【代表インタビュー】株式会社ガトラボ 代表取締役CEO 村田 駿

【熱狂ベンチャーナビ】株式会社ガトラボ 代表取締役CEO 村田 駿

エンジニアの「納得感」を実現するSES企業の新たな挑戦

「自分の市場価値がわからない」「評価基準が不透明」「案件を選べない」──SES業界で働くエンジニアの多くが抱える悩みです。こうした業界の常識を変えようと挑戦しているのが、株式会社ガトラボ代表取締役CEOの村田 駿さん(以下、村田さん)です。

村田さん自身、新卒でエンジニアとして社会人をスタートし、評価基準の不透明さやキャリアパスのみえづらさに悩んだ経験があります。インフラエンジニアとして1年間働いた後も、希望していた開発案件への配属は叶わず、「開発案件はない」という一言で夢を断たれました。

その後、営業職への転身を経て、合計5社を経験。数々の挫折を乗り越えながら、SES業界の課題と可能性を深く理解していきます。そして2024年8月、「エンジニアに納得感を」というミッションを掲げ、株式会社ガトラボを設立。案件選択制と単価連動制という革新的な制度を導入し、エンジニアが主体的にキャリアを築ける環境づくりに取り組んでいます。

「過去の自分と同じように悩んでいるエンジニアたちに、納得して働ける環境を提供したい」──SES業界に新しい風を吹き込む村田さんの強い思いをお伺いしました。

目次

プロフィール

株式会社ガトラボ

代表取締役CEO 村田 駿

趣味

サウナ、子育て、新しい体験をすること(直近では滝行をする予定です!)

尊敬する人

藤田 晋さん(サイバーエージェント代表取締役社長)

座右の銘

勝つまでやる

学生が読むべき本

「不格好経営」南場 智子

経営者におすすめの本

「渋谷ではたらく社長の告白」藤田 晋

人生で一番熱狂したこと

今(ガトラボの組織づくりをしていること)

「エンジニアに納得感を」──透明性の高い新しいビジネスモデル

経験者採用に特化し、自社社員のみで運営する独自のスタイル

小川:御社の事業内容について教えてください。

村田さん:当社はSES(System Engineering Service:ITエンジニアの技術力や専門スキルを提供するサービス)事業、システムエンジニアリングサービス事業を展開しています。ITエンジニアに特化した領域で、社員をSIerやシステム開発会社に人材リソースとして提供しています。

SES業界には自社社員、協力企業の社員、個人事業主という3つのパターンがありますが、当社は社員採用、かつ経験者採用に特化した会社として運営しています。

小川:社員採用に特化することで、どのような違いが生まれるのでしょうか?

村田さん:社員だからこそ、人材の特徴や強みを深く理解したうえでお客様に提案できます。営業メンバーも、他社の社員を営業するのではなく、自社の社員のキャリアや希望を実現するために伴走し、共に成長を支援できる点に大きなやりがいを感じています。

お客様の多くはシステム開発会社で、大規模プロジェクトの中で一定期間人材が不足する時期があるのですが、そうした人材不足を解決するのが私たちの役割です。

案件選択制と単価連動制──エンジニアが納得して働ける仕組み

小川:案件選択制と単価連動制について詳しく教えてください。

村田さん:ITエンジニアは深刻な人材不足で、各社がエンジニア採用に苦戦しています。その中で当社は、エンジニアに対して案件選択制度と単価連動制という2つの制度を用意しています。

通常、エンジニアは自分で案件を選べません。しかし当社では、エンジニア自身が案件を選択できる環境を整えています。業種業界、参画工程、使用する言語などを考慮して自分に合った案件を選ぶことが可能です。

単価連動制については、SES事業はお客様先に出社するかリモートで仕事をするため、評価が難しいという課題があります。そこで単価と給与を連動させ、売上が上がればその分給与も上がる仕組みにしました。

小川:社員に単価を開示することで、どのような効果があるのでしょうか?

村田さん:多くのSES企業では、エンジニアに単価を伝えません。そのため自分の市場価値がわからず、何をすれば市場価値が上がるのかもわからない状態の人が多いのが現状です。

当社は単価を開示し、社員と伴走しながら「1年後、2年後にどれくらい単価を上げていくか」という話し合いを建設的に行っています。エンジニアは自分の市場価値を把握し、数年先を見据えて働けるようになります。

SES業界の「当たり前」を変えたい──サラリーマン5社を経験した原体験から生まれた使命感

新卒1ヶ月で退職、その後の苦難が教えてくれたこと

小川:村田さんご自身のキャリアについて教えてください。

村田さん:学生時代から起業したいという思いがあり、文系出身でしたが、自分の技術力で売上をつくれるようになりたいと考え、新卒でエンジニアとして入社しました。

ところが、プログラマーとして入社したはずが、研修はCAD(設計支援ソフト)でした。プログラミングができると思って入社したことを伝えると、「新卒の分際で何を言っているんだ」「同期が2,000人いて1人の意見が通るわけない」と言われ、話し合いを重ねた結果、わずか1ヶ月で退職することになりました。

その後、第二新卒として100社ほどエントリーしましたが、内定をいただけたのは3社だけ。唯一エンジニア職だった会社に入社し、インフラの運用保守を1年間担当しました。しかし、希望していた開発案件への異動を打診したところ、「当社に開発案件はない」と言われ、2社目も退職することになったんです。

営業職への転身でみえたSES業界の光と影

小川:エンジニアから営業職に転身されたきっかけは何だったんですか?

村田さん:開発エンジニアとして転職活動をしましたが、経験が浅く内定が出ませんでした。その中で1社から営業職でオファーをいただいて。縁の下の力持ちとしてエンジニアを支える職種も面白いのではと思い、営業職への転身を決めました。

営業として月80社ほど訪問する中で、同じSES企業でも待遇が全く違うことに気づきました。素晴らしい環境で働けるエンジニアがいる一方で、自分の市場価値もわからず、評価基準も不明で、案件も選べないことが当たり前だと思って働いているエンジニアも多くいたのです。

5社目で開花した営業力、そして起業への決意

小川:その後、どのような経緯で起業に至ったのでしょうか?

村田さん:社会人3年目で東京に出て、5社目でようやく自分に合う環境に出会いました。そこは本人の自主性を重視する会社で、細かい指示がない分、自分で考えて行動する必要がありました。その環境で結果を出すことができ、前職売上の3倍に伸ばすことができたんです。

3年で5社を渡り歩いて、5社目でようやく自分に合う環境をみつけた経験から、「全員が結果を出せる仕組みづくりをしたい」という思いが強くなりました。その後、取締役という形でSESの会社を立ち上げ、2年半運営しました。しかし、エンジニア採用の難しさに直面し、精神的にも限界を感じるようになりました。

そんなとき、以前から知っていた案件選択制と単価連動制のパイオニア的企業の社長に相談したところ、出資の話をいただきました。最終的に単独で2024年8月に現在の会社を立ち上げることになったという流れです。

「仕事が楽しい」と言ってもらえる瞬間──社員の成長が最大の熱狂

自分と同じ苦労をした人が輝ける環境をつくりたい

小川:村田さんが一番熱狂していることは何ですか?

村田さん:エンジニアさんの人生のターニングポイントに立ち会う事です。

私自身、エンジニアとしてキャリアの初期に苦労し、「案件を選べない」「会社に意見が言えない」「評価基準が不透明」「将来が見えない」という不満を強く抱えてきました。仕事を心から楽しめるようになるまで3〜4年かかりましたが、その経験があるからこそ、今は同じように悩むエンジニアが「ガトラボに来てから仕事が楽しい」と言ってくれる瞬間に、何よりも大きなやりがいを感じています。

案件選択制を実現できる営業力と顧客基盤

小川:案件選択制を実現するのは難しいと思いますが、どのように実現されているのでしょうか?

村田さん:2つの理由があります。1つ目は、創業時にメガベンチャーの出資を受けており、開発や構築等の案件を多数保有する強固な顧客基盤を初期から共有いただけたことです。

2つ目は、当社の営業体制です。業界経験者メンバーのみで構成された3名体制で伴走し、エンジニア一人ひとりが納得感のあるキャリア選択をできるよう支えています。2期目には営業を5名体制へと拡充し、さらなるサポート強化を図っていきます。

弊社のエンジニアは、上流工程からテストまで幅広く経験できる案件や、大規模なチーム開発、小規模で開発から運用まで任される案件など、多様なプロジェクトに参画しています。

たとえば、SIerで7年ほど勤務していたものの「自分の市場価値が分からない、今後のキャリアアップ方法が分からない」と悩んでいた方は、当社へ入社後に案件を精査して提案し、年収が170万円アップし更に上流工程へのステップアップも果たせました。

また、SIer出身で管理業務が中心となり、キャリアアップ転職をしたものの2年半テスターに留まっていた方には、当社では最低でも実装工程以上の案件に参画できるよう保証し、現在はJava開発案件で着実にキャリアを積まれています。

こうした取り組みを通じて、私たちは「エンジニアの選択肢を広げること」こそ営業の使命と捉え、みえにくい部分であっても環境づくりに力を注いでいます。

「良い人」が集まる組織──トイレットペーパーの芯を変えられる人

20代が8割を占める、成長意欲の高い組織

小川:御社で働いている方々の特徴を教えてください。

村田さん:現在、社員の8割は20代。共通するのは「良い人が多い」という点です。誰も見ていないところで小さな気配りができる──たとえば「トイレットペーパーの芯を交換できる人」。そういう姿勢が仕事にも表れ、仲間への思いやりが組織の成長を加速させています。人のために動ける人が集まることで、自然とポジティブな循環が生まれる環境です。

個人のやりたいことを実現できる環境

小川:入社した方にはどのような成長機会がありますか?

村田さん:当社では単価連動制を採用しているため、数年先の収入を見据えてキャリアを築くことが可能です。案件の最終的な選択は本人に委ねており、会社はその意思を尊重し、全力で後押ししています。

さらに創業フェーズである今だからこそ、テックブログの執筆やリーダー職への挑戦、組織づくりへの参画など、自らの意志次第で新たな領域に踏み出せる機会が数多くあります。キャリアの広がりを実感できる環境を用意していることが、ガトラボの大きな魅力です。

ガトラボというコミュニティで人生のきっかけをつくりたい

自責思考で成長できる人と共に歩みたい

小川:これから入社する人に求めることは何ですか?

村田さん:成長する環境は整えているので、自責で動ける人が良いと思います。他責だと言い訳で成長余地が狭まってしまう。自責思考を持って、主体的に成長していける人と一緒に働きたいです。

経験者採用に特化していますが、成長環境については、上流工程へのステップアップなど、市場価値を上げるための道筋を一緒に考えて案件先を決めていきます。

人生のポジティブな転機となる会社を目指して

小川:今後、どのような会社にしていきたいですか?

村田さん:他社へ出向するエンジニアが多いので、ガトラボというコミュニティを通して、人生の何かしらポジティブな要素のきっかけになれたら嬉しいと思っています。

私は時間の密度を大切にしています。「今日も楽しかった」と言える日々の連続が幸せな人生だと考えています。30代以降は仲間や人間関係で人生が決まると思っているので、ガトラボというコミュニティを広げ、良い人ばかりの輪をつくることで、自然と幸せになれる組織をつくりたいです。

エンジニアが抱える「案件が選べない」「自社に意見が言えない」「評価基準が不透明」「キャリアがみえない」という不満を解決したい。

私自身がエンジニアとして苦労した経験を原体験として、そうした課題をなくすために立ち上げた会社です。同じ思いを持った仲間と、同じ方向をみて会社を大きくしていくことに、今最も熱狂しています。

会社概要

会社名株式会社ガトラボ
HPhttps://gatlab.co.jp
設立2024年8月
事業内容SES事業
採用情報https://gatlab.co.jp/recruit/

※2025年8月13日時点の情報です。

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小川莉奈のアバター

編集者

小川 莉奈 - 熱狂ベンチャーナビ編集部

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看護師から一般企業へ就職。その後株式会社デジマケに入社。自身の転職経験を元に新卒~若手の転職者にわかりやすい情報をお届けします。

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監修者

西畑大樹 - 熱狂ベンチャーナビ運営責任者

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新卒で証券会社に入社。その後、不動産・マーケティング・SaaS企業と4社の経験を経て独立。
学生時代は無人島のインターンや創業2か月目の会社でインターン生として2年勤務。
学生時代から新卒就活領域のメディア運営やキャリアコンサルタントを行っていた経験を元に業界や企業理解が深まるインタビュー記事や就活や転職に役立つ情報をお届けします。

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秋山翔一 - 熱狂ベンチャーナビ編集責任者

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新卒で商社に入社。その後WEBマーケティング支援を行う会社に転職。その後、繊維メーカーの役員を経て株式会社デジマケを創業。
年間500記事以上の監修を行っております。採用側の視点でサービスのファクトチェックや記事内容を精査しています。

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熱狂ベンチャーナビ編集部はインターンシップ・新卒就活・転職経験者で編成されております。20代~30代の幅広い年齢・職種やキャリアを持つメンバーが在籍しているため、就活・転職の苦しかった経験や成功体験を元に求職者に役立つ情報を発信いたします。

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