【代表インタビュー】監査法人コスモス 統括代表社員 新開 智之

【熱狂ベンチャーナビ】監査法人コスモス 統括代表社員 新開 智之

東京プロマーケット上場支援のパイオニアが描く日本経済活性化への道

日本経済の根幹を支える中小企業。その成長支援に特化した監査法人として独自のポジションを確立している監査法人コスモスは、東京証券取引所の新興市場「TOKYO PRO Market(東京プロマーケット)」への上場支援で圧倒的な実績を誇ります。

統括代表社員の新開 智之さん(以下、新開さん)は、「私の前に道はない、私の後に道がある」という座右の銘のもと、新たな市場を開拓してきた。中小企業支援への想いと、若い人材が熱狂できる働き方について伺いました。

目次

プロフィール

監査法人コスモス

統括代表社員 新開 智之

趣味

ゴルフ、カラオケ

座右の銘

私の前に道はない、私の後に道がある

学生が読むべき本

「成功哲学」ナポレオン・ヒル

学生が読むべき本

「成功哲学」ナポレオン・ヒル、「グラッサー博士の選択理論」ウイリアム・グラッサー、アドラー心理学関連書籍

人生で一番熱狂したこと

この10年間の中小企業上場支援、特に昨年のプロマーケット12社上場達成

日本経済を支える99.7%の企業と向き合う

大手監査法人とは一線を画す独自の道

小川:まず、監査法人コスモスの事業内容について教えていただけますか?

新開さん:私たちは主に上場会社の監査を行っていますが、特徴的なのは「上場会社をつくる」ということに注力している点です。つまり、中小企業の上場支援ですね。単に財務諸表の監査をするだけでなく、企業が上場できる体制づくりから支援しています。

実は日本の企業の99.7%は中小企業で、約337万社あります。そして労働人口の7割、約3,300万人が中小企業で働いています。つまり、日本経済の根幹を支えているのは中小企業なんです。

小川:なぜ中小企業支援に特化されたのでしょうか?

新開さん:20年前から、「日本の経済を支えているのは誰なのか」という問題意識を持っていました。大手企業の監査も重要ですが、私たちは中小企業と一緒に成長していきたい、彼らと共に日本経済を支えていきたいという想いでやってきました。

正直に言えば、当時は大手監査法人のようなブランド力がなく、中小企業にしかサービスを提供できなかったという側面もあります。しかし、そこにフォーカスしてきた結果、今では中小企業支援の第一人者として認知されるようになりました。

上場はゴールではなくスタート

小川:上場というとゴールと表現されることもありますが、どのようなお考えをお持ちですか?

新開さん:まさにそこが問題なんです。30年前、20年前までは上場が経営のゴールのようなイメージがありました。今でもそう思われている節がありますね。

しかし、東証は最近「上場したら終わりじゃない、むしろそこからがスタートだ」というメッセージを強く打ち出しています。収益性を高め、時価総額を増やしていく。成長しない企業は市場から退出してもらうという厳しい基準も設けています

私たちは、上場をゴールではなくツールとして、企業がさらに成長していくための支援をしています。

欧米流マネジメントシステムで中小企業の経営力を高める

ISOから学んだ戦略的思考の重要性

小川:新開さんが、公認会計士として働く中で、中小企業の経営指導まで行われるようになった背景を教えてください。

新開さん:20年前に環境ISO(国際標準化機構)を学んだことが大きな転機でした。そこで欧米流のマネジメントシステム、いわゆるPDCA(Plan-Do-Check-Action)を深く理解したんです。

これは単なる業務改善手法ではありません。まず高いレベルでの目的を決めて、そこから逆算して今やるべき目標を設定する。目的は「的(まと)」、つまり遠い的に向かって逆算して今やるべきことを決めるのが目標設定です。

実は経営って、環境を守るとか品質を保つとか業績を上げるとか、すべてマネジメントの塊なんですよ。それを切り分けているだけです。

小川:そうした戦略的思考って、実際に中小企業の現場にも浸透しているものなんでしょうか?

新開さん:残念ながら、日本の経営者の多くは戦略的な思考ができていません。PDCA(Plan-Do-Check-Action)とか継続的改善とか、目的を持った目標管理をしっかりやっている中小企業は本当に少ない。

驚いたのは、環境ISOや品質ISOをあれだけやってきたのに、誰もそれを経営のマネジメントに役立てている中小企業がないんですよ。私は上場を通じて、中小企業に戦略的な思考を根づかせたいんです。上場の際には必ず3年間の中期経営計画をつくるんですが、これがまさに戦略的思考の実践なんです。

本当にやりたいことの遠い志から逆算して、今この3年をどう描くか。上場とは、そうした戦略的な思考と実行力が問われる場面であり、企業としての本気度や、持続的に成長していく意思がみえるかどうかを試されるプロセスです。だからこそ、どの市場で上場を目指すのかも、企業にとって重要な戦略のひとつになるのです。

東京プロマーケットで花開いた独自の強み

誰も注目しなかった市場への挑戦

小川:数ある上場市場の中でも、東京プロマーケットは独自の特徴を持っていますよね。どのような特性があるのでしょうか?

新開さん:東京プロマーケットは2009年に創設された「TOKYO AIM」という特定投資家向けの市場がもとになっています。一般投資家向けの市場とは異なり、決算期が3月に集中していないため、年間を通じて業務が平準化されています。また、内部統制監査が適用されないなど、規制が緩和されている点も特徴です。

当初はほとんど注目されていない市場でした。「TOKYO AIM」」が「東京プロマーケット」として2012年に再スタートしたときは年間3社程度の上場でしたが、昨年は50社が上場し、今年はグロース市場を超える可能性があります。

小川:なぜ急に注目されるようになったのでしょうか?

新開さん:東京証券取引所が上場ルールを厳格化したことが大きいですね。2022年4月から東京証券取引所が再編され、プライム、スタンダード、グロース市場と名称が変更するとともに、上場するときの基準と同一の基準で上場を維持するための基準が新たに設けられました。

また、2030年から、グロース市場では上場後5年以内に時価総額100億円を達成できなければ上場廃止になるルールが導入される予定です。

現在のグロース市場上場企業600社のうち、実に400社以上、つまり7割が時価総額100億円未満なんです。小粒で上場してから成長していない企業が多いという現状があります。

時価総額100億円を達成できない企業は、グロース市場から退出することになります。グロース市場の上場維持基準が厳しくなることで、中小企業が最初に目指す上場市場としては、東京プロマーケットがより適切かつ現実的な市場だということになってきました。

圧倒的な実績が示す専門性

小川:東京プロマーケットでの上場支援についてお伺いしたいのですが、御社ではこれまでどれくらいの実績があるのでしょうか?

新開さん:昨年は50社のうち12社、つまり全体の約4分の1を私たちが支援しました。現在では124社ある上場企業のうち、30社以上を担当しています。今年で累計40社以上の上場を支援する見込みです。

私たちはこの市場の草分け的存在で、市場が始まった当初から関わってきました。だからこそ、このマーケットのことを一番よく理解していると自負しています。

会計士が体験できる究極のやりがい

入社1年目で味わう上場達成の感動

小川:若手社員にとって、どのような成長の機会があるのでしょうか?

新開さん:象徴的な例をお話しします。私たちのPR動画(記事内の下部に掲載)にも登場している社員は、キャリア入社1年目でインチャージ(監査主任)として上場支援を経験し、東京証券取引所の上場セレモニーにも参加しました。

私自身、30年の会計士キャリアの中で、最初の20年間で上場に携わったのはたった2回でした。しかし、この10年間で40社以上の上場を支援しています。若手が早期に、しかも数多く上場という達成感を味わえる。これが私たちの大きな魅力です。

「ありがとう」と言われる監査現場

小川:実際の現場の雰囲気はどのような感じですか?

新開さん:大手監査法人から転職してきた人がよく言うのは、「現場にピリピリした緊張感がない」ということです。通常、監査を受ける側は「また監査か…」という感じですが、私たちのクライアントは「きてくれてありがとう、上場を助けてもらえる」という歓迎ムードなんです。

まるで建築会社の社員が「この橋は自分がつくった」と誇れるように、「あの会社の上場は自分が支援した」と言える。これは本当にやりがいのある仕事です。

小川:クライアントとの距離感も違うのでしょうか?

新開さん:そうですね。単なる批判的な監査ではなく、企業の成長を支援する「指導的機能」を発揮しており、財務諸表のチェックだけでなく、経営課題に対する助言も行います。

特に東京プロマーケットの監査では、より指導的機能が求められてきますので、監査の本質を追求できていて、すごく面白さを感じているところです。

クライアントから「ありがとうございます」「お陰様で」と言われる関係性と距離感。これが一般的な監査サービスを提供している監査事務所と大きく違う点ですね。

市場価値の向上と多彩なキャリアパス

小川:そういった仕事を通して、どんなことが身についたり、将来的にどのようなキャリア形成につながるのでしょうか?

新開さん:東京プロマーケットの上場支援は、単に形式的な手続きをこなす仕事ではありません。上場企業の業種も多様ですし、企業ごとに直面している課題も異なるため、支援する側にも柔軟な対応力と広い視野が求められます。

ここ数年で当社は30社以上の上場を支援してきましたが、そうした実務を通じて、社員一人ひとりも自然と経営や業界構造への理解が深まり、支援に必要なバランス感覚や判断力も養われていきます。

最近では、東京プロマーケットについての問い合わせを受けることも増え、知り合いの公認会計士やベンチャー企業の経営者から相談される機会もあります。そうした場面が増えてきたことで、これまで積み重ねてきた経験や知識が、個人として社外でも評価されるようになってきたと実感しています。

また、東京プロマーケットからグロース市場などへのステップアップ上場の支援も増えており、より高度な案件に関わる機会も多くなっています。多様なフェーズの企業に関わることで、実務経験の幅が広がり、キャリアの選択肢も確実に広がっていくと思います。

驚きの働き方改革を実現

月20時間の残業で年間平準化を実現

小川:監査法人は激務というイメージがありますが、実際の働き方はいかがでしょうか?

新開さん:これが私たちの最大の特徴かもしれません。半年間の残業時間が合計6時間という社員もいるんです。パートナークラスでも、基本的に平日はほとんど残業しません。

小川:それは驚きですね。なぜそれが可能なのでしょうか?

新開さん:まず東京プロマーケットは決算期が分散しているため、繁忙期が特定の時期に集中しません。一般的な監査法人では3月決算の企業が多く、4月から6月が超繁忙期になりますが、私たちのクライアントは年間を通じて決算期が分散しています。

また、東京プロマーケット上場企業は内部統制監査(J-SOX)が適用されないため、その分の業務負担が大幅に軽減されています。これは通常の上場企業監査と比べて大きなアドバンテージです。

非常勤ネットワークが支える業務平準化

小川:人員体制はどのようになっているのでしょうか?

新開さん:常勤職員約50名に加えて、非常勤の公認会計士約50名のネットワークがあります。この非常勤メンバーは、プロジェクト単位で柔軟に参画してくれます。

繁忙期でも特定の社員に負荷が集中しないよう、業務の平準化を徹底しています。これにより、年間を通じて安定した業務量を維持できるんです。

週4日勤務制度など柔軟な働き方の実現

小川:他にも特徴的な制度はありますか?

新開さん:週4日勤務制度も導入しています。週4日で常勤扱いとし、残り1日は副業や育児、自己研鑽に充てることができます。実際にこの制度を活用している社員もいます。

また、全国のクライアントを支援する際も、オンライン会議を積極的に活用しています。必要に応じて出張もしますが、移動の負担を減らす工夫をしています。

小川:大手監査法人と比べてどう違うのでしょうか?

新開さん:大手から転職してきた社員は口を揃えて「働きやすい」と言います。ゴールデンウィークも普通に休めますし、有給休暇も取得しやすい環境です。

監査の質を保ちながら、社員の働きやすさも追求する。これが実現できているのは、東京プロマーケットという市場の特性を最大限活用していることも大きいですね。

経営者の意識を変革する使命

監査を超えた経営指導

小川:新開さんが考える監査の価値提供についてお聞かせください。

新開さん:私たちは監査を超えて、中小企業の経営者の指導をしなければならないと考えています。「上場したら成長する」と思っている経営者がいたら、「上場しなくて良いです」と正直に言います。成長したいから上場する、という意識に変えてもらう必要があるんです。

なぜそう考えるかというと、「上場すれば自然と成長できる」と考えてしまう背景には、そもそも戦略的な経営の土台ができていないケースが多いからです。先ほどお話ししたように、日本の中小企業ではPDCAをはじめとした戦略的なマネジメント手法が十分に実践されていません。

その結果、目的と手段が逆転してしまっている経営者も少なくないと感じています。だからこそ私たちは、監査という枠を超えて、経営のあり方そのものに踏み込んだ支援をする必要があると考えているんです。

経営のコーチとしての役割

小川:具体的にはどのような支援をされているのですか?

新開さん:上場準備を通じて、3年間の事業計画をつくり、それを実行し、改善していく。このプロセス自体が、企業の経営力を高めると考えています。私たちは会計の専門家としてだけでなく、経営者の指導者(コーチ)として関わっています。

目的と目標の違い、戦略的思考の重要性、マネジメントシステムの構築。こうしたことを、実務を通じて伝えていきます。

小川:まさに経営コンサルタント的な役割も果たしているのですね。

新開さん:そうです。特に中小企業の経営者は孤独です。相談相手がいない。私たちがその相談相手になり、一緒に企業を成長させていく。それが私たちの役割だと考えています。

「ファーストペンギン」の精神で道を切り開く

誰もやらないことへの挑戦

小川:座右の銘について教えてください。

新開さん:「私の前に道はない、私の後に道がある」です。ファーストペンギンの精神ですね。誰もやっていないことに挑戦する、新しい市場を開拓する。これが私の生き方です。

東京プロマーケットも最初は誰も注目していませんでした。でも、私たちが道を切り開いてきた結果、今では多くの企業がこの市場を目指すようになりました。

主体的に動くことの大切さ

小川:若い世代へのメッセージをお聞かせください。

新開さん:成功哲学を学んでほしいですね。ナポレオン・ヒルの本がおすすめです。思考が行動を決め、行動が習慣になり、習慣が成果を生む。ポジティブな思考で、できる方法を考える姿勢が大切です。

そして、仕事を「与えられたもの」としてこなすのではなく、自分から主体的に取り組んでほしいです。私も若いときは指示された仕事をこなすだけでしたが、主体的に動くようになってから人生が楽しくなりました。

100年企業を目指して

小川:今後のビジョンについて聞かせてください。

新開さん:中小企業が日本経済を支えているというのは事実です。私たちは、彼らと共に成長し、日本経済の活性化に貢献していきたい。

特に事業承継の問題は深刻です。日本の企業数は30年前の500万社から337万社まで減少しています。上場という選択肢を通じて、事業承継の新しい形を提案していきたいですね。

そして何より、若い会計士たちが「会計士として生きてきてよかった」と思える環境をつくりたい。監査だけでなく、企業の成長に深く関わり、社会に貢献できる。そんな熱狂できる職場であり続けたいと思います。

会社概要

法人名監査法人コスモス
HPhttps://www.cosmos-cpa.or.jp/
設立1988年6月
事業内容保証業務(会計監査、内部統制監査等)
上場準備支援業務
各種コンサルティング業務等
採用情報https://www.cosmos-cpa.com/
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小川莉奈のアバター

編集者

小川 莉奈 - 熱狂ベンチャーナビ編集部

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看護士から一般企業へ就職。その後株式会社デジマケに入社。自身の転職経験を元に新卒~若手の転職者にわかりやすい情報をお届けします。

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監修者

西畑大樹 - 熱狂ベンチャーナビ運営責任者

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新卒で証券会社に入社。その後、不動産・マーケティング・SaaS企業と4社の経験を経て独立。
学生時代は無人島のインターンや創業2か月目の会社でインターン生として2年勤務。
学生時代から新卒就活領域のメディア運営やキャリアコンサルタントを行っていた経験を元に業界や企業理解が深まるインタビュー記事や就活や転職に役立つ情報をお届けします。

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秋山翔一 - 熱狂ベンチャーナビ編集責任者

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新卒で商社に入社。その後WEBマーケティング支援を行う会社に転職。その後、繊維メーカーの役員を経て株式会社デジマケを創業。
年間500記事以上の監修を行っております。採用側の視点でサービスのファクトチェックや記事内容を精査しています。

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熱狂ベンチャーナビ編集部はインターンシップ・新卒就活・転職経験者で編成されております。20代~30代の幅広い年齢・職種やキャリアを持つメンバーが在籍しているため、就活・転職の苦しかった経験や成功体験を元に求職者に役立つ情報を発信いたします。

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