【代表者インタビュー】9CROSS株式会社 代表取締役 木島 康平

「Whyで働く人」を増やす、20代営業特化の転職エージェント
「自分は何者か」から始まる転職支援。20代営業パーソンに伴走するエージェントの挑戦
「どの会社を選ぶか」ではなく、「自分自身が将来どうなりたいか」。20代の営業パーソンに特化した転職エージェント「Core Agent」を運営する9CROSS株式会社代表取締役の木島 康平さん(以下、木島さん)は、転職支援の本質をそのように語ります。
同社の特徴は、求人紹介の前に行う「原体験の深掘りセッション」にあります。幼少期から現在に至るまでの人生を丁寧に紐解き、本人すら気づいていなかった価値観や強みを言語化していく。一般的なエージェントが書類作成から始めるところを、「自分は何者なのか」という問いから始めるのです。
高校3年時に偏差値36から猛勉強して立教大学に合格し、グリー株式会社ではトップセールス兼事業責任者にまで上り詰めた木島さん。21歳のときに抱いた「事業を通じて社会を良くする会社を28歳でつくる」という決意を、そのまま実行に移した人物でもあります。人材紹介、AI、マーケティングの3事業を軸に、「9つの事業で社会を革新する」というミッションを掲げる木島さんに、その思いを伺いました。
【プロフィール】

9CROSS株式会社
代表取締役社長 木島 康平
趣味
キャンプ、サウナ、トレーニング
座右の銘
意志あるところに道は拓ける
尊敬する人
稲盛 和夫さん
学生が読むべき本
「イノベーション・オブ・ライフ」クレイトン M.クリステンセン
経営者におすすめの本
「考え方」稲盛 和夫
人生で一番熱狂したこと
起業
「Whyで働く人」を増やす。求人紹介の前にある、本質的なキャリア支援

人材紹介、AI、マーケティング。3つの事業で中小企業の生産性を高める
小川:御社の事業について教えてください。
木島さん:当社は主に3つの事業を展開しています。主軸となるのは、20代の営業職に特化した人材紹介事業「Core Agent」です。
20代の営業職には、自分が本当は何をやりたいのか分からない方や、今の仕事に不満はないけれど満足もしていないという方が多くいます。私自身もかつてはそうでした。そうした方々に対して、目の前の仕事に自分なりの意味づけができるよう支援しています。「Why(なぜ自分がその仕事をするのか)」という目的意識を持って仕事をする人を1人でも増やしたい。それが当社の人材紹介事業の根幹にある考え方です。
2つ目はAI事業で、パートナー企業と連携しながら、採用業務のAI活用、営業向けのツール開発などを手がけています。3つ目はSNSマーケティング事業です。私がグリー時代にSEOやSNSマーケティングに携わっていた経験を活かし、YouTubeやSNSの運用支援を行っています。
「ベルトコンベアのような転職」への疑問。原体験を深掘りする独自のアプローチ
小川:人材紹介事業の特徴について、もう少し詳しく教えていただけますか?
木島さん:総合型のエージェントでは、初回の面談で「何がしたいですか」「希望条件は」と聞いて、数日後に求人票が送られてきて、「通ったところから行きましょう」という流れが大半なのが現実です。しかし冷静に考えると、1日の大半を占める仕事を、よく分からないまま決めてしまうのは大きなリスクではないでしょうか。
当社では、求人紹介の前に「原体験の深掘りセッション」を行っています。幼少期から現在に至るまでの意思決定を一つひとつ整理し、「なぜそのとき、その選択をしたのか」「自分が頑張れるのはどういう場面か」を紐解いていきます。すると、本人も気づいていなかった価値観や行動の傾向がみえてくるのです。
自分の「Why」をみつけた状態で転職先を選ぶからこそ、納得感のあるキャリア選択ができる。この前工程に、他のエージェントの何倍もの時間をかけているのが当社の特徴です。
看護師から営業職へ。人生を紐解くことで「本当の適性」が浮かび上がる
小川:実際に支援された事例について教えていただけますか?
木島さん:たとえば、新卒1年目の看護師の方を支援したケースがあります。彼は他のエージェントで2社の内定を獲得していましたが、納得しきれずに辞退を繰り返していました。
話を深く聞いていくと、小学生のときに父親を亡くしており、身内のために何もできなかった悔しさから医療の道を志したことが分かりました。一方、看護師として働く中で、本来やりたかった価値提供ができず、上司の顔色を伺いながら仕事をしている状況にもどかしさを感じていたのです。
さらに深掘りしていくと、受験勉強では数字が上がるのが好きだった、陸上ではタイムが縮まるのが好きだったと語ってくれました。つまり彼は、競争環境の中で努力の成果が数字として返ってくることに強いモチベーションを感じるタイプだったのです。今の職場にはその要素が一切ありませんでした。
最終的に、成果がしっかりと報酬に反映される人材紹介会社への転職が決まり、「自分でも気づけなかったことが分かった。今もメラメラ燃えています」と話してくれました。
偏差値36からの逆転。「プライドを捨てて真似する」ことで開けた道

高校時代のどん底から立教大学へ。人生を変えた12時間の猛勉強
小川:ご自身のこれまでのキャリアについてお聞かせください。
木島さん:高校時代は遊び呆けていて、学年で下から3番目の成績でした。偏差値は36しかなく、バイクで事故を起こして周囲にも迷惑をかけ、まさにどん底の状態だったのです。そこで「人生を変えよう」と決意し、1日12時間の猛勉強を続けた結果、現役で立教大学に合格することができました。
テレアポから始まった営業キャリア。売れている人を「徹底的にパクる」
小川:大学卒業後はどのようなキャリアを歩まれたのですか?
木島さん:グリー株式会社に入社し、もともとはSEOなどのWebマーケティングをやるつもりでした。ところが配属初日に「今日から営業」と言われ、テレアポからのスタートになったのです。周囲の同期がマネージャーをやっている中で、自分だけテレアポをやらされる日々。じんましんが出るほど嫌でした。
しかし、あるとき自分のプライドをすべて捨てて、売れている先輩を徹底的に真似することにしたのです。行動パターン、トークの内容、話し方、間の使い方まで、すべて録音して文字に起こし、通勤時間にひたすら聞き続けました。すると3ヶ月後から受注が取れ始め、そこからずっと売上1位を維持できるようになりました。
小川:成果を出せるようになったことで、営業に対する意識も変わりましたか?
木島さん:完全に変わりました。営業が嫌いだったのに、1位を取ってからは好きになった。みえる景色がまったく違うのです。その後は事業責任者として支社の立ち上げや組織のV字回復も経験し、若手の育成に強みをみつけていきました。
フランスで知った「無力さ」が、起業の原点になった

21歳の決意。「ビジネスプロデューサー」という生き方をみつけるまで
小川:28歳で起業されていますが、起業を志したきっかけは何だったのでしょうか?
木島さん:きっかけは2つあります。1つ目は、テレビ番組で本田圭佑さんの特集をみたことです。大きな夢を語り続け、それを実現してセリエAのミランで10番を背負った姿をみて、「自分には何があるのか」と問いかけたとき、何もなかった。その情けなさが、夢をみつけようと思った最初のきっかけでした。
2つ目は、自分の性格を見つめ直したことです。もともと熱しやすく冷めやすいタイプで、ゼロから何かを立ち上げることに夢中になるものの、軌道に乗ると飽きてしまう。そこで「ビジネスプロデューサー」という生き方をみつけ、事業を立ち上げて社会に届けていく起業家になろうと決めました。21歳のときのことです。
ホームレスに差し出したホットチョコ。「独りよがり」に気づいた瞬間
小川:木島さんが起業を志した背景には、どのようなきっかけがあったのでしょうか?
木島さん:フランスに1年間留学していたときの出来事が、事業の原点になっています。
冬の寒い日、橋のうえで薄い毛布に包まっているホームレスの方をみかけました。耳がちぎれるほどの寒さの中、かわいそうだと思い、月5万円の仕送りで暮らしていた中からホットチョコとホットワインを買って渡しに行ったのです。温かい飲み物を渡しながら話しかけようとしましたが、彼は一言も返してくれませんでした。それどころか迷惑そうな顔をされました。
正直、激しく腹が立ちました。しかし橋を渡って戻ったとき、「自分がやっていたことは独りよがりだった」と気づいたのです。「こうしたら喜んでくれるだろう」と期待し、思った反応が返ってこなくて苛立っている自分。困っている人を助けること自体は悪くない。しかし、目の前の1人すら救えない自分の無力さに愕然としました。
そのとき感じたのは、誰かを助けるためには自分自身が力を持たなければならないということでした。ボランティアではなく、資本主義のルールを理解したうえで事業を立ち上げ、その事業が広がることで社会に良い影響を与えていく。そのために起業家として稼ぎ、影響力を高めていこうと決めたのです。
「逃げるのか」と自分に問いかける。壁を乗り越え続ける推進力

自分のキャパを超える壁に向き合うとき、一番熱狂している
小川:これまでのお仕事の中で、熱狂する瞬間を教えてください。
木島さん:ゼロから何かを立ち上げる瞬間が、私にとっての熱狂です。目の前にとてつもない壁があって、「どう考えても無理だ」と思う状況。でも、「これまで散々壁を乗り越えてきたのだから、今回もいける」と自分に言い聞かせて、一つひとつ登っていく。自分のキャパシティを遥かに超えるものを背負い、それを乗り越える瞬間こそが、私にとっての「熱狂」です。
その瞬間は本当に辛くて苦しいのですが、振り返ると無我夢中でやっていた時間こそが熱狂だったのだと感じます。むしろ軌道に乗ってしまうと、どこか物足りなさを感じてしまう。経営をしていてもそうです。
小川:壁にぶつかったとき、どのように気持ちを切り替えているのですか?
木島さん:「ここで逃げるのか」と自分に問いかけます。その次に、過去の成功体験を思い出す。偏差値36から立教に受かったこと、営業で最下位からトップになったこと。「あのとき乗り越えられたのだから、今回もいける」と自分を奮い立たせて、退路を断って全集中で取り組む。その繰り返しでここまでやってきました。
リーダーシップ教育でつながるチーム。責任感ある組織の風土

大学のリーダーシップ開発プログラムから生まれた結束力
小川:現在の組織体制について教えてください。
木島さん:経営陣が2名、正社員とマネージャーがそれぞれ1名、そしてインターン生が3名という構成です。インターン生の割合が比較的多いのですが、全員がリファラルで入社しています。
共通しているのは、大学で「リーダーシップ開発」というプログラムを受講していることです。もともと立教大学で始まったもので、「目標設定」「率先垂範」「同僚支援」の3つの要素を柱に、プロジェクトベースの学習を通じてリーダーシップを身につけるプログラムです。私自身がその2期生で、現在は全国70以上の大学に広がっています。
インターン生たちは、当社の「Whyで働く人を増やしたい」という理念にも深く共感してくれているため、リモート環境でも高い責任感を持って仕事に取り組んでいます。
小川:リモート環境でも、メンバーが高い責任感を持って働けているのはなぜだと感じますか?
木島さん:今の学生たちは、リモート環境を特別なものとして捉えていないんです。大学生活の多くをオンラインで過ごしてきた世代なので、リモートでも成果を出すことに慣れています。
私たちの世代は、毎日出社して上司の目がある環境が当たり前でしたから、リモートになると気が緩みがちな面もありますが、彼らにはその感覚があまりありません。仕事は仕事としてきっちり向き合う姿勢が、自然と身についているのだと思います。
9つの事業で社会を革新する。「ナインクロス」に込めた志
社名に込めた思いと、事業を立ち上げる唯一の判断基準
小川:最後に、今後の展望についてお聞かせください。
木島さん:社名の「ナインクロス」には、9つの事業を通じて社会を革新していくという意志を込めています。現在は3つの事業を展開していますので、残り6つをこれからつくっていくことになります。
事業を立ち上げる際の判断基準はただ1つ、「それは本当に社会を良くしているか」です。人材紹介事業では、Whyを持って働く営業パーソンが増えることで、優れたサービスを持ちながらも営業力に課題を抱える中小企業の存在を広く届けていく。AI事業では、人手不足に悩む中小企業の生産性向上に貢献する。マーケティング事業では、良いリーダーや企業の存在を広く届けていく。それぞれの事業が、社会に対して確かな価値を提供できるかどうか。その軸はぶれません。
近道はないので、日々やるべきことを一つひとつ積み重ねていくだけです。
会社概要
| 会社名 | 9CROSS株式会社 |
| HP | https://9cross.co.jp |
| 設立 | 2022年11月 |
| 事業内容 | ・Core Agent(人材紹介事業) ・9S-α(AIによる企業の課題解決事業) ・Cross Media(マーケティング事業) |
※2026年3月31日時点の情報です。
