【代表インタビュー】株式会社Branding Career 代表取締役CEO 佐地良太

【熱狂ベンチャーナビ】株式会社Branding Career 代表取締役CEO 佐地良太

人材紹介×人間力で描く新たなキャリア支援の形

転職エージェントという職業に対して、どのようなイメージを持っているでしょうか。求人情報を紹介し、面接の日程調整をしてくれる存在。多くの人がそう認識しているかもしれません。しかし、「それだけでは候補者の本当の価値を引き出せない」と語るのが、株式会社Branding Career代表取締役CEOの佐地 良太さん(以下、佐地さん)です。

物事の本質を徹底的に追求する思考スタイルを持つ佐地さん。新卒で入社したリクルートエージェント(現インディードリクルートパートナーズ)で全社トップセールスとなり、以後17年間のキャリアを積んできた彼がたどり着いたのは、AIの時代だからこそ重要になる「人間力」を軸とした人材支援の考え方でした。

2023年、株式会社TWOSTONE&Sonsのグループ会社として新たに設立されたBranding Career。同社が掲げる「発掘・研磨・プロデュース」というプロセスの背景には、従来の人材紹介業界に対する強い問題意識があります。リクルート時代に感じた「10人の転職希望者が相談に来ても、7人ほどはサービスの対象外としてお断りせざるを得ない」という現実に疑問を持ち続けてきた佐地さんに、その思いについて伺いました。

目次

プロフィール

株式会社Branding Career

代表取締役CEO 佐地 良太

趣味

飲み会(年間300回以上)、ゴルフ、食べ歩き(10年で延べ3,000店舗以上)

尊敬する人

採用の神様 小畑重和、日々奮闘されている経営者の皆様

座右の銘

「人生万事塞翁が馬」「負けに不思議の負けなし」「すぐやる、かならずやる、できるまでやる」

学生が読むべき本

「学びを結果に変えるアウトプット大全」樺沢 紫苑、「人を動かす」D・カーネギー、「マインドセット「やればできる!」の研究」キャロル・S・ドゥエック、「天才を殺す凡人」北野 唯我、「「具体⇔抽象」トレーニング」細谷 功、「図解 鬼速PDCA」冨田 和成、「1分で話せ」伊藤 羊一

経営者におすすめの本

「人を動かす」D・カーネギー、「ストーリーとしての競争戦略」楠木 建、「ストーリーでわかる財務3表超入門」國貞 克則

人生で一番熱狂したこと

ゴルフ(自分の思い描いたプレーができた時の快感が格別で、理論と実戦の総合格闘技として夢中になっている)

「人間力のポテンシャルを開放する」—AIの時代だからこそ重要になる本質的な力

専門性から人間性へ。時代の変化を見据えた新しい人材育成アプローチ

小川:御社の事業について教えてください。

佐地さん:当社は株式会社TWOSTONE&Sonsのグループ会社として、人材紹介とリスキリング事業を展開しています。「We are Branding Career Producer」を標榜し、さまざまなシーンで活躍する 「スター人材」の「発掘、研磨、プロデュース」を生業にしています

現在はエンジニアとセールスを中心とした人材紹介がメインですが、本来やりたいのは人材育成から一気通貫でやることです。これまでの人材紹介は即戦力を求める傾向があり、限られた人にとってのサービスとなっていました。

当社では、「もう既に花咲いている人と、まだ芽吹いてない種の人」と表現したりするのですが、まだポテンシャルを眠らせてしまっている方々の能力を、ともに育て、花開かせることから始めたいと考えています。

AIの台頭で変わる人材の価値。「OS」としての人間力の重要性

小川:AIの時代における人材の価値について、どのようにお考えですか?

佐地さん:人間力と専門性は2階建ての構造になっていると考えています。1階の人間力のうえに、2階の専門性というスキルが乗っかっている。

たとえばiPhoneで言えば、iOSのようなオペレーティングシステムが人間力で、そのうえにLINEアプリやインスタアプリが乗っている。これが経理、法務、エンジニア、営業といった専門性です。

ところが、経理のようにルールが明確なものは機械の方が得意になってきています。OSがあれば別のアプリケーションを習得することもできるので、この人間力という土台の部分がビジネスのうえでは大事になってくると考えています。

5つの要素で構成される「人間力」の定義と実践的アプローチ

小川:具体的に、「人間力」をどのように定義づけられていますか?

佐地さん:当社では熱意、能力、考え方、タフネス、知識情報人脈の5つの掛け算だと定義しています。稲盛 和夫さんが提唱している「熱意、能力、考え方」だけでは足りないと思い、心身のタフさと知識・情報、そして最近さらに見直した上で「人脈」も加えました。

熱意については、今の時代パッションがある人が減っていると感じています。パッションがある人の方が魅力的ですが、一番難しいのがこの熱意のつくり方です。

当社では「どうなりたくないか」から逆算して考えるアプローチを取ることがあります。「このままだったら、なりたくない将来像になってしまう」という危機感を感じてもらうことで、やる気を引き出していくのです。

能力については、考える力と実行する力、そしてコミュニケーションの力が重要だと考えています。これは本質的にはPDCAなんです。PとCが頭の力で、DとAが実行する力。

本来この考える力と実行する力は相反するものですが、両方を後天的に身につけることで、どんな環境でも再現性を持って成果を出せるようになります。当社のcareer boostというキャリアコーチングサービスでは、この自律的にPDCAを回せる人材の育成を体系的に行っています。

本質を追求する思考が導いた人材業界への使命感

リクルート時代の原体験。転職希望者の7割をお断りする現実への疑問

小川:このような「人間力」を重視した人材支援というアプローチに至ったのは、佐地さんご自身の業界での長年の経験が背景にあるのでしょうか。事業を始められた経緯について、もう少し詳しく教えていただけますか?

佐地さん:もともと私はリクルート出身で、リクルートエージェントで17年間人材業界にいました。リクルート時代から感じていたのは、10人の転職希望者が相談に来られても、求人企業を紹介できるのは3人程度で、残りの7人はサービスの対象外として断らざるを得ないという現実に対する疑問でした。

「すべての人のためのサービスは存在しない」と頭では理解していたものの、「残りの7人をどうするのか?」という疑問をずっと持っていました。時代は変わり、人手不足の今は、10人中6、7人がお客さんになりますが、それでも3、4人はお断りすることになってしまいます。

だからこそ当社では、このお断りされてしまう人たちのポテンシャルを育てて、一緒に花開かせることから始めたいと思っています。

40歳手前の転機。自分だけの成功から社会貢献への転換点

小川:2023年に新会社を設立されたということですが、このタイミングで立ち上げを決断された理由は何だったのでしょうか?

佐地さん:個人の成功から、より多くの人のキャリアを支援できる仕組みづくりへシフトしたくなったからです。

40歳になる手前で、自分たちだけの小さな範囲で快適で良いのか?という気持ちが強くなりました。これまで個人としてはそれなりに結果を出してきましたが、考え方が変わってきたんです。

人材業界に長年いながらも、世の中からキャリアの悩みがなくなっていない。むしろAIの台頭で複雑化している現実があります。自分だけの世界で成功しているのは意味がないと思ったんです。

自分は業界の中で圧倒的にナンバーワンのノウハウを持っている自信があったので、それを世の中のために還元したいと考えました。

既存エージェントとは一線を画す「ポテンシャル開放」の手法

50%の内定確率を80%に押し上げる面接対策の技術

小川:他の転職エージェントとの違いについて、具体的な事例があれば教えていただけますか?

佐地さん:世の中の多くのエージェントは、求人の右から左への紹介と日程調整が中心です。一方、私たちはあくまでコンサルタントとして、その人の付加価値を高めていきます。

たとえば先日、ある営業メンバーが担当していた転職希望の方について、「やることは全部やり切りました!」と言うので、「最終面接の内定確率は?」と聞いたら「五分五分です」と答えました。それを聞いて、私はまだやれることがあると感じたので、私がヒアリングと面接対策をした結果、客観的にみても8割内定が出る状態に仕上がり実際に内定を獲得できました。

転職活動は書類選考は専門性で行われますが、面接でみられるのは人間力です。だからこそ、人間力のポテンシャルを開放してあげないと面接は通らないんです。

正解を教えるのではなく、本来の力を100%引き出すアプローチ

小川:佐地さんが実際に面接対策をされる際は、どのような点を重視されているのでしょうか?

佐地さん:よくあるエージェントのように一言一句の正解を教えるのではなく、もともと持っているものを100%引き出してあげることを意識しています。

転職活動の2、3ヶ月の間に、「なぜそうしようと思ったんですか?」という問いかけを重ねることで、本人も必死に考えて答えを絞り出そうとします。その過程で短期間で成長される方が多いんです。

私たちの特徴は、マッチングの観点でも、転職希望の方のカルチャーや価値観に合う会社を提案することです。同じSaaS会社でも違いを説明し、精度の高いマッチングを実現しています。

Z世代の「熱狂」を呼び覚ます独自のアプローチ

現代の若者世代が直面する「欲望の希薄化」という現実

小川:最近のZ世代について、転職やキャリアに対するモチベーションの面で何か変化を感じることはありますか?

佐地さん:「乾いていない世代」だと思います。生まれたときからなんでもイージーに手に入る世代なので、欲望が育たないのは当然です。

1,000円出せば美味しいものが食べられるし、ファストファッションで2,000円あればある程度おしゃれもできる。「そんなにお金はいらない」となって欲望がない、乾いていない状態になってしまいます。

やりたいことは「やってみないと分からない」

小川:やりたいことがみつからないという相談を受けることも多いと思うのですが、そのような方にはどのようなアドバイスをされますか?

佐地さん:「部屋にこもって考えるより、まずフィールドに出ていろんなことに触れてみてください」とお伝えしています。

これは私が新卒採用担当の仕事をしていた時の話ですが、年間延べ2,000人ほどの学生さんと直接会話をする機会がありました。その2,000人の中で、明確にこれがやりたい、という強い想いを持っていたのはわずか数人でした。

つまり、99.9%の学生さんが「やりたいことがない」と言っていたのです。でも、これは極めてアタリマエで普通のことです。働いたことがないし、世の中にどんな仕事があるかも分からないので、自分がやりたいことも分かるわけがないんです。

「タコわさ理論」というのがあって、食べる前は美味しそうにみえないけれど、食べたら意外に美味しい。知らないから評価ができないけれど、一度知ってみると意外と良いということに気づく、みたいなことが往々にしてあります。

脳科学的にも、やる気が出たから行動するのではなく、行動しているうちにやる気が出るものです。だからこそ、部屋にこもって妄想の中だけで考えるより、フィールドに出ていろんなことに触れることが大切なんです。

人生哲学の原点となった大学時代の経験と「本気」で生きる姿勢

「人はなぜ生きるのか?」という根本的な問いとの向き合い

小川:佐地さんのエネルギーの源について、もう少し詳しく聞かせてください。以前、大学時代にうつを経験されたとお聞きしましたが、そこからどのような変化があったのでしょうか?

佐地さん:大学時代のうつ経験は、私の人生観を根本から変えた出来事でした。「人はなぜ生きるのか?という問いと真剣に向き合う中で、自分なりの答えをみつけることができたんです。

そのときに辿り着いた結論は、毎日を「楽しかった」と言えるように生きたいということでした。今日も楽しかった、昨日も楽しかった。そういう日々の連続で人生を終えたいと思ったんです。

毎日を「楽しかった」で終わらせるための一貫した価値観

小川:その哲学が現在の生き方にどう影響しているのでしょうか?

佐地さん:私は「本気」しかできないタイプです。やると決めたらすべて本気で取り組むので、目の前のことに夢中になって、気づいたら朝になっていることもあります。

真剣に向き合うのは苦しいこともありますが、それ以上に面白い。だからこそ、社会人になってからの95%ぐらいは「今日も楽しかった」と思えるような生活を送れています。

毎日朝まで飲んで2、3時間睡眠でも、子どもの保育園の送りは毎日します。夜は家にいないことが多いので、朝じゃないと子どもと話せないんです。これも私にとっては大切な「楽しい時間」の一つです。

悩みを使い果たしたからこそ得られた行動力

小川:うつの時期を乗り越えた経験が、現在の行動力にもつながっているのでしょうか?

佐地さん:そうですね。あの時期に一生分の悩みを使い果たしてしまった感覚があるんです。昔は結構ウジウジして、AなのかBなのかってめちゃくちゃ考えるタイプで腰が重かったんですが、今はあまり悩むことがありません。

人生の中の悩みをやり尽くしたからこそ、今は迷いなく行動できる。腹落ちしないと動けないタイプですが、自分の中で一番の根本の問いに対して向き合った結果、腹落ちし納得できる答えをみつけられたので、あとは突き進むだけです。

AもBも求める組織文化。相反する能力の共存を目指して

リクルートライクな成長環境の再構築

小川:会社の雰囲気や文化について教えてください。どのような環境づくりを心がけていらっしゃいますか?

佐地さん:当社はカルチャーとして、考えることも行動することも大事にしています。多くの伸びている会社は「上層部が考えて現場がDoする」という上位下達の組織カルチャーですが、それは脆弱性が高いと思っています。

「考えて動ける、自律的な人材がどこにでもいる組織」をつくりたい。うちでは「なんで?なんで?」何かにつけて理由を求められるので、ロジックを考える力も伸びるし、一方でKPIもやり切れと言われます。

現場は和気あいあいとした雰囲気で、親切な良い人が多く、素直にDoする人が多いです。会議はピリッとしていて、ロジックを求めますが、人間関係は良好です。

急成長の中で生まれるマネジメントポジションのチャンス

小川:成長環境や挑戦の機会という点ではいかがでしょうか?

佐地さん:去年は売上高が前年比174%、今期も150%の目標を掲げ、かなり業績は伸びています。人材業界全体が厳しい状況の中で、当社はこのような成長を続けています。

これだけ急速に拡大していると、当然マネジメントポジションが不足しているんです。部長のポジションも空いているし、役員なんか私しかいないので、ガラ空きです。能力とやる気と適性がある人にとっては、いくらでもチャンスがあります。

理想を持った人材への強いメッセージ

世の中への「もっとこうあるべき」という問題意識を求めて

小川:最後に、これから入社する人に期待することについて聞かせてください。どのような人と一緒に働きたいとお考えですか?

佐地さん:AもBも求めたいんです。ロジックもパッションも、素直さも自分の意見も。わがままですが、そういうわがままな人じゃないと理想的な高尚なものを達成できないと思っています。

自分の理想はあるけれど、そこへのやり方には固執しない柔軟性。こだわりと柔軟性を持っている人にきてほしいです。

何より理想を持っている人にきてほしい。「世の中はもっとこうあるべきじゃないですか」という疑問を強く持っている人。私自身が常に物事の本質を問い続け、現状に満足しない姿勢で生きてきたので。

民間企業として確実に社会に価値を提供していく決意

小川:今後の展望について、佐地さんが描いているビジョンを教えてください。

佐地さん:政治家として世の中を変えていくことは難しいと思っているタイプなので、民間企業として小さくとも確実に世の中を変えていきたいと考えています

世の中から賞賛される、憧れられるような会社にしたいし、人材エージェントという事業を高尚な商売だと思われるようにしたい。「人材エージェントやってるんだ、素晴らしいね」と言われるような業界にしていきたいと思っています。

会社概要

会社名株式会社Branding Career
HPhttps://branding-career.co.jp
設立2023年9月
事業内容エンジニアプラットフォームサービス
採用情報https://branding-career.co.jp/recruit
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小川莉奈のアバター

編集者

小川 莉奈 - 熱狂ベンチャーナビ編集部

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看護士から一般企業へ就職。その後株式会社デジマケに入社。自身の転職経験を元に新卒~若手の転職者にわかりやすい情報をお届けします。

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監修者

西畑大樹 - 熱狂ベンチャーナビ運営責任者

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新卒で証券会社に入社。その後、不動産・マーケティング・SaaS企業と4社の経験を経て独立。
学生時代は無人島のインターンや創業2か月目の会社でインターン生として2年勤務。
学生時代から新卒就活領域のメディア運営やキャリアコンサルタントを行っていた経験を元に業界や企業理解が深まるインタビュー記事や就活や転職に役立つ情報をお届けします。

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秋山翔一 - 熱狂ベンチャーナビ編集責任者

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新卒で商社に入社。その後WEBマーケティング支援を行う会社に転職。その後、繊維メーカーの役員を経て株式会社デジマケを創業。
年間500記事以上の監修を行っております。採用側の視点でサービスのファクトチェックや記事内容を精査しています。

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熱狂ベンチャーナビ編集部はインターンシップ・新卒就活・転職経験者で編成されております。20代~30代の幅広い年齢・職種やキャリアを持つメンバーが在籍しているため、就活・転職の苦しかった経験や成功体験を元に求職者に役立つ情報を発信いたします。

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