第二新卒はやめとけは本当?6つの理由を統計で確かめる|動く前の判断基準

第二新卒での転職は、一律にやめとけと言えるものではありません。厚生労働省の令和5年の調査では、学校を出て正社員で働く15〜34歳の33.3%が、最初の会社をすでに離れていました。
一方で、やめとけと言われる理由がすべて的外れなわけでもありません。転職して賃金が下がった20代がいることも、統計にはっきり表れています。
この記事では、やめとけと言われる6つの理由を公的な統計で1つずつ確かめ、「人生終了」という不安に統計で言えることと、動く前の判断基準を整理します。
第二新卒で転職するかどうか、一人で結論を出す必要はありません。いまの経歴でどんな選択肢があるかは、転職エージェントを活用すれば無料で確認できます。
第二新卒が「やめとけ」と言われる6つの理由と、統計で確かめられる範囲
第二新卒に法律上の定義はなく、一般には学校を卒業しておおむね3年以内に転職を考える若手を指します。言葉の意味や既卒との違いは、第二新卒とは?意味と既卒との違い、新卒枠への応募や企業が見る点を解説で整理しました。
就職して数年のうちに最初の職場を離れる人は、少なくありません。厚生労働省が令和8年10月に公表した「新規学卒就職者の離職状況(令和5年3月卒業者)」を見ると、就職後3年以内に最初の職場を離れた人の割合は、大学卒で31.2%、高校卒で36.9%となっています。この離職者には、辞めたあとに次の仕事に就いていない人も含まれます。それでも「第二新卒はやめとけ」と言われ続けるのは、辞めたあとの損を心配する声が根強いからでしょう。 よく挙がる6つの理由と、統計で確かめられる範囲を並べると次のとおりです。
| 言われる理由 | 統計・制度で確かめられること | 統計だけでは分からないこと |
|---|---|---|
| すぐ辞める人と見られる | 正社員で働く若手にも、最初の会社を離れた人は少なくない | 応募先が短い在籍期間をどう受け止めるか |
| 即戦力として見てもらえない | 経験を理由にした採用が最も多いのは、管理や専門の仕事 | 自分の経験が、その求人で通用するか |
| 年収が下がる | 20代の転職では増えた人のほうが多いが、下がった人もいる | 職種を変えた場合の増減 |
| 大きな会社に入りにくい | 20代の転職者には、規模の大きな企業に移った人も一定数いる | 希望する会社や職種に入れるか |
| 転職を繰り返す | 転職した20代の回答で最も多いのは「今の職場で今後も働きたい」 | 実際に何年続くか |
| 収入が途切れる | 基本手当には、雇用保険に入っていた期間の条件がある | 次の仕事が決まるまでの期間 |
この記事で使う公的統計は、「第二新卒」という区分では集計されていません。そこで、20〜24歳・25〜29歳で転職した人や、最初に勤めた会社を離れた15〜34歳など、近い層の数字で確かめます。年齢で区切った数字には、卒業から3年を過ぎた人も含まれます。
参考:厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和5年3月卒業者)を公表します」
「やめとけ」の6つの理由は本当か|統計で1つずつ確かめる
6つの理由を厚生労働省の統計と雇用保険の制度で確かめると、次のようになります。
- 正社員で働く若手の3人に1人は、最初の会社をすでに離れている
- 経験が問われやすいかどうかは、職種によって違う
- 賃金は増えた人のほうが多いが、20代後半では4人に1人を超える人が下がっている
- 20代の転職者の4人に1人ほどは、企業規模1,000人以上の会社に移っている
- 転職した20代の半数を超える人が、今の職場で今後も働きたいと答えている
- 基本手当を受け取るには、雇用保険に入っていた期間の条件がある
1. 3年たたずに辞めると「すぐ辞める人」と見られる
最初の会社を3年もたずに辞めると、次の会社から「またすぐ辞めるのでは」と思われる。やめとけの理由として、真っ先に挙がる心配です。
働いている若手全体を見渡すと、最初の会社を離れた経験は珍しいものではありません。厚生労働省の令和5年若年者雇用実態調査は、常用労働者5人以上の事業所で働く15〜34歳を対象にした調査で、調査時点は令和5年10月1日です。学校に在学していない回答者のうち、卒業後に初めて勤めた会社にいまは勤めていない人は42.7%。雇用形態別に見ると、正社員以外の労働者では70.9%、いま正社員として働いている人でも33.3%が最初の会社をすでに離れています。


正社員以外の労働者で割合が高いことは、見落とさずにおきたいところです。ただ、一時点の調査なので、最初の会社を辞めたことがいまの働き方を左右したのかどうかまでは分かりません。言えるのは、最初の会社を離れたあとに正社員として働く人が、若手の正社員の3人に1人の割合でいるということです。
応募先が短い在籍期間をどう受け止めるかは会社ごとに違い、統計からは見えません。在籍が短いほど、辞めた理由は面接で聞かれると考えておきましょう。伝え方は転職理由の例文|面接と履歴書で使える理由別の伝え方、ネガティブな本音の言い換えで詳しく紹介しています。
2. 経験が浅く、即戦力として見てもらえない
社会人経験が1〜3年では、中途採用で経験者と比べられたら勝ち目がない。これもよく聞く理由です。
厚生労働省の令和7年転職者実態調査は、常用労働者5人以上の事業所に、転職者を採用した理由を職種ごとに3つまで尋ねています。その職種で転職者を採用した事業所のうち、「経験を活かし即戦力になるから」が最も多かったのは、管理的な仕事(60.7%)と専門的・技術的な仕事(64.1%)でした。この2つの職種で「離職者の補充のため」を挙げた事業所は、30.9%と44.3%です。
事務的な仕事、販売の仕事、サービスの仕事、保安・生産工程・建設などの仕事では、反対に「離職者の補充のため」が最も多く、それぞれ51.8%、54.6%、60.8%、59.4%でした。「経験を活かし即戦力になるから」は41.5%、52.9%、41.7%、41.5%で、いずれも2番目です。事務と販売では、「職場への適応力があるから」も36.5%、35.3%と3割を超えていました。3つまでの複数回答なので、理由ごとの割合を足しても100%にはなりません。


経験の浅さが響きやすいかどうかは、職種によって違うのです。 管理や専門の仕事では経験の中身が問われやすく、事務・販売・サービスなどでは、抜けた人の穴を埋める採用のなかで、職場になじめるかどうかも見られています。なお、この集計は年齢を問わない転職者全体についてのもので、若手に限った結果ではありません。
3. 転職すると年収が下がる
辞めたら給料が下がる、という心配はどうでしょうか。令和7年転職者実態調査で、直前の勤め先と比べた1か月あたりの賃金総額の変化を見ると、20〜24歳は「増加」45.2%、「変わらない」28.4%、「減少」23.9%でした。25〜29歳では、それぞれ49.8%、22.5%、27.5%です。対象は、常用労働者5人以上の事業所に令和6年10月から令和7年9月までに採用されたフルタイムの転職者で、短時間で働く人は含みません。
増えた人のほうが多いのは確かですが、20代後半では4人に1人を超える人が下がっています。 「下がることはない」とも「必ず下がる」とも言えない、というのが統計から読み取れる姿です。
今の勤め先の賃金に「満足」「やや満足」と答えた人は、20〜24歳で60.9%、25〜29歳で52.1%。「不満」「やや不満」の16.9%、25.3%を上回りました。下がる可能性があるなら、下がる幅と、代わりに労働時間や仕事の中身がどう変わるかを並べて比べることになります。20代前半と後半の違いは、20代の転職は前半と後半で何が違う?年収の変化と未経験・ベンチャーへの移り方でも詳しく見ています。
参考:政府統計の総合窓口 e-Stat「雇用の構造に関する実態調査(令和7年転職者実態調査)表番号16 性、産業・事業所規模・年齢階級・最終学歴・直前の勤め先を離職した理由・現在の勤め先での職種・現在の勤め先での役職・現在の勤め先での就業形態・令和7年9月の賃金総額(税込)階級・企業規模、直前の勤め先と比較した現在の勤め先の1か月当たりの賃金総額の変化別転職者割合及び増減D.I.」
参考:政府統計の総合窓口 e-Stat「雇用の構造に関する実態調査(令和7年転職者実態調査)表番号31 現在の職場での満足度項目、性、産業・事業所規模・年齢階級・最終学歴・直前の勤め先を離職した理由・現在の勤め先での職種・現在の勤め先での役職・現在の勤め先での就業形態・令和7年9月の賃金総額(税込)階級・令和7年9月における平均的な1週間の実労働時間数階級・企業規模、満足度別転職者割合及び満足度D.I.」
4. 大きな会社に入りにくくなる
新卒なら入れたはずの大きな会社に、第二新卒では入りにくくなる。新卒の切符を手放すことへの不安です。
令和7年転職者実態調査で、転職した人がいまどの規模の企業で働いているかを見ると、企業規模1,000人以上の会社は20〜24歳で25.3%、25〜29歳で27.1%でした。20代でフルタイムの職に転職した人の4人に1人ほどは、企業規模1,000人以上の会社に移っています。 ただし、どの業界のどの職種に入ったのかまでは、この集計からは分かりません。
新卒の採用枠も、卒業した人に閉ざされているわけではありません。厚生労働省の労働経済動向調査(令和8年8月)では、令和7年度に新卒の採用枠で正社員を募集した事業所のうち73%が、既卒者の応募も受け付けていました。この調査の既卒者には、学校を出てすぐにその事業所へ入った人以外の35歳未満が広く含まれ、勤務経験があるかどうかで区別していません。調べているのは、常用労働者30人以上の民営事業所です。
参考:政府統計の総合窓口 e-Stat「雇用の構造に関する実態調査(令和7年転職者実態調査)表番号13 性、年齢階級・最終学歴・直前の勤め先の企業規模、現在の勤め先の企業規模別転職者割合」
参考:厚生労働省「労働経済動向調査(令和8(2026)年8月)の概況」
5. 次の会社でも合わず、転職を繰り返す
一度辞めると辞めぐせがつく、という言い方もされます。令和7年転職者実態調査で今後の転職希望を尋ねた項目を見ると、「今の職場で今後も働きたい」が20〜24歳で53.2%、25〜29歳で51.9%と最も多く、「機会があれば転職したい」は15.4%、21.6%でした。「わからない」も29.3%、25.4%います。
転職した20代の半数を超える人が、移った先で働き続けたいと答えているのです。 ただし、これは入社から1年以内の時点での意向で、実際に何年勤めたかを追った数字ではありません。
同じことを繰り返さないための手がかりになるのが、2つ目の理由で見た「離職者の補充」です。事務や販売、サービスの仕事では、転職者を採る理由として最も多く挙がっていました。補充の求人そのものが悪いわけではありませんが、前任者がなぜ辞めたのか、配属先で人が定着しているのかは面接で聞いておきたいところ。前の職場で合わなかった点が次の職場でも起きていないかを確かめる質問になります。転職の回数が増えたときに採用する側がどこを見るのかは、ジョブホッパーとは?転職回数の実態と採用側の見方、回数が多いときの伝え方で統計とあわせて扱っています。
6. 辞めたあと、収入が途切れる
次を決めずに辞めた場合、生活の支えになるのが雇用保険の基本手当です。受け取るには、原則として離職の日以前2年間に、雇用保険の被保険者期間が通算12か月以上必要になります。この期間は、離職日からさかのぼって1か月ずつ区切った期間のうち、賃金の支払いの基礎となった日が11日以上あるか、基礎となった時間が80時間以上ある区切りだけを1か月として数えます。
在籍が1年に満たないまま次を決めずに辞めると、この12か月に届かず、基本手当を受け取れない場合があります。 ただし、特定受給資格者か特定理由離職者と認められた人は、必要な被保険者期間が離職の日以前1年間で通算6か月以上に短くなります。一定の時間を超える時間外労働や嫌がらせ、契約時に示された労働条件と事実との著しい違いが理由で辞めた人は前者に、心身の障害や病気、けがなどで辞めた人は後者にあたる場合があるので、ハローワークで確かめてください。
参考:ハローワークインターネットサービス「基本手当について」
参考:ハローワークインターネットサービス「特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要」
「第二新卒は人生終了」は本当か|統計で言えることと言えないこと
「第二新卒 人生終了」と検索する人の多くは、最初の会社を辞めたら正社員として働く道が閉ざされるのでは、という不安を抱えているのでしょう。統計から言えることと言えないことは、次のとおりです。
- フルタイムの職に転職した20代の4人に3人以上は、正社員として働いている
- 職業生活全体に「満足」「やや満足」と答えた人は6割前後で、「不満」「やや不満」は1割に満たない
- この統計に入るのは転職して雇われた人だけで、仕事を探している人や働いていない人は含まれない
フルタイムで転職した20代の多くは、正社員として働いている
令和7年転職者実態調査で、転職した人の現在の就業形態を見ると、正社員は20〜24歳で76.6%、25〜29歳で87.2%でした。全年齢では73.9%で、直前の勤め先が正社員だった人に限ると、89.2%が転職後も正社員として働いています。
職業生活全体の満足度では、「満足」「やや満足」が20〜24歳で63.0%、25〜29歳で58.8%。「不満」「やや不満」はどちらの年齢でも7.5%にとどまり、残りの多くは「どちらでもない」(28.8%、33.6%)でした。


この記事で確かめた統計からは、第二新卒で辞めたらその後の働き方が閉ざされる、という傾向は読み取れませんでした。 正社員として働く若手にも最初の会社を離れた人が少なくないという、令和5年若年者雇用実態調査の結果とも向きは同じです。
統計だけでは分からないこと
数字を読むときは、何が含まれていないかも押さえておきましょう。転職者実態調査に入るのは、常用労働者5人以上の事業所に令和6年10月から令和7年9月までに雇われた、フルタイムの転職者です。辞めたあと仕事を探している人、働いていない人、短時間で働く人は入っていません。年齢で区切った数字なので卒業から3年を過ぎた人も含まれ、満足度は入社から1年以内の時点の回答です。
統計で言えるのは、「第二新卒で辞めたら人生終了」とまでは言えない、というところまでです。 転職がうまくいくことを保証する数字ではなく、次の仕事が決まらないまま時間がたつ人がいる可能性まで打ち消しているわけでもありません。だからこそ、辞める前に判断の材料をそろえておく意味があります。
参考:厚生労働省「令和7年転職者実態調査の概況」
参考:政府統計の総合窓口 e-Stat「雇用の構造に関する実態調査(令和7年転職者実態調査)表番号31 現在の職場での満足度項目、性、産業・事業所規模・年齢階級・最終学歴・直前の勤め先を離職した理由・現在の勤め先での職種・現在の勤め先での役職・現在の勤め先での就業形態・令和7年9月の賃金総額(税込)階級・令和7年9月における平均的な1週間の実労働時間数階級・企業規模、満足度別転職者割合及び満足度D.I.」
参考:厚生労働省「令和5年若年者雇用実態調査の概況」
いま動くのを待ったほうがいいケースと、動いてよいケース
やめとけが自分に当てはまるかどうかの分かれ目は、入社して何年目かより、辞めたい理由を職場の状態として説明できるかどうかにあります。要点は次の3つです。
- 理由が「思っていたのと違う」から先に進まないうちは、動く前に言葉にする時間をとる
- 体調の不調や違法が疑われる長時間労働、ハラスメントがあるときは、時期を待たずに相談してよい
- 契約時に示された労働条件と実際が違うときは、即時に労働契約を解除できる
いま動くのを待ったほうがいいケース
次のようなときは、応募を始める前に、もう少し材料をそろえたほうが判断を誤りにくくなります。
- 辞めたい理由を聞かれても、「思っていたのと違う」から先が出てこない
- 異動や担当替え、上司への相談など、社内で状況が変わる余地を確かめていない
- 次の職場で何を変えたいのかが決まっていない
- 雇用保険の被保険者期間が12か月に届かないまま、次を決めずに辞めようとしている
「思っていたのと違う」を、労働時間なのか、仕事の中身なのか、人や評価の仕組みなのかに分けて書き出すと、次の会社で確かめるべきことが見えてきます。 書き出した理由が今の会社の中で変わりうるものなら、先に社内で動くという選択肢も出てくるでしょう。反対に、社内で確かめたうえで変わらないと判断できたなら、それは動く理由として十分に説明がつきます。辞める前に試せることは、仕事を辞めたいのは甘え?原因別の対処法|辞める前に試すことと辞めどきのサインでも整理しています。入社1年目の人が辞める前に確かめたい書面や窓口は、新卒で辞めたいと感じたら|1年目の離職率と、辞める前に確かめる5つのことにまとめています。
時期を待たずに動いてよいケース
反対に、次のようなときは「3年は続けるべき」という言葉に縛られる理由はありません。
- 心身の不調が続いている
- 違法が疑われる長時間労働や、ハラスメントを受けている
- 契約時に示された労働条件と、実際の条件が違う
- 次に身につけたいことがはっきりしていて、今の職場ではそれが得られない理由を説明できる
体調を崩しているときは、転職活動より先に、休むことと医療機関への相談を優先してください。長時間労働やハラスメント、労働条件の食い違いは、厚生労働省の総合労働相談コーナーで相談できます。各都道府県労働局や全国の労働基準監督署内などに378か所あり、専門の相談員が面談か電話で、無料・予約不要で応じる窓口。いじめ・嫌がらせやパワーハラスメント、賃金の引き下げなども相談の対象に入っています。
体調や長時間の時間外労働、嫌がらせ、契約時に示された労働条件との著しい食い違いが理由で辞めた場合は、雇用保険の特定受給資格者や特定理由離職者にあたることがあり、そのときは基本手当を受け取る条件が「離職の日以前1年間に被保険者期間が通算6か月以上」で足ります。待ったほうがいいケースと動いてよいケースの違いは、辞めたい理由を職場の状態として説明できるか、次に何を変えたいかが決まっているかに集約されます。動くと決めたあとの段取りは、第二新卒の転職の進め方|在職中に始める手順と短期離職の伝え方、企業が見る点で在職中に始める手順から紹介しています。


契約時に示された労働条件と違うときは、即時に辞められる
労働条件の食い違いについては、労働基準法第15条が、会社の義務と働く側の権利を続けて定めています。まず会社の義務です。
「明示しなければならない」は義務を表す言い方で、賃金や労働時間などの労働条件を契約時に示すことは会社の義務です。「厚生労働省令で定める方法」は労働基準法施行規則第5条第4項にあり、書面の交付が基本。働く側が希望した場合に限り、ファクシミリや電子メールなどでもよいとされています。これを受けた労働基準法第15条第2項は、「前項の規定によつて明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる」と定めています。民法第627条第1項では、期間を定めない雇用は解約を申し入れた日から2週間がたつと終わる、というのが原則。示された条件が事実と違う場合は、この2週間を待たずに辞められる、というのが第15条第2項の意味です。
第2項はあくまで「解除することができる」という働く側の権利で、使わなければならないものではありません。対象は契約時に示された労働条件と事実との食い違いで、仕事が合わない、人間関係がつらいといった理由はこの規定の外です。示された条件が書面で手元にあるかを確かめ、違うかどうか迷ったら、総合労働相談コーナーで相談してから動くと安心です。
参考:e-Gov法令検索「労働基準法」
参考:e-Gov法令検索「労働基準法施行規則」
参考:e-Gov法令検索「民法」
参考:厚生労働省「総合労働相談コーナーのご案内」
参考:ハローワークインターネットサービス「基本手当について」
参考:ハローワークインターネットサービス「特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要」
採用や育成に関わる経営者は、早い転職をどう見ているか
やめとけかどうかは、採る側・育てる側から見るとどう映るのでしょうか。熱狂ベンチャーナビのインタビューで経営者が語った言葉からは、ひとつにまとまらない見方が見えてきます。
入社3年目の社員に向けた研修を手がける株式会社スリーシアーズの大久保良太社長は、3年目に注目する理由をこう話しています。
大久保社長は、こうした社員に「もう一度組織に向き合い」、主体性を身につけてもらいたいと続けています。辞めたい気持ちが強くなる時期を、組織との向き合い方を見直す節目と捉える見方です。
アニメ制作会社を経営する株式会社mafの深江暢社長は、アニメ業界を目指す若い人たちへのメッセージを聞かれて、反対側からの言葉を語っています。
株式会社トレセンの山口雅隆社長は、社員が経験を積んで次の会社へ移ることを理想とする考え方を語っています。
3人の見方は同じ方向を向いておらず、それぞれの会社の考え方で、どの会社にも当てはまるものでもありません。ただ、どの言葉も、在籍した年数より、その職場で何を身につけ、次にどうつなげるかを問題にしています。やめとけかどうかを考えるときも、何年いたかより、いまの職場で何を得て、何がまだ得られていないかを書き出すほうが答えに近づくでしょう。
私たち編集部にも、「最低3年」という言葉をなんとなく正しいものとして受け止めていた時期があります。経営者の話を聞くほど、問われているのは年数そのものではなく、その間をどう過ごしたかなのだと感じるようになりました。インタビューでは、経営者が若いころにどこで迷い、どう動いたかも語られています。
第二新卒の転職はやめとけに関するよくある質問
入社1年目で辞めたら、人生終了ですか?
この記事で確かめた公的統計からは、そう言える傾向は読み取れませんでした。 厚生労働省の令和5年若年者雇用実態調査では、在学していない15〜34歳の正社員の33.3%が、卒業後に初めて勤めた会社をすでに離れていました。令和7年転職者実態調査でも、フルタイムの職に転職した20〜24歳の76.6%が正社員として働いています。ただし後者は転職して雇われた人だけを集計した数字で、うまくいくことを保証するものではありません。在籍1年未満で次を決めずに辞めた場合、雇用保険の基本手当は原則の受給条件を満たせないことがある点にも注意してください。
参考:厚生労働省「令和5年若年者雇用実態調査の概況」
参考:厚生労働省「令和7年転職者実態調査の概況」
参考:ハローワークインターネットサービス「基本手当について」
第二新卒でも大手企業に転職できますか?
大きな会社に入る道が閉ざされるわけではありません。 令和7年転職者実態調査では、フルタイムの職に転職した20〜24歳の25.3%、25〜29歳の27.1%が、企業規模1,000人以上の会社で働いていました。新卒の採用枠についても、厚生労働省の労働経済動向調査(令和8年8月)では、令和7年度に新卒の採用枠で正社員を募集した常用労働者30人以上の民営事業所のうち73%が、既卒者の応募も受け付けていました。この既卒者は35歳未満の人を指し、働いた経験がある人も含みます。実際に応募できるかは、求人ごとの応募資格で確かめてください。
参考:政府統計の総合窓口 e-Stat「雇用の構造に関する実態調査(令和7年転職者実態調査)表番号13 性、年齢階級・最終学歴・直前の勤め先の企業規模、現在の勤め先の企業規模別転職者割合」
参考:厚生労働省「労働経済動向調査(令和8(2026)年8月)の概況」
第二新卒の転職で、年収は下がりますか?
下がる人もいますが、20代では増えた人のほうが多くなっています。 令和7年転職者実態調査で、直前の勤め先と比べた1か月あたりの賃金総額は、20〜24歳で45.2%が増加、23.9%が減少でした。25〜29歳では49.8%が増加、27.5%が減少です。対象は、常用労働者5人以上の事業所に令和6年10月から令和7年9月までに採用されたフルタイムの転職者。職種を変えたかどうかは区別されていないため、提示された条件は今の給与と項目ごとに見比べてください。
「最低3年は働くべき」は本当ですか?
法律で在籍期間の目安が決められているわけではありません。 厚生労働省の新規学卒就職者の離職状況は就職後3年以内の離職率を集計していますが、これは統計の区切りで、3年働くべきという意味ではありません。令和5年3月卒業者の3年以内離職率は、大学卒31.2%、高校卒36.9%でした。辞めるかどうかは年数より、辞めたい理由を職場の状態として説明でき、次の職場で何を変えたいかが決まっているかで判断するほうが確実です。第二新卒として扱われるのが何年目・何歳までかの目安は、第二新卒はいつまで?何年目・何歳までの目安と、4年目以降の選択肢で解説しています。
参考:厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和5年3月卒業者)を公表します」
辞めるか迷ったとき、どこに相談できますか?
悩みの中身によって相談先を分けると、話が早く進みます。 長時間労働やハラスメント、労働条件の食い違いなら、厚生労働省の総合労働相談コーナーが窓口です。各都道府県労働局や全国の労働基準監督署内などに378か所あり、無料・予約不要で、面談か電話で応じています。体調の不調が続いているなら、まず医療機関への相談を。どんな求人に応募できそうかを知りたい段階なら、マイナビ・リクナビなどの求人サイトで求人を見比べたり、転職エージェントに経歴を見てもらったりする方法があります。
まとめ
「第二新卒はやめとけ」と言われる6つの理由を統計で確かめると、そのまま当てはまると言えるものは多くありませんでした。正社員として働く若手にも最初の会社を離れた人は少なくなく、転職した20代には規模の大きな企業に移った人も、移った先で働き続けたいと答える人も多くいます。一方で、賃金が下がった人もいて、在籍1年未満で辞めた場合は雇用保険の基本手当を原則の条件では受け取れないこともあります。
「人生終了」という不安については、令和7年転職者実態調査で、フルタイムの職に転職した20〜24歳の76.6%、25〜29歳の87.2%が正社員として働いていました。ただし転職して雇われた人だけの数字で、うまくいくことを保証するものではありません。分かれ目は入社何年目かではなく、辞めたい理由を職場の状態として説明でき、次に何を変えたいかが決まっているかどうか。体調や労働条件の問題があるときは、時期を待たずに相談してください。
参考:厚生労働省「令和7年転職者実態調査の概況」
参考:ハローワークインターネットサービス「基本手当について」
私たちは、早く辞めることも、踏みとどまることも、どちらか一方だけが正解だとは考えていません。取材で経営者の転機の話を聞くたびに感じるのは、どちらを選んだ人も、選んだ理由を自分の言葉で語れていたということです。
辞めるかどうかを決める前の段階でも、いまの経歴でどんな求人に手が届きそうかを知っておくと、判断の材料が一つ増えます。

