【代表インタビュー】株式会社ロケグー 代表取締役 稲田 爽

【熱狂ベンチャーナビ】株式会社ロケグー 代表取締役 稲田 爽

テレビマンの経験とスキルを活かした、広報PRの可能性を効果的に発信する新たな手法

テレビや映像制作の現場に立ちネタを探す人々と、効果的に広報情報を発信したい企業。その両者を繋ぐプラットフォーム「ロケグー」を運営する株式会社ロケグーの代表取締役 稲田 爽さん(以下、稲田さん)は、自身のテレビディレクターや放送作家の経験から生まれた気づきをサービスに昇華させました。

「ロケ地検索サイト」と「プレスリリース」の両面を持つロケグーは、設立から2年で850件以上の企業や施設の広報情報が掲載され急成長を遂げています。テレビ業界の「当たり前」に疑問を持ち、プレスリリースだけでは伝えきれないカジュアルな広報発信の場を創出。熱意ある若い経営者が描く、メディアと企業の新しい関係性についてお話を伺いました。

目次

プロフィール

株式会社ロケグー稲田代表

株式会社ロケグー

代表取締役 稲田 爽

趣味

お酒を飲むこと(事業拡大のため2025年は禁酒中。願掛けしてます)

尊敬する人

当たり前のことを継続できる人

座右の銘

Boys be ambitious

学生が読むべき本

「沈黙」遠藤 周作

経営者におすすめの本

「さくら」西 加奈子

人生で一番熱狂したこと

ロケグーを立ち上げたこと ※継続中

「痒いところに手が届く」テレビと広報を繋ぐ新しい広報プラットフォーム

ロケグー

テレビマンが開発した前例のないプラットフォーム

西畑: まずは御社のサイト「ロケグー」について教えてください。どのようなものなのでしょうか?

稲田さん: ロケグーは、プレスリリースとロケ地検索サイトを掛け合わせたサービスです。従来のプレスリリースは新商品の発表やイベント開催など、画一的かつ短期的なオフィシャルな情報に限られていました。また皆さんに馴染みがないとロケ地検索サイト(レンタルスペースなど発信するサイト)は基本的に「1時間いくらで場所を貸せます」という情報しか発信していませんでした。

私たちが目指したのは、これら二つの機能を統合し、メディアと企業をもっとカジュアルに繋ぐプラットフォームでした。テレビ番組やYouTubeなどの制作者が「こんな企業を取材したい」と思ったときに、その企業が取材に協力的かどうかがすぐに分かり、簡単に、スピーディーにコンタクトが取れます。また企業側も「こんな取材協力できます!」「バラエティ企画も何でもOKです!」といった広報情報をオープンに発信できる場所の提供です。

多種多様な企業とコンテンツ制作者を繋ぐハブ

西畑: どのような企業が掲載されているのでしょうか?

稲田さん: 本当にさまざまです。スタートアップ企業から町のお惣菜屋さん、星野リゾートのような大企業まで全国各地の多種多様な企業を掲載しています。特にユニークなのは「ドッキリ協力」のようなカテゴリがあることです。例えば「社長の通帳を見せられる」といった、テレビ的に「面白い!取材したい!」と思えるネタを提供できる仕組みになっています。

また、テレビだけでなく、新聞、大手配信メディア、YouTuberの方々からも問い合わせをいただいています。メディア環境が変化する中で、さまざまなコンテンツ制作者と企業を繋ぐハブとしての役割を果たしています。

テレビ業界の経験から見つけた課題解決への道筋

テレビマンからプラットフォーム開発へ

西畑: 稲田さんご自身の経歴についても教えていただけますか?どのような経緯でこの事業を始められたのですか?

稲田さん: 私は元々テレビ業界で働いていました。大学卒業後に放送作家を目指し、番組制作会社に入り、アシスタントディレクター(AD)として経験を積み、その後独立してフリーのディレクターや放送作家になりました。その後、31歳でロケグーを起業しました。

長年テレビの現場にいて強く感じたのは、制作者と企業の間にある情報のギャップでした。私たち制作者が知りたいのは「この企業がロケ・取材に協力してくれるのか」「どんな取材に対応してくれるのか」「このロケ地の共用範囲」といった具体的な情報です。しかし企業が発信するプレスリリースでは、そういった情報は全く得られませんし、そもそも発信する場所でもありませんでした。

一方、企業の広報担当者は、メディアPRに対して常に悩みを抱えていました。彼らはメディアに対して「広報情報を伝えたい!でも直接や繋がった人にしか届けられない。」「何を伝えればいいかわからない」といった課題を抱えていました。プレスリリースのようなオフィシャルな情報発信の場ではなく、もっと日常的にメディアとの関係を構築・発信したいと考えている広報さんがとても多かったです

この双方の課題を解決できるプラットフォームがあれば双方の業界が発展すると考え、ロケグーを立ち上げました。

テレビ制作の経験を生かしたサービス設計

西畑: テレビ業界での経験が、このサービスにどのように活かされているのでしょうか?

稲田さん: 純粋にテレビマンや映像制作の人たちが知りたい情報を届けられることです。全ての企業情報を、私が0から書いています。ほとんどのPR会社は、テレビ制作や映像制作を経験していませんし、ディレクターや放送作家として、キャリアを積んだ人材は皆無です。

私たちはテレビマンの視点で広報情報を置き換えられることが強みです。テレビマンが何を求めているのか、どんな情報が欲しいのか、これはテレビ制作を長年経験しないとわかりません。ただADを経験しただけでは、絶対に得られない経験になります。

メディア側が欲しい情報と、企業が伝えたい情報の間には、いつも大きなズレがあり、そこを埋める役割を目指しています。

また、2024年にはテレビ制作現場のノウハウをまとめた「テレビ制作大百科」や「ADのロケ教科書」といったオウンドメディアで情報発信を始めました。これらも現場経験から生まれたアイデアで、業界の暗黙知を形にする取り組みです。業界に関係ない人も、楽しめるコンテンツになっていますので、ぜひ読んでみてください!

広報活動のブラックボックスを解消し、効率的なマッチングを実現

透明性のある広報活動の実現

西畑: 従来の広報活動とロケグーの違いについて、もう少し詳しく教えていただけますか?

稲田さん: 従来の広報活動、特にPR会社を通した広報活動には、ある種のブラックボックス化した部分があると感じています。企業は高額なお金を払ってPR会社に広報を依頼しますが、その効果がどれほどあるのか、実際にメディアとの接点がどのように生まれているのかが見えづらい状況にありました。

企業側としては「何百万払ってるのに効果が…」「でもやり方がわからないから仕方ない費用だ」と、蓋をしているケースも少なくありません。

ロケグーは、このブラックボックスを解消し、企業とメディアが直接繋がれる場を提供しています。企業は自社の取材対応可能な範囲を明示でき、メディア側は必要なときに必要な情報にアクセスできる。この透明性と効率性が私たちのサービスの価値だと思っています。

若い会社だからこそ実現できる柔軟なサービス展開

スタートアップとしての強み

西畑: 会社や組織について教えてください。どのようなメンバーで運営されているのでしょうか?

稲田さん: 当社は2023年2月に設立された若い会社です。まだまだスタートアップの段階ですが、設立から2年以内に850件以上の企業掲載を達成するなど、着実に成長しています。これまでの経験を活かし、テレビ業界や広報業界の「当たり前」に捉われない新しい発想でサービスを展開しています。

未来へのビジョン

西畑:今後の展望についてお聞かせください。これからどのようなサービス展開を考えていますか?

稲田さん: 長期的なビジョンとして、ロケグーのロゴマークが企業のホームページに掲載されることを目指しています。例えば、企業のホームページの下部にSNSのアイコンが並んでいますよね。YouTubeやX、Instagramなどの横にロケグーのマークがあれば、「この企業は取材に協力的である」ということが一目で分かります。そういった認知度と信頼性を獲得したいと考えています。

また自治体との連携も進めていきたいと考えています。多くの自治体はロケ誘致に積極的ですが、効果的な情報発信ができていないケースが多いです。私たちのプラットフォームを活用することで、自治体のロケーション資源をより多くのメディアに知ってもらえる機会を作れると考えています。

テレビ業界の実態と「面白いものをつくる」という情熱

知られざるテレビ制作現場の厳しさ

西畑: これからテレビ業界を目指す人たちに向けて、業界の実状についても教えていただけますか?

稲田さん: テレビ業界は外から見るとキラキラしたイメージがあるかもしれませんが、実際の現場はかなりハードです。かつては3週間家に帰らず、テレビ局で寝泊まりしたり、新卒で入って3~4ヶ月全く休みがなかったりということもありました。働き方改革で少しずつ状況は変わってきていますが、今でも制作現場の労働環境は、一般的に比べて過酷です。

特に大変なのは、自分たちの都合で予定が組めないことです。芸能人のスケジュールに合わせて動くことが基本で、ギリギリになって「この日だったらOK」と言われると一気に準備をしなければならない。そのため睡眠時間を削って作業するといったことが頻繁に起こります。

また、テレビが「面白くない」と言われる一因として、ロケ地や取材先を探す時間的余裕がなく、いつも同じような場所で撮影してしまうといった問題もあります。こうした課題の解決にもロケグーが貢献できると考えています。しかし、その大変さの中にも、視聴者に新しい発見や感動を届けられる喜びがあり、「面白いものをつくる」という情熱が、現場のスタッフを突き動かしています。

メディアと企業をつなぐ新しい可能性

西畑: 最後に読者へのメッセージをお願いします。

稲田さん: 私自身がテレビ制作の現場で感じてきた課題を解決するために立ち上げたサービスなので、業界の「痒いところに手が届く」設計になっています。

「こんな場所で撮影したい」「こんな企業を取材したい」というメディア側のニーズと、「自社の魅力をもっと多くの人に知ってほしい」という企業側の想いをスムーズに繋ぐ全く新しいプラットフォームです。

メディアの方も企業の方も、ぜひ一度「ロケグー」をご覧いただき、新しい可能性をみつけていただければ嬉しいです。私たちはこれからも、より面白いコンテンツが生まれるお手伝いをしていきたいと思っています。

会社情報

法人名株式会社ロケグー
HPhttps://locagoo.co.jp/
設立2023年2月
事業内容ロケ地検索サイト×プレスリリース「ロケグー」。ADの教科書 Webメディア「テレビ制作大百科」番組制作・映像制作業界がもっと働きやすく、そして盛り上がる事を目指す。
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小川莉奈のアバター

編集者

小川 莉奈 - 熱狂ベンチャーナビ編集部

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看護士から一般企業へ就職。その後株式会社デジマケに入社。自身の転職経験を元に新卒~若手の転職者にわかりやすい情報をお届けします。

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監修者

西畑大樹 - 熱狂ベンチャーナビ運営責任者

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新卒で証券会社に入社。その後、不動産・マーケティング・SaaS企業と4社の経験を経て独立。
学生時代は無人島のインターンや創業2か月目の会社でインターン生として2年勤務。
学生時代から新卒就活領域のメディア運営やキャリアコンサルタントを行っていた経験を元に業界や企業理解が深まるインタビュー記事や就活や転職に役立つ情報をお届けします。

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秋山翔一 - 熱狂ベンチャーナビ編集責任者

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新卒で商社に入社。その後WEBマーケティング支援を行う会社に転職。その後、繊維メーカーの役員を経て株式会社デジマケを創業。
年間500記事以上の監修を行っております。採用側の視点でサービスのファクトチェックや記事内容を精査しています。

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熱狂ベンチャーナビ編集部はインターンシップ・新卒就活・転職経験者で編成されております。20代~30代の幅広い年齢・職種やキャリアを持つメンバーが在籍しているため、就活・転職の苦しかった経験や成功体験を元に求職者に役立つ情報を発信いたします。

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