ハイヤー運転手とは?仕事内容と年収の統計、なるための条件と転職の進め方

ハイヤー運転手とは、ハイヤー会社の営業所が予約で引き受けた送迎だけを担当する、普通第二種免許を持つ運転手のことです。
2026年10月からは、会社が運行ごとに作る運行指示書を乗務中に持ち歩くことが、運転者にも義務づけられました。街で客を探すタクシーとは、仕事の組み立てがそもそも違うのです。
この記事では、仕事内容と1日の流れ、なるための免許と入社後の手続き、統計で言える年収の範囲、労働時間のルール、転職の進め方を順に確かめます。
ハイヤー会社の求人は、給与の内訳や待機時間の扱いが会社ごとに異なるもの。自分の経歴でどんな条件の求人に応募できるかは、転職エージェントを活用すれば無料で確認できます。
ハイヤー運転手とは|タクシー運転手・役員運転手との違い
ハイヤー運転手は、タクシー運転手とも、会社に雇われて社用車を運転する役員運転手とも立場が違います。押さえておきたいのは次の3点です。
- ハイヤーは、運送の引受けを営業所だけで行う車
- 運転には、タクシーと同じ普通第二種免許が要る
- 国の賃金統計では、ハイヤー運転者はタクシー運転者に含まれ、役員車の運転者は別の職種に分類される
タクシー業務適正化特別措置法第2条第2項は、ハイヤーを、一般乗用旅客自動車運送事業の用に供する自動車で「運送の引受けが営業所のみにおいて行なわれるもの」と定めています。街で手を挙げた人を乗せるのではなく、営業所が受けた予約の仕事だけを走るのがハイヤーです。法律上の区分や料金の違いは、ハイヤーとタクシーの違いを比較した記事で詳しく扱っています。
| 比べる点 | ハイヤー運転手 | タクシー運転手 | 役員車の運転手(社用車) |
|---|---|---|---|
| 雇い主 | ハイヤー会社 | タクシー会社 | 役員を送迎する会社 |
| 運転する車 | 事業用自動車(ハイヤー) | 事業用自動車(タクシー) | 会社の自家用車 |
| 仕事の受け方 | 営業所が予約で引き受けた運送だけ | 流し、乗り場、配車アプリ、予約など | 社内の指示 |
| 必要な免許 | 普通第二種免許 | 普通第二種免許 | 一般に第一種免許 |
| 賃金統計の職種 | タクシー運転者 | タクシー運転者 | 乗用自動車運転者(タクシー運転者を除く) |
免許の違いは、道路交通法の書き方から来ています。同法第86条第1項が第二種免許を求めているのは、旅客自動車を「旅客自動車運送事業に係る旅客を運送する目的で」運転する場合です。旅客自動車運送事業は、道路運送法第2条第3項で「他人の需要に応じ、有償で、自動車を使用して旅客を運送する事業」と定義されています。自社の車で自社の役員を送る運転は、一般にこの事業には当たらないため、第一種免許で運転できる扱いになります。同じ「役員の送迎」でも、ハイヤー会社の車で送るのか、その会社の自家用車で送るのかで、雇い主も必要な免許も変わるわけです。


統計の分け方も同じ線で引かれています。厚生労働省が賃金構造基本統計調査のために公表している役職・職種一覧表では、「ハイヤー運転者」は職種番号1612の「タクシー運転者」に、「役員車運転者」や「送迎運転者」は1613の「乗用自動車運転者(タクシー運転者を除く)」に分類されています。この区分が、後で見る年収の数字を読むときの前提になるのです。
私たちがこの一覧表を開いて意外だったのは、役員車運転者がハイヤー運転者と別の番号に振り分けられていた点です。求人を見るときは、どちらの立場の募集なのかを最初に確かめると迷いが減ります。
参考:e-Gov法令検索「タクシー業務適正化特別措置法」
参考:e-Gov法令検索「道路交通法」
参考:e-Gov法令検索「道路運送法」
参考:厚生労働省「賃金構造基本統計調査の対象事業所に選ばれた事業主の方へ」(役職・職種一覧表)
ハイヤー運転手の仕事内容|送迎の種類と1日の流れ
ハイヤー運転手の仕事は、運転そのものより「予約どおりに始めて、予約どおりに終える」ことに重心があります。中身は次の4点に分けると見通しが立つでしょう。
- 使われ方は、役員などの送迎、時間単位の貸切、冠婚葬祭などの行事
- 1日は乗務前の点呼に始まり、乗務後の点呼に終わる
- 2026年10月から、運行指示書を持って乗務することが運転者の義務になった
- 身だしなみと接遇の細かい決まりは、会社の規程で定められる
主な仕事は3つの使われ方に分かれる
関東運輸局が都市型ハイヤー事業者向けに開いた講習会の資料(令和8年3月4日)は、都市型ハイヤーを、運送の引受けが営業所のみで行われ、「1日以上の専属契約又は2時間以上の運送契約により運送を行うもの」と説明しています。同じ資料は、流し営業や駅待ちが法令で禁止されていること、空港などでの客引き行為が道路運送法違反に当たることも明記しています。ハイヤー運転手は、仕事を自分で探しに行く職業ではなく、会社が受けた予約を確実にこなす職業です。
一般的な使われ方を、運転手の目線で整理すると次のようになります。
| 使われ方 | 主な中身 | 運転手に求められること |
|---|---|---|
| 役員などの送迎 | 決まった利用者を継続して送る。1日以上の専属契約で担当することもある | 利用者の予定に合わせた待機と、移動中の静かな車内づくり |
| 時間単位の貸切 | 空港送迎、会食、観光など | 行程全体を見た経路と時間の組み立て |
| 冠婚葬祭などの行事 | 式場や会場との往復、複数人の送迎 | 時間どおりの到着と、場に合った立ち居振る舞い |
観光での利用は行政の通知にも表れています。観光庁は令和8年10月1日付で旅行業の団体に、ハイヤーとタクシーの事業者から交付された運送引受書を旅行業者も運行終了日から3年間保存するよう求めました。旅行会社がハイヤーを手配する場面を想定した通知です。
1日の流れは点呼に始まり点呼に終わる
旅客自動車運送事業運輸規則第24条は、事業者に対し、乗務しようとする運転者に点呼を行い、車両の点検、酒気帯びの有無、疾病・疲労・睡眠不足などで安全に運転できないおそれの有無を確認するよう定めています。酒気帯びの確認には、営業所に備えたアルコール検知器を使わなければなりません。乗務を終えたときも点呼を受け、車両・道路・運行の状況を報告し、酒気帯びの有無を確かめられます。
乗務中は、同規則第50条第10項により、会社が作った乗務員証を携行します。2026年10月からは、これに運行指示書が加わりました。国土交通省が示した運行指示書の参考様式には、「配車依頼方法、立寄り地、待機場所、注意箇所、その他指示事項」を書く欄があります。
1日の流れをまとめると次のとおりです。
- 出庫前の点呼を受ける。車両の点検の確認、アルコール検知器による酒気帯びの確認、体調の申告
- 運行指示書と乗務員証を持ち、その日の行き先・時刻・待機場所を確かめる
- 迎えの場所へ向かい、利用者を乗せる
- 目的地へ送り、用務が終わるまで指示された場所で待機する
- 帰庫して終業の点呼を受け、車両・道路・運行の状況を報告する


待機の場所にも決まりがあります。先の関東運輸局の資料は、羽田空港と成田空港を例に、需要の多いエリアでの路上待機が交通渋滞などの問題を起こしているとして、駐停車が禁止されている場所や交通の妨げになる場所では待機しないよう求めています。
2026年10月から、運行指示書を持って乗務する
令和8年10月1日に施行された旅客自動車運送事業運輸規則の改正で、ハイヤーの運転者には次の義務が加わりました。
「ハイヤー旅客運送」はハイヤーを使って行う運送、「携行」は乗務中に身につけて持ち歩くことを指します。会社の側には、運行ごとに運行の開始・終了の地点と日時、運転者の氏名、車両の自動車登録番号、運送契約の相手方の氏名または名称と連絡先などを書いた運行指示書を作り、それで運転者に指示する義務が課されました(第28条の3)。申込者には、運行の地点と日時、運賃と料金の額などを書いた運送引受書を渡し、その写しを運送の終了の日から3年間保存します(第7条の3と国土交通省の通知)。いずれも「努める」ではなく「しなければならない」と書かれた義務で、運転者にとっては、誰をいつどこからどこまで運ぶのかを書面で確かめてから走る形になりました。 なお、施行前に申込みがあった運送の引受けには、従前の例が適用されます。
身だしなみと接遇は、規程と待遇をセットで確かめる
服装について法令が運転者に求めているのは、運輸規則第50条第1項第10号の「運転操作に円滑を欠くおそれがある服装をしないこと」までです。スーツや制服の着用、車内での会話の控え方、業務で知った情報の扱いといった細かい決まりは、各社の就業規則やマニュアルで定められます。
| 場面 | 一般に求められること | 入社前に確かめたいこと |
|---|---|---|
| 服装 | 会社が定めた制服やスーツを整えて着る | 制服の貸与の有無と、着替えをどこで行うか |
| 迎車と乗降 | 予定の時刻に余裕をもって着き、乗降を介助する | 迎車時刻の何分前に着くよう決められているか |
| 車内 | 利用者が仕事や休息に使える静かな環境を保つ | 会話や車内設備の扱いに社内の決まりがあるか |
| 業務で知った情報 | 行き先や車内の会話を外に出さない | 守秘に関する誓約書や規程の中身 |
ここで見落としやすいのが、身だしなみにかかる時間の扱いです。厚生労働省の「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」は、使用者の指示により、着用を義務付けられた所定の服装への着替えなどを事業場内で行った時間を、労働時間として扱う例に挙げています。制服への着替えを営業所で行うよう決められているなら、その時間は労働時間として記録されるのが筋です。
参考:関東運輸局「都市型ハイヤー事業者 オンライン講習会」
参考:観光庁「一般乗用旅客自動車運送事業者(ハイヤー及びタクシー事業者)から交付された運送引受書の保存について(通知)」(神奈川県掲載)
参考:国土交通省「旅客自動車運送事業運輸規則第7条の3に規定する運送引受書等の記載事項等について」(北海道運輸局掲載)
参考:e-Gov法令検索「旅客自動車運送事業運輸規則」
参考:厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」
ハイヤー運転手になるには|第二種免許と入社後の手続き
ハイヤー運転手になるまでの道のりは、免許を取る段階と、会社に入ってから乗務を任されるまでの段階に分かれます。
- 普通第二種免許が必要
- 受験資格は原則21歳以上・免許の保有期間3年以上で、特例教習を修了すれば19歳以上・1年以上
- 入社後は、会社が行う指導と適性診断を経てから運転者に選ばれる
- タクシーの運転者登録は求められず、乗務員証を持って乗務する
第二種免許の受験資格
普通第二種免許の受験資格は、道路交通法第96条第5項第1号に書かれています。
平たく言えば、原則は21歳以上で、普通免許などを持っていた期間が通算3年以上あること。数える対象は大型・中型・準中型・普通・大型特殊の5種類で、二輪や原付の免許は入りません。「政令で定める教習」は受験資格特例教習のことで、警察庁によると、年齢の要件を下げる課程は座学や実車を含む7時限以上、経験年数の要件を下げる課程は29時限以上です。年齢の特例で取った場合は21歳になるまで若年運転者期間となり、違反の点数しだいで若年運転者講習の受講が義務づけられます。取り方ごとの費用や、会社が費用を負担する制度の確認点は、二種免許の費用をルート別に整理した記事にまとめています。
入社後、乗務までに受ける指導と適性診断
免許を持って入社しても、すぐにハイヤーを任されるわけではありません。運輸規則第36条第1項は、日々雇い入れられる人、2か月以内の期間を定めて使用される人、14日を超えていない試用期間中の人などを運転者に選んではならないと定めています。
さらに同条第2項により、ハイヤーを含む一般乗用旅客自動車運送事業の会社は、新たに雇い入れた人に指導・監督と特別な指導を行い、適性診断を受けさせた後でなければ、運転者に選べません。ただし、その会社の営業区域内で、雇い入れの日前2年以内に通算90日以上タクシーやハイヤーの運転者だった人は、この手順の対象から外れます。 同じ地域でタクシーに乗っていた人がハイヤーに移る場合、入社から乗務までが短くなりうるということです。適性診断で何を測るのかは、タクシー運転手に向いてる人を整理した記事で扱っています。


タクシーの運転者登録は求められない
国土交通大臣が指定した地域でタクシーに乗るには、タクシー運転者の登録が必要です。タクシー業務適正化特別措置法第3条が、登録を受けた運転者以外を乗務させてはならないと定めているのは「タクシー」で、ハイヤーはこの条文の対象に入っていません。ハイヤーの運転者は、登録運転者証の代わりに、会社が作成した写真付きの乗務員証を携行して乗務します(運輸規則第37条第3項)。
参考:警察庁「第二種免許等の受験資格の見直しについて」
参考:e-Gov法令検索「道路交通法」
参考:e-Gov法令検索「旅客自動車運送事業運輸規則」
参考:e-Gov法令検索「タクシー業務適正化特別措置法」
参考:関東運輸局「都市型ハイヤー事業者 オンライン講習会」
ハイヤー運転手の年収|統計で分かることと分からないこと
ハイヤー運転手の年収は、公的統計で言える範囲と言えない範囲をはっきり分けて読む必要があります。
- 賃金構造基本統計調査では、ハイヤー運転者はタクシー運転者に含まれ、ハイヤーだけの賃金は公表されていない
- ハイヤー運転者を含むタクシー運転者の年収換算は450.8万円(令和7年)
- 役員車運転者などを含む乗用自動車運転者は371.0万円で、賞与はこちらが多い
- 求人を比べるときは、給与の内訳と時間外手当の計算方法を見る
ハイヤーだけの平均年収は公表されていない
先に見た職種一覧表のとおり、厚生労働省の賃金構造基本統計調査はハイヤー運転者を「タクシー運転者」として集計しているため、ハイヤー運転手だけの平均年収はこの調査からは分かりません。 「ハイヤーの平均年収」として示される金額を見たら、どの資料のどの職種の値なのかを確かめてから使うようにしましょう。
統計から言えることを並べます。令和7年賃金構造基本統計調査の企業規模10人以上・一般労働者の数字で、月の給与は令和7年6月分、賞与は原則令和6年1年間の支給額です。年収換算は「きまって支給する現金給与額×12+年間賞与その他特別給与額」で編集部が計算しました。
| 項目 | タクシー運転者(ハイヤー運転者を含む) | 乗用自動車運転者(役員車・送迎の運転者など) |
|---|---|---|
| 平均年齢 | 56.8歳 | 59.5歳 |
| 平均勤続年数 | 8.3年 | 7.8年 |
| 月の実労働時間(所定内+超過) | 192時間(169+23) | 182時間(162+20) |
| きまって支給する現金給与額(月) | 35万9,200円 | 28万1,700円 |
| うち所定内給与額(月) | 30万6,400円 | 24万4,900円 |
| 年間賞与その他特別給与額 | 19万7,800円 | 32万9,400円 |
| 年収換算 | 450万8,200円 | 370万9,800円 |
| 労働者数(推計) | 17万210人 | 4万1,740人 |
ハイヤー運転者を含むタクシー運転者の年収換算は450.8万円で、役員車運転者などを含む乗用自動車運転者の371.0万円を79万8,400円上回る結果でした。月の給与ではタクシー運転者が7万7,500円多く、年間賞与は乗用自動車運転者のほうが13万1,600円多くなっています。賞与の比重は社用車の運転手の側が大きく、月々の給与はタクシー・ハイヤーの側が大きいという違いが出ています。


ただし、450.8万円はタクシー運転者全体の数字で、ハイヤー運転者の平均ではありません。2つの職種は年齢も労働時間も違い、差がどの要因から生まれているかまでは、この統計からは読み取れません。タクシー運転者の年収を年齢別・都道府県別に見たい方は、タクシー運転手の年収を整理した記事をご覧ください。
求人票で見るのは、給与の内訳と時間外の計算方法
統計で平均が分からない以上、手がかりは個々の求人票です。後で見るとおりハイヤー運転者の労働時間は時間外労働の上限で管理されるため、時間外手当の計算は年収に直結します。労働基準法第37条は、時間外・休日労働に割増賃金を支払うよう定め、1か月60時間を超えた時間外労働は通常の賃金の5割以上、午後10時から午前5時までの深夜労働は2割5分以上の率で計算するとしています。
求人票では、基本給・手当・歩合の内訳、固定残業代があるならその時間数と金額、待機している時間が労働時間として記録されるかの3点を並べて比べてください。月給の総額が同じでも、何時間分の時間外を含んだ金額なのかで、1時間あたりの賃金は変わります。
参考:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 職種(小分類)、性別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」(e-Stat)
参考:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 結果の概況:調査の概要」
参考:厚生労働省「賃金構造基本統計調査の対象事業所に選ばれた事業主の方へ」(役職・職種一覧表)
参考:e-Gov法令検索「労働基準法」
ハイヤー運転手の労働時間|改善基準告示はタクシーと別扱い
ハイヤー運転手の労働時間は、タクシー運転手とは別のルールで管理されています。要点は次の4つです。
- タクシー運転者の拘束時間と休息期間の上限は、ハイヤー運転者には適用されない
- 時間外労働は、36協定で原則1か月45時間・1年360時間まで、臨時的な特別の事情があっても1年960時間まで
- 勤務が終わった後に一定の休息期間を与えることは会社の義務だが、時間数は告示に書かれていない
- 待機している時間も、労働から離れることが保障されていなければ労働時間に当たる
拘束時間の上限がない代わりに、時間外労働の上限で管理する
厚生労働省の告示「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」(改善基準告示)は、タクシー運転者の拘束時間や休息期間を細かく定めたうえで、ハイヤーについて次の一項を置いています。
「第一項から前項まで」は、タクシー運転者の拘束時間・休息期間や休日労働の回数などを定めた部分です。代わりに第3条が、ハイヤー運転者の36協定(時間外・休日労働の協定)で時間外労働を限度時間内に収めること、臨時的に超える場合でも1年960時間を超えないことを求めています。厚生労働省のパンフレットによれば、この限度時間は1か月45時間・1年360時間。
勤務と勤務の間については、第3条第3項が「必要な睡眠時間を確保できるよう、勤務終了後に一定の休息期間を与えなければならない」と定めています。休息期間を与えること自体は会社の義務です。ただし、タクシーの「継続11時間以上を基本とし、9時間を下回らない」のような時間数は書かれていないため、実際に何時間空くのかは勤務表と面接で確かめるしかありません。 タクシー運転者の上限を並べた比較は、ハイヤーとタクシーの違いを比較した記事に載せています。
待機している時間は労働時間に入るのか
ハイヤーの仕事では、利用者の会議や会食が終わるまで車で待つ時間が長くなりがちです。この時間の扱いについて、厚生労働省の「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」は、「使用者の指示があった場合には即時に業務に従事することを求められており、労働から離れることが保障されていない状態で待機等している時間(いわゆる「手待時間」)」を労働時間として扱う例に挙げています。改善基準のパンフレットも、労働時間の中に「手待ち時間(客待ち等)」を含めて図示しています。
つまり、車のそばを離れられず、呼ばれたらすぐに出られる状態で待っているなら、その時間は労働時間に当たると考えるのが基本です。反対に、何時から何時までは車を離れて自由に過ごしてよいと決まっている時間は休憩になります。どちらに当たるかは、契約や規則の名目ではなく実態で個別に判断されます。面接では「待機時間は勤務表と賃金の計算でどう扱われますか」と、そのまま聞いてしまうのが確実です。
参考:厚生労働省「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」(改正後全文)
参考:厚生労働省「タクシー・ハイヤー運転者の労働時間等の改善基準のポイント」
参考:厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」
ハイヤー運転手に向いている人・向いていない人
ここまでの仕事内容とルールを踏まえると、向き不向きは運転の腕前より、待つことと予定の変化への向き合い方に出ます。場面ごとに整理すると次のとおりです。
| 場面 | 向いている人 | 向いていない人 |
|---|---|---|
| 待機の時間 | 車のそばで待つ時間を、次の行程の確認や車内の準備に使える | 何もしない時間が続くと集中が切れてしまう |
| 予定の変化 | 会議の延長や行き先の変更に合わせて段取りを組み直せる | 決まった時刻に決まった仕事を終えたい |
| 車内での距離感 | 話しかけられたときに応じ、それ以外は静かに保てる | 会話で場を盛り上げることにやりがいを感じる |
| 情報の扱い | 行き先や車内で聞いた話を誰にも話さずにいられる | 仕事の出来事を人に話して整理したい |
| 運転のしかた | 速さより、揺れの少ない発進と停止を優先できる | 目的地に早く着くことを優先したくなる |
運行指示書の様式に「待機場所」の欄が独立して設けられているのを見て、私たちはこの仕事では待つ時間も設計の対象なのだと感じました。
接客や受付の仕事で身につけた、相手の予定を先回りして動く力は、この表の多くの場面でそのまま活かせるでしょう。接客経験の言葉への置き換え方は、接客業からの転職で経験を言い換える方法で整理しています。
ハイヤー運転手への転職の進め方
ハイヤー運転手への転職は、次の4つの順に進めると、条件の比べ漏れを防ぎやすくなるでしょう。
- 求人が「ハイヤー会社の運転手」か「事業会社の役員車の運転手」かを見分ける
- 普通第二種免許の有無と、取得を支援する制度があるかを確かめる
- 求人票で給与の内訳と時間外の計算方法を並べる
- 面接で待機と休息の扱いを聞く
求人の立場を見分け、免許の状況を確かめる
マイナビ・リクナビなどの求人サイトや転職エージェントで「ハイヤー」「役員運転手」と検索すると、ハイヤー会社の求人と、事業会社が自社の車の運転手を募る求人が混ざって出てくることがあります。前者は普通第二種免許が必要で、労働時間は改善基準告示のハイヤーのルールで管理されます。後者は一般に第一種免許で応募できる一方、仕事の受け方も賃金統計の職種も別物です。
二種免許を持っていない場合は、取得を支援する制度がある会社を選ぶのが現実的です。タクシーで経験を積んでからハイヤーに移る人もいます。同じ営業区域で雇い入れ前2年以内に通算90日以上の乗務経験があれば、入社時の指導と適性診断の手順は運輸規則上の対象外です。タクシー会社に入る段階で確かめたい保障給や二種免許の費用の返還条件は、タクシー転職で後悔しないために入社前に確かめる5つのことで整理しています。
求人票と面接で確かめる5つのこと
| 確かめること | なぜ見るのか | 聞き方の例 |
|---|---|---|
| 雇い主と車 | ハイヤー会社の事業用自動車か、事業会社の自家用車かで、免許も労働時間のルールも変わる | 「乗務するのは御社のハイヤーですか、お客様の会社の車ですか」 |
| 二種免許の取得支援 | 負担の範囲と途中退職時の扱いが会社ごとに違う | 「会社が負担する範囲と、途中で辞めた場合の扱いを書面で見せていただけますか」 |
| 給与の内訳 | ハイヤーだけの平均年収は統計にないため、求人ごとに比べるしかない | 「基本給・手当・時間外手当の内訳と、固定残業代の時間数を教えてください」 |
| 待機時間の扱い | 呼ばれたらすぐ出られる状態の待機は、労働時間に当たるのが基本 | 「待機時間は勤務表と賃金の計算でどう扱われますか」 |
| 勤務と休息 | 告示はハイヤーの休息期間の時間数を定めていない | 「勤務が終わってから次の勤務まで、実際には何時間空くことが多いですか」 |
5項目とも、答えを渋るかどうかより、具体的な数字や書面で返ってくるかを見てください。待機や休息の扱いを時間の単位で説明できる会社は、勤務の管理も具体的に行っていると考えられます。会社が制度や働き方をどんな言葉で語っているかは、熱狂ベンチャーナビの経営者インタビューでも読み比べられます。


参考:e-Gov法令検索「旅客自動車運送事業運輸規則」
参考:厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」
参考:厚生労働省「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」(改正後全文)
ハイヤー運転手に関するよくある質問
ハイヤードライバーとはどんな仕事ですか?
ハイヤー会社の営業所が予約で引き受けた送迎だけを担当する、普通第二種免許の運転手の仕事です。 タクシー業務適正化特別措置法第2条第2項は、ハイヤーを運送の引受けが営業所のみで行われる車と定めており、流し営業や駅待ちはできません。役員などの送迎、空港送迎や会食・観光での時間単位の貸切、冠婚葬祭などの行事で使われます。令和8年10月1日に施行された旅客自動車運送事業運輸規則の改正により、運転者は会社が運行ごとに作る運行指示書を乗務中に携行する義務を負っています。
ハイヤー運転手の年収はどのくらいですか?
厚生労働省の賃金構造基本統計調査では、ハイヤー運転者は「タクシー運転者」に含まれるため、ハイヤーだけの平均年収は公表されていません。 令和7年の同調査で、ハイヤー運転者を含むタクシー運転者(企業規模10人以上・一般労働者)の年収換算は450万8,200円でした(月の給与×12+年間賞与、編集部計算)。役員車運転者や送迎運転者などの「乗用自動車運転者(タクシー運転者を除く)」は370万9,800円で、こちらにハイヤー運転者は含まれません。どちらもハイヤー運転者だけの平均ではないため、実際の条件は求人票の給与の内訳で比べてください。
参考:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 職種(小分類)、性別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」(e-Stat)
普通免許しか持っていなくてもハイヤー運転手になれますか?
乗務するには普通第二種免許が必要なので、持っていなければ取得するところから始まります。 道路交通法第96条第5項により、普通第二種免許の受験資格は原則として21歳以上で、普通免許などの保有期間が通算3年以上です。受験資格特例教習を修了すれば19歳以上・保有期間1年以上で受験できます。取得費用を会社が負担する制度を設けている求人もありますが、負担の範囲や途中で辞めたときの扱いは会社ごとに違うため、書面で確認してください。
タクシー運転手からハイヤー運転手に転職できますか?
必要な免許はどちらも普通第二種免許なので、免許の面ではそのまま移れます。 旅客自動車運送事業運輸規則第36条第2項により、ハイヤーやタクシーの会社は新たに雇い入れた人に指導・監督と特別な指導を行い、適性診断を受けさせてから運転者に選ぶ必要がありますが、その会社の営業区域内で雇い入れ前2年以内に通算90日以上タクシーやハイヤーの運転者だった人はこの手順の対象外です。一方、労働時間のルールは改善基準告示でタクシーと別扱いになるため、勤務の組み方は応募先で確かめてください。
待機している時間にも給料は出ますか?
呼ばれたらすぐに業務に就く状態で待っている時間は、労働時間として扱うのが基本です。 厚生労働省の「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」は、使用者の指示があればすぐ業務に従事することを求められ、労働から離れることが保障されていない状態で待機している時間(手待時間)を労働時間の例に挙げています。車を離れて自由に過ごしてよいと決まっている時間は休憩です。どちらに当たるかは実態で個別に判断されるため、待機時間が勤務表と賃金の計算でどう扱われるかを、入社前に確認しておきましょう。
参考:厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」
まとめ
ハイヤー運転手は、営業所が予約で引き受けた送迎だけを担当する、普通第二種免許の運転手です。流し営業はできず、1日は点呼に始まり点呼に終わります。令和8年10月1日からは、運行ごとに作られる運行指示書を持って乗務することが運転者の義務になりました。なるには普通第二種免許が必要で、受験資格は原則21歳以上・免許の保有期間3年以上。入社後は会社による指導と適性診断を経て運転者に選ばれ、タクシーの運転者登録は求められません。
年収については、賃金構造基本統計調査でハイヤー運転者がタクシー運転者に含まれるため、ハイヤーだけの平均は公表されていません。令和7年のタクシー運転者の年収換算は450.8万円、役員車運転者などを含む乗用自動車運転者は371.0万円です。労働時間は改善基準告示でタクシーと別扱いになり、時間外労働の上限で管理され、休息期間の時間数は告示に書かれていません。
私たちが資料を並べてみて思うのは、この仕事を選ぶ決め手は平均年収より、待機と休息を会社がどう扱っているかではないか、ということです。雇い主と車、免許の支援、給与の内訳、待機時間、勤務と休息。この5つの答えを集めれば、求人どうしを同じ物差しで比べられます。
条件の違う求人を並べて比べる段階になったら、多くの求人を見ている転職のプロの手を借りると早く進みます。

