総合職と一般職の違いとは?仕事内容・転勤・給料とエリア総合職を比較

総合職は幅広い業務と転勤・異動を想定した幹部候補のコース、一般職は定型的な業務が中心で、転居を伴う転勤を想定しないことが多いコースです。
実は、こうしたコースを設けている企業は全体の6.1%にとどまります。どちらも法律で中身が決まった区分ではなく、会社が自社の制度として決めているものです。
この記事では、仕事内容・転勤・給料の違いを比べたうえで、エリア総合職の位置づけ、コースの選び方、入社後の転換制度の確かめ方を整理します。
総合職と一般職の違いを一覧で比較
総合職と一般職の違いは、大きく次の4点に整理できます。
- 任される仕事の範囲
- 転居を伴う転勤の有無
- 昇進の道筋
- 給与の上がり方
| 比較する点 | 総合職 | 一般職 | エリア総合職 |
|---|---|---|---|
| 仕事内容 | 企画立案・営業・研究開発など、基幹的な業務や総合的な判断を行う業務 | 定型的な業務が中心で、総合的な判断を行う業務は総合職より少ない | 総合職に近い基幹的な業務 |
| 転勤・異動 | 勤務地の制限がなく、転居を伴う転勤がありうる | 原則として転居を伴う転勤がないことが多い | 転居を伴う転勤がない、または一定の地域内に限られる |
| 昇進・キャリア | 部署を移りながら経験を積み、管理職の候補として育成される | 担当業務の熟練を重ねる。昇進の仕組みを総合職と分ける会社もある | 総合職に近いが、昇進の範囲を限る会社もある |
| 給与の考え方 | 入社時から高めのことが多く、年齢とともに上がり幅が大きくなりやすい | 入社時の差は小さくても、年齢とともに総合職との差が開きやすい | 総合職と同じ賃金体系の会社も、差を設ける会社もある |
表の区分は、国の統計が使う定義にそろえています。厚生労働省の雇用均等基本調査は、総合職を「基幹的な業務や総合的な判断を行う業務に属し、勤務地の制限がない職種」、一般職を「『総合職』『限定総合職』と比して基幹的な業務や総合的な判断を行う業務が少ない職種」と定めて集計しています。中央労働委員会の賃金事情等総合調査も、総合職を「基幹的業務又は企画立案、対外折衝等総合的な判断を要する業務に従事する職種」、一般職を「主に定型的業務に従事する職種」としており、仕事の範囲で分ける点は共通です。
転勤については、厚生労働省が平成26年度に行ったコース別雇用管理制度の実態調査が、総合職を「原則転居を伴う転勤がある」、一般職を「原則転居を伴う転勤がない」コースとして分類しました。ただし、これらは統計を取るための区分で、実際のコース名や中身は各社が決めています。同じ「一般職」という名前でも任される仕事の幅や転勤の扱いは会社によって違うため、名前より募集要項に書かれた仕事内容・勤務地・昇進の仕組みで比べるのが確実です。
参考:厚生労働省「令和7年度雇用均等基本調査」
参考:中央労働委員会「令和7年賃金事情等総合調査」
参考:厚生労働省「平成26年度コース別雇用管理制度の実施・指導状況(確報版)を公表します」
総合職・一般職は会社が決めるコース|指針と法律のルール
総合職と一般職のようにコースを分け、採用や昇進の扱いを変える仕組みを、コース別雇用管理制度と呼びます。押さえておきたいのは次の4点です。
- 国の指針が、コース別雇用管理の範囲を定めている
- 性別でコースを分けることは法律で禁止されている
- 転居を伴う転勤を条件にするには、合理的な理由が要る
- 制度がある会社は全体の6.1%で、規模の大きい会社に多い
厚生労働省は、コースで区分した雇用管理を行う事業主が留意すべきことを指針にまとめています。その第3は、対象となる雇用管理を次のように定義しています。
平たく言えば、会社が仕事の種類や資格をもとにいくつかのコースを設け、コースごとに採用・配属・昇進・研修の扱いを変える仕組みのことです。勤務地を限るかどうかで扱いを分けるものも含まれるので、エリア総合職もこの枠組みに入ります。指針が定めているのは仕組みの範囲であり、総合職や一般職の中身までは決めていません。
指針を読むときは、項目ごとの重みの違いにも目を向けておきましょう。事業主が留意すべき事項は「法に直ちに抵触する例」「制度のより適正かつ円滑な運用をするために留意すべき事項の例」「労働者の能力発揮のため実施することが望ましい事項の例」の3段で書かれています。最初の段は男女雇用機会均等法に反する扱いの例で、3段目は「望ましい」という位置づけ。入社後にコースを変えられる転換制度はこの3段目に置かれており、設けるかどうかは会社の判断に委ねられています。
参考:厚生労働省「コース等で区分した雇用管理を行うに当たって事業主が留意すべき事項に関する指針」
性別でコースを分けることは禁止されている
男女雇用機会均等法第5条は「事業主は、労働者の募集及び採用について、その性別にかかわりなく均等な機会を与えなければならない」と定めています。続く第6条は、配置・昇進・教育訓練や、職種と雇用形態の変更について、性別を理由とする差別的取扱いを禁じています。
指針はこれを受けて、一方の性の労働者だけを一定のコースに分けること、一方の性だけに特別な要件を課すこと、形のうえでは男女双方に開かれていても運用で男女を別々に扱うことを「法に直ちに抵触する例」に挙げました。厚生労働省と都道府県労働局のリーフレットも、転勤が条件のコースに応募した人のうち女性にだけ面接で転勤の意思を確認することを、その具体例として示しています。どちらのコースに応募するかは、性別ではなく、仕事内容と働き方の希望で決めるものです。
参考:e-Gov法令検索「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」
参考:厚生労働省・都道府県労働局「あなたの会社は大丈夫ですか?~『コース別雇用管理』の注意点~」
転居を伴う転勤を条件にするには合理的な理由が要る
総合職では、転居を伴う転勤に応じられることを条件にしている会社もあります。この条件にも法律上の歯止めがあり、均等法第7条と同法施行規則第2条第2号は、募集・採用や昇進、職種の変更で「労働者の住居の移転を伴う配置転換に応じることができること」を要件にする措置を、合理的な理由がなければ講じてはならないものとしています。性別を直接の条件にしていなくても、結果として一方の性に不利益が偏るおそれのある要件を「間接差別」として規制する考え方です。
厚生労働省「男女雇用機会均等法のあらまし」は、合理的な理由がない例として、広い地域に支店や支社がなく展開する計画もない場合や、支店はあっても転居を伴う転勤の実態がほとんどない場合を挙げています。平成26年度の同省の調査でも、支店がなく転勤の実態もないのに総合職の区分に転勤要件を設けていた会社が、法違反として行政指導を受けました。
指針は、合理的な理由があって転勤要件を課す場合にも、応募者に対して可能な範囲で転勤要件に関する情報を提供するよう求めています。転勤の頻度や範囲は、説明会や面接で尋ねてかまわない情報です。
参考:e-Gov法令検索「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律施行規則」
参考:厚生労働省・都道府県労働局「男女雇用機会均等法のあらまし」
参考:厚生労働省「平成26年度コース別雇用管理制度の実施・指導状況(確報版)を公表します」
コース別雇用管理制度がある会社は6.1%
厚生労働省「令和7年度雇用均等基本調査」によると、コース別雇用管理制度が「あり」とした企業は6.1%で、令和4年度の5.5%から0.6ポイント上がりました。企業規模別に見ると、5,000人以上が51.2%、1,000〜4,999人が41.8%、300〜999人が28.0%、100〜299人が16.3%、30〜99人が6.7%で、10〜29人では3.1%にとどまります。産業別では、金融業、保険業が22.3%と高めです。調査は常用労働者10人以上の企業6,000社を対象に令和7年10月1日現在の状況を尋ねたもので、3,077社が回答しました。

総合職と一般職の区分に出会うのは、主に規模の大きい会社の選考と考えてよいでしょう。5,000人以上の会社でも制度があるのは約半数で、それ以外の多くの会社では、コースではなく職種や配属の決まり方を見ることになります。
総合職と一般職の給料の差|大企業のモデル賃金では年齢とともに開く
コース別の給料を同じ物差しで並べられる公的な統計に、中央労働委員会「令和7年賃金事情等総合調査」のモデル賃金があります。大学を卒業して22歳で入社し、同じ会社で標準的に昇進した場合の月々の所定内賃金を、総合職相当と一般職相当に分けて集計したものです。読み取れるのは次の3点です。
- 入社時の差は月3万円あまり
- 30代から差が広がり、55歳では月20万円を超える
- 大企業の標準的なモデルで、残業代や賞与は含まない
| 年齢 | 総合職相当 | 一般職相当 | 差 |
|---|---|---|---|
| 22歳 | 26万9,300円 | 23万7,900円 | 3万1,400円 |
| 25歳 | 29万7,100円 | 26万2,700円 | 3万4,400円 |
| 30歳 | 36万4,300円 | 30万1,700円 | 6万2,600円 |
| 35歳 | 43万4,300円 | 32万900円 | 11万3,400円 |
| 40歳 | 50万9,900円 | 36万1,400円 | 14万8,500円 |
| 45歳 | 57万5,000円 | 38万4,600円 | 19万400円 |
| 50歳 | 61万8,700円 | 42万500円 | 19万8,200円 |
| 55歳 | 65万2,100円 | 44万7,700円 | 20万4,400円 |
表は大学卒の事務・技術労働者の調査産業計で、令和7年6月末時点の値です。差は入社時の月3万1,400円から、40歳で14万8,500円、55歳で20万4,400円へと広がっていきます。モデル賃金は標準的に昇進した場合の想定額なので、年齢とともに開く差には、コースごとの昇進・昇格の道筋の違いも表れているのでしょう。
ただし、数字の受け止め方には注意が要ります。調査対象は、原則として資本金5億円以上かつ労働者1,000人以上の企業から選んだ380社で、集計は205社。モデル賃金は実際に働く人の平均ではなく、残業代や賞与も含みません。さらに総合職相当は130社、一般職相当は41社の回答をそれぞれ集計しているため、同じ会社の中の差を示したものでもないのです。大企業の標準的なモデルで見ると年齢とともに差が開く傾向がある、というのがこの統計から言える範囲です。
自分が受ける会社の差を知りたいときは、募集要項の初任給をコース別に見比べ、説明会で昇給と昇格の決まり方を聞いてみてください。なお、同じ調査には高校卒や短大・高専卒にも総合職相当と一般職相当の表があり、どちらのコースも大学卒に限られた区分ではありません。
エリア総合職は勤務地を限った総合職|限定正社員との関係
転勤のない働き方を考えるときに出てくるのが、エリア総合職と限定正社員です。関係を整理すると次のようになります。
- エリア総合職は、勤務地の範囲を限って基幹的な仕事を担うコース
- 限定正社員は、勤務地・職務・勤務時間のいずれかを限った正社員の総称
- 転勤の範囲は「就業場所の変更の範囲」で書面から確かめられる
エリア総合職の定義と呼び名
エリア総合職は、総合職と一般職の中間というより、総合職に近い基幹的な仕事を勤務地の範囲を限って担うコースです。雇用均等基本調査ではこれを含む区分を「限定総合職」とし、「準総合職、専門職など基幹的な業務や総合的な判断を行う業務に属し、転居を伴う転勤がない又は一定地域内や一定職種内でのみ異動がある職種」と定義しています。平成26年度の厚生労働省の調査も、一定のエリア内だけで転勤がある「準総合職」と、転居を伴う転勤がない「中間職」を区別して分類していました。
呼び名はエリア総合職、地域総合職などさまざまで、どこまでを「エリア」とするかも会社によって違います。総合職との違いが勤務地の範囲だけなのか、仕事や昇進の範囲にも差があるのかは、コースごとに確かめておく必要があります。
参考:厚生労働省「令和7年度雇用均等基本調査」
参考:厚生労働省「平成26年度コース別雇用管理制度の実施・指導状況(確報版)を公表します」
限定正社員との関係
限定正社員は「多様な正社員」とも呼ばれます。厚生労働省のモデル就業規則は、限定正社員を「業務上基幹的役割を担い、職種・職務、勤務時間や勤務地などに関して一定の限定がある社員」とする規定例を示しており、勤務地を限る勤務地限定正社員には、一定の地域に限る型、一定の地区に限る型、特定の事業場に限る型があります。エリア総合職は、この勤務地限定と重なる考え方のコースです。
常用労働者5人以上の事業所を対象にした令和7年度雇用均等基本調査の事業所調査では、多様な正社員として働ける制度を就業規則などで明文化している事業所が26.6%でした。種類別に複数回答で見ると、短時間正社員が19.5%、勤務地限定正社員が16.2%、職種・職務限定正社員が14.2%です。
限定の中身にも幅があります。厚生労働省の冊子が紹介する労働政策研究・研修機構の調査(2022年)では、勤務地限定正社員がいる企業のうち、勤務地のほかに「職種・職務」も限定している企業が32.4%、「役職(昇進)の上限」を設けている企業が20.9%ありました。勤務地が限られるだけなのか、昇進や職種にも限りがあるのかは、応募前に確かめておきたい点です。
給与について同じ冊子は、正社員との賃金差を設ける場合は「正社員との制約度の違いに応じて、合理的な範囲で設定する必要があります」と解説しています。転勤がないぶん総合職と差を設ける会社もあれば、同じ賃金体系をとる会社もあるため、エリア総合職の給与は会社ごとに確認するしかありません。
参考:厚生労働省「多様な正社員及び無期転換ルールに係るモデル就業規則と解説」
参考:厚生労働省「令和7年度雇用均等基本調査」
転勤の範囲は「就業場所の変更の範囲」で確かめる
2024年4月から、会社が労働条件を明示するときは、雇い入れ直後の就業場所と業務に加えて、その「変更の範囲」も示す必要があります。労働基準法施行規則第5条第1項第1号の3は、明示する事項を「就業の場所及び従事すべき業務に関する事項(就業の場所及び従事すべき業務の変更の範囲を含む。)」と定め、書面での明示を求めています。求人や募集の段階でも、同じ月から職業安定法施行規則第4条の2第3項により、就業の場所と業務の変更の範囲が明示事項に加わりました。厚生労働省は「変更の範囲」を、将来の配置転換などによって変わりうる就業場所・業務の範囲と説明しています。
つまり、募集要項や求人票と、内定後に受け取る労働条件通知書を見れば、転勤がどこまでありうるかを書面で確かめられます。厚生労働省のパンフレットにある記載例と、そこから読み取れることを表で見てみましょう。
| 雇入れ直後 | 変更の範囲 | 読み取れること |
|---|---|---|
| 仙台営業所 | 会社の定める営業所 | 勤務地に限定がなく、転居を伴う転勤もありうる |
| 豊橋 | 愛知県内 | 勤務地が一定の地域に限られる |
| 金沢駅西通り店 | 変更なし | 採用時の勤務地から変わらない |
総合職とエリア総合職を両方募集している会社なら、2つのコースの「変更の範囲」を並べてみると違いがはっきりします。マイナビやリクナビなどの就職サイトに載る募集要項で見当たらなければ、説明会や面接で尋ねてかまいません。
参考:e-Gov法令検索「労働基準法施行規則」
参考:e-Gov法令検索「職業安定法施行規則」
参考:厚生労働省「令和6年4月から労働条件明示のルールが改正されます」
参考:厚生労働省「令和6年4月より、募集時等に明示すべき事項が追加されます」
参考:厚生労働省「2024年4月からの労働条件明示のルール変更 備えは大丈夫ですか?」
総合職か一般職か、応募前に考えたい5つの判断軸
どちらが上ということはありません。何を優先したいかで答えが変わるので、次の5つを順に考えてみてください。
- どんな仕事を任されたいか
- 転居を伴う転勤を受け入れられるか
- 給与と昇進の伸び方に何を求めるか
- 入社後にコースを変えられるか
- そもそもコースの区分がある会社か
どの軸も、性別や学歴ではなく自分の希望で答えるものです。コースごとに選考を分けている会社では、併願できるかどうかも募集要項で確認しておきましょう。エントリーの時期と流れは就活スケジュール完全ガイドで確認できます。
どんな仕事を任されたいか
総合職は、部署を移りながら企画や営業、管理など幅広い仕事を経験する前提のコースです。一般職は、決まった業務を正確に回し、その分野の熟練を重ねる働き方が中心になります。幅広く経験して事業全体を動かす側に回りたいのか、特定の業務で頼られる存在になりたいのか。どちらに手応えを感じそうかは、インターンシップや社員との面談で実際の仕事に触れると見えてきます。
選考では、コースを選んだ理由を問われることもあります。答えの土台になる経験の掘り起こしには自己PRが思いつかない人へ、面接での話し方にはグループ面接でよく聞かれる質問と回答のコツも参考にしてください。
転居を伴う転勤を受け入れられるか
地元で暮らし続けたい、家族の事情で住む場所を動かしにくいなど、住まいへの希望は人によって違います。転居を伴う転勤を避けたいなら、一般職だけでなく、エリア総合職や勤務地限定の正社員も候補に入るでしょう。見るべきはコース名ではなく、「就業場所の変更の範囲」に何と書かれているかです。
家庭生活との両立も、一般職だけのテーマではありません。指針は、どのコースを選んだ人にとっても家庭生活と両立しながら働ける職場環境を整えるよう、事業主に求めています。両立のしやすさは、コースの名前ではなく休暇や勤務の制度と、その使われ方で比べてください。
給与と昇進の伸び方に何を求めるか
大企業のモデル賃金で見たとおり、総合職と一般職の給料の差は、入社時よりも昇進・昇格が進む30代以降に大きく開く傾向があります。長く働いたときの収入の伸びを重視するなら、総合職のほうが選択肢は広がるでしょう。一方、仕事の範囲や働く場所が安定していることに価値を置くなら、一般職やエリア総合職の条件も十分に比べる対象です。
給与は入社時の金額ではなく、10年後、20年後の伸び方で比べると判断を誤りにくくなります。指針は、コースごとに昇進の仕組みを定めている会社に、その仕組みを明確にするよう求めています。説明会では「昇格の仕組みはコースごとに違いますか」と聞いてみてください。
入社後にコースを変えられるか
「いまは決めきれない」という人は、入社後にコースを変えられる会社を選ぶ手もあります。ただし、転換制度は会社の義務ではありません。制度の有無に加えて、条件と実際に使われているかまで確かめておくと安心です。
そもそもコースの区分がある会社か
コース別雇用管理制度がある企業は全体の6.1%でした。中小企業やベンチャーを受けるなら、総合職か一般職かではなく、どの職種で採用され、配属や異動がどう決まるかを見ることになります。
入社後のコース転換制度は4つの点で確かめる
入社後に一般職から総合職へ、あるいは総合職から一般職やエリア総合職へ移れる仕組みを、コース転換制度と呼びます。指針は、転換を認める制度を柔軟に設けることを「望ましい事項」とし、配慮したい点として次の4つを挙げています。
- 転換が双方向にできるか
- 転換の機会が十分にあるか
- 転換の可否と転換後の格付けの基準が適正か
- 転換する人への教育訓練があるか
| 確かめたい点 | 指針の考え方 | 説明会・面接での聞き方 |
|---|---|---|
| 双方向か | 転換が区分間相互に可能であること | 一般職から総合職へも、その逆にも移れますか |
| 機会 | 転換の機会が十分に確保されていること | 申し込みは年に何回、入社何年目からできますか |
| 基準 | 転換の可否の決定及び転換時の格付けが適正な基準で行われること | 転換の条件と、転換後の等級や給与はどう決まりますか |
| 育成 | これまでのキャリアルートの違いを考慮した教育訓練を必要に応じ受けさせること | 転換した人向けの研修はありますか |
実際の運用はどうでしょうか。少し古い調査ですが、厚生労働省が平成26年度に、都道府県労働局が把握しているコース別雇用管理制度のある118社を訪問して調べた結果では、88.1%に転換制度がありました。一般職から総合職への転換制度がある企業は84.7%、総合職から一般職へは61.9%で、向きによって差があります。
一般職から総合職への転換要件を複数回答で見ると、本人の希望が90.0%、上司の推薦が66.0%、面接試験が58.0%。この調査の時点では、手を挙げるだけでなく、推薦や試験を通る必要がある会社が多かったことになります。また、一般職から総合職への転換制度がある企業のうち48.0%は、平成23〜25年度の3年間に転換が一度もありませんでした。制度があることと、実際に使われていることは別なのです。
説明会や面接では、制度の有無に加えて「直近の数年で何人がコースを変えましたか」まで聞いてみてください。人数や時期が具体的に返ってくるなら、制度が動いている会社だと判断する材料になります。
参考:厚生労働省「コース等で区分した雇用管理を行うに当たって事業主が留意すべき事項に関する指針」
参考:厚生労働省「平成26年度コース別雇用管理制度の実施・指導状況(確報版)を公表します」
コースの区分がない会社では、職種と配属の決まり方を見る
コース別雇用管理制度がある企業は、30〜99人で6.7%、10〜29人の企業で3.1%でした。規模の小さい会社の募集要項には、総合職・一般職という言葉自体が出てこないことも珍しくないでしょう。
私たちが経営者に採用の話を聞いていると、コースで人を分けるより、入社後に本人が何をしたいかを見ながら配属や役割を決めている会社が多いと感じます。雛人形や五月人形をつくる株式会社ふらここの原英洋社長は、30名弱の会社で職種ごとに採用していることについて、こう話しています。
職種ごとに採用する会社では、入社時点で担う仕事がはっきりしています。募集要項の職種名と、その職種で任される仕事の幅を確かめることが、総合職と一般職を見比べる作業の代わりになります。
配属の決め方も、会社によってさまざまです。株式会社TalentXの鈴木貴史社長は、人の配置について次のように語っています。
同社には、年に一度、社員が自らエントリーして新たな挑戦の機会をつかめる「ポテチャレ制度」があり、セールスを担当していた社員が企画職に挑戦した例もあるといいます。コースの区分がない会社では、こうした手挙げの仕組みがコース転換制度の役割を担っていることがあります。面接で「職種を変えたくなったら、どんな手順がありますか」と聞いてみてください。
配属や育成の考え方は、募集要項にはほとんど書かれません。経営者が自分の言葉で、どんな人を採り、入社後に何を任せているかを語ったインタビューは、その答え合わせに使えます。
総合職と一般職の違いに関するよくある質問
総合職と一般職はどちらがいいですか?
どちらが上ということはなく、何を優先するかで答えが変わります。幅広い仕事を経験して昇進とともに収入を伸ばしたいなら総合職、仕事の範囲や働く場所の安定を重視するなら一般職やエリア総合職が候補になるでしょう。給料は大企業のモデル賃金で見ると年齢とともに差が開き、転勤の範囲は「就業場所の変更の範囲」で会社ごとに確かめられます。迷ったら、入社後にコースを変えられるかも判断材料に加えてください。
一般職から総合職に変われますか?
転換制度がある会社なら道はありますが、制度を設けることは会社の義務ではありません。厚生労働省の指針は、コース間の転換を認める制度を柔軟に設けることを「望ましい事項」としています。平成26年度の同省の調査では、コース別雇用管理制度のある118社のうち84.7%に一般職から総合職への転換制度があり、要件は本人の希望90.0%、上司の推薦66.0%、面接試験58.0%でした。制度の有無と条件、直近の転換実績を説明会などで確かめましょう。
参考:厚生労働省「平成26年度コース別雇用管理制度の実施・指導状況(確報版)を公表します」
総合職・一般職は性別で決まるのですか?
いいえ。性別を理由にコースを分けることは、男女雇用機会均等法で禁止されています。指針も、一方の性の労働者だけを一定のコースに分けることを「法に直ちに抵触する例」としています。令和7年度雇用均等基本調査では、一般職にあたる正社員に占める女性の割合は33.6%で、男性のほうが多い状況です。この集計は、コース別雇用管理制度の有無にかかわらず、実質的に近い職種で行われています。コースは、仕事内容と働き方の希望で選ぶものです。
参考:e-Gov法令検索「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」
参考:厚生労働省「令和7年度雇用均等基本調査」
エリア総合職なら転勤はまったくありませんか?
転居を伴う転勤がないか、あっても一定の地域内に限られるのがエリア総合職です。雇用均等基本調査は限定総合職を、転居を伴う転勤がない、または一定地域内や一定職種内でのみ異動がある職種と定義しています。転居を伴わない範囲での異動はありうるため、どこまでが範囲なのかを募集要項や労働条件通知書の「就業場所の変更の範囲」で確かめてください。
国家公務員の総合職・一般職と同じ意味ですか?
名前は同じでも、別の制度です。国家公務員の総合職・一般職は採用試験の種類を指し、国家公務員法第45条の2が、政策の企画及び立案又は調査及び研究に関する事務を職務とする官職への採用を目的とした総合職試験と、定型的な事務を職務とする官職への採用を目的とした一般職試験などを定めています。民間企業のコースは各社が自社の制度として決めるもので、試験区分とは仕組みが異なります。
まとめ
総合職は幅広い業務と転勤・異動を前提に幹部候補として育つコース、一般職は定型的な業務を中心に転居を伴う転勤を想定しないことが多いコースです。どちらも法律で中身が決まった区分ではなく、国の指針が示すコース別雇用管理の枠組みのなかで、会社ごとに設計されています。制度がある企業は6.1%と少なく、規模の大きい会社ほど多いのが実情。給料は大企業の大卒モデル賃金で見ると、入社時の月3万1,400円の差が55歳では20万4,400円まで開きます。
選ぶときは、任されたい仕事、転居を伴う転勤への考え方、給与と昇進の伸び方、入社後の転換制度、その会社にコースの区分があるかの5点を見てください。転勤の範囲は「就業場所の変更の範囲」で、転換制度は条件と実績で確かめられます。
正直なところ、コース名だけで比べると見落とすものが多いと、取材を重ねるたびに感じます。仕事の範囲や配属の決め方を具体的に説明できる会社かどうかを、説明会や面接で確かめてみてください。
入社後にコースや勤務地の条件を見直したくなったときは、転職エージェントを活用すれば、勤務地や職種などの条件で求人を絞り込んで比べられます。
