転職のタイミングはいつがいい?求人が多い月と辞める時期|在職中か退職後か

転職のタイミングは、「求人が多い時期」「自分の準備が整う時期」「辞める時期」に分けて考えると決めやすくなります。求人で見ると、ハローワークの新規求人が多いのは1月と10月です。

よく聞く「最低3年は勤めてから」という目安も、法律で決まった年数ではありません。実際に転職した人のなかには、1年たたずに移った人も2割近くいます。

この記事では、求人の多い月、在職中と退職後のどちらで動くか、賞与や社会保険から見た辞める時期までを、公的な統計と制度で確かめます。

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目次

転職のタイミングは「求人」「準備」「辞める時期」の3つに分けて考える

転職のタイミングと一口に言っても、決めることは次の3つ。

  • 求人が多い時期は、会社が求人を出す季節の傾向で決まる
  • 自分の準備が整う時期は、説明できる経験と生活費の見通しで決まる
  • 辞める時期は、就業規則・賞与の規定・社会保険の手続きで決まる
時期何で決まるか確かめる資料・相手
求人が多い時期会社が求人を出す時期の季節的な傾向厚生労働省「一般職業紹介状況」、マイナビ・リクナビなどの求人サイトや転職エージェントの掲載状況
自分の準備が整う時期説明できる経験、辞めたあとも含めた生活費の見通しこれまでの職務経歴、家計
辞める時期申し出の期限、賞与の支給条件、年金・健康保険の切り替え就業規則・賃金規程、ハローワーク、市区町村

3つの時期が同じ月にそろうとは限りません。求人が多い1月に応募したくても、賞与の支給日がまだ先だったり、引き継ぎが終わっていなかったりすることは珍しくないでしょう。賞与の支給日や就業規則の期限のように自分では動かせないものから先に固め、応募を始める時期はそれに合わせて選ぶのが現実的です。 正直なところ、3つが一度にそろう月を待っていると、いつまでも動き出せないと感じます。

求人が多いのは何月か|ハローワークの新規求人は1月と10月に多い

求人の季節性を公的な統計で確かめられるのは、ハローワークの求人です。押さえたい点は4つあります。

  • 令和7年の新規求人は1月が最も多く、10月が続く
  • 何月に多いかを見るなら、季節調整値ではなく原数値を見る
  • 数えているのはハローワークの求人で、求人サイトや転職エージェントの求人は含まれない
  • 入社の時期で見ると、1〜6月の上半期に転職者の半数超が集まる

厚生労働省は、全国のハローワークが受け付けた求人・求職・就職の状況を「一般職業紹介状況」として毎月公表しています。令和8年10月に公表された資料から令和7年の新規求人数を月別に並べると、1月90万7,161人、2月84万398人、3月80万6,519人、4月83万9,759人、5月78万6,018人、6月77万1,856人、7月83万3,113人、8月74万3,628人、9月78万853人、10月86万362人、11月71万9,092人、12月77万2,097人でした。最も多いのは1月、次いで10月で、最も少ない11月とは18万人あまりの差があります。

令和7年(2025年)のハローワークの月別新規求人数(原数値)。1月90万7,161人、2月84万398人、3月80万6,519人、4月83万9,759人、5月78万6,018人、6月77万1,856人、7月83万3,113人、8月74万3,628人、9月78万853人、10月86万362人、11月71万9,092人、12月77万2,097人。最も多いのは1月、次いで10月。

1年だけの偶然ではありません。同じ統計の長期時系列表で2014年から2025年までの12年間を見ると、新規求人が年間で最も多かった月は、12年のうち11年が1月か10月でした。残る2020年は、2月が最も多い月です。2026年も8月までの時点で、1月の86万5,721人が最多となっています。ハローワークの求人に限れば、1月と10月に求人が集まる傾向は多くの年でくり返されているのです。

参考:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年8月分)について」
参考:e-Stat 厚生労働省「職業安定業務統計 長期時系列表 新規求人数(実数、季節調整値)」

季節調整値と原数値は、見る目的が違う

厚生労働省が毎月の発表で見出しに掲げる「有効求人倍率1.18倍」(令和8年8月)は、季節調整値です。季節調整値は、毎年同じ時期にくり返される増減を統計的に取り除いた数字のこと。厚生労働省はその計算に、月ごとの曜日の数や、祝日・年末年始の日数の違いも織り込んでいます。前の月より採用の動きが強まったのか弱まったのかを見るための数字と言えるでしょう。

これに対して原数値は、その月にハローワークが実際に受け付けた求人の数です。何月に求人が多く出るかを知りたいなら、季節の動きを含んだ原数値を見る必要があります。令和7年10月の新規求人は原数値で86万362人ですが、季節調整値では77万4,844人で、同じ年の12か月のなかで最も少ない値でした。10月の多さは毎年の季節の動きそのものなので、季節調整値では差し引かれて見えなくなるのです。

参考:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年8月分)」参考統計表
参考:厚生労働省職業安定局「職業安定業務統計の令和8年における季節調整値の改定について」

ハローワークの求人であって、すべての求人ではない

この統計で数えているのは、ハローワークが受け付けた求人だけです。マイナビやリクナビなどの求人サイト、転職エージェントだけに出された求人は含まれず、新規学卒者向けの求人も除かれています。求人を出す側にも偏りがあり、令和8年8月の新規求人71万8,656人のうち、規模が29人以下の事業所からの求人が45万9,894人と6割強を占め、1,000人以上の事業所からは6,852人でした。

転職した人が使った方法も、1つではありません。令和7年転職者実態調査で転職活動の方法(複数回答)を見ると、「求人サイト・求人情報専門誌・新聞・チラシ等」が45.1%、「ハローワーク等の公的機関」が29.6%、「民間の職業紹介機関」が20.9%でした。1月と10月という傾向は、ハローワークの求人から見えるものとして受け取ってください。 求人サイトや転職エージェントの求人の動きはこの統計からは分からないため、気になる職種は実際の掲載状況でも確かめておきましょう。

参考:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年8月分)」報道発表資料
参考:厚生労働省「令和7年転職者実態調査の概況」

入社する人は、1〜6月の上半期のほうが多い

求人が出る月と、実際に入社する月は同じではありません。入社の時期を確かめるなら、厚生労働省の雇用動向調査が使えます。この調査は1〜6月の上半期と7〜12月の下半期の年2回行われ、年間の結果は2回分を合算したもの。そのため比べられるのは月ごとではなく、半年ごとの数字です。

令和7年の転職入職者、つまり入社前の1年間に働いた経験がある入職者は506万1,800人で、このうち上半期が281万6,400人でした。年間の半数を超える人が、1〜6月に新しい職場へ移った計算になります。令和6年も492万人のうち上半期が277万8,100人で、やはり半数を超えていました。新卒の入社はこの数字に含まれないため、4月の新卒入社が押し上げているわけでもありません。入社の時期で比べると、1〜6月に転職する人のほうが多いのです。

参考:厚生労働省「令和7年 雇用動向調査結果の概要」
参考:厚生労働省「令和7年上半期雇用動向調査結果の概要」

自分の準備が整う時期は、年齢より「積んだもの」で考える

「何歳までに」「何年勤めてから」という目安はよく聞きますが、公的な統計で確かめると、決まった線があるわけではありません。

  • 転職で賃金が増えた人の割合は年齢とともに下がりやすいが、境目は年によって動く
  • 直前の会社での勤続期間は「2年以上5年未満」が最も多く、1年未満の人も2割近い
  • 年齢や年数より、何を任され何ができるようになったかを説明できるかが目安になる

年齢で見た賃金の変化|雇用動向調査

令和7年雇用動向調査は、転職後の賃金が前職と比べて「増加」「変わらない」「減少」のどれにあたるかを年齢階級別に集計しています。20〜59歳の各階級と全体を表にしました。対象は前職が雇用者だった人に限られ、自営業から移った人は含みません。不詳があるため、3つを足しても100%にはなりません。

年齢増加変わらない減少
20〜24歳55.2%19.9%17.5%
25〜29歳49.8%25.0%23.9%
30〜34歳48.6%20.8%29.0%
35〜39歳43.5%28.1%23.9%
40〜44歳44.9%24.6%27.4%
45〜49歳41.1%28.0%30.1%
50〜54歳29.4%26.7%42.0%
55〜59歳25.5%33.0%38.9%
全体40.8%25.5%31.0%

「増加」が「減少」を上回るのは45〜49歳までで、50〜54歳では「減少」42.0%が「増加」29.4%を上回りました。ただし、この境目は年によって動きます。令和6年の調査では50〜54歳も「増加」39.0%が「減少」28.2%を上回り、逆転したのは55〜59歳からでした。統計から読み取れるのは、年齢が上がるほど賃金が増える人の割合が下がりやすいという傾向までで、何歳までに動くべきかという線ではありません。 数字は転職した人全体の割合で、職種や前の職場の条件、転職した理由によって中身は大きく変わります。

参考:厚生労働省「令和7年雇用動向調査結果の概要 3 転職入職者の状況」

勤続年数に「3年」という決まりはない

「最低3年は勤めてから」という目安もよく耳にしますが、法律で決まった年数はなく、実際に転職した人の勤続年数もさまざまです。令和7年転職者実態調査で、転職した人が直前の勤め先に通算何年いたかを見ると、「2年以上5年未満」が27.4%で最も多く、「10年以上」20.0%、「5年以上10年未満」19.3%、「1年以上2年未満」13.8%と続きます。「6か月未満」は8.2%、「6か月以上1年未満」は10.8%で、1年たたずに移った人も2割近くいました。25〜29歳に限ると、「2年以上5年未満」が46.1%です。

勤めた年数そのものより、その期間に何を任され、何ができるようになったかを説明できるかどうかが、準備が整ったかの目安になります。 担当した業務と結果を書き出してみて、応募書類に書ける材料が足りないと感じたら、今の職場でもう一つ役割を引き受けてから動く手もあるでしょう。経験の書き出し方は、自己PRが思いつかない人へ|エピソード探し方と書き方が参考になります。

参考:厚生労働省「令和7年転職者実態調査の概況」

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在職中に動くか、辞めてから動くか

統計で見ると、在職中に動き出す人が多数派です。ただ、辞めてから探す人も4人に1人いて、どちらにも先に手当てしておきたい点があります。

  • 転職した人の7割強は、前の会社に在籍しているうちに転職活動を始めている
  • 在職中に始めた人では、辞める1〜3か月前に動き出した人が最も多い
  • 辞めてから探すなら、雇用保険の給付制限と、年金・健康保険の切り替えを先に確かめる

令和7年転職者実態調査は、令和6年10月から令和7年9月までにフルタイムで採用された転職者に、転職活動の進め方をたずねています。具体的に転職活動を始めた時期は、「直前の勤め先の離職前(在職中)に始めた」が71.7%、「離職後に始めた」が25.4%でした。在職中に始めた71.7%の内訳を転職者全体に占める割合で見ると、離職前1か月未満12.2%、1か月以上3か月未満27.3%、3か月以上6か月未満16.9%、6か月以上9か月未満6.5%、9か月以上1年未満4.6%、1年以上2年未満2.7%、2年以上1.6%です。

令和7年転職者実態調査で、転職者が具体的に転職活動を始めた時期の割合。離職前1か月未満12.2%、離職前1か月以上3か月未満27.3%、離職前3か月以上6か月未満16.9%、離職前6か月以上9か月未満6.5%、離職前9か月以上1年未満4.6%、離職前1年以上2年未満2.7%、離職前2年以上1.6%、離職後に始めた25.4%。在職中に始めた人は合わせて71.7%。

前の会社を辞めてから今の会社に入るまでの期間も、「離職期間なし」が24.0%、「1か月未満」が27.4%でした。半数を超える人が、1か月もあけずに次の職場へ移っていたことになります。 離職期間があった人は全体の72.8%で、雇用保険の基本手当(失業手当)を受け取った人は全体の19.4%でした。

比べる点在職中に動く辞めてから動く
収入給与が続く給与が止まる。基本手当は要件を満たした人だけで、自己都合なら待期7日と原則1か月の給付制限がある
年金・健康保険会社の厚生年金・健康保険のまま次の入社まで、国民年金と、任意継続・国民健康保険・家族の扶養のいずれかへ切り替える
時間面接や書類の準備は勤務の合間になる面接の日程を合わせやすい
入社日今の会社の退職日との調整が要る内定が出れば入社日を決めやすい

どちらが正解ということはなく、収入が途切れる期間をどこまで受け止められるかで選ぶのが、無理のない決め方です。 在職中に動くなら、応募書類を早めに整えておくと、面接の日程を組む余裕が生まれます。下書きにAIを使うときは、履歴書のAI作成はバレる?見抜かれない書き方のコツもあわせて確認しておくと安心です。

参考:厚生労働省「令和7年転職者実態調査の概況」
参考:e-Stat 厚生労働省「令和7年転職者実態調査 個人調査 統計表」

辞めてから探すなら、雇用保険の給付制限を先に確かめる

会社を辞めたあとの収入の支えになるのが、雇用保険の基本手当です。ただし自分の都合で辞めた場合は、手続きをしてもすぐには受け取れません。根拠は雇用保険法の次の条文です。

“
被保険者が自己の責めに帰すべき重大な理由によつて解雇され、又は正当な理由がなく自己の都合によつて退職した場合には、第二十一条の規定による期間の満了後一箇月以上三箇月以内の間で公共職業安定所長の定める期間は、基本手当を支給しない。
雇用保険法(昭和49年法律第116号)
第33条第1項(抜粋)
条文を見る

「第二十一条の規定による期間」は、ハローワークで求職を申し込んだあと、失業している日が通算7日になるまでの待期のこと。転職のために自分から辞めるケースの多くは、「正当な理由がなく自己の都合によつて退職した場合」にあたります。条文の幅は1か月以上3か月以内ですが、厚生労働省のQ&Aによると、退職日が令和7年4月1日以降なら給付制限は原則1か月です。退職日以前の5年間に、正当な理由のない自己都合退職で受給資格の決定を2回以上受けていると、給付制限は3か月に延びます。条文の結びは「支給しない」で、待期と給付制限を合わせると、退職してから最初の基本手当を受け取るまでに1か月以上の空白ができるのです。 同じ項のただし書には、公共職業訓練や一定の教育訓練を受ける人などを給付制限の対象から外す例外も置かれています。

受給できるのは、原則として辞める前の2年間に、雇用保険に入っていた期間が通算12か月以上ある人です。受け取れる額について、厚生労働省は給与の総支給額が平均して月20万円程度なら月13.9万円程度、月30万円程度なら月17.3万円程度という目安を示しています。給与と同じ額にはならない前提で、生活費の見通しを立てておきましょう。

参考:e-Gov法令検索「雇用保険法」
参考:厚生労働省「Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)~」
参考:ハローワークインターネットサービス「基本手当について」

次の会社まで1日でも空くなら、年金と健康保険を切り替える

次の会社に入るまで1日でも間があくなら、年金と健康保険の手続きは自分で行います。主な切り替え先と期限は次のとおりです。

制度切り替え先期限・保険料の目安手続き先
年金国民年金の第1号被保険者退職日の翌日から14日以内。保険料は月1万7,920円(令和8年度)住所地の市区役所・町村役場
健康保険任意継続(協会けんぽの場合)退職日の翌日から20日以内。保険料は退職前の2倍が目安(上限あり)、加入は最長2年住所地の協会けんぽ支部
健康保険国民健康保険世帯主が14日以内に届け出る住所地の市区町村
健康保険家族の健康保険の被扶養者扶養の条件を満たすことが必要家族の勤務先

日本年金機構は、3月末に退職して4月16日に次の会社へ入る場合でも、4月1日付けで国民年金の第1号被保険者になる手続きが必要だと案内しています。4月末の時点で次の会社の厚生年金に入っていれば、4月分の国民年金保険料はかかりません。空白が数日でも手続きは要る、と覚えておくと抜けを防げます。 任意継続は、退職日までに続けて2か月以上加入していた人が対象です。退職して保険料の納付が難しいときには、国民年金に失業等による特例免除の仕組みもあります。

参考:日本年金機構「会社を退職したときの国民年金の手続き」
参考:日本年金機構「国民年金に加入するための手続き」
参考:日本年金機構「国民年金保険料」
参考:全国健康保険協会「任意継続(退職後の健康保険)」
参考:e-Gov法令検索「国民健康保険法施行規則」

辞める時期は、就業規則と賞与の規定で決める

辞める時期は、統計では決まりません。決め手になるのは、勤め先の規則と制度の区切りです。

  • 退職の申し出の期限は、民法の2週間と就業規則の両方を確かめる
  • 賞与は法律で決まったものではなく、支給の条件は会社の規程しだい
  • 月末に辞めるか月の途中で辞めるかで、その月の厚生年金保険料の扱いが変わる

辞めると申し出てから雇用が終わるまでは、期間の定めのない雇用なら2週間というのが民法第627条第1項の決まりです。引き継ぎや有給休暇まで考えて退職日を決めるなら、就業規則にある申し出の期限も確かめておきましょう。

参考:e-Gov法令検索「民法」

賞与は、支給日に在籍している必要があるかを確かめる

ボーナスをもらってから辞めたいなら、見るべきは会社の就業規則や賃金規程です。厚生労働省のモデル就業規則(令和7年12月版)の解説によると、賞与は法律で支給が義務づけられたものではなく、支給する場合は対象となる時期や算定の基準、査定の期間などを就業規則で明らかにしておく必要があります。そのうえで、6月1日や12月1日、あるいは賞与の支給日など、一定の日に在籍している人だけを支給の対象にする規定も設けられる、というのが解説の説明です。

規程に「支給日に在籍する者」といった条件があれば、支給日より前の日付で退職すると受け取れない場合があります。あわせて見ておきたいのが、その賞与がいつからいつまでの働きを評価したものかを示す算定対象期間です。支給日と算定対象期間の両方を規程で確かめておくと、退職日の候補を絞り込めます。 転職先の賞与も規程で決まるため、入社日によって最初の賞与がどう扱われるかは、内定の段階で確かめておくと安心です。

参考:厚生労働省「モデル就業規則について」

月末に辞めるか、月の途中で辞めるか

退職日を月末にするか月の途中にするかで、その月の厚生年金保険料の扱いが変わります。日本年金機構によると、厚生年金の資格は退職した日の翌日に失われ、保険料は資格を失った日が属する月の前月分まで納める仕組みです。月末に辞めると翌月1日が資格を失う日になるため、辞めた月の分まで保険料がかかり、給与の締め日によっては前月分と当月分がまとめて退職時の給与から差し引かれることもあります。月の途中で辞めればその月の厚生年金保険料はかかりませんが、月末までに次の会社の厚生年金に入らなければ、その月は国民年金の保険料を自分で納めることになります。どちらが得かは、次の会社に入る日とセットで考えないと判断できません。

参考:日本年金機構「月の途中で入社したときや、退職したときは、厚生年金保険の保険料はどのようになりますか。」

転職は何回までなら大丈夫か|統計で見る転職回数

「転職は何回まで」と線を引く法律や公的な基準はありません。統計で確かめられるのは、実際に転職した人がそれまでに何回転職していたかです。

  • 今回が初めての転職だった人は3割弱で、3回目以上の人が半数を超える
  • 20代から40代にかけて平均の転職回数は増え、25〜29歳の平均は2.0回
  • 採用する側が転職者の賃金を決めるときに最も多く考慮するのは、これまでの経験・能力・知識

令和7年転職者実態調査の転職回数は、今の勤め先への転職も含めて数えたものです。「1回」、つまり今回が初めての転職だった人は28.6%で、「2回」16.5%、「3回」17.5%、「4回」11.0%、「5回」9.3%、「6回以上」16.7%でした。1人あたりの平均は3.1回です。

年齢今回が初めて6回以上平均回数
20〜24歳71.8%0.1%1.4回
25〜29歳51.7%1.9%2.0回
30〜34歳29.3%13.7%2.8回
35〜39歳29.1%9.8%2.8回
40〜44歳21.2%16.9%3.3回
45〜49歳10.7%26.3%3.9回
全体28.6%16.7%3.1回

25〜29歳では今回が初めての人が半数を占めますが、30代になると3割ほどに下がり、平均は2.8回です。同じ年代でも回数には大きな幅があり、統計から「何回を超えたら多い」という線は引けません。

採用する側のデータも見ておきましょう。同じ調査の事業所調査によると、転職者の賃金決定の際に考慮した要素(複数回答)は「これまでの経験・能力・知識」が59.2%で最多、「年齢」35.3%、「賃金の世間相場」34.2%と続きます。1つだけ選ぶ「最も重視した要素」でも、経験・能力・知識を挙げた事業所が38.4%で首位でした。この調査は採用で転職回数をどう見るかまではたずねていませんが、条件を決める場面で経験の中身が見られていることは数字に表れています。回数が気になるときこそ、それぞれの職場で積んだ経験を言葉にしておきたいところです。

参考:厚生労働省「令和7年転職者実態調査の概況」
参考:e-Stat 厚生労働省「令和7年転職者実態調査 個人調査 統計表」

経営者は、転職や独立の時期をどう決めたか

統計は傾向を教えてくれますが、自分がいつ動くかまでは決めてくれません。取材してきた経営者のなかにも、会社員時代に転職や独立を経験した人がいます。3人の言葉からは、時期を月や年齢ではなく、自分なりの基準で選んでいたことが読み取れます。

  • 身につけたいことの区切りで、次の職場に移った
  • 今の環境で先が見えなくなったと感じて、動くと決めた
  • 成果を残せたら独立する、と条件を先に決めていた

身につけたいことの区切りで、次の職場に移る

株式会社SOKKINの本間亮平社長は、マーケティングを軸に起業することを見据え、まずオフラインのマーケティングを学ぶためにTOPPANホールディングス(旧・凸版印刷)へ入社しました。その後の移り方を、こう振り返っています。

“
そこで5年間、営業とマーケティングの基礎を徹底的に学び、その後はオンライン領域を深く理解すべく、サイバーエージェントへと転職。7年間にわたり、デジタルマーケティングの最前線で経験を積みました。その後、オンラインの知見をさらに深め、実践の幅を広げるためにアマゾンジャパンへ転職。
株式会社SOKKIN 代表取締役CEO
本間 亮平
インタビューを読む

オフラインの基礎、オンラインの実務、その両方をつなげて使う力と、学ぶ領域が一段落するごとに職場を移っています。次の職場で何を身につけるかが先に決まっていれば、移る時期はその区切りから決められるのです。

今の環境で先が見えなくなったときに動く

株式会社エンルーツの駒田雄也社長は、大学卒業後に日産のディーラーへ就職し、社会人4年目にマイナビへ転職して5年間勤めました。転職を決めたきっかけを、こう話しています。

“
転職のきっかけは、より若い人たちが活き活きと活躍している前向きな組織で働きたいという思いから。(中略)しかし周りをみると活躍している方たちはベテラン勢が多く、若い人があまり活躍していない実態があって、この環境で自分は大丈夫か……?という危機感を覚えました。
株式会社エンルーツ 代表取締役
駒田 雄也
インタビューを読む

日産時代は、常に成績を上位に保てるよう必死に働いていたとも語っています。結果が出ている時期でも、周りを見て数年後の自分を思い描けなくなったことが、動く合図になったわけです。不満の大きさだけでなく、今の職場に数年後の自分を重ねられるかどうかも、時期を考える手がかりになります。

成果という条件を先に決め、在職中に準備する

株式会社LIMARKSの明治成慈社長は、外資系製薬会社に勤めながら副業でWebマーケティングを実践し、クライアントワーク中心の働き方に切り替えたうえで、2023年に本業を辞めて独立しました。独立した時期について、こう話しています。

“
ちょうど独立する前後の案件で、成果をしっかりと残せたら独立しようと思っていたタイミングでした。本業とは全く違うことを夜にやっていたので、本当に忙しくてあまり記憶にないぐらい働いていました。
株式会社LIMARKS 代表取締役
明治 成慈
インタビューを読む

「成果を残せたら」という条件を自分で決めていたからこそ、辞める日を気分ではなく結果で選べたのでしょう。在職中に別の仕事をするなら、就業規則の副業・兼業の定めも確かめておく必要があります。

経歴を聞いていて印象に残るのは、移った時期そのものより、その時期を選んだ理由が一言で返ってくることです。転職や独立をどう決めたかは人によって違い、ほかの経営者もそれぞれの経緯を語っています。

経営者インタビューを読む|熱狂ベンチャーナビ

転職のタイミングに関するよくある質問

転職するなら何月が一番いいですか?

ハローワークの求人で見ると、新規求人が多いのは1月と10月です。 令和7年は1月が90万7,161人、10月が86万362人で、2014年から2025年までの12年のうち11年は、1月か10月が年間で最も多い月でした。入社の時期では、雇用動向調査で1〜6月の上半期に転職入職者の半数超が集まっています。ただ、求人サイトや転職エージェントの求人はこの統計に含まれず、賞与の支給日や引き継ぎの都合でも動ける月は変わります。求人の多さは、ほかの条件と並べて考える材料の1つと捉えてください。

転職してはいけない時期はありますか?

法律で転職が禁じられている時期はありません。 気をつけたいのは、自分の側で損をしやすい時期です。賞与の規程に支給日の在籍が条件として書かれているなら、支給日より前に辞めると受け取れない場合があります。次の仕事が決まらないまま辞めるなら、雇用保険の基本手当を受けるには原則として離職前2年間に加入期間が通算12か月以上必要で、自己都合の場合は待期7日と原則1か月の給付制限もかかります。退職日は、この2つを確かめてから決めると安心でしょう。

転職回数が3回以上だと不利になりますか?

転職回数で有利・不利を分ける公的な基準はなく、統計から不利かどうかは言えません。 令和7年転職者実態調査では、今回が3回目以上の転職だった人が合わせて半数を超え、6回以上の人も16.7%いました。採用する側が転職者の賃金を決めるときに最も多く考慮した要素は「これまでの経験・能力・知識」で、59.2%です。過去の回数は変えられないぶん、それぞれの職場で積んだ経験を説明できるよう整理しておくことが、いまできる準備になります。

辞めてから転職活動をしても大丈夫ですか?

辞めてから探す人も4人に1人いて、珍しい選択ではありません。 令和7年転職者実態調査で見ると、前の会社を辞めてから転職活動を始めた人は25.4%でした。ただし退職後は給与が止まり、自己都合なら雇用保険の基本手当にも待期と給付制限があります。国民年金や健康保険の切り替えも自分で行うため、収入が途切れる期間の生活費を見積もってから辞めると、焦らずに次を選べるはずです。

年齢が上がると、転職で賃金は下がりやすくなりますか?

転職で賃金が増えた人の割合は、年齢が上がるほど下がる傾向があります。 令和7年雇用動向調査では、前職より賃金が「増加」した人は25〜29歳で49.8%、45〜49歳で41.1%、50〜54歳で29.4%でした。ただし令和6年は50〜54歳でも「増加」が「減少」を上回っており、境目は年によって動きます。年齢だけで動く時期を決めず、自分の経験が応募先でどう評価されるかを確かめるほうが、判断の材料として確かです。

まとめ

転職のタイミングは、求人が多い時期、自分の準備が整う時期、辞める時期の3つに分けると整理できます。ハローワークの新規求人は1月と10月に多く出ており、入社で見ると1〜6月の上半期に転職者の半数超が集まっていました。準備の目安は年齢や勤続年数の線ではなく、説明できる経験があるかどうか。辞める時期は、就業規則の申し出期限、賞与の支給条件、月末か月の途中かで変わる厚生年金保険料の扱いで決まります。

在職中に転職活動を始めた人は71.7%で、在職中に始めた人では辞める1〜3か月前に動き出した人が最も多くいました。辞めてから探すなら、雇用保険の給付制限と、国民年金・健康保険の切り替えを先に確かめておきましょう。転職回数に「何回まで」という公的な線はなく、採用する側が賃金を決めるときに最も多く考慮しているのは経験の中身です。

私たち編集部も、経営者に転機の話を聞くたびに、時期は当てにいくものではなく、条件を決めて自分で選ぶものなのだと感じます。3つの時期のうち、自分で決められるところから手をつけてみてください。

求人の動きと、自分の経験がどう評価されるかをあわせて確かめておくと、動く時期を自分で選びやすくなります。

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小川 莉奈 - 熱狂ベンチャーナビ編集部

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看護師から一般企業へ就職。その後株式会社デジマケに入社。自身の転職経験を元に新卒~若手の転職者にわかりやすい情報をお届けします。

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西畑大樹 - 熱狂ベンチャーナビ運営責任者

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新卒で証券会社に入社。その後、不動産・マーケティング・SaaS企業と4社の経験を経て独立。
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学生時代から新卒就活領域のメディア運営やキャリアコンサルタントを行っていた経験を元に業界や企業理解が深まるインタビュー記事や就活や転職に役立つ情報をお届けします。

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