【代表インタビュー】株式会社Japan Navi 代表取締役 飯田広助

【熱狂ベンチャーナビ】株式会社Japan Navi 代表取締役 飯田 広助様

地域の魅力を世界につなぐ地方創生戦略

青森県出身で、シンガポールで起業家人生をスタートした代表・飯田広助さんが「海外市場と日本の地方をつなぐ」ことで地方創生を実現することを目的として日本で設立した株式会社Japan Navi。同社は地域の特産品輸出や地方へのインバウンド観光、自治体コンサルから地域の人材育成支援まで、多角的に地域と世界を結ぶ仕掛けを非常に多くつくり出しています。

地元の強みをダイレクトに海外へ届け、「日本の国際化」をキーワードに地域の価値を最大化するための挑戦に迫ります。

目次

プロフィール

株式会社Japan Naviの飯田代表

会社名:株式会社Japan Navi

役職:代表取締役

名前:飯田広助

最近の趣味:子どものサッカー観戦を通じて成長を見守ること

尊敬する人:松井 秀喜さん、イチローさん

人生で一番熱狂した瞬間:常に今が一番熱狂している瞬間だと思います

座右の銘:「迷ったときは厳しい方の選択肢を選ぶ」

地方創生の最前線:地域の価値を世界で広げる日本国際化アプローチ

株式会社Japan Naviの飯田代表
小川

Japan Naviの事業内容について、特徴を交えながら教えていただけますか?

飯田さん:私たちは「地域の国際化」という新しいアプローチで、日本の地方創生、教育の国際化における支援を行っています。それぞれの事業は地域の課題解決と成長を後押しするもので、実際に取り組んでいる内容を詳しくお話しします。

まず、地域特産品の輸出支援では、青森県のリンゴやマグロなどの地域特産品や大阪の堺市や新潟の燕・三条の伝統工芸品といった商品を海外市場に直接届ける仕組みを構築しています。たとえば、アメリカでは日本の伝統工芸品が非常に人気で、私たちが厳選した商品を現地の富裕層やプロの職人に直接届けることで、高い評価を得ています。

また、シンガポールでは青森の大間のマグロの解体ショーを実施してプロモーションしし、地域ブランドを現地に浸透させることに成功しました。こうした取り組みは、、成長著しいグローバルマーケットに販路を広げるお手伝いをすることで生産者の利益を最大化すると同時に、地域の名前をダイレクトに海外市場へ届けることが目的です。

次に、インバウンド観光で外国人旅行者を地域に呼び込む仕組みづくりについてですが、従来の大型ツアーとは異なり、少人数の富裕層向けやサステナブルな観光を提案しています。たとえば、福岡では地元の食材を使った料理教室や、長野では職人と一緒に工芸品をつくる体験を企画しています。

また、シンガポールのインフルエンサーを招いて、地域を巡るモデルルートを体験してもらい、その様子をSNSで発信してもらうことで、現地の消費者に地域の魅力を伝えています。

これにより、地域の観光が単なる「消費」の場ではなく、訪問者が地域住民と直接交流し、一緒に体験を楽しむことで、互いに地域の価値や魅力を深く理解し合える仕組みを構築しています。

小川

「海外PRやマーケティング支援」「地方自治体とのコンサルティング」「地方の人材育成支援」についても詳しく教えてください。

飯田さん:海外PRやマーケティング支援では、シンガポールやロサンゼルスの拠点を活用し、地域の商品や文化を現地の消費者に効果的に届ける活動を行っています。たとえば、ロサンゼルスでは青森の特産品をテーマにした展示会を開催し、現地のバイヤーや消費者に直接触れてもらう機会を提供しました。一方、シンガポールでは九州の食材を使ったプロモーション動画を制作し、地元の小売店やレストランとの連携を深めることで、販路の拡大をサポートしました。このように、地域と海外市場をダイレクトにつなぐ「架け橋」としての役割を果たしています。

また、地方自治体とのコンサルティングでは、自治体が抱える課題に応じた具体的な提案やプロジェクトを実施しています。たとえば、シンガポールでの特産品展示会や、海外インフルエンサーを活用したPR戦略の立案などです。自治体が求める「海外販路拡大」や「インバウンド誘致」を具体化する形でサポートしています。

そして、地方の人材育成支援も非常に力を入れている分野です。秋田県での初めてのインターナショナル校誘致の支援や、青森の大学生と世界大学ランキング8位のシンガポール国立大学の学生をつなぎ、輸出商品やプロジェクトを共同で考える取り組みを行っています。これにより、地域の若者たちがグローバルな視点を持ち、次世代のリーダーとして成長する機会を提供しています。

このように、当社の事業は単なる地域支援にとどまらず、地域と世界をつなぎ、持続可能な仕組みを構築することを目指しています。

成長を続ける海外市場と日本の地方をつなぐ

株式会社Japan Naviの飯田代表
小川

こういったサービスをされるようになった経緯について教えていただけますか?

飯田さん:私がこういったサービスを始めた背景には、自分の生まれ育った環境やこれまでのキャリア経験が大きく関係しています。私は青森県で生まれ育ち、仙台での大学生活を過ごした後、三井住友銀行へ就職しました。東京の営業部や本部で経験を積んだ後、希望が叶い6年目に海外駐在のチャンスを得て、インドネシアで3年間勤務しました。

インドネシアでは、日本とは異なる成長を続ける市場の活気や、異文化で働くという刺激的な環境を目の当たりにしました。同時に、自分が生まれ育った青森や日本の地方の現状を改めて振り返る機会にもなり、人口減少や経済縮小といった課題に直面する地域が、このままでは衰退してしまうのではないかという強い危機感を抱きました。一方で東南アジアでは日本に対する評価が非常に高く、私の地元の青森についても魅力的な食べ物、自然、文化、お祭り、観光地などに対して現地の方々は非常に強い関心を示していました。

そこで思ったことは「東安アジアを初めとした海外はこれから何十年も成長し続けるエリアが多く、かつ、日本や日本の地方に対する評価が非常に高いので、そうしたエネルギーを日本の地方とつなげることで、地方を持続可能な形で発展させられるのではないか」と考えるようになったんです。

もともと30歳までに起業したいということを目標にし「自分が一生をかけてやりたいことは何だろう」とずっと考えていた中、こうした経験を生かして地域と海外をつなぎ、永続的な地方創生を支援することが自分に人生にとって非常に意義のあることだと感じました。こういった経験が、自分で事業を始める大きなきっかけになり、2015年にもともと目標にしていた30歳というタイミングで起業しました。

小川

なぜシンガポールを拠点に起業されたのですか?

飯田さん:海外駐在をしていたインドネシアも候補でしたが、そこでは日本からインドネシアで完結する限定的な流れにとどまる可能性が高いと感じたんです。一方で、シンガポールは国際的な物流や情報のハブとしての役割を果たし、東南アジア全体、さらには世界への広がりをつくるのに適した場所だと判断しました。こうしてシンガポールを拠点に独立し、現在の事業をスタートさせるに至っています。

小川

30歳で起業されたとのことですが、それまでのキャリアで特に印象に残っている経験や、成長につながったターニングポイントはありましたか?

飯田さん:そうですね。20代の頃は、自分にとってその後の人生の糧となる非常に多くの学びや経験を積めた時期でした。そうした経験から、まだ体力や気力が充実している20代のうちはできるだけ苦労や失敗を厭わずに沢山のチャレンジや経験をし、時には傷つくこともあるかと思いますが、その過程の中で成長することが大切だと学ぶことができました。

実際、20代で沢山の挑戦や失敗、それを通じて沢山の学びを得たことが間違いなく30代以降の経営者としてのキャリアにも大きなプラスの影響を与えています。30代になると、アドバイスをくれる人も相対的に少なくなり、自分自身で考え、判断する場面が増えます。そのため、20代のうちに多くのことを吸収しておくことが極めて重要だと感じています。

私自身、若い頃は実力が無いにもかかわらず自分の考えばかり優先するタイプで、上司の指示に反発してしまうことも多かったです。その結果、厳しく叱られたり、落ち込むことも少なくありませんでした。そんな中、28歳の時にある上司から「まずは人の言うことを素直に聞いてみて、それを受け入れたうえで行動してほしい」とアドバイスをいただきました。この一言が自分のキャリアの非常に大きな転機となり、自分の考え方が180度変わりました。

それ以来、上司や先輩、また仕事で関わる方々の言葉をまず受け入れ、その背景にある意図を考えながら行動することを心がけるようになりました。この変化によって、相手の考えを理解し、自然と信頼関係を築けるようになりました。

20代を過ごした銀行員時代を振り返ると、自分の実力の無さからくじけそうになることも何度もありました。正直20代中盤までは「会社を辞めたい」と思ったこともたくさんありました。しかし、そうした経験を通じて、若いうちに得た苦労や学びが後々の自分の成長や独立後の経営者人生に大きなプラスの影響を与えてくれたと実感しています。

社員の挑戦が生む新拠点、多様な人材とともに広げる地方創生

株式会社Japan Naviの飯田代表
小川

会社の雰囲気について教えていただけますか?

飯田さん:当社の雰囲気を一言で表すと、「全員が前向きかつ協力的で、各々が各々の成長を後押しする環境」が根づいているということです。社員同士がお互いに助け合い、上司や先輩も後輩やメンバーを積極的にサポートしています。そのため、社員一人ひとりが「相談しやすい」「意見を聞いてもらえる」と感じられる職場づくりが進んでいます。このような環境は、誰もが自分らしく働ける土台になっていると感じています。

また、当社は現在それほど大規模な組織ではないため、一人ひとりが自分の役割をしっかり果たしつつも、静かに集中して働ける落ち着いた雰囲気があります。これは当社の強みの一つですが、今後会社が成長していく中で、もっと活発なコミュニケーションや新しいチャレンジが自然に生まれるようなバランスの取れた職場を目指していきたいと考えています。

小川

御社が採用において大切にしていることは何ですか?

飯田さん:一般的に、ワークライフバランスという言葉が注目されていますが、当社ではそれに加えて「会社の成長と社員一人ひとりの成長が同じ方向を向いていること」を特に大切にしています。社員が目指す方向性と会社が進むべき道が一致することで、会社全体で未来を切り開くことができると考えています。そのため、地方創生やグローバルなど当社の掲げるビジョンに共感し、その実現を目指す社員が多いのも特徴です。

採用においては、語学力や資格などの特別なスキルや経験がなくても全く構いません。重要なのは、素直に他者の意見を柔軟に受け入れ、自分の成長につなげられる前向きな姿勢を持っているかどうかです。新卒で入社した方だけではなく、育児後にキャリアを再開した方、留学生として日本を訪れ当社に入社した方など、多様なバックグラウンドを持つ社員が、それぞれの目標を実現しながら活躍しています。

また、地方創生やグローバルに関わるプロジェクトでは、社員が主体的に意見を出し、それを業務に反映する場面が多くあります。こうした取り組みを通じて、社員一人ひとりが自身の成長を実感できる環境を整えることに力を入れています。

このように、「日本と世界をつなぐ架け橋とあり、日本の発展や地方創生に貢献する」というビジョンの実現と社員の成長が深く結びついているため、社員全員が同じ目標に向かって進む姿勢が、会社全体の力強さにつながっているのだと考えています。社員が自身の成長を実感し、それがJapan Naviの成長につながるという好循環を生み出すことが、私たちが目指す理想の働き方です。

小川

今後の展望を教えてください。

飯田さん:今年で会社を立ち上げて10年目を迎えた節目ということもあり、改めて5年後、10年後を見据えた計画を立てています。目標としては、5年後には100億円の売上を達成したいと考えています。ただ、これは単に会社を大きくしたいということではなく、私たちの売上が上がるということは、それだけ多く地域の魅力が世界に届けられ、その価値が地域に還元されたことと同じ意味だと考えて設定したものです。当社の事業規模が拡大すれば、それだけ多くの地域で良いものが世界に届き、地域に人が集まり、経済が循環する仕組みをつくることができると考えています。

具体的なアプローチとしては、現在、東京、青森、長野、福岡にある地域拠点を、今後さらに日本各地に増やしていきたいと考えています。また海外でも、既存のシンガポール、アメリカに次ぐ拠点として、台湾、オーストラリア、ヨーロッパへと順次拡大していきたいと計画しています。当社の人事ポリシーは、従業員が挑戦をしたいと考える地域や、グローバルに活躍したいという社員が望む拠点を新たに設けることで、結果的に日本国内外でネットワークを広げることができます。これにより、たとえばですが九州の特産品がヨーロッパで評価されたり、東北の文化が南米で人気を博すといった、あらゆる地域とあらゆる国を結ぶ多様なパターンを実現したいと考えています。

さらに、社員一人ひとりが挑戦すること自体がやりがいとなり、その結果として地域と会社がともに成長する「相互にメリットがある仕組み」を築きたいと思っています。たとえば今年4月には、当社で初の外国人留学生の社員であり、ブラジル出身で筑波大学の大学院を卒業した方が新卒として入社します。彼女は「日本と南米をつなぐ仕事がしたい」という強い想いを持っており、まさに私たちが目指すビジョンと一致しています。これはほんの一例ですが、こうした多様なバックグラウンドを持つ人材とともに、地域創生のミッションを実現していきたいと考えています。

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小川莉奈のアバター

編集者

小川 莉奈 - 熱狂ベンチャーナビ編集部

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看護士から一般企業へ就職。その後株式会社デジマケに入社。自身の転職経験を元に新卒~若手の転職者にわかりやすい情報をお届けします。

西畑大樹のアバター

監修者

西畑大樹 - 熱狂ベンチャーナビ運営責任者

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新卒で証券会社に入社。その後、不動産・マーケティング・SaaS企業と4社の経験を経て独立。
学生時代は無人島のインターンや創業2か月目の会社でインターン生として2年勤務。
学生時代から新卒就活領域のメディア運営やキャリアコンサルタントを行っていた経験を元に業界や企業理解が深まるインタビュー記事や就活や転職に役立つ情報をお届けします。

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秋山翔一 - 熱狂ベンチャーナビ編集責任者

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新卒で商社に入社。その後WEBマーケティング支援を行う会社に転職。その後、繊維メーカーの役員を経て株式会社デジマケを創業。
年間500記事以上の監修を行っております。採用側の視点でサービスのファクトチェックや記事内容を精査しています。

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執筆者情報

熱狂ベンチャーナビ編集部はインターンシップ・新卒就活・転職経験者で編成されております。20代~30代の幅広い年齢・職種やキャリアを持つメンバーが在籍しているため、就活・転職の苦しかった経験や成功体験を元に求職者に役立つ情報を発信いたします。

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