ホワイト企業とは?国の認定制度5つで見分ける方法とブラック企業の特徴

ホワイト企業とは、働きやすさの条件がそろった企業を指す一般的な呼び名で、法律上の定義はありません。残業が少ない、休暇を取りやすい、人が定着しているといった状態が重なった会社のことです。
手がかりになるのは国の認定制度ですが、マークがないからといってブラック企業とは限りません。認定は会社の申請が前提で、申請するかどうかは任意だからです。
この記事では、5つの認定制度の違いと調べ方、求人票や公表情報の数字の見方、国の資料で分かるブラック企業の特徴を整理します。
年間休日や残業の少なさ、休みの取りやすさといった条件で求人を横に並べて比べたいときは、転職エージェントを活用すれば、希望条件に合う求人を絞り込んで紹介してもらえます。相談は無料です。
ホワイト企業とは?法律上の定義はなく、働きやすさの条件で呼ばれる
「ホワイト企業」は、長時間労働や残業代の不払いが問題になる「ブラック企業」と対になる言葉として使われてきました。どちらも法律で定められた用語ではありません。
- 国の制度にも「ホワイト」の名が付くものはあるが、ホワイト企業の定義ではない
- 厚生労働省は「ブラック企業」も定義せず、一般的な特徴を示すにとどめている
- ホワイト企業の特徴は、その裏返しとして整理できる
「ホワイト」の名が付く国の制度は、定義ではない
国の制度の中にも「ホワイト」という言葉が出てくるものがあります。厚生労働省の安全衛生優良企業公表制度は、労働局のページで「ホワイトマーク」とも呼ばれる制度。経済産業省の健康経営優良法人では、大規模法人部門の上位法人に「ホワイト500」という冠が付きます。
ただ、どちらも特定の観点で優良な企業を認定する制度で、「ホワイト企業とは何か」を定めたものではありません。 名前に「ホワイト」と付いていても、働きやすさのすべてを保証する印ではないのです。
ホワイト企業の特徴は、ブラック企業の特徴の裏返しで見る
反対側の「ブラック企業」についても、厚生労働省は定義をしていません。同省の労働条件ポータルサイト「確かめよう労働条件」は、そのことを明記したうえで、一般的な特徴として次の3つを挙げています。
- 労働者に対し極端な長時間労働やノルマを課す
- 賃金不払残業やパワーハラスメントが横行するなど、企業全体のコンプライアンス意識が低い
- このような状況下で、労働者に対し過度の選別を行う
ホワイト企業は、この3つの反対側にある会社と考えると輪郭がつかめます。労働時間が適正に管理され、働いた分の賃金がきちんと支払われ、採用した人を使い捨てにしない会社です。
| 観点 | ホワイト企業と呼ばれやすい状態 | ブラック企業と言われやすい状態 |
|---|---|---|
| 労働時間 | 残業が少なく、法律の上限を大きく下回っている | 極端な長時間労働やノルマが続く |
| 賃金 | 残業代を含め、働いた分が全額支払われる | 賃金不払残業がある |
| 休暇 | 有給休暇が計画的に取られている | 休みを申し出にくい |
| 定着 | 採用した人が辞めずに残っている | 大量に採用し、短期間で辞めていく |
| 職場の規律 | 法令を守り、ハラスメントに対応する仕組みがある | パワーハラスメントが放置される |
どちらに近いかは、会社の規模や業界の名前ではなく、こうした状態の一つひとつで見ていくほうが実態に近づきます。
参考:厚生労働省「確かめよう労働条件|『ブラック企業』ってどんな会社なの?」
国の認定制度5つは、それぞれ見ている点が違う
働きやすさを外から確かめる手段として、まず使えるのが国の認定制度です。ただし5つの制度は、根拠になるルールも、対象になる会社も、見ている働きやすさの側面も違います。
- ホワイトマークは、安全衛生の取組と長時間労働がないことを見る
- ユースエールは、若者の採用・育成と定着を見る
- くるみんは、子育てと仕事の両立を見る
- えるぼしは、女性の活躍を見る
- 健康経営優良法人は、従業員の健康管理を経営として実践しているかを見る
| 制度(通称) | 所管・根拠 | 対象 | 主に見ている点 |
|---|---|---|---|
| 安全衛生優良企業公表制度(ホワイトマーク) | 厚生労働省。通達にもとづき都道府県労働局に申請 | 全業種の企業。全事業場が基準を満たす必要がある | 安全衛生の取組、長時間労働がないこと、重大な法違反がないこと |
| ユースエール認定 | 厚生労働大臣。若者雇用促進法第15条 | 常時雇用する労働者が300人以下の中小企業 | 若者の採用と育成、新卒の定着、残業・有給休暇・育児休業の実績 |
| くるみん認定 | 厚生労働大臣。次世代育成支援対策推進法第13条 | 行動計画を届け出た企業。規模・業種は問わない | 子育てと仕事の両立。男女の育児休業取得率やフルタイム労働者の残業など |
| えるぼし認定 | 厚生労働大臣。女性活躍推進法第9条 | 行動計画を届け出た企業。100人以下にも認定例がある | 採用、継続就業、労働時間、管理職比率、多様なキャリアコースの5項目 |
| 健康経営優良法人 | 経済産業省が創設し、日本健康会議が認定 | 大規模法人部門と中小規模法人部門に分けて認定 | 従業員の健康管理を経営の視点で戦略的に実践しているか |
ホワイトマークは、長時間労働が常態化していないことが前提
安全衛生優良企業公表制度は、労働者の安全や健康を確保する対策に積極的に取り組み、高い安全衛生水準を維持・改善している企業を厚生労働省が認定し、企業名を公表する制度です。2015年6月に申請の受付が始まり、2017年7月以降の申請からは、長時間労働が常態化している企業は認定しない基準に改められました。
必ず満たす項目には、過去3年以内に労働基準関係法令の違反で送検されていないことなどに加え、労働時間の条件が入っています。直近の事業年度に、短時間労働者を除く労働者1人当たりの時間外・休日労働の合計が各月すべて45時間未満であること。月平均60時間以上の時間外労働をした人が1人もいないこと。そのうえで健康管理やメンタルヘルス対策、過重労働防止などの評価項目を、分野ごとに6割以上、全体で8割以上満たす必要があります。制度の名前は「安全衛生」でも、働き方の実態まで数字で確かめている制度です。 認定の有効期間は3年です。


参考:厚生労働省「安全衛生優良企業の認定基準・評価項目」
参考:厚生労働省「安全衛生優良企業公表制度認定基準解説書(令和7年3月版)」
ユースエール・くるみん・えるぼしは、法律にもとづく大臣の認定
この3つは、それぞれの法律に認定の条文があり、厚生労働大臣が認定します。ユースエールは、若者の採用・育成と定着の実績を中小企業に限って見る制度。くるみんは2025年4月に基準が引き上げられました。男性の育児休業等取得率は、くるみん認定で30%以上(改正前は10%以上)。女性は75%以上で、有期雇用の女性についても同じ水準が求められます。ただし2027年3月末までは改正前の基準でも申請でき、改正後の基準による認定マークには認定年の後ろに「2025年度基準」と記されます。えるぼしは5つの評価項目のうち満たした数で3段階に分かれ、2026年4月からは女性の健康支援に関する基準を加えた「えるぼしプラス」も申請できるようになりました。
くるみんは子育て支援の認定ですが、基準にはフルタイム労働者の残業時間も入っています。子育ての予定がない人にとっても、労働時間を確かめる手がかりになるのです。
参考:厚生労働省「ユースエール認定制度」
参考:厚生労働省「次世代育成支援対策推進法の改正に伴い、くるみん認定、プラチナくるみん認定の認定基準等が改正されました」
参考:厚生労働省「えるぼし認定、プラチナえるぼし認定の概要」
参考:厚生労働省「女性活躍推進法が改正されました!」
健康経営優良法人は経済産業省の制度で、上位に「ホワイト500」
健康経営優良法人は、従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践している法人を「見える化」する制度です。2016年度に経済産業省が創設し、経済団体や医療団体、保険者、自治体などが連携する日本健康会議が認定しています。
2026年3月に発表された「健康経営優良法人2026」の認定数は、大規模法人部門で3,765法人、中小規模法人部門で23,085法人。大規模法人部門の上位法人には「ホワイト500」、中小規模法人部門の上位500法人には「ブライト500」の冠が付きます。ホワイト500は「ホワイト企業の上位500社」という意味ではなく、健康経営の評価が上位という意味です。
参考:経済産業省「『健康経営優良法人2026』認定法人が決定しました」
認定がない会社は、ブラック企業という意味ではない
認定マークは条件を満たした会社を見つける手がかりになりますが、マークのない会社を候補から外す理由にはなりません。ユースエールの根拠条文を読むと、その理由がわかります。
「申請に基づき」とあるとおり、基準を満たす働き方をしていても、会社が申請しなければ認定は受けません。認定を受けるかどうかは会社の任意で、申請は義務ではないのです。 くるみんの次世代育成支援対策推進法第13条も、えるぼしの女性活躍推進法第9条も、同じく「申請に基づき」という書き方です。加えてユースエールは、条文のかっこ書きのとおり常時雇用する労働者が300人以下の事業主に限られます。300人を超える会社にユースエールのマークがないのは、制度の対象外だからです。
認定を受けている会社の数は、職場のあんぜんサイトの一覧に載るホワイトマークの認定企業が44社(2026年9月24日更新時点)、えるぼしの認定企業が4,313社(2026年3月末時点)。厚生労働省のえるぼし認定企業一覧には「希望により名簿に掲載していない企業があります」という注記もあり、一覧に名前がないことが未認定を意味するとも限りません。
反対に、認定は申請時点までの実績にもとづくもので、その後を保証するものではありません。ホワイトマークは基準を満たさなくなれば認定通知書を返納する決まりで、ユースエールも毎年、基準の確認を受けます。認定は「ある時点で国の基準を満たした会社か」を示すものと受け止めておけば、使い方を誤りません。
参考:e-Gov法令検索「次世代育成支援対策推進法」
参考:e-Gov法令検索「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」
参考:厚生労働省「職場のあんぜんサイト 安全衛生優良企業公表制度 優良企業の紹介」
参考:厚生労働省「女性活躍推進法への取組状況」
認定企業と職場情報を調べられるサイト
認定の有無や、会社が公表している働き方の数字は、国が運営するサイトと、認定事務局のサイトで調べられます。全社を調べる必要はありません。応募先を絞り込む段階で、気になる会社だけ確かめれば十分です。
- 横断して調べるなら、しょくばらぼ
- 制度ごとの一覧は、それぞれの制度のサイト
- 健康経営優良法人は、認定事務局のポータルサイト
| サイト | 運営 | 調べられること |
|---|---|---|
| しょくばらぼ | 厚生労働省 | 認定の有無、月平均所定外労働時間、有給休暇の取得率、新卒者の採用・定着状況など |
| 若者雇用促進総合サイト | 厚生労働省 | ユースエール認定企業と、採用・定着状況、残業時間、有給休暇の取得状況 |
| 両立支援のひろば | 厚生労働省 | くるみん認定企業、各社の行動計画、男女別の育児休業取得率 |
| 女性の活躍推進企業データベース | 厚生労働省 | 男女間賃金差異、女性管理職比率、平均残業時間、有給休暇取得率など各社の公表情報 |
| 職場のあんぜんサイト | 厚生労働省 | ホワイトマークの認定企業一覧と認定期間 |
| ACTION!健康経営 | 健康経営優良法人認定事務局(日本経済新聞社) | 健康経営優良法人の認定法人一覧 |
横断して見るなら、しょくばらぼが入口になります。 掲載企業は152,380件(2026年10月1日時点)で、企業名で検索すると、各サイトに公表されている情報がまとめて表示される仕組みです。気になる会社を複数選んで、横に並べて比べることもできます。ただし掲載されているのは、職場情報を公表している会社。載っていないことは、悪い会社であることを意味しません。
健康経営優良法人はしょくばらぼの認定欄に入っていないため、認定事務局のポータルサイトACTION!健康経営の認定法人一覧で確かめます。
就活中の人は、就活スケジュール完全ガイド|27卒・28卒の流れを月別に解説でエントリーの時期をつかんでおき、候補を絞る段階でこれらのサイトを開くと手間が少なくて済むでしょう。
参考:厚生労働省「職場情報総合サイト しょくばらぼ」
参考:厚生労働省「若者雇用促進総合サイト」
参考:厚生労働省「両立支援のひろば」
参考:厚生労働省「女性の活躍推進企業データベース」
ホワイト企業の見分け方は、求人票と公表情報の数字から
認定がなくても、働きやすさは数字でかなりの部分をつかめます。見るのは年間休日、残業時間、有給休暇の取得率、離職率の4つ。確かめる順番は、求人票、公表情報、面接です。
- 求人票には、休日や残業の有無などの明示が義務づけられている
- 全国の水準と並べると、数字の位置がわかる
- 認定制度の基準は、数字を読むときの物差しになる
- 残業時間は、法律の上限と並べて読む
最初に見るのは、求人票と募集要項です。 職業安定法の第5条の3は、労働者を募集する会社にも、求人を紹介する職業紹介事業者にも、業務の内容や賃金、労働時間などの労働条件を明示するよう求めています。マイナビ・リクナビといった求人サイトに載る募集も、転職エージェントから紹介される求人も、その対象です。厚生労働省のリーフレットでも、休日と時間外労働の有無は最低限明示すべき項目に挙がっています。
次に見るのは、会社が公表している数字です。しょくばらぼなどの国のサイトでは、月平均の所定外労働時間や有給休暇の取得率を公表している会社が見つかります。そこにもない数字だけを、面接や内定後の面談で聞けば十分でしょう。新卒の募集なら、応募者から求められた場合に会社は職場情報を提供しなければならないと、若者雇用促進法の第13条第2項が定めています。
| 数字 | 全国の水準 | 見つかりやすい場所 |
|---|---|---|
| 年間休日 | 1企業平均112.4日、労働者1人平均116.6日 | 求人票・募集要項の休日欄 |
| 残業時間 | 一般労働者の所定外労働時間は月13.2時間 | 求人票の時間外労働欄、しょくばらぼ、若者雇用促進総合サイト |
| 有給休暇の取得率 | 66.9%、取得日数は平均12.1日 | しょくばらぼ、若者雇用促進総合サイト、女性の活躍推進企業データベース |
| 離職率 | 1年間で13.7%、一般労働者は11.4%。大卒の就職後3年以内は33.8% | 若者雇用促進総合サイトの採用・定着状況、しょくばらぼ |
年間休日と有給休暇は令和7年就労条件総合調査、残業時間は毎月勤労統計調査の2025年分確報、離職率は令和7年雇用動向調査と、令和4年3月卒業者の新規学卒就職者の離職状況によるものです。年間休日は1企業平均・労働者1人平均とも1985年以降で最も多く、有給休暇の取得率も1984年以降で最も高い水準でした。平均は年ごとに動くので、求人の数字は調査年とセットで比べてください。
全国平均と並ぶもう一つの物差しが、国の認定制度が置いている数値基準です。残業時間では、ユースエールが正社員の月平均所定外労働時間20時間以下を求めます。くるみんはフルタイム労働者の時間外・休日労働の平均を各月30時間未満とし、25〜39歳に限った平均なら各月45時間未満でも認めています。ホワイトマークとえるぼしの労働時間の項目は、各月平均45時間未満です。ホワイトマーク、ユースエール、くるみんは、月平均60時間以上の時間外労働をした人が1人もいないことも条件です。有給休暇ではユースエールが取得率平均70%以上または年間平均10日以上を求め、ホワイトマークは過去3年すべての年で取得率70%以上なら加点します。定着ではユースエールの「直近3事業年度の新卒等正社員の離職率20%以下」、育児休業ではくるみんの「男性の取得率30%以上・女性75%以上」が基準です。


これらは「この数字ならホワイト」という公式の線ではありませんが、国が優良と認める水準がどのあたりにあるかを知る目安になります。 求人票の数字を、全国平均と認定基準の両方と並べてみてください。
参考:厚生労働省「募集時などに明示すべき労働条件が追加されます!」
参考:e-Gov法令検索「職業安定法」
参考:e-Gov法令検索「青少年の雇用の促進等に関する法律」
参考:厚生労働省「令和7年就労条件総合調査 結果の概況」
参考:厚生労働省「毎月勤労統計調査 2025(令和7)年分結果確報」
参考:厚生労働省「令和7年雇用動向調査結果の概要」
参考:厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)を公表します」
残業時間は、法律の上限と並べて読む
残業時間の数字は、法律の上限と並べると位置がつかめます。法定労働時間を超える残業には労使の36協定が要り、協定で決められる残業時間にも、労働基準法が原則の枠を設けています。
原則の枠は月45時間・年360時間で、かっこ書きは一部の変形労働時間制をとる場合の例外です。この上限は努力目標ではなく、会社が守らなければならない枠です。 臨時的な特別の事情があれば労使の合意で月45時間を超えられますが、それも年6か月までで、年720時間などの別の上限が同じ第36条の第5項と第6項に置かれています。
ホワイトマークやえるぼしが基準にする「各月45時間未満」は、この限度時間と同じ数字です。求人票の固定残業代が45時間分に近い、あるいは超える設定になっていたら、その時間数の残業が日常的にあるのかを面接で確かめておきましょう。
ブラック企業の特徴は、国の資料でここまで確かめられる
ブラック企業に法律上の定義はないものの、その特徴とされる長時間労働や賃金不払残業は、国の監督指導の結果として数字が公表されています。
- 長時間労働が疑われる事業場の38.5%で、違法な時間外労働が見つかった
- 賃金不払の事案は、1年間で2万件を超える
- 送検などに至った事案は、企業名つきで公表されている
- 入社後におかしいと感じたときの相談先も、国が用意している
| 一般に言われる特徴 | 国の資料で確かめられること | 応募前に見える手がかり |
|---|---|---|
| 極端な長時間労働やノルマ | 令和7年度、長時間労働が疑われる29,150事業場のうち11,228事業場で違法な時間外労働 | 求人票の時間外労働欄、固定残業代の時間数 |
| 賃金不払残業などコンプライアンス意識の低さ | 令和7年に労働基準監督署が扱った賃金不払事案は22,605件 | 固定残業代の書き方、公表事案への掲載 |
| 過度の選別 | 直接示す統計はない | 新卒者などの採用者数と離職者数 |
長時間労働と賃金不払は、監督指導の結果に表れている
厚生労働省の「長時間労働が疑われる事業場に対する令和7年度の監督指導結果」では、監督指導を行った29,150事業場のうち11,228事業場(38.5%)で違法な時間外労働が見つかりました。時間外・休日労働が最も長い人の時間数が月100時間を超えていた事業場は2,842、賃金不払残業があったのは1,901事業場(6.5%)です。


ただし、対象は全国の会社から無作為に選ばれたわけではありません。 時間外・休日労働が月80時間を超えていると考えられる事業場や、過労死等の労災請求があった事業場などを選んで調べた結果です。全国の会社の4割に違法な残業がある、という読み方はできません。
賃金不払が疑われる事業場への監督指導の結果では、令和7年に全国の労働基準監督署が扱った賃金不払事案が22,605件、対象労働者は173,016人、金額は128億5,782万円でした。このうち21,731件(96.1%)は、監督署の指導で会社が支払い、解決しています。


参考:厚生労働省「長時間労働が疑われる事業場に対する令和7年度の監督指導結果を公表します」
参考:厚生労働省「賃金不払が疑われる事業場に対する監督指導結果(令和7年)を公表します」
公表事案は、載っていたら中身まで読む
公表事案は、労働基準関係法令違反の疑いで送検された事案などを、厚生労働省が全国分まとめて毎月掲載しているものです。社名と所在地のほか、違反した条文と事案の概要まで載り、公表日からおおむね1年で外れます。
掲載されているのは長時間労働や賃金の不払いに限らず、機械の安全措置を怠った労働安全衛生法違反なども含まれます。志望先の名前を見つけたら、どの条文の違反で、どんな事案だったのかまで読んでから判断してください。
入社後におかしいと感じたら、相談先がある
厚生労働省は、若者の「使い捨て」が疑われる企業等への取組として、ポータルサイト「確かめよう労働条件」と電話相談の「労働条件相談ほっとライン」を設けています。ほっとラインは0120-811-610で、平日は17時から22時、土日・祝日は9時から21時まで受付(2026年4月1日時点)。無料で、匿名でも相談できます。会社を指導する権限はなく、法令や裁判例をふまえた助言と関係機関の紹介を行う窓口なので、日々の始業・終業時刻を記録しておくと状況を伝えやすくなります。
参考:厚生労働省「若者の『使い捨て』が疑われる企業等への取組」
参考:厚生労働省「確かめよう労働条件|労働条件相談ほっとライン」
働きやすさの「理由」を、経営者はどう語っているか
認定や数字は、働きやすさの結果を示すものです。その結果がなぜ生まれているのかが表れるのは、経営者の言葉のほう。取材を重ねていると、働きやすい会社の経営者ほど、その理由を社員の頑張りではなく事業の仕組みから話し始めると感じます。
- 残業の少なさを、事業の構造で説明できる
- 働き方は、経営の判断で変えられる
- 制度を整えても、人間関係までは数字に出ない
残業の少なさを、事業の構造で説明できる
監査法人コスモスの新開智之統括代表社員に、監査法人は激務というイメージについて尋ねたときの答えです。
残業が少ない理由を、社員の努力ではなく、顧客の決算期が分散しているという事業の構造から説明しているのが特徴です。面接で「残業が少ないのはなぜですか」と聞いたとき、仕組みで答えが返ってくるかどうかは、数字の確かさを測る手がかりになります。
働き方は、経営の判断で変えられる
ハタメタルワークスの畑敬三社長は、リーマンショックで仕事が減った時期をこう振り返ります。
長い残業が当たり前だった職場でも、経営の方針が変われば働き方は変わるのです。ホワイトかブラックかは、会社に貼られた固定のラベルではありません。過去の評判より、直近の数字とその背景にある方針を確かめるほうが、いまの職場の姿に近づけます。
制度を整えても、人間関係までは数字に出ない
CBTソリューションズの野口功司社長は、残業がほとんどなく、産休・育休の取得率も復帰率も高いと話したうえで、こう続けています。
人間関係の良し悪しは、認定の数値基準にも公表される数字にも表れにくい部分です。面接で社員と話す機会や職場見学があれば、遠慮せず使ってください。質問するなら、次のような聞き方が使えます。
- 残業が少ない(あるいは多い)のは、なぜですか
- 有給休暇は、誰がどう調整して取っていますか
- ここ数年で、働き方について変えたことはありますか
答えの良し悪しより、理由と仕組みまで具体的に返ってくるかを見てください。
熱狂ベンチャーナビには、創業まもない会社から上場企業まで、経営者が自分の言葉で制度や働き方の理由を語ったインタビューが並んでいます。同じ「残業が少ない」でも、会社ごとに理由がまるで違うことは、何本か読み比べると見えてきます。
ホワイト企業に関するよくある質問
ホワイト企業の基準は、誰が決めているのですか?
公的に決めている機関はありません。 法律にも国の制度にも「ホワイト企業」の定義はなく、国の認定制度も、それぞれ別の観点で優良な企業を認定するものです。民間団体が独自の基準でランキングや認定を出している例もありますが、基準は主催者ごとに異なります。どの物差しで測った「ホワイト」なのかを確かめてから参考にしてください。
残業は月何時間までなら、ホワイト企業と言えますか?
公式の線はありませんが、目安になる数字はあります。 毎月勤労統計調査の2025年分確報では、一般労働者の所定外労働時間は月13.2時間でした。認定制度ではユースエールが正社員の月平均所定外労働時間20時間以下、くるみんがフルタイム労働者の各月平均30時間未満などを基準にしています。法律上は、36協定を結んでも原則として月45時間・年360時間が上限です。
中小企業やベンチャーにも、ホワイト企業はありますか?
働きやすさは、会社の規模だけでは決まりません。 ユースエール認定はもともと常時雇用する労働者が300人以下の中小企業だけが対象で、若者雇用促進総合サイトには2,159社のユースエール認定企業が掲載されています(2026年10月3日閲覧時点)。健康経営優良法人2026でも、中小規模法人部門で23,085法人が認定されました。ホワイトマークの一覧に載る44社のうち24社も、中小企業基本法の定義にあたる中小企業です(2026年9月24日更新時点)。
参考:厚生労働省「若者雇用促進総合サイト」
参考:厚生労働省「職場のあんぜんサイト 安全衛生優良企業公表制度 優良企業の紹介」
ホワイト企業は「ぬるい」「成長できない」というのは本当ですか?
働きやすさと成長のしやすさは、別々に確かめるものです。 残業が少ないことと、任される仕事の幅や育成の手厚さは別の話。ユースエールの認定要件に「人材育成方針」と「教育訓練計画」の策定が含まれているように、働きやすさと育成をセットで整えている会社もあります。気になるなら、研修の中身や若手に任せている仕事を面接で具体的に聞いてみてください。成長の早い人に共通する行動は、成長が早い人の特徴9選|共通点と今日からの行動にまとめています。
まとめ
ホワイト企業とは、働きやすさの条件がそろった企業の一般的な呼び名で、法律上の定義はありません。代わりに使えるのが国の認定制度で、5つの制度は安全衛生、若者の定着、子育てとの両立、女性の活躍、従業員の健康管理と、それぞれ別の側面を見ています。どの認定も会社からの申請が前提なので、認定がないことはブラック企業の証拠になりません。
数字で確かめるなら、まず求人票と、しょくばらぼなどに公表された職場情報から。全国の水準は、年間休日が1企業平均112.4日、有給休暇の取得率が66.9%、一般労働者の残業が月13.2時間です。残業時間は、法律の限度時間である月45時間と並べると位置がつかめます。ブラック企業の特徴とされる長時間労働や賃金不払残業も、疑いのある事業場への監督指導の結果として件数が公表されています。
正直なところ、認定の一覧や数字を眺めるだけでは、その会社で働く日々の手ざわりまでは分かりません。最後に効くのは、働きやすさの理由を経営者や社員が自分の言葉で説明できるかどうか。そこまで確かめられれば、ホワイトかどうかを雰囲気で決めずに済みます。
年間休日や残業時間などの条件で、いくつもの求人を並べて比べたいときは、希望条件を伝えて求人を絞り込んでもらえる転職エージェントが近道です。

