【代表インタビュー】株式会社エムラボ 代表取締役社長 三上 真央

メディアマーケティングの新たな価値を創造する挑戦者の哲学
マーケティング支援を手がける株式会社エムラボは、「伴走型マーケティングプロデュースファーム」として、テレビCMやデジタルを中心としたメディアマーケティングで独自のポジションを築いています。代表取締役社長の三上 真央さん(以下、三上さん)は、博報堂やスタートアップでの経験を経て、2018年に同社を創業しました。
「泥にまみれて大義を成す」を掲げ、大手広告代理店とは一線を画した少数精鋭のチームで、クライアントの成長に徹底的にコミット。特に規制産業であるマスメディア業界においては、ネットワークと交渉力を武器に、他社にはない価値を提供し続けています。
ダンサーとビジネスマンの間で悩んだ若き日から、独立起業を経て現在に至るまで。「熱狂」をキーワードに、マーケティングの最前線で挑戦を続ける三上さんの経営哲学について、お話を伺いました。
プロフィール

株式会社エムラボ
代表取締役社長 三上 真央
趣味
ダンス・キャンプ・ギター・ベース・アート・植物飼育
尊敬する人
熊川 哲也さん
座右の銘
泥にまみれて大義を成す
学生が読むべき本
「夢をかなえるゾウ」水野 敬也
経営者におすすめの本
「ストーリーとしての競争戦略」楠木 建
人生で一番熱狂したこと
ダンス
少数精鋭でマスメディアの「ブラックボックス」に切り込む

規制産業の中で希少性を武器にする戦略
小川:まずは御社の事業内容について教えていただけますか?
三上さん:エムラボはマーケティング支援をしている会社です。その中でも特に得意としているのが、メディアマーケティングで、中でもマスメディアのマーケティングに関してご要望をいただくことが多いですね。その多くを占めるのがテレビCM関連です。
ただ、単なるテレビCMの買い付けだけではありません。クライアントの認知獲得やグロース支援を行う中で、マーケティング全体をプロデュースしています。経営課題の解決から始まり、顧客獲得、エンゲージメントの強化、LTV(顧客生涯価値)の向上まで、幅広くサポートしているんです。
小川:マスメディアのマーケティングといえば、大手広告代理店のイメージが強いですが、御社ならではの特徴は何でしょうか?
三上さん:まず、私たちの強みは「少数精鋭で機動力が高い」ことです。でも本音を言えば、「寝ないで働く」ぐらいの覚悟でやっているということですね(笑)。
大手にはないドロ臭い仕事ができることが強みです。たとえば、クライアントのマーケティング投資をするタイミングで、ステークホルダーすべて回って交渉するとか。大手だと採算が合わないと判断されるような仕事でも、私たちは真摯にやり抜きます。
ネットワークとリテラシーが生み出す価値
小川:なるほど、その泥臭さが差別化につながっているんですね。では、御社ならではの価値提供について、もう少し詳しく教えていただけますか?
三上さん:私たちが提供している価値は、メディア業界の「情報格差」を埋めることです。特にマスメディア業界は完全な規制産業で、民放キー局は5局しかありません。そこにCMを流すための枠も限られていて、その枠を電通さんや博報堂さん、ADKさんなどといった大手で取り合っているような世界です。
この業界の特徴は情報格差です。たとえば、デジタル広告なら「CTR(Click Through Rate:クリック率)2%」と聞けば「高い」と分かりますよね。でも「めざましテレビに1回CMを流すのにいくら?」と聞かれても、一般的には分からない。この情報のブラックボックスに対して、私たちは専門的なリテラシーとネットワークを活かして、クライアントにとってベストな戦略の立案と調達、分析やレビューを行います。
ダンサーか、ビジネスマンか。岐路で選んだプロフェッショナルへの道

博報堂で学んだマスメディアの真髄
小川:三上さんのご経歴について教えていただけますか?どのような道を歩んでこられたのでしょうか?
三上さん:新卒で博報堂に入社して、最初はテレビCMの買い付け部門に配属されました。CMの枠って不動産みたいなものなんですよ。月曜から日曜まで、朝から夜まで、限られた時間の中で総務省が定めた規制の範囲内でしか流せない。その限られた「土地」を各社で取り合うわけです。
博報堂時代は本当に365日中350日ぐらい飲みに行くような生活でした(笑)。この業界は「お前が好きだから売ってあげる」みたいな世界なんです。そこで培ったネットワークや営業力が今の仕事の基盤になっています。
その後、K-POPアーティストの日本プロデュース事業も手がけました。韓国から興行権を買って、日本でマネタイズする仕組みをつくったんです。広告会社らしくスポンサーをつけたり、イベントの収益を分配したり。マーケティングだけでなく、事業投資の側面も経験できました。
スタートアップ経験が教えてくれた「できること」の大切さ
小川:その後は転職もご経験されたと伺いましたが、どのような会社で何をされていたのですか?
三上さん:ええ、アドネットワークの会社の役員を2.5年ほどやりました。転職の理由は正直「ノリ」ですね(笑)。でも、デジタルと経営を学びたいという思いもありました。博報堂ではマスとイベント、コンテンツを経験してきたので、次はデジタルの世界を知りたかったんです。
実は、その時点で独立を考えるようになっていました。大学時代にダンスに熱中していて、ダンサーになるか就職するかで本気で悩んだことがあるんです。結果的にビジネスマンを選びましたが、「せっかくビジネスを選んだなら、プロフェッショナルを目指したい」という思いがあって。それが経営者になるということだと考えたんです。
独立当初はSaaS事業を立ち上げたんですが、実は大失敗しました(笑)。それで「やりたいこと」じゃなくて「できること」をやろうと思ってピボットしたんです。そうしたら、マーケティング支援の依頼がどんどん増えてきて、気づいたら今の事業内容になっていました。
ブランディングはマスメディアでこそ実現できる

ターゲット以外にも認知される価値
小川:現在の事業の強みについて、もう少し詳しく教えていただけますか?特にブランディングが得意とおっしゃっていましたが。
三上さん:私たちは単なるメディアの買い付けではなく、ブランド形成を担っているんです。たとえば、レクサスのケースで考えてみましょう。メインターゲットは40代以上の男性ですが、実は若い人にもブランドが知られていなければ、ラグジュアリーブランドとしての価値は築けません。
なぜなら、若い頃から「あのブランドはすごい」と感じているからこそ、将来そのブランドを選ぶ気持ちが育まれていくからです。今は買えなくても、「いつか欲しい」と思わせる。それがブランディングの力です。
こうした背景から、デジタルマーケティングは顕在顧客に直接アプローチできる強みがありますが、ブランド全体を形成するにはマスメディアが必要なんです。ブランディングをメディアマーケティングでつくっていく会社は意外と少ない。そこに私たちの希少性と優位性があります。
小川:なるほど、デジタルではなくマスメディアだからこそできるブランディングがあるんですね。
三上さん:そうです。マスメディアには信頼性もありますし、情報格差も大きい。規制産業で民放キー局は5局しかなく、そのほとんどを大手広告代理店が押さえている。プレイヤーが極端に少ない市場なんです。約1.7兆円規模のテレビ広告市場に対して、デジタルは2兆円を超えていますが、介在するプレイヤーの数が全然違います。
この閉ざされた市場で、私たちは独自のネットワークとリテラシーを持っている。だから価値を提供できるんです。
「泥臭さ」こそが最大の武器。大手にはできない価値創造

熱狂の原点は「結果を出す」こと
小川:三上さんが仕事で「熱狂」を感じる瞬間はどんなときですか?
三上さん:月並みですが、やっぱりキャンペーンが成功したときですね。求められることにちゃんと応えて結果が出たときが一番熱狂します。
以前、大規模なKPI(重要業績評価指標)改善をしなければならない案件がありました。絶対に他社ではできないようなコスト改善とROI(投資利益率)改善を実現したんです。どうやったかといえば、愚直な営業活動を続けました。
小川:その「愚直な営業活動」について、具体的にどんな力が求められるのでしょうか?
三上さん:私たちの仕事では、知識も経験もネットワークも交渉力も、すべてが求められます。クライアントにとっての「Win」と媒体社にとっての「Win」をしっかりコーディネートする。お互いのニーズ、いわゆる「三方良し」を実現できることが、私たちの強みだと思っています。
働き方改革やコンプライアンスの関係で、どうしても対応が難しくなっている領域もあります。私たちは、そうした現場の隙間にも真摯に向き合い、柔軟かつスピーディに対応することで価値を発揮しています。そして何より、結果にちゃんとコミットする姿勢を大切にしています。
ダンスで培った「受け手のニーズを捉える」感覚
小川:今のお仕事の姿勢や考え方に影響を与えた「熱狂した経験」はありますか?
三上さん:ダンスですね。大学時代、プロになるか就職するかで本気で悩むくらい熱中していました。
ダンスの魅力は自己表現という面もありますが、私が楽しかったのは仲間と一緒にコンテンツをつくり上げて、受け手に届けることでした。観客や審査員のニーズを捉えて、ちゃんとコンテンツをつくり、発信する。これは今の仕事にも通じています。
特に大会では「どうしたら1位になれるか」を考えるのが楽しかったですね。100m走なら速い人が勝ちますが、ダンスは審査員の主観的な評価が伴う競技です。だからこそ受け手のニーズをちゃんと捉えてアウトプットすることが重要なんです。この経験が今のマーケティングの仕事にも活きています。
自由と責任。成長したい若者が活躍できる環境

裁量の大きさが生む成長機会
小川:最後に、これから御社に入社を考えている方へのメッセージをお願いします。どんな人材を求めていますか?
三上さん:一番求めているのは「やる気」と「元気」です。うちの会社はバイタリティの高い人が多い会社なので、コミュニケーションが好きな人、人と関わることが好きな人がカルチャーに合うと思います。
社内の雰囲気は、仕事も遊びも全力でやる人が多いですね。めちゃくちゃ働いた後に合コンに行って、その後また仕事するみたいな人もいます(笑)。仕事は徹底的に頑張るけど、プライベートも犠牲にしないバランス感覚を持った人たちです。
小川:働き方についてはどうでしょうか?
三上さん:出社してもいいですし、リモートワークしてもよいです。柔軟な勤務体系で、服装も自由です。ただし、自由な分だけ責任も大きい。裁量があるということは、自分で考えて主体的に行動する必要があるということです。
でも、困ったときは一人で抱え込まずに周囲のサポートを求める勇気も大切です。私自身、リーマンショックのときも仲間がいたから乗り越えられました。人と人のつながりの大切さを忘れないでほしいですね。
立ち上げフェーズだからこその面白さ
小川:エムラボで働く魅力は何でしょうか?
三上さん:まず、誰もが知るような大企業の仕事に関われること。若いうちから大きなプロジェクトの企画段階から携われるのは、大手にはない魅力です。マーケティングの全工程を経験できるので、数年働けばオールラウンドな力が身につきます。
また、社長との距離が近いので、自分の提案や意見が会社の方針に反映されやすい。まさに「会社を一緒につくっていく実感」を持てる環境です。今はまだ創業数年で、これから規模を拡大していくフェーズ。この立ち上げ期に参画できるのは貴重な機会だと思います。
最後にお伝えしたいのは、私たちが一緒に働きたいのは、既存の枠を超えて新しいことに挑戦する姿勢を持った人だということです。ただ決められたことをこなすのではなく、自ら考え、動き、変化を楽しめる。そんなチャレンジ精神のある方と、ともに成長していきたいと考えています。
法人名 | 株式会社エムラボ |
HP | https://mlabo.holdings/ |
設立 | 2018年11月 |
事業内容 | メディアマーケティング支援 マーケティングコンサルティング プロモーション企画・制作 |