【代表インタビュー】株式会社LiG STAR. 代表取締役 夏川 登志郎

【熱狂ベンチャーナビ】株式会社LiG STAR. 代表取締役 夏川 登志郎

インフルエンサーの「効果」にコミット—縦型動画時代の新たな広告クリエイティブ

インフルエンサーマーケティングという言葉が一般的になった今、多くの企業がSNSを活用した広告戦略に取り組んでいます。しかし、フォロワー数の多いインフルエンサーを起用しても、必ずしも効果が出るとは限らない。この業界の矛盾に真正面から向き合い、「広告効果」にコミットする独自のアプローチを確立したのが、株式会社LiG STAR.(リグスター)代表取締役の夏川 登志郎さん(以下、夏川さん)です。

学生時代は読者モデルとして活動し、ライブ配信の黎明期から業界をみてきた夏川さん。サイバーエージェントで社会人2年目にして社内起業を果たし、その後独立。現在は8期目を迎え、インフルエンサーを起用した広告クリエイティブ制作で独自の地位を築いています。延べ3,000名のキャスティング実績と、独自開発した「クリエイティブTips」を武器に、TikTokやInstagramなどの縦型動画広告で高い成果を上げ続けています。

「常に今が一番楽しい」と語る夏川さんに、読者モデルから経営者への転身、そして目指す「クリエイター版ディズニーランド」の構想について伺いました。

目次

プロフィール

株式会社LiG STAR.

代表取締役 夏川 登志郎

趣味

テニス、ピックルボール、音楽(ギター・作曲)

座右の銘

負けない・挫けない・常に最先端で戦う(挫けずに、常に新しい領域に飛び込み、アップデートする姿勢を大切にしている)

尊敬する人

藤田 晋さん(サイバーエージェント代表取締役社長)

学生が読むべき本

「渋谷ではたらく社長の告白」藤田 晋

学生が読むべき本

「ビジョナリー・カンパニー 2 – 飛躍の法則」ジェ−ムズ・C.コリンズ、「リーダーの仮面」安藤 広大、「交流分析のすすめ」杉田 峰康、「7つの習慣」スティーブン・R・コヴィー

人生で一番熱狂したこと

(仕事やスポーツ含め全般の)勝負ごと

フォロワー数より「効果」を重視—3,000名の実績が裏付ける独自メソッド

広告主の成果にコミットする、新しいインフルエンサーマーケティングの形

小川:御社の事業について教えていただけますか?

夏川さん:当社は主にインフルエンサーを起用した広告のクリエイティブ制作事業を展開しています。それに付随して、インフルエンサーを起用したPRやタイアップもやらせていただいています。

特徴的なのは、多くのキャスティング会社がブランディング寄りだったり、キャスティングして終わりという会社が多い中で、私たちは広告主さんの広告効果にコミットさせていただいている点です。

フォロワー数が多くて金額が高いインフルエンサーの起用もできますが、むしろフォロワー数が少なくても広告効果が高い方を起用して、顧客獲得とコストの両面にコミットするクリエイティブをつくらせていただいています。

3,000名のキャスティング実績と独自の「クリエイティブTips」

小川:そういった効果の実現は、どのように行われているのでしょうか?

夏川さん:2つの軸があります。1つ目は、延べ約3,000名のキャスティングをやってきた中で、どういったインフルエンサーが効果を出すのかを熟知していること。

2つ目は、TikTokやInstagramなどの縦型メディアに対する知見が強いことです。こういう構造にしたら勝てるクリエイティブだよね、という点を熟知していて、常にトレンドや当たりやすい広告を科学しながら、この2つの掛け算で勝ちに行っています。

小川:他社と比べてどういった差があるんですか?

夏川さん:当社独自の「クリエイティブTips」をつくっています。TikTokさんなども公式のTipsを出していますが、当社独自でInstagramのリール版Tips、TikTok版Tipsをつくっています。

具体的には、商品を出すのを何秒以内にするとか、冒頭何秒でインパクトがあるものをつくるとか。そういったTipsをたくさん量産して、時代背景に合わせて「今のTipsはこれだよね」というものをつくったうえで、各会社さんに合わせて提案させていただいています。

UGC広告の本質を理解した、インフルエンサーとの協働

小川:インフルエンサーとの連携はどのように行っているのでしょうか?

夏川さん:私たちから起用するインフルエンサーにすべて台本をつくり込んでお渡しすることはやっていません。現在、UGC(User Generated Content:ユーザー生成コンテンツ)広告という分野が最も顧客獲得効率が良いと言われていますが、インフルエンサーさんが普段の通常投稿にあったような形で動画をつくるものが一番獲得が良かったりするんです。

私たちが持っているTipsと、インフルエンサーが普段つくっている動画の形を、お互いに引き寄せ合って1つのものをつくっています。

ショート動画の発展を見据えて—競合が避けていた領域への挑戦

YouTube時代から縦型動画時代への転換点

小川:業界に対してどのような課題感があったのでしょうか?

夏川さん:業界の課題として、そもそもエンドユーザーの獲得に振り切っている会社さんがほとんどいらっしゃらなかったです。インフルエンサーを使って効果を可視化することを避けている傾向にあったんです。

避けていた理由は、効果が出ないことが多かったから。YouTubeだと数値化はできるんですが、効果が出ないような人が多かったのが実態でした。ゲームとかだと効果が出やすかったりもしますが、他業種では効果が出にくかったんです。

ショート動画が発展していくことによって、しっかり効果が出るようになってきたので、私たちはいち早く競合が少ないところに目をつけて、ここにコミットしたんです。

D2C領域を中心に、デジタルマーケティングに本気の企業が選ぶパートナー

小川:御社を選ばれる企業さんはどういった特徴がありますか?

夏川さん:業種業界的にはさまざまです。特に需要が高く、LiG STAR.といえばここが強いよねと言われているのは、美容やアパレル、飲食、D2C領域全般です。

その中でも、デジタル分野に力を入れているところ、TikTokの出稿やInstagramの出稿をされているような企業さんに引きがあります。

読者モデルからライブ配信へ—「飛び級」を選んだ理由

SNS黎明期に目撃した、文化のアップデート

小川:現在の会社を立ち上げるまでの経緯について教えていただけますか?

夏川さん:学生時代に読者モデルのようなものが流行ったときに活動をしていました。その時期にライブ配信が流行りだしたんです。

当時の読者モデルって、SNSを使うのがちょっとかっこ悪いと言われていた時代でした。ただ、途中から新たに台頭してきた人たちがSNSをしっかり駆使して、自撮りをSNSにあげることでフォロワー数を増やしていった。いつの間にか、読者モデルとして売り出していた本物の読者モデルたちが、ネットの人たちに食われていったんです。

雑誌に出ていない人たちが読者モデルと名乗りだした時代を目の当たりにして、文化がアップデートされているなと。演者視点として残るためには、SNSやネットをちゃんと駆使しないといけないと思うようになりました。

自信がないからこそ選んだ「飛び級」という戦略

小川:大学時代にサイバーエージェントに事業案を持っていかれたそうですね。なかなかの行動力ですよね。

夏川さん:実は私自身、すごく自信がない人なんです。自信はないけど負けず嫌いな部分があって、常にどうやったら勝てるのかを考えていくと、飛び級しかないなと思って。

真っ当に働いて、少しずつ上長に提案していく方法が真っ当なのかもしれないけど、多分ろくな実力じゃないだろうなと思っていて。知人経由でつないでもらって、よし飛び級するぞ、当たって砕けろぐらいな感じで提案させてもらいました。

裏方の楽しさに目覚めた瞬間

小川:表に出る読者モデルから、裏方の経営に興味を持った理由は何だったんですか?

夏川さん:ライブ配信をやっているときに、自分ができることって自分のブランディングを確立することもできるけど、それってちっちゃいなと思って。だったら困っている周りの友達を、一緒に徒党を組んで成り上がる、という方法もあるんじゃないかと。

小さなチームをつくって、彼らをライブ配信で活躍できるようにしようと思ったんです。そこから裏方人生が始まりました。

サイバーエージェント時代—2年目での社内起業という挑戦

200案を用意して臨んだ社内起業コンテスト

小川:サイバーエージェントでの社内起業について教えてください。

夏川さん:サイバーエージェントでは、若手から子会社社長を発掘するプロジェクトを推進していたので、ずっと挙手しまくっていました。

1年目のときに提出した案は全然ダメで悔しくて、来年絶対再チャレンジするぞと思って200案ぐらいストックしました。2年目のときに全部出すぞと思ったんですが、その年から1人1案までになってしまって(笑)。

担当役員の人に厳選した30案ぐらい持っていって「せめて30案だけみてください」と相談したら、「何がやりたいの、何が強みなの」と聞かれて、ライブ配信やインフルエンサーさんと関わる仕事をしてきたので、それをやりたいし強みですと話しました。

その案がコンテストで準優勝して通ることになって、藤田社長に会わせてもらって設立したのが、当時「株式会社CyberLiG(サイバーリグ)」という名前のライバープロダクション会社でした。

社会人2年目での重圧と、スケールできない事業への葛藤

小川:社内起業で一番大変だったことは何ですか?

夏川さん:2年目の年末に設立が決まって、社会人経験がほぼない中で「どうしよう」となりました。能力もそんなに高くないと思っていましたし、不安だなという気持ちがかなりありました。

最初つくった事業は得意領域だったので、3ヶ月目で黒字化できたんですが、サイバーエージェントが求める売上規模にスケールさせるのがどうしても難しくて。「この規模だったらサイバーの子会社でやる意味ないからね」とよく役員に言われていました。

これは今も教訓にしているんですが、スケールできない事業ってやってもしょうがないと思ったので、ホームランをかませるような事業を考えることをすごく意識しています。

VTuber事業の成功と売却—450名規模への成長と新たな決断

コロナ禍を経て見出したVTuberという新領域

小川:VTuber事業についても聞かせてください。

夏川さん:サイバーエージェントから独立した後、どうしてもやりたかった事業がVTuberの事業でした。同時並行で今やっている事業の延長もやっていて、去年6月には450名のVTuberをつくって、Vライバーの領域で上位5つの事務所に入れるようになりました。

両方良い感じにスケールしていたので手放したくなかったんですが、VTuber事業は自己資本だとアクセルを踏みにくい規模まで成長したので、資本が大きい会社さんに売却しました。ライバーさんにとっても、私たちにとっても、みんなハッピーになれるかなという決断でした。

「宝探し」ができる人のための環境—自走と挑戦を促す組織文化

裁量権は与えるが、教える環境ではない

小川:御社で熱狂できる環境について教えてください。

夏川さん:良くも悪くも、めちゃくちゃベンチャー気質が強いです。裁量権を渡しますが、教えるような環境はそんなになくて、自分から宝探しができないと楽しくない。でも自分で宝探しをしていきたい人にとっては、すごく楽しみやすい環境です。

やりたいことも筋が通っていたら「じゃあ、やっていこうか」という感じにしていますし、ワクワクすることを一緒にできる仲間を集めたいと思っています。挑戦しやすい環境だと思います。

逆に指示待ちの人には向いていません。一緒に会社をつくっていきたいとか、新しい働き方をしていきたいとか、何かに挑戦したい人にとっては、ワクワクできるような環境じゃないかなと思っています。

EQとIQのバランスが取れた、素直で良い人たち

小川:会社の雰囲気はどんな感じですか?

夏川さん:「素直で良いやつ」採用をしているので、トゲがないような組織をちゃんとつくっていきたいと思っています。物腰の柔らかい人が多いです。

一方で、デジタル領域を主軸にしているので、ロジカル面ももちろんバランスを取るようにしています。一言で言うと、EQとIQのバランスが良い人が多いです。

今後も能力で採用していくというよりは、本当に人柄を重視しながら採用していきたい。ギスギスした会社にはしたくないという思いが強くて、みんなが協力しながら、個々のプレーもありつつ、しっかり協力できるような会社にしていきたいです。

自分でモチベーションをみつけられる人と、ワンピースのような組織を

A環境でもB環境でも、なりたい自分と紐付けられる人

小川:今後入社してくる人に一番求めていることは何ですか?

夏川さん:私が思う優秀な人の定義があって。それは、自分でモチベーションをみつけられる人だと思っています。

こういう人って、Aの環境、Bの環境、Cの環境、どこに行っても、なりたい自分像と紐付けることができるタイプです。私たちはミッションもすぐ変わりますし、やっている事業もピボットしたりしがちですが、この環境下でもモチベーションをみつけられる人を求めています。

そういう人は自走できるので、その人の成長が会社の成長になっていく。少ない人数なので、自分でモチベーションを発揮できる人が必要です。

ワンピースのような少数精鋭で、それぞれが強い組織へ

小川:そうした人たちを集めて、どんな組織をつくっていきたいとお考えですか?

夏川さん:私がつくっていきたい組織は、ワンピースみたいな感じにしたくて。

ルフィという船長がいて、ゾロがいて、サンジがいて、ナミがいて、ウソップがいて、チョッパーがいて。少数精鋭ですごいやっている組織だと思うんです。私たちもすごく似ている環境にあるので、一人ひとりが強くないと成り立たない。

ゾロになりたい、サンジになりたい、ナミになりたい、何者かになりたいという人たちをどんどん採用していって、少数精鋭から大きな組織にできるように、市場に対して挑んでいきたい思いがあります。クリエイターエコノミーという新しい海で、一緒に冒険してくれる仲間を待っています。

「クリエイター版ディズニーランド」という壮大なビジョン

クリエイターエコノミーの中心となる存在を目指して

小川:今後どういった会社にしていきたいか、展望を教えてください。

夏川さん:私たちの事業の中心となっているのはクリエイターさん、インフルエンサーさんです。クリエイターさんのためのクリエイターエコノミーをつくっていけるようになりたいと思っています。

今のクリエイティブ制作やタイアップ、プロダクション、これからやろうとしている他の事業も増やして、LiG STAR.がいつも中心にあって、その中には「クリエイターのため」というのがある状態をつくっていきたいです。

みんながハッピーになれる世界の実現

小川:そのクリエイターエコノミーの中心となる存在として、具体的にはどのような世界観を描いているのでしょうか?

夏川さん:半分ふざけて言うんですが、クリエイター版、ビジネス版ディズニーランドをつくりたいとよく言っています(笑)。

ディズニーって、夢の国という中心があって、いろんなビジネス展開をしていて、いろんな人がハッピーになっている。そこで働いている人も、お客さんも、みんなハッピーになっていると思うんです。

私たちもクリエイターさんを中心として、働いている人も、会社としても、参画してくださるクライアントさんも、皆さんがハッピーになれるようなディズニーランドをつくっていきたいと思っています。

会社概要

会社名株式会社LiG STAR.
HPhttps://ligstar.co.jp
設立2018年12月25日
事業内容キャスティング
広告クリエイティブ制作
アカウント運用
TikTokクリエイター、インフルエンサー、ライバー、VTuber育成
採用情報https://ligstar.co.jp/#recruit

※2025年8月20日時点の情報です。

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小川莉奈のアバター

編集者

小川 莉奈 - 熱狂ベンチャーナビ編集部

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看護師から一般企業へ就職。その後株式会社デジマケに入社。自身の転職経験を元に新卒~若手の転職者にわかりやすい情報をお届けします。

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監修者

西畑大樹 - 熱狂ベンチャーナビ運営責任者

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新卒で証券会社に入社。その後、不動産・マーケティング・SaaS企業と4社の経験を経て独立。
学生時代は無人島のインターンや創業2か月目の会社でインターン生として2年勤務。
学生時代から新卒就活領域のメディア運営やキャリアコンサルタントを行っていた経験を元に業界や企業理解が深まるインタビュー記事や就活や転職に役立つ情報をお届けします。

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秋山翔一 - 熱狂ベンチャーナビ編集責任者

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新卒で商社に入社。その後WEBマーケティング支援を行う会社に転職。その後、繊維メーカーの役員を経て株式会社デジマケを創業。
年間500記事以上の監修を行っております。採用側の視点でサービスのファクトチェックや記事内容を精査しています。

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熱狂ベンチャーナビ編集部はインターンシップ・新卒就活・転職経験者で編成されております。20代~30代の幅広い年齢・職種やキャリアを持つメンバーが在籍しているため、就活・転職の苦しかった経験や成功体験を元に求職者に役立つ情報を発信いたします。

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