【代表インタビュー】株式会社Ballista 代表取締役社長 中川貴登

個人と企業をつなぎ、社会を変える。Ballistaが目指すプロフェッショナルの未来
デジタル化の波が企業変革を加速する今、個人の可能性を最大化する新たな働き方モデルが求められています。「個人と企業の挑戦に立ち向かい世界を変える」というミッションを掲げる株式会社Ballistaは、コンサルティング事業、フリーランス支援、事業開発の三軸で企業と個人の成長を支援する注目のスタートアップ企業です。
同社代表取締役社長の中川貴登さんは「フリーランスか会社員か」という二者択一ではなく、個人が正当に評価され、リスクを抑えながら挑戦できる環境づくりに取り組んでいます。今回のインタビューでは、自衛隊志望から経営者へと転身した中川さんの想いと、Ballistaが描く未来像についてお伺いしました。
プロフィール

会社名:株式会社Ballista
役職:代表取締役社長
名前:中川 貴登
座右の銘:逆境でこそ、そいつが本物かどうかわかる。 だってよ、星は夜輝くんだぜ(漫画『4月は君の嘘』より)
学生が読むべき本:「ONE PIECE」尾田栄一郎
経営者におすすめの本:「ONE PIECE」尾田栄一郎
人生で一番熱狂したこと:Ballistaの創業(今)
Ballistaは、「日本を代表する企業になる」というビジョンを掲げています。「日本社会に希望をもたらす」という使命感を持っており、その実現に向け、日本企業の中でトップ100に入ることを目標として掲げ、日々様々なことにチャレンジしています!
共に挑み、共に成長する「結果がすべて」のプロフェッショナル集団


御社の事業内容と、それぞれの取り組みについて教えてください。
中川さん:Ballistaは、「個人と企業の挑戦に立ち向かい世界を変える」というミッションのもと、「コンサルティング事業」「フリーランス向けサービス」「事業開発」の三軸で事業を展開しています。

コンサルティング事業ではどのような支援を行っていますか?
中川さん:私たちは、企業の新規事業立ち上げ、経営戦略の策定、デジタル変革の推進を中心に支援しています。
具体的には、企業が新サービスを市場投入する際に、市場調査、戦略設計、営業・マーケティング支援までを一貫してサポートし、売上を生み出すフェーズまで伴走します。単なる戦略提案にとどまらず、企業内のプロジェクトチームと共にKPI(重要業績評価指標:事業の成功度を測る指標)を設定し、戦略実行の進捗管理や調整を行いながら、実際の成果を出すまで徹底的にサポートします。
たとえば、新規事業の立ち上げでは、ビジネスモデルの仮説検証を行い、ユーザーの反応を確かめながら改善を重ねることで、実際の市場適応を確実に進めます。
また、デジタル変革の推進においては、企業の業務オペレーションの最適化やシステム導入支援を行い、企業の成長を加速させます。既存の業務フローの課題を洗い出し、デジタルツールの導入やシステム改修を行うことで、業務効率を大幅に向上させる施策を実行しています。

フリーランス支援事業ではどのような取り組みを行っていますか?
中川さん:私たちは、従来のフリーランス業界の課題を解決し、プロフェッショナルが適正な評価と報酬を得られる環境を提供することを目指しています。そのために、フリーランスの可能性を最大限に引き出すプラットフォーム「Yoake」を運営しています。
従来のフリーランス業界では、案件単価の一部がエージェントに手数料として差し引かれ、フリーランスが適正な報酬を得られないという課題がありました。私たちは、Yoakeを通じて、透明性の高い案件情報と人材情報を提供し、適正な報酬体系を確保する仕組みを構築しています。フリーランスが適正な評価を受け、実績や成果に見合った収益を確保できる環境の実現を目指しています。
また、フリーランスや副業で働く人のスキルアップ支援や案件サポートを通じて、専門知識を持つ人材の数を増やし、質を向上させる仕組みを整えています。Ballistaはコンサルティング事業も展開しているため、専門性が高く、適切なマッチングが求められる人材の活用をサポートできます。これにより、企業側もフリーランスとスムーズに業務を進めることが可能になります。

さらに、フリーランスの孤立を防ぎ、協業の可能性を広げるために、定期的な交流イベントを開催し、知見の共有や新たなビジネスチャンスの創出を支援しています。これは、フリーランスが業務面だけでなく、人とのつながりの面でも成長できる環境を整えるための重要な取り組みの一つです。
そして、企業側の課題解決にも寄与するため、案件情報や人材情報を可視化するシステムを導入しています。Yoakeは、従来の多重請け負い構造を排除し、企業が求めるスキルセットや予算を明確に提示することで、適切なマッチングを実現しています。
将来的にはDAO(分散型自律組織:Decentralized Autonomous Organization)型の組織形態を構築し、より透明性の高い業務契約を可能にする仕組みの確立を目指しています。DAOとは、中央管理者を持たず、ブロックチェーン技術などを活用し、参加者全員が意思決定に関与できる分散型の組織です。これにより、フリーランスと企業が公平な立場で業務契約を結び、より効率的かつ公正な取引を実現できる環境を整えます。

事業開発事業ではどのような取り組みを行っていますか?
中川さん:新規事業の創出を通じて、企業の成長を加速させる取り組みを行っています。
たとえば、特定の業界で新たなビジネスチャンスを見出し、市場分析・事業戦略策定・資金調達支援を行い、新規事業の立ち上げを推進しています。これにより、アイデア段階で終わることなく、実際の市場適応まで支援し、事業が継続的に成長する仕組みを構築しています。
さらに、Ballista自身が新規事業を立ち上げる際には、子会社の設立を通じて経営者を育成し、事業の成功を支援する仕組みも整えています。こうした取り組みを通じて、企業内にとどまらず、新たな経営者が生まれる環境をつくり出しています。
私たちは、「仲間を集めて事業を立ち上げ、経営者を創出する」というテーマを掲げ、自分らしく挑戦する環境を提供しています。新卒や中途入社のメンバーも、自らのビジョンを持ち、独自の事業を創り上げることが可能な環境が整っています。そのため、実際に子会社を設立し、経営者として活躍するメンバーも誕生しています。
また、地方創生プロジェクトに取り組み、地域の特産品を活かしたブランド立ち上げや、企業との連携による市場展開支援も行っています。AIやブロックチェーンなどの先端技術を活用した新規ビジネスモデルの構築にも取り組み、新たな産業の創出にも力を入れています。
「フリーランスか会社員か」ではない、個人の可能性を最大限に活かす社会へ


もともと自衛隊を目指していたそうですが、そこからビジネスに関心を持つようになったきっかけを教えてください。
中川さん:もともと私は「国を守りたい」という想いから自衛隊を目指していました。しかし、大学時代に発展途上国への国際交流プロジェクトに参加し、現地の人々の生活を目の当たりにしたことで、物理的な防衛で国を守るだけではなく、経済の仕組みや仕事を通じて人々の生活を支えることの重要性を強く感じました。
それがきっかけで、より広い視点で社会を支える手段を模索するようになったんです。そうした想いを持つ中でスタートアップに参画し、デジタルマーケティングの事業に携わることで、ビジネスの基礎を学びながら、経済の発展を通じて社会全体の成長を後押ししたいと思うようになりました。

起業を決意された背景には、どのような想いがあったのでしょうか?
中川さん:もともと、日本の若者が将来に希望を持てない現状に対して、以前から強い危機感を持っていました。実際に実質賃金は20年以上停滞しており、物価の上昇を考慮すると多くの人々が実質的な生活の向上を実感できていないように思います。
昨年2月に実施された日本財団の「18歳意識調査」でも18歳の若者の「この国が良くなる」と考えている割合が極端に低いことが示されています。こうした問題意識を持つ一方で、自分自身のキャリアを通じて「人は最初から自分の能力を発揮できなくても、経験を積み、適切な環境と評価を得ることで、その可能性は大きく変わる」と痛感しました。
たとえば、私自身、スタートアップ時代は年収250万円、ボーナスも5万円しかありませんでしたが、転職し経験を積み重ねる中で、年収は1500万円まで増えました。もちろん年収だけがすべてではありませんが、精一杯努力をした結果ではあります。
ただ、この経験を通じて強く感じたのは、自分はたまたま適切に評価される環境に巡り合えたからこそ成長し、その分の対価を得たということです。一方で、同じように努力をしていても、正しく評価されず、本来の可能性を発揮できていない人も多くいます。そうした現状を目の当たりにし、個人の可能性を最大化できる仕組みが必要だと考えるようになりました。

そんな中、デロイトトーマツで働いているときに、クライアントから「デロイトに発注しているのではなく、中川さんだから発注している」と言われたことが、大きなきっかけとなりました。もちろん会社のネームバリューは大きな意味を持つこともあるかもしれませんが、個人としての価値が評価される時代がきていることを実感し、個人がより自由に活躍できる環境をつくりたいという想いが強くなりました。
ただし、これは「フリーランスになるか、会社員として働き続けるか」という極端な選択ではなく、リスクを抑えながら挑戦できる環境が必要だと考えています。努力すれば適正な報酬を得られ、必要な経験を積むことで成長し続けられる社会をつくることが、個人の可能性を引き出し、日本全体の発展にもつながると信じています。
いまの日本では、フリーランスを搾取する企業の存在や、個人が十分に力を発揮できていない状況も多く見受けられます。会社に属さなくても活躍できる時代になっているにもかかわらず、個人の可能性が十分に引き出されていないことに大きな課題を感じたんです。
こうした経験や想いから、個人が十分に力を発揮できる環境を整え、企業の成長にもつなげる事業を立ち上げることを決意しました。
夢を形にする挑戦者とともに、時価総額トップ100を掴みにいく

会社の雰囲気について教えてください。
中川さん: プロフェッショナリズムを持ったメンバーが多く、それぞれが自分の時間を大切にしながらも、挑戦し続ける文化があります。会社の風土としては、「挑戦すること」と「他人を思うこと」の両方を大切にしており、会社という枠組みの中で心理的安全性を担保しながら、思い切って挑戦できる環境を目指しています。
これらをサポートする仕組みとして、部署や事業を超えた関係性を築ける環境を整えています。たとえば、定期的な1on1ミーティングやメンターメンティ制度を通じて、異なる事業のメンバーとも積極的に交流できる仕組みがあります。また、オフィスはフリーアドレス制を採用しており、自由に席を選べるため、事業部の垣根を越えた自然なコミュニケーションが生まれやすくなっています。こうした環境のもと、意見を率直に伝えやすく、互いに学び合える文化が醸成されていると思います。
一方で、コンサルティングファーム出身者が多いため、ある意味ドライな側面もあります。飲み会などの交流の場はそれほど多くはなく、落ち着いた雰囲気の中で、それぞれが自分の時間を大切にしながらも、お互いを尊重し合う文化が根付いています。そのため、仕事のオンオフの切り替えがしやすく、それぞれが自分のペースで働きやすい環境だと思います。

従業員やこれから会社に入る人に、一番求めているものはなんでしょうか?

中川さん:まず夢を持っていることです。夢の内容は問いません。独立したい、稼ぎたい、ワークライフバランスを重視したいなど、人それぞれですが、自分の可能性を信じて挑戦し続ける力を持っていることが大切です。その夢に対して解像度を上げ、5年後の目標を定め、それに向けて必要なスキルや経験を積んでいける人を歓迎します。
また、やりきる力があることも重要です。最後まで責任を持って物事を遂行できる人であること。目標に対してコミットし、結果を出すことにこだわる姿勢を評価しています。
さらに、自分の軸を持っていることも重視しています。自分の生き方に対する考えを持ち、それをストーリーとして語れる人。「自分がどう生きたいか」「何を大切にしているか」を明確に持ち、それに基づいた行動ができる人が仲間になってくれると嬉しいです。

今後どのような会社にしていきたいですか?
中川さん:私たちが目指しているのは、「希望を持てる会社」です。そのために、目標として、日本企業の時価総額トップ100に入ることを掲げています。直近では、売上15億円を達成し、次年度には30億円、その次には50億円と成長を続けていく計画です。
また、私たちは上場を目指していません。その理由は、株主の意向に左右されず、プロフェッショナルであるメンバーに最大限還元できる環境をつくりたいからです。プロフェッショナルな人材が自分の力を最大限に発揮し、その対価を得られる仕組みを維持しながら成長する企業を目指しています。
今後も、挑戦を恐れず、成長し続ける文化を守りながら、プロフェッショナルたちが集う企業として進化していきたいと考えています。