【代表インタビュー】株式会社ハッピースマイル 代表取締役 兼 CEO 佐藤堅一
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プロフィール
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株式会社ハッピースマイル
代表取締役 兼 CEO 佐藤 堅一
趣味:筋トレ、卓球
尊敬する人:藤田 晋さん
人生で一番熱狂した瞬間:全国展開を考えるビジネスで起業したこと
座右の銘:失敗の反対は、挑戦しないこと
事業について
「誰かの役に立つ」を形にする課題発見力が熱狂できる事業を生んだ
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事業モデルについて教えていただけますか?
私たちは「思い出×DX」と呼んでいる、写真販売のプラットフォームサービスを提供しています。昔、学校の壁に写真が貼り出されて、番号を記入して封筒で注文する方式がありましたよね。それをインターネット上で行えるようにしたのが私たちのサービスです。
ビジネスモデルとしてはBtoBtoCで、B(事業者)とC(消費者)の両方が顧客になります。例えば、B側には保育園、プロスポーツチーム、芸能プロダクション、老人ホームなどがあります。一方、C側にはそれに関連する保護者やファンの方々が含まれます。
この仕組みでは、事業者が撮影した写真を、消費者がアクセスして購入します。ただし、私たちは”カメラマンを派遣する会社”ではなく、”写真を管理・販売するためのプラットフォーム”を提供しているという点がポイントです。「写真」ではなく「思い出」という大きな枠組みでサービスを展開しているのが特徴になります。
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「写真」ではなく「思い出」という大きな枠組みでサービスを展開している”という点について、詳しく教えてください。
他社の中にはカメラマン派遣をメインで行い、その一部で写真販売を手掛けるところもありますが、私たちは専門店としてこの事業に取り組んできたので、そうした「片手間」では太刀打ちできないと考えています。そのため、完全一致する事業を行っている企業はないと言えます。
また、私たちの最大の差別化は、現場のニーズを深く理解している点です。例えば、保育園向けのサービスでは、現場の保育士さんたちと協力してシステムを開発しました。これにより、痒いところに手が届く仕様になっています。他社はシステム会社が写真販売システムを「売れるため」に作っていることが多く、思想から異なります。私たちは現場の課題を解決し、そこで働く人々の時間を少しでも捻出できるよう支援したいという想いでサービスを提供しています。
具体的には、AI顔認識を使って写真に登場する子どもの登場回数を自動で集計したり、保護者への通知用のチラシやPDFをワンクリックで作成したりといった機能があります。現場の先生たちの負担を減らすことを徹底的に考えているのが、私たちのサービスの強みです。
さらに、現在でも現場を訪問して保育士さんやスタッフの声を直接聞き、改良を続けています。この現場重視の姿勢が、他社との差別化の根幹にあると考えています。
佐藤さんご自身について
感謝を生み出す力で広がった無限の可能性で、起業の道へ
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元は陸上自衛官として働かれていたとお聞きしましたが、その仕事を目指した理由は何ですか?
阪神淡路大震災で、自衛官が災害派遣で人命を救う様子がテレビに映し出されていました。それを見て『自分がやりたいのはこれだ!』と思ったことが理由です。
小学校・中学校時代から『自分がどう生きていきたいか』を考えていて、いわゆるサラリーマン的な働き方は自分に合わないと感じていました。それが悪いというわけではなく、単に自分がやりたいこととは違うと。そして『困っている人を助けて、感謝される仕事がしたい』と考えるようになり、”ありがとう”にもいろいろなレベルがあることに気づきました。例えば、物を拾って『ありがとう』もいいけど、命を救われた時の『ありがとう』が最上級ではないかと仮説を立てたんです。
その頃にちょうど、阪神大震災が発生したんですよね。そこから自衛隊を目指す決意をし、どうすれば入隊できるか真剣に調べ、体力作りと精神面の強化に力を入れました。
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無事に合格して入隊できた後、独立しようと思ったきっかけは何だったのですか?
配属先の上司から『ここで災害派遣に行くのは、多摩川が氾濫するか、高尾山に飛行機が落ちた時くらいだ』と言われ、災害派遣を待つ自分に違和感を覚えるようになりました。人助けをしたいのに、悪い出来事を待つという矛盾が嫌だったんです。
そんな時、デジタルカメラの登場が転機になりました。フィルムカメラは必要ない写真まで現像しないといけないので興味がありませんでしたが、デジカメの機能を知り、可能性に感動し、すぐに購入して使い始めました。その後、デジタル一眼レフも買い、自衛隊のイベントで撮影した写真を現像して渡すと、隊員たちが非常に喜んでくれました。「主体的に生み出せる感謝っていいな」と感じ、自分が本当にやりたいのはこれだと気づいたんです。それで自衛隊を辞めて、写真業界に飛び込みました。
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起業した経緯を教えてください。
実は、起業する前から「どうせ始めるなら、全国規模で通用するサービスに挑戦しよう」という思いがありました。地域密着も素晴らしいことですが、自分としては、せっかくのチャレンジなら日本中、さらには海外まで視野に入れられるような事業モデルに価値を感じていたんです。
もともと私は写真業界出身ではなかったため、既存の常識や暗黙のルールに縛られずに発想できました。それが大きな強みになったと考えています。もし業界に深く根付いた環境で働いていたりしたら、「余計なことはするな」と言われてしまっていたかもしれません。でも、私にはそうしたしがらみがなかったので、自由な発想でアイディアを考えられたんです。
起業前から、「困っている人の役に立ち、それが形として喜ばれる」ことが自分の行動原理でした。そんな中で、カメラマン派遣の仕事をしているときに、偶然ある保育園を訪問したときに出会った「壁貼り写真」の慣習が転機となりました。先生方は膨大な手間をかけて写真を選び、園児の保護者へ提供していましたが、それは慣習として続いているだけで、多くの方が負担に感じていたんです。
私はそこで、当たり前だと見過ごされてきた手間や負担を取り除くことで、現場が長く抱えていた課題を解消でき「ありがとう!」と言ってもらえる仕事がついに実現できるかもと、熱い気持ちが沸き上がり、その日のうちにサービス提供に向け動き出しました。これをきっかけに、インターネットを活用して全国どこからでも利用できる写真販売プラットフォームをつくり、写真代行販売サービス事業を立ち上げました。
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経営理念や、MVVについて教えてください。
私たちの経営理念やミッションは「ファンを増やす」ことを軸にしています。これは単に売上を伸ばすためではなく、私たちに関わるすべての人に「ここに頼んでよかった」「関わってよかった」と感じてもらえる関係性を築くことが大切だと考えているからです。そのためには、利用者の想像を超える使いやすさや機能を提供し、楽しく気持ちよく使える場を整える必要があります。
この考え方の根底には、「求められなくなったら終わり」という認識があります。市場や顧客から必要とされなくなれば、企業はいくら資金があっても存続できません。人々から必要とされ続けることこそが、企業の存在意義を支える鍵になると考えています。最終的なビジョンとして、写真に関わるすべての人が笑顔になれる世界を目指し、私たちは日々その実現に向けて挑戦しています。
会社について
前を向く意志が、困難をチャンスに変える熱狂力を生む
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学生時代はどんな子どもでしたか?
学生時代を振り返ると、ずいぶん変わっていたと思います。小学生の頃、公園で自転車レースごっこ中に友達と転び、膝をすりむいたことがありました。そのとき、友達は「痛い!」と嘆く中で、私は瞬時に「死ななくてよかった」「痛みは生きてる証拠」と思うような子どもでした。
部活選びでも、幼少期から経験者が多い競技は不利と判断し、みんなが同じスタートラインに立つ弓道を選びました。その結果、部長を任され、チームをまとめる経験も得られました。
夏休みの宿題は全量を把握し、1日ごとの目標を立てて、少し多めに進めて自分を褒める。休日は行動計画を細かく作り、その通り動けたら「やり遂げた」と感じられる。そんな工夫を積み重ねることが自然と身についていたんです。この習慣や考え方は、今振り返ってみると、現在の経営や行動指針にも通じていると思います。
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経営者として大切にしていることは何ですか?
経営者として大切にしていることの一つは、会社が進むべき方向性を明確に示し、それを従業員にきちんと「伝える」ことです。経営者は未来を見据えて動いていますが、従業員は目の前の状況に集中していることが多い。そのため、「次はこうしよう」と前向きな提案をしても、従業員側からは「なぜ急に?」と戸惑われることがあります。このギャップを埋めるためには、単に指示を出すだけでなく、本当に伝わっているかを意識し、丁寧に説明する姿勢が重要だと考えています。
もう一つ大切なのは、会社の成長段階に応じて求められる人材が変わることを理解することです。創業期には「ゼロから価値を生み出す挑戦を楽しむ人」が必要ですが、成長段階では「効率化や制度整備に強い人」が求められます。あるフェーズでは理想的だった環境が、次のフェーズでは全員にとって最適ではなくなる場合もあります。その結果、人材が入れ替わることもありますが、これは会社が前進している証であり、健全な新陳代謝だと捉えています。
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今後のフェーズでは、どのような方に入社してもらいたいですか?
クリエイティブな課題解決力を持つ人材を求めています。正解が明確ではない状況でも、「これが最適解ではないか」と仮説を立て、自ら行動に移せる人が理想です。たとえば、社内でチラシを作る場合でも、その用途や目的を考え抜き、「こういう見せ方がベストでは?」と主体的に提案できる力が重要だと思います。
私たちは、「このスピード感が面白い」「ここなら自分の価値が発揮できる」と感じてくれる人たちと一緒に、より良い未来を目指して成長していきたいと考えています。挑戦を楽しみ、変化をポジティブに捉えられる方と、ビジョンを共有しながら進んでいきたいです。