【代表インタビュー】株式会社Human Creation 代表取締役 山川 勇之丈

【熱狂ベンチャーナビ】株式会社Human Creation 代表取締役 山川 勇之丈

「琉球再建」を掲げる若き起業家が描く、沖縄から世界への挑戦

地方の人材流出、企業の採用難、若者のキャリア形成の地域格差。これらの課題に真正面から取り組む株式会社Human Creation。代表取締役の山川 勇之丈さん(以下、山川さん)は、前職で「マイナビ新卒人気企業ランキング」九州・沖縄部門で1位を獲得した実績を持つ採用のプロフェッショナルです。

「地方創生を人の創生から」をミッションに掲げ、沖縄を拠点に全国展開する同社は、採用コンサルティング、地方学生の県外就職支援「ガイカツ」、地方創生型採用プロジェクト「OFA(オファー)」の3事業を展開中。特に「OFA」は、2年の構想期間を経て実現した革新的な地域連携型採用モデルとしてメディアからも注目を集めています。

「琉球再建」という壮大なビジョンのもと、沖縄から世界に挑戦する企業づくりを目指す山川さん。地方発ベンチャーとして日本一の採用コンサルティング会社を目指す熱狂的な挑戦について、お話を伺いました。

目次

プロフィール

株式会社Human Creation

代表取締役 山川 勇之丈

趣味

筋トレ、お酒呑み

尊敬する人

織田信長

座右の銘

点火人(人に火をつけれる人)

学生が読むべき本

「キングダム」原 泰久

経営者におすすめの本

「7つの習慣」スティーブン・R・コヴィー

人生で一番熱狂したこと

前職でマイナス4億の店舗をV字回復させたこと / OFA事業の立上げ

地方企業の採用課題に向き合う三つの事業展開

新卒採用のプロが提供する「ガイプロ人事(外部プロ人事)」サービス

小川:まずは御社の事業内容について教えてください。どのような事業を展開されているのでしょうか?

山川さん:当社は主に三つの事業を展開しています。一つ目はBtoBの新卒採用支援事業です。企業様の採用支援を行っており、私自身が前職で人事責任者を務めていた経験を活かし、採用戦略の上流設計から実務まで幅広くサポートしています。

クライアントは関東の企業が半分、残りの半分は新潟から沖縄まで全国に広がっています。業界・業種も製造業からサービス業まで幅広く対応しており、これまで約50社の採用支援を行い、導入後4ヶ月で母集団形成が300%アップした実績もあります。

小川:採用支援の具体的な内容について教えていただけますか?

山川さん:大きく分けて二つのパターンがあります。一つは中小企業で人事がいなかったり、他業務との兼務でリソースが不足している企業のサポートです。ゼロから伴走する採用チームを立ち上げ、一緒につくり上げていきます。

もう一つは、採用活動をしているものの成果が出ていない企業へのサポートです。特に最近は、学生の母数が減ってしまいそもそもの接触数が年々減少しているという課題を抱える企業が多いですね。私は実務経験もあるので、プロジェクトマネージャーとして入り込み、チーム全体を動かしていきます。

私たちの強みは、前職でブライダル営業も経験してきたことから、就活生目線での企業をより魅力的な「魅せ方」を構築できる点にあります。

小川:その「みせ方」について、具体的にはどういうことでしょうか?

山川さん:私はもともとブライダルというハード(結婚式場)はあるが、結婚式自体は無形(サービス)という中で営業統括をやっていた人間です。ハード(自社の強み)の魅せ方やソフト(社風や人の魅力)をどうみせるかというブライダルの営業・マーケティング視点を採用活動に活かしています。

たとえば、ある建設業の会社では、5年〜10年で若手が独立してしまうといった課題がありました。一見すると離職率が高いネガティブな要素にみえます。それを日本に多くの起業家を輩出した人材業界でも有名な「リクルート」さんを見倣い、その若手の離職のネガティブな視点も見方を変えれば「建設業界のリクルート」というポジションをつくれるんです。

つまり、「この会社で5年〜10年働けば独立できるスキルが身につく」という強みに変換できる。事実は一つでも、解釈の仕方で企業の魅力は大きく変わるんです。

地方学生の可能性を引き出す「ガイカツ」サービス

小川:二つ目の事業について教えてください。

山川さん:二つ目は「ガイカツ(県外就活)」というBtoCサービスです。これは県外、特に首都圏や関西の主要都市に就職したい地方の学生さんを支援するサービスです。

地方の学生は首都圏の学生と比べて就活のスピード感が全然違います。また、国立大学以外は学歴面でも不利になりがちです。そこで私たちは、自己分析から最後の面接対策まで手厚くサポートし、地方の学生が関東の学生と同じ土俵で戦える就活レベルまで育成しています。

小川:一般的な人材紹介会社との違いはどこにあるのでしょうか?

山川さん:通常の人材会社は求職者が来たら求人を当てるだけですが、私たちは就活教育に特化しています。本当に戦える状態まで仕上げてから企業に送り出すんです。

たとえば、私たちのメンバーは朝7時から夜23時まで面談対応しています。学校前の7時〜9時、バイト後の21時〜23時といった時間帯に面談が集中するんです。土日も対応可能で、学生のライフスタイルに完全に合わせています。

小川:学生との接点はどのようにつくっているのでしょうか?

山川さん:沖縄県内では学生団体とのネットワークが強みです。私たちのメンバーがもともと学生団体の代表をやっていたりして、人的ネットワークでつながっています。このネットワークと過去利用者のリファラル(紹介)が一番多いですね。

地域ぐるみで人材を育てる「OFA(オファー)」プロジェクト

小川:三つ目の地方創生事業について詳しく教えてください。

山川さん:三つ目は「OFA(オファー)」という地方創生型の採用プロジェクトです。現在、北九州市で実施しているこの事業は、通常の就活マッチングとは全く違うアプローチを取っています。

大学1〜2年生の段階から学生と地域企業、行政が一緒になってワークショップを行います。「地方創生とは」「この地域の5年後、10年後、30年後をどうつくるか」といったテーマでディスカッションし、学生に街の当事者意識を持ってもらうんです。

小川:なぜこのような仕組みを考えたのでしょうか?

山川さん:北九州市の学生の市内就職率は約3割で、7割は市外に出てしまっているんです。就活の段階での学生の頭の中は「市内か市外か」で完全に分かれてしまっています。

そこで就活の前段階から地域の魅力や地域の未来を担う人財としての当社者意識のマインドセットを行い、「将来はこの街で働きたい」と思ってもらった状態でマッチングする。上流から1年かけて仕上げることで、地域への定着率を高めようという狙いです。

小川:1期目はどんな形で実施されたんですか?

山川さん:1期目は21社の地元優良企業と80名の学生が参加しました。3日間の合宿やワークショップを通じて、県外から来た学生も含めて北九州市の魅力を体感してもらいました。

このプロジェクトは行政の予算で運営していますが、3カ年計画で最終的には企業からの協賛で自走できるモデルを目指しています。2期目もすでにスタートをしており大好評で2期目のスタートができております。

最年少支配人から人事責任者へ。異例のキャリア

ブライダル業界での華麗な実績

小川:山川さんの前職での経歴について教えてください。

山川さん:私は新卒で東証一部上場のブライダル企業、アイ・ケイ・ケイホールディングスに入社しました。最初はBtoC営業職としてキャリアをスタートし、24歳で最年少支配人に昇進。

その後、26歳で北部九州エリア統括の総支配人、27歳で全店舗の営業部隊統括を兼任と、異例のスピードで管理職を歴任しました。28歳のときには人事戦略イノベーション室の室長として人事責任者を務めました。

小川:人事を担当されていた際に、特に力を入れて取り組まれていたことや、実際に成果につながった取り組みについて教えていただけますか?

山川さん:人事責任者として「マイナビ人気企業ランキング」九州・沖縄部門で1位を獲得しました。ちょうど世間がコロナウイルスで市場が厳しい中で、同社でも採用予算を昨対7割カットし中で年間100名以上の新卒採用・ランキング1位を獲得し、採用戦略から実務まで見ておりました。

この実務経験があったからこそ、企業の採用課題に共感できますし、効果的な解決策を提案できるんです。

マイナス4億円をV字回復させた奇跡

小川:プロフィールに「マイナス4億の店舗をV字回復させた」とありますが、詳しく教えていただけますか?

山川さん:前職時代に、2年間でマイナス4億円になった店舗がありました。私がトップとして配属され、1年で4億円を取り戻したんです。

投資をしたわけでもなく、トップが私に変わっただけ。チームを再構築し、戦略を練り直し、1年でV字回復を達成しました。この経験は、今でも私の中で最も熱狂した瞬間の一つです。

2年越しで実現した地方創生への挑戦

構想から実現まで諦めなかった信念

小川:他にも、熱狂したご経験があれば教えていただけますか?

山川さん:まさに今お話しした「OFA」事業の立ち上げですね。この構想は創業当初の2022年から持っていましたが、形になるまで2年かかりました。

最初は縁があって長崎の対馬で、農林水産業の経営者の方に向けて公民館で熱く語ったんです。「これからの地方創生にはこういう仕組みが必要だ」と。でも結局、各社の足並み揃わず同意を得られず没になってしまいました。

小川:それでも諦めなかったんですね。

山川さん:はい。その後も色々な場所で提案を続け、事業構想を5回書き直しました。1年後にやっと北九州市とご縁があって、そこからさらに1年かけて実現しました。

慣れない行政との仕事でしたが、「絶対に形にする」という思いで走り続けました。2年間の走りっぱなしでしたが、今では大きな事業に成長しています。

小川:その原動力は何だったのでしょうか?

山川さん:「誰かがやらないと解決しない課題」だと思ったからです。地方創生って言葉はよく聞きますが、実際にパイオニア的な存在って思い浮かばないですよね。

大企業がやらない理由は収益性の問題です。正直、コストパフォーマンスは良くない。でも、本当に未来をつくれる事業は、熱を持った人がやらないとうまくいかないと思うんです。

自分が地方創生のパイオニアになるという使命感で、「利益を生み出す事業」と「思いを込めた事業」を両立させながら進めています。

「琉球再建」を目指す沖縄発ベンチャーの挑戦

地方から世界へ。壮大なビジョンの原点

小川:山川さんが起業された背景には「琉球再建」というビジョンがあるとお聞きしました。詳しく教えていただけますか?

山川さん:私は沖縄出身で、ずっと沖縄にアイデンティティを持っています。「琉球再建」というのは、かつて貿易で栄えた琉球王朝時代のような、沖縄から世界へ価値を発信できる経済圏をつくりたいという想いです。

今の沖縄は観光業が中心で、人が来ないと価値を体験できない状態です。でも琉球王朝時代は貿易で外に価値を出していた。その力を取り戻したいんです。

小川:その想いの裏側には、どんな課題意識があったのでしょうか?

山川さん:去年、沖縄の経営者交流会3箇所で講演させていただきました。40〜70歳の経営者約100名に「県外にクライアントを持っているか」と質問したところ、手を挙げたのはわずか10%でした。

これが沖縄経済停滞の原因だと思っています。市場が小さい上に、九州と違って陸続きではない。この海をどう超えてサービスを展開できるかが沖縄の未来の鍵なんです。

沖縄の若者が挑戦できる環境づくり

小川:人材育成の面では、どのような取り組みをされていますか?

山川さん:2年前からGROOVE OKINAWA」という若手ビジネスパーソン向けコミュニティを主宰しています。10代〜30代の地元若者を集めて、定期的に勉強会や交流イベントを開催しています。現在は少しコミュニティ活動を休止していますが、まだ復活させる予定です。

このコミュニティは共創型の場として、メンバーが切磋琢磨しながら県内外・海外へ挑戦できる人材を輩出することを目指しています。沖縄から世界に通用する人財を生み出したいんです。

経営者思考を持つプロフェッショナル集団

すべてのメンバーが経営者マインドを持つ組織

小川:御社の組織文化や働き方について教えてください。

山川さん:当社は社員か、業務委託かを選べるようにしています。なぜかというとすべてのメンバーに経営者思考を持ってほしいという思いがあるからです。

私自身、サラリーマンとして7年間働いた後、1年半の個人事業を経て法人化しました。税制の優遇や納税の感覚、事業をやっている感覚は、雇用形態によって大きく変わります。この感覚をすべてのメンバーに持ってもらいたいんです。

小川:具体的な働き方はどのようになっていますか?

山川さん:フルリモート・フレックス対応で、時間の制限も設けていません。朝礼や会議の時間だけは決めていますが、それ以外は自由です。ただし、成果にはしっかりコミットしてもらいます。

うちは仕事が趣味といえるような好きなメンバーしか揃っていないです。インターン生でも制限を設けていないので、会社としては休みにしていますが、仕事が楽しくて土日関係なく働いているメンバーもいます。

成長環境への徹底的な投資

小川:働く人にとっての魅力や、環境づくりで意識していることがあれば教えてください。

山川さん:インターン生でも、成果によっては月20万円程度の報酬を出しています。決算賞与も出しております(プロジェクトの進捗によっては臨時ボーナスも)。沖縄ではかなり高い水準です。また、MacBookの支給や、カフェで作業するメンバーには月1万円のカフェ代を支給しています。

インセンティブは最大4割つけているので、先月は私より給料をもらった社員もいました(笑)。成長したいと思って全力でやれる人たちには、それなりの環境をつくることを徹底しています。

また、独立志向の強いメンバーも多いです。会社としては、思いを持った経営者を輩出することが沖縄経済のためになると考えています。一緒にいる期間でどれだけ成長し、貢献してもらえるかを重視しています。

沖縄から日本一、そして世界へ

平均年収1,000万円企業を目指す理由

小川:今後の展望について教えてください。

山川さん:まず目指しているのは沖縄で最も高い給与を支払える会社になることです。沖縄の平均年収は全国最下位で約340万円なんです。私たちは平均年収1,000万円クラスを目指します。

なぜかというと、3倍の給与水準を実現すれば、優秀な人材が集まります。それが結果的に沖縄全体の賃金水準を引き上げることにつながると考えているからです。

たとえば、米国のAmazon(アマゾン)の登場によって街の本屋が次々と姿を消したように、1社の出現が既存の業界構造を塗り替えていきました。沖縄でも、そうしたインパクトのある立ち位置を築かなければ、正直、今の環境は変わらないと感じています。

イノベーションには破壊と創造が必要です。私たちがトップラインを引き上げることで、労働市場・沖縄のスタンダードを変えていきたいと思っています。

「沖縄から世界へ」次なる挑戦

小川:世界展開についての構想を教えていただけますか?

山川さん:「沖縄から世界へ」というキーワードは、実は沖縄では幼少期から耳にする言葉なんです。平成元年の日本企業は世界の時価総額ランキング上位50社中32社が名を連ねており世界一にいましたが、平成30年段階では43位にトヨタが1社だけという状況です。

私たちの会社だけでなく、日本のスタートアップが連合を組んで、世界ランキングに入るような状況をつくりたい。そのために、まずは沖縄から日本全国へ、そして世界へと展開していきます。

将来的には、人材事業で培った利益を活用して、沖縄の天然素材を使った物販事業(貿易)なども考えています。「メイドイン琉球」というブランドを世界に発信できるような商品開発をしていきたいですね。

挑戦と成長を求める人材募集

小川:最後に、どのような人材を求めているか教えてください。

山川さん:求めているのは二つだけです。「成長したい」という気持ちと、それに対して「行動できる」こと。未経験でも全く問題ありません。

仕事の楽しさは、成果が出たときに一番に感じるものです。その助走期間は私たちがマンツーマンでサポートします。最初は質より量。とにかく行動量を増やして、楽しんでやれる人に来てほしいですね。

小川:学生や若者にメッセージをお願いします。

山川さん:今の時代、働き方や給料、休みなどの待遇面で就活先を選ぶ人が多いですが、ベンチャーの良さは仕事そのものの楽しさにあります。

本当に楽しく仕事ができれば、待遇面はすべておまけになります。「この仕事なら」「この人たちとなら」人生をかけて働けるという場所を探してほしい。

限られた命をどこに使うか。使命感を持って、熱狂できる就活をしてほしいと思います。

会社概要

法人名株式会社Human Creation
HPhttps://humancreation.co/
設立2023年9月(創業2022年1月)
事業内容・新卒採用特化コンサルティング事業・新卒採用インターン企画事業・プロジェクト型採用OFA(地方特化)事業・キャリア教育事業・有料職業紹介事業
採用https://humancreation.co/採用情報
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小川莉奈のアバター

編集者

小川 莉奈 - 熱狂ベンチャーナビ編集部

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看護士から一般企業へ就職。その後株式会社デジマケに入社。自身の転職経験を元に新卒~若手の転職者にわかりやすい情報をお届けします。

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監修者

西畑大樹 - 熱狂ベンチャーナビ運営責任者

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新卒で証券会社に入社。その後、不動産・マーケティング・SaaS企業と4社の経験を経て独立。
学生時代は無人島のインターンや創業2か月目の会社でインターン生として2年勤務。
学生時代から新卒就活領域のメディア運営やキャリアコンサルタントを行っていた経験を元に業界や企業理解が深まるインタビュー記事や就活や転職に役立つ情報をお届けします。

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秋山翔一 - 熱狂ベンチャーナビ編集責任者

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新卒で商社に入社。その後WEBマーケティング支援を行う会社に転職。その後、繊維メーカーの役員を経て株式会社デジマケを創業。
年間500記事以上の監修を行っております。採用側の視点でサービスのファクトチェックや記事内容を精査しています。

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熱狂ベンチャーナビ編集部はインターンシップ・新卒就活・転職経験者で編成されております。20代~30代の幅広い年齢・職種やキャリアを持つメンバーが在籍しているため、就活・転職の苦しかった経験や成功体験を元に求職者に役立つ情報を発信いたします。

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