【代表インタビュー】株式会社ワイケイアート 代表取締役 上田 晴夫

自社施工への徹底したこだわりで築く、品質と信頼のリフォーム事業
リフォーム業界において、多くの企業が外注に工事を委託している中、自社で工事部を持ち、質の高いサービスを大手よりも安く提供する企業があります。株式会社ワイケイアートです。代表取締役の上田 晴夫さん(以下、上田さん)は、20年以上にわたりリフォーム事業を展開し、LIXIL、TOTOなど大手メーカーから毎年表彰を受けるほどの実績を積み上げてきました。
大手が100万円で行う工事を70万円で提供できる理由は、自社で工事部を持つというシンプルながら徹底した方針にあります。自社の職人が品質管理の中心を担うことで、接客の質から工事の仕上がりまで、一貫した管理を実現しています。
25歳で飲食業を立ち上げ、4店舗まで拡大するも失敗。そこからリフォーム業界に転身し、わずか2ヶ月でトップセールスになった上田さん。負けず嫌いな性格と、課題に真摯に向き合う経営スタイルで、会社を成長させてきました。
新規事業への挑戦に力を注ぎ、変化を恐れない経営者としての姿勢。そして、社員の成長を何よりも重視する人材育成への想い。上田さんに、リフォーム業界での挑戦と、これからの展望について伺いました。
プロフィール

株式会社ワイケイアート
代表取締役 上田 晴夫
趣味
格闘技
座右の銘
常に前向きに
尊敬する人
稲盛 和夫
学生が読むべき本
「生き方」稲盛 和夫
経営者におすすめの本
「稲盛和夫の実学」稲盛 和夫
人生で一番熱狂したこと
新規事業の立ち上げ。売上をどうつくるか、どういう戦略でお客様を獲得するかを考えているとき、そして結果がついてきたときに最も熱狂します。
自社工事部という選択が生み出す、確かな品質と価格競争力

外注に頼らない強み。職人を自社で抱えることの意味
小川:御社の事業について教えてください。
上田さん:当社は、リフォームとリノベーションを主軸として、それに関連する中古車事業、不動産事業、コンサルティング事業などを展開しています。今後はリフォーム・リノベーション事業でフランチャイズ展開も計画しており、コンサル事業に近い形で進めていく予定です。
小川:リフォーム事業がメインということですが、競合他社と比べてどのような特徴や強みがありますか?
上田さん:まず価格面での優位性があります。大手に比べてご負担を抑えながらも、品質をしっかり確保できるのが当社の強みです。
そして競合他社との大きな違いは、当社が自社で工事部を持っていることです。品質の高い工事と工事管理、そして接客力。これらすべてを自社でコントロールできることが差別化のポイントです。
もちろん自社で工事部を持つ会社も他にありますが、多くの企業は多くを外注に依存しているのが実情です。その場合、どうしてもお客様対応や仕上がりに差が出やすいんです。
そのため私たちは自社で職人を育成し、当社の理念や品質基準を徹底的に共有することで、接客から工事の仕上がり、アフターフォローまで一貫して責任を持てるようにしています。。
外注依存が生む問題。顧客満足を左右する職人の意識
小川:外注に依存することで、どのような問題が発生するのでしょうか?
上田さん:外注の場合、職人は自分の仕事を終えればお金がもらえます。しかし、そのお客様は自分のお客様ではない。だから、どうしても自分事として取り組みにくいんです。
その結果、接客対応が悪かったり、最後の掃除が甘かったりといったトラブルが発生します。職人にとっては、自分の工事が終われば責任の範囲が終わり。その後のお客様へのアフターフォローや対応は、お金にならないことだから、どうしてもおろそかになってしまいます。
一方、社員であれば意識が大きく変わります。ただし現実的には、自社だけで全ての案件をカバーするのは難しいのが正直なところです。当社の工事部は現在16人ほど。だからこそ外注を活用することもありますが、依頼している外注先にはしっかりと当社の考え方や理念を伝えています。
また、仮に外注を使う場合でも、必ず自社の社員を現場に1人は入れるようにしています。完全な外注のみの工事は行わず、必ず自社の目が届く体制を維持しているのです。
20年の実績と信頼。メーカー表彰が証明する販売力
小川:他社と比較したときに、お客様が御社を選ぶ理由は何でしょうか?
上田さん:実績による信頼が大きいと考えています。当社は創業から約20年が経ちますが、毎年必ずLIXILやTOTOなど大手メーカーから表彰をいただいています。TOTOでは東関東で1位になったこともあります。こうした賞を毎年、さまざまなメーカーから継続的に受賞し続けているという事実が、大きな実績になり、信用にもつながっています。
加えて、価格でもお客様に喜んでいただけるのが当社の特徴です。薄利多売というわけではありませんが、利益を抑えめに設定しています。大手が100万円でやる工事を、当社ならおそらく70万円くらいでできます。
結果として、お客様への提案や接客、品質もまったく変わらない。むしろ当社のほうが接客は良いのではないかと思います。お客様にとっては、少しでも安くて対応も良いのですから、お得だと感じていただけるはずです。
挫折から這い上がった起業ストーリー。2ヶ月でトップに立った営業力の源泉

飲食業の失敗が導いた、リフォーム業界への転身
小川:上田さんがリフォーム事業を始められた経緯について、教えていただけますか?
上田さん:もともと父が小さなペンキ屋をやっていて、私は中学を出てからそこで働き始めました。ただ、いつまでも父の仕事を手伝うだけでなく、自分でも事業ができるんじゃないかと思うようになったんです。それで最初に始めたのが飲食業でした。24、5歳くらいまでに4店舗まで増やしましたが、その後なかなかうまくいかず飲食店は畳むことになりました。
わずか2ヶ月でトップセールスに。負けず嫌いが生んだ圧倒的な成果
小川:そこからどのようにリフォーム業界に?
上田さん:飲食業で失敗して路頭に迷い、真面目にやるしかないと思っていたところ、たまたまリフォームの営業職の募集があったんです。応募して働き始めたら、気づいたら2ヶ月くらいでトップになっていました。
営業は一切やったことがありませんでしたが、勉強はしました。すぐに成果を出せた理由は、お金を稼ぎたいという純粋な気持ちが強かったことかもしれません(笑)。
ただ、それ以上に大きかったのは、一番になりたい、トップになりたいという気持ちです。私はかなりの負けず嫌いなんです。営業にはノルマがあり、他の人との競争がありますから、競争原理が働きます。一番になれば注目もされますし、成果が分かりやすいというのも大きなモチベーションになりました。お金もそうですが、そうした評価を得られることが嬉しかったですね。
下請けからの地道な積み上げ。安定収入を確保する戦略
小川:そこから独立されたのですね。
上田さん:そうです。独立したほうが気楽だと思いました。会社員だと上の人の顔色をみなければいけないし、あれやれこれやれと指示される。それがちょっと合わないなと感じたんです。自分で決めて、自分で考えて、自分で責任を取れる経営者のほうが向いていると思いました。
ただ、独立してからは最初うまくいきませんでした。訪問販売でスタートさせたのですが、あまりうまくいかず、伸び悩んでいたんです。自分で仕事を取って外注に投げて、その差額を利益として取るというやり方をしていましたが、ずっと100戦連勝というわけにはいきません。これでは安定しないなと思いました。
それで、もともと父がペンキ屋だったこともあり、ペンキの下請けをやろうと考えたんです。1人で新築の破風や帯を塗る仕事があって、1棟で3万5,000円ほどもらえました。1日2棟やれば7万円。営業が取れなくても必ず仕事があり、お金がもらえる。この安定収入を軸にしながら、徐々に人を増やしていきました。
1人増やせばもう1棟できる。社員に1万5,000円払えば、2万円が手元に残る。そういう考え方でどんどん人を増やしていき、同時にリフォームの仕事も取り始めていきました。資金ができてくると、ペンキだけでなくいろいろな仕事を取るようになりました。キッチン交換や外構など、さまざまな工事を手がけるようになり、総合リフォームへと発展していったという流れです。
苦難を乗り越えてみえた、本当に大切にすべきもの

社員がいるから続けられた。責任感が生んだ20年の歩み
小川:創業から20年以上が経ちますが、会社を続けてこられた原動力は何だったのでしょうか?
上田さん:社員がいるからですね。最初は家族のため、自分の家族に給料を持って帰らないと生活できない。私も最初はそういう状態でした。しかし、やっていくうちに、社員のことを第一に考えていかなければいけないと思うようになりました。
社員が楽しく、良い環境で仕事をしてもらうために力を入れる。それがやりがいになっています。家族は今では当たり前になってしまっているので、社員のほうに比重が強くなっているかもしれません。もちろんお客様もそうですけど。1人だったらここまでやらなかったと思います。
10期目の試練。8,000万円の損失を出した厳しい時期
小川:会社は順調に成長されてきたようにみえますが、大変な時期もあったのでしょうか?
上田さん:10期目のときが一番大変でした。社員による横領があったんです。それ以外にも、いろいろなことが裏目に出て、新しいことに挑戦しても全部失敗するし、営業損益が出たのも初めてでした。損害賠償の問題もありましたし、大手企業と訴訟で戦ったりもして、そういったことがすべて重なって8,000万円ほど損失を出しました。もう取り返しましたけどね。
数字だけを追う経営からの脱却。人を大切にする経営への転換
小川:そうした厳しい時期を経て、経営に対する考え方も変わられたのでしょうか?
上田さん:はい、そのときは数字だけを追いかけていました。結果だけをみる。経営の本質はそこにあるのかもしれませんが、そこから足元を見直して、しっかり社員を教育しようと考えるようになりました。
ずっとイケイケドンドンでやっていて、売上も伸びていましたから、よくありがちな話ですが、足元がみえていなかったんです。横領という裏切りもあって、自分の経営スタイルを見直すきっかけになりました。
私は社員を信じやすいタイプなんです。それが良くないのかなと思うこともありますが、結局最終的に傷つくのは自分だけですから、疑って仕事をするよりも信じたほうが前向きになれます。まあ、それはそれで戒めにはなっていますけどね。そこから、数字だけでなく社員教育にもお金や時間を使おうという方向に変えました。
稲盛 和夫さんの教えが変えた経営観。理念浸透の重要性
小川:社員教育ではどういったことを大切にされていますか?
上田さん:細かいルールを押し付けるのではなく、企業理念をちゃんと浸透させようと思っています。それをしていかないと、舵取りもうまくいかないし、みんなで会社を大きくしようという意識も生まれません。
理念がどういう意味なのか、どういうふうにみんなでやっていくのか、といった方向性を一本化する。そういう教育です。加えて、人間力や人間性の部分を重視しています。
バリバリ仕事ができても人間性が良くない人もいます。そういう人には、直接「辞めてください」とは言いませんが、正直者で純粋な人を採用したいと考えています。
小川:御社の理念の中で、特に大切にされていることは何でしょうか?
上田さん:「全従業員の物心両面の幸福を追求する」というものです。つまり社員を大切にするということです。
もちろん、お客様にしっかり貢献することも大切にしています。お客様が喜んでくれれば、結果として当社にも、社員にも返ってきます。社員を大事にすれば、お客様にもそれが伝わる。両方なんです。自分だけを考えるなという、利他の心を大切にしています。
実は、現・京セラやKDDIを創業された稲盛 和夫さんの経営塾にずっと入っていて、そこで学んだことが大きかったんです。経営は人のためになるという考え方を教わりました。いろいろと葛藤しながらやっています。
新規事業こそが最大の情熱。変化を生み出し続ける経営スタイル

困難にこそ力を注ぐ。トラブル対応での挑戦
小川:これまで仕事をしてきた中で、一番力を入れてこられたのはどのようなことですか?
上田さん:いろいろな事業をやっていますが、一番深く、がっつり入れているのがリフォーム・リノベーション事業です。
経営していると、いろいろなトラブルがあるんです。特にリフォームやリノベーションはトラブルが起きやすい業界ですから。そのトラブルになったときに、どう回避するか、どうやってお客様に納得してもらうか、満足してもらうか。そこにめちゃくちゃ力を入れていますし、解決してうまくまとまったときにやりがいを感じますね。
会社の数字が落ちているときも同じです。個人で言えば、成績が落ちて来月どうしようというときがあるじゃないですか。会社経営も同じで、業績が下がっているときに新しいことにチャレンジして路線を変える。そういうときは本当に力が入ります。
飽きっぽさが生む挑戦。社員への刺激としての変化
小川:新規事業を立ち上げるときは、どういうときに熱狂しますか?
上田さん:つくる過程ですね。売上をどうつくるか、どういう戦略でいけばお客様がたくさん来てくださるのか考える。そういう戦略を立てるときと、そして結果がついてきたときに最も充実感を覚えます。
そういった新規事業を試して会社を変化させ続けるのは「会社を大きくするために」というのもありますが、自分が飽きっぽいことが理由かもしれません(笑)。マンネリするとよくありませんから、刺激を与えることによって社員にも変化に慣れてもらう必要があると考えています。
実践重視の育成スタイル。経験から学ぶ成長環境

座学より実践。やってみないと分からないことがある
小川:社員の方々にはどのような働き方や成長の機会を提供されていますか?
上田さん:当社の場合、地道に覚えてもらうことももちろんありますが、基本的には実践で学んでいただくスタイルです。知識を固めてから動くのではなく、やって覚える。
そのほうがいろいろな経験を早く積めると思います。退屈ではないですね。もちろん失敗してしまうこともありますが、やってみないと分かりません。何も想像していないのに、1から10まで教わっても想像がつかないじゃないですか。やはり経験が一番だと考えているので、すぐにやってもらいます。面白いと思いますよ。
本当に成長できますし、成長を求めていない人でも、気づいたら成長している。そういう会社です。やり方も、「こうやれ」という決まりはありません。自分の考え、自分のやり方でやれば良い。自分で考える力がない場合でも、ちゃんとアシストしますから、不安はありません。自分で考える力も身につきますし、そのほうが絶対に面白いと思います。
真面目で内気な人材が活躍する理由。環境が人を変えていく
小川:御社に入社する人は、どういった方が多いですか?
上田さん:基本的に真面目で、ちょっと内気な人が多いです。会社がそういう雰囲気だから、同じような人が集まってきているのかもしれません。性格的なところもあると思いますが、長く働いてくれる傾向があります。
面白いのは、内気な方でも営業で活躍してくれることです。仕事となると別人のように明るくなったり、成果が出て自信がついて、もう一つの自分の顔ができるんです。
新卒で正直、「大丈夫かな」という不安な子がいたんです。しゃべらないし、反応が遅いし、ぼーっとしていて。でも、仕事については辞めることなく続けていて、今では一軍でバンバン活躍しています。
逆境にも強くて、非常に前向き。すごく頑張っています。そういう成長をみられるのが、経営者としての喜びでもありますね。
明るく笑いの多い職場。YouTubeやSNSからの反響営業
小川:会社の雰囲気はどのような感じですか?
上田さん:結構楽しくて明るいですよ。殺伐とするときもありますが、基本的には笑いが多い会社です。営業スタイルとしては反響営業がメイン。リフォームでも個人宅に営業をして回るようなことはやっていません。
最近は、YouTubeやSNSからの問い合わせが多いです。チャンネル登録者数は少ないんですが、意外にも問い合わせは多いんです。
正直者を求める採用基準。スキルより人間性を重視

誠実さを何より重視する採用方針
小川:これから入社する人に一番求めていることは何ですか?
上田さん:正直者であることですね。ミスを隠したり、取り繕ったりしないで、正直に仕事をしてほしい。そういう人が良いですね。仕事がそんなにできなくても良いんです。泥臭く、一生懸命やってくれれば。面接の段階でもそういうのは分かります。
あとは適性検査も導入しています。たまにミスマッチな採用をするときもありますが、合わない人はだいたい半年くらいで辞めてしまいます。残る人は残る。どんな人を採用しても、結局は本人次第というところがあります。
2030年に売上高50億円、そして100億円企業へ

グループ展開で実現する大きなビジョン
小川:今後どのような会社にしていきたいか、展望を教えてください。
上田さん:100億円企業を目指したいと思っています。そのために不動産をもっともっと伸ばしていきたいですね。買取再販ですが、今も結構順調なので、ここをがっつりやっていく予定です。あとはFC展開も進めていきます。
グループ会社も10月にまた1つ増えますし、子会社をどんどんつくっていこうと考えています。中期的な目標としては、2030年までに50億円を目指しています。
その分働いている人たちにとっては、子会社の代表や社長になるようなキャリアパスも用意しています。実際、10月に立ち上がる会社は、1人当社から社長になりますし、そういう支援もしているんです。給料も、当社は上がりやすい会社だと思います。
小川:最後に、これから入社を考えている方にメッセージをお願いします。
上田さん:当社は変化を恐れず、常に新しいことにチャレンジし続ける会社です。リフォームという仕事を通じて、お客様の暮らしを変えていく。そこにやりがいを感じられる人に来てほしいですね。
正直に、一生懸命に取り組める人であれば、経験やスキルは問いません。実践の中で成長できる環境がありますし、子会社の社長になるようなキャリアパスも用意しています。自分の可能性を試したい、成長したいという想いを持った方をお待ちしています。
一緒に100億円企業を目指しましょう。
会社概要
| 会社名 | 株式会社ワイケイアート |
| HP | https://www.ykart.jp |
| 設立 | 2004年 |
| 事業内容 | 総合建設業 不動産業 リノベーション事業 リフォーム業 外壁屋根改修事業 店舗改修リニューアル 設計業務 コンサルタント 飲食事業 中古車事業 FC業務 |
| 採用情報 | https://saiyo-ykart.jbplt.jp |
※2025年10月14日時点の情報です。
