【代表インタビュー】株式会社Asrium 代表取締役社長 大須賀 琢真

アパレルから人材紹介まで。多角的事業で実現する新しい働き方
28歳という若さで、アパレル、人材紹介、BPO事業の3つを同時展開する株式会社Asrium。代表取締役の大須賀 琢真さん(以下、大須賀さん)は、自身を「平均的な人間」と謙虚に語ります。フィリピンのスラム街での体験から生まれた社会貢献への想い、X(旧Twitter)での継続発信から8社との営業代行契約を獲得した行動力、そして明確な成長戦略。多様な経歴の中に、現代の若者が求める「新しい働き方」と「社会への貢献」を両立させるヒントが詰まっています。
フィットネスインストラクターから営業、採用まで、戦略的にキャリアを積み重ねた大須賀さんが語る起業への道筋は、「何者かになりたい」と願う多くの若者にとって、具体的で実践的な指針となることでしょう。正社員として働きながら複数事業を展開するという挑戦的なスタイルは、リスクを抑えながらも大きな夢を追い続ける、新時代の起業スタイルについて伺いました。
プロフィール

株式会社Asrium
代表取締役 大須賀 琢真
趣味
仕事・身体を動かすこと
尊敬する人
柳井 正
座右の銘
臥薪嘗胆
学生が読むべき本
「7つの習慣」スティーブン・R・コヴィー
経営者におすすめの本
「起業の科学」田所雅之
人生で一番熱狂したこと
今この瞬間(特に人や企業とのご縁が生まれる瞬間)
3つの事業で実現する多角的成長戦略

アパレル事業で社会貢献を実現
小川:御社の事業内容について教えてください。
大須賀さん: 当社は3つの事業を展開しています。アパレル、人材紹介、そしてBPO事業です。
アパレル事業では「洋服から世界へ」をコンセプトに、命をつなぐというテーマのもと、私がフィリピンで学んだ体験から、フィリピンの幼稚園と大学生に対してボランティア活動を行っています。
人材紹介については、私自身が採用経験を積んできた中で、強みがあると自負しているので始めました。そして最後がBPO事業で、営業代行や採用代行など、企業の困りごとを解決する業務委託サービスを提供しています。
「すべてイエス」で生まれた最適な事業組み合わせ
小川:起業時から複数の事業を展開されているのは珍しいですね。どういった経緯でこの形になったのでしょうか?
大須賀さん: もともと何もない人間だったので、X(旧Twitter)を始める中で、私に声をかけてくれる人がすごく貴重だなと思っていました。お声がけいただいた方々に対してはすべてイエスと言ってやり続けた結果、残ったのがこの3つなんです。結果論ではありますが、やり続けた中で自然と今の形になりました。
小川:大須賀さんの幅広い対応力が事業に活かされているということですね。
大須賀さん: そうですね。営業代行、ホームページ制作、アプリ開発、人材派遣、住宅リフォームなど幅広く対応できます。衣食住、どれでも対応できますし、会社をつくるうえでの人材面にも対応できるのが当社の特徴かなと思っています。
フィットネスから営業、採用まで。戦略的に身につけた「起業に必要なスキル」

明確な目標設定で選んだキャリア戦略
小川:これまでどのようなお仕事をされてきたのですか?
大須賀さん: 新卒ではフィットネスのインストラクターをしていました。子どもに体操やプール、大人にはレッスンやマシンの指導などを行っていました。大学1年生までずっとサッカーをやっていたので、スポーツに何か携わりたいというのと、アルバイトをずっとその会社でしていたので、そのまま正社員になったという形です。
小川:そこからキャリアアップを目指されたのですね。
大須賀さん: そうです。当時から何者かになりたいという思いが自分の中にあって、それを実現するためには起業家を目指そうと考えました。起業なら行動の量を担保すればいけるんじゃないかと思ってキャリアアップに取り組みました。
営業力と採用力を戦略的に身につける
小川:そこで転職を決意されたんですね。
大須賀さん: はい。大阪に本社がある会社の東京支社立ち上げで、フードデリバリーサービスの新規飛び込み営業をしました。飲食店に対してUberEatsや出前館を導入しませんか、という新規飛び込み営業です。
将来的に起業して自分で事業をする際、何が足りないかと考えたときに、自分を売る力と、人を採る、つまり採用力が足りないと思ったんです。まずは自分を売ろうと思って営業を選びました。
飛び込み営業で開花した新たな可能性
小川:営業を実際にやってみていかがでしたか?
大須賀さん: 飛び込み営業って、一般的には敬遠されがちですけど、私はやっているうちに新規の飛び込み営業が好きになったんです。最初は飛び込まれる側も飛び込む側も、誰が幸せになるんだろうという疑問がありました。でも実際にやってみたら結果も出て楽しかったんです。お客様に喜んでもらえることも多くて、営業の面白さを実感できました。
そこである程度自分を売る力は身につけられたので、次は採用のスキルを学ぼうと考えて転職をし、博報堂のグループ会社でアルバイト・派遣・中途採用を担当をしました。
小川:営業力を身につけた後は、採用スキルの習得に移られたんですね。
大須賀さん: はい。博報堂のグループ会社で1,000人規模の会社の採用を担当していました。ここで採用の基礎知識を学んだ後に、今は実際にAsriumを運営しつつ、不動産会社の人事もやっています。採用については今も経験を積み重ねています。
フィリピン留学でTOEIC645点達成。現地で発見した「幸せの本質」

英語学習への挑戦がもたらした成長
小川:アパレル事業でフィリピンでのボランティア活動をされているとのことですが、なぜフィリピンなのでしょうか?
大須賀さん: フィリピンでの学生時代の体験が原点になっています。私は大学1年から4年の間で大体1年半くらいフィリピンで英語学習をしていました。というのも、私の大学はTOEICで500点以上取らないと卒業できないのですが、入学時のテストでは200点しか取れなかったんです(笑)。このままでは卒業できないと思い、英語の環境に身を置いて本格的に学習しようと考え、フィリピン留学を決めました。
小川:どのような成果を出されたのでしょうか?
大須賀さん: おかげさまで、3年生のときに受けたTOEICでほぼリスニング満点の645点を取ることができました。フィリピンでの学習体験が本当に良かったと思いますし、あのとき英語をやるという決断をして良かったなって思いました。
貧しくても前向きなフィリピンの人たちから学んだこと
小川:フィリピンでの体験は、今の価値観にも大きく影響しているのでしょうか?
大須賀さん: そうですね。フィリピンで過ごしていく中で、ふと感じたのが、国の環境としては日本の方が豊かなのに、幸せそうにみえるのがフィリピンの人たちだったんです。
当時はこの違和感が何なのかわからなかったのですが、いろんな人と話をしていく中で気づいたことがありました。何でも前向きで、自分たちが貧しいということを理解しながらも、その中でいろんな幸せをみつけている人たちが多くいたんです。それを知れたのが大きな経験でした。
私がいた地域は、日本より貧しいところで、裏がスラム街だったんです。スラムの子どもたちとも話をする機会を設けていただく中で、この子たちに何か貢献できないかなと思ったのが、今フィリピンにアプローチしている理由です。現在はアパレル事業の売上の一部を活用して、フィリピンの幼稚園と大学生に対するボランティア活動を行っています。
マルチな才能を活かした事業戦略

平均的だからこそ発揮できる多様な強み
小川:ご自身の強みをどのように分析されていますか?
大須賀さん: ソフトバンクの孫さんみたいにすごい行動力があるわけでもないし、ユニクロの柳井さんみたいにマーケティングの力があるわけでもありません。私はただの一般人だと思っています。秀でているものがない、すべてにおいて平均的な人間だと思っているんです。
でも、平均的だからこそ発揮できる良いところは必ずあると思っています。それが何でもできるということで、衣食住も対応できますし、人材採用という会社をつくるうえでの人的な部分にも対応できる。マルチにすべてを揃えられるのは強みなのかなと思っています。
「やってみる」姿勢で見つけた成功法則
小川:自分に自信がない人に向けて、何かアドバイスがあれば教えてください。
大須賀さん: まずは頼まれたことをやってみることが大切だと思います。その限られた時間の中で、何億人もいる中で、自分にその時間を使ってくれるのは本当にありがたいという気持ちを持つことが大切だと思っています。
頼まれたことをやっていく中で、何かしら自分の長所もみえてくると思いますし、私はそのように今後も行動を起こしていこうと思っています。
継続的な発信で広がったビジネスネットワーク

苦手分野への挑戦が生んだ大きな成果
小川:ビジネスのつながりはどのようにつくられたのですか?
大須賀さん: 人前に出るのがあまり好きではない中で、苦手なことにチャレンジすることで得られるものもあるんじゃないかと思ってX(旧Twitter)を始めました。
自分が発信していくことによって気になってくれた個人事業の方だったりとか、小さいスタートアップの会社さんとかとやり取りをさせていただく中で、気づいたら8社まで増えていて、大きな成果につながっていきました。
「今この瞬間」への熱狂が生み出す無限のエネルギー

社会貢献への想いが支える行動力
小川:正社員をしながら起業されたということでしたが、両立が大変だったと思います。そのエネルギーの源は何でしょうか?
大須賀さん: やはり根底にあるのは、大学時代にフィリピンのスラムで、日本より貧しい人たちを自分の目でみて、それらの空気感を肌で感じたことが大きいです。その人たちに手を差し伸べてあげられるような人間になりたいと思っているからです。
小川:そんな大須賀さんが考える「熱狂」とはどのようなものでしょうか?日々の仕事の中でどんなときに熱狂されていますか?
大須賀さん: 私にとっての熱狂は、常に「今この瞬間」にあります。リーダーに熱がなければ、その熱は周囲に伝わりません。若い世代がどんどん熱を持って挑戦していかなければ、この国は衰退していくと思っています。
だから私は、今この瞬間にも本気で向き合い、熱狂していたいんです。何かご縁や「良いな」と思ってもらえて、こうやってお時間をつくってもらえていることにも、すごく熱狂を感じますし、何かお力になれないことはないかなとつねづね考えています。
「人の気持ちを考えられる人」と築く理想の組織

心を大切にする人材像
小川:今後、どういった方と一緒に働きたいとお考えですか?
大須賀さん: 人の気持ちを考えられるかどうかを大切にしています。人のご縁を大切にし、その先の人とのことを考えて、行動や発言ができるような人と一緒に働いていきたいと思っています。
小川:たとえばどのような場面で、そういった心を感じられるのでしょうか?
大須賀さん: どんな状況でも手を差し伸べられるような人です。たとえば、道端でお年寄りが転んでいたら、一番に手を差し伸べられるかどうか。どんなに自分が苦しい状況でも、苦しんでいる人をみたら助けてあげられるような心を持った人ですね。
着実な成長戦略で目指す理想の組織
小川:今後の展望について教えてください。
大須賀さん: 「人生をより豊かに」というのもテーマに掲げています。誰もが輝ける未来を創造するためには、まず自分が豊かにならないといけませんよね。
私と一緒に働いてくれた人たちが少しでも、私に出会う前と出会った後だと、出会った後の方が幸せだったと言ってもらえるような環境をつくっていきたいと思っています。
小川:具体的な数値目標はありますか?
大須賀さん:2、3年後に売上5,000万円、5年後にやっと1億円、10年後に1.5億円くらいを考えています。売上比率としては、 BPOで大体50%から60%くらい、人材紹介で45%から50%くらい、アパレルで5%から10%くらいを目指しています。他の企業に比べたらかなりスローですが、その分、社員になってくれる人には最大限還元できるようなスキームを出していきたいと思っています。
時間は有限だからこそ、一瞬一瞬を熱狂して生きてほしい
小川:最後に、読者の方へメッセージをお願いします。
大須賀さん: 改めて時間は有限だなということを伝えたいと思っています。その人の先には人がいるし、私の先にも人がいる。結局、ここの関わりは点かもしれないけど、いずれ線になっていくんです。
人から時間をもらうということは、その限られた命の時間をいただいていることなので、一つひとつ、一瞬一瞬を大事にしてほしいと思います。日々熱狂して、自分のやりたいことや長所を活かしていけるような世の中にしたいですし、そのような気持ちを持った人が1人でもいるのであれば、ぜひ私に声をかけていただきたいと思っています。
会社情報
法人名 | 株式会社Asrium |
HP | https://www.taisy-2022.com/ |
設立 | 2024年1月 |
事業内容 | ・アパレル ・人材紹介 ・BPO |