【代表インタビュー】株式会社ふらここ 代表取締役 原 英洋

【熱狂ベンチャーナビ】株式会社ふらここ 代表取締役 原英洋様 インタビュー

今どきの暮らしに寄り添う雛人形。伝統を守りながら変化を恐れない挑戦

雛人形や五月人形といった伝統的な節句飾りは、住環境の変化とともに「飾るスペースがない」「収納に困る」といった理由から敬遠されることも少なくありません。株式会社ふらここの代表取締役・原 英洋さんは、そうした課題に向き合い、現代のライフスタイルに合った節句飾りを提案しています。

A3サイズに収まるコンパクト設計、赤ちゃんのような可愛らしい顔立ち、女性が選びやすいデザイン。伝統工芸の世界で「常識」とされてきたものに新しい風を吹き込んできたふらここの商品には、「伝統文化をもっと身近に」という思いが込められています。

「お客様の望む物をつくるのは当然のこと」と語る原さん。商品開発の背景にある想いや、節句文化継承の取り組み、そして「親子の絆を育む」という理念に基づいた今後の展望まで、ふらここが描く「節句文化の新しいかたち」についてお話を伺いました。

目次

プロフィール

株式会社ふらここ 原代表

会社名:株式会社ふらここ

役職:代表取締役

名前:原英洋

趣味:読書、ジョギング、筋トレ

尊敬する人:三上照夫さん、田坂広志さん、森信三さん、稲盛和夫さん

座右の銘:一日一生

学生が読むべき本:「人生二度なし」森信三

経営者におすすめの本:「すべては導かれている」田坂広志

人生で一番熱狂したこと:ふらここを創業して初年度に全商品が一つ残らず完売したこと

現代のライフスタイルに寄り添う雛人形で伝統文化を身近に

株式会社ふらここ 雛人形
小川

まずは、御社の事業について教えてください。

原さん:主に雛人形や五月人形、そしてブライダル人形の製造・販売を行っています。特にネット通販が主力で、売上の98%がオンライン経由です。ほとんどのお客様が実物をみないで購入されるのですが、東京のショールームに足を運んで実際にご覧になる方も全体の4割ほどいらっしゃいます。

一部、百貨店にもお取り扱いいただいており、関東ではそごう横浜店や銀座三越などで実物をみていただくこともできます。残りの6割以上のお客様は遠方にお住まいの方々で、カタログやウェブサイトの情報だけで購入いただいています。

私たちの雛人形は伝統的な大きなタイプではなく、現代の住環境に合わせたコンパクトサイズが特徴です。雛人形でもA3サイズくらいのスペースに収まる大きさなので、マンションなど限られたスペースでも飾りやすいと好評をいただいています。私たちは、伝統文化を大切にしながらも、現代のライフスタイルに合わせた商品を提供することで、より多くのご家庭に節句の文化を楽しんでいただけるよう努めています。

小川

伝統工芸品でありながら、現代のライフスタイルに合わせた変化を遂げてこられたと思います。その背景や具体的な取り組みについて教えてください。

株式会社ふらここ 五月人形

原さん:昔は三世代同居のご家庭が多く、和室の床の間に大きな雛人形や五月人形を飾る文化がありました。おじい様とおばあ様が、孫のために見栄えのする豪華なものを贈るのが一般的だったんです。しかし、今は核家族が主流で、住宅事情も変わり、飾るスペースが限られてきました。そうなると、大きくて豪華なものよりも、コンパクトで扱いやすいものが求められるようになったんです。

印象的だったのは、25年ほど前のエピソードです。おじい様とおばあ様が孫のために30万円ほどする大きな雛人形を購入されたにも関わらず、後日お母様から「キャンセルしたい」というお電話をいただきました。「こんなに大きいものはいりません」と断言されてしまったんです。同じようなケースが立て続けに2件起こり、「これは時代が変わってきたな」と強く感じました。

また、おじい様とおばあ様と若い夫婦が一緒に来店されるケースでも、おじい様とおばあ様が豪華なものを選ぼうとする中、若いご夫婦が「どうせ1年だけしか飾らないから」と話しているのを耳にすることもありました。お客様と接する中で「もっと小さいものを」というリクエストが増えていったので、そこからコンパクトな雛人形を本格的に開発し始めたんです。

振り返ってみると、30年くらい前から市場は確実に変化していました。お客様が求めるのは「簡単に飾れて、収納しやすく、それでいて可愛らしいもの」。今ではそういった商品が完全に主流になっています。私たちは常にお客様の声に耳を傾け、実際の暮らしに寄り添った商品づくりを心がけてきました。その積み重ねが今の形につながっているんだと思います。

小川

ひな人形のデザインで、従来のものと異なる特徴を取り入れられたそうですね。その変化について教えてください。

株式会社ふらここ 雛人形

原さん:昔の雛人形は大人びた顔立ちで、目鼻立ちがはっきりしているのが一般的でした。彫りが深い顔は職人の技術のみせどころでもあったんです。しかし、購入決定権がおじい様とおばあ様からお母様に移るにつれて、商品の好みも変わってきました。お母様たちは伝統的な雛人形よりも、可愛らしいデザインを好む傾向が強かったんです。

そこで私たちは、従来の型にはまらない、赤ちゃんのような丸い顔立ちの雛人形をつくることにしました。私たちの人形の顔は基本的に赤ちゃんの顔なんです。丸くて、幼い顔つきの、可愛いお人形です。これは、私たちの業界では前例のない挑戦でした。

最初に企画を持ちかけたとき、職人さんからは「そんなおもちゃみたいな人形はつくれない」と猛反発を受けましたね。「なぜ伝統的な雛人形を変えるんだ」「お客様に迎合するのか」と厳しく言われたことを今でも覚えています。

でも私は、お客様のニーズに応えることは迎合ではなく当然のことだと信じていました。「迎合じゃない。お客様の望む物をつくるのは当然のことじゃないですか」と話しましたが、納得してもらえませんでした。そうした思いが強くなり、最終的には「45歳になったときに、独立するなら今しかない」と思い、自分の理想とする商品づくりに挑戦することを決意したんです。

五月人形の開発でも同じ視点を大切にしました。五月人形は男の子用のものですが、購入するのはやはりお母様。そこで、兜飾りにも女性が選びやすいデザインを取り入れました。たとえば、花柄をあしらった兜や、明るい色合いのデザインを使うなど、従来の五月人形では考えられなかった要素を積極的に取り入れています。

こうした変化は、最初は業界でも珍しいものでしたが、お客様の声に耳を傾けることで生まれた革新だと思っています。伝統を守りながらも、現代の生活様式や価値観に寄り添った商品づくりを心がけています。

節句文化の継承。思い出づくりが育む親子の絆

株式会社ふらここ 原代表
小川

伝統文化を取り巻く環境も変化していると思います。市場の動向や、節句文化の継承について感じることを教えてください。

原さん:市場は年々縮小傾向にあります。この業界は、衰退産業といっても間違いではないかもしれません。やはり少子化の影響が大きいですね。さらに、核家族化が進み、祖父母と同居していないご家庭が増えています。

節句の文化は本来、祖父母から親へと受け継がれるものです。しかし近年は、そうした伝統を知らない、あるいは意識していないご両親も増えています。その結果、雛人形や五月人形の購入を考えない層も一定数いるのが現状です。

でも、興味深いのは、ひな祭りや端午の節句を知らない日本人はほとんどいないという点です。日本人なら誰でも知っている行事ですが、実際に自分の子どもに対して行うかどうかは別問題なんです。親として、自分が子どものころにお祝いをする習慣がなかった場合、「自分の子どもにもやるべきなのか」と迷う方は少なくありません。

しかし、一度その文化に触れ、お祝いの大切さを実感すると、「自分の子どもにも同じようにしてあげたい」と思う方が多いのも事実です。そうした文化の価値を伝えていくことが私たちの使命だと考えています。だからこそ、節句の文化をより身近に感じてもらえるような取り組みを大切にしています。

その一環として、私たちは保育園に雛人形を寄贈する活動を続けています。2022年から始めて、今年で4年目になります。毎年3軒ほどの保育園に寄贈していましたが、今年は応募が20件近くあり、そのうち8件に寄贈しました。ちょうど昨日も目黒区の保育園に雛人形の飾り付けに行ってきたところです。実際に子どもたちが雛人形に触れ、すごく喜んでいる姿をみると、やはりこの文化は大切なんだと実感します。こうした機会を増やし、文化の楽しさを伝えていくことも私たちの役割だと思っています。

小川

御社の経営理念に「親子の絆を育む」という言葉がありますが、どのような体験や瞬間に親子の絆が深まると感じていますか?

原さん:やはり、思い出をつくることが大切だと思います。ひな祭りも端午の節句も、子どもの頃から毎年お祝いしてもらった経験があると、大人になっても心の中にしっかり残るものなんです。

子どものときはあまり意識していなくても、10年、15年と時を経るうちに「自分は大切に育てられたんだ」という想いが、心の中でどんどん強くなっていくんですね。幼い頃に親から大切にしてもらった記憶が積み重なり、大人になったときにその意味を深く実感するようになる。そして、自分の子どもが生まれたときに「私も同じようにしてあげたい」と思うようになる。そこに親子の絆が育まれる大切な瞬間があると思います。

実際にお客様にヒアリングをすると、「母がやってくれたから、私も子どもにやってあげたい」とおっしゃる方がとても多いんです。そうした思い出をつくるお手伝いをすることが、私たちの大きな役割だと考えています。

親が子どもにしてあげたことが、将来のその子の自信や幸福感につながる。そして、その子が親になったとき、また次の世代に同じ想いを伝えていく。そんな善循環が広がっていくことで、社会全体もより良くなっていくのではないかと思います。節句のお祝いは一見すると単なる行事のようにみえるかもしれませんが、実はこうした深い意味が込められているんです。

小川

御社独自の「ブライダル人形」について教えてください。従来にない商品ですが、どのような思いで開発されたのでしょうか?

原さん:雛人形や五月人形は販売の時期が限られており、ビジネスとして年間を通して展開するためには季節性のないものを開発する必要がありました。そこで社員たちと協議する中で考えたのが、「結婚」という人生の大きな節目に寄り添うブライダル人形です。

結婚式の際に、新郎新婦がご両親へ感謝の気持ちを込めて贈る特別な贈り物として、お人形を提案しています。そして、結婚した夫婦が将来子どもを授かったとき、節句の文化にも目を向けてほしい。そのような接点をしっかりつくっていきたいという思いがありました。

ブライダル人形は私たちが新しくつくり出したものなんです。一般的に結婚式でのご両親への贈り物としては花束などが主流ですが、感謝の気持ちを形に残すものとして、お人形を贈るという選択肢を提案したいと思いました。

私たちの業界では、ひな祭りや端午の節句が終わった後、夏場から秋にかけてがオフシーズンになります。その時期に多くの人形店では、お盆の提灯や花火を販売したり、別の商材としてベビー用品などを扱ったりしています。しかし、私たちは単に別の商材を増やすのではなく、お客様との関係をより長く、自然な形でつなげていくことを大切にしたいと考えました。

そこで、結婚という人生の大切な節目から、新たな家族の誕生、そして親子の成長といった流れの中で、私たちが培ってきた「人形を通じた文化の継承」を活かせるのではないかと考えたのです。ブライダル人形を通じて、ご家族の大切な思い出つくりに寄り添い、その先の未来にもつながる商品開発を進めています。

人と文化をつなぐものづくり。ふらここの挑戦

株式会社ふらここ 原代表
小川

社内の雰囲気や働く環境について教えてください。

原さん:私たちの会社は30名弱の会社ですが、100%女性という珍しい環境です。よく「女性ばかりの職場は派閥ができるのでは?」「3人いると1人仲間外れになる」といったことを聞かれますが、実際には全くそういったことはなく、社員同士の仲がとても良いのが特徴です。一人ひとりが協力し合いながら仕事を進める文化が根づいており、誰かが困っていたら自然と助け合う風土があります。

この良好な関係を築く秘訣の一つに、採用のやり方があると思います。たとえば新卒採用時には、すでに入社している社員も採用活動に関わるようにしています。特に新入社員が新しい後輩の採用に関わることで、「自分が選考に関わって入ってきてくれた後輩をめちゃくちゃ可愛がる」という効果があるんです。自分が決めた後輩だから、「きちんと成長してほしい」という気持ちが自然と生まれ、面倒見が良くなります。その結果、社員同士が家族のように支え合う関係が築かれています。

また、私たちの会社では総合職ではなく、職種ごとに採用を行っているため、それぞれが専門性を深めながら成長できる環境になっています。商品企画、販売、物流など、それぞれの部署が明確に役割を持ち、チームとして連携しながら仕事を進めていきます。

社員の成長を支援する制度も充実させています。たとえば、社員が「こういうことを勉強したい」と申し出た場合、会社が費用を負担して学校に通わせることもあります。実際に、新卒で入社した社員がイラストレーターのスキルを身につけるために1年間学校に通った例もあります。その間の学校に通う時間も勤務時間として認めています。会社としては、スキルを習得した社員に活躍してもらうことが大切だと考えているからです。

私たちの会社では、社員の声をとても大切にしています。「こんなことにチャレンジしたい」とか「こうしたらもっと良くなるんじゃないか」という意見が出てきたら、できるだけ実現できるよう柔軟に対応するようにしています。小さな会社だからこそ、一人ひとりの意見や行動が会社全体に影響を与えることができるんですね。社員がやりがいを持って働ける環境づくりが、結果的に会社の成長にもつながっていると感じています。

小川

どのような人が御社で活躍できるでしょうか?

原さん:ふらここでは、スキルや経験よりも「物事に向き合う姿勢」を大切にしています。専門的な知識がなくても、仕事をしながら学んでいける環境が整っているので、未経験からでも成長できるチャンスがあります。

私たちは人を選ぶとき、その人がどんな経験を持っているかよりも、どのように物事に向き合うかを重視しています。向き合う姿勢があるけれどもスキルがない人と、スキルはあるけれど向き合う姿勢に欠ける人、どちらを選ぶかといえば、私たちは基本的に前者を採用する方針です。スキルは後から習得できますが、物事に真摯に取り組む姿勢は簡単には身につかないものだからです。

私たちの会社は小規模なので、一人ひとりの役割が大きく、自分の仕事が会社全体に影響を与えている実感を持ちながら働くことができます。業務の中でトラブルが起きたときに、「自分の担当ではない」と人任せにするのではなく、「どうすれば解決できるか」を考え、積極的に行動できる人は特に活躍できる環境です。

仕事の流れはすべてつながっています。商品企画をすれば生産管理が必要になり、つくったものは販売され、その後お客様との関係が続いていきます。ですから、一つの業務だけで完結するのではなく、全体の流れを意識して、責任を持って取り組める人が求められます。

よく人材採用について聞かれますが、日常生活の中でも責任を持って物事に取り組んでいる人は、会社に来ても責任感を持って仕事ができるものです。私たちは、ただ仕事をこなすのではなく、当事者意識を持って真剣に向き合い、仕事を通して自分自身も成長したいと考える人を歓迎しています。そういう人なら、どんな職種でも活躍のチャンスがあります。

小川

今後の展望についてお聞かせください。

株式会社ふらここ 原代表

原さん:私たちは、お客様との接点を「購入して終わり」にするのではなく、継続的な関係を築いていきたいと考えています。そのために、雛人形や五月人形を購入されたお客様に対し、その後もご家族の成長に寄り添えるような商品を提供していきたいと思っています。

現在進めているのは、雛人形や五月人形を購入されたご家庭に向けた次のステップとなる商品の開発です。ひな祭りや端午の節句は、子どもが0歳や1歳の頃に初めて迎える行事ですが、その後の成長過程においても、家族の絆を深めるきっかけをつくれるような商品を提供したいと考えています。

私たちの会社の平均年齢はちょうど30歳で、実際に子育てをしている社員も多くいます。産休中の社員もいますし、ちょうど子どもができる・できないくらいの年齢の女性たちが多いんです。だからこそ、リアルな目線で「親として本当に欲しいもの」を商品開発に反映できるという強みがあります。実際に購入してくださる方々の気持ちを理解しやすい環境にあると思うので、そこをこれから深めていきたいと考えています。

現在はまだ検討段階ではありますが、少しずつトライアンドエラーを繰り返しながら、お客様に喜んでいただける商品を継続的に提供していきたいと思っています。文化を守りながらも、新しい価値を提供し、親子の絆を育むブランドとして成長していくことが、私たちの今後の目標です。

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小川莉奈のアバター

編集者

小川 莉奈 - 熱狂ベンチャーナビ編集部

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看護士から一般企業へ就職。その後株式会社デジマケに入社。自身の転職経験を元に新卒~若手の転職者にわかりやすい情報をお届けします。

西畑大樹のアバター

監修者

西畑大樹 - 熱狂ベンチャーナビ運営責任者

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新卒で証券会社に入社。その後、不動産・マーケティング・SaaS企業と4社の経験を経て独立。
学生時代は無人島のインターンや創業2か月目の会社でインターン生として2年勤務。
学生時代から新卒就活領域のメディア運営やキャリアコンサルタントを行っていた経験を元に業界や企業理解が深まるインタビュー記事や就活や転職に役立つ情報をお届けします。

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ファクトチェック

秋山翔一 - 熱狂ベンチャーナビ編集責任者

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新卒で商社に入社。その後WEBマーケティング支援を行う会社に転職。その後、繊維メーカーの役員を経て株式会社デジマケを創業。
年間500記事以上の監修を行っております。採用側の視点でサービスのファクトチェックや記事内容を精査しています。

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執筆者情報

熱狂ベンチャーナビ編集部はインターンシップ・新卒就活・転職経験者で編成されております。20代~30代の幅広い年齢・職種やキャリアを持つメンバーが在籍しているため、就活・転職の苦しかった経験や成功体験を元に求職者に役立つ情報を発信いたします。

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