的に早く決まります。 次の6つを上から順に進めてください。

  • 「向いてない」を場面ごとに分解して書き出す
  • 労働時間と業務量を実数で確かめる
  • 職種や部署を変える道があるかを調べる
  • 社外の人に話し、判断の物差しを借りる
  • 副業や社外活動で、小さく試す
  • 転職を選ぶなら「続けられる条件」から決める

① 「向いてない」を場面ごとに分解して書き出す

まず、感覚を具体的な場面に置き換えます。 「営業が向いてない」ではなく、「初対面の相手に電話をかける前に手が止まる」「提案書を作るのは苦にならない」というように、業務を工程まで割ってから、それぞれに苦痛の度合いを書き添えてください。書き出すと、職種全体ではなく特定の工程だけが負担になっているケースがよくあります。その場合は、担当範囲の調整で解決する余地が残ります。

② 労働時間と業務量を実数で確かめる

つらさの原因が量なのかどうかは、数えれば分かります。 直近3か月の時間外労働時間、担当している案件数、締切が重なった日数を書き出しましょう。ストレスの原因として最も多いのが「仕事の量」43.2%である以上、まずここを疑うのが順当です。数字が明らかに多いなら、それは適性ではなく配分の問題。上司に相談するときも、感覚ではなく数字で説明したほうが動いてもらいやすくなります。

③ 職種や部署を変える道があるかを調べる

会社を辞めなくても職種を変えられるなら、それが最も損の少ない選択肢です。 社内公募や異動希望の申告制度があるかを、就業規則や人事制度の資料で確認してください。制度がなくても、上司や人事に希望を伝えておくと欠員時に声がかかることがあります。

ただし、異動は万能ではありません。令和6年労働安全衛生調査では、強い不安やストレスの原因として「役割・地位の変化等(昇進、昇格、配置転換等)」を挙げた人が19.8%いました。環境が変わること自体が負荷になる場合もあるため、異動先の業務内容と人員体制を確認したうえで希望を出しましょう。

参考:厚生労働省「令和6年 労働安全衛生調査(実態調査)結果の概況」

④ 社外の人に話し、判断の物差しを借りる

同じ職場の人だけに相談すると、その職場の常識の中で答えが出てしまいます。 別の業界で働く友人、前職の同僚、転職エージェントなど、外の基準を持っている相手に話してみてください。「その残業量は普通ではない」と言われて初めて気づく、ということは珍しくありません。相談相手は、結論を出させようとする人ではなく、状況を質問してくれる人を選ぶこと。

⑤ 副業や社外活動で、小さく試す

別の仕事が向いているかどうかは、想像では分かりません。 副業が認められているなら小さく受けてみる、社内の別部署の業務を手伝わせてもらう、業界のコミュニティに参加してみるなど、試す方法はいくつもあります。就業規則で副業の可否を確認したうえで、まずは数時間の作業から始めてください。やってみて苦にならなかった作業こそが、次の職種を選ぶときの手がかりになります。

⑥ 転職を選ぶなら「続けられる条件」から決める

辞める理由から次を探すと、同じ問題を持つ会社を選びやすくなります。 「人間関係が嫌で辞めた」だけを持って動くと、次の職場の人間関係は運任せになるからです。①〜⑤で集めた材料から、自分が続けられる条件を先に決めておきましょう。条件は、業務内容・労働時間・評価の仕組み・職場の規模の4つで書くと具体的になります。規模別の離職率に2倍以上の差があることを踏まえれば、「何人くらいの職場なら力を出せるか」も立派な選択条件です。

心や体に不調が出ているときは、適性の判断を後回しにする

眠れない、食欲がない、休日も回復しないという状態が続いているなら、向き不向きを考える前に相談してください。 判断力そのものが落ちている状態で下した結論は、あとから見ると納得できないことが多いためです。

厚生労働省の委託事業として運営されている「こころの耳」では、働く人と家族向けに、電話・SNS・メールの相談窓口が用意されています。メール相談は24時間受け付けており、いずれも匿名で利用できます。受付時間は窓口によって異なるため、サイトで最新の案内を確認してください。職場に産業医や保健師がいるなら、そちらに相談する道もあります。体調の回復と職種の選択は、切り離して考えるほうが安全です。

参考:厚生労働省「こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト」

会社の中身を知るには、経営者の言葉を読む

同じ職種でも、その会社が何を評価し、誰に何を任せるかによって、働きやすさは大きく変わります。 求人票や口コミからは読み取りにくい部分は、経営者本人が語った記事から拾えます。

熱狂ベンチャーナビでは、若手の迷いや「向いていない」という感覚を、経営者がどう受け止めているかも聞いています。何を評価し、誰に何を任せるかは会社によって違うので、何社か読み比べると自分に合いそうな職場の輪郭が見えてきます。面接で同じ質問をしたとき、どんな答えが返ってくるかを比べる材料にしてください。

経営者インタビューを読む|熱狂ベンチャーナビ

自分の強みを整理し直すなら、成長が早い人の特徴9選と自己PRのエピソードが見つからないときの探し方もあわせてどうぞ。

仕事が向いてないに関するよくある質問

入社1年目の「向いてない」は、まず何を疑うべきですか?

最初に、原因が人間関係にないかを確かめてください。 厚生労働省の令和5年若年者雇用実態調査では、勤続1年未満で会社を辞めた人の理由として最も多かったのは「人間関係がよくなかった」でした。この段階で感じる「向いてない」は、仕事内容ではなく特定の人との関係を指していることが多いのです。上司や配属が変われば解消する余地があるため、異動の可否を先に調べてください。そのうえで業務内容そのものが苦痛なら、早く動くほうが選択肢は広く残ります。

参考:厚生労働省「令和5年若年者雇用実態調査の概況」

向いてない仕事でも3年は続けるべきですか?

続けるかどうかは、年数ではなく状態で判断するほうが確実です。 厚生労働省の集計では、大学卒の離職は1年目12.1%、2年目11.9%、3年目9.9%と、各年でほぼ同じ割合で起きており、3年目に離職が集中する傾向は読み取れません。判断の材料になるのは、業務の速さと精度が伸びているか、体調が保てているか、その職種の先にいる人のようになりたいと思えるかの3点です。

参考:厚生労働省「新規大卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)」

上司に「この仕事は向いてない」と言われたら、どう受け止めればいいですか?

その評価が具体的な事実にもとづいているかを確認してください。 「どの業務のどこを見てそう判断されたのか」を尋ね、工程や数字で説明が返ってくるなら改善の手がかりになります。抽象的な印象論しか返らない場合は、指導の技術の問題である可能性も。指導する側の考え方はデキル上司の叱り方で整理しています。一人の上司の言葉を、適性の最終判断として受け取る必要はありません。

向いてないことが転職理由でも、面接で不利になりませんか?

「向いていなかった」だけで終えると不利になりますが、分解して話せば材料になります。 どの業務のどの部分が合わなかったのかを具体的に述べ、応募先の仕事のどこが自分の得意と重なるのかにつなげてください。前職の批判ではなく、条件の違いとして説明するのが基本。①〜⑤で集めた記録が、そのまま説明材料になります。

適職診断ツールの結果は、そのまま信じていいですか?

仮説を作る道具として使い、結論としては扱わないでください。 診断は回答時点の自己認識を映すもので、実際の業務内容や職場環境までは反映されません。結果に出た職種について、日々の業務がどんな作業で構成されているかを求人票や社員の話で確かめ、自分が書き出した「苦にならない作業」と重なるかどうかで判断するのが現実的です。

まとめ

仕事が向いてないと感じたとき、まず確かめるべきは、それが適性のずれなのか、労働時間・業務量・人間関係の問題なのかという切り分けです。厚生労働省の調査では、初めての会社を辞めた理由(3つまでの複数回答)の上位は労働時間・休日・休暇の条件28.5%と人間関係26.4%で、「仕事が自分に合わない」は21.7%。ストレスの原因として最も多いのも「仕事の量」43.2%でした。9つのサインで自分の状態を確かめ、環境の問題と適性のずれを分けたうえで、書き出す・数える・異動を調べる・社外に相談する・小さく試す・条件から選ぶ、という順番で動いてみてください。

取材を重ねていると、活躍している人が最初から適職を引き当てていたわけではない、と感じる場面が何度もあります。多くの人が、合わない場所を一度通ってから、続けられる条件を見つけていました。いま向いていないと感じていることは、次にどこを選ぶかの手がかりであって、能力の判定ではありません。

自分の条件が整理できたら、その条件に合う求人が実際にあるのかを確かめる段階です。

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小川莉奈のアバター

編集者

小川 莉奈 - 熱狂ベンチャーナビ編集部

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看護師から一般企業へ就職。その後株式会社デジマケに入社。自身の転職経験を元に新卒~若手の転職者にわかりやすい情報をお届けします。

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西畑大樹 - 熱狂ベンチャーナビ運営責任者

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新卒で証券会社に入社。その後、不動産・マーケティング・SaaS企業と4社の経験を経て独立。
学生時代は無人島のインターンや創業2か月目の会社でインターン生として2年勤務。
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