【代表インタビュー】コクー株式会社 代表取締役CEO 入江雄介

コクー株式会社_代表取締役CEO_入江雄介様

「会社をつくるのは自分たち」社員の熱量を引き出すコクーの文化

目次

プロフィール

コクー株式会社の入江雄介

会社名:コクー株式会社

役職:代表取締役CEO

名前:入江雄介

趣味:ゴルフ、サウナ

尊敬する人:孫正義氏

座右の銘:死ぬこと以外かすり傷

経営者におすすめの本:「ビジョナリー・カンパニー2 飛躍の法則」ジム・コリンズ

人生で一番熱狂したこと:28歳で覚悟を決め、2度目の起業をしたとき

「人財×デジタル」で社員が熱狂しながら働ける会社をつくる

コクー株式会社の入江雄介
小川

コクー株式会社はどのような事業を展開しているのですか?

入江さん:私たちは、「人財×デジタル」を軸に展開しています。ITインフラの構築、バックオフィスの効率化、デジタルマーケティング、データ活用、AI導入支援など、DX推進に関わる事業を展開し、時代のニーズに応じて柔軟に拡大してきました。

デジタル技術の活用は、企業の業務効率を高めるだけでなく、労働力不足という社会課題の解決にも貢献します。日本では少子高齢化の影響で、2030年には644万人の労働需給ギャップが生じると予測されています。その解決策として、既存の人材の活躍を促し、テクノロジーを活用することが不可欠です。

そこで私たちはリスキリングを通じて、デジタル未経験者や多様なバックグラウンドを持つ人財がDX領域で活躍できる環境を整えることで、限られた労働力の中でもより多くの人が価値を生み出せる社会の実現を目指しています。

小川

コクーを創業するに至った経緯や、そのときに抱いていた想いを教えてください。

入江さん:最初に起業したのは19歳のときで、当初の動機は「カッコいい」という単純な考えがきっかけで勢いで起業しました。その後、当時ちょうどデジタルの時代へと移行する過程だったこともあり、経営をするならITの知識と経験が必要だと感じ、未経験ながらエンジニアとしてのキャリアをスタートしました。

そこで、会社に所属し働く中で、帰属意識の希薄さを感じ、多くの人が会社に対して主体性を持ちにくい環境だと思いました。そこで、「社員が圧倒的当事者意識を持って、ポジティブに取り組める環境をつくる」という想いが芽生えたんです。働く人たちが「自分たちがこの会社をつくっていくんだ」と主体的に行動し、会社が彼らにとってのサードプレイス(第三の居場所)となるような環境をつくることで、より良い社会につながると確信しました。

この考えのもと、28歳で前身の会社を設立し、2019年に現在のコクー株式会社を創業しました。企業は単なる利益追求の場ではなく、社会の一部として存在するべきだという視点が強まり、スローガンに「for me, for you.」と掲げました。これは、「自分たちがイキイキと働くこと(for me)が、真の顧客満足(for you)につながる」という考えを表しています。

創業当初はそのような社内の環境づくりに重点を置いていましたが、事業を続ける中で視座が広がり、「社会にどう貢献するか」というテーマにより深く向き合うようになりました。パーパスを外部に発信することで、社員やお客様、投資家といったさまざまなステークホルダーが共感し、仲間として加わっていきました。その結果、会社の存在意義がより明確になり、社会全体へのインパクトを意識した経営へとシフトしてきましたね。

企業のDX化を推進し、時代の変化をとらえた柔軟な事業戦略を展開

コクー株式会社の入江雄介
小川

コクーの強みや特徴は何でしょうか?

入江さん:私たちの強みは、企業のDX推進を支える「ミドルレイヤー人財」の育成です。DXの現場では、高度な専門知識を持つエンジニアと、一般社員の間に立ち、業務の効率化や自動化を推進する人材が不足しています。そこで、未経験者でもデジタルスキルを習得できる環境を整え、企業のDX推進を支援しています。

特に、IT・デジタル分野での女性の活躍を後押ししており、EXCEL女子、デジマ女子、RPA女子、BI女子などの事業を通じて、DXに貢献できる人財を育成・派遣しています。

たとえば、EXCEL女子事業は「エンジニアほどのスキルは不要だが、事務職以上のスキルを持つ人材がほしい」という企業のニーズから生まれました。現在ではExcelに加え、BIツール、VBA、RPAなどのスキルも学べる環境を整えています。

また、デジタルマーケティング事業は、広告代理店からの「広告運用も手伝ってほしい」という声を受けて立ち上げました。デジタルマーケティングやMAツールの運用支援を行い、企業のマーケティング領域でのDXをサポートしています。

こうした取り組みを通じて、企業のニーズに柔軟に対応しながら、新しい事業を展開している点もコクーの特徴です。

小川

DX推進に向けた取り組みを具体的に教えてください。

入江さん:DX推進の支援として、業務自動化やデータ活用の領域にも力を入れています。

たとえば、RPA事業では、完全無料のRPAツール「マクロマン」を提供し、企業がコストを気にせず業務を自動化できるよう支援しています。RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)は、ルーチンワークを自動化する技術ですが、多くの企業では「コストが高い」「計画通りに運用が進まない」といった課題を抱えています。

コクーでは、この課題を解決するために、ツール自体を自社開発し、完全無料で提供する独自のビジネスモデルを構築しました。さらに、RPAの導入・運用に不安を抱える企業向けに「RPA女子」が伴走し、スムーズな導入と効果的な活用をサポートしています。

また、データ活用の分野では、単なるデータ集計にとどまらず、ビジネスの意思決定やイノベーションに活かせる分析・活用支援を強化しています。もともとEXCEL女子事業の一環として「BI女子」がデータの可視化支援を行っていましたが、デジタル化の進展に伴い、データを活用した意思決定やイノベーションを求める企業が増えています。そのため、データの可視化にとどまらず、より高度な分析や活用を支援できる人材の育成が求められるようになりました。そこで、データを「収集」「可視化」「分析」「活用」する一連のプロセスを支援するために、データアナリストやデータサイエンティストの育成に注力し、データサイエンス事業を立ち上げました。「データ女子」を通じて、企業の生産性向上や新たな価値創出を後押ししています。

小川

新規事業の展開について教えてください。

入江さん:生成AIが急速に普及したことを受け、2023年3月に「AI女子」サービスの検証を開始しました。

多くの大企業がAIプラットフォームを導入するものの、実際の業務活用が進まず、社員の習熟度に課題を抱えていました。そこで、「AI女子」が企業に常駐し、AIの活用支援やヘルプデスク業務を担当することで、AIの社内定着と業務への応用をサポートしています。

この取り組みにより、AIを活用したDX推進をより実効性のあるものにしています。

社員一人ひとりが「COO(最高執行責任者)」の意識を持つ文化

コクー株式会社の入江雄介
小川

「社員が圧倒的当事者意識を持って、ポジティブに取り組める環境をつくりたい」とお話されていましたが、そういった会社にするために、どのような取り組みをしているのでしょうか?

入江さん:コクーでは、社員が主体的に考え、行動できる環境を大切にし、その仕組みとして「アメーバ経営」を取り入れています。アメーバ経営とは、大きな組織を小さなチームに分け、それぞれに経営判断を任せることで、社員一人ひとりが経営者視点を持ち、自発的に動けるようにする仕組みです。

ただし、小さな単位で自由に運営しても、組織全体の方向性がバラバラになっては意味がありません。そのため、会社全体としての目的やビジョンを明確に共有し、チームごとに異なるやり方でも、同じ目標に向かえるようにすることを重視しています。たとえば「沖縄に行こう」という共通の目標があれば、それぞれのチームが異なるルートを選んでも問題はありません。これは、各チームの自由度を保ちながらも、全体としての一体感を維持するための仕組みです。

「コクー(COCOO)」という社名の由来も、個(CO)が最高執行責任者(COO)という意識を持って取り組んでいくという意味を込めています。ボトムアップで主体的に動くことで、会社の成長にもつながる組織をつくることを目指しています。

小川

コクーでは、どういった社員が活躍しているのでしょうか?

入江さん:未経験からスタートしながらも、学び続ける意欲を持ち、自ら行動できる人が活躍しています。社員の9割がデジタル未経験者で、83%が女性ですが、これは、未経験からでもスキルを習得し、成長できる仕組みが整っているからです。

特に、女性が活躍しやすいよう、働きながらスキルを習得できる仕組みや、ライフステージの変化に対応しやすい柔軟な働き方を採り入れています。主体性を持ち、挑戦を恐れない人が活躍しやすい文化が根付いています。

また、キャリアパスの自由度も高く、自らの成長に応じて別の事業部へ移動し、新しいスキルを身につけることも可能で、これまでの経験と組み合わせることで市場価値を高め、より幅広いキャリアの選択肢を持つことができます。事業の拡大とともにリーダー育成にも力を入れており、主体的に学び、成長し続けることで管理職へとキャリアアップするチャンスも多くあります。

小川

これからコクーに入社する人に求めていることは何ですか?

入江さん:理念に共感できることはもちろん、コミュニケーションを大切にできる方を求めています。ただし、必ずしも話が上手だったり、社交的である必要はありません。最も大切なのは『人と関わるのが好き』という気持ちです。

話すのが少し苦手でも、周りの人とのつながりを大切にしようと心がけてくれる方なら、全く問題ありません。

チームで仕事を進める以上、周囲と協力しながら業務に取り組む姿勢が不可欠です。結局のところ、私たちが共に働きたいと考えるのは、チームの一員として共に成長を楽しめる方ですね。

小川

今後の展望を教えてください。

入江さん:長期経営計画「VISION 2030」では、「DX人財輩出企業 No.1」を掲げています。この目標を実現するために、D&I、地方創生、業務提携の3つを重点テーマとして取り組んでいます。

まず、ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)では、多様なバックグラウンドを持つ人財が自分らしく働ける環境を整えています。多様性を活かすことで新たなアイデアや価値が生まれ、組織全体の成長につながると考えています。ジェンダーや経験の有無にかかわらず、誰もが活躍できる職場を目指し、組織の柔軟性を高めることで、社会の変化に適応し続け、多様な価値観やニーズに対応できる環境を整えています。これにより、より多くの人が活躍できる機会を創出し、社会全体の発展にも貢献していきます。

地方創生では、現在、多くの女性がキャリアを求めて東京へ流出しており、地方のデジタル人材も不足し、過疎化にもつながっています。そこで、地元にいながらスキルを身につけ、地域活性化に貢献できる仕組みをつくることを目指しています。地方にデジタル人財を育成し、地元企業のDXを推進する「デジタル人財の地産地活(ちさんちかつ)モデル」を展開予定です。

業務提携では、他社と互いの強みを活かしながら補完し合うことで、より大きな価値を生み出すことを目指しています。ITサービスを提供する企業と戦略的に連携し、システムの導入や運用に課題を抱える企業を支援することで、社会全体に貢献していきます。ただツールを提供するのではなく、各企業の業務プロセスを分析し、最適なデジタルソリューションを提案することで、より実践的な業務効率化を実現しています。これにより、業務の自動化やコスト削減を可能にし、企業の持続的な成長を後押ししています。

これからも、技術革新や市場の変化を捉えながら、新たな事業領域を開拓し、社会に貢献できる取り組みを強化していきます。時代の流れに合わせた柔軟な戦略を持ち、企業の課題解決に寄り添う形でサービスを進化させることで、持続可能な成長を続ける企業を目指します。

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小川莉奈のアバター

編集者

小川 莉奈 - 熱狂ベンチャーナビ編集部

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看護士から一般企業へ就職。その後株式会社デジマケに入社。自身の転職経験を元に新卒~若手の転職者にわかりやすい情報をお届けします。

西畑大樹のアバター

監修者

西畑大樹 - 熱狂ベンチャーナビ運営責任者

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新卒で証券会社に入社。その後、不動産・マーケティング・SaaS企業と4社の経験を経て独立。
学生時代は無人島のインターンや創業2か月目の会社でインターン生として2年勤務。
学生時代から新卒就活領域のメディア運営やキャリアコンサルタントを行っていた経験を元に業界や企業理解が深まるインタビュー記事や就活や転職に役立つ情報をお届けします。

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秋山翔一 - 熱狂ベンチャーナビ編集責任者

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新卒で商社に入社。その後WEBマーケティング支援を行う会社に転職。その後、繊維メーカーの役員を経て株式会社デジマケを創業。
年間500記事以上の監修を行っております。採用側の視点でサービスのファクトチェックや記事内容を精査しています。

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執筆者情報

熱狂ベンチャーナビ編集部はインターンシップ・新卒就活・転職経験者で編成されております。20代~30代の幅広い年齢・職種やキャリアを持つメンバーが在籍しているため、就活・転職の苦しかった経験や成功体験を元に求職者に役立つ情報を発信いたします。

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