【代表インタビュー】株式会社NOBLE 代表取締役 山口 雅人

社会保険給付金サポート申請件数日本一の実績×福祉事業で描く新たな社会課題解決の形
「男はアホやったらあかんで」。幼い頃から母親に言われ続けた言葉が、今の山口雅人さんの原動力になっています。28歳という若さで株式会社NOBLEの代表取締役を務める山口 雅人さん(以下、山口さん)は、社会保険給付金サポートで申請件数日本一の実績を誇り、福祉事業では大阪市内に10棟のグループホームを運営する異色の経営者です。
今季は前年比売り上げ500%増を達成し、3期目には10億円を目指すという驚異的な成長を遂げるNOBLE。その背景にあるのは、家族へ、仲間への想いから生まれた「周りの人を豊かにしたい」という強い信念と、スポーツで鍛えた不屈のメンタル、そして合理的な事業戦略です。
「今でも根幹にあるのは、自分の周りにいる人たちをハッピーにしたい、豊かにしたいということです」と語る山口さんに、その経営哲学と事業への想いを伺いました。
プロフィール

株式会社NOBLE
代表取締役 山口 雅人
年齢
28歳
趣味
トレーニング、サウナ、グルメ
尊敬する人
南場智子さん(DeNA 代表取締役)
座右の銘
事実は1つ解釈は無数
学生が読むべき本
「覚悟の磨き方」吉田 松陰
経営者におすすめの本
「リーダーの仮面」安藤 広大
人生で一番熱狂したこと
今の自分の会社のことを考えているときに熱狂しています。
「申請件数日本一」の実績が示す圧倒的な競争優位性

3つの事業軸で構築する一気通貫のサービス体制
小川:御社がどういった事業をされているのか教えてください。
山口さん:当社は株式会社NOBLEとして、ホールディングス体制で運営しています。子会社が3社、医療法人が1社で、合計4つのグループ会社があります。創業は2023年6月なので、2期目が終わったところです。従業員数は約25名、関連会社を含めると35名ほどの組織になっています。
事業は主に3つの軸で展開しています。1つ目が創業当時からの社会保険給付金サポート事業です。転職者や退職者の方に向けて、失業手当の延長や傷病手当金の申請をサポートしています。
2つ目が障害福祉事業ですね。障がい福祉の分野においてグループホーム(共同生活援助)とも呼ばれる福祉サービスで、主に精神障害の方に向けた住居の提供と日中支援などを行なっております。大阪市内で現在11事業所を子会社含めて運営しています。
3つ目が医療法人の運営です。今年2月にM&Aで医療法人を引き継ぎ、医療法人雅陽会 梅田国際メディカルクリニックを運営しております。内科を主として外来と訪問診療・オンライン診療の運営をしていく予定です。
さらに関連会社にて医薬品卸販売許可、高度管理医療機器販売・貸与の許可を今年取得しましたので、私も医療従事者の一人として医療業界に向けたサービスも幅広く展開していきます。
自社完結による圧倒的な差別化戦略
小川:他社との違いや特徴について教えてください。
山口さん:社会保険給付金サポートについては、申請件数で日本一の実績があります。この事業には弊社取締役含め6年ほど取り組んでいますが、他社もある中で全国で15~20社程度と少ない分野なんです。
当社の最大の特徴は、長期で運営しているため申請実績におけるノウハウの蓄積、弁護士、社労士監修のもと常に適切なサポートを行うことと同時に、業界TOPの運営体制を構築しております。
グループホーム事業では、展開スピードの速さが特徴です。1年半で11棟まで拡大できたのは、福祉業界の経験者を効率的に採用できたからです。収益を次の施設開設に投資する好循環をつくれています。
もう1つの特徴は「マンション型グループホーム」です。近年少しずつ増えてきていますがまだまだ一般的ではない形態の事業所になっております。基本的にグループホームといえば重度の障害を持った方がメインで入所されることが多いです。
弊社ではマンション型のグループホームで重度の方から軽度の方まで幅広く受け入れることができる体制を作り、夜間の支援や訪問看護などの連携において一人ひとりに寄り添った支援を実現することができております。
挫折が生んだ不屈のメンタル

高校サッカー時代の厳しい環境下で培った精神力
小川:山口さんご自身の経験の中で、一番熱狂したなと思うことはどういったところにありますか?
山口さん:幼少期からサッカーを続けていたのですが、上手くなるために高校時代まで打ち込んでいたことですね。
通っていた高校は、指導が厳しい学校でした。現在、私は28歳ですが、10年前は、今のZ世代の方には理解が難しいかもしれませんが、意味のわからないくらい、厳しい環境で忍耐力が鍛えられましたね。
この経験が、独立して大変な局面に直面したときの支えになっています。
1日12時間の勉強でTOEIC965点を達成
小川:そこから勉強に切り替えられたきっかけは何だったのでしょうか?
山口さん:高校生のときに、自分にはプロの世界は難しいと判断して夢を諦めました。そこから勉強に全力で取り組むことにしたんです。実は私の母親はシングルマザーで、私は経済的に苦労している母親の姿を見て育ってきました。
私に小さい頃から「男はアホやったらあかんで」と言い続けられていました。そんな家庭環境だったため、小さな頃からお金の事もよく考えていたんです。その母親の姿をみて、ちゃんと自分自身で人生を切り拓いていきたいと思うようになり、サッカー部を引退した頃からサッカーに使っていた時間含め1日12時間を勉強時間に充てました。
当時はグローバル人材が注目されていた時代で、高校卒業後、語学系の専門学校へ入学し、英語とフランス語を学習したんです。英語を流暢に話せるようになり、ビジネスまでできるレベルを目指して、20歳の時に英検1級、TOEIC965点を取得しました。
そして当時は米国公認会計士の資格取得の為一生懸命頑張ってました。直接的には今の事業に活かされていませんが、学習する習慣や集中力は確実に身についたと思います。
就職活動への疑問から生まれた起業家精神

大学特待生から中退への大胆な決断
小川:専門学校に入学後、そこまで頑張って大学に編入されたのに、中退をしてまで起業という選択を取られたのはどういった理由だったんですか?
山口さん:就職活動に対して疑問を感じたことが大きな理由です。
シングルマザー家庭で世帯年収が低かったため、奨学金で学費全額免除という特待生待遇を受けられていましたし、就職活動では、大学のキャリアセンターから推薦をいただき、1次・2次面接をパスして3次面接からスタートできるなど、比較的順調でした。しかし、みんな同じスーツを着て、本音ではなさそうなことを面接で話している光景をみて、「これに何の意味があるのだろう」と疑問を感じたんです。
当時大学生ながら個人事業主としてさまざまな仕事を経験し、月収100万~200万円を稼いでいたこともありそんな状況で「これから週5日、8時間働いて約月給30万円」という現実を受け入れるのは難しく、独立を選択しました。
20歳からの多様な起業体験
小川:独立をされようと思ったとき、まず最初にどういったところで事業をされたのでしょうか?
山口さん:学生の頃からは、人材、不動産領域、金融とあらゆる事業に手を出していました。さまざまな経験を積んでいく中で沢山の人と出会い、6年前に現在の取締役である市岡と出会いました。
2023年にグループホーム事業を立ち上げるタイミングで、彼と共に現在の株式会社NOBLEを設立することになります。彼の存在は僕の中でかなり大きく、弊社には必要不可欠な存在です。
「稼ぎたい」から「周りを豊かにしたい」への価値観の変化
根幹にある家族への想い
小川:起業の根幹にある想いについて教えてください。
山口さん:正直に言うと、当時は「稼ぎたい」という気持ちが一番大きかったです。将来苦労したくない、という思いがありました。
幼少期に両親が離婚し、経済的に厳しい家庭環境で育ったことが大きく影響しています。家族を楽にさせたい、という想いが根幹にありました。今でもそうですが、自分の周りにいる人たちをハッピーにしたい、豊かにしたいという気持ちが常にあります。
組織化による責任の重さと成長
小川:そこから会社を大きくしていこうと思ったのはどういったきっかけがあったんですか?
山口さん:組織をつくらないと、個人の力だけでは売上に限界があると気づいたからです。会社を設立して、従業員の方に参画していただく中で、重要な気づきがありました。
従業員の皆さんには家族がいて、子どもがいるんです。私は結婚していない独身なので、背負っているものが違います。私は最悪の場合、自分がどうにかなれば済む話ですが、従業員の方々は家族がいる立場です。
だからこそ、その人たちをハッピーにしたいという責任感が常にあります。これが今の経営の根幹になっています。
資金繰りの苦境を乗り越えた1期目の死闘

記憶を失うほどの激務で築いた事業基盤
小川:会社を起業されてから、一番大変だったことはなんですか?
山口さん:1期目の2023年6月のタイミングが最も大変でした。グループホームを一気に立ち上げて、1年目で6~7棟を開設しました。そのときは資金繰りが非常に厳しく、無我夢中で動いていました。正直、記憶がないほどの激務でした。
小川:そこで頑張り続けられた理由はどこにあったのでしょうか?
山口さん:他人との約束や責任が大きな要因です。たとえば、今月の会社の支払いが1,000万円あるとします。もし自分一人だけなら、最悪支払えなくても自分がダメになるだけです。
しかし、従業員がいて給料を支払わなければならない状況では、自分以外の人との約束が加わります。そうなると、もう頑張るとかではなく、やらなければならないという責任感に変わります。
私は特に男性の社員によく言うのですが、「他人との約束をたくさんつくった方が良い」と。それを破ったら、単に自分の信用がなくなるだけだからです。
色々な人を巻き込んでいたからこそ、頑張れたのだと思います。自分の生活はどうでも良いから、給料を支払わなければという気持ちでやっていました。
前年比売り上げ500%増。驚異的な成長の裏側
事業の内製化による競争力強化
小川:今後の展望について教えてください。
山口さん:直近の売上目標で言うと、3期目は10億円を目標にしています。
また、今年2月に医療法人をM&Aで引き継いだのですが、これは創業時から事業の内製化を目指していたからです。
M&Aによる垂直統合の実現
小川:M&Aの経緯について詳しく教えてください。
山口さん:以前から弊社に関わって下さってる方々に「医療法人を自社で持ちたい」と伝え続けていました。今年2月に偶然、ある企業が買収予定だった医療法人の案件で、その企業が買収を取りやめることになったんです。「急いで売却したいので、すぐに決済してくれるなら話を進めましょう」という流れになりました。
タイミングが良かったこともあり、即座に決済して引き継ぐことができました。一部事業の内製化できる仕組みを築きたかったので、戦略的にかなり重要なM&Aでした。
成長意欲のある人材を求めて

即戦力と人間性の両立を重視
小川:これだけ急成長されている中で、組織づくりはどのように進められているんですか?
山口さん:最初の10名程度は、昔からの知り合いを中心に集めました。お子さんがいる方も少々いらっしゃったので、「子供の世話をしながらでも構わない」という条件で参加していただきました。
現在のフェーズでは即戦力の採用を重視しており、大手企業などで相応の責任を持って働いていた経験のある方に参画していただいています。
小川:職場の雰囲気はいかがですか?
山口さん:本当に仕事ができる人が多いという印象です。また、女性が7割を占める職場なので風通しが良く、「前の会社よりこちらに来て良かった」「風通しが良いので働きやすい」という声をいただいています。
最終的には人間性で判断
小川:今後これから御社に入社する方に一番求めていることは何ですか?
山口さん:即戦力としてのスキルも大切ですが、最終的には人間性を重視しています。一言でまとめるなら、「成長意欲がある人」です。
成長とは「できなかったことができるようになること」だと考えています。自分で課題をみつけて、それを解決するために必要な要素を分析し、実際にできている人に学んで行動できる人が優秀だと思います。そういう人は、どんな環境でも成長できるはずです。
小川:面接ではどのような点を重視されますか?
山口さん:採用では最終的に私か取締役が2次面接を担当しています。どんなにスキルが高くても、人間性だったり組織風土にマッチするかを優先して判断しています。一緒に働く仲間として、この点を重視しています。
若者へのメッセージ:他人との約束をつくり、責任を背負え
自分を追い込む環境づくりの重要性
小川:最後に、若者へのメッセージをお願いします。
山口さん:先ほどもお話しした通り、責任を背負うことの大切さを伝えたいと思います。
私自身は、どんな状況になっても構わないと思っています。すべての責任は私が負いますし、たとえホームレスになっても一から再起できる力があると思っています。しかし、従業員の皆さんは違います。それぞれに大切な家族がいるからです。
自分一人なら失敗しても自分が困るだけですが、従業員の方がいて給料を支払わなければならない状況では、もう「頑張る」ではなく「やらなければならない」に変わります。
若い皆さんには、そういう責任ある環境を自分でつくってほしいと思います。責任を背負うことで、人は本当の力を発揮できますし成長できるはずです。
会社概要
会社名 | 株式会社NOBLE |
HP | https://noble-co-ltd.com |
設立 | 2023年6月 |
代表取締役 | 山口 雅人 |
事業内容 | 社会保険給付金サポート事業 障がい者向け福祉施設(グループホーム)運営 医療法人雅陽会 梅田国際メディカルクリニック運営 |
採用情報 | https://www.noble-co-ltd.com/recruit |