【代表インタビュー】株式会社LiKG 代表取締役社長 近藤 光生

フリーランス2,000人の力を結集、マイスター制度で挑む次世代のWebマーケティング戦略
日本のIT人材不足は深刻化の一途をたどり、2030年には最大79万人が不足すると経済産業省が予測する中、フリーランス活用による課題解決に独自のアプローチで挑む企業があります。株式会社LiKG(リク)代表取締役社長の近藤 光生さん(以下、近藤さん)は、従来のマッチングサービスを超えた「マイスター制度によるチームビルディング」で、フリーランスと企業の双方が抱える課題を解決しています。
2,000人を超えるフリーランスネットワークの中から、上位0.5%を「マイスター」、上位10%を「パートナー」として厳選し、顧客課題に応じて最適なチームを編成。WebマーケティングとWeb制作の両軸で、企業の成長を支援しています。
「競争がガソリン」と語る近藤さんの原動力は、高校時代のサッカーで味わった挫折と栄光の体験にあります。地元チームのエースから全国のインターハイで日本一という頂点まで。その経験が育んだ「二度とあんな思いはしたくない」という思いと「もう一度1番になりたい」という渇望が、現在の事業への情熱を支えています。
前職で5年間の経験を積んだ後、勢いで独立を決断し、2期目に年商3倍の目標を達成。現在は記事作成代行サービスで業界ナンバーワンを目指す近藤さんに、フリーランスの価値最大化への挑戦と、熱狂の源泉について詳しくお話を伺いました。
プロフィール

株式会社LiKG(リク)
代表取締役社長 近藤 光生
趣味
ゴルフ、フットサル、キャンプ
尊敬する人
藤田晋
座右の銘
現状は必ず変えられる
学生が読むべき本
「起業家」藤田晋
経営者におすすめの本
「ザ・会社改造」
人生で一番熱狂したこと
高校サッカーでチームとしてインターハイ日本一になったこと
フリーランスの課題を解決する、マイスター制度によるチームビルディング

単なるマッチングを超えた、顧客課題に応じた最適チーム編成
小川:御社がどのような事業を展開されているのか、教えてください。
近藤さん:事業内容は大きく2つの領域に分かれています。WebマーケティングとWebのプロダクション・制作の領域で展開している会社です。
マーケティングについては、SEO対策が1番得意な分野です。そこから、マーケティングファネルで言う認知・集客から、興味関心、購買、リピートまで、すべての段階にアプローチできるよう、幅広いメニューを用意しています。
制作に関しては、Web制作をはじめ、記事の作成代行、広告のクリエイティブ制作、バナー制作、ホワイトペーパーなどの制作を手がけています。WebマーケティングとWebプロダクションを総合的に提供する会社です。
小川:フリーランスと協業した事業を展開されていますが、なぜフリーランス支援に取り組もうと考えられたのでしょうか?
近藤さん:フリーランス市場の課題を解決するためです。従来のマッチングサービスは単に人材を紹介するだけでしたが、それでは品質のばらつきや企業とのミスマッチが解決されません。そこで厳格な審査を通過した上位0.5%を「マイスター」、上位10%を「パートナー」として位置づけ、顧客の課題に応じて最適なチームを編成する制度を構築しました。
大前提として、私が会社を経営するうえで重視しているのは、単純に利益を追求するだけでなく、会社の存在によって世の中が少しでも良い方向に進むことです。当社が目指しているのは、フリーランス人材の価値を最大化することなのですが、私自身、前職で5年間働いた後に独立し、半年間フリーランスとして活動した経験があります。
その間、さまざまなお客様の仕事を受ける中で、多くの課題がみえてきました。フリーランスに対する企業の評価はまちまちで、フリーランス側もスキルにばらつきがあります。優秀な人材もいますが、提供できる価値が限定的だったり、案件を受けすぎてリソース不足になったりするケースがあります。
日本のフリーランス市場の課題と可能性
小川:日本のフリーランス市場について、どのように感じられていますか?
近藤さん:企業側からみても、突然連絡が取れなくなるフリーランスがいるなど、課題があります。一方で、日本は少子高齢化による人手不足が深刻で、IT人材も2030年には最大で79万人不足すると経済産業省が予測していたり、デジタルマーケ人材が不足していると回答する企業は8割弱に上るというデータもあります。
このような状況では、フリーランスや副業といった働き方がますます求められると考えています。アメリカでは全就労者の約36%が副業や兼業を行っており、インドやオーストラリアでも同程度の割合ですが、日本はまだ6%程度と、6分の1程度にとどまっています。
この分野は今後確実に成長しますし、成長しなければ日本の生産性向上は困難です。だからこそ、この領域に力を入れたいのです。ただ、フリーランスにはさまざまな課題があるため、その課題解決のために当社が存在すると考えています。
2,000人のネットワークから生まれる独自の価値提供
小川:具体的には、どのような仕組みでサービスを提供されているのでしょうか?
近藤さん:私は独立してから3年間で、500人以上のフリーランスと面談を重ねてきました。現在、会社として連絡を取れる方は2,000〜3,000人規模で、継続的に拡大しています。その中からプロフィールを拝見し、興味を持った方には必ずアポイントを取って、30分程度お時間をいただき、これまでのキャリアや当社の取り組みについて、双方で情報交換を行っています。
このようにして人材をプールし、お客様からのご依頼があった際に、フリーランスへ声をかけさせていただきます。条件面などの詳細を話し合い、まずは小さな案件から始めて、お互いのパフォーマンスや品質を確認したうえで、徐々に依頼する仕事の量を増やしていく運用を行っています。
小川:このようなチームビルディング型のサービスに、競合はいるのでしょうか?
近藤さん:フリーランスと企業をマッチングするサービスは数多く存在しますが、お客様の課題に合わせてチームビルディングを行う会社は、まだそれほど多くないと感じています。
IT・web人材の不足とIT・webフリーランスの増加という流れを考えると、このようなサービスがもっとあっても良いはずですが、だからこそ、私たちはこの事業に取り組んでいます。
企業が抱える2つの課題:ノウハウ不足とリソース不足

「何をやって良いかわからない」から「良いライターがいない」まで
小川:どのような課題を抱えた企業からご相談をいただくことが多いのでしょうか?
近藤さん:大きく分けて2つのパターンがあります。1つ目は、何をやって良いか分からないけれど、マーケティングを始めたい、Webサイトを制作したいという、ノウハウや人材リソースが不足している企業からのご相談です。
2つ目は、やりたいことは明確だが、実行するためのリソースが不足しているケースです。たとえば記事制作の場合、オウンドメディアの構想や作成したい記事の方向性、構成案までイメージができており、競合他社に負けない高品質な記事で勝負したいものの、優秀なライターがみつからないという作業者レベルでのリソース不足です。
優秀なライターはそう簡単にはみつからないため、このような企業からお問い合わせをいただき、テストライティングを経て、品質と単価の両面でご納得いただいてからお客様になっていただくケースが多いです。
固定費を抑えた構造で実現する高品質・低価格
小川:企業が予算の制約がありながらも高品質を求めるという、一見矛盾するニーズにどのように対応されているのでしょうか?
近藤さん:予算が限られているがクオリティは担保したいというニーズに対しては、当社の特長を活かして対応しています。あえてオフィスを借りず、正社員0で運用することで固定費を抑えています。
ほぼ原価のみで運用できるため、価格を抑えても利益が出る構造になっています。さらに、2,000人の中の上位0.5%を「マイスター」と呼んでいますが、これらは一般的なレベルを超えた優秀な人材です。
マイスターだけでなく、上位10%程度まで範囲を広げると約200人の「パートナー」がいます。この方々も優秀で、ライティングやデザインなど、特定のスキルでは他社に負けない経験と実力を持っています。
お客様の課題に対してPMを誰にするか、ライターやデザイナーは誰にするかを決めてチームを編成することで、固定費がかからないため安価でありながら、品質は高く保たれ、しっかりとしたコミットメントも可能です。お客様にも喜んでいただける仕組みだと考えています。
挫折と栄光が育んだ、競争をガソリンとする熱狂の原点

競争こそが原動力となる現在の事業への情熱
小川:仕事や事業への思いについてもう少し伺います。現在の仕事や事業に対する情熱の源泉を教えてください。
近藤さん:ベンチャー企業で働いた経験のある方なら分かると思いますが、目標やKPIの達成、競合他社に勝つこと、同僚との競争、チーム内や社内でのナンバーワンを目指すこと、MVPを取ることなど、さまざまな競争があります。この競争こそが、私にとってのガソリンなのです。
競合他社に負けたくない、追い抜きたい、後発であっても構造の違いで勝負をかけたい、小さな市場でもナンバーワンを取りたい、そういった思いを持って事業に取り組んでいるため、そこに対しては非常に熱狂しています。
地元チームのエースから全国の頂点へ—高校時代の挫折と栄光
小川:その競争心や「1番になりたい」という思いは、どのような体験から生まれたものなのでしょうか?
近藤さん:それは10代のときに経験した挫折が大きく影響しています。その挫折した経験から「二度と戻りたくない」という強い気持ちが生まれ、20歳ぐらいから起業への道を明確に意識するようになりました。
私は小学校、中学校では地元のサッカーチームでエース番号をもらいキャプテンを務めていました。高校進学の際はプロになる夢を追いかけ、私立の強豪校に進学しました。
実はその高校での3年間が、人生で最も苦しい時期でした。入学してみると、強豪校というだけあって名のあるクラブや中学校の出身者ばかりの環境で、地元弱小チームのエースだった自分との実力差は歴然でした。自信を失ってしまうと、どんなに頑張ろうと思ってもパフォーマンスも出せず、成長できません。120人いる部員の中で、最後までトップチームには届きませんでした。
しかし、高校3年生のときに、私たちの代が高校サッカーで日本一になったのです。インターハイで神奈川県勢として初の出場・初優勝を果たしました。優勝が決まった瞬間のホイッスルの音は、一生忘れることができません。まさに「熱狂」という言葉がぴったりの、我を忘れて喜んだ瞬間でした。
「二度とあんな思いはしたくない」というコンプレックスと、日本一になったときの歓喜をもう一度、今度は「自分の力」で味わいたいという思い。この2つが、現在の原動力になっています。
年商3倍達成への挑戦と、記事制作代行業界ナンバーワンへの道

独立当初の苦悩から軌道に乗るまでの壮絶な1年半
小川:起業してから事業の道のりはいかがでしたでしょうか?
近藤さん:最初の1年半、つまり半年間のフリーランス期間と法人化後の1年間は、目先のことに追われる毎日でした。お客様のクライアントワークをすべて自分で引き受けながら、同時に組織を大きくしたい、会社を成長させたいという目標があったため、クライアントワークと並行して、さまざまな準備を進めていました。
資金調達は特に大変で、実績がない状態での融資は壁だらけでした。不慣れな中で中小企業診断士と一緒に試行錯誤を重ね、7年間分という長期の事業計画書を作成して臨んだことで、最終的に2つの金融機関から融資を受けることができました。
もちろん、会社を経営するために必要なことはすべて自分で対応しなければならず、本当に大変でしたね。
目標年商3倍達成という熱狂の瞬間
小川:お一人で立ち上げるとなると大変ですよね。
近藤さん:そうなんです。ただその後、2期目に入ってから営業戦略がうまく機能し、年商が前期の3倍になりました。ビジネスを拡大するということを深く理解でき、「3倍にする」目標を実際に達成できたことで、自分に対する自信もつきました。
高い目標を設定することは会社員時代から続けていたことですが、よかったと心から思います。年商3倍達成という経験は、私の中で最も熱狂できた瞬間の1つです。
記事制作代行業界でのナンバーワンを目指す戦略
小川:現在力を入れている事業分野について教えてください。
近藤さん:現在、記事の作成代行サービスが当社で最も成長している分野です。このマーケットはそれほど大規模ではありませんが、まずは小さな市場でもナンバーワンになることを目指しています。そうすることで「知る人ぞ知る会社」になり、後発で提供するサービスも成長しやすくなります。
お客様が最も求めているのは品質です。これはフリーランス組織だからこそ実現できる品質であり、競合他社と比較して価格面でも優位性があります。この強みにさらに磨きをかけ、実績をつくり、いかに販売していくかが現在の重点課題です。
チームビルディングの柔軟性が生む、クライアント満足度の向上

ECサイト制作でみせた臨機応変な対応力
小川:事業について強みや具体的なエピソードがあれば教えてください。
近藤さん:ECサイト制作案件での事例をご紹介します。ECサイト制作実績のあるメンバーでチームを編成しましたが、最初に担当したデザイナーは尽力したもののお客様の求めるイメージを形にできず、やむなく途中で担当を変更させていただきました。
次に参画したデザイナーから、「お客様が本当に求めているのは、参考サイトとは全く違う、別のデザイン・世界線ではないか」という提案を受け、思い切ってそのデザインで制作したところ、非常に気に入っていただけました。
納品後、そのECサイトでの売上も大幅に向上しているとのことで、追加でサービスページやランディングページの制作もご依頼いただいています。
このように、当社は人材面についてもチームビルディングの柔軟性を意識しています。多くの人材を抱えているからこそできる柔軟性、スピーディーな対応、ダメだと判断したらすぐに変更できる機動力。これらが当社の良さが現れたエピソードだと考えています。
完全フリーランス組織の体系化と自社プロダクトの開発

フリーランス組織の可能性と自社プロダクトに感じる魅力
小川:今後の採用計画や事業展開についてお聞かせください。
近藤さん:2つの方向性を検討しています。AかBかという択一ではありませんが、1つ目は完全なフリーランス組織としての発展です。現在私が行っているフリーランスの採用面談、リード獲得後の新規商談、マーケティング、広報PR、バックオフィスなども含めて、私以外はすべてフリーランスという体制が目標。
案件の実行もフリーランス、責任者もフリーランス、管理層もフリーランスという状態の会社は現在それほど多くありません。人と同じことをするのではなく、少し違ったアプローチでこのような組織形態を確立できれば面白いと考えています。
もう1つは、代理店・受託ビジネスだけでなく、自社プロダクトの開発です。前職ではWebメディアの事業責任者を務め、自社サービスを販売する側にいたため、自分の会社でプロダクトを持つことの魅力は理解しているつもりです。
「LiKGといえばこれ」と言ってもらえるようなプロダクト・サービスを、フリーランスの価値最大化というテーマとは別に、できるだけ多くつくりたいという思いがあります。
記事制作代行でのトップ達成に向けた集中戦略
近藤さん:直近の重点目標は、SEOの記事作成代行サービスでトップになることです。そこにリソースを集中し、余計なことはしない、1番になるまでは他に目を向けないということを自分との約束事にしています。
経営者になると、あれもこれもやりたくなってしまいます。うまくいくと新しいアイデアも浮かび、フリーランスも多数いるのでコミュニティづくりなど、考えられることは無限にあります。どれも楽しそうですが、寄り道したくなる気持ちを抑えて、まずは1つの分野で誰にも負けない実績をつくること。それが、私の信念です。
会社概要
法人名 | 株式会社LiKG |
HP | https://likg.co.jp/ |
設立 | 2023年1月 |
事業内容 | ・デジタルマーケティング事業 ・web制作事業 |