【役員インタビュー】株式会社FCE 取締役 上級執行役員 尾上幸裕

DX×人財育成で実現する新たな企業成長のモデル
働き方改革やDXの推進が叫ばれる中、多くの企業が「何から始めれば良いのか分からない」という課題に直面しています。技術導入だけでは解決しない生産性向上の問題。従来の研修では身につかない主体性の育成。そんな企業の悩みに対して、独自のアプローチで成果を出し続けているのが、株式会社FCEです。
「パソコンでやる仕事の中で、人じゃなくてもできる仕事はほぼ自動化できる」という考えのもと、取締役 上級執行役員の尾上 幸裕さん(以下、尾上さん)。RPAツール「RPA Robo-Pat DX(以下、ロボパットDX)」は、約7,300製品の中から第1位に選ばれ、4年連続で顧客満足度1位を獲得するなど、圧倒的な支持を集めています。
一方で、同社のもう1つの柱である教育事業では、世界的ベストセラー『7つの習慣』の日本における出版権を保有し、子どもから大人まで幅広い層に主体性教育を展開。「チャレンジあふれる未来をつくる」というパーパスの下、人と組織の可能性を最大限に引き出すための取り組みを続けています。
新卒入社から一貫して成長を続け、現在は複数の事業を統括する尾上さんに、熱狂し続けるためのマインドセットと、これからの時代に求められる人財像について伺いました。
プロフィール

株式会社FCE
取締役 上級執行役員 尾上 幸裕
趣味
映画、ゴルフ
尊敬する人
世の経営者全員学ぶ対象です
座右の銘
Where there is a will, there is a way
学生が読むべき本
「7つの習慣」スティーブン・R・コヴィー
経営者におすすめの本
「7つの習慣」スティーブン・R・コヴィー
人生で一番熱狂したこと
親会社の民事再生から約10年かけてFCEとして再上場を目標に。2022年に東証スタンダードに上場を果たすこと。
「人的資本の最大化」を実現するDXと教育の融合

労働力不足の本質的解決に挑むRPAアプローチ
小川:御社の事業について教えてください。
尾上さん:当社は現在、大きく3つの事業を展開しています。DX推進事業、教育研修事業、そして出版事業です。
DX推進事業では、RPAツール「ロボパットDX」を中心とした業務自動化ツールを提供しており、これが現在売上の半分以上を占める主力事業となっています。教育研修事業では、世界的ベストセラー『7つの習慣』の研修を軸とした人財育成プログラムを企業や学校に提供。出版事業で、『7つの習慣』の日本における出版権は、私たちが保有しています。
これらの事業の根底にあるのが、「チャレンジあふれる未来をつくる」というパーパスです。年々チャレンジに対して一歩踏み出せない人たちが増えているのではないか、という課題認識がその根底にあります。
世の中は、誰かが新しい一歩を踏み出すことによって、より豊かになっていく。そういう人たちで溢れる社会をつくりたいと考えています。
ただ、その一歩を踏み出す上で、能力が足りない、時間が足りないといった制約があります。そうした制約を取り払って、人と組織の持つ可能性を解き放っていく。そのために私たちは「主体性×生産性で人的資本の最大化に貢献する」というミッションを掲げ、DXによって生産性を高めて時間を生み出し、同時に主体性を育成することで人の能力を最大化していくアプローチを取っています。
4年連続1位の実績が証明するパーソナルRPAの威力
小川:DXによる生産性向上について、具体的にはどのような取り組みをされているのでしょうか?
尾上さん:生産性の面では、RPA事業の「Robo-Pat DX」を展開しています。このサービスが、「ITreviewカテゴリーレポート」では3年連続でRPAツール部門の顧客満足度No.1を評価をいただいています。現在、売上の半分以上を占める主力事業となっています。
私たちが掲げているのは「パーソナルRPA」というコンセプトです。会社の中で大規模なRPAシステムが基幹として存在するのではなく、1人に対して1つ、自動化ツールがパソコンの中に内蔵されている状態。そうした社会をつくっていくことを目指しています。
従来のRPAは大規模なシステム構築が必要で、エンジニアが必要とするものが多かったのですが、私たちのRPAは作業手順を登録していくだけでつくれるのです。
システムの隙間を埋める自動化で劇的な効率向上を実現
小川:具体的にはどのような業務が自動化できるのでしょうか?
尾上さん:たとえば、店舗ビジネスをやっていると、各店舗から数字が送られてきて、1個のファイルに集計して、どこに課題があるか分析して、マネージャーに報告するという一連の作業があります。でも、この作業の大半って数字のコピペなんですよね。
分析も数式を組んで異常値を割り出す作業です。そんなもの毎回やる必要があるのかと。ロボットに記憶させてやってしまえば、もう一瞬で出来上がります。
また、事業を拡大していく過程で、複数のシステムが個別に導入されているケースも少なくありません。たとえば、受発注システムと請求システムが分かれている場合、システム間のデータ連携部分でも非常に有効なツールになります。
退勤時に設定しておけば、翌朝出社したときには指示した作業が完了している状態を実現できます。手作業にかかる時間を大幅に削減できるのです。
「7つの習慣」との運命的出会いが生んだ教育への使命感

フランチャイズビジネスで培った人財育成のノウハウ
小川:教育事業への参入の経緯について教えてください。
尾上さん:もともと当社の前身企業は、今や業界No.1の有名フランチャイズチェーンの店舗展開、IPO支援などを数々行っておりました。
そうしたビジネスが成長した要因の1つが、アルバイトたちの育成ノウハウでした。私たちは「アルバイトを経営者に」というコンセプトで、経営にまでアルバイトに参加させる取り組みをしていたのです。
ただ、年々若者の就労意欲や主体性が低下しているという課題を感じていました。「大学生や社会人になってから教育するのではなく、もっと早い段階から関わることができれば、社会全体がより良くなるのではないか」という想いから教育事業への参入を決めました。
小学校での衝撃的な体験が教育の価値を確信させた瞬間
小川:「7つの習慣」と出会ったきっかけは何だったのでしょうか?
尾上さん:最初は店長向けの研修を探している中で「7つの習慣」の研修を受け、その価値を実感しました。代表の石川が社内インストラクター資格を取得する際、同じ研修に参加していた小学校の先生から「実は子どもたちに7つの習慣を教えています」と聞いたんです。
実際に授業を見学させていただくと、他のクラスと比べて、子どもたちの態度がまったく違いました。授業への参加意識も主体性も段違いで、「子どもたちにしっかりと伝わる教育ができれば、これほど変わるのか」「大人より変化が早い」ということを実感しました。これこそが日本に今必要な教育だと確信し、20年前から子ども向けの主体性教育をスタートしました。
いじめられた少年の人生を変えたチャレンジカップの奇跡

絶望から希望へ—教育の力を実感した決定的瞬間
小川:教育事業に取り組む中で、特に印象に残っているエピソードはありますか?
尾上さん:教育の価値を心から実感した決定的な瞬間がありました。「7つの習慣」の事業をスタートしてから開催しているチャレンジカップというイベントでのことです。
これは一定期間の間に、自分のなりたい姿を目指してエントリーし、地域審査を経て全国大会で約1,000人が集まった会場でプレゼンテーションを行うイベントです。
そこに参加したある生徒の話です。この子はずっといじめられてきて、高校は「今の自分を誰も知らないところに行こう」と決めて進学しましたが、同じ状況が続いてしまいました。環境を変えても変わらない現実に、自分自身にも絶望していたんです。
小川:その生徒がチャレンジカップに参加したきっかけは何だったのでしょうか?
尾上さん:塾の先生が「チャレンジカップに参加してみない?」と声をかけましたが、最初は断っていました。しかしエントリー締切間際に「何かやりたいことはないの?」と聞いたところ、小さな声で「友達をつくりたい」と答えたんです。
人に話しかけることさえ怖かった彼が、殻を破って勇気を振り絞り、本当に親友と呼べる友達を2人つくることができました。そして地域予選を勝ち抜いて、全国大会の壇上でプレゼンテーションを行ったのです。
ずっと人前で話すことができなかった子が、決して流暢ではないけれど、心に響く力強いメッセージを全国の子どもたちに届けました。「その一歩を踏み出すことで世界は変えられる」という彼の言葉は、諦めかけている多くの子どもたちの心を動かしました。
その後、彼は大学に進学し、福祉系の学部でサークルまで立ち上げて、本当に人生を切り開いていきました。彼の発表をみた瞬間、「私たちは本当に価値のあることをしているんだ」と確信したんです。
「やらされ感ゼロ」が生む持続可能な成長マインド

モチベーションの浮き沈みがない一定した情熱の源泉
小川:尾上さんご自身の熱狂の源について聞かせてください。
尾上さん:「あのときは熱狂した」というのは正直なくて、良い意味で常に一定なんですよ。モチベーションの浮き沈みもないし、常に掲げているミッションに対して、やるべきことを全力でやるという考えなので、そういう意味ではずっと熱狂している状態なのかもしれません。
それはやらされ感がゼロだからだと思うんです。「7つの習慣」そのものですが、結局自分で目標を決めて、やると決めて、それに関する達成や未達成は全部自分の責任としてやっていく。そこにやらされている感じが微塵もないというところが一番大きいかもしれません。
幼少期の「逃げた」経験が形成した前進し続ける思考回路
小川:そのような主体的なマインドはいつ頃から身についたのでしょうか?
尾上さん:学生のときからずっとそうでした。「あれをやれ、これをやれ」と言われたことがなくて、何でも自分で決めさせてくれる環境で育ってきました。
ただ、楽しいことばっかりじゃないんです。人生振り返ってみて、仕事でも勉強でもスポーツでも、最初からうまくいったものは何1つなかった。ほとんどが下の下からのスタートで、人と比べて劣っている自分を耐え忍ぶ日々は当然ありました。
でも早いタイミングで逃げることを1回経験していて。そこで逃げたことによる自分に対する惨めさを実感したんです。社会人になってからも常に天秤にかけて、「ここで逃げたら、一瞬楽かもしれないけど、ずっと逃げたという結果がつきまとうな」と。
それから何か選択する際には、辛くても前に進む、チャレンジをする、という方を選ぶようになっていました。
3年で10年分の成長を実現する最強の成長環境

新入社員から「7つの習慣®」研修。徹底した人財投資の思想
小川:御社で働く魅力について教えてください。
尾上さん:当社は人財教育に関する投資をかなり行う会社です。自分たちのメソッドを伝えることもそうですし、外部のコンサルティング機関を使った研修についても、結構な投資をして提供しています。
たとえば「7つの習慣®」の研修1つ取っても、大手の会社でも管理職向けの研修として取り入れているところがあるぐらいですが、当社では新入社員のときからやります。
マインドという土台を形成するところから、スキルアップの研修まで、ありとあらゆる教育の機会を設けています。これらを主体性を持ってフル活用できる人は、「3年間で10年分の成長ができる」コンセプトになっています。
顧客への本気の想いが生む自然な成長サイクル
小川:成長の原動力となるものは何でしょうか?
尾上さん:当社は顧客軸をすごく大事にしています。熱狂って、目の前のお客さんに対して「こうなってほしい」という強い思いと、「それを絶対に実現する」という強いコミットがあって初めて生まれるのではないでしょうか。
「成長したいなあ」と考えている程度で成長している人はほとんどいません。成長している人が口々に言うのは、「一心不乱にそのことばっかり考えてました」と。立ち止まって気がついて振り返ったら、「こんなに成長してたんだ」。多分そういうものだと思うんです。
私たちは目の前のお客さんに対して、とことん本気で向き合って、ときにはなりたい姿を共有している以上、お客さんが諦めようものなら、それを叱咤するくらいの勢いでぶつかっていく。途中で喧嘩になったとしても、3年先、4年先に「あのとき、○○さんが担当になってくれて本当によかった」と言われるような関係性をつくりたいと思っています。
次世代のリーダーに求める「他責傾向のない」人財像

成長意欲と顧客志向を兼ね備えた社員たちの特徴
小川:現在働いている社員の方々の雰囲気について教えていただけますか?
尾上さん:口々に言うのは、成長にこだわっている人たちが多くて、尚かつそれを楽しんでいる人たちが多いです。この環境で一生懸命頑張ることで、自分もこれまでと違った自分に出会えるんじゃないか、と期待しているのがベースにある人が多いです。
そのうえで、DX分野では実績を出している先輩社員がいるので、「自分もトップレベルになりたい」という向上心を持つ人もいれば、「子どもの教育に関わって、子どもたちの主体性を引き出す取り組みを一緒にやりたい」という教育への想いを持つ人もいます。
また、アントレプレナーファームというコンセプトも掲げていて、企業家を輩出していくことも大事にしています。新しい新規事業で社会問題を解決できるような、チャレンジあふれる未来につながるような事業だったら、「ないものはつくろう」というスタンスです。
失敗を恐れず新しい成功体験を取りに行ける人財を求む
小川:これから入社する人に一番求めることは何ですか?
尾上さん:既存社員を突き上げて、次世代の幹部、もしくはトップになるような意欲ある人に入ってきてほしいと思います。
その条件としては、他責傾向がないこと。自分でやりたいことがあって、責任を引き受けて、自分事として前に進んでいける力がすごく大事だと思っています。
そして、失敗をとにかく怖がらないこと。自分をよくみられたいという気持ちが強い人は、自分ができることの範囲の中で仕事をしがちです。できないかもしれないものには手を出さないので、このタイプは成長しません。
そんなことよりも、既存のやり方は捨てて、新しい成功体験を取りに行ける人かどうかをみています。
経常利益100億円への挑戦。持続的成長を支える組織づくり

毎年20%成長を続ける野心的な成長戦略
小川:今後の展望について教えてください。
尾上さん:対外的な約束ではなく、社内目標では、毎年、経常利益で20%成長を続けることを目指しています。そうすると、いずれ100億の経常利益に到達していくので、それを社内目標として置いています。
この目標を実現するためにも、若手の新入社員も含めて、人財採用が重要になってきます。しかも、私たちの目指す組織風土にマッチしていて、自分たちのポテンシャルを遺憾なく発揮してくれるような人財を、毎年計画通りに取っていくことが必要になります。
成長の局面でしか身につかない貴重な経験を提供
小川:最後に、これから入社を検討している方へメッセージをお願いします。
尾上さん:私たちはこれからもどんどん成長して、大きくなっていく会社だと思っています。社員も増えていきます。
キャリアを考えたときに、加速的に成長していく中でしか身につかないもの、身につけられないものがあると思うんです。そういう成長のプロセスは1回しか経験できないので、その局面の中で一緒になって働ける、体験できる機会を私たちは提供したいと思います。
とにかくそういった企業の中で、幹部になる、トップになる、そういう意欲がある人に、新卒中途問わず入ってきてほしいと思っています。
会社概要
会社名 | 株式会社FCE |
HP | https://fce-hd.co.jp |
創業 | 2004年2月 |
事業内容 | DX推進事業 教育研修事業 出版事業 |
採用情報 | https://recruit.fce-hd.co.jp |
※2025年7月10日時点の情報です。