仕事を辞めたいのは甘え?原因別の対処法|辞める前に試すことと辞めどきのサイン

仕事を辞めたいと感じたとき、それが甘えかどうかを決める必要はありません。大事なのは、何が原因で辞めたいのかです。
実際、20代後半で転職した人が前の職場を辞めた理由は、給料・労働時間・人間関係などに分かれ、どれか1つに偏っていません。原因が違えば、辞める前に試せることも、相談する先も変わってきます。
この記事では、辞めたい原因を5つに分けて、試せることと辞めたほうがよいサイン、辞めると決めたときの動き方を順に整理します。
辞めるかどうかを決める前でも、いまの経験でどんな求人に手が届くのかは、転職エージェントを活用すれば無料で確認できます。選択肢を知っておくことと、すぐに辞めることは別の話です。
仕事を辞めたいのは甘えかどうかより、原因で次の一手が決まる
「甘え」かどうかという問いには、なかなか答えが出ません。押さえておきたいのは次の4点です。
- 甘えかどうかの線引きは、言う人によって変わる
- 判断に使えるのは「何が変われば辞めたい気持ちが軽くなるか」
- 転職した20代が前の勤め先を辞めた理由も、1つに偏っていない
- 毎日続くのか、決まった場面で強くなるのかでも原因は絞れる
「辞めたいなんて甘えだ」という言葉は、言う人によって線の引き方が変わります。長い残業に耐えてきた人と、体調を崩して休んだ経験がある人とでは、同じ状況を見ても判断は分かれるでしょう。基準が人によって動く問いに答えを出そうとすると、自分を責める時間ばかりが増えていきます。辞めたい気持ちは評価の対象ではなく、原因を探すための材料として扱ってください。
切り分けに使える問いは、「何が変われば、辞めたい気持ちが軽くなるか」です。上司が替われば軽くなるなら人間関係、残業が減れば軽くなるなら労働条件、評価の理由が分かれば軽くなるなら評価・給与。答え方しだいで、次に打つ手が変わってきます。
実際に辞めた人の理由を見ても、原因は1つにまとまりません。厚生労働省が2026年8月に公表した令和7年雇用動向調査では、転職して新しい勤め先にいる人に、前の勤め先を辞めた主な理由を1つ選んでもらっています。25〜29歳の男性は「給料等収入が少なかった」13.1%、「会社の将来が不安だった」11.0%、「職場の人間関係が好ましくなかった」10.7%、「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」10.5%と4つの理由が10%台で並び、「仕事の内容に興味を持てなかった」は6.5%でした。同じ25〜29歳の女性は「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」14.1%、「給料等収入が少なかった」13.4%、「職場の人間関係が好ましくなかった」10.5%の順で、「会社の将来が不安だった」と「仕事の内容に興味を持てなかった」はどちらも4.1%です。

20〜24歳と25〜29歳の男女いずれでも、最も多いのは、ほかの選択肢に当てはまらない個人的な理由をまとめた「その他の個人的理由」で、20.0〜28.7%を占めました。20〜24歳の女性では「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」が18.8%と高く、年齢と性別によって上位の顔ぶれも入れ替わります。この調査が映しているのは実際に転職した人の理由で、辞めずに残った人や、次がまだ決まっていない人の気持ちまでは分かりません。選択肢に心身の不調にあたる項目がないことも、押さえておきたい点です。統計で多い理由が、そのまま自分の理由だとは限らないのです。
参考:厚生労働省「令和7年雇用動向調査結果の概要 3 転職入職者の状況」
毎日辞めたいのか、決まった場面で辞めたいのか
辞めたい気持ちが出るタイミングも、原因を絞る手がかりになります。月曜の朝も週末の夜も途切れずに続くのか。特定の会議の前や、ある人と組む日、繁忙期にだけ強くなるのか。決まった場面で強くなるなら、原因はその場面の中にあるはずです。毎日続くなら、労働時間や人間関係のように毎日くり返される条件か、休んでも回復しきれていない心身の状態を疑うことになるでしょう。
1〜2週間ほど、辞めたいと感じた日時と、そのとき何をしていたかを一行ずつ書き留めておくと、思い込みではなく事実で原因を切り分けられます。休日も含めて気持ちが休まらない日が続いているなら、原因探しより先に体を休ませることを優先してください。
原因別に見る、辞める前に試せることと辞めたほうがよいサイン
辞めたい原因は、次の5つに分けて考えると整理しやすいはずです。
- 心身の不調は、ほかの原因より先に手当てする
- 労働条件は、記録を残して社内外に相談できる
- 人間関係がハラスメントなら、会社には相談に応じる義務がある
- 評価・給与は、決まり方と外での相場を確かめる
- 仕事内容は、「楽しくない」の中身を分けてから動く
正直なところ、理由が1つにきれいに収まる人のほうが少ないと感じます。複数当てはまるときは、体に出ているものを最優先にし、次に法律や制度で守られている労働時間とハラスメント、最後に自分の工夫で変えやすいもの、という順で手を打つと迷いにくくなるでしょう。
| 原因 | 見分けるヒント | 辞める前に試せること | 辞めたほうがよいサイン |
|---|---|---|---|
| 心身の不調 | どれを変えても軽くならず、休日も回復しない | 受診する、休む、公的な窓口に相談する | 休んでも、職場に戻るたびに不調がぶり返す |
| 労働条件 | 残業や休日出勤が減れば軽くなる | 労働時間を記録し、業務量の調整を相談する | 月45時間を超える残業が3か月続き、相談しても減らない |
| 人間関係 | 特定の相手と離れれば軽くなる | 会社の相談窓口や異動の希望を使う | ハラスメントを相談しても対応されない |
| 評価・給与 | 評価の理由が分かれば軽くなる | 評価基準と昇給の決まり方を確かめる | 基準の説明を求めても示されない状態が続く |
| 仕事内容 | 担当業務が変われば軽くなる | 担当の組み替えや社内公募を探す | やりたい仕事に近づく道が社内にない |
心身の不調があるなら、原因探しより休むことと相談が先
厚生労働省の「こころの耳」は、こころの不調のサインを、からだ・こころ・行動の3つの面から挙げています。からだの面なら、夜中に何度も目が覚める、食べてもおいしくないといった睡眠や食欲の変化。こころの面なら、何をするにもおっくうだという感覚。行動の面では、遅刻や欠勤が増える、会社に行きたがらないといった変化が挙がっています。毎日辞めたいと感じている状態が、行動の面のサインと重なっていることもあるのです。
こうした「いつも」と違う状態が続いているときに、辞めるか続けるかを決めなくて構いません。先にできることは3つあります。1つ目は医療機関や産業医への相談で、こころの耳の全国医療機関検索から近くの医療機関を探せます。2つ目は休むこと。有給休暇のほか、会社に休職制度があるかを就業規則で確かめておきましょう。3つ目は話すことで、こころの耳には電話・SNS・メールの相談窓口があり、いずれも匿名・無料です。利用の前に、各窓口の利用規約への同意が求められます。
自分の状態を数字で見ておきたいときは、同じサイトの5分でできる職場のストレスセルフチェックが使えます。質問は57問、所要時間は約5分です。気持ちが追い詰められて、消えてしまいたいと感じるほどつらいときは、厚生労働省のまもろうよ こころに、電話やSNSで話せる窓口がまとめられています。
休んで回復しても、職場に戻るたびに不調がぶり返すなら、主治医と相談しながら、環境を変える選択肢として退職や転職を考えてもよい段階でしょう。体調を理由にした離職は、雇用保険で「正当な理由のある自己都合」として扱われる場合があり、その判断はハローワークが行います。
参考:厚生労働省「こころの耳:ご家族にできること」
参考:厚生労働省「こころの耳:こころの耳の相談窓口」
参考:厚生労働省「まもろうよ こころ」
参考:ハローワークインターネットサービス「特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要」
労働条件が原因なら、記録を残して社内外に相談する
残業や休日出勤の多さが原因なら、まず自分の始業・終業の時刻と休日出勤の日を、毎日記録してください。会社の勤怠システムとは別に、自分の手元にも残しておくのがポイント。数字があれば、上司や人事に業務量の調整を相談するときも、話が具体的になるでしょう。疲れのたまり具合は、こころの耳の働く人の疲労蓄積度セルフチェック2023で、最近1か月の自覚症状と勤務の状況から確かめられます。質問は27問で、所要時間は5分ほどです。
社内で相談しても変わらない、あるいは社内では言い出しにくいときは、社外の窓口を使えます。「総合労働相談コーナー」は都道府県労働局や労働基準監督署の中などに全国で378か所あり、解雇やいじめ・嫌がらせ、パワハラなどを含むあらゆる分野の労働問題を扱っています。予約は不要で、専門の相談員が面談か電話で無料で応じる仕組みです。労働基準法などに違反している疑いがある場合は、行政指導の権限を持つ労働基準監督署などにつないでもらえます。平日の夜間や土日・祝日に話したいなら、厚生労働省の委託事業「労働条件相談ほっとライン」も、無料・匿名で使える電話窓口です。
辞めたほうがよいかを考えるときは、国の制度が引いている線も目安になります。 雇用保険では、離職直前の6か月間に、連続する3か月で月45時間、いずれか1か月で100時間、または連続する2か月以上の平均で月80時間を超える時間外労働があって離職した人を、倒産や解雇などと同じ「特定受給資格者」の範囲に含めています。給料の3分の1を超える額が支払日までに払われなかった場合や、入社時に示された労働条件が実際と著しく違っていた場合も同様です。こうした状態が続き、相談しても改善の見込みがないなら、自分の都合だけで辞めるのとは事情が違うと考えてよいでしょう。
参考:厚生労働省「総合労働相談コーナーのご案内」
参考:厚生労働省「労働条件相談ほっとライン」
参考:ハローワークインターネットサービス「特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要」
人間関係がハラスメントなら、会社には相談に応じる義務がある
特定の上司や同僚との関係が原因で、その言動がハラスメントにあたるなら、会社の相談窓口を使うことが辞める前に試せる手になります。相談に応じる体制を整えることは、法律で事業主に義務づけられているからです。
「優越的な関係を背景とした言動」の典型は上司からの言動ですが、厚生労働省の指針は、業務に必要な知識や豊富な経験を持ち、その人の協力がないと仕事が進まない同僚・部下の言動や、抵抗しにくい集団での行為も含まれると示しています。一方で「業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの」とあるとおり、客観的にみて必要で相当な範囲の業務指示や指導は、パワハラにあたりません。条文の文末は「講じなければならない」で、努力義務ではなく義務です。 2022年4月からは中小企業を含むすべての事業主が対象になっており、同じ条の第2項は、相談したことなどを理由に「解雇その他不利益な取扱いをしてはならない」と定めています。
この条文は、2026年10月1日に施行された改正で、それまでの第30条の2から第31条に移りました。同じ改正により、顧客や取引先などからの言動のうち社会通念上許容される範囲を超えたもの、いわゆるカスタマーハラスメントについても、事業主に防止のための措置が義務づけられています。接客や営業の仕事で、客からの言動が原因で辞めたいと感じているなら、それも会社に相談してよい事柄です。
指針は、相談窓口をあらかじめ定めて労働者に周知することを事業主に求め、パワハラにあたるかどうか微妙な場合でも広く相談に対応するよう示しています。あたるかどうか自分で判断がつかない段階で相談しても構いません。窓口が見当たらない、相談しても動かないという場合は、総合労働相談コーナーでも相談できます。こうした会社の対応をめぐるトラブルには、都道府県労働局長による助言・指導・勧告や、調停という解決の手続きも法律で用意されているのです。
ハラスメントとまでは言えない相性の問題なら、異動の希望を出す、直属の上司より上の立場の人や人事に相談する、といった手があります。指導と行き過ぎの境目を、指導する側の目線から確かめたいときはデキル上司の叱り方も参考になるでしょう。
相談しても事実の確認すら行われない、あるいは相談したことで不利益な扱いを受けたという状態は、会社が法律と指針で求められた対応をとっていないサインです。雇用保険でも、上司や同僚からの故意の排斥や著しい冷遇、嫌がらせを受けて離職した人は、特定受給資格者の範囲に入ります。
参考:e-Gov法令検索「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」
参考:厚生労働省「職場におけるハラスメントの防止のために」
参考:厚生労働省「事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」
評価・給与が原因なら、決まり方と外での相場を確かめる
給料が低い、頑張っても評価されないという不満は、評価と昇給の決まり方が見えないままだと膨らみやすいものです。辞める前に、就業規則や賃金規程、評価制度の資料で、評価の時期と基準、昇給の決まり方を確かめてください。資料だけで分からなければ、評価面談で「次の等級に上がるには、何がどこまでできればよいですか」と聞いてみましょう。基準そのものより、その基準を上司が自分の言葉で説明できるかどうかが、社内で伸びる余地を測る目安になります。
給料を理由に辞めるなら、転職で賃金がどう動くかも見ておきたいところです。令和7年雇用動向調査で、前の勤め先でも雇用されていた25〜29歳の転職者の賃金を前職と比べると、「増加」49.8%、「変わらない」25.0%、「減少」23.9%でした。1割以上増えた人が34.2%いる一方、1割以上減った人も16.5%います。半数ほどは上がっていますが、下がった人も4人に1人近くいるのです。
外での相場は、マイナビやリクナビなどの求人サイトで、同じ職種・経験年数の求人の提示額を見比べると見当がつきます。自分の経験がどう評価されるかまで知りたいなら、転職エージェントに聞くのが早道です。基準の説明を求めても示されないまま、評価の時期を過ぎても何も変わらない状態が続くなら、社内で待つ理由は薄くなるでしょう。
参考:厚生労働省「令和7年雇用動向調査結果の概要 3 転職入職者の状況」
仕事内容が原因なら、「楽しくない」の中身を分けてから動く
仕事が楽しくない、やりがいがないという感覚も、中身を分けると打ち手が変わります。仕事に慣れて新しい刺激がなくなったのか、成長している手応えがないのか、自分の仕事が誰の役に立っているのかが見えないのか。慣れが原因なら担当範囲を広げる、手応えが原因なら新しい役割を任せてもらう、役に立っている実感が原因なら顧客や利用者に近い業務に関わる、というように、社内で試せることが残っている場合があります。任される範囲を自分から広げる動き方は、成長が早い人の特徴9選も参考になるはずです。
社内公募や異動の申告制度があれば、辞めずに仕事内容を変える道もあります。自分が何にやりがいを感じるのかを整理したいときは、国の無料のキャリアコンサルティングも使えます。全国47か所のキャリア形成・リスキリング支援センターと、全国のハローワークにある相談コーナーで、ジョブ・カードを使った相談を対面かオンラインで受けられる仕組みです。
担当替えを希望しても叶う見込みがなく、やりたい仕事に近づく道が社内にそもそもないなら、外に移ることを考える段階でしょう。そのときは「楽しくない」のままではなく、「何があれば楽しいと言えるか」を言葉にしてから動くと、次の職場選びで同じ迷いをくり返しにくくなります。
参考:厚生労働省「マイジョブ・カード:無料のキャリアコンサルティングを活用する」
経営者にも「辞めたい」と思った時期があった
採用する側の経営者にも、会社員時代に辞めたいと思った人がいます。取材の場で会社員時代の話を聞いていると、辞めたかった時期のことを率直に話してくれる経営者によく出会うのです。3人の言葉から、辞めたい気持ちの原因と、その後の動き方の違いをたどってみましょう。
- 辞めずに、自分の仕事の進め方を変えた
- 不満を言葉にして、合う環境を探した
- 辞める条件を先に決め、準備してから辞めた
辞めずに、自分の仕事の進め方を変えた
株式会社Japan Naviの飯田広助社長は、銀行員として過ごした20代をこう振り返っています。
飯田氏は、若い頃は上司の指示に反発することが多かったと話しています。転機は28歳のとき。上司から「まずは人の言うことを素直に聞いてみて、それを受け入れたうえで行動してほしい」と助言を受け、考え方が180度変わったそうです。原因が自分の仕事の進め方にあるなら、辞めずに変えられる余地が残っています。 ただし、ハラスメントや長時間労働のように、自分の工夫だけでは変えられない原因もあることは忘れないでください。
不満を言葉にして、合う環境を探した
株式会社ガトラボの村田駿社長は、エンジニアとして働き始めた頃の不満をこう挙げています。
村田氏はその後、5社目で本人の自主性を重視する会社に出会い、そこで結果を出せたと語っています。仕事を心から楽しめるようになるまでには、3〜4年かかったそうです。案件の選び方、意見の通り方、評価の基準、将来の見通し。不満が具体的な言葉になっていれば、次の職場で何を確かめればよいかもはっきりします。
辞める条件を先に決め、準備してから辞めた
株式会社LANYの竹内渓太社長は、新卒で入った会社に勤めながら、仲間と事業の準備を進めていました。
辞める時期を、気持ちが限界に達した日ではなく、満たすべき条件で決めていた例です。起業する場合に限らず、「次の内定が出たら」「生活費の何か月分が手元にたまったら」と条件を先に言葉にしておくと、迷ったときの基準になります。
経営者インタビューでは、社長たちが会社員時代の迷いや、いまの会社で社員に何を任せているのかを自分の言葉で語っています。辞めたいと思った時期をどう過ごしたかという話には、自分の状況と重ねて読める部分があるはずです。
辞めると決めたときの動き方
辞めると決めたら、勢いで退職を伝える前に、次の4つの段取りを押さえておきましょう。
| 段取り | 押さえること | 確かめる先 |
|---|---|---|
| 次の仕事を探す時期 | 体調に問題がなければ、在職中に探し始める | 生活費と貯蓄の見通し |
| 退職の申し出 | 申し出の時期と手続きを確かめる | 会社の就業規則 |
| 辞めたあとの収入 | 雇用保険の受給要件と給付制限を確かめる | ハローワーク |
| 次の職場選び | 辞めた原因を、応募先で確かめる項目に置き換える | 求人票と面接 |
在職中に探せば収入が途切れないため、条件の合わない会社に焦って決める事態を避けやすくなります。ただし心身の不調が続いているなら、次を決めるより休むことが先です。
退職の申し出について、法律が定める最低ラインは民法第627条第1項で、期間の定めのない雇用は「解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する」とされています。会社の就業規則にも申し出の時期や手続きが書かれている場合があるので、あわせて確認しておくと引き継ぎの段取りを組みやすくなるでしょう。
雇用保険の基本手当は、2025年4月1日以降に正当な理由なく自己都合で辞めた場合、7日間の待期のあとに原則1か月の給付制限があります。長時間労働やハラスメント、病気などが理由の離職でも、特定受給資格者や特定理由離職者にあたれば給付制限はかかりません。どちらにあたるかを判断するのはハローワークです。会社側と本人側の言い分を、それを裏づける資料で確認して決めるため、勤怠の記録や相談の記録は退職前に手元へ残しておきましょう。
最後の段取りは、辞めた原因を次の職場で確かめる項目に置き換えることです。そうしておくと、求人票のどこを読み、面接で何を聞けばよいかがはっきりします。
| 辞めた原因 | 応募先で確かめること |
|---|---|
| 心身の不調 | 休職制度の有無と、復職するときの支え方 |
| 労働条件 | 配属予定の部署の残業時間の実績と、休日出勤の頻度 |
| 人間関係 | ハラスメントの相談窓口と、相談後の対応の流れ |
| 評価・給与 | 評価の時期と基準、昇給の決まり方 |
| 仕事内容 | 入社後に担当する業務の範囲と、異動や社内公募の仕組み |
ハラスメントの相談窓口は、法律と厚生労働省の指針で事業主に設けることが求められているものなので、面接で尋ねても不自然な質問ではありません。これまでの経験を応募先に伝わる言葉に直すときは、自己PRのエピソードの探し方と書き方も手がかりになります。
参考:e-Gov法令検索「民法」
参考:厚生労働省「離職されたみなさまへ」
仕事を辞めたい気持ちに関するよくある質問
毎日「仕事を辞めたい」と思うのは甘えですか?
甘えかどうかを決める必要はなく、毎日続いていること自体が原因を探す手がかりになります。 毎日くり返される労働時間や人間関係が負担になっているのか、休んでも心身が回復しきれていないのか。休日を挟んでも気持ちが軽くならないなら後者を疑い、こころの耳の「5分でできる職場のストレスセルフチェック」などで状態を確かめたり、医療機関や相談窓口を頼ったりするのが先です。
仕事が楽しくない、やりがいがないという理由で辞めてもいいですか?
辞めるのは自由ですが、その前に「楽しくない」の中身を分けておくと、次の職場選びで迷いにくくなります。 慣れて刺激がないのか、成長の手応えがないのか、役に立っている実感がないのかで、社内で試せることも次の職場で確かめることも変わります。考えを整理したいときは、全国のキャリア形成・リスキリング支援センターなどで無料のキャリアコンサルティングを受けるのも1つの方法です。
入社1年目で辞めたいと思うのは早すぎますか?
早すぎるかどうかは、在籍した期間ではなく原因で判断してください。 相談してもハラスメントに対応してもらえない、残業が減らない、休んでも職場に戻るたびに不調がぶり返すといった、辞めたほうがよいサインに当てはまるなら、年数を待つ理由はありません。一方で、仕事にまだ慣れていないことが原因なら、担当や教わり方を変えるだけで軽くなる場合もあります。短い在籍で転職するときは、辞めた理由を聞かれたときに備えて、原因と次の職場で確かめたいことを自分の言葉で説明できるようにしておきましょう。
次の仕事が決まっていなくても辞めていいですか?
心身が限界なら、次を決めるより先に休むことを優先して構いません。 余力があるなら、在職中に探すほうが収入の空白を作らずに済みます。辞めてから探す場合、雇用保険の基本手当は原則として、離職の日以前2年間に被保険者期間が通算12か月以上あることが受給の条件です。倒産・解雇などによる特定受給資格者や、やむを得ない理由による特定理由離職者は、離職の日以前1年間に6か月以上あれば対象になります。
休職と退職は、どちらを先に考えればいいですか?
体調が理由なら、退職より先に休職を検討してください。 休職制度の有無や期間は会社によって違うため、まず就業規則で確かめましょう。会社員が加入する健康保険には、業務外の病気やけがで仕事を休み、給与が出ないときの傷病手当金があります。全国健康保険協会(協会けんぽ)の場合、連続する3日間の待期のあと4日目から、支給開始日以前12か月の標準報酬月額の平均を30で割った額の3分の2を1日あたりの額として、通算1年6か月まで支給される仕組みです。退職日までに被保険者期間が継続して1年以上あり、退職の時点で受けているか受けられる状態なら、退職後も続けて受け取れます。なお、仕事が原因の病気やけがは労災保険の対象で、傷病手当金の対象からは外れるので注意してください。
まとめ
仕事を辞めたいと感じたら、甘えかどうかを決めるより前に、何がその気持ちを生んでいるのかを確かめてください。心身の不調、労働条件、人間関係、評価・給与、仕事内容。原因ごとに、辞める前に試せることと辞めたほうがよいサインは違います。心身の不調があるなら休むことと相談が最優先で、長時間労働やハラスメントには、記録と社内外の窓口、そして相談に応じる会社の義務という支えがあります。令和7年雇用動向調査でも、25〜29歳の転職者が前の勤め先を辞めた主な理由は、給料、労働条件、人間関係などに分かれていました。
私たち編集部は、辞めたいと感じたこと自体を責める必要はないと考えています。取材で出会う経営者の中にも、辞めずに働き方を変えた人もいれば、条件を決めて準備してから辞めた人もいました。辞めるか続けるかは、気持ちの強さではなく、原因と条件で決めてください。
続けるか辞めるかを決める前に、自分の経験でどんな職場を選べるのかを一度確かめておくと、判断を急がずに済みます。

